JPH083720Y2 - ワンウェイクラッチ外輪等の固定構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、トルクコンバータ等におけるハウジングと
ワンウェイクラッチとの固定構造に関するものである。

〔従来の技術〕

第２図はトルクコンバータの１例を示す断面図である
が、図中１は図示しないエンジンの回転をトルクコンバ
ータ２に伝えるプレート、３はトルクコンバータ２のポ
ンプインペラー、４はタービンランナー、５はステー
タ、６は出力軸、７は固定軸、８は動力取出歯車、９は
ワンウェイクラッチ11の外輪、10は同じく内輪、12、13
はリテーナである。

ステータ５は一般にA1合金のダイカスト鋳造またはプ
ラスチック射出成形によって造られ、外輪９は一般に機
械構造用合金鋼または機械構造用炭素鋼から成ってい
る。

第３図は従来技術の第１例を示すものであって、ステ
ータ５の内径面を凸キーとして（この場合はブローチ等
の機械加工）外輪９の外径面を貫通した凹状のキー溝9a
として（この場合は機械加工又は鋳造成形）嵌合するも
のである。この方法によると、ステータ５の内径と外輪
９の外径の嵌合精度のため加工費が高くなる上に、設計
的に外輪９の肉厚が大きくなり、全体が大径のものとな
ってコンパクトな設計ができないという欠点がある。

第４図は従来技術の第２例を示すものであって、ステ
ータ５の内径を丸形状とし、外輪９の外径面にセレーシ
ョン9bを形成させて、外輪９をステータ５に対して切込
み圧入したものである。このタイプの場合、前記前１例
に比して外径を押えた設計ができるが、ステータ５側の
肉厚をあまり薄くできない（外輪の切込圧入に際してス
テータ内部に引張り応力が生じ割れる危険性がある。）
し、また外輪外径のローレット加工費や、圧入加工費が
高くなる等の欠点があった。

特公昭63−18050号公報記載のトルクコンバータのワ
ンウェイクラッチ構造は上記従来技術の欠点を回避する
ため開発されたもので、外輪の一側縁に突起または溝を
設け、この外輪をステータ鋳造時にステータに一体的に
鋳込むことを特徴とするものである。

〔考案が解決しようとする課題〕

前述の特公昭63−18050号公報記載の発明において
は、従来技術の第１例、第２例の欠点は回避されるが、
その代り外輪の一側縁に突起または溝を設けるために外
輪の幅が大きくなるという欠点を生ずる。

本考案は、従来技術の第１例、第２例の欠点を回避す
ると同時に前記特公昭63−18050号発明の欠点をも解決
することを課題とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案のワンウェイクラッチ外輪等の固定構造は、上
記課題を解決するための手段として下記の構成を備えて
いる。

トルクコンバータ等におけるハウジングに対するワン
ウエイクラッチ外輪の固定構造において、前記ハウジン
グの内周部に嵌合する前記外輪の外径部には片側端面か
ら外輪の全幅には貫通しないように鍛造成形された溝が
設けられており、前記外側は前記溝を鍛造成形した際に
前記溝に対応して前記片側端面から横方向に突出された
突起が設けられており、且つ前記外輪は前記ハウジング
の鋳造又はプラスチック形成時に一体的に鋳込んだもの
であることを特徴とするワンウエイクラッチ外輪の固定
構造。

〔作用〕

本考案によると、外輪の外径部および片側端面が鋳造
または塑性加工の精度でよく、機械加工が省略されると
共に、外輪外径の凹部形がＲ形状のため外輪強度が強く
なる。またステータと外輪の完成品の組立て作業が省略
できる上に、外輪外径の凹部形状（Ｒ形状）が外径面の
途中までの成形であるから、切削する必要のある端面
（突起のある端面と反対側の面）は連続切削となり、バ
リ取り工程が不要となる。さらに、外輪外径と内径の偏
肉が小さくなるので、一体鋳造後のアンバランス量が小
さくなる。

〔実施例〕

以下、添付図面を参照して本考案の実施例を説明す
る。なお、本考案の実施例を説明するに当っては、トル
クコンバータに使用されるワンウェイクラッチの外輪に
ついて説明するが、他の用途に使用されるワンウェイク
ラッチにおいても使用可能であることは言うまでもな
い。

第１図は本考案実施の１例を示すもので、（Ａ）は外
輪の正面図、（Ｂ）は側断面図、（Ｃ）はＢ矢視一部拡
大斜視図、（Ｄ）はステータと一体成形された状態の側
断面図、（Ｅ）は完成状態の側断面図である。

外輪９は外径部と片側端面が、（Ｂ）に示すごとく鍛
造または塑性加工のままで、完成後他側の片面と内径部
のみが機械加工される。外輪９の外径部には８個の溝9c
が外輪の全幅には貫通しないようにして設けられ、（特
に塑性加工で成形する場合は（Ｃ）で示されるように溝
部9cの余肉が溝成形をした側面に全部流れるように凸出
している。）、この外輪９を（Ｄ）に示すようにステー
タ５のハウジングの鋳造またはプラスチック成形時に一
体に鋳込まれる。（Ｅ）はワンウェイクラッチ完成時の
図面である。

〔考案の効果〕

本考案による効果は次の通りである。

従来技術方法のものに比して一部機械加工、完成品の
組立加工が省略されるので安価となる。

従来技術方法のものに比して外径を小さく設計でき
る。

特公昭63−18050号公報のものに比して幅を小さく設
計できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施の１例を示す正面図その他の図面、
第２図はトルクコンバータの１例を示す断面図、第３、
４図は従来技術の２例を示す図面である。 図中の符号はそれぞれ下記部材を示す。 1:プレート、2:トルクコンバータ 3:ポンプインペラー、4:タービンランナー 5:ステータ、6:出力軸 7:固定軸、8:動力取出歯車 9:外輪、10:内輪 11:ワンウェイクラッチ 12、13:リテーナ 9a:キー溝、9b:セレーション 9c:溝

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭53−18477（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭53−18476（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭53−147384（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭63−18050（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】トルクコンバータ等におけるハウジングに
   対するワンウエイクラッチ外輪の固定構造において、前
   記ハウジングの内周部に嵌合する前記外輪の外径部には
   片側端面から外輪の全幅には貫通しないように鍛造成形
   された溝が設けられており、前記外輪は前記溝を鍛造成
   形した際に前記溝に対応して前記片側端面から横方向に
   突出された突起が設けられており、且つ前記外輪は前記
   ハウジングの鋳造又はプラスチック形成時に一体的に鋳
   込んだものであることを特徴とするワンウエイクラッチ
   外輪の固定構造。