JPH0836746A - 磁気カード用積層ポリエステルフィルム - Google Patents

磁気カード用積層ポリエステルフィルム

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JPH0836746A
JPH0836746A JP16805194A JP16805194A JPH0836746A JP H0836746 A JPH0836746 A JP H0836746A JP 16805194 A JP16805194 A JP 16805194A JP 16805194 A JP16805194 A JP 16805194A JP H0836746 A JPH0836746 A JP H0836746A
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layer
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film
polyester
white pigment
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JP16805194A
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Inventor
Shigeo Uchiumi
滋夫 内海
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Diafoil Co Ltd
Original Assignee
Diafoil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気カード用として優れたポリエステルフィ
ルムを提供する。 【構成】 白色顔料を含有する層(A層)を少なくとも
一方の最外層とし、それ以外の層において粒子を含有す
る少なくとも一層(B層)を有する共押出積層二軸延伸
ポリエステルフィルムからなる磁気カード用積層ポリエ
ステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気カード用、特にパ
チンコカード用として好適なポリエステル多層フィルム
に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】現在
プリペイドカードとしては、単層フィルムを用いたNT
Tのテレホンカード、JRのオレンジカード等が、電話
代金、切手代金の支払い等に広く普及している。これに
対し、パチンコ業界において、特にギャンブル性の高い
機種に対して、プリペイドカードをパチンコカードに使
用することが、行政指導され、普及しつつある。しかし
ながら、パチンコカードは、テレホンカードやオレンジ
カードと異なって、極めて高額のカードを必要とするた
め、偽造防止が必須である。すなわち、偽造を防止した
カードの製造が強く求められているとともに、偽造が判
明した後において、その偽造カードがどこでどのような
ルートで作成されたものかが明確に分かるようなものが
求められている。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
ついて、鋭意検討した結果、ポリエステルフィルムを特
定の構成を有する多層フィルムとすることによって上記
課題が解決できることを見いだし、本発明を完成するに
至った。
【0004】すなわち、本発明の要旨は、白色顔料を含
有する層(A層)を少なくとも一方の最外層とし、それ
以外の層において粒子を含有する少なくとも一層(B
層)を有する共押出積層二軸延伸ポリエステルフィルム
からなる磁気カード用積層ポリエステルフィルムに存す
る。
【0005】以下本発明をさらに詳細に説明する。本発
明にいう共押出積層二軸延伸ポリエステルフィルムと
は、全ての層が口金から共溶融押出される共押出法によ
り、押出されたものが二軸方向に延伸・熱固定されたも
のである。延伸・熱固定されたフィルムをオフライン
で、接着剤を介して貼り合わせたものについては、フィ
ルムの平面性が不良であったり、フィルムの各層の厚み
精度が不良であったりして好ましくない。共押出の方法
としては、フィードブロックタイプまたはマルチマニホ
ールドタイプいずれを用いてもよいが、各層のフィルム
厚みが厚いものを基本とすることからフィードブロック
タイプの共押出法を用いることが好ましい。本発明のフ
ィルムは、2層以上の積層フィルムであるが、あまり層
が多くなると、必要となる装置が増えてコストアップの
要因となる。したがって、本発明では、特にA/B型の
2層フィルム、A/B/A型,A/B/A´型(AとA
´は厚みが異なる)の3層フィルムが好ましい。また、
フィルムのカールの点を考慮すると、A/B型のように
厚み方向で非対称なフィルムよりも、A/B/A型のよ
うに厚み方向で対称なフィルムが好ましい。ただし、完
全な対称なフィルムであると、逆にカールしてしまう場
合もあるので、A/B/A´方が最も好ましい。
【0006】本発明の積層フィルムは少なくとも片面の
表層を形成する、白色顔料を有する層(A層)と、粒子
を含有する少なくとも一層(B層)とを有するものであ
る。まず、白色顔料を有する最外層を構成する層(A
層)について説明する。A層を構成するポリエステル
は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6
−ジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸と、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール等のようなグリコールとのエステ
ルを主たる成分とするポリエステルである。当該ポリエ
ステルは、芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接重
合させて得られるほか、芳香族ジカルボン酸ジアルキル
エステルとグリコールとをエステル交換反応させた後、
重縮合させる、または芳香族ジカルボン酸のジグリコー
ルエステルを重縮合させる等の方法によっても得られ
る。
【0007】当該ポリエステルの代表的なものとして
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,
6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、PCT
フィルム等が例示されるが、ポリエチレンテレフタレー
トが最も安価であり好ましい。かかるポリマーは、共重
合されないホモポリマーであってもよいが、ジカルボン
酸成分の15モル%未満が主成分以外のジカルボン酸成
分であったり、ジオール成分の10モル%未満が主成分
以外のジオール成分であるような共重合ポリエステルで
あってもよい。また、必要に応じてポリエステル以外の
ポリマー、例えば、ナイロン、ポリオレフィン等をブレ
ンドしてもよい。重合に際しては、重合調節剤、結晶化
調整剤、可塑剤、艶消剤、安定剤などを添加しても差し
支えないが、白色顔料を含有することが必須である。す
なわち、本発明のフィルムは、白色化によりフィルムの
隠蔽度を上げ、磁気カード化した場合に光線の透過を防
止することにより、印刷層が裏面から見えないようにし
なければならないためである。白色顔料としては、フェ
ノキシ樹脂、ポリオレフィン、ポリカーボネートなど、
いわゆる海島状に分散させて光散乱を起こさせる有機系
高分子を用いてもよいが、一般には、タルク、カオリ
ン、硝酸バリウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウ
ム、酸化チタン、シリカなどの無機粒子を用いることが
好ましい。これらの中でも白色顔料として特に好ましい
ものは、酸化チタンである。用いる無機粒子の粒径は、
通常、平均粒径0.01〜5.0μm、好ましくは0.
1〜0.8μmである。無機粒子の含有量は、通常5〜
50重量%、好ましくは10〜30重量%である。粒径
が小さすぎたり、含有量が少なすぎると白色度が足りな
くなる恐れがある。また、余りに粒径が大きすぎたり、
含有量が多すぎると、フィルム製膜時破断が多発する傾
向がある。
【0008】白色顔料をポリエステルフィルム中に含有
させる方法としては、ポリエステルの重合工程中に添加
する方法、押出機を用いて白色顔料をあらかじめ練込み
マスターバッチとする方法等が採用されるが、特に好ま
しい方法は、フィルムの製造工程の押出工程で直接白色
顔料を添加混合する方法である。その際の押出機として
は、ベント付きの二軸押出機が好ましい。粒子の分散性
改良のためには、同方向二軸押出機よりも異方向の二軸
押出機の方が好ましい。一方、直接添加する粒子として
は、粉体でもよいが、水スラリーで添加するのが定量性
に富み好ましい方法である。白色顔料として酸化チタン
を用いる場合、シリカおよび蛍光増白剤を併用すること
が好ましい。本発明においてポリエステルA層に含有さ
れる白色顔料として特に好ましいものである二酸化チタ
ンは、結晶形態的にはアナターゼ型、ルチル型のいずれ
でもよいが、耐候性から考えて、アナターゼ型の方が好
ましい。また、二酸化チタンのポリエステルへの分散向
上の目的で、二酸化チタンの表面にアルミニウム、ケイ
素、亜鉛などの酸化物または各種有機物を表面処理した
ものも用いることができる。
【0009】一方、二酸化チタンと併用されるシリカ
は、結晶形態的には、結晶シリカ、アモルファスシリカ
のいずれでもよく、またこの製造法も乾式法、湿式法い
ずれでもよい。シリカは純粋なシリカ以外に、アルミニ
ウム、マグネシウムなどの金属を含み、ケイ素成分が8
0%以上であるもの、シリカ表面に各種金属、有機物化
合物を表面処理したものも用いることができる。併用す
るシリカの平均粒径は通常0.5〜10μm、好ましく
は1〜10μm、さらに好ましくは2〜8μmである。
シリカの平均粒径が0.5μm未満では、得られるフィ
ルムの表面が平坦で艶消し効果が小さくなる傾向があ
り、10μmを超えると、フィルム表面が粗面化しす
ぎ、磁気カードの磁気記録変換特性を悪化させたり、フ
ィルム生産時のフィルターのライフに劣るなどの問題が
生じる恐れがある。シリカの添加含有量は、通常0.1
〜10重量%、好ましくは、0.3〜2.0重量%であ
る。シリカの添加量が0.1重量%未満では、フィルム
表面に艶光りがあることが多く、10重量%を超える
と、磁気記録変換特性の低下、フィルム延伸時のフィル
ム破断が多くなるという問題が生じる恐れがある。
【0010】二酸化チタンと併用する蛍光増白剤は、波
長400〜500nmに蛍光ピークを有するものであれ
ば種類を問わないが、好適なものとしては、商品名ユビ
テックスOB(チバガイギー社)、OB−1(イースト
マン社)、ミカホワイト(日本化薬−三菱化成社)等市
販されているものが挙げられる。蛍光増白剤のポリエス
テルの添加含有量は通常10〜10000ppm、さら
に好ましくは50〜600ppmである。本発明で用い
ることのできる二酸化チタンおよびシリカは、ポリエス
テルへ含有させる前に精製プロセスを用いて粒径調製、
粗大粒子除去を行うことが好ましい。精製プロセスの工
業的手段としては、粉砕手段として例えばジェットミ
ル、ボールミル等が挙げられ、分級手段としては、例え
ば乾式または湿式遠心分離機等が挙げられる。なお、こ
れらの手段は2種以上を併用し、段階的に精製してもよ
い。A層の極限粘度は、フィルム状態で、通常0.55
以上、好ましくは0.59以上である。極限粘度が0.
55未満では、機械特性が劣る傾向がある。
【0011】一方、本発明のフィルムのB層を構成する
ポリエステルは、A層と同様のポリエステルを用いるこ
とができる。ただし、B層には粒子を含有することが必
須であり、中でも凝集性の粒子を含有することが好まし
い。具体的には、1次粒径が1〜150nm、2次粒径
が0.01〜0.15μmの凝集性粒子が好ましく、例
えばγ型、δ型、θ型のアルミナ粒子、微細シリカ粒子
等が挙げられる。これらの粒子のほかにも、上記粒径範
囲を満足するものであれば、本発明のフィルムのB層用
粒子として使用することができる。ただし、カーボンブ
ラックは、押出機を汚染する恐れがあるので、通常は使
用しない。用いる粒子の2次粒径が0.01未満では、
フィルム中での分散が劣る傾向があり、2次粒径が0.
15μmを超えると、添加量が多くなる。また、B層中
の粒子の凝集度は3〜300の範囲が好ましい。さら
に、A層中およびB層中に含まれる白色顔料含有量をそ
れぞれaおよびbとしたとき、両者の差(a−b)は2
0重量%以下であることが好ましい。かかる差が20重
量%を超えると、層間で剥離が起きたり、耐久性が劣っ
たりする恐れがある。
【0012】B層がA/B2層フィルムのように最外層
を形成する際には、上記粒子のほかにさらに粒子を含有
させるか、またはB層上に塗布層を設けて滑り性を付与
することが好ましい。一方、A/B/Aの2種3層フィ
ルムのようにB層が最外層を形成しない場合には、上記
の粒子のほかには実質的に粒子を含まないものであって
もよい。含有する粒子としては、カオリン、クレー、各
種炭酸カルシウム、各種酸化ケイ素、テレフタル酸カル
シウム、各種二酸化チタン、リン酸カルシウム、フッ化
リチウム等の公知の不活性外部添加粒子ばかりでなく、
ポリエステル樹脂の溶融製膜に際して不溶な高融点有機
化合物、単分散球状有機粒子、粉砕型有機粒子、架橋ポ
リマー、およびアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属
化合物などによってポリエステル製造時にポリマー内部
に形成される析出粒子等、いかなる粒子であってもよ
く、単独または二種以上含有させてもよい。併用する粒
子の平均粒径は0.01〜10μmのものが好ましく、
添加量は0.001〜30重量%が好ましい。B層に粒
子以外の蛍光増白剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、消
泡剤、帯電防止剤等の添加剤が混入されたものであって
もよい。
【0013】B層を形成する層は、自己リサイクル原料
もしくは他銘柄のリサイクル原料いずれでもよいが、少
なくともリサイクル原料をB層中10重量%以上、好ま
しくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以
上含有することが好ましい。本発明のフィルム全体とし
ての極限粘度は通常0.55以上である。かかる極限粘
度が0.55を超えると、フィルムの機械的強度が劣る
傾向があり、カードを打ち抜いた際にバリが出やすくな
る恐れがある。本発明の積層ポリエステルフィルムの隠
蔽性を示す指標であるOD(光学密度)は0.8以上で
あることが好ましい。0.8未満では、印刷の美観が損
なわれる恐れがある。
【0014】本発明のフィルムは、パチンコカード用と
して用いるプリペイドカードとして使用するため、A層
を形成する少なくとも片側表面に、ポリウレタン、ポリ
エステル、アクリルスチレン−ブタジエン共重合体、ア
クリロニトリル−ブタジエン共重合体から選ばれる少な
くとも一種以上を含有する塗布液を塗布後乾燥して得ら
れる塗膜層を設けることが通常行われる。塗膜を形成す
る方法としては、二軸配向フィルム製造時に形成する方
法(前述のILC)と、二軸配向フィルム製造後に形成
する方法とがあるが、前者の方法が好ましい。前者の具
体例としては例えば、未延伸フィルムの表面に薄膜形成
液を塗布した後、二軸方向に延伸する。または、一軸延
伸フィルム表面に薄膜形成液を塗布した後、直角方向に
さらに延伸する方法等が挙げられるが、これらを併用す
る方法も好適である。塗布後延伸処理をしない場合、形
成される塗布層とベースフィルムである白色ポリエステ
ルフィルムとの密着力が弱くなる傾向があり、実用に適
した接着性を得られないことがある。これらを工業的有
利に達成するためには、二軸延伸フィルム製造工程内で
塗布するのが好ましい。かかる方法の例として、製膜工
程の長手方向に一軸延伸されたフィルムに塗布し、乾燥
または未乾燥の状態でさらに先の一軸延伸方向と直角の
方向に延伸した後熱処理を施す方法が製造コスト面の点
から採用されるが、これらに限定されるわけではない。
【0015】上述のフィルムを得るための延伸工程は、
好ましくは70〜160℃で行われ、延伸倍率は、面積
倍率で少なくとも4倍以上、好ましくは6〜35倍であ
る。延伸されたフィルムは通常150〜250℃で熱処
理される。さらに、熱処理の最高温度ゾーンおよび/ま
たは熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向お
よび横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましく採
用される。
【0016】特に、70〜145℃でロール延伸法によ
りフィルム長手方向に2〜6倍延伸された一軸延伸白色
ポリエステルフィルムに塗布液を塗布し、適当な乾燥を
施し、あるいは乾燥を施さず、次いで該一軸延伸フィル
ムを横方向に90〜160℃で2〜6倍に延伸し、15
0〜250℃で1〜600秒間熱処理を行う方法が好ま
しく採用される。本方法によるならば、延伸と同時に塗
布層の乾燥が可能になるとともに塗布層の厚さを延伸倍
率に応じて薄くすることができ、白色ポリエステルフィ
ルム基材として好適なフィルムを比較的安価に製造でき
る。
【0017】上述した塗布液をポリエステルフィルムに
塗布する方法としては原崎勇次著、槙書店、1979年
発行、「コーティング方式」に示されるリバースロール
コーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアド
クターコーター等を用いることができる。一方、易印刷
性薄膜層を形成する面と反対の面に、磁性層との接着性
を強化する薄膜層を形成して、両面コート層を形成させ
ることが好ましい。磁性層との易接着薄膜形成方法およ
び形成剤は前述の易印刷性薄膜形成方法および形成剤に
準じるが、パチンコカード用とするため、特にウレタ
ン、塩化ビニル、酢酸ビニルと酸化鉄等を含有した磁気
記録用組成物との接着性が向上するものであることが好
ましい。
【0018】本発明のフィルムに設ける塗布層は、帯電
防止能を有することが好ましい。すなわち、フィルムの
帯電による張り付きで作業性を低下させたり、火花放電
による発火事故等の問題を起こしたりするからである。
またゴミの付着を防止するためにも重要である。帯電防
止性を付与させる方法としては、有機スルホン酸等の低
分子量のアニオン性界面活性剤、例えばポリスチレンス
ルホン酸ナトリウム塩等の帯電防止剤を先の易印刷性お
よび/または易磁性層接着性塗布剤に配合して、インラ
インで塗布することが好ましい。また、帯電防止剤とし
て高分子量のカチオン系帯電防止剤を用いたり、リン酸
基またはリン酸塩基を有する樹脂を含有するポリマー、
主鎖にイオン化された窒素元素を有するポリマーを配合
剤として用いることも好ましい方法である。
【0019】塗布層を形成する場合においても、ブロッ
キングが少ないことが好ましい。ブロッキングがある
と、フィルム製膜後巻き取りスリットする際にフィルム
が貼り付き、極端な場合には破れたりする場合もある。
また、磁性層を塗った後、印刷をする際に磁性層が反対
面に転着して磁性層はがれの原因となる恐れもある。塗
布層を得るための塗布液は、塗布層の上記ブロッキング
性や耐水性、耐溶剤性、機械的強度の改良のために、架
橋剤を含有していてもよい。架橋剤としてはメチロール
化あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グ
アナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系等の化合
物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン
化合物、ブロックイソシアネート化合物、シランカップ
リング剤、チタンカップリング剤、ジルコ−アルミネー
ト系カップリング剤、過酸化物、熱または光反応性のビ
ニル化合物や感光性樹脂等が挙げられる。さらに塗布層
を得るための塗布液は、塗布層の滑り性改良のために粒
子を含有していてもよい。粒子としてはコロイダルシリ
カ、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化チタン、等の無機
粒子と、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂ある
いはポリビニル系樹脂による単独あるいは共重合体を含
む微粒子、またはこれらと架橋成分を複合した架橋粒子
に代表される有機粒子が例示される。
【0020】さらに塗布層を得るための塗布液は、必要
に応じて、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、低分子帯電
防止剤、有機系潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発
泡剤、染料、顔料等を含有していてもよい。さらに塗布
層を得るための塗布液は、水を主たる媒体とする限りに
おいて、水への分散を改良する目的あるいは造膜性能を
改良する目的で少量の有機溶剤を含有していてもよい。
有機溶剤は、主たる媒体である水と混合して使用する場
合、水に溶解する範囲で使用することが必要である。有
機溶剤としては、n−ブチルアルコール、n−プロピル
アルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコー
ル、メチルアルコール等の脂肪族または脂環族アルコー
ル類、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール等のグリコール類、n−ブチルセロ
ソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導
体、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、
酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メチルエチル
ケトン、アセトン等のケトン類、N−メチルピロリドン
等のアミド類が挙げられるが、これらに限られるもので
はない。これらの有機溶剤は単独で用いてもよいが、必
要に応じて二種以上を併用してもよい。
【0021】本発明のフィルムの塗布層の厚みは、最終
的な乾燥厚さで通常0.01〜0.5μmの範囲であ
り、好ましくは、0.02〜0.3μmの範囲、さらに
好ましくは0.03〜0.20μmの範囲である。塗布
層の厚さが0.5μmより大きくなると、フィルムが相
互にブロッキングしやすくなったり、特にフィルムの高
強度化を目的として塗布処理フィルムを再延伸する場合
には、工程中にロールに粘着しやすくなったりする恐れ
がある。ブロッキングの問題は、特にフィルムの両面に
同一の帯電防止層を設ける場合に顕著に現れる。塗布層
の厚さが0.01μm未満では、接着性等の改良効果が
小さくなる傾向がある。なお、塗布剤のフィルムへの塗
布性、接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学
処理や放電処理を施してもよい。また、本発明の二軸延
伸ポリエステルフィルムの塗布層の表面特性等を改良す
るために、塗布層形成後に塗布層に放電処理を施しても
よい。
【0022】次に本発明のフィルムの製造方法を具体的
に説明するが、本発明の構成要件を満足する限り、以下
の例示に特に限定されるものではない。白色顔料(好ま
しくはTiO2 )、蛍光増白剤、その他滑剤を所定量含
有したポリエステルと、凝集性粒子(好ましくはアルミ
ナ)と必要に応じ自己リサイクルのポリエステル等の再
生ポリマーを含むポリエステルとを、別々に乾燥し、別
々の押出機から、溶融押出した後、溶融ポリマー流路管
内または押出口金内において層流状で接合積層させて、
押出口金から吐出させ、未延伸積層フィルムを作成す
る。乾燥は、ホッパードライヤー、真空乾燥機、パドル
ドライヤー、オーブン等を用いると良い。B層をメイン
押出機とし、サブ押出機をA層用として用いる際、サブ
押出機を二軸のベント押出機として、白色顔料その他を
直接添加する方法を用いることも好ましい態様である。
また、キャスティング時に、静電密着法を適用し更に水
等の液体塗布法等を併用することも好ましい。
【0023】かくして得られた未延伸積層フィルムは、
まず縦方向に70℃〜145℃で1段または多段階で
2.0〜6.0倍延伸し、縦一軸延伸フィルムとした
後、フィルムの両面に順次塗布液を塗布し、適当な乾燥
を施し、あるいは乾燥を施さず、次いで塗布済一軸延伸
フィルムをクリップで把持してテンターに導き、まず横
方向に90〜160℃で2.0〜6.0倍延伸し、15
0〜250℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ま
しい。このとき、熱処理の最高温度ゾーンおよび/また
は熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向およ
び/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ま
しい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加す
ることも可能である。本発明の積層フィルムを例えばパ
チンコカード用のプリペイドカードとしてのみ使用する
ことにより、他のテレホンカードやオレンジカードと区
別することができる。しかも、凝集性の粒子含有量を各
磁気カードメーカー別に変更しておくことにより、偽造
された際にどこのメーカーのものかを簡単に特定するこ
とがで、きる。また、B層の厚みを変更することによっ
ても、上記特定が容易になる。
【0024】
【実施例】以下、実施例にて、本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は、その趣旨を超えない限り、以下
の実施例に限定されるものではない。なお、フィルムの
評価方法は以下に示すとおりである。 (1)光学密度(OD) マクベス濃度計TD−904型を使用し、Gフィルター
下の透過光濃度を測定した。 (2)積層フィルムの表層フィルム厚さ 透過型電子顕微鏡(TEM)によるフィルム断面の観察
にて行った。すなわち、フィルムサンプルの小片を、エ
ポキシ樹脂に硬化剤、加速剤を配合した樹脂に包埋処理
し、ウルトラミクロトームにて厚み約200nmの切片
を作成し、観察用サンプルとした。得られたサンプルを
日立(株)製透過型電子顕微鏡H−9000を用いて断
面の顕微鏡写真を撮影し、表層の厚みを測定した。但
し、加速電圧は300kV、倍率は最表層厚みに応じ、
1万倍〜10万倍の範囲で設定した。厚み測定は50点
行い、測定値の厚い方から10点、薄い方から10点を
削除して30点を平均して測定値とした。
【0025】(3)粒子の種類および粒子量 フィルムサンプルの小片を、エポキシ樹脂に硬化剤、加
速剤を配合した樹脂に包埋処理し、ウルトラミクロトー
ムにて断面の面出しを行い、得られた断面をエイコーエ
ンジニアリング社製IB−5型イオンコーターによりイ
オンエッチングし、フィルム中の粒子を露出させた。露
出させた粒子を明石製作所社製明石ISI−DS130
走査型電子顕微鏡で観察し、フィリップス社製EDAX
9100エネルギー分散型X線分析装置にて、粒子の元
素分析を行い、粒子の種類を同定した。また、粒子量は
電子顕微鏡観察を見本と比較することにより推定した。
【0026】実施例1 (実質的に粒子を含まないポリエステルの製造)ジメチ
ルテレフタレート100部とエチレングリコール60部
および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部とを反応器
にとり、加熱昇温するとともにメタノールを留出させて
エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して
230℃まで昇温し、実質的にエステル交換反応を終了
させた。次いで、得られたポリエステルオリゴマーにエ
チルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチ
モン0.04部を加えて4時間重縮合反応を行い、極限
粘度0.62のポリエチレンテレフタレートA1 を得
た。
【0027】(δ型アルミナ含有ポリエステルの製造)
上記ポリエステルA1 の製造と同様にポリエステルオリ
ゴマーを製造した後、1次粒径0.02μm、2次粒径
0.06μmのδ型アルミナ粒子を1.5部含有するエ
チレングリコールスラリー10部を添加し、さらにエチ
ルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモ
ン0.04部を加えて4時間重縮合反応を行い、δ型ア
ルミナ粒子を1.5重量%含有する、極限粘度0.62
のポリエステルB1 を得た。
【0028】(サイロイド72含有ポリエステルの製
造)ポリエステルB1 の製造において、δ型アルミナ粒
子1.5部の代わりに、平均粒径(コールターカウンタ
ー法による)2.4μmのサイロイド72を3.0部と
し、それ以外は同様にして、サイロイド粒子を3.0重
量%含有する、極限粘度0.62のポリエステルC1 を
得た。 (TiO2 含有ポリエステルの製造)ポリエステルA1
を乾燥し、ベント式2軸押出機にて平均粒径0.3μm
のTiO2 (アナターゼ型酸化チタン)を40重量%と
なるよう混練し、チップ化してポリエステルD1 を得
た。ここで酸化チタンの代わりに、蛍光増白剤OB−I
を1.0重量%となるよう混練してチップ化したものを
ポリエステルE1 とした。 (高粘度ポリエステルの製造)ポリエステルA1 につい
て固相重合を行い、極限粘度0.75のポリエステルF
1 を得た。
【0029】(積層ポリエステルフィルムの製造方法)
ポリエステルD1 :ポリエステルE1 :ポリエステルC
1 :ポリエステルF1=50:2.0:16.5:3
1.5(重量比)となるようブレンドしブレンドポリエ
ステルIとした(極限粘度は0.62であった)。ポリ
エステルD1 :ポリエステルA1 :ポリエステルB1 =
12.2:54.5:33.3(実験No.1),1
2.2:67.8:20(実験No.2),12.2:
77.8:10(実験No.3)となるようブレンドし
ブレンドII−(1),II−(2),II−(3)とした
(極限粘度はいずれも0.58であった)。
【0030】上記で得たブレンドIとブレンドIIを別々
のサイロに貯蔵した後、窒素置換したパドルドライヤー
で乾燥して、ブレンドIをサブ押出機へブレンドIIをメ
イン押出機に送り込んだ。ここでメインおよびサブの押
出機ともに通常のシングルの押出機を用いた。サブ押出
機のポリマーをフィルムの表裏二層に分岐した後、ギヤ
ポンプ、フィルターを介して、メイン押出機からのポリ
マーとフィードブロックで合流させ、ダイを通してキャ
スティングドラム上に引き取り、未延伸フィルムとし
た。キャスティングの際は、静電密着法を採用した。か
くして得られた二種三層の積層未延伸フィルムを縦延伸
ロールに送り込み、まずフィルム温度85℃で2.4倍
延伸した後、下記組成の塗布剤をリバースコーターを用
いて乾燥塗布厚みが0.22μmとなるようにフィルム
両面に塗布し、次いで90℃で1.25倍延伸した後、
クリップで把持してテンターに導き、125℃で横方向
に3.2倍延伸して二軸配向フィルムを得た。次いで二
軸配向フィルムを熱固定ゾーンに導き、232℃で8秒
間、巾方向に3%弛緩しながら熱固定し、15μm/1
58μm/15μmの厚み構成の二種三層の188μm
で極限粘度0.62のフィルムを得た。
【0031】(塗布剤組成) X/Y/Z=50/30/20 X:メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メチ
ロールアクリルアミド=47.5/47.5/5の組成
からなる水分散性アクリル系ポリマー(ただし、分散剤
としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルをポ
リマーに対して22重量%含有する) Y:水分散性スチレン−ブタジエン共重合体である日本
ゼオン(株)製ニポールLX−430 Z:ヘキサメトキシメチルメラミン
【0032】実施例2 実施例1において、188μmのフィルム中のTiO2
量が同一となり、またA層中のTiO2 量対OB−I対
サイロイド72の量比が一定となるよう選択して、20
μm/148μm/20μm(実験No.4)、30μ
m/128μm/30μm(実験No.5)のフィルム
を得た。 実施例3 実施例1において、ポリエステルD1 :ポリエステルE
1 :ポリエステルC1:ポリエステルF1 :ポリエステ
ルA1 =18:2.0:16.5:31.5:32(重
量比)となるようブレンドしブレンドポリエステルI´
とし、ポリエステルD1 :ポリエステルE1 :ポリエス
テルC1 :ポリエステルF1 :ポリエステルA1 :ポリ
エステルB1 =18:2.0:16.5:31.5:1
2:20(重量比)となるようブレンドしブレンドポリ
エステルII´とし、実施例1と同様にして、厚み構成3
0μm/158μm/30μmのフィルムを得た。以
上、得られたフィルムはいずれも磁気カードに加工後に
おいても、容易にそのベースフィルムを特定できるもの
であった。
【0033】
【発明の効果】本発明のフィルムによれば、偽造防止効
果の高い磁気カードが提供でき、その工業的価値は高
い。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白色顔料を含有する層(A層)を少なく
    とも一方の最外層とし、それ以外の層において粒子を含
    有する少なくとも一層(B層)を有する共押出積層二軸
    延伸ポリエステルフィルムからなる磁気カード用積層ポ
    リエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 B層中の粒子が凝集性粒子である請求項
    1に記載のフィルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001504396A (ja) * 1996-08-14 2001-04-03 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 両面白色コーティング基板としての不透明ポリエステルフィルム
US7807240B2 (en) 1996-08-14 2010-10-05 Dupont Teijin Films U.S. Limited Partnership Opaque polyester film as substrate with white coatings on both sides
JP4943617B2 (ja) * 2000-02-10 2012-05-30 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 色安定性着色高分子フィルム

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US7807240B2 (en) 1996-08-14 2010-10-05 Dupont Teijin Films U.S. Limited Partnership Opaque polyester film as substrate with white coatings on both sides
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