JPH0836127A - 変倍レンズ制御装置 - Google Patents

変倍レンズ制御装置

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JPH0836127A
JPH0836127A JP1978895A JP1978895A JPH0836127A JP H0836127 A JPH0836127 A JP H0836127A JP 1978895 A JP1978895 A JP 1978895A JP 1978895 A JP1978895 A JP 1978895A JP H0836127 A JPH0836127 A JP H0836127A
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focusing
lens
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価にして小型でしかも簡略な変倍レンズを
用いながら、変倍に伴う結像位置ずれを、自動的に迅速
且つ高精度に補正する変倍レンズ制御装置を提供する。 【構成】 最大繰出量演算部9は、ZPM8から焦点距
離情報Zp を受け、当該変倍時における合焦レンズ群F
の∞から最短撮影距離に対応する最大繰出量に相当する
値Fpxを算出する。合焦補正演算部11は、FPM7か
らのフォーカス位置情報Sx と最大繰出量演算部9から
の最大繰出量Fpxと比例定数演算部10からの比例定数
Cfpをそれぞれ受けて、補正量Dfpをフォーカス制御部
12に出力する。フォーカス制御部12は、フォーカス
カウンタ6の出力を検知しながら、フォーカスモータM
Fを駆動制御して、補正量Dfpに相応する分、フォーカ
シングレンズ群を構成する第1群、第2群レンズ2a,
2bを、その間隔を保持した状態で移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、変倍レンズ装置制御に
関し、より詳細には、同一光軸上に配設された変倍レン
ズ群および合焦レンズ群からなる変倍光学系で変倍動作
に伴って結像位置ずれを生ずる変倍レンズ制御装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ズームレンズは、ズーミングの操作をし
ても結像位置ずれ(いわゆるピント移動あるいはピント
ずれ)がないため、ズーミング操作毎にピント調整をす
る煩わしさがなく操作性がよい反面、単焦点レンズに比
べて開放絞りFナンバーが暗いため、例えば一眼レフレ
ックス式ファインダによるピント調整(合焦操作)にあ
る程度の熟練が必要とされる。近年、カメラのAF化が
進み、この問題を解決したことによってズームレンズ本
来の機動力が発揮できるようになり、操作者(ユーザ)
は作画意図に沿って構図の決定のみに注意を集中するこ
とができるようになり、頗る操作性が向上した。 一般
にズームレンズのフォーカシング(合焦操作)は、変倍
光学系の一部に配設されたフォーカシングレンズ群の移
動によって行われている。そして、ズームレンズは、全
ズーム域において同一被写体距離に対してこのフォーカ
シングレンズ群の移動量がほぼ同一である(以下、この
ことを「等量移動」と呼ぶ)という利点を有し、従って
被写体距離目盛をフォーカシングレンズ群の移動部材
(距離リング)に付設し、一方これと隣接して配設され
る固定リングに指標を付設するだけでよく、ズーミング
に応じて被写体距離目盛を変化させる必要がないという
利点がある。しかしながら、上記変倍光学系のレンズ構
成によっても異なるが、インナーフォーカシング方式お
よびリアーフォーカシング方式のズームレンズでは、上
述の等量移動が実現するという条件の下で光学設計を行
う場合、レンズ構成が複雑化するという問題があり、さ
らに広角側におけるフォーカシングレンズ群の移動量
(繰出量)が不必要に大きくなるという問題があった。
またこのことに起因してレンズの外径が大きくなり、レ
ンズおよび鏡筒が高重量化するという問題もある。
【0003】そして、上述したようにズームレンズは、
AF機能との組合せによって操作性は向上したが、あく
までもズームレンズが持つ上記等量移動の条件から逃が
れることができないため、コンパクト化、低コスト化の
実現が困難であるという問題が相変らず残されていた。
【0004】そこで、本出願人は、上述の諸問題を解決
し得るバリフォーカルレンズ制御装置に係る発明(以下
「先願発明」という)につき、先に特願昭62−013
345号として提案した。
【0005】すなわち、上記先願発明は、同一光軸上に
配設された変倍レンズ群および合焦レンズ群からなる変
倍光学系の該合焦レンズ群を至近距離から無限遠距離に
至る被写体距離に対応する上記光軸上の至近位置から無
限遠位置までの間の合焦位置に設定した後、上記変倍レ
ンズ群により上記変倍光学系の全系焦点距離を最短焦点
距離と最長焦点距離との間の任意の第1の焦点距離から
第2の焦点距離へ更新させることに伴い同一被写体に対
し結像位置ずれを生ずるバリフォーカルレンズにおい
て、上記全系焦点距離を検出する焦点距離検出手段と、
上記合焦レンズ群の上記光軸上の位置を検出する合焦レ
ンズ群位置検出手段と、上記焦点距離検出手段の出力を
受け当該焦点距離における上記合焦レンズ群の上記無限
遠位置から上記至近位置までの繰出し量を算出する最大
繰出量演算手段と、この最大繰出量演算手段と上記合焦
レンズ群位置検出手段の出力をそれぞれ受けてこれらの
出力の比を算出する比例定数演算手段と、この比例定数
演算手段および上記最大繰出量演算手段ならびに上記合
焦レンズ群位置検出手段の出力をそれぞれ受け上記全系
焦点距離の更新に伴って生じる上記合焦位置からの結像
位置ずれ量を補正値として算出する合焦補正演算手段
と、上記合焦レンズ群を駆動する合焦駆動手段と、上記
合焦レンズ群の移動量に対応する信号を発生する移動量
監視手段と、この移動量監視手段および上記合焦補正演
算手段の出力をそれぞれ受けて上記合焦レンズ群を上記
合焦位置に駆動するように制御する合焦制御手段と、上
記変倍レンズ群を駆動する変倍駆動手段と、別途設けら
れる起動手段からの起動信号を受けて上記変倍駆動手段
を制御する変倍制御手段とからなり、上記変倍光学系の
全系焦点距離の更新に伴う結像位置ずれを自動的に補正
するように構成されている。
【0006】このように構成された先願発明によれば、
レンズ光学系自体非常に簡素な構成で、小型、軽量且つ
安価であると共に、レンズ制御装置全体も同様に小型軽
量で且つ安価でありながら、変倍レンズ群を任意の第1
の焦点距離から第2の焦点距離へ移動させて全系の焦点
距離を更新させてもバリフォーカルレンズ特有の結像位
置ずれを瞬時に補正し合焦状態を保持することができ、
従って、使い勝手において実質上ズームレンズと同等の
ものを得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、後に詳しく
説明するが上記バリフォーカルレンズは、上記最短焦点
距離から最長焦点距離への上記全系焦点距離の変化に対
し、無限遠位置(∞位置)における合焦位置は変化せ
ず、至近位置における該合焦位置は無限遠位置から遠ざ
かるように変化するように構成されており、合焦動作
は、変倍光学系の一部に配設された複数のフォーカシン
グレンズ群をそれぞれ移動することで行うようになって
いる。そして、各フォーカシングレンズ群は、通常フォ
ーカシングレンズ群駆動用カム枠(以下「フォーカスセ
ル」という)に形成されたカム溝によって光軸方向に移
動されると共に、変倍レンズ群駆動枠(以下「変倍セ
ル」という)に形成された複数のカム溝によって所定の
レンズ間隔が設定されるようになっている。従って、変
倍レンズ群駆動用カム枠(以下「変倍セル」という)に
対して、それぞれ異なったカム溝を介して各フォーカシ
ングレンズ群が結合しているため、必然的に変倍レンズ
群とフォーカシングレンズ群の両方を駆動する機構部が
複雑となり、構成の簡素化、コストの低減化、コンパク
ト化等を図る上で障害となっていた。
【0008】本発明は、上述の事情に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、安価にして小型でしか
も簡略な光学系である変倍を用いながら、変倍に伴う結
像位置ずれを既存のAF機能と組合わせて自動的に迅速
且つ高精度に補正し得る変倍レンズ装置を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、上述の目
的を達成させるため、変倍機能をもつ変倍レンズ群と変
倍と合焦の機能をもつ少なくとも2つ以上のレンズ群か
らなる合焦レンズ群と、上記変倍レンズ群の位置を検出
する変倍レンズ群位置検出手段と上記変倍レンズ群を光
軸方向に移動させると同時に、上記合焦レンズ群の焦点
距離を変化させるべく合焦レンズ群の少なくとも1つ以
上のレンズ群を光軸方向に移動させる変倍駆動手段と上
記合焦レンズ群の焦点距離を保持したまま光軸方向に駆
動する合焦駆動手段と、上記変倍レンズ群位置検出手段
の出力から合焦レンズ群の移動量を算出する変倍合焦補
正制御手段と、からなり変倍動作時、上記変倍駆動手段
により上記変倍レンズ群を駆動し、上記変倍合焦補正制
御手段により上記合焦レンズ群を駆動することにより変
倍光学系を構成し、合焦動作時には、既存のAF機能と
組合わせて上記合焦駆動手段により上記合焦レンズ群を
駆動することを特徴とするものである。
【0010】第2の発明は、上記の目的を達成するため
に、合焦動作時には、既存のAF機能と組合わせて合焦
駆動手段により合焦レンズ群を駆動制御することによっ
て自動合焦調節を達成するカメラであって変倍動作時、
上記合焦レンズ群を構成する複数のレンズの間隔を変化
させる変倍駆動手段と上記合焦レンズ群の間隔を保持し
たまま光軸方向に駆動する合焦駆動手段と、からなり、
上記合焦レンズ群を、変倍動作時に変化した合焦レンズ
群を構成する複数のレンズの間隔を保持したまま光軸方
向に駆動することを特徴とするものである。
【0011】より具体的には、変倍駆動手段によって移
動する合焦レンズ群の位置を検出する合焦レンズ群位置
検出手段と、該合焦レンズ群位置検出手段の出力により
合焦レンズ群の間隔を保持したまま光軸方向に駆動する
合焦レンズ群の移動量を算出する変倍合焦補正制御手段
とを有することを特徴とするものである。
【0012】上記変倍レンズ群位置検出手段による位置
検出は、カメラ固定系からの位置を検出することを特徴
とするものである。
【0013】
【作用】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて具
体的に説明する。
【0014】変倍駆動手段は、変倍レンズ群を光軸方向
に移動させると同時に、合焦レンズ群の焦点距離を変化
させるべく合焦レンズ群の少なくとも1つ以上のレンズ
群を光軸方向に移動させる。そして、合焦駆動手段は、
複数の合焦レンズ群の焦点距離を一定に保持したまま光
軸方向に駆動する。変倍合焦補正制御手段は、変倍レン
ズ群位置検出手段の出力から合焦レンズ群の、、例え
ば、変倍に伴う結像位置ずれに相当する移動量を算出す
る。この変倍光学系は、変倍動作時、上記変倍駆動手段
により変倍レンズ群を駆動し、変倍合焦補正制御手段に
より合焦レンズ群を駆動するように構成してある。そし
て、合焦動作時には、既存のAF機能と組合わせて合焦
駆動手段により合焦レンズ群を駆動するようにしてい
る。
【0015】
【実施例】図1は、本発明の全体の構成を示すブロック
図である。図1において、1は変倍光学系の光軸、2は
この光軸1に沿って移動可能に該光軸1上に配設されて
上記変倍光学系を構成する変倍レンズ系としての変倍レ
ンズ群で、2a ,2b,2c ,2d ,2e は、
それぞれ単独または複数のレンズからなる第1群レン
ズ、第2群レンズ、第3群レンズ、第4群レンズおよび
第5群レンズである。そして第1群レンズ2a および
第2群レンズ2b をもって、合焦レンズ系としてのフ
ォーカシングレンズ群を構成する。この第1群、第2群
レンズ2a,2b を含み、第3群レンズ2c 〜第5
群レンズ2e をもって変倍レンズ群2を構成してい
る。尚、第2群レンズ2b を除いた変倍レンズ群2を
もって変倍構成群を構成している。また変倍レンズ群2
からなる上記変倍光学系の全系焦点距離はfである。3
はフィルム面、4は該全系焦点距離fが最長焦点距離と
しての望遠側焦点距離(以下単に「テレ側」と略記す
る)から最短焦点距離としての広角側焦点距離(以下単
に「ワイド側」と略記する)までの間の任意の焦点距離
に設定するために上記変倍構成群を駆動する変倍駆動手
段としての変倍モータMz および後述する機構部から
成る変倍駆動部、5は無限遠から至近に至る被写体距離
に対応する光軸1上の無限遠位置(∞位置)から至近位
置までの間の合焦位置に第1群レンズ2a および第2
群レンズ2b を駆動する(詳細には、第1群レンズ2
a と第2群レンズ2b の間隔を一定に保持した状態
で光軸方向に移動せしめる)合焦駆動手段としてのフォ
ーカスモータMFおよび後述する機構部からなるフォー
カス駆動部、6および7はそれぞれ上記第1群レンズ2
a および第2群レンズ2b と共に該フォーカス駆動
部5に駆動され、このうち、6はスリット円板6a が
回転駆動されることによってフォトインタラプタ6b
からその回転数に比例したパルスを発生し第1群レンズ
2a および第2群レンズ2b の光軸1上の移動量を
検出する第二の検出手段のうちの一つである第四の検出
手段としてのフォーカスカウンタ、また7は第1群レン
ズ2a および第2群レンズ2b の光軸上の位置を検
出し、その位置に比例した電圧を、フォーカス位置情報
Sx として出力する第二の検出手段のうちの一つであ
る第三の検出手段としての合焦レンズ群位置検出器(以
下「FPM」と略記する)、8は変倍構成群と共に変倍
駆動部4に駆動されて変倍レンズ系の位置を検出し、上
記全系焦点距離fに比例した電圧を、焦点距離情報Zp
として出力する第一の検出手段としての変倍レンズ群
位置検出器(以下「ZPM」と略記する)、9は上記焦
点距離情報Zp を受けてA/D変換した上で、このZ
p における∞位置から至近位置までの第1群レンズ2
a および第2群レンズ2b の移動量(すなわち繰出
量)Fpxを演算する最大繰出量演算部、10はこの最
大繰出量演算部9の出力FpxとFPM7のフォーカス
位置情報としての出力Sx とを受けて該出力Sx を
A/D変換した上でこれらの比を演算し、比例定数 C
fpを出力する比例定数演算部、11は上記3つの出力
Fpx,Cfp,Sx を受けて合焦させるための補正
量Dfpを演算する合焦補正演算部、12はフォーカス
カウンタ6の出力Dfcおよび上記合焦補正演算部11
の補正量に対応する出力Dfpを受けてフォーカス駆動
部5を制御するフォーカス制御部である。13〜15は
起動手段を構成し、13および14はいずれも変倍動作
を起動する外部操作可能な押ボタンスイッチからなる変
倍スイッチで、13は倍率アップスイッチ(以下単に
「アップスイッチ」という)、14は倍率ダウンスイッ
チ(以下単に「ダウンスイッチ」という)、15はこれ
らのスイッチ13,14の出力を受けて変倍モータMz
の回転方向を決定した上で起動信号(STR)を出力
する駆動方向判定部、16は該起動信号STRおよび出
力Fpxを受けて変倍駆動部4を制御する変倍制御部で
ある。
【0016】ここに、最大繰出量演算部9、比例定数演
算部10、合焦補正演算部11、フォーカス制御部12
および変倍制御部16をもって変倍合焦補正制御手段を
構成している。
【0017】尚、変倍動作に先立って、上記第一の検出
手段(ZPM8)および第二の検出手段(フォーカスカ
ウンタ6、FPM7)の出力を受けて、無限遠位置から
至近位置までの繰出量(最大繰出量という)および情報
Sx を演算する最大繰出量演算部9、比例定数Cfp
を演算する比例定数演算部10および、これらの演算結
果を一時記憶しておく記憶手段(図示せず)を含む機能
部分を、ここでは、初期条件演算手段と称することとす
る。
【0018】尚、+Vは電源を示し、また各部の入出力
関係は主要信号のみを示す。
【0019】さて、上述した各演算部が実行する演算内
容およびこれに関連する演算式を以下に示す。
【0020】従来のズームレンズは、変倍操作(全系焦
点距離fの更新)によってピント移動しないものと定義
されているが、本発明の基本的な考え方として、まず上
記ピント移動を許すことにする(最終的にはこのピント
移動を補正して合焦状態にする)。尚、フォーカシング
方式は取敢えず、フロントフォーカシング方式を前提と
する。最大繰出量演算部9は、無限遠位置から至近位置
までの繰出量に対応する出力をFpx、ZPM8の出力
をZp 、変倍光学系のレンズ固有の定数をそれぞれC
1 , C2 ,C3 としたとき、 なる演算式による演算を実行する。
【0021】さらに同最大繰出量演算部9は、後述する
図2の第1群レンズ2a の∞位置におけるカム線図に
対応したフォーカス位置情報Sx をSx(∞)とする
と、 なる演算式で演算する。ただし、ここでZp は上記Z
PM8の出力、A0 ,A1 ,A2 は上記同様変倍
光学系のレンズ固有の定数である。
【0022】比例定数演算部10は、該変倍駆動部4の
動作開始直前のFPM7の出力をS(i) 、上記比例
定数演算部10の出力をCfp、上記変倍駆動部4の動
作開始直前のZPM8の出力による最大繰出量演算部9
の出力をFp(i)とするとき、 なる演算式による演算を実行する。
【0023】また合焦補正演算部11は、変倍駆動部4
の動作開始後所定の時間間隔で、またはZPM8からの
出力の変化が所定量に達した時点での上記合焦補正演算
部11の出力をS(e) 、比例定数演算部10の出力
をCfp、補正すべき時点でのZPM8の出力Zp お
よび上記Sx(∞) の値をそれぞれZp1,S1とす
るとき、 S(e)=Cfp・Fp (e)+S1 (4) によって予定合焦位置S(e)を求める演算を行う。た
だし、Fp(e)は、Zp =Zp1を(1)式に代入
した値である。尚、本発明の考え方の基本となるのが次
の(5)式で、この(5)式より上記(1)〜(4)式
が導出される。
【0024】 D=(C0 ・Zp +C1 )・Sx +C2 (5) ここで、Dは被写体距離C0 ,C1 ,C2 は設計
時に定められる設定定数である。
【0025】つまり(5)式において、被写体距離Dが
変化しないようにZp ,Sxを制御する手段を実現す
れば、変倍操作によるピントを移動をなくす(補正す
る)ことが可能になる。ただし、フォーカシングレンズ
群の移動量は上記等量移動とはならない。換言すれば、
本発明の理論は、積極的に等量移動という条件を外した
理論であると言える。
【0026】図2は、図1に示した本発明装置の変倍構
成群の動きを示すカム線図で、例えばワイド側からテレ
側へ全系焦点距離fを更新した場合を示している。Sx
は、第三の検出手段の出力である上述のフォーカス位
置情報Sx であり、この図面においてはフォーカシン
グレンズ群(第1群レンズ2a および第2群レンズ2
b )の被写体距離に対応した繰出量(移動量)を示し
ている。Zp は同じく第一の検出手段の出力である上
述の焦点距離情報Zp で、この図面では変倍レンズ群
2の変倍動作による移動量を第4群レンズ2d をその
代表として示してある。また、この図面において1はワ
イド側における上記光軸1′は、テレ側における上記光
軸である。
【0027】図3は、図1では具体的に示さなかった変
倍駆動部4およびフォーカス駆動部5の機構部の構成を
示す縦断側面図、図4〜図8(ただし、図5(b)は除
く)は、図3の各部を拡大して示す部分平面図、図5
(b)は、図5(a)のA−A′線部分断面図である。
【0028】図3において、17および18〜20は、
第1群レンズ2a および第3群レンズ2c 〜第5群
レンズ2e をそれぞれ固定支持する第1群セルおよび
第3群セル〜第5群セルである。21および22〜24
は、それぞれ光軸1と略直交する方向で第1群セル17
および第3群セル18〜第5群セル20にそれぞれ突設
された第1ピンおよび第3ピン〜第5ピンである。25
は不動部材である断面円筒形状の固定セルであり、26
はこの固定セル25の前半部、27はこの前半部26よ
り小径とされた同じく固定セル25の後半部、28およ
び29〜31は、それぞれ第1ピン21および第3ピン
22〜第5ピン24が嵌入し得る幅を有する、固定セル
25上の位置に穿設された固定セル25の直線カム溝で
ある。32は固定セル25の後半部27の外周に光軸方
向への移動が阻止された状態で回動可能に嵌入されてい
る変倍セルであり、33a はこの変倍セル32の後端
部のフランジ部の外周に形成されたギア部、33b は
同じく変倍セル32の前端部に光軸1に略直交して突設
された回転伝達ピン、34は固定セル25の前半部26
の内周に回動可能にしかも光軸方向にも移動可能に嵌入
された変倍伝達セル、34a はこの変倍伝達セル34
の少なくとも上記光軸方向の移動量に対応する長さを有
し、回転伝達ピン33b が嵌入可能な幅を有する、該
変倍伝達セル34の後端部から光軸1に沿って形成され
た切欠部、35は第2群レンズ2bを該変倍伝達セル3
4に固定するための固定部、36は第1ピン21が嵌入
し得る幅でもって、変倍伝達セル34に穿設されたカム
溝、37〜39は同様に第3ピン22〜第5ピン24が
それぞれ嵌入し得る幅でもって変倍セル32にそれぞれ
穿設されたカム溝、40は上記固定セル25の前段部2
6の外周に光軸方向にのみ移動可能に嵌入されたフォー
カス伝達セル、40a および40b は、このフォー
カス伝達セル40の外周および内周から光軸1に直交す
る方向にそれぞれ突設されたフォーカスピン、 41お
よび42は、それぞれ上記フォーカスピン40b が嵌
入し得る幅をもって固定セル25の前半部26上および
変倍伝達セル34にそれぞれ穿設された直線カム溝およ
びカム溝、43は上記フォーカス伝達セル40の外周に
回転可能に嵌入され光軸方向の移動が規制されているフ
ォーカスセル、43a はこのフォーカスセル43の後
端部に設けられたフランジ部の外周に形成されたギア
部、43b は上記フォーカスピン40a が嵌入し得
る幅をもって上記フォーカスセル43に形成されたカム
溝、44は図1で説明したフォーカスモータMF、44
a はこのフォーカスモータMFに駆動されフォーカス
セル43のギア部43a と噛合する原動ギア、45は
変倍モータMzで、45a は変倍セル32のギア部3
3a と噛合し変倍モータMz により駆動される原動
ギアである。尚、以下の図4〜図8において、上記図3
と同一部位には同一符号を付して重複した説明は省略す
る。
【0029】図4は、固定セル25の後半部27の直線
カム溝29〜31と変倍セル32のカム溝37〜39と
の関係を示す平面図で、上記直線カム溝29〜31はそ
れぞれ光軸方向に沿う長孔に形成され、変倍セル32の
カム溝37〜39は変倍レンズ群2の設計時に定められ
るカム線図に沿った形状の長孔に形成されている。
【0030】図5のうち、上段の図(a)および下段の
図(b)は、変倍セル32と変倍伝達セル34との連結
部を拡大して示すもので、図5の(a)は図3の上記連
結部の平面図、(b)は(a)のA−A′矢視断面図で
ある。
【0031】この図5の(a)および(b)において、
切欠部34a は光軸1に沿う直線の長孔状の切欠とさ
れ、回転伝達ピン33b がこの切欠部34a に嵌入
されている。従って、変倍伝達セル34は、光軸方向へ
の移動に対しては変倍セル32によって位置規制され
ず、変倍セル32の回転運動のみが伝達されるように構
成されている。
【0032】図6は、固定セル25の前半部26と変倍
伝達セル34とのそれぞれのカム形状および関係を示す
第3のフォーカス伝達セル40側から見た拡大平面図で
ある。変倍伝達セル34のカム溝36は、変倍レンズ群
2の設計時定められるカム線図に沿った形に形成されて
いる。従って第1群セル17は、合焦動作とは独立的
に、変倍伝達セル34の回転運動に伴って光軸上を移動
し変倍動作を行うように構成されている。
【0033】図7は、フォーカスセル43のカム溝43
b の形状および光軸1との方向関係を示す拡大平面図
である。同図からもわかるように光軸1に対して所定の
傾斜をなす形状に形成されている。従って、フォーカス
セル43の回転運動は、フォーカスピン40a の光軸
方向の直線運動、すなわちフォーカス伝達セル40の光
軸方向の直線運動に変換されるように構成されている。
【0034】図8は、フォーカスセル40、固定セル2
5の前半部26および変倍伝達セル34との関係および
それぞれのカム溝の形状を示すフォーカスセル43側か
ら見た拡大平面図である。前半部26の直線カム溝41
は、光軸に沿う方向の直線状の長孔に形成されている。
変倍伝達セル34のカム溝42は、上記直線カム溝41
と直交するように形成されている。つまり変倍伝達セル
34の変倍動作に伴う回転運動がフォーカス伝達セル4
0のフォーカスピン40b によって規制されないよう
に構成されている。尚、図3において、固定セル25の
前半部26における直線カム溝28および同直線カム溝
41を作図の都合上同一断面のように示してあるが、直
線カム溝28と直線カム溝41とは異なる断面に位置し
ている。
【0035】図9は、図1に示す実施例の動作を説明す
るための線図である。図9において、46は、図2に示
した第1群レンズ2a の∞位置におけるカム線図に対
応する∞位置カム対応曲線(以下「∞曲線」と略記す
る)、47は同様に第1群レンズ2a の至近位置(例
えば被写体距離D=1.2 mに対応)の変化を示す至
近曲線、48は任意の被写体距離D(例えばD=3.0
m等)におけるフォーカシングレンズ群2a ,2b
の合焦位置の変化、すなわち焦点距離をワイド側とテ
レ側との間を変化させたときの合焦位置の変化を示す合
焦曲線、49,50および51はZp =Zp1とそれ
ぞれ上記∞曲線46、合焦曲線48および至近曲線47
との交点で、これらの交点49〜51のSx の値は、
それぞれS1 ,S(e) ,S3 に対応している。
52,53および54は、同様にZp =Zp0とそれ
ぞれ∞曲線46、合焦曲線48および至近曲線47との
交点で、これらの交点52〜54のSx の値はそれぞ
れS0 ,S(i) ,S2に対応している。55はZ
p =Zp1とSx =S(i) との交点、56は変
倍駆動の方向を示す矢印、57は合焦駆動の方向を示す
矢印である。
【0036】図10は、図9の∞曲線46、合焦曲線4
8および至近曲線47を、他のバリフォーカルレンズの
特性と比較しやすくするために、単に形式的に、∞位置
に規格化(正規化)して描いた線図である。尚、図9に
対応する部位には同一符号を付して重複した説明は省略
する。
【0037】このように構成された本実施例の動作を説
明する。全体の制御動作を述べる前に図3の機構部の動
作を説明する。まず変倍モータ45によって原動ギア4
5aが回転し、これに噛合するギア部33a に回転運
動が伝達されて、変倍セル32および回転伝達ピン33
b で連結された変倍伝達セル34および第2群レンズ
2b が一体的に回転を始める。第1群セル17、第5
群セル20は図6および図4に示すように、それぞれ第
1ピン21および第3ピン22〜第5ピン24は、それ
ぞれ光軸方向に沿う直線カム溝28,29,30,31
によって回転方向に対する位置規制がなされている。従
って変倍伝達セル34および変倍セル32の回転によっ
て第1ピン21および第3ピン22〜第5ピン24はそ
の回転角度とそれぞれのカム溝36〜39の形状に従っ
た量だけ光軸上を移動する。つまり、第2群レンズ2b
を除いた第1群レンズ2a 〜第5群レンズ2e の
各群が変倍作用を受け、それぞれ図2の実線で示すカム
線図に従って移動する。この変倍動作によって焦点距離
fは更新できるが同時にピントずれも発生するので、こ
れを補正しなければならない。そこで、次は合焦動作に
ついて述べる。尚、第2群レンズ2b は上記変倍動作
によっては移動しない。
【0038】フォーカスモータ44によって原動ギア4
4a が駆動され、この回転力がこの原動ギア44a
と噛合するフォーカスセル43のギア部43a に伝達
され、フォーカスセル43が回転するが、図8に示すよ
うにフォーカスピン40bが固定セル25の前半部41
に形成された直線カム溝41によって回転方向に対し位
置規制されているので、フォーカス伝達セル40も回転
方向には動けず、従って図7に示すように上記フォーカ
スセル43のカム溝43b に嵌入されたフォーカスピ
ン40a は該カム溝43b の回転角に対する図中水
平分力成分に従った量だけ光軸上を直線運動する。つま
りフォーカスセル43の回転運動がフォーカスピン40
a を介してフォーカス伝達セル40の光軸方向の直線
運動に変換され、さらにこの直線運動がフォーカスピン
40b を介して変倍伝達セル34に伝達され、第1群
レンズ2a と第2群レンズ2b は、上述の変倍動作
によって設定された(ただし第2群レンズ2b は不
動)レンズ間隔を保持した状態で変倍伝達セル34全体
が、光軸上を移動して合焦位置に至るのである。この説
明からすでに明白なように、変倍伝達セル34は変倍動
作および合焦動作のいずれにも関与していることにな
る。尚、上記変倍動作による第一の検出手段としてのZ
PM8の出力の変化が図2に示すZp であり、上記合
焦動作による第二の検出手段を構成する第三の検出手段
としてのFPM7の出力の変化が同じく図2に示すSx
である。
【0039】さて、次に図1を用いて本実施例の全体の
制御動作を図9を中心に説明する。
【0040】今、変倍レンズ群2のうち変倍構成群の位
置、すなわちZPM8の出力がZp=Zp0であり、フ
ォーカシングレンズ群2a ,2b の位置、すなわち
FPM7の出力がSx =S(i) であったとする。
ここで、まず、ワイド側からテレ側に全系焦点距離fを
更新する倍率アップ動作を起動させる。図1のアップス
イッチ13が押されることによって駆動方向判定部15
から変倍方向の情報を含む起動信号(STR)が出力さ
れる。この時点では、初期条件演算手段としての機能を
果たす最大繰出量演算部9がZPM8の出力(Zp )
を受けてA/D変換し、比例定数演算部10がFPM7
の出力(Sx )を受けてA/D変換する。そしてそれ
ぞれの値は、上述のようにZp =Zp0、Sx =S
(i)である。∞位置の合焦位置が焦点距離fによって
変らない図10に示すような特性を有するバリフォーカ
ルレンズの場合には、(1)式によってZp =Zp0
における最大繰出量Fpx=Fp(i)が求められる。
つまり図10の交点52〜交点54に至る長さである。
従って、本実施例である図9においても(1)式によっ
て交点52〜交点54に至る長さが最大繰出量Fpx
(=Fp(i))として求めることができる。さらに、
最大繰出量演算部9は、(2)式によってZp =Zp
0における∞曲線46の交点52の位置(座標)をSx
(∞) =S0 として算出する。次に、比例定数演算
部10は、このS0 および上記最大繰出量Fp(i)
ならびにSx =S(i) と(3)式によって比例定
数Cfpを算出する。このようにして求めた合焦レンズ
系の初期条件としての、Fpx=Fp(i)、Sx
(∞)=S0 、Cfpは、図示しない初期条件演算手
段の記憶手段に一時記録されるそこで変倍制御部16に
よって上述の変倍方向の情報と起動信号(STR)によ
って変倍モータMz を倍率アップの方向に始動させ
る。変倍構成群は図9の矢印56の方向に移動し交点5
5に達した時点でアップスイッチ13がOFF状態にな
ったとすると、ここで変倍制御部16は変倍モータMz
を停止させる。この時点においてZp =Zp1にな
っており、フォーカスモータMFはまだ始動していない
ので依然としてSx =S(i) である。ここで上述
と同様に最大繰出量演算部9は、Zp =Zp1を受け
て(1)式により交点49から交点51に至る長さであ
る最大繰出量Fpx=Fp(e)を算出し、さらに∞曲
線46の交点49のSx 座表を(2)式によってSx
(∞) =S1 として算出する。そして合焦補正演算
部11は、このS1 および先に求めた比例定数Cfp
ならびに上記Fp(e)と(4)式によって交点50で
示される予定合焦位置S(e) を算出する。そしてフ
ォーカス制御部12は、図9の矢印57で示す方向にフ
ォーカシングレンズ群2a ,2b を駆動するように
フォーカスモータMFを制御し、これに伴って変化する
FPM7の出力Sx を合焦補正演算部11を介して監
視し、該出力Sx がSx =S(e)となった時点で
フォーカスモータMFを停止し、倍率アップ動作および
合焦補正動作を終了する。尚、倍率ダウン動作は、上述
の動作と逆になるだけで、容易に類推し得るので説明は
省略する。
【0041】このように、本実施例においては、第2群
レンズ2b を変倍伝達セル34に固定したので、簡略
な光学系であるバリフォーカルレンズがさらに簡略化さ
れている。しかも第2群レンズ2b を変倍動作によっ
て変化しないように構成したことによる∞位置の合焦位
置が変化する特性を有するにも拘らず比例演算によって
容易に予定合焦位置を算出し、この合焦位置にフォーカ
シングレンズ群 2a,2b を駆動できる利点があ
る。
【0042】また、従来のズームレンズにおける上記等
量移動の条件を外し、各被写体距離における合焦位置の
変化が(5)式となるように構成したから、ワイド側で
のフォーカシングレンズ群2a ,2b の移動量が不
必要に大きくならない利点がある。従って、レンズ外径
を極力小さくできる利点がある。しかも見かけ上(使用
上)は、従来のズームレンズと同様に一旦合焦せしめた
後、変倍操作を行なってもピント移動(ボケ)が発生し
ない利点がある。
【0043】また、第2群レンズ2b を変倍伝達セル
34に固定したので、第2群レンズ用のセルが省略で
き、且つ、加工の厄介なカム溝を変倍伝達セル34に形
成する必要が無くなり、従って、構成の簡略化と、コス
トの低減化を実現することができる。さらに加えて、第
2群レンズ2b を変倍駆動する必要がないので、その
分、摩擦力が軽減され、従って駆動ロスの低減化を併せ
て実現することができる。
【0044】また、従来のカムによる機械的な合焦の補
正を電気的に行なうので、また上述のようにレンズ外径
を極力小さくでき、鏡胴構成も簡略化でき、従ってフォ
ーカシングレンズ群を駆動するモータが小容量のもので
足り、装置全体の小型化、軽量化、低コスト化が実現で
きる利点がある。特にカメラと本装置を連動させて用い
る場合には、カメラのAF用回路が共用できるので、さ
らにコストを低下させることができる利点がある。
【0045】尚、本発明は、上述の実施例に限定される
ことなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の
変形実施ができるものである。
【0046】例えば、変倍伝達セル34に固定するセル
は、第1群セル17であってもよい。
【0047】また、変倍動作と合焦動作の両動作に関与
しているのは、変倍伝達セル34であるが、図3に示す
ようにフォーカスカウンタ6およびFPM7は、原動ギ
ア44a と連結する構成とする例に限らず、フォーカ
スセル43およびフォーカス伝達セル40の光軸方向移
動量を検出するように構成してもよい。
【0048】また、同様にZPM8は、原動ギア45a
に連結する構成とする例に限らず、変倍セル32また
は変倍伝達セル34の回転角あるいは、第3群セル19
〜第5群セル21のうちいずれかの光軸方向移動量を検
出するように構成してもよい。
【0049】また、フォーカスモータ44および変倍モ
ータ45は、それぞれ原動ギア44a および45a
に直結することなく減速機構等を介して駆動してもよ
い。
【0050】また、予定合焦位置S(e) は、第三の
検出手段としてのFPM7の出力Sx と比較するに限
らず、第四の検出手段としてのフォーカスカウンタ6の
出力Dfcと比較してもよく、つまり、Sx = Df
cとなった時点でフォーカスモータMFを停止するよう
に構成してもよい。
【0051】一般に第四の検出手段としてのFPM7を
ポテンショメータ、フォーカスカウンタ6をロータリエ
ンコーダ等でそれぞれ構成した場合、フォーカスカウン
タ6の方が精度が高いので、上記の場合、予定合焦位置
S(e) への駆動がより正確になる利点がある。
【0052】また、(2)式による演算は、例えば図9
の∞曲線46をZp の値によって4分割にし、この4
つの区間を直線で近似し、それぞれ当該区間の近似式に
よってSx(∞) を算出してもよい。例えばf=35
mmに対応するZp の値を0とし、f=135mmに
対応するZp の値を31とし、また、至近位置に対応
するFp の値を0とし、∞位置に対応するFp の値
を31とするとき、各区間〜の近似式は次のように
なる。
【0053】 また、(1)式および(2)式をテーラー展開した形式
の演算式Fpx=a0+a1Zp+a2Zp2……にし
てもよい。ここで、a0 ,a1 ,a2 ,……は、
設計時に定められる設定定数である。
【0054】また、一般にテレ側とワイド側のストップ
位置において、ズームカムとストップ部材の圧力角、即
ちストップ強度の問題から(1)式のような演算式では
テレ側、ワイド側では近似できない場合が発生する。そ
の場合には、Zp のゾーンを3ゾーンにわけ、それぞ
れにゾーン分けして、近似式を作ることにより、行なう
ことができる。
【0055】また、(1)式および(2)式等も演算に
限らずCPU、ROM内にそのデータを記憶させておく
こともできる。
【0056】
【発明の効果】以上詳しく説明したように本発明によれ
ば、結像位置ずれを生ずるような変倍レンズを用いなが
ら、合焦レンズ系の初期条件を予め演算し且つ記憶して
おくことにより、演算処理が効率化され当該結像位置ず
れを速やかに且つ正確に補正し得る変倍レンズ装置装置
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバリフォーカルレンズ制御装置の
一実施例の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に用いられるバリフォーカルレンズの特
性である設定すべき焦点距離fの変化と各レンズ群の動
き方を示す線図である。
【図3】本発明の要部で、図1の変倍駆動部およびフォ
ーカス駆動部の具体的な構成を示す縦断側面図である。
【第4】固定セルの直線カム溝と変倍セルとのそれぞれ
のカム形状および関係を示す平面図である。
【図5】変倍セルと変倍伝達セルとの連結部を拡大して
示す平面図およびその平面図のA−A′矢視断面図であ
る。
【図6】固定セルと変倍伝達セルとのそれぞれのカム形
状および関係を示す平面図である。
【図7】フォーカスセルのカム形状および光軸との方向
関係を示す平面図である。
【図8】フォーカスセル、固定セルおよび変倍伝達セル
とのそれぞれのカム形状を示す平面図である。
【図9】図1の実施例の全体の動作を説明するための線
図である。
【図10】図9の線図を形式的に他のバリフォーカルレ
ンズの特性に近似させて描いた線図である。
【符号の説明】
1 光軸 2 変倍レンズ群 2a 〜2e 第1群〜第5群レンズ 3 フィルム面 4 変倍駆動部 5 フォーカス駆動部 6 フォーカスカウンタ 7 合群レンズ群位置検出器(FPM) 8 焦点距離検出器(ZPM) 9 最大繰出量演算部 10 比例定数演算部 11 合焦補正演算部 12 フォーカス制御部 13 倍率アップスイッチ(アップスイッチ) 14 倍率ダウンスイッチ(ダウンスイッチ) 15 駆動方向判定部 16 変倍制御部 Mz ,45 変倍モータ MF,44 フォーカスモータ +V電源 17 第1群セル 18〜20 第3群セル〜第5群セル 21 第1ピン 22〜24 第3ピン〜第5ピン 25 固定セル 26 前半部 27 後半部 28〜31,41 固定セルの直線カム溝 32 変倍セル 33a ギア部 33b 回転伝達ピン 34 変倍伝達セル 34a 切欠部 35 固定部 36,42 変倍伝達セルのカム溝 37〜39 変倍セルのカム溝 40 フォーカス伝達セル 40a ,40b フォーカスピン 43 フォーカスセル 46 ∞位置カム対応曲線(∞曲線) 47 至近曲線 48 合焦曲線 49〜55 交点 56 変倍駆動の方向を示す矢印 57 合焦駆動の方向を示す矢印
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年1月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 変倍レンズ制御装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、変倍レンズ制御装置
関し、より詳細には、同一光軸上に配設された変倍レン
ズ群および合焦レンズ群からなる変倍光学系で変倍動作
に伴って結像位置ずれを生ずる変倍レンズ制御装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ズームレンズは、ズーミングの操作をし
ても結像位置ずれ(いわゆるピント移動あるいはピント
ずれ)がないため、ズーミング操作毎にピント調整をす
る煩わしさがなく操作性がよい反面、単焦点レンズに比
べて開放絞りFナンバーが暗いため、例えば一眼レフレ
ックス式ファインダによるピント調整(合焦操作)にあ
る程度の熟練が必要とされる。近年、カメラのAF化が
進み、この問題を解決したことによってズームレンズ本
来の機動力が発揮できるようになり、操作者(ユーザ)
は作画意図に沿って構図の決定のみに注意を集中するこ
とができるようになり、頗る操作性が向上した。 一般
にズームレンズのフォーカシング(合焦操作)は、変倍
光学系の一部に配設されたフォーカシングレンズ群の移
動によって行われている。そして、ズームレンズは、全
ズーム域において同一被写体距離に対してこのフォーカ
シングレンズ群の移動量がほぼ同一である(以下、この
ことを「等量移動」と呼ぶ)という利点を有し、従って
被写体距離目盛をフォーカシングレンズ群の移動部材
(距離リング)に付設し、一方これと隣接して配設され
る固定リングに指標を付設するだけでよく、ズーミング
に応じて被写体距離目盛を変化させる必要がないという
利点がある。しかしながら、上記変倍光学系のレンズ構
成によっても異なるが、インナーフォーカシング方式お
よびリアーフォーカシング方式のズームレンズでは、上
述の等量移動が実現するという条件の下で光学設計を行
う場合、レンズ構成が複雑化するという問題があり、さ
らに広角側におけるフォーカシングレンズ群の移動量
(繰出量)が不必要に大きくなるという問題があった。
またこのことに起因してレンズの外径が大きくなり、レ
ンズおよび鏡筒が高重量化するという問題もある。
【0003】そして、上述したようにズームレンズは、
AF機能との組合せによって操作性は向上したが、あく
までもズームレンズが持つ上記等量移動の条件から逃が
れることができないため、コンパクト化、低コスト化の
実現が困難であるという問題が相変らず残されていた。
【0004】そこで、本出願人は、上述の諸問題を解決
し得るバリフォーカルレンズ制御装置に係る発明(以下
「先願発明」という)につき、先に特願昭62−013
345号として提案した。
【0005】すなわち、上記先願発明は、同一光軸上に
配設された変倍レンズ群および合焦レンズ群からなる変
倍光学系の該合焦レンズ群を至近距離から無限遠距離に
至る被写体距離に対応する上記光軸上の至近位置から無
限遠位置までの間の合焦位置に設定した後、上記変倍レ
ンズ群により上記変倍光学系の全系焦点距離を最短焦点
距離と最長焦点距離との間の任意の第1の焦点距離から
第2の焦点距離へ更新させることに伴い同一被写体に対
し結像位置ずれを生ずるバリフォーカルレンズにおい
て、上記全系焦点距離を検出する焦点距離検出手段と、
上記合焦レンズ群の上記光軸上の位置を検出する合焦レ
ンズ群位置検出手段と、上記焦点距離検出手段の出力を
受け当該焦点距離における上記合焦レンズ群の上記無限
遠位置から上記至近位置までの繰出し量を算出する最大
繰出量演算手段と、この最大繰出量演算手段と上記合焦
レンズ群位置検出手段の出力をそれぞれ受けてこれらの
出力の比を算出する比例定数演算手段と、この比例定数
演算手段および上記最大繰出量演算手段ならびに上記合
焦レンズ群位置検出手段の出力をそれぞれ受け上記全系
焦点距離の更新に伴って生じる上記合焦位置からの結像
位置ずれ量を補正値として算出する合焦補正演算手段
と、上記合焦レンズ群を駆動する合焦駆動手段と、上記
合焦レンズ群の移動量に対応する信号を発生する移動量
監視手段と、この移動量監視手段および上記合焦補正演
算手段の出力をそれぞれ受けて上記合焦レンズ群を上記
合焦位置に駆動するように制御する合焦制御手段と、上
記変倍レンズ群を駆動する変倍駆動手段と、別途設けら
れる起動手段からの起動信号を受けて上記変倍駆動手段
を制御する変倍制御手段とからなり、上記変倍光学系の
全系焦点距離の更新に伴う結像位置ずれを自動的に補正
するように構成されている。
【0006】このように構成された先願発明によれば、
レンズ光学系自体非常に簡素な構成で、小型、軽量且つ
安価であると共に、レンズ制御装置全体も同様に小型軽
量で且つ安価でありながら、変倍レンズ群を任意の第1
の焦点距離から第2の焦点距離へ移動させて全系の焦点
距離を更新させてもバリフォーカルレンズ特有の結像位
置ずれを瞬時に補正し合焦状態を保持することができ、
従って、使い勝手において実質上ズームレンズと同等の
ものを得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、後に詳しく
説明するが上記バリフォーカルレンズは、上記最短焦点
距離から最長焦点距離への上記全系焦点距離の変化に対
し、無限遠位置(∞位置)における合焦位置は変化せ
ず、至近位置における該合焦位置は無限遠位置から遠ざ
かるように変化するように構成されており、合焦動作
は、変倍光学系の一部に配設された複数のフォーカシン
グレンズ群をそれぞれ移動することで行うようになって
いる。そして、各フォーカシングレンズ群は、通常フォ
ーカシングレンズ群駆動用カム枠(以下「フォーカスセ
ル」という)に形成されたカム溝によって光軸方向に移
動されると共に、変倍レンズ群駆動枠(以下「変倍セ
ル」という)に形成された複数のカム溝によって所定の
レンズ間隔が設定されるようになっている。従って、変
倍レンズ群駆動用カム枠(以下「変倍セル」という)に
対して、それぞれ異なったカム溝を介して各フォーカシ
ングレンズ群が結合しているため、必然的に変倍レンズ
群とフォーカシングレンズ群の両方を駆動する機構部が
複雑となり、構成の簡素化、コストの低減化、コンパク
ト化等を図る上で障害となっていた。
【0008】本発明は、上述の事情に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、安価にして小型でしか
も簡略な光学系である変倍レンズを用いながら、変倍に
伴う結像位置ずれを既存のAF機能と組合わせて自動的
に迅速且つ高精度に補正し得る変倍レンズ制御装置を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、上述の目
的を達成させるため、変倍機能をもつ変倍レンズ群と
変倍と合焦の機能をもつ少なくとも2つ以上のレンズ群
からなる合焦レンズ群と、上記変倍レンズ群の位置を検
出する変倍レンズ群位置検出手段と上記変倍レンズ群
を光軸方向に移動させると同時に、上記合焦レンズ群の
焦点距離を変化させるべく合焦レンズ群の少なくとも1
つ以上のレンズ群を光軸方向に移動させる変倍駆動手段
上記合焦レンズ群の焦点距離を保持したまま光軸方
向に駆動する合焦駆動手段と、上記変倍レンズ群位置検
出手段の出力から合焦レンズ群の移動量を算出する変倍
合焦補正制御手段と、からなり変倍動作時、上記変倍
駆動手段により上記変倍レンズ群を駆動し、上記変倍合
焦補正制御手段により上記合焦レンズ群を駆動すること
により変倍光学系を構成し、合焦動作時には、既存のA
F機能と組合わせて上記合焦駆動手段により上記合焦レ
ンズ群を駆動することを特徴とするものである。
【0010】第2の発明は、上記の目的を達成するため
に、合焦動作時には、既存のAF機能と組合わせて合焦
駆動手段により合焦レンズ群を駆動制御することによっ
て自動合焦調節を達成するカメラであって変倍動作
時、上記合焦レンズ群を構成する複数のレンズの間隔を
変化させる変倍駆動手段と上記合焦レンズ群の間隔を
保持したまま光軸方向に駆動する合焦駆動手段と、から
なり、上記合焦レンズ群を、変倍動作時に変化した合焦
レンズ群を構成する複数のレンズの間隔を保持したまま
光軸方向に駆動することを特徴とするものである。
【0011】より具体的には、変倍駆動手段によって移
動する合焦レンズ群の位置を検出する合焦レンズ群位置
検出手段と、該合焦レンズ群位置検出手段の出力により
合焦レンズ群の間隔を保持したまま光軸方向に駆動する
合焦レンズ群の移動量を算出する変倍合焦補正制御手段
とを有することを特徴とするものである。
【0012】上記変倍レンズ群位置検出手段による位置
検出は、カメラ固定系からの位置を検出することを特徴
とするものである。
【0013】
【作用】
【0014】変倍駆動手段は、変倍レンズ群を光軸方向
に移動させると同時に、合焦レンズ群の焦点距離を変化
させるべく合焦レンズ群の少なくとも1つ以上のレンズ
群を光軸方向に移動させる。そして、合焦駆動手段は、
複数の合焦レンズ群の焦点距離を一定に保持したまま光
軸方向に駆動する。変倍合焦補正制御手段は、変倍レン
ズ群位置検出手段の出力から合焦レンズ群の、例えば、
変倍に伴う結像位置ずれに相当する移動量を算出する。
この変倍光学系は、変倍動作時、上記変倍駆動手段によ
り変倍レンズ群を駆動し、変倍合焦補正制御手段により
合焦レンズ群を駆動するように構成してある。そして、
合焦動作時には、既存のAF機能と組合わせて合焦レン
ズ群の焦点距離を保持したまま合焦駆動手段により合焦
レンズ群を光軸方向に駆動するようにしている。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
具体的に説明する。図1は、本発明の全体の構成を示す
ブロック図である。図1において、1は変倍光学系の光
軸、2はこの光軸1に沿って移動可能に該光軸1上に配
設されて上記変倍光学系を構成する変倍レンズ系として
の変倍レンズ群で、2a ,2b,2c ,2d ,2
e は、それぞれ単独または複数のレンズからなる第1
群レンズ、第2群レンズ、第3群レンズ、第4群レンズ
および第5群レンズである。そして第1群レンズ2a
および第2群レンズ2b をもって、合焦レンズ系とし
てのフォーカシングレンズ群を構成する。この第1群、
第2群レンズ2a,2b を含み、第3群レンズ2c
〜第5群レンズ2e をもって変倍レンズ群2を構成し
ている。尚、第2群レンズ2b を除いた変倍レンズ群
2をもって変倍構成群を構成している。また変倍レンズ
群2からなる上記変倍光学系の全系焦点距離はfであ
る。3はフィルム面、4は該全系焦点距離fが最長焦点
距離としての望遠側焦点距離(以下単に「テレ側」と略
記する)から最短焦点距離としての広角側焦点距離(以
下単に「ワイド側」と略記する)までの間の任意の焦点
距離に設定するために上記変倍構成群を駆動する変倍駆
動手段としての変倍モータMz および後述する機構部
から成る変倍駆動部である。は合焦動作時に、無限遠
から至近に至る被写体距離に対応する光軸1上の無限遠
位置(∞位置)から至近位置までの間の合焦位置に第1
群レンズ2a および第2群レンズ2bを駆動する(詳
細には、第1群レンズ2a と第2群レンズ2b の間
隔を一定に保持した状態で光軸方向に移動せしめる)合
焦駆動手段としてのフォーカスモータMFおよび後述す
る機構部からなるフォーカス駆動部である。6および7
はそれぞれ上記第1群レンズ2a および第2群レンズ
2b と共に該フォーカス駆動部5に駆動され、このう
ち、6はスリット円板6a が回転駆動されることによ
ってフォトインタラプタ6b からその回転数に比例し
たパルスを発生し第1群レンズ2a および第2群レン
ズ2b の光軸1上の移動量を検出するフォーカスカウ
ンタ、また7は第1群レンズ2a および第2群レンズ
2b の光軸上の位置を検出し、その位置に比例した電
圧を、フォーカス位置情報Sx として出力する合焦レ
ンズ位置検出手段としての合焦レンズ群位置検出器(以
下「FPM」と略記する)である。8は変倍構成群と共
に変倍駆動部4に駆動されて変倍レンズ系の位置を検出
し、上記全系焦点距離fに比例した電圧を、焦点距離情
報Zp として出力する変倍レンズ群位置検出手段とし
ての変倍レンズ群位置検出器(以下「ZPM」と略記す
る)、9は上記焦点距離情報Zp を受けてA/D変換
した上で、このZp における∞位置から至近位置まで
の第1群レンズ2a および第2群レンズ2b の移動
量(すなわち繰出量)Fpxを演算する最大繰出量演算
部、10はこの最大繰出量演算部9の出力FpxとFP
M7のフォーカス位置情報としての出力Sx とを受け
て該出力Sx をA/D変換した上でこれらの比を演算
し、比例定数 Cfpを出力する比例定数演算部であ
る。11は上記3つの出力Fpx,Cfp,Sx を受
けて合焦させるための補正量Dfpを演算する合焦補正
演算部、12はフォーカスカウンタ6の出力Dfcおよ
び上記合焦補正演算部11の補正量に対応する出力Df
pを受けてフォーカス駆動部5を制御するフォーカス制
御部である。13〜15は起動手段を構成し、13およ
び14はいずれも変倍動作を起動する外部操作可能な押
ボタンスイッチからなる変倍スイッチで、13は倍率ア
ップスイッチ(以下単に「アップスイッチ」という)、
14は倍率ダウンスイッチ(以下単に「ダウンスイッ
チ」という)、15はこれらのスイッチ13,14の出
力を受けて変倍モータMz の回転方向を決定した上で
起動信号(STR)を出力する駆動方向判定部、16は
該起動信号STRおよび出力Fpxを受けて変倍駆動部
4を制御する変倍制御部である。
【0016】ここに、最大繰出量演算部9、比例定数演
算部10、合焦補正演算部11、フォーカス制御部12
および変倍制御部16をもって変倍合焦補正制御手段を
構成している。
【0017】従って、変倍合焦補正制御手段は、結果と
してZPM8の出力Zpから結果的に合焦レンズ群とし
てのフォーカシング群を合焦に至らしめるための移動量
Dfpを算出する機能を有する。そして、上記変倍駆動
部4は、変倍レンズ群2を光軸方向に移動させると同時
に、フォーカシングレンズ群2aのみを光軸方向に移動
させるように構成してある。
【0018】また、フォーカシング駆動部5は、フォー
カシングレンズ群の焦点距離を保持したまま光軸方向に
構成してある。尚、+Vは電源を示し、また各部の入出
力関係は主要信号のみを示す。
【0019】さて、上述した各演算部が実行する演算内
容およびこれに関連する演算式を以下に示す。
【0020】従来のズームレンズは、変倍操作(全系焦
点距離fの更新)によってピント移動しないものと定義
されているが、本発明の基本的な考え方として、まず上
記ピント移動を許すことにする(最終的にはこのピント
移動を補正して合焦状態にする)。尚、フォーカシング
方式は取敢えず、フロントフォーカシング方式を前提と
する。最大繰出量演算部9は、無限遠位置から至近位置
までの繰出量に対応する出力をFpx、ZPM8の出力
をZp 、変倍光学系のレンズ固有の定数をそれぞれ
1 ,C2 ,C3 としたとき、 なる演算式による演算を実行する。
【0021】さらに同最大繰出量演算部9は、後述する
図2の第1群レンズ2a の∞位置におけるカム線図に
対応したフォーカス位置情報Sx をSx(∞)とする
と、 なる演算式で演算する。ただし、ここでZp は上記Z
PM8の出力、0,A1,A2 は上記同様変倍光学系の
レンズ固有の定数である。
【0022】比例定数演算部10は、該変倍駆動部4の
動作開始直前のFPM7の出力をS(i) 、上記比例
定数演算部10の出力をCfp、上記変倍駆動部4の動
作開始直前のZPM8の出力による最大繰出量演算部9
の出力をFp(i)とするとき、 なる演算式による演算を実行する。
【0023】また合焦補正演算部11は、変倍駆動部4
の動作開始後所定の時間間隔で、またはZPM8からの
出力の変化が所定量に達した時点での上記合焦補正演算
部11の出力をS(e) 、比例定数演算部10の出力
をCfp、補正すべき時点でのZPM8の出力Zp お
よび上記Sx(∞) の値をそれぞれZp1 1 とする
とき、 S(e)=Cfp・Fp (e)+S1 (4) によって予定合焦位置S(e)を求める演算を行う。た
だし、Fp(e)は、Zp =Zp1 を(1)式に代入
した値である。尚、本発明の考え方の基本となるのが次
の(5)式で、この(5)式より上記(1)〜(4)式
が導出される。
【0024】 D=(C0 ・Zp +C1 )・Sx +C2 (5) ここで、Dは被写体距離0 ,C1 ,C2 は設計時
に定められる設定定数である。
【0025】つまり(5)式において、被写体距離Dが
変化しないようにZp ,Sxを制御する手段を実現す
れば、変倍操作によるピントを移動をなくす(補正す
る)ことが可能になる。ただし、フォーカシングレンズ
群の移動量は上記等量移動とはならない。換言すれば、
本発明の理論は、積極的に等量移動という条件を外した
理論であると言える。
【0026】図2は、図1に示した本発明装置の変倍構
成群の動きを示すカム線図で、例えばワイド側からテレ
側へ全系焦点距離fを更新した場合を示している。Sx
は、合焦レンズ群位置検出手段の出力である上述のフ
ォーカス位置情報Sx であり、この図面においてはフ
ォーカシングレンズ群(第1群レンズ2a および第2
群レンズ2b )の被写体距離に対応した繰出量(移動
量)を示している。Zp は同じく変倍レンズ群位置
出手段の出力である上述の焦点距離情報Zpで、この図
面では変倍レンズ群2の変倍動作による移動量を第4群
レンズ2dをその代表として示してある。また、この図
面において1はワイド側における上記光軸1′は、テレ
側における上記光軸である。
【0027】図3は、図1では具体的に示さなかった変
倍駆動部4およびフォーカス駆動部5の機構部の構成を
示す縦断側面図、図4〜図8(ただし、図5(b)は除
く)は、図3の各部を拡大して示す部分平面図、図5
(b)は、図5(a)のA−A′線部分断面図である。
【0028】図3において、17および18〜20は、
第1群レンズ2a および第3群レンズ2c 〜第5群
レンズ2e をそれぞれ固定支持する第1群セルおよび
第3群セル〜第5群セルである。21および22〜24
は、それぞれ光軸1と略直交する方向で第1群セル17
および第3群セル18〜第5群セル20にそれぞれ突設
された第1ピンおよび第3ピン〜第5ピンである。25
は不動部材である断面円筒形状の固定セルであり、26
はこの固定セル25の前半部、27はこの前半部26よ
り小径とされた同じく固定セル25の後半部、28およ
び29〜31は、それぞれ第1ピン21および第3ピン
22〜第5ピン24が嵌入し得る幅を有する、固定セル
25上の位置に穿設された固定セル25の直線カム溝で
ある。32は固定セル25の後半部27の外周に光軸方
向への移動が阻止された状態で回動可能に嵌入されてい
る変倍セルであり、33a はこの変倍セル32の後端
部のフランジ部の外周に形成されたギア部、33b は
同じく変倍セル32の前端部に光軸1に略直交して突設
された回転伝達ピン、34は固定セル25の前半部26
の内周に回動可能にしかも光軸方向にも移動可能に嵌入
された変倍伝達セル、34a はこの変倍伝達セル34
の少なくとも上記光軸方向の移動量に対応する長さを有
し、回転伝達ピン33b が嵌入可能な幅を有する、該
変倍伝達セル34の後端部から光軸1に沿って形成され
た切欠部、35は第2群レンズ2bを該変倍伝達セル3
4に固定するための固定部、36は第1ピン21が嵌入
し得る幅でもって、変倍伝達セル34に穿設されたカム
溝、37〜39は同様に第3ピン22〜第5ピン24が
それぞれ嵌入し得る幅でもって変倍セル32にそれぞれ
穿設されたカム溝、40は上記固定セル25の前段部2
6の外周に光軸方向にのみ移動可能に嵌入されたフォー
カス伝達セル、40a および40b は、このフォー
カス伝達セル40の外周および内周から光軸1に直交す
る方向にそれぞれ突設されたフォーカスピン、 41お
よび42は、それぞれ上記フォーカスピン40b が嵌
入し得る幅をもって固定セル25の前半部26上および
変倍伝達セル34にそれぞれ穿設された直線カム溝およ
びカム溝、43は上記フォーカス伝達セル40の外周に
回転可能に嵌入され光軸方向の移動が規制されているフ
ォーカスセル、43a はこのフォーカスセル43の後
端部に設けられたフランジ部の外周に形成されたギア
部、43b は上記フォーカスピン40a が嵌入し得
る幅をもって上記フォーカスセル43に形成されたカム
溝、44は図1で説明したフォーカスモータMF、44
a はこのフォーカスモータMFに駆動されフォーカス
セル43のギア部43a と噛合する原動ギア、45は
変倍モータMzで、45a は変倍セル32のギア部3
3a と噛合し変倍モータMz により駆動される原動
ギアである。尚、以下の図4〜図8において、上記図3
と同一部位には同一符号を付して重複した説明は省略す
る。
【0029】図4は、固定セル25の後半部27の直線
カム溝29〜31と変倍セル32のカム溝37〜39と
の関係を示す平面図で、上記直線カム溝29〜31はそ
れぞれ光軸方向に沿う長孔に形成され、変倍セル32の
カム溝37〜39は変倍レンズ群2の設計時に定められ
るカム線図に沿った形状の長孔に形成されている。
【0030】図5のうち、上段の図(a)および下段の
図(b)は、変倍セル32と変倍伝達セル34との連結
部を拡大して示すもので、図5の(a)は図3の上記連
結部の平面図、(b)は(a)のA−A′矢視断面図で
ある。
【0031】この図5の(a)および(b)において、
切欠部34a は光軸1に沿う直線の長孔状の切欠とさ
れ、回転伝達ピン33b がこの切欠部34a に嵌入
されている。従って、変倍伝達セル34は、光軸方向へ
の移動に対しては変倍セル32によって位置規制され
ず、変倍セル32の回転運動のみが伝達されるように構
成されている。
【0032】図6は、固定セル25の前半部26と変倍
伝達セル34とのそれぞれのカム形状および関係を示す
第3のフォーカス伝達セル40側から見た拡大平面図で
ある。変倍伝達セル34のカム溝36は、変倍レンズ群
2の設計時定められるカム線図に沿った形に形成されて
いる。従って第1群セル17は、合焦動作とは独立的
に、変倍伝達セル34の回転運動に伴って光軸上を移動
し変倍動作を行うように構成されている。
【0033】図7は、フォーカスセル43のカム溝43
b の形状および光軸1との方向関係を示す拡大平面図
である。同図からもわかるように光軸1に対して所定の
傾斜をなす形状に形成されている。従って、フォーカス
セル43の回転運動は、フォーカスピン40a の光軸
方向の直線運動、すなわちフォーカス伝達セル40の光
軸方向の直線運動に変換されるように構成されている。
【0034】図8は、フォーカスセル40、固定セル2
5の前半部26および変倍伝達セル34との関係および
それぞれのカム溝の形状を示すフォーカスセル43側か
ら見た拡大平面図である。前半部26の直線カム溝41
は、光軸に沿う方向の直線状の長孔に形成されている。
変倍伝達セル34のカム溝42は、上記直線カム溝41
と直交するように形成されている。つまり変倍伝達セル
34の変倍動作に伴う回転運動がフォーカス伝達セル4
0のフォーカスピン40b によって規制されないよう
に構成されている。尚、図3において、固定セル25の
前半部26における直線カム溝28および同直線カム溝
41を作図の都合上同一断面のように示してあるが、直
線カム溝28と直線カム溝41とは異なる断面に位置し
ている。
【0035】図9は、図1に示す実施例の動作を説明す
るための線図である。図9において、46は、図2に示
した第1群レンズ2a の∞位置におけるカム線図に対
応する∞位置カム対応曲線(以下「∞曲線」と略記す
る)、47は同様に第1群レンズ2a の至近位置(例
えば被写体距離D=1.2 mに対応)の変化を示す至
近曲線、48は任意の被写体距離D(例えばD=3.0
m等)におけるフォーカシングレンズ群2a ,2b
の合焦位置の変化、すなわち焦点距離をワイド側とテ
レ側との間を変化させたときの合焦位置の変化を示す合
焦曲線、49,50および51はZp =Zp1 とそれ
ぞれ上記∞曲線46、合焦曲線48および至近曲線47
との交点で、これらの交点49〜51のSx の値は、
それぞれ1 ,S(e) ,S3 に対応している。
52,53および54は、同様にZp =Zp0 とそれ
ぞれ∞曲線46、合焦曲線48および至近曲線47との
交点で、これらの交点52〜54のSx の値はそれぞ
0 ,S(i) ,S2に対応している。55はZ
p =Zp1 とSx =S(i) との交点、56は変
倍駆動の方向を示す矢印、57は合焦駆動の方向を示す
矢印である。
【0036】図10は、図9の∞曲線46、合焦曲線4
8および至近曲線47を、他のバリフォーカルレンズの
特性と比較しやすくするために、単に形式的に、∞位置
に規格化(正規化)して描いた線図である。尚、図9に
対応する部位には同一符号を付して重複した説明は省略
する。
【0037】このように構成された本実施例の動作を説
明する。全体の制御動作を述べる前に図3の機構部の動
作を説明する。まず変倍モータ45によって原動ギア4
5aが回転し、これに噛合するギア部33a に回転運
動が伝達されて、変倍セル32および回転伝達ピン33
b で連結された変倍伝達セル34および第2群レンズ
2b が一体的に回転を始める。第1群セル17、第5
群セル20は図6および図4に示すように、それぞれ第
1ピン21および第3ピン22〜第5ピン24は、それ
ぞれ光軸方向に沿う直線カム溝28,29,30,31
によって回転方向に対する位置規制がなされている。従
って変倍伝達セル34および変倍セル32の回転によっ
て第1ピン21および第3ピン22〜第5ピン24はそ
の回転角度とそれぞれのカム溝36〜39の形状に従っ
た量だけ光軸上を移動する。つまり、第2群レンズ2b
を除いた第1群レンズ2a 〜第5群レンズ2e の
各群が変倍作用を受け、それぞれ図2の実線で示すカム
線図に従って移動する。この変倍動作によって焦点距離
fは更新できるが同時にピントずれも発生するので、こ
れを補正しなければならない。そこで、次は合焦動作に
ついて述べる。尚、第2群レンズ2b は上記変倍動作
によっては移動しない。
【0038】フォーカスモータ44によって原動ギア4
4a が駆動され、この回転力がこの原動ギア44a
と噛合するフォーカスセル43のギア部43a に伝達
され、フォーカスセル43が回転するが、図8に示すよ
うにフォーカスピン40bが固定セル25の前半部41
に形成された直線カム溝41によって回転方向に対し位
置規制されているので、フォーカス伝達セル40も回転
方向には動けず、従って図7に示すように上記フォーカ
スセル43のカム溝43b に嵌入されたフォーカスピ
ン40a は該カム溝43b の回転角に対する図中水
平分力成分に従った量だけ光軸上を直線運動する。つま
りフォーカスセル43の回転運動がフォーカスピン40
a を介してフォーカス伝達セル40の光軸方向の直線
運動に変換され、さらにこの直線運動がフォーカスピン
40b を介して変倍伝達セル34に伝達され、第1群
レンズ2a と第2群レンズ2b は、上述の変倍動作
によって設定された(ただし第2群レンズ2b は不
動)レンズ間隔を保持した状態で変倍伝達セル34全体
が、光軸上を移動して合焦位置に至るのである。この説
明からすでに明白なように、変倍伝達セル34は変倍動
作および合焦動作のいずれにも関与していることにな
る。尚、上記変倍動作によるZPM8の出力の変化が図
2に示すZp であり、上記合焦動作によるFPM7の
出力の変化が同じく図2に示すSx である。
【0039】さて、次に図1を用いて本実施例の全体の
制御動作を図9を中心に説明する。
【0040】今、変倍レンズ群2のうち変倍構成群の位
置、すなわちZPM8の出力がZp=Zp0 であり、フ
ォーカシングレンズ群2a ,2b の位置、すなわち
FPM7の出力がSx =S(i) であったとする。
ここで、まず、ワイド側からテレ側に全系焦点距離fを
更新する倍率アップ動作を起動させる。図1のアップス
イッチ13が押されることによって駆動方向判定部15
から変倍方向の情報を含む起動信号(STR)が出力さ
れる。この時点では、初期条件演算手段としての機能を
果たす最大繰出量演算部9がZPM8の出力(Zp )
を受けてA/D変換し、比例定数演算部10がFPM7
の出力(Sx )を受けてA/D変換する。そしてそれ
ぞれの値は、上述のようにZp =Zp0 、Sx =S
(i)である。∞位置の合焦位置が焦点距離fによって
変らない図10に示すような特性を有するバリフォーカ
ルレンズの場合には、(1)式によってZp =Zp0
における最大繰出量Fpx=Fp(i)が求められる。
つまり図10の交点52〜交点54に至る長さである。
従って、本実施例である図9においても(1)式によっ
て交点52〜交点54に至る長さが最大繰出量Fpx
(=Fp(i))として求めることができる。さらに、
最大繰出量演算部9は、(2)式によってZp =Zp
0 における∞曲線46の交点52の位置(座標)をSx
(∞) =0 として算出する。次に、比例定数演算部
10は、この0 および上記最大繰出量Fp(i)な
らびにSx =S(i) と(3)式によって比例定数
Cfpを算出する。このようにして求めた合焦レンズ系
の初期条件としての、Fpx=Fp(i)、Sx(∞)
0 、Cfpは、図示しない初期条件演算手段の記
憶手段に一時記録されるそこで変倍制御部16によって
上述の変倍方向の情報と起動信号(STR)によって変
倍モータMz を倍率アップの方向に始動させる。変倍
構成群は図9の矢印56の方向に移動し交点55に達し
た時点でアップスイッチ13がOFF状態になったとす
ると、ここで変倍制御部16は変倍モータMz を停止
させる。この時点においてZp =Zp1 になってお
り、フォーカスモータMFはまだ始動していないので依
然としてSx =S(i) である。ここで上述と同様
に最大繰出量演算部9は、Zp =Zp1 を受けて
(1)式により交点49から交点51に至る長さである
最大繰出量Fpx=Fp(e)を算出し、さらに∞曲線
46の交点49のSx 座表を(2)式によってSx
(∞)=1 として算出する。そして合焦補正演算部
11は、この1 および先に求めた比例定数Cfpな
らびに上記Fp(e)と(4)式によって交点50で示
される予定合焦位置S(e) を算出する。そしてフォ
ーカス制御部12は、図9の矢印57で示す方向にフォ
ーカシングレンズ群2a ,2b を駆動するようにフ
ォーカスモータMFを制御し、これに伴って変化するF
PM7の出力Sxを合焦補正演算部11を介して監視
し、該出力Sx がSx =S(e) となった時点で
フォーカスモータMFを停止し、倍率アップ動作および
合焦補正動作を終了する。尚、倍率ダウン動作は、上述
の動作と逆になるだけで、容易に類推し得るので説明は
省略する。
【0041】このように、本実施例においては、第2群
レンズ2b を変倍伝達セル34に固定したので、簡略
な光学系であるバリフォーカルレンズがさらに簡略化さ
れている。しかも第2群レンズ2b を変倍動作によっ
て変化しないように構成したことによる∞位置の合焦位
置が変化する特性を有するにも拘らず比例演算によって
容易に予定合焦位置を算出し、この合焦位置にフォーカ
シングレンズ群 2a,2b を駆動できる利点があ
る。
【0042】また、従来のズームレンズにおける上記等
量移動の条件を外し、各被写体距離における合焦位置の
変化が(5)式となるように構成したから、ワイド側で
のフォーカシングレンズ群2a ,2b の移動量が不
必要に大きくならない利点がある。従って、レンズ外径
を極力小さくできる利点がある。しかも見かけ上(使用
上)は、従来のズームレンズと同様に一旦合焦せしめた
後、変倍操作を行なってもピント移動(ボケ)が発生し
ない利点がある。
【0043】また、第2群レンズ2b を変倍伝達セル
34に固定したので、第2群レンズ用のセルが省略で
き、且つ、加工の厄介なカム溝を変倍伝達セル34に形
成する必要が無くなり、従って、構成の簡略化と、コス
トの低減化を実現することができる。さらに加えて、第
2群レンズ2b を変倍駆動する必要がないので、その
分、摩擦力が軽減され、従って駆動ロスの低減化を併せ
て実現することができる。
【0044】また、従来のカムによる機械的な合焦の補
正を電気的に行なうので、また上述のようにレンズ外径
を極力小さくでき、鏡胴構成も簡略化でき、従ってフォ
ーカシングレンズ群を駆動するモータが小容量のもので
足り、装置全体の小型化、軽量化、低コスト化が実現で
きる利点がある。特にAF機能を有するカメラと本装置
を連動させて用いる場合には、カメラのAF用回路が共
用できると共に、カメラのAF回路で算出された合焦位
置までの移動量を、合焦補正演算部11の出力である補
正量と対応させることで合焦駆動手段を共用することが
できるので、さらにコストを低下させることができる利
点がある。
【0045】尚、本発明は、上述の実施例に限定される
ことなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の
変形実施ができるものである。
【0046】例えば、変倍伝達セル34に固定するセル
は、第1群セル17であってもよい。
【0047】また、変倍動作と合焦動作の両動作に関与
しているのは、変倍伝達セル34であるが、図3に示す
ようにフォーカスカウンタ6およびFPM7は、原動ギ
ア44a と連結する構成とする例に限らず、フォーカ
スセル43およびフォーカス伝達セル40の光軸方向移
動量を検出するように構成してもよい。
【0048】また、同様にZPM8は、原動ギア45a
に連結する構成とする例に限らず、変倍セル32また
は変倍伝達セル34の回転角あるいは、第3群セル19
〜第5群セル21のうちいずれかの光軸方向移動量を検
出するように構成してもよい。
【0049】また、フォーカスモータ44および変倍モ
ータ45は、それぞれ原動ギア44a および45a
に直結することなく減速機構等を介して駆動してもよ
い。
【0050】また、予定合焦位置S(e) は、FPM
7の出力Sx と比較するに限らず、フォーカスカウン
タ6の出力Dfcと比較してもよく、つまり、Sx =
Dfcとなった時点でフォーカスモータMFを停止す
るように構成してもよい。
【0051】一般にFPM7をポテンショメータ、フォ
ーカスカウンタ6をロータリエンコーダ等でそれぞれ構
成した場合、フォーカスカウンタ6の方が精度が高いの
で、上記の場合、予定合焦位置S(e) への駆動がよ
り正確になる利点がある。
【0052】また、(2)式による演算は、例えば図9
の∞曲線46をZp の値によって4分割にし、この4
つの区間を直線で近似し、それぞれ当該区間の近似式に
よってSx(∞) を算出してもよい。例えばf=35
mmに対応するZp の値を0とし、f=135mmに
対応するZp の値を31とし、また、至近位置に対応
するFp の値を0とし、∞位置に対応するFp の値
を31とするとき、各区間〜の近似式は次のように
なる。
【0053】 また、(1)式および(2)式をテーラー展開した形式
の演算式Fpx=0+a1Zp+a2Zp2 ……にしても
よい。ここで、a0 ,a1 ,a2 ,……は、設計時
に定められる設定定数である。
【0054】また、一般にテレ側とワイド側のストップ
位置において、ズームカムとストップ部材の圧力角、即
ちストップ強度の問題から(1)式のような演算式では
テレ側、ワイド側では近似できない場合が発生する。そ
の場合には、Zp のゾーンを3ゾーンにわけ、それぞ
れにゾーン分けして、近似式を作ることにより、行なう
ことができる。
【0055】また、(1)式および(2)式等も演算に
限らずCPU、ROM内にそのデータを記憶させておく
こともできる。
【0056】
【発明の効果】以上詳しく説明したように本発明によれ
ば、安価にして小型でしかも簡略な変倍レンズを用いる
ことができ、変倍に伴う結像位置ずれを自ら補正し得る
と共に既存のAF機能と組み合わせて合焦レンズ群を自
動的に迅速且つ高精度に合焦させ得る変倍レンズ制御装
置を提供することができる。特に、本発明によれば、A
F機能を有するカメラに適用することにより、本装置と
AF機能付きカメラの機能性をコストダウンを図りつつ
著しく向上させ得る変倍レンズ制御装置を提供すること
ができる。また、本発明によれば、変倍と合焦の機能を
もつ少なくとも1つのレンズ群を移動させないように構
成したので、当該レンズ群のこてい手段が省略でき、且
つ、加工の厄介なカム溝の形成も省略でき、したがっ
て、構成の簡略化とコストの低減化を実現し得る変倍レ
ンズ制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバリフォーカルレンズ制御装置の
一実施例の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に用いられるバリフォーカルレンズの特
性である設定すべき焦点距離fの変化と各レンズ群の動
き方を示す線図である。
【図3】本発明の要部で、図1の変倍駆動部およびフォ
ーカス駆動部の具体的な構成を示す縦断側面図である。
【第4】固定セルの直線カム溝と変倍セルとのそれぞれ
のカム形状および関係を示す平面図である。
【図5】変倍セルと変倍伝達セルとの連結部を拡大して
示す平面図およびその平面図のA−A′矢視断面図であ
る。
【図6】固定セルと変倍伝達セルとのそれぞれのカム形
状および関係を示す平面図である。
【図7】フォーカスセルのカム形状および光軸との方向
関係を示す平面図である。
【図8】フォーカスセル、固定セルおよび変倍伝達セル
とのそれぞれのカム形状を示す平面図である。
【図9】図1の実施例の全体の動作を説明するための線
図である。
【図10】図9の線図を形式的に他のバリフォーカルレ
ンズの特性に近似させて描いた線図である。
【符号の説明】 1 光軸 2 変倍レンズ群 2a 〜2e 第1群〜第5群レンズ 3 フィルム面 4 変倍駆動部 5 フォーカス駆動部 6 フォーカスカウンタ 7 合群レンズ群位置検出器(FPM) 8 焦点距離検出器(ZPM) 9 最大繰出量演算部 10 比例定数演算部 11 合焦補正演算部 12 フォーカス制御部 13 倍率アップスイッチ(アップスイッチ) 14 倍率ダウンスイッチ(ダウンスイッチ) 15 駆動方向判定部 16 変倍制御部 Mz ,45 変倍モータ MF,44 フォーカスモータ +V電源 17 第1群セル 18〜20 第3群セル〜第5群セル 21 第1ピン 22〜24 第3ピン〜第5ピン 25 固定セル 26 前半部 27 後半部 28〜31,41 固定セルの直線カム溝 32 変倍セル 33a ギア部 33b 回転伝達ピン 34 変倍伝達セル 34a 切欠部 35 固定部 36,42 変倍伝達セルのカム溝 37〜39 変倍セルのカム溝 40 フォーカス伝達セル 40a ,40b フォーカスピン 43 フォーカスセル 46 ∞位置カム対応曲線(∞曲線) 47 至近曲線 48 合焦曲線 49〜55 交点 56 変倍駆動の方向を示す矢印 57 合焦駆動の方向を示す矢印
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03B 13/34

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変倍機能をもつ変倍レンズ群と変倍と合
    焦の機能をもつ少なくとも2つ以上のレンズ群からなる
    合焦レンズ群と、上記変倍レンズ群の位置を検出する変
    倍レンズ群位置検出手段と上記変倍レンズ群を光軸方向
    に移動させると同時に、上記合焦レンズ群の焦点距離を
    変化させるべく合焦レンズ群の少なくとも1つ以上のレ
    ンズ群を光軸方向に移動させる変倍駆動手段と上記合焦
    レンズ群の焦点距離を保持したまま光軸方向に駆動する
    合焦駆動手段と、上記変倍レンズ群位置検出手段の出力
    から合焦レンズ群の移動量を算出する変倍合焦補正制御
    手段と、からなり変倍動作時、上記変倍駆動手段により
    上記変倍レンズ群を駆動し、上記変倍合焦補正制御手段
    により上記合焦レンズ群を駆動することにより変倍光学
    系を構成し、合焦動作時には、既存のAF機能と組合わ
    せて上記合焦駆動手段により上記合焦レンズ群を駆動す
    ることを特徴とする変倍レンズ制御装置。
  2. 【請求項2】 合焦動作時には、既存のAF機能と組合
    わせて合焦駆動手段により合焦レンズ群を駆動制御する
    ことによって自動合焦調節を達成するカメラであって変
    倍動作時、上記合焦レンズ群を構成する複数のレンズの
    間隔を変化させる変倍駆動手段と上記合焦レンズ群の間
    隔を保持したまま光軸方向に駆動する合焦駆動手段と、
    からなり、上記合焦レンズ群を、変倍動作時に変化した
    合焦レンズ群を構成する複数のレンズの間隔を保持した
    まま光軸方向に駆動することを特徴とする変倍レンズ制
    御装置。
  3. 【請求項3】変倍駆動手段によって移動する合焦レンズ
    群の位置を検出する合焦レンズ群位置検出手段と、該合
    焦レンズ群位置検出手段の出力により合焦レンズ群の間
    隔を保持したまま光軸方向に駆動する合焦レンズ群の移
    動量を算出する変倍合焦補正制御手段とを有することを
    特徴とする請求項2記載の変倍レンズ制御装置。
  4. 【請求項4】変倍レンズ群位置検出手段による位置検出
    は、カメラ固定系からの位置を検出することを特徴とす
    る請求項1記載の変倍レンズ制御装置。
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