JPH10285852A - 磁石発電機の回転子 - Google Patents

磁石発電機の回転子

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JPH10285852A
JPH10285852A JP9096573A JP9657397A JPH10285852A JP H10285852 A JPH10285852 A JP H10285852A JP 9096573 A JP9096573 A JP 9096573A JP 9657397 A JP9657397 A JP 9657397A JP H10285852 A JPH10285852 A JP H10285852A
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rotor
yoke
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magnet generator
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雅之 高瀬
Koji Fukuzawa
幸治 福沢
Keiji Arai
啓司 荒井
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    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02KDYNAMO-ELECTRIC MACHINES
    • H02K7/00Arrangements for handling mechanical energy structurally associated with dynamo-electric machines, e.g. structural association with mechanical driving motors or auxiliary dynamo-electric machines
    • H02K7/10Structural association with clutches, brakes, gears, pulleys or mechanical starters
    • H02K7/108Structural association with clutches, brakes, gears, pulleys or mechanical starters with friction clutches

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  • Power Engineering (AREA)
  • Connection Of Motors, Electrical Generators, Mechanical Devices, And The Like (AREA)
  • Permanent Field Magnets Of Synchronous Machinery (AREA)
  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワンウエイクラッチ付き磁石発電機の回転子
の製造コスト低減。 【解決手段】 磁石発電機の回転子21はヨーク22の
底壁にワンウエイクラッチ30のクラッチアウタ33を
連結されている。クラッチアウタはクラッチインナ31
を嵌合した取付孔35が開設された本体34、本体34
の取付孔35の内周に没設されたクラッチ室40、クラ
ッチ室に収納されたクラッチローラ43を備えている。
クラッチ室40のヨーク底壁側の閉塞壁40aは冷間鍛
造で没設され、本体34のヨーク底壁側端面には雌印籠
部36Aが閉塞壁40aを薄くするように穿設され、雌
印籠部36Aにはヨーク22に固定されたボス部材24
の雄印籠部36Bが結合されている。クラッチインナ3
1の先端は閉塞壁40a内周における閉塞壁40a端面
と雌印籠部36Aの底との間に配置されている。 【効果】 クラッチアウタを冷間鍛造できるため、製造
コストを低減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁石発電機の回転
子に関し、特に、ヨークとワンウエイクラッチのクラッ
チアウタとの結合構造の改良に係り、例えば、自動二輪
車等のエンジンに連動される磁石発電機に利用して有効
な回転子に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、二輪自動車等のエンジンのうち
スタータモータによって始動されるように構成されたエ
ンジンにおいては、始動後にスタータモータをエンジン
から切り離す必要があるため、エンジンのクランクシャ
フトとスタータモータとの間にワンウエイクラッチが介
設されている。他方、二輪自動車等のエンジンのクラン
クシャフトには磁石発電機が直結される場合が多い。そ
こで、スタータモータとエンジンとの連結および解除を
実行するワンウエイクラッチを磁石発電機に組み込む構
造が広く採用されている。そして、エンジンのクランク
シャフトに直結された磁石発電機にワンウエイクラッチ
を組み込む構造としては、クラッチアウタが磁石発電機
の回転子のボス部材に同心円に固定され、クラッチアウ
タに嵌合したクラッチインナにスタータモータに連携し
たスプロケット軸が固定される構造がある。
【0003】従来のこの種の磁石発電機の回転子として
は、例えば、実開昭62−177929号公報に開示さ
れているものがある。すなわち、このものにおいては、
外周にフランジを有するボス部材の一部が碗形状のヨー
クの底壁に開設された開口に挿入されているとともに、
ヨークの底壁にはクラッチインナとクラッチアウタとが
内外に同心円に配設されたワンウエイクラッチのクラッ
チアウタが同軸に連結されている。クラッチアウタはク
ラッチインナを嵌合したクラッチインナ取付孔が開設さ
れた本体と、この本体におけるクラッチインナ取付孔の
内周面に周方向に間隔を置かれて配され径方向外向きに
楔形状に没設された複数のクラッチ室と、各クラッチ室
に転動可能に収納されてクラッチインナとクラッチアウ
タの連結および解除を実行する複数のクラッチ部材とし
てのクラッチローラとを備えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記した磁石発電機の
回転子においては、クラッチアウタのクラッチ室におけ
る軸方向の両端面がそれぞれ開口されているため、クラ
ッチローラの摺動性を確保したりクラッチローラからの
力を受けたりするプレートをクラッチローラとボス部材
のフランジの端面との間に介設する必要があり、ワンウ
エイクラッチひいては磁石発電機の回転子の製造コスト
が増加するという問題点がある。プレートを省略してボ
ス部材のフランジの端面によってクラッチローラを受け
る場合には、ボス部材のフランジの端面を高精度に研削
加工する必要があるため、磁石発電機の回転子の製造コ
ストが増加してしまう。
【0005】また、前記したワンウエイクラッチにおい
ては、クラッチインナが、その先端に対向するボス部材
の端面との接触を避けるために、先端がクラッチアウタ
のクラッチ室の内周に位置することになって、クラッチ
インナの先端におけるエッジ部(面取り部)がクラッチ
ローラの外周面に干渉するため、クラッチローラに圧痕
や偏摩耗等が発生し、ワンウエイクラッチの性能が低下
する可能性がある。
【0006】本発明の目的は、ワンウエイクラッチの性
能を高めつつ、製造コストを低減することができる磁石
発電機の回転子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る磁石発電機
の回転子は、外周にフランジを有するボス部材の一部が
碗形状のヨークの底壁に開設された開口に挿入されてい
るとともに、前記ヨークの底壁にはクラッチインナとク
ラッチアウタとが内外に同心円に配設されたワンウエイ
クラッチの前記クラッチアウタが同軸に連結されてお
り、前記クラッチアウタは前記クラッチインナを嵌合し
たクラッチインナ取付孔が開設された本体と、この本体
における前記クラッチインナ取付孔の内周面に周方向に
間隔を置かれて配され径方向外向きに楔形状に没設され
た複数のクラッチ室と、前記各クラッチ室に転動可能に
収納されて前記クラッチインナと前記クラッチアウタの
連結および解除を実行する複数のクラッチ部材とを備え
ている磁石発電機の回転子において、前記各クラッチ室
は軸方向の一方の端面が閉塞され他方の端面が開口され
た凹所に形成されているとともに、前記各クラッチ室は
前記閉塞端面を構成する閉塞壁が前記ヨークの底壁側に
配置されて一体的に没設されており、前記クラッチアウ
タの本体における前記ヨークの底壁側端面には雌印籠部
が前記各クラッチ室の閉塞壁の一部を薄くするように没
設されているとともに、この雌印籠部には前記フランジ
の雄印籠部が印籠結合されていることを特徴とする。
【0008】前記クラッチインナの先端面は、前記クラ
ッチアウタの本体における前記閉塞壁の内周のうち前記
閉塞端面と前記雌印籠部の端面との間に配置されている
ことが望ましい。
【0009】前記した手段によれば、クラッチアウタが
クラッチ室を含めて一体成形されているため、クラッチ
アウタの製造コストが大幅に低減されることになる。し
かも、一体に成形されたクラッチ室の閉塞壁の端面によ
ってクラッチローラの端面が良好な摺動性をもって受け
られるため、ワンウエイクラッチの性能が向上される。
ここで、一体に成形するためにはクラッチ室の閉塞壁は
所定値以上の厚さが必要になるが、雌印籠部はクラッチ
アウタの本体における閉塞壁のクラッチ室と反対側の端
面に一体成形後に没設することができるため、一体成形
に際しては、クラッチ室の閉塞壁は所定値以上の厚さを
確保することができる。しかも、雌印籠部にボス部材の
フランジにおける雄印籠部が印籠結合されるため、磁石
発電機の回転子の全長が短縮されることになる。
【0010】また、クラッチインナの先端面をクラッチ
アウタの本体における閉塞壁の内周のうち閉塞端面と雌
印籠部の端面との間に配置することにより、クラッチイ
ンナの先端面のエッジ部がクラッチ部材の外周に干渉す
るのを回避することができるため、クラッチ部材におけ
る圧痕や偏摩耗の発生を防止することができる。ワンウ
エイクラッチの性能を高めることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施形態である
磁石発電機の回転子を示しており、(a)は一部切断側
面図、(b)は(a)のb−b線に沿う断面図である。
図2は磁石発電機のスタータモータとの組立状態を示す
正面断面図である。図3以降はその作用を説明するため
の説明図である。
【0012】本実施形態において、本発明に係る磁石発
電機の回転子は、スタータモータ付きの二輪自動車にお
けるエンジンに直結される磁石発電機の回転子として構
成されており、磁石発電機をスタータモータに連携させ
るワンウエイクラッチが一体的に組み込まれている。す
なわち、ワンウエイクラッチ30は内外に同心円に配設
されたクラッチインナ31とクラッチアウタ33とを備
えており、クラッチインナ31がスタータモータ側に連
動され、クラッチアウタ33側が磁石発電機側に直結さ
れている。
【0013】図2に示されているように、エンジン10
の側壁11から外部に突出されたクランクシャフト12
の突出端部には磁石発電機20の回転子21が直結され
ているとともに、クランクシャフト12の中間部にはワ
ンウエイクラッチ30のクラッチインナ31が転がり軸
受32を介して回転自在に支承されている。エンジン1
0の側壁11にはエンジンカバー13が固定されてお
り、エンジンカバー13の内側には密閉室14が形成さ
れている。スタータモータ15の出力軸16は密閉室1
4に挿入されており、出力軸16には駆動側スプロケッ
ト17が固定されている。駆動側スプロケット17はク
ラッチインナ31に固定された被動側スプロケット18
にチェーン19によって連動されている。
【0014】磁石発電機20の回転子21は底壁を有す
る短尺円筒形状に形成されたヨーク22を備えており、
ヨーク22の内周面には界磁極を形成するマグネット2
3が複数個、周方向に間隔を置かれて固定されている。
ヨーク22の底壁にはボス部材24が同心円に配されて
固定されており、ボス部材24がエンジン10のクラン
クシャフト12にテーパ結合およびキー結合された上で
ナットによって締結されている。ヨーク22の内側には
発電子25が配置されており、発電子25はエンジン1
0の側壁11に固定されたエンジンカバー13に支持さ
れている。
【0015】ワンウエイクラッチ30のクラッチアウタ
33は短尺円筒形状(略ドーナツ形状)の本体34を備
えており、クラッチアウタ33の本体34は後記するク
ラッチ室等を含めて一体成形法のうちの塑性加工の一例
である冷間鍛造によって後述するように一体に成形され
た構造物である。本体34の円筒中空部によってクラッ
チインナ取付孔35が構成されており、クラッチインナ
取付孔35にはクランクシャフト12に回転自在に支承
されたクラッチインナ31が回転自在に嵌入されてい
る。
【0016】本体34のクラッチインナ取付孔35のヨ
ーク側端部には、同心円に配されて一定深さの円形穴形
状に形成された雌印籠部36Aが一体的に没設されてい
る。雌印籠部36Aはクラッチアウタ33の本体34が
クラッチ室を含めて冷間鍛造された後に切削加工によっ
て後述するように穿設される。雌印籠部36Aはボス部
材24におけるヨーク底壁外側端部の外周に形成された
雄印籠部36Bに印籠結合されている。この印籠結合に
よって、クラッチアウタ33と回転子21との芯合わせ
が確保されている。本体34の周方向における任意の位
置には位置決めピン37が軸方向に圧入されており、位
置決めピン37がヨーク22の底壁に開設された位置決
め孔38に嵌入されることにより、回転子21とクラッ
チアウタ33との周方向の位置決めが確保されている。
本体34は磁石発電機20の回転子21のボス部材24
に印籠結合された上で、ヨーク22の底壁に複数本のボ
ルト39によって締結されている。
【0017】クラッチインナ取付孔35の内周面におけ
る雌印籠部36Aと反対側の端部には、軸方向において
ヨーク底壁側の端面が閉塞され反対側の端面が開口され
た凹所形状であって周方向において楔形状のクラッチ室
40が3個、周方向に等間隔に配されて径方向外向きに
没設されており、各クラッチ室40にはクラッチ部材と
してのクラッチローラ43が周方向に転動可能にそれぞ
れ収納されている。クラッチ室40の周方向における楔
形状はクラッチインナ取付孔35の中心からの距離が相
異なる小径部41と大径部42とが一体となって形成さ
れており、クラッチローラ43が小径部41に位置する
状態においてクラッチインナ31との間で楔効果を発揮
するようになっている。クラッチ室40は閉塞端面を構
成する閉塞壁40aを含めて塑性加工の一例である冷間
鍛造によって後述するように一体に没設された凹所であ
る。
【0018】本体34におけるクラッチ室40の小径部
41に隣接した部位には貫通孔44が、本体34の外周
面からクラッチ室40にクラッチインナ取付孔35の接
線方向に貫通するように開設されている。本体34にお
けるクラッチ室40の大径部42に隣接した部位にはス
プリング受け穴45が、貫通孔44の軸心の延長線上に
形成されている。スプリング受け穴45は貫通孔44の
延長線上に貫通孔44を貫通して穿設された盲穴によっ
て構成されており、その穴底によってスプリング47の
反力を受ける受け部46が構成されている。スプリング
受け穴45にはスプリング47がクラッチ室40から挿
入されており、スプリング47の反力端になる挿入端は
スプリング受け穴45の穴底によって構成された受け部
46によって受けられた状態になっている。スプリング
47の付勢側端部には有底円筒形状に形成されたスプリ
ングキャップ48が被せられており、スプリング47は
スプリングキャップ48の閉塞端面壁を介してクラッチ
ローラ43に常時押接した状態になっている。すなわ
ち、スプリング47はスプリング受け穴45の穴底であ
る受け部46、つまり、本体34に直接的に反力を取っ
て、弾発力をクラッチローラ43に対してクラッチ室4
0の大径部42側から小径部41側に向けて常時付勢す
るようになっている。
【0019】本体34の外側にはクラッチカバー49が
外周からヨーク22と反対側の端面にかけてを全体的に
被覆するように被せ付けられており、クラッチカバー4
9のヨーク22側の端部は本体34のヨーク22側の外
周縁部に巻きかしめ加工されている。各クラッチ室40
および各貫通孔44の本体34の外周面における開口は
クラッチカバー49によっていずれも閉塞された状態に
なっている。したがって、各クラッチ室40に周方向に
転動可能に収納されたクラッチローラ43の開口側端面
は、クラッチカバー49の内側端面によって摺動自在に
受けられた状態になっている。クラッチローラ43のク
ラッチカバー49と反対側の端面はクラッチ室40の閉
塞壁40aにおける内側端面によって摺動自在に受けら
れた状態になっている。
【0020】以上の構成に係る磁石発電機の回転子にお
いて、クラッチアウタ33における本体34、クラッチ
インナ取付孔35、各クラッチ室40およびクラッチ室
40の閉塞壁40aは、冷間鍛造によって図3(a)に
示されているように一体に成形される。すなわち、本体
34の厚さや外径、クラッチインナ取付孔35の内径お
よび各クラッチ室40の容積に見合う諸寸法および全体
の体積を予め設定された短尺円筒体が、主に厚さ方向
(軸方向)に段階的に冷間鍛造されて行くことより、ク
ラッチ室40における小径部41および大径部42によ
る楔形状と閉塞壁40aとが、本体34やクラッチイン
ナ取付孔35と共に一体に成形される。
【0021】クラッチ室40を含めてクラッチアウタ3
3の本体34を冷間鍛造によって一体成形することによ
り、クラッチアウタ33の製造コストを大幅に低減する
ことができる。すなわち、クラッチ室40の楔形状を構
成する小径部41および大径部42の側壁面は複雑な曲
面(所謂カムプロフィール)に形成する必要がある。こ
のため、従来からクラッチ室40はブローチ盤によるブ
ローチ削り(broaching)によって形成されて
いる。ブローチ削りは作業性が低い切削加工であるばか
りでなく、ブローチ盤は大型大重量になるため、クラッ
チアウタの製造コストはきわめて大きくなる。これに対
して、クラッチアウタ33の本体34をクラッチ室40
を含めて冷間鍛造によって一体成形する場合には、金型
を一度起こせばプレス装置によって高い精度で量産する
ことができるため、クラッチアウタ33の製造コストは
低く抑制することができる。
【0022】また、クラッチ室40の冷間鍛造に際し
て、クラッチ室40の軸方向の一方の端面を閉塞する閉
塞壁40aを同時に冷間鍛造によって形成することによ
り、クラッチ室40に収容されたクラッチローラ43の
一端面を閉塞壁40aによって受けさせることができる
ため、クラッチローラ43の一端面を受ける専用のプレ
ートを省略することができ、その分、クラッチアウタ3
3の製造コストをより一層抑制することができる。しか
も、冷間鍛造によって鍛えられた閉塞壁40aの表面は
硬質かつ滑らかになるため、閉塞壁40aによってクラ
ッチローラ43を摺動性よく受けることができ、その結
果、ワンウエイクラッチ30の性能を高めることができ
るという効果も得られる。
【0023】ところで、クラッチ室40の閉塞壁40a
を冷間鍛造によって形成する場合には、冷間鍛造に際し
て、閉塞壁40aに所定値以上の厚さを設定する必要が
あることが究明された。そこで、本実施形態において
は、図3(a)に示されているように、冷間鍛造後のク
ラッチ室40の閉塞壁40aの厚さtは、冷間鍛造に必
要な所定値(例えば、6.2mm以上)に設定されてい
る。
【0024】ところが、クラッチ室40の閉塞壁40a
を冷間鍛造によって形成する場合、例えば、図3(c)
に比較例として示されているように、クラッチ室40の
反ヨーク側に閉塞壁40aを設けることが考えられる
が、クラッチ室40の閉塞壁40aが厚いままの状態
で、クラッチアウタ33が磁石発電機の回転子に組み込
まれると、クラッチインナ31に固定された被動側スプ
ロケット18にクラッチアウタ33が干渉してしまう。
つまり、クラッチアウタ33の閉塞壁40aの外面と被
動側スプロケット18との距離Lがきわめて狭小になる
か「零」になってしまう。そこで、クラッチアウタ33
の閉塞壁40aの外面を切削することにより、クラッチ
アウタ33の閉塞壁40aと被動側スプロケット18と
が大きい距離Mをもって対向するように構成すると、閉
塞壁40aの外面は大きな切削代Sをもって切削するこ
とが必要になる。したがって、クラッチアウタ33ひい
ては磁石発電機の回転子の製造コストが増加してしま
う。しかも、クラッチローラ43のヨーク22側の端面
を良好な摺動特性をもって受けるためのプレート51が
必要になるため、より一層製造コストが増加してしま
う。
【0025】そこで、本実施形態においては、クラッチ
室40のヨーク側に閉塞壁40aを配設し、クラッチ室
40およびその閉塞壁40aを含めてクラッチアウタ3
3の本体34を冷間鍛造した後に、図3(b)に示され
ているように、クラッチアウタ33の本体34における
閉塞壁40a側の端面壁に雌印籠部36Aをクラッチイ
ンナ取付孔35と同心円に切削加工によって没設するこ
とにより、クラッチアウタ33の被動側スプロケット1
8への干渉が回避されている。すなわち、磁石発電機2
0の回転子21において、クラッチアウタ33の雌印籠
部36Aにボス部材24の雄印籠部36Bが印籠結合さ
れることより、クラッチアウタ33はヨーク22側に寄
るため、クラッチアウタ33の被動側スプロケット18
への干渉を回避することができる。
【0026】以上のように、本実施形態においては干渉
を回避するための逃げ部が雌印籠部36Aとして構成さ
れるため、干渉を回避する逃げ部を形成するために、工
程が増加することはない。したがって、クラッチアウタ
33の製造コストの増加は回避することができる。ちな
みに、冷間鍛造後のクラッチアウタ33の本体34には
位置決めピン37のための取付穴、ボルト39のための
締結孔、貫通孔44およびスプリング受け穴45が切削
加工によって開設される。
【0027】ところで、従来のものや図3(c)に示さ
れている比較例のように、クラッチインナ31のクラッ
チ室40のヨーク22側がボス部材の端面またはそれを
覆うプレート51で閉じられているものにおいては、エ
ッジ部(面取り部)がクラッチローラ43の外周面に干
渉する状態になるため、クラッチローラ43に圧痕や偏
摩耗等が発生し、ワンウエイクラッチ30の性能が低下
する可能性がある。
【0028】しかし、本実施形態においては、ボス部材
24の端面とクラッチ室40との間に閉塞壁40aがあ
るので、図4(a)に詳しく示されているように、クラ
ッチインナ31の先端面はクラッチアウタ33の本体3
4における閉塞壁40aの内周のうち閉塞壁40aの内
側端面と雌印籠部36Aの底面との間に位置するよう
に、磁石発電機20の回転子21とクラッチインナ31
との関係を設定することができる。この構成により、ク
ラッチインナ31の先端面のエッジ部がクラッチローラ
43の外周に干渉するのを回避することができるため、
クラッチローラ43おける圧痕や偏摩耗の発生を防止す
ることができ、ワンウエイクラッチ30の性能が低下す
るのを防止することができる。
【0029】なお、クラッチインナ31の先端面のエッ
ジ部がクラッチローラ43の外周に干渉するのを回避す
るために、クラッチインナ31を閉塞壁40aの内周に
配置することは図4(a)と同様だが、図4(b)に示
されているように、ボス部材24の雄印籠部36Bの内
側に逃げ穴50を没設して逃げ穴50の内部にクラッチ
インナ31の先端を配置する構成が考えられる。ただ
し、この構成によれば、ボス部材24に逃げ穴50を没
設する必要があるため、ボス部材24ひいては磁石発電
機の回転子の製造コストが図4(a)の場合に比べて増
加する。
【0030】なお、本発明は前記実施形態に限定される
ものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種
々変更可能であることはいうまでもない。
【0031】例えば、クラッチアウタは冷間鍛造によっ
て一体成形するに限らず、熱間鍛造や鋳造、さらには、
樹脂成形等によって一体に成形してもよい。
【0032】クラッチ部材はクラッチローラに限らず、
クラッチボール等であってもよいし、クラッチスプリン
グの取付構造等も前記実施形態に限られない。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ワンウエイクラッチの性能を高めつつ、磁石発電機の回
転子の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である磁石発電機の回転子
を示しており、(a)は一部切断側面図、(b)は
(a)のb−b線に沿う断面図である。
【図2】磁石発電機のスタータモータとの組立状態を示
す正面断面図である。
【図3】その作用を説明するための説明図であり、
(a)は冷間鍛造後のクラッチアウタを示す断面図、
(b)は切削加工後のクラッチアウタを示す断面図、
(c)は主要部の取付関係を示す一部切断正面図であ
る。
【図4】同じく作用を説明するための説明図であり、
(a)はクラッチインナ先端が閉塞壁内側端面と雌印籠
部底面との間に位置する場合の断面図、(b)は雄印籠
部に逃げ穴を没設した場合を示す断面図である。
【符合の説明】
10…エンジン、11…側壁、12…クランクシャフ
ト、13…エンジンカバー、14…密閉室、15…スタ
ータモータ、16…出力軸、17…駆動側スプロケッ
ト、18…被動側スプロケット、19…チェーン、20
…磁石発電機、21…回転子、22…ヨーク、23…マ
グネット、24…ボス部材、25…発電子、30…ワン
ウエイクラッチ、31…クラッチインナ、32…転がり
軸受、33…クラッチアウタ、34…本体、35…クラ
ッチインナ取付孔、36A…雌印籠部、36B…雄印籠
部、37…位置決めピン、38…位置決め孔、39…ボ
ルト、40…クラッチ室、40a…閉塞壁、41…小径
部、42…大径部、43…クラッチローラ、44…貫通
孔、45…スプリング受け穴、46…受け部、47…ス
プリング、48…スプリングキャップ、49…クラッチ
カバー、50…逃げ穴、51…プレート。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周にフランジを有するボス部材の一部
    が碗形状のヨークの底壁に開設された開口に挿入されて
    いるとともに、前記ヨークの底壁にはクラッチインナと
    クラッチアウタとが内外に同心円に配設されたワンウエ
    イクラッチの前記クラッチアウタが同軸に連結されてお
    り、前記クラッチアウタは前記クラッチインナを嵌合し
    たクラッチインナ取付孔が開設された本体と、この本体
    における前記クラッチインナ取付孔の内周面に周方向に
    間隔を置かれて配され径方向外向きに楔形状に没設され
    た複数のクラッチ室と、前記各クラッチ室に転動可能に
    収納されて前記クラッチインナと前記クラッチアウタの
    連結および解除を実行する複数のクラッチ部材とを備え
    ている磁石発電機の回転子において、 前記各クラッチ室は軸方向の一方の端面が閉塞され他方
    の端面が開口された凹所に形成されているとともに、前
    記各クラッチ室は前記閉塞端面を構成する閉塞壁が前記
    ヨークの底壁側に配置されて一体的に没設されており、
    前記クラッチアウタの本体における前記ヨークの底壁側
    端面には雌印籠部が前記各クラッチ室の閉塞壁の一部を
    薄くするように没設されているとともに、この雌印籠部
    には前記フランジの雄印籠部が印籠結合されていること
    を特徴とする磁石発電機の回転子。
  2. 【請求項2】 前記クラッチインナが、前記クラッチア
    ウタの本体における前記閉塞壁の内周に配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の磁石発電機の回転
    子。
  3. 【請求項3】 前記クラッチインナの先端面が、前記ク
    ラッチアウタの本体における前記閉塞壁の内周のうち前
    記閉塞端面と前記雌印籠部の端面との間に配置されてい
    ることを特徴とする請求項2に記載の磁石発電機の回転
    子。
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