JPH0848472A - エレベーターの安全装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 昇降路内の湿度に応じてエレベーター用ロー
プの長さ調整を自動的に行って、エレベーター用ロープ
の伸縮によるエレベーターの非常停止を防止することを
可能にしたエレベーターの安全装置を提供する。 【構成】 昇降路に設置され、張り車４の昇降に追従し
て安全スイッチ５を昇降させる移動手段７と、前記昇降
路に設置され、前記昇降路の湿度を検出する湿度検出手
段８と、この湿度検出手段８によって検出された前記昇
降路の湿度とエレベーター用ロープ３の長さとから前記
エレベーター用ロープ３の湿度による伸縮量を演算する
と共に、前記エレベーター用ロープ３の伸縮量に応じて
前記移動手段７を作動させる制御手段９とを備えたもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ロープ式エレベータ
ーの昇降路内に設置されている主ロープ、コンペンロー
プ、ガバナロープ等のエレベーター用ロープの伸縮量を
調整するエレベーターの安全装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図４は、ロープ式エレベーターの昇降路
に設置され、主ロープ、コンペンロープ、ガバナロープ
等として使用さるエレベーター用ロープの一例を示し、
一般に、この種のエレベーター用ロープは、麻を材料と
した芯網１ａに鉄製の素芯１ｂを撚り込んだストランド
２を巻き付けることにより構成されている。

【０００３】この種のエレベーター用ロープは、芯綱１
ａの麻に吸湿性があるので、高湿度の時期には、大気中
の水分を吸収することにより膨張して収縮し（図５参
照）、一方、低湿度の時期には乾燥して伸び（図６参
照）、この収縮率（ロープ全長に対する伸縮量の比率）
はロープの長さによって異なるが、一般に最大で０．５
％程度に達することが知られている。

【０００４】このため、エレベーターが安全に運転され
るためには、昇降路の湿度に応じてエレベーター用ロー
プの伸縮量を調整する必要がある。図３は、従来のエレ
ベーターの安全装置の一例を示し、図において、符号３
はコンペンロープ又はガバナロープ等として昇降路に設
置されたエレベーター用ロープ、４は昇降路の下端部
（エレベーターピット）に上下移動自在に設置され、か
つ、エレベーター用ロープ３が巻き掛けられ、エレベー
ター用ロープ３に張力を与える張り車、５は張り車４の
近くに設置され、非常時にエレベーターを停止させ、又
はエレベータードアの駆動（開閉）を停止させる安全ス
イッチ、そして、符号６は安全スイッチ５より突設さ
れ、張り車４の側部に形成された滑走面４ａを転がるコ
ロである。

【０００５】このような構成において、昇降路の湿度が
増すと、エレベーター用ロープ３は昇降路内の湿気を吸
収することにより膨張して短くなり、その結果、張り車
４は昇降路内を一定量上昇する。一方、昇降路内の湿度
が低下すると、エレベーター用ロープ３は乾燥すること
により収縮して長くなり、その結果、張り車４はその重
みによって一定量下降する。また、張り車４の上昇又は
下降と同時に、張り車４の滑走面４ａをコロ６が転が
る。

【０００６】そして、エレベーター用ロープ３の伸縮量
が滑走面４ａの長さの範囲内であれば、エレベーターの
運転は継続されるが、エレベーター用ロープ３の伸縮量
が滑走面４ａの長さの範囲を越えると、コロ６が滑走面
４ａより外れることにより、安全スイッチ５が作動し
て、エレベーターは急停止し、また、エレベーターのド
アは駆動不能となり、エレベーターの安全運転が確保さ
れている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】従来のエレベーターの
安全装置は、以上説明したように構成され、エレベータ
ー用ロープの伸縮量が一定量を越えると、エレベーター
は非常停止して安全は確保されるが、一旦、エレベータ
ーが停止すると、運転再開に向けての復旧作業を行う必
要がある等の課題があった。また、エレベーターの運転
が再開される間、乗客はエレベーター内に閉じ込められ
たままの状態となり、乗客に不安感を抱かせる等の課題
もあった。

【０００８】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたもので、昇降路内の湿度に応じてエレベ
ーター用ロープの長さ調整を自動的に行って、エレベー
ター用ロープの伸縮によるエレベーターの非常停止を防
止することを可能にしたエレベーターの安全装置を提供
することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】請求項第１項記載のエレ
ベーターの安全装置は、昇降路に設置され、張り車の昇
降に追従して前記安全スイッチを昇降させる移動手段
と、前記昇降路に設置され、前記昇降路の湿度を検出す
る湿度検出手段と、この湿度検出手段によって検出され
た前記昇降路の湿度とエレベーター用ロープの長さとか
ら前記エレベーター用ロープの湿度による伸縮量を演算
すると共に、前記エレベーター用ロープの伸縮量に応じ
て前記移動手段を作動させる制御手段とを備えたもので
ある。

【００１０】請求項第２項記載のエレベーターの安全装
置は、昇降路に設置され、安全スイッチを昇降させる移
動手段を有し、当該移動手段は前記張り車の近傍に上下
方向に揺動自在に設置され、先端に前記安全スイッチを
有する揺動アームと、エレベーター用ロープと同一材質
のロープより形成され、かつ、前記揺動アームの他端に
連結され、前記揺動アームの他端を下方に引っ張る引張
ロープとを備えたものである。

【００１１】

【作用】請求項第１項記載のエレベーターの安全装置に
おいては、湿度検出手段が昇降路内の湿度を検出し、制
御手段が湿度とエレベーター用ロープの長さとから前記
エレベーター用ロープの湿度による伸縮量を演算し、そ
の伸縮量を想定し、かつ、前記張り車の上昇又は下降し
た量に応じて安全スイッチを上昇又は下降させる。

【００１２】請求項第２項記載のエレベーターの安全装
置においては、揺動アームの他端を支持する支持ロープ
が、エレベーター用ロープと同じように昇降路内の湿度
により伸縮し、この支持ロープの伸縮により揺動アーム
が揺動して揺動アームの先端に取り付けられた安全スイ
ッチを、張り車が上昇又は下降した量だけ上昇又は下降
させる。

【００１３】

【実施例】

実施例１．図１は、請求項第１項記載のエレベーターの
安全装置の一実施例を示し、図において、前記従来例と
同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。符
号７はエレベーター用ロープ３の伸縮により上昇又は下
降する張り車４に追従してコロ６及び安全スイッチ５を
上下方向に移動させる移動手段、８は昇降路内に設置さ
れ、昇降路内の湿度を検出する湿度検出手段、そして、
符号９は湿度検出手段８からのデータに基いて前記エレ
ベーター用ロープ３の伸縮量を検出すると共に、エレベ
ーター用ロープ３の伸縮量に応じてコロ６及び安全スイ
ッチ５が上昇又は下降するように移動手段７を作動させ
る制御手段である。

【００１４】移動手段７は上下方向に所定間隔離して設
置された上下プーリ７ａ及び７ｂと、この上下プーリ７
ａと７ｂとにエンドレス状態に巻き掛けられた回転ベル
ト７ｃと、上下プーリ７ａ及び７ｂを駆動する駆動モー
タ７ｄとを備えて構成されている。また、回転ベルト７
ｃにエレベーターの運転停止、運行不能及びエレベータ
ードアの駆動（開閉）を停止させる安全スイッチ５と、
張り車４の滑走面４ａを転がり、安全スイッチ５と連動
するコロ６が取り付けられている。

【００１５】次に、この発明に係るエレベーターの安全
装置の動作について説明すると、湿度検出手段８によっ
て昇降路内の湿度が検出され、その結果が制御手段９に
送信される。制御手段９は湿度検出手段８から送信され
た昇降路内の湿度とエレベーター用ロープ３（張り車４
がコンペン張り車の場合は主ロープとコンペンロープを
示し、ガバナ張り車の場合はガバナロープを示す。）の
長さを基準にエレベーター用ロープ３の伸縮量を演算に
より想定し、この伸縮量に基いて張り車４の上昇又は下
降量を予想する。

【００１６】そして、その結果に基いて、駆動モータ７
ｄを駆動して回転ベルト７ｃを回転させ、張り車４が上
昇又は下降した量だけ安全スイッチ５及びコロ６を上昇
又は下降させる。

【００１７】従って、この実施例によれば、エレベータ
ー用ロープ３の伸縮により張り車４が上昇又は下降した
としても、コロ６及びこれに連動する安全スイッチ５
も、張り車４の上昇又は下降に追従して上昇又は下降す
るので、コロ６が張り車４の滑走面４ａより外れること
がなく、安全スイッチ５が作動してエレベーターの運行
が不能になるのを防止できる。尚、安全スイッチ５が作
動する場合としては、例えば、エレベーター用ロープ３
が切れたような場合である。

【００１８】実施例２．図２は、請求項第２項記載のエ
レベーターの安全装置の一実施例を示し、図において、
実施例１と同一部分には同一符号を付し、その説明を省
略する。符号１０は昇降路内の張り車４の近くに設置さ
れ、エレベーター用ロープ３の伸縮量に応じてコロ６及
び安全スイッチ５を上下方向に移動させる移動手段であ
る。

【００１９】移動手段１０は先端にコロ６及び安全スイ
ッチ５が取り付けられ、支持軸１１を軸に上下方向に揺
動自在に設置された揺動アーム１０ａと、この揺動アー
ム１０ａの後端部とピット底部１２との間に張設され、
揺動アーム１０ａの後端部を下方に引っ張る引張ロープ
１０ｂとから構成されいる。引張ロープ１０ｂはエレベ
ーター用ロープ３と全く同じ材質のロープより形成され
ている。

【００２０】このような構成において、昇降路内の湿度
が高くなると、エレベーター用ロープ３は昇降路内の湿
気を吸収することにより膨張して短くなり、その分張り
車４も上昇する。同時に、引張ロープ１０ｂも昇降路内
の湿気を吸収することにより膨張して短くなるので、揺
動アーム１０ａが支持軸１１を軸に回転することによ
り、コロ６及び安全スイッチ５は張り車４が上昇する量
だけ引き上げられる。一方、昇降路内の湿度が低下する
と、エレベーター用ロープ３は乾燥して収縮することに
より長くなり、その結果、張り車４はその重みによって
一定量下降する。同時に、引張ロープ１０ｂも乾燥して
長くなるので、コロ６及び安全スイッチ５は湿度の吸収
の場合と反対の作用により張り車４の下降する量だけ下
降する。

【００２１】従って、この実施例によれば、エレベータ
ー用ロープ３の伸縮により張り車４が上昇又は下降した
としても、コロ６及びこれに連動する安全スイッチ５も
上昇又は下降するので、コロ６が張り車４の滑走面４ａ
より外れることがなく、実施例１の場合と同様に、安全
スイッチ５が作動してエレベーターの運行が不能になる
のを防止できる。また、この実施例の場合には実施例１
のような特別の装置を一切必要としないので、きわめて
廉価に製作でき、メンテナンスも容易にできる効果があ
る。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、請求項第１項記載
のエレベーターの安全装置によれば、昇降路に設置さ
れ、張り車の上昇及び下降と同時に安全スイッチを上昇
及び下降させる移動手段と、昇降路に設置され、前記昇
降路の湿度を検出する湿度検出手段と、この湿度検出手
段によって検出された前記昇降路の湿度とエレベーター
用ロープの長さとから前記エレベーター用ロープの湿度
による伸縮量を演算すると共に、前記エレベーター用ロ
ープの伸縮量に応じて前記移動手段を作動させる制御手
段とを備えて構成されているので、張り車がエレベータ
ー用ロープの伸縮により上昇又は下降したとしても、安
全スイッチも同時に上昇又は下降するので、エレベータ
ーロープの伸縮により安全スイッチが作動するのを防止
できる効果がある。

【００２３】また、請求項第２項記載のエレベーターの
安全装置によれば、昇降路に設置され、安全スイッチを
昇降させる移動手段を有し、この移動手段は張り車の近
傍に上下方向に揺動自在に設置され、先端に前記安全ス
イッチを有する揺動アームと、エレベーター用ロープと
同一材質のロープより形成され、かつ、前記揺動アーム
の他端に連結され、前記揺動アームの他端を下方に引っ
張る引張ロープとを備えたものなので、張り車がエレベ
ーター用ロープの伸縮により上昇又は下降したとして
も、安全スイッチも同時に上昇又は下降するので、エレ
ベーターロープの伸縮により安全スイッチが作動するの
を防止できる効果がある。

【００２４】また、駆動手段といった特別な装置を使用
していないので、廉価に製作でき、かつ、メンテナンス
もきわめて簡単にできる効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明に係る請求項第１項記載のエレベー
ターの安全装置の一実施例を示す側面図である。

【図２】 この発明に係る請求項第２項記載のエレベー
ターの安全装置の一実施例を示す側面図である。

【図３】 従来のエレベーターの安全装置の一例を示す
側面図である。

【図４】 エレベーター用ロープの構造を示す一部側面
図である。

【図５】 湿度によるエレベーター用ロープの収縮状態
を示す説明図である。

【図６】 乾燥によるエレベーター用ロープの伸びた状
態を示す説明図である。

【符号の説明】

３ エレベーター用ロープ、４ 張り車、５ 安全スイ
ッチ、７ 移動手段、８ 湿度検出手段、９ 制御手
段、１１ 移動手段、１１ａ 揺動アーム、１１ｂ 引
張ロープ。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 昇降路の下端部に昇降自在に設置され、
   前記昇降路に設置されたエレベーター用ロープに張力を
   与える張り車と、前記昇降路に設置され、前記張り車の
   異常昇降時にエレベーターを非常停止させる安全スイッ
   チとを備えてなるエレベーターの安全装置において、前
   記昇降路に設置され、前記張り車の昇降に追従して前記
   安全スイッチを昇降させる移動手段と、前記昇降路に設
   置され、前記昇降路の湿度を検出する湿度検出手段と、
   この湿度検出手段によって検出された前記昇降路の湿度
   と前記エレベーター用ロープの長さとから前記エレベー
   ター用ロープの湿度による伸縮量を演算すると共に、前
   記エレベーター用ロープの伸縮量に応じて前記移動手段
   を作動させる制御手段とを備えてなることを特徴とする
   エレベーターの安全装置。
2. 【請求項２】 昇降路の下端部に昇降自在に設置され、
   前記昇降路に設置されたエレベーター用ロープに張力を
   与える張り車と、前記昇降路に設置され、前記張り車の
   異常昇降時にエレベーターを非常停止させる安全スイッ
   チとを備えてなるエレベーターの安全装置において、前
   記昇降路に設置され、前記安全スイッチを昇降させる移
   動手段を有し、当該移動手段は前記張り車の近傍に上下
   方向に揺動自在に設置され、先端に前記安全スイッチを
   有する揺動アームと、前記エレベーター用ロープと同一
   材質のロープより形成され、かつ、前記揺動アームの他
   端に連結され、前記揺動アームの他端を下方に引っ張る
   引張ロープとを備えてなることを特徴とするエレベータ
   ーの安全装置。