JPH0845351A - 注型樹脂組成物 - Google Patents
注型樹脂組成物Info
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- JPH0845351A JPH0845351A JP17660594A JP17660594A JPH0845351A JP H0845351 A JPH0845351 A JP H0845351A JP 17660594 A JP17660594 A JP 17660594A JP 17660594 A JP17660594 A JP 17660594A JP H0845351 A JPH0845351 A JP H0845351A
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- Japan
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- resistance
- sulfur hexafluoride
- resin composition
- inorganic filler
- resin
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Abstract
(57)【要約】
【目的】本発明は、誘電率が低く、機械的強度に優れ、
作業性が良好である注型樹脂組成物を提供することにあ
る。 【構成】本発明の注型用樹脂組成物は、少なくとも1分
子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物
と、エポキシ樹脂用硬化剤と、酸化アルミニゥム,窒化
ホウ素等の耐六弗化硫黄分解ガス性を有する少なくとも
1種類以上の無機質充填剤とからなり、前記耐六弗化硫
黄分解ガス性を有する無機質充填剤の平均粒径が,他の
無機質充填剤の平均粒径の1/5以下で,かつ無機質充
填剤全体に対して容量比で10%以上配合されており、
その物理的性質は、従来のガス絶縁機器用注型樹脂に比
べて、耐熱性、機械的特性は同等またはそれ以上で、か
つ耐六弗化硫黄分解ガス性、低誘電率である。
作業性が良好である注型樹脂組成物を提供することにあ
る。 【構成】本発明の注型用樹脂組成物は、少なくとも1分
子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物
と、エポキシ樹脂用硬化剤と、酸化アルミニゥム,窒化
ホウ素等の耐六弗化硫黄分解ガス性を有する少なくとも
1種類以上の無機質充填剤とからなり、前記耐六弗化硫
黄分解ガス性を有する無機質充填剤の平均粒径が,他の
無機質充填剤の平均粒径の1/5以下で,かつ無機質充
填剤全体に対して容量比で10%以上配合されており、
その物理的性質は、従来のガス絶縁機器用注型樹脂に比
べて、耐熱性、機械的特性は同等またはそれ以上で、か
つ耐六弗化硫黄分解ガス性、低誘電率である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気機器や電気部品の
絶縁材料あるいは構造材料として好適な注型用樹脂組成
物に関するものであり、特に、ガス絶縁開閉装置、管路
気中送電装置、またはその他の電気機器の絶縁支持また
は電気部材間の絶縁スペーサ等の絶縁部材に最適な注型
用樹脂組成物に関する。
絶縁材料あるいは構造材料として好適な注型用樹脂組成
物に関するものであり、特に、ガス絶縁開閉装置、管路
気中送電装置、またはその他の電気機器の絶縁支持また
は電気部材間の絶縁スペーサ等の絶縁部材に最適な注型
用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、変電所に用いられる高電圧回路の
開閉装置及び送電装置として、ガス絶縁開閉装置及び管
路気中送電装置が良く用いられている。これらのガス絶
縁開閉装置及び管路気中送電装置においては、その接地
金属容器内に高電圧導体を絶縁支持するために絶縁スペ
ーサが用いられている。
開閉装置及び送電装置として、ガス絶縁開閉装置及び管
路気中送電装置が良く用いられている。これらのガス絶
縁開閉装置及び管路気中送電装置においては、その接地
金属容器内に高電圧導体を絶縁支持するために絶縁スペ
ーサが用いられている。
【0003】この絶縁スペーサとしては、例えば特公昭
54−44106号公報及び特開昭55−155512
号公報に示すようなものが知られている。すなわち、エ
ポキシ樹脂等の合成樹脂からなる絶縁スペーサ本体によ
って高電圧導体が支持されており、また、この絶縁スペ
ーサのフランジ部には接地金属容器に絶縁スペーサを固
定するための金属フランジ部が形成されている。さら
に、金属容器内に封入されるSF6 ガスは、電界が不平
等であるとその絶縁性能が低下する傾向にあるので、そ
の対策として、高電圧導体の回りに接地シールドを一体
に埋め込み、金属フランジ部によってその電位を確保し
ている。
54−44106号公報及び特開昭55−155512
号公報に示すようなものが知られている。すなわち、エ
ポキシ樹脂等の合成樹脂からなる絶縁スペーサ本体によ
って高電圧導体が支持されており、また、この絶縁スペ
ーサのフランジ部には接地金属容器に絶縁スペーサを固
定するための金属フランジ部が形成されている。さら
に、金属容器内に封入されるSF6 ガスは、電界が不平
等であるとその絶縁性能が低下する傾向にあるので、そ
の対策として、高電圧導体の回りに接地シールドを一体
に埋め込み、金属フランジ部によってその電位を確保し
ている。
【0004】次に、従来の絶縁スペーサを図1について
説明する。同図に示すように、高電圧導体1a,1bは
絶縁スペーサ4によって金属容器3に絶縁支持されてい
る。また、この絶縁スペーサ4には、隣接する高電圧導
体1a,1bを接合するための通電部材4aが一体に注
型されている。一方、接地金属容器3には隣接する容器
相互を連結するための連結フランジ5が設けられてい
る。そして、絶縁スペーサ4の外縁部には金属容器3に
形成された連結フランジ5に挟持され、取り付けボルト
7によって金属容器3に絶縁スペーサ4を固定するため
の金属フランジ6が一体に注型されている。また、絶縁
スペーサ4には導電性リング8が一体に注型され、この
導電性リング8は常時接地され、接地金属容器3と絶縁
スペーサ4との結合部の電界を緩和し、絶縁性能の向上
を図っている。この様に構成された絶縁スペーサ4がO
リング9を介して金属容器3の連結フランジ部5に取り
付け固定されている。
説明する。同図に示すように、高電圧導体1a,1bは
絶縁スペーサ4によって金属容器3に絶縁支持されてい
る。また、この絶縁スペーサ4には、隣接する高電圧導
体1a,1bを接合するための通電部材4aが一体に注
型されている。一方、接地金属容器3には隣接する容器
相互を連結するための連結フランジ5が設けられてい
る。そして、絶縁スペーサ4の外縁部には金属容器3に
形成された連結フランジ5に挟持され、取り付けボルト
7によって金属容器3に絶縁スペーサ4を固定するため
の金属フランジ6が一体に注型されている。また、絶縁
スペーサ4には導電性リング8が一体に注型され、この
導電性リング8は常時接地され、接地金属容器3と絶縁
スペーサ4との結合部の電界を緩和し、絶縁性能の向上
を図っている。この様に構成された絶縁スペーサ4がO
リング9を介して金属容器3の連結フランジ部5に取り
付け固定されている。
【0005】ところで、絶縁スペーサ4の絶縁部の注型
材料としては、化学的安定性、機械的強度などから、一
般に酸無水物を硬化剤に用いたエポキシ樹脂がベース材
料に用いられ、さらに(1)材料コストを下げる、
(2)弾性率を上げ製品の剛性を増やす、(3)機械的
強度を改善する、(4)線膨脹係数を下げ成形性を改善
する等の目的のため、特にSF6 ガス絶縁開閉装置用の
絶縁スペーサ用としては無機質充填材を充填することが
一般的に行われている。
材料としては、化学的安定性、機械的強度などから、一
般に酸無水物を硬化剤に用いたエポキシ樹脂がベース材
料に用いられ、さらに(1)材料コストを下げる、
(2)弾性率を上げ製品の剛性を増やす、(3)機械的
強度を改善する、(4)線膨脹係数を下げ成形性を改善
する等の目的のため、特にSF6 ガス絶縁開閉装置用の
絶縁スペーサ用としては無機質充填材を充填することが
一般的に行われている。
【0006】ガス絶縁機器では、絶縁ガスとして使用し
ている六弗化硫黄(SF6 )ガスが分解することがあ
り、この分解ガスは機器中の水分と反応して弗酸とな
る。弗酸は二酸化珪素を分解するので、充填剤にシリカ
を使用することは機器の信頼性上問題がある。このた
め、ガス絶縁機器に用いる注型樹脂の無機質充填剤とし
ては、シリカよりも耐弗酸性が優れているアルミナが一
般に使用されている。
ている六弗化硫黄(SF6 )ガスが分解することがあ
り、この分解ガスは機器中の水分と反応して弗酸とな
る。弗酸は二酸化珪素を分解するので、充填剤にシリカ
を使用することは機器の信頼性上問題がある。このた
め、ガス絶縁機器に用いる注型樹脂の無機質充填剤とし
ては、シリカよりも耐弗酸性が優れているアルミナが一
般に使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、アルミナを充
填したエポキシ樹脂絶縁物は、シリカ充填エポキシ樹脂
絶縁物よりも高誘電率となる。従って、ガス絶縁機器に
アルミナ充填エポキシ樹脂絶縁物を使用すると、シリカ
充填エポキシ樹脂絶縁物を使用した場合よりも絶縁ガス
部分の分担電圧が上昇する。このため、アルミナ充填エ
ポキシ樹脂絶縁物を使用したガス絶縁機器は、シリカ充
填エポキシ樹脂絶縁物を使用した場合に比べて絶縁設計
上不利である。これに対し、注型樹脂の低誘電率化の方
法としては特開平03−200858号公報、特開昭5
8−18217号公報、特開昭57−203511号公
報、特開昭57−203510号公報、特開昭57−2
03509号公報、特開昭52−135400号公報記
載のアルミナと弗化物との混合物より構成された無機質
充填剤を用いる等の方法が知られている。
填したエポキシ樹脂絶縁物は、シリカ充填エポキシ樹脂
絶縁物よりも高誘電率となる。従って、ガス絶縁機器に
アルミナ充填エポキシ樹脂絶縁物を使用すると、シリカ
充填エポキシ樹脂絶縁物を使用した場合よりも絶縁ガス
部分の分担電圧が上昇する。このため、アルミナ充填エ
ポキシ樹脂絶縁物を使用したガス絶縁機器は、シリカ充
填エポキシ樹脂絶縁物を使用した場合に比べて絶縁設計
上不利である。これに対し、注型樹脂の低誘電率化の方
法としては特開平03−200858号公報、特開昭5
8−18217号公報、特開昭57−203511号公
報、特開昭57−203510号公報、特開昭57−2
03509号公報、特開昭52−135400号公報記
載のアルミナと弗化物との混合物より構成された無機質
充填剤を用いる等の方法が知られている。
【0008】しかしながら、これらの従来方法において
は、充填剤として含まれる弗化物自体の機械的強度が小
さいことや弗化物とエポキシ樹脂との接着力が小さいこ
とが原因となり、硬化樹脂の機械的特性が低下し、絶縁
スペーサ等の大型高電圧部品の構造材料として十分な機
械的強度が得られない等の問題があり、樹脂組成面での
開発の余地が残されている。
は、充填剤として含まれる弗化物自体の機械的強度が小
さいことや弗化物とエポキシ樹脂との接着力が小さいこ
とが原因となり、硬化樹脂の機械的特性が低下し、絶縁
スペーサ等の大型高電圧部品の構造材料として十分な機
械的強度が得られない等の問題があり、樹脂組成面での
開発の余地が残されている。
【0009】本発明は、上記従来技術の問題を解決する
ためになされたもので、その目的は、誘電率が低く、機
械的強度に優れ、作業性が良好である注型樹脂組成物を
提供することにある。
ためになされたもので、その目的は、誘電率が低く、機
械的強度に優れ、作業性が良好である注型樹脂組成物を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の請求項1の注型用樹脂組成物は、少なくと
も1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化
合物と、エポキシ樹脂用硬化剤と、酸化アルミニゥム,
窒化ホウ素等の耐六弗化硫黄分解ガス性を有する少なく
とも1種類以上の無機質充填剤とからなり、前記耐六弗
化硫黄分解ガス性を有する無機質充填剤の平均粒径が,
他の無機質充填剤の平均粒径の1/5以下で,かつ無機
質充填剤全体に対して容量比で10%以上配合されてい
ることを特徴とする。また、本発明の注型樹脂組成物と
しては具体的に、以下に示すような各種成分を使用する
ことが可能である。
め、本発明の請求項1の注型用樹脂組成物は、少なくと
も1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化
合物と、エポキシ樹脂用硬化剤と、酸化アルミニゥム,
窒化ホウ素等の耐六弗化硫黄分解ガス性を有する少なく
とも1種類以上の無機質充填剤とからなり、前記耐六弗
化硫黄分解ガス性を有する無機質充填剤の平均粒径が,
他の無機質充填剤の平均粒径の1/5以下で,かつ無機
質充填剤全体に対して容量比で10%以上配合されてい
ることを特徴とする。また、本発明の注型樹脂組成物と
しては具体的に、以下に示すような各種成分を使用する
ことが可能である。
【0011】まず、本発明の絶縁スペーサに使用するエ
ポキシ化合物とは、炭素原子2個と酸素原子1個からな
る三員環を1分子中に2個以上持った硬化しうる化合物
であれば、適宜使用可能であり、その種類は限定される
ものではないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ
樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキ
シ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラ
ック型エポキシ樹脂、トリグリシジルイゾシアネートや
ヒダントイン型エポキシ樹脂のような複素環式樹脂など
が挙げられ、これらの化合物は、単独または2種以上の
混合物として使用される。次に、エポキシ樹脂用硬化剤
としては、エポキシ樹脂と化学反応してエポキシ樹脂を
硬化させるものであり、例えば、アミン類、酸無水物、
ポリアミド、イミダゾール、フェノール類を単独もしく
は2種類以上の混合物の形で使用することができる。特
に、ポットライフが長く,硬化時の発熱が小さい無水フ
タル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒド
ロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテ
トラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、メチル無水
ナジック酸などの酸無水物類が望ましい。
ポキシ化合物とは、炭素原子2個と酸素原子1個からな
る三員環を1分子中に2個以上持った硬化しうる化合物
であれば、適宜使用可能であり、その種類は限定される
ものではないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ
樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキ
シ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラ
ック型エポキシ樹脂、トリグリシジルイゾシアネートや
ヒダントイン型エポキシ樹脂のような複素環式樹脂など
が挙げられ、これらの化合物は、単独または2種以上の
混合物として使用される。次に、エポキシ樹脂用硬化剤
としては、エポキシ樹脂と化学反応してエポキシ樹脂を
硬化させるものであり、例えば、アミン類、酸無水物、
ポリアミド、イミダゾール、フェノール類を単独もしく
は2種類以上の混合物の形で使用することができる。特
に、ポットライフが長く,硬化時の発熱が小さい無水フ
タル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒド
ロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテ
トラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、メチル無水
ナジック酸などの酸無水物類が望ましい。
【0012】次に、耐六弗化硫黄分解ガス性を有する無
機質充填剤としては、高温安定性、絶縁特性、充填剤配
合樹脂硬化物の機械的特性が優れた無機質充填剤であれ
ば適宜使用可能であり、その種類は限定されるものでは
ないが、そのなかでも酸化アルミニウム、窒化ホウ素
(BN)、炭窒化ホウ素(BCN)が優れており、これ
らの無機質充填剤は単独あるいは2種類以上の混合物と
して使用される。これらの耐六弗化硫黄分解ガス性を有
する無機質充填剤の平均粒径を他の無機質充填剤の平均
粒径の1/5以下とし、かつ耐六弗化硫黄分解ガス性を
有する無機質充填剤を他の無機質充填剤に対して容量比
で10%以上配合することにより、絶縁部材を構成する
樹脂表面近傍の耐六弗化硫黄分解ガス性の無機質充填剤
濃度を樹脂のバルク部分に比べて著しく高くすることが
できる。これにより、シリカのような耐六弗化硫黄分解
ガス性の劣る無機質充填剤成分が存在する場合でも、絶
縁部材の樹脂表面が六弗化硫黄分解ガスに暴露された後
の絶縁抵抗の低下を防止できることが明らかになった。
この結果、無機質充填剤中に含まれる耐六弗化硫黄分解
ガス性を有する無機質充填剤以外の無機充填剤成分は、
耐六弗化硫黄分解ガス性が良好である必要はないため、
シリカのような低誘電率の充填剤を任意に選択すること
ができる。
機質充填剤としては、高温安定性、絶縁特性、充填剤配
合樹脂硬化物の機械的特性が優れた無機質充填剤であれ
ば適宜使用可能であり、その種類は限定されるものでは
ないが、そのなかでも酸化アルミニウム、窒化ホウ素
(BN)、炭窒化ホウ素(BCN)が優れており、これ
らの無機質充填剤は単独あるいは2種類以上の混合物と
して使用される。これらの耐六弗化硫黄分解ガス性を有
する無機質充填剤の平均粒径を他の無機質充填剤の平均
粒径の1/5以下とし、かつ耐六弗化硫黄分解ガス性を
有する無機質充填剤を他の無機質充填剤に対して容量比
で10%以上配合することにより、絶縁部材を構成する
樹脂表面近傍の耐六弗化硫黄分解ガス性の無機質充填剤
濃度を樹脂のバルク部分に比べて著しく高くすることが
できる。これにより、シリカのような耐六弗化硫黄分解
ガス性の劣る無機質充填剤成分が存在する場合でも、絶
縁部材の樹脂表面が六弗化硫黄分解ガスに暴露された後
の絶縁抵抗の低下を防止できることが明らかになった。
この結果、無機質充填剤中に含まれる耐六弗化硫黄分解
ガス性を有する無機質充填剤以外の無機充填剤成分は、
耐六弗化硫黄分解ガス性が良好である必要はないため、
シリカのような低誘電率の充填剤を任意に選択すること
ができる。
【0013】低誘電率の充填剤としては絶縁部材の機械
的強度の点から結晶シリカ、溶融シリカ、石英が優れて
おり、その他の充填剤としては弗化アルミニウム、弗化
マグネシウム、弗化カルシウム、タルク等を使用するこ
とができ、これらの無機質充填剤は単独あるいは2種類
以上の混合物として使用される。なお、本発明の注型用
樹脂組成物においては必要に応じて各種の添加剤を混合
することも可能である。例えば、難燃剤、酸化防止剤、
硬化促進剤、顔料、染料、界面改質剤などの添加物を配
合することが可能である。
的強度の点から結晶シリカ、溶融シリカ、石英が優れて
おり、その他の充填剤としては弗化アルミニウム、弗化
マグネシウム、弗化カルシウム、タルク等を使用するこ
とができ、これらの無機質充填剤は単独あるいは2種類
以上の混合物として使用される。なお、本発明の注型用
樹脂組成物においては必要に応じて各種の添加剤を混合
することも可能である。例えば、難燃剤、酸化防止剤、
硬化促進剤、顔料、染料、界面改質剤などの添加物を配
合することが可能である。
【0014】以上のような組成を有する本発明の注型樹
脂組成物を使用すれば、例えば通常の絶縁スペーサの製
造法で、耐六弗化硫黄分解ガスを有し、かつ低誘電率で
機械的強度に優れた絶縁スペーサを容易に製造すること
が可能である。すなわち、前記エポキシ化合物と前記無
機質充填剤とを、万能混合機を使用して通常の方法で十
分に真空混合した後、前記エポキシ樹脂用硬化剤と混合
し、金型に注入するような、通常の絶縁スペーサ注型用
エポキシ樹脂を使用した場合と同様の製造方法によって
容易に製造することができる。
脂組成物を使用すれば、例えば通常の絶縁スペーサの製
造法で、耐六弗化硫黄分解ガスを有し、かつ低誘電率で
機械的強度に優れた絶縁スペーサを容易に製造すること
が可能である。すなわち、前記エポキシ化合物と前記無
機質充填剤とを、万能混合機を使用して通常の方法で十
分に真空混合した後、前記エポキシ樹脂用硬化剤と混合
し、金型に注入するような、通常の絶縁スペーサ注型用
エポキシ樹脂を使用した場合と同様の製造方法によって
容易に製造することができる。
【0015】
【作用】本発明の注型用樹脂組成物によると、従来の注
型樹脂として用いられているアルミナ充填エポキシ樹脂
に比べて、耐熱性、機械的特性は同等またはそれ以上
で,かつ耐六弗化硫黄分解ガス性、低誘電率であり、さ
らに、無機質充填剤中に含まれる耐六弗化硫黄分解ガス
性を有する無機質充填剤以外の無機充填剤成分は、耐六
弗化硫黄分解ガス性が良好である必要はないため、シリ
カのような低誘電率の充填剤を任意に選択することがで
きる。したがって、本発明の注型用樹脂組成物を用いた
ガス絶縁機器の絶縁設計は容易になり、機器の小型化と
信頼性の向上を図ることができる。
型樹脂として用いられているアルミナ充填エポキシ樹脂
に比べて、耐熱性、機械的特性は同等またはそれ以上
で,かつ耐六弗化硫黄分解ガス性、低誘電率であり、さ
らに、無機質充填剤中に含まれる耐六弗化硫黄分解ガス
性を有する無機質充填剤以外の無機充填剤成分は、耐六
弗化硫黄分解ガス性が良好である必要はないため、シリ
カのような低誘電率の充填剤を任意に選択することがで
きる。したがって、本発明の注型用樹脂組成物を用いた
ガス絶縁機器の絶縁設計は容易になり、機器の小型化と
信頼性の向上を図ることができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の注型用樹脂組成物を使用して
なる絶縁スペーサの実施例及び従来技術による比較例を
示し、これらの実施例及び比較例の絶縁スペーサの対照
評価により、本発明の作用効果についてさらに詳細に説
明する。なお、全ての実施例及び比較例において試作し
た絶縁スペーサは、図1に示すようなコーン形状で、中
心部にアルミニウム製の通電部材4aを配してなる同一
構成を有し、直径650mm、本体樹脂部分の最大厚さ
90mmの寸法を有する絶縁スペーサ4(モデルスペー
サ)とした。
なる絶縁スペーサの実施例及び従来技術による比較例を
示し、これらの実施例及び比較例の絶縁スペーサの対照
評価により、本発明の作用効果についてさらに詳細に説
明する。なお、全ての実施例及び比較例において試作し
た絶縁スペーサは、図1に示すようなコーン形状で、中
心部にアルミニウム製の通電部材4aを配してなる同一
構成を有し、直径650mm、本体樹脂部分の最大厚さ
90mmの寸法を有する絶縁スペーサ4(モデルスペー
サ)とした。
【0017】(実施例1)エポキシ化合物としてビスフ
ェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(チバ
ガイギー社製、商品名CT−200)90重量部、脂環
式エポキシ樹脂(チバガイキー社製、商品名CY−17
9)10重量部、無機質充填剤としてシリカ(龍森社
製、商品名クリスタライトA1:平均粒径12μmの結
晶性石英)とアルミナ(太平洋ランダム社製、LA40
00:平均粒径2μmの電融アルミナ)をそれぞれ樹脂
組成物全体の33容量%と9容量%、を万能混合機を用
いて120℃で3時間以上よく混合し、脱泡した後、エ
ポキシ樹脂用硬化剤として無水フタル酸(チバガイキー
社製、商品名HT−901)を33重量部添加し、さら
に120℃で10分間真空混合して樹脂組成物を得た。
さらに、この樹脂組成物を120℃に予熱した金型中に
注型し、一次硬化120℃×15時間、二次硬化145
℃×15時間の条件で硬化させ、モデルスペーサを作製
した。
ェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(チバ
ガイギー社製、商品名CT−200)90重量部、脂環
式エポキシ樹脂(チバガイキー社製、商品名CY−17
9)10重量部、無機質充填剤としてシリカ(龍森社
製、商品名クリスタライトA1:平均粒径12μmの結
晶性石英)とアルミナ(太平洋ランダム社製、LA40
00:平均粒径2μmの電融アルミナ)をそれぞれ樹脂
組成物全体の33容量%と9容量%、を万能混合機を用
いて120℃で3時間以上よく混合し、脱泡した後、エ
ポキシ樹脂用硬化剤として無水フタル酸(チバガイキー
社製、商品名HT−901)を33重量部添加し、さら
に120℃で10分間真空混合して樹脂組成物を得た。
さらに、この樹脂組成物を120℃に予熱した金型中に
注型し、一次硬化120℃×15時間、二次硬化145
℃×15時間の条件で硬化させ、モデルスペーサを作製
した。
【0018】(実施例2)実施例1の無機質充填剤の中
でアルミナの代りに窒化ホウ素(信越化学社製、商品名
KBN(h)−S、平均粒径1μm)をアルミナと同量
添加し、その他の樹脂組成及び硬化条件は、実施例1と
全く同様に行い、モデルスペーサを作製した。
でアルミナの代りに窒化ホウ素(信越化学社製、商品名
KBN(h)−S、平均粒径1μm)をアルミナと同量
添加し、その他の樹脂組成及び硬化条件は、実施例1と
全く同様に行い、モデルスペーサを作製した。
【0019】一方、上記のような本発明に従う実施例に
対し、大型の注型絶縁物用樹脂として一般に使用されて
いる注型樹脂用組成物、及び低誘電率樹脂として公知の
注型用樹脂組成物を、従来技術による比較例として採用
し、以下の各条件でモデルスペーサを作製した。
対し、大型の注型絶縁物用樹脂として一般に使用されて
いる注型樹脂用組成物、及び低誘電率樹脂として公知の
注型用樹脂組成物を、従来技術による比較例として採用
し、以下の各条件でモデルスペーサを作製した。
【0020】(比較例1)エポキシ化合物としてビスフ
ェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(チバ
ガイギー社製、商品名CT−200)90重量部、脂環
式エポキシ樹脂(チバガイキー社製、商品名CY−17
9)10重量部、無機質充填剤としてシリカ(龍森社
製、商品名クリスタライトA1:平均粒径12μmの結
晶性石英)を樹脂組成物全体の42容量%、万能混合機
を用いて120℃で3時間以上よく混合し、脱泡した
後、エポキシ樹脂用硬化剤として無水フタル酸(チバガ
イキー社製、商品名HT−901)を33重量部添加
し、さらに120℃で10分間真空混合して樹脂組成物
を得た。さらに、この樹脂組成物を120℃に予熱した
金型中に注型し、一次硬化120℃×15時間、二次硬
化145℃×15時間の条件で硬化させ、モデルスペー
サを作製した。
ェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(チバ
ガイギー社製、商品名CT−200)90重量部、脂環
式エポキシ樹脂(チバガイキー社製、商品名CY−17
9)10重量部、無機質充填剤としてシリカ(龍森社
製、商品名クリスタライトA1:平均粒径12μmの結
晶性石英)を樹脂組成物全体の42容量%、万能混合機
を用いて120℃で3時間以上よく混合し、脱泡した
後、エポキシ樹脂用硬化剤として無水フタル酸(チバガ
イキー社製、商品名HT−901)を33重量部添加
し、さらに120℃で10分間真空混合して樹脂組成物
を得た。さらに、この樹脂組成物を120℃に予熱した
金型中に注型し、一次硬化120℃×15時間、二次硬
化145℃×15時間の条件で硬化させ、モデルスペー
サを作製した。
【0021】(比較例2)エポキシ化合物としてビスフ
ェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(チバ
ガイギー社製、商品名CT−200)90重量部、脂環
式エポキシ樹脂(チバガイキー社製、商品名CY−17
9)10重量部、無機質充填剤としてアルミナ(太平洋
ランダム社製、LA1200:平均粒径12μmの電融
アルミナ)を樹脂組成物全体の42容量%を万能混合機
を用いて120℃で3時間以上よく混合、脱泡した後、
エポキシ樹脂用硬化剤として無水フタル酸(チバガイキ
ー社製、商品名HT−901)を33重量部添加し、さ
らに120℃で10分間真空混合して樹脂組成物を得
た。さらに、この樹脂組成物を120℃に予熱した金型
中に注型し、一次硬化120℃×15時間、二次硬化1
45℃×15時間の条件で硬化させ、モデルスペーサを
作製した。
ェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(チバ
ガイギー社製、商品名CT−200)90重量部、脂環
式エポキシ樹脂(チバガイキー社製、商品名CY−17
9)10重量部、無機質充填剤としてアルミナ(太平洋
ランダム社製、LA1200:平均粒径12μmの電融
アルミナ)を樹脂組成物全体の42容量%を万能混合機
を用いて120℃で3時間以上よく混合、脱泡した後、
エポキシ樹脂用硬化剤として無水フタル酸(チバガイキ
ー社製、商品名HT−901)を33重量部添加し、さ
らに120℃で10分間真空混合して樹脂組成物を得
た。さらに、この樹脂組成物を120℃に予熱した金型
中に注型し、一次硬化120℃×15時間、二次硬化1
45℃×15時間の条件で硬化させ、モデルスペーサを
作製した。
【0022】(比較例3)エポキシ化合物としてビスフ
ェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(チバ
ガイギー社製、商品名CT−200)90重量部、脂環
式エポキシ樹脂(チバガイキー社製、商品名CY−17
9)10重量部、無機質充填剤としてアルミナ(太平洋
ランダム社製、LA1200:平均粒径12μmの電融
アルミナ)と弗化アルミニウム(平均粒径2μm)とを
それぞれ樹脂組成物全体の22容量%と20容量%、を
万能混合機を用いて120℃で3時間以上よく混合し、
脱泡した後、エポキシ樹脂用硬化剤として無水フタル酸
(チバガイキー社製、商品名HT−901)を33重量
部添加し、さらに120℃で10分間真空混合して樹脂
組成物を得た。さらに、この樹脂組成物を120℃に予
熱した金型中に注型し、一次硬化120℃×15時間、
二次硬化145℃×15時間の条件で硬化させ、モデル
スペーサを作製した。
ェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(チバ
ガイギー社製、商品名CT−200)90重量部、脂環
式エポキシ樹脂(チバガイキー社製、商品名CY−17
9)10重量部、無機質充填剤としてアルミナ(太平洋
ランダム社製、LA1200:平均粒径12μmの電融
アルミナ)と弗化アルミニウム(平均粒径2μm)とを
それぞれ樹脂組成物全体の22容量%と20容量%、を
万能混合機を用いて120℃で3時間以上よく混合し、
脱泡した後、エポキシ樹脂用硬化剤として無水フタル酸
(チバガイキー社製、商品名HT−901)を33重量
部添加し、さらに120℃で10分間真空混合して樹脂
組成物を得た。さらに、この樹脂組成物を120℃に予
熱した金型中に注型し、一次硬化120℃×15時間、
二次硬化145℃×15時間の条件で硬化させ、モデル
スペーサを作製した。
【0023】次に、前記実施例1〜2及び比較例1〜3
にて作製したモデルスペーサの評価結果を表1に示す。
この表1に示す各種特性のうち、破壊応力は、所定の試
験装置に組み込んだモデルスペーサに段階的に内圧を負
荷し、歪ゲージにより測定した負荷圧力に伴う表面歪の
最大値から算出した。ガラス転移温度Tgは、モデルス
ペーサから切り出した試料を示差走査熱量計(DSC)
により測定し、その比熱変化から求めた。また、耐熱衝
撃性としては、使用した各樹脂のM20平ワッシャー法
による耐クラック指数を記した。比誘電率は使用した各
樹脂硬化物を相互誘導ブリッジ法により測定(JIS
K6911)して求めた。
にて作製したモデルスペーサの評価結果を表1に示す。
この表1に示す各種特性のうち、破壊応力は、所定の試
験装置に組み込んだモデルスペーサに段階的に内圧を負
荷し、歪ゲージにより測定した負荷圧力に伴う表面歪の
最大値から算出した。ガラス転移温度Tgは、モデルス
ペーサから切り出した試料を示差走査熱量計(DSC)
により測定し、その比熱変化から求めた。また、耐熱衝
撃性としては、使用した各樹脂のM20平ワッシャー法
による耐クラック指数を記した。比誘電率は使用した各
樹脂硬化物を相互誘導ブリッジ法により測定(JIS
K6911)して求めた。
【0024】また、硬化樹脂の耐六弗化硫黄分解ガス性
を評価するため、弗化水素水溶液(濃度25%)を用い
て一定の濃度に平衡させた弗化水素雰囲気の容器中にモ
デルスペーサを室温で24時間暴露後、スペーサ樹脂表
面の絶縁抵抗を測定した。六弗化硫黄の分解ガスから弗
化水素が生成するメカニズムは以下の通りであり、前記
の弗化水素雰囲気の試験は、硬化樹脂の耐六弗化硫黄分
解ガスの加速試験として合理的な方法である。
を評価するため、弗化水素水溶液(濃度25%)を用い
て一定の濃度に平衡させた弗化水素雰囲気の容器中にモ
デルスペーサを室温で24時間暴露後、スペーサ樹脂表
面の絶縁抵抗を測定した。六弗化硫黄の分解ガスから弗
化水素が生成するメカニズムは以下の通りであり、前記
の弗化水素雰囲気の試験は、硬化樹脂の耐六弗化硫黄分
解ガスの加速試験として合理的な方法である。
【0025】(分解ガス生成機構) アークエネルギー SF6 → SF4 +H2 O→SOF2 +2HF → SOF2 +H2 O→SO2 +2HF
【0026】
【表1】
【0027】上記の表1から明らかなように、本発明の
実施例においては、弗化水素雰囲気暴露後のスペーサ表
面の絶縁抵抗の低下が少なく、かつ従来技術による比較
例に比べて、スペーサ破壊応力、耐クラック性について
高いレベルにあり、製品段階において要求される諸特性
を満足した低誘電率の絶縁スペーサが得られることが分
かる。
実施例においては、弗化水素雰囲気暴露後のスペーサ表
面の絶縁抵抗の低下が少なく、かつ従来技術による比較
例に比べて、スペーサ破壊応力、耐クラック性について
高いレベルにあり、製品段階において要求される諸特性
を満足した低誘電率の絶縁スペーサが得られることが分
かる。
【0028】一方、注型樹脂組成物を低誘電率化し、か
つスペーサとしての機械的特性を満足するための充填剤
として一般にシリカが用いられる。水分と六弗化硫黄分
解ガスとの反応により生成する弗化水素とシリカ(シリ
カの主成分+SiO2 )とは次のように反応し、潮解性
のH2 SiF6 が生成する。樹脂表面に生成したH2S
iF6 は潮解性のため電導パスを形成し、これにより樹
脂表面の絶縁抵抗が低下する。その絶縁抵抗低下の機構
は次のとおりである。
つスペーサとしての機械的特性を満足するための充填剤
として一般にシリカが用いられる。水分と六弗化硫黄分
解ガスとの反応により生成する弗化水素とシリカ(シリ
カの主成分+SiO2 )とは次のように反応し、潮解性
のH2 SiF6 が生成する。樹脂表面に生成したH2S
iF6 は潮解性のため電導パスを形成し、これにより樹
脂表面の絶縁抵抗が低下する。その絶縁抵抗低下の機構
は次のとおりである。
【0029】(絶縁抵抗低下の機構) SiO2 +4HF→SiF4 +2H2 O SiF4 +2HF→H2 SiF6
【0030】本発明の実施例1のスペーサについて、耐
六弗化硫黄分解ガス性を有する無機質充填剤成分として
用いたアルミナの濃度分布を、波長分散型のX線マイク
ロアナライザーを用いてスペーサ樹脂表面から深さ方向
へ分析した結果を図2に示した。図2から表面近傍(数
μmの領域)のアルミナの濃度が大きくなることが分か
る。実施例2の場合も、耐六弗化硫黄分解ガス性を有す
る無機質充填剤成分として用いた窒化ホウ素の濃度が表
面近傍(数μmの領域)で大きくなることが同様の分析
から明らかになった。
六弗化硫黄分解ガス性を有する無機質充填剤成分として
用いたアルミナの濃度分布を、波長分散型のX線マイク
ロアナライザーを用いてスペーサ樹脂表面から深さ方向
へ分析した結果を図2に示した。図2から表面近傍(数
μmの領域)のアルミナの濃度が大きくなることが分か
る。実施例2の場合も、耐六弗化硫黄分解ガス性を有す
る無機質充填剤成分として用いた窒化ホウ素の濃度が表
面近傍(数μmの領域)で大きくなることが同様の分析
から明らかになった。
【0031】このような樹脂表面近傍への微粒子充填剤
成分の偏析は、平均粒径の大きい例えばシリカのような
無機質充填剤粒子の間隙を埋めるような形で微粒子が注
型硬化時に金型内表面に集まるために生じる。この結
果、スペーサの樹脂表面が六弗化硫黄ガスに暴露され、
前記の絶縁抵抗を低下させる原因となるH2 SiF6 等
の成分が生成しても、表面近傍に偏析した耐六弗化硫黄
分解ガス性を有する無機質充填剤により導電パスが遮断
されることにより絶縁抵抗の低下が防止される。導電パ
スを遮断するために、耐六弗化硫黄分解ガス性を有する
無機質充填剤としてアルミナを用いる場合、樹脂組成物
の誘電率を低減するためには誘電率の大きいアルミナの
添加量は少ないほど好ましい。
成分の偏析は、平均粒径の大きい例えばシリカのような
無機質充填剤粒子の間隙を埋めるような形で微粒子が注
型硬化時に金型内表面に集まるために生じる。この結
果、スペーサの樹脂表面が六弗化硫黄ガスに暴露され、
前記の絶縁抵抗を低下させる原因となるH2 SiF6 等
の成分が生成しても、表面近傍に偏析した耐六弗化硫黄
分解ガス性を有する無機質充填剤により導電パスが遮断
されることにより絶縁抵抗の低下が防止される。導電パ
スを遮断するために、耐六弗化硫黄分解ガス性を有する
無機質充填剤としてアルミナを用いる場合、樹脂組成物
の誘電率を低減するためには誘電率の大きいアルミナの
添加量は少ないほど好ましい。
【0032】本発明による実施例1および実施例2に記
載の樹脂組成物中、無機質充填剤の1成分として含まれ
る耐六弗化硫黄分解ガス性の無機質充填剤(それぞれア
ルミナ、窒化ホウ素)の配合比を変化させた試料を、弗
酸蒸気中で24時間暴露後測定した表面抵抗値を図3に
示した。この図3から充填剤中のアルミナ及び窒化ホウ
素の配合比が10%以上の場合、表面抵抗値の低下が小
さいことが分かる。このため、耐六弗化硫黄分解ガス性
の無機質充填剤の配合比は、無機質充填剤全体の10%
以上であることが好ましいことが分かる。
載の樹脂組成物中、無機質充填剤の1成分として含まれ
る耐六弗化硫黄分解ガス性の無機質充填剤(それぞれア
ルミナ、窒化ホウ素)の配合比を変化させた試料を、弗
酸蒸気中で24時間暴露後測定した表面抵抗値を図3に
示した。この図3から充填剤中のアルミナ及び窒化ホウ
素の配合比が10%以上の場合、表面抵抗値の低下が小
さいことが分かる。このため、耐六弗化硫黄分解ガス性
の無機質充填剤の配合比は、無機質充填剤全体の10%
以上であることが好ましいことが分かる。
【0033】また、導電パスを遮断する効果は耐六弗化
硫黄分解ガス性を有する無機質充填剤の平均粒径が小さ
い程大きいが、平均粒径が0.5μm以下のものを使用
すると注型時の樹脂粘度が上昇し、作業性が著しく低下
する。更に、平均粒径が10μm以上のシリカ等の充填
剤と複合して用いる場合、耐六弗化硫黄分解ガス性を有
する無機質充填剤の平均粒径が2μm以下、すなわち平
均粒径がシリカの1/5以下のものを用いることで、図
2のような耐六弗化硫黄分解ガス性を有する無機質充填
剤の樹脂表面への偏析が効率良く生じ、耐六弗化硫黄分
解ガス暴露後の絶縁抵抗の防止効果が大きくなることが
分かった。
硫黄分解ガス性を有する無機質充填剤の平均粒径が小さ
い程大きいが、平均粒径が0.5μm以下のものを使用
すると注型時の樹脂粘度が上昇し、作業性が著しく低下
する。更に、平均粒径が10μm以上のシリカ等の充填
剤と複合して用いる場合、耐六弗化硫黄分解ガス性を有
する無機質充填剤の平均粒径が2μm以下、すなわち平
均粒径がシリカの1/5以下のものを用いることで、図
2のような耐六弗化硫黄分解ガス性を有する無機質充填
剤の樹脂表面への偏析が効率良く生じ、耐六弗化硫黄分
解ガス暴露後の絶縁抵抗の防止効果が大きくなることが
分かった。
【0034】なお、本発明による注型用樹脂組成物は、
前記実施例に限定されるものではなく、課題を解決する
ための手段の欄に記載した通り、多様な材料を選択的に
使用可能であり、その場合にも前記実施例と同様に優れ
た作用効果が得られるものである。
前記実施例に限定されるものではなく、課題を解決する
ための手段の欄に記載した通り、多様な材料を選択的に
使用可能であり、その場合にも前記実施例と同様に優れ
た作用効果が得られるものである。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の注型用樹
脂組成物は、従来のガス絶縁機器用の注型樹脂として用
いられているアルミナ充填エポキシ樹脂に比べて、耐熱
性、機械的特性は同等またはそれ以上で、かつ耐六弗化
硫黄分解ガス性、低誘電率であるので、ガス絶縁機器の
絶縁設計が容易になり、機器の小型化と信頼性の向上を
図ることができるため、その工業的価値は極めて大き
い。
脂組成物は、従来のガス絶縁機器用の注型樹脂として用
いられているアルミナ充填エポキシ樹脂に比べて、耐熱
性、機械的特性は同等またはそれ以上で、かつ耐六弗化
硫黄分解ガス性、低誘電率であるので、ガス絶縁機器の
絶縁設計が容易になり、機器の小型化と信頼性の向上を
図ることができるため、その工業的価値は極めて大き
い。
【図1】本発明の注型用樹脂組成物からなる絶縁スペー
サが適用される従来のコーン形状の絶縁スペーサの縦断
面図。
サが適用される従来のコーン形状の絶縁スペーサの縦断
面図。
【図2】本発明の実施例1の絶縁スペーサにおけるスペ
ーサ樹脂表面から深さ方向へ分析したアルミナ濃度曲線
図。
ーサ樹脂表面から深さ方向へ分析したアルミナ濃度曲線
図。
【図3】本発明の実施例1および実施例2に記載の樹脂
組成物中、無機質充填剤の1成分として含まれる耐六弗
化硫黄分解ガス性を有する無機質充填剤(それぞれアル
ミナ、窒化ホウ素)の配合分率を変化された試料を、弗
化水素雰囲気中で24時間暴露後測定した樹脂硬化物の
表面抵抗値を示した図。
組成物中、無機質充填剤の1成分として含まれる耐六弗
化硫黄分解ガス性を有する無機質充填剤(それぞれアル
ミナ、窒化ホウ素)の配合分率を変化された試料を、弗
化水素雰囲気中で24時間暴露後測定した樹脂硬化物の
表面抵抗値を示した図。
1a,1b…高圧導体、2…絶縁ガス、3…接地金属容
器、4…絶縁スペーサ、4a…通電部材、5…連結フラ
ンジ、6…金属フランジ、7…取り付けボルト、8…導
電性リング、9…Oリング。
器、4…絶縁スペーサ、4a…通電部材、5…連結フラ
ンジ、6…金属フランジ、7…取り付けボルト、8…導
電性リング、9…Oリング。
Claims (1)
- 【請求項1】 少なくとも1分子中に2つ以上のエポキ
シ基を有するエポキシ化合物と、エポキシ樹脂用硬化剤
と、酸化アルミニゥム,窒化ホウ素等の耐六弗化硫黄分
解ガス性を有する少なくとも1種類以上の無機質充填剤
とからなり、前記耐六弗化硫黄分解ガス性を有する無機
質充填剤の平均粒径が,他の無機質充填剤の平均粒径の
1/5以下で,かつ無機質充填剤全体に対して容量比で
10%以上配合されていることを特徴とする注型用樹脂
組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17660594A JPH0845351A (ja) | 1994-07-28 | 1994-07-28 | 注型樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17660594A JPH0845351A (ja) | 1994-07-28 | 1994-07-28 | 注型樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0845351A true JPH0845351A (ja) | 1996-02-16 |
Family
ID=16016497
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17660594A Pending JPH0845351A (ja) | 1994-07-28 | 1994-07-28 | 注型樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0845351A (ja) |
-
1994
- 1994-07-28 JP JP17660594A patent/JPH0845351A/ja active Pending
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