JPH083569A - 原油の水素化精製方法 - Google Patents

原油の水素化精製方法

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JPH083569A
JPH083569A JP6137007A JP13700794A JPH083569A JP H083569 A JPH083569 A JP H083569A JP 6137007 A JP6137007 A JP 6137007A JP 13700794 A JP13700794 A JP 13700794A JP H083569 A JPH083569 A JP H083569A
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JP
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crude oil
hydrorefining
oil
iron
catalyst
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JP6137007A
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English (en)
Inventor
Takao Nozaki
隆生 野崎
Ryuichiro Iwamoto
隆一郎 岩本
Nobuyuki Ota
信之 太田
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 品質が良好で安定した灯油・軽油を増産し、
設備の連続運転期間を延長でき、かつ精油設備を簡素化
できる原油の水素化処理方法を提供する。 【構成】 原油又はナフサ留分除去原油であってバナジ
ウム、ニッケル及び鉄の一種以上からなる金属成分13
5重量ppm以下及びアスファルテン分12重量%以下
の原油を、(a)移動床式水素化精製装置にて21.8〜
200kg/cm2 の圧力下、315〜450℃、LH
SV0.5〜2.5h-1、水素油比50〜500Nm3 /キ
ロリットルの条件で触媒と接触させて水素化処理し、次
いで(b)アルミナにホウ素化合物及びリン化合物の一
種以上を添加したものあるいは鉄含有アルミノシリケー
トを担体として、周期律表第6,8,9または10族金
属から選ばれる一種以上を担持した触媒の一種以上を充
填した固定床式水素化装置にて、30〜200kg/c
2 の圧力下、300〜450℃、LHSV0.1〜3.0
-1、水素油比300〜2000Nm3 /キロリットル
の条件で水素化処理する工程を含む原油の水素化精製方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原油の水素化精製方法
に関する。さらに詳しくは、原油又はナフサ留分を除い
た原油の一括水素化脱硫工程において、設備の連続運転
期間の延長を可能とし、かつ高品質の灯油・軽油を増産
しうるとともに、精油設備の簡素化を図ることのできる
原油の水素化精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、原油の精製処理方法としては、一
般に、原油を常圧蒸留して各留分を分離したのち、分離
した各留分をそれぞれ脱硫する方法がとられている。し
かしながら、この方法は、精油設備の基数が多く、かつ
工程が煩雑である上、製品の冷却、加熱を繰り返すため
にエネルギー効率が悪いなどの問題があり、必ずしも満
足しうるものではなく、新しい形式の原油処理方法が求
められている。このような観点から、近年ナフサ留分を
除いた原油の一括処理が試みられている。例えば、
(1)原油中のナフサ留分を蒸留分離したのち、ナフサ
留分を除いた残油を一括水素化脱硫処理し、次いで蒸留
して各製品に分離する方法(特開平3−294390号
公報)、(2)原油中のナフサ留分を蒸留分離したの
ち、ナフサ留分を除いた残油を一括水素化脱硫処理し、
次いで、高圧分離槽で軽質留分と重質留分とに分離し、
得られた軽質留分を水素化精製する方法(特開平4−2
24890号公報)、(3)触媒の連続交換可能な移動
床式反応装置による、金属汚染度の高い原料油の一括水
素化処理において、経済性の高い適切な運転条件を提供
する方法、特に一段目の向流移動床式反応装置による汚
染物除去と、二段目の固定床式反応装置を用いた水素化
改質の組み合わせにより、プロセス連続運転期間を従来
より長期化させ、また、残油分の窒素、金属あるいはア
スファルテンの含有量を低減する方法、などが提案され
ている。しかしながら、上記(1)の方法においては、
通常の脱硫触媒を用いているため、品質が安定した灯油
・軽油留分が得られない上、白油増産効果も満足できる
ものではない。即ち、この方法において通常の固定床反
応装置を用いた場合、プロセス連続運転期間が満足のい
くものでなく、また各留分の製品性状、例えば灯油・軽
油の窒素含有量及び色相、あるいは灯油の煙点、残油中
の窒素あるいは金属またはアスファルテンの含有量は、
従来の精製方法により製造される製品の性状に比較して
劣っていた。また、上記(2)の方法においては、脱硫
処理後、更に水素化精製するために設備が複雑となり、
設備費や運転費が増加するのを免れないなどの問題があ
る。更に上記(3)の方法においては、通常の脱硫触媒
で原油またはナフサ留分を除いた原油の一括脱硫処理を
行うと、残油の品質は改善されるが、灯軽油成分の品
質、例えば煙点、色相安定性が不十分であるという問題
があり、単に移動床式反応装置を用いただけでは一括処
理の実用性はないことは明らかであった。また、経済的
な観点からも、移動床式反応装置の適用は特に金属汚染
度が高い(例えば150ppm以上)原料油、即ち重質
油の処理に対してでなければならないため、使用できる
原料油に制約がある等の問題もあった。このように、従
来のナフサ留分を除いた原油の一活処理方法では、品質
の安定した灯油・軽油留分を得ることが困難であった
り、プロセス連続運転期間が十分でなかったり、また設
備費や運転費が高くつく等の点から、未だ実用化に至っ
ていないのが実状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
下で、原油又はナフサ留分を除いた原油の移動床式反応
装置を用いた一括水素化脱硫工程において、水素化能を
高めた触媒を使用し、特定の反応条件で、重質油の水素
化脱硫に併せて灯油留分、軽油留分の水素化精製処理を
行い、品質が良好でかつ安定した灯油・軽油を増産しう
るとともに、設備の連続運転期間を延長することがで
き、かつ精油設備の簡素化を図ることのできる、経済的
に有利な原油の水素化精製方法を提供することを目的と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、原油又はナフ
サ留分を除いた原油を触媒の存在下で水素化脱硫し、次
いで蒸留して各製品に分離する際の水素化精製方法にお
いて、前段に移動床式水素化精製装置、後段に固定床式
水素化精製装置を用い、かつ後段の固定床式水素化精製
装置に水素化能を高めた触媒を用いた原油又はナフサ留
分を除いた原油の水素化精製方法により、その目的を達
成しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づ
いて完成したものである。
【0005】すなわち、本発明は、 (1)原油又はナフサ留分を除いた原油であって、バナ
ジウム、ニッケル及び鉄の少なくとも一種からなる金属
成分を135重量ppm以下及びアスファルテン分を1
2重量%以下含有する原油を、(a)移動床式水素化精
製装置にて、21.8〜200kg/cm2 の圧力下、3
15〜450℃の温度で、LHSVが0.5〜2.5h-1
水素/油比が50〜500Nm3 /キロリットルの条件
で触媒と接触させて水素化処理を行い、次いで(b)ア
ルミナにホウ素化合物及びリン化合物の少なくとも一種
を添加してなるものあるいは鉄含有アルミノシリケート
を担体として、周期律表第6,8,9及び10族に属す
る金属から選ばれる少なくとも一種を担持した触媒の少
なくとも一種を充填した固定床式水素化装置にて、30
〜200kg/cm2 の圧力下、300〜450℃の温
度で、LHSVが0.1〜3.0h-1、水素/油比が300
〜2000Nm3 /キロリットルの条件で水素化処理を
行い、更に(c)蒸留を行い、沸点の異なる炭化水素類
を得る、ことを特徴とする、原油又はナフサ留分を除い
た原油の水素化精製方法、 (2)移動床式水素化精製装置が、原料の原油又はナフ
サ留分を除いた原油を触媒と向流方向に供給するもので
あることを特徴とする上記(1)記載の水素化精製方
法、 (3)周期律表第6,8,9及び10族に属する金属が
Ni−Mo,Co−Mo,Ni−WまたはNi−Co−
Moであることを特徴とする上記(1)又は(2)記載
の水素化精製方法、 (4)(b)工程において、アルミナにホウ素化合物及
びリン化合物の少なくとも一種を、担体全重量に対し3
〜20重量%添加してなるものを担体として、周期律表
第6,8,9及び10族に属する金属から選ばれる少な
くとも一種を担持した触媒を用いることを特徴とする上
記(1)又は(2)記載の水素化精製方法、 (5)鉄含有アルミノシリケート含有担体が、鉄含有ア
ルミノシリケート10〜90重量%及び無機酸化物90
〜10重量%からなるものであることを特徴とする上記
(1)又は(2)記載の水素化精製方法、 (6)移動床式水素化精製装置からの流出物に、更に水
素を添加した後に固定床式反応装置で水素化処理を行う
ことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の水素化精
製方法、及び (7)移動床式水素化精製装置からの流出物を、気体と
液体に分離し、液体成分に更に水素を添加した後に固定
床式反応装置で水素化処理を行うことを特徴とする上記
(1)又は(2)記載の水素化精製方法、を提供するも
のである。
【0006】以下に、本発明を更に詳細に説明する。本
発明の水素化精製工程を含み、各石油製品を分離する工
程の一例を示す概略工程図を図1に示す。図1におい
て、(イ)は原油をまず予備蒸留塔に供給してナフサ留
分を除去したのち、その残油を水素化脱硫し、次いで、
常圧蒸留塔に導き、ナフサ留分、灯油留分、軽油留分及
び残油に分離する工程を示す。一方、(ロ)は、原油を
直接水素化脱硫した後、常圧蒸留塔に導き、ナフサ留
分、灯油留分、軽油留分及び残油に分離する工程を示
す。本発明においては、図1(イ)で示すように、予備
蒸留塔でナフサ留分を除いた原油を一括水素化処理して
もよく、また、ナフサ留分の硫黄含有量を1ppm未満
程度にする必要がない場合、例えばナフサ留分をエチレ
ン製造装置の原料として使用する場合には、図1(ロ)
で示すように、予備蒸留塔にてナフサ留分を除くことな
く、原油を直接一括して水素化処理してもよい。
【0007】予備蒸留塔に供給する原油や水素化処理工
程に供給する原油としては、通常入手可能な原油又はナ
フサ留分を除去した原油を用いることができ、このよう
な原油としては予備蒸留塔内の汚れや閉塞の防止、水素
化処理触媒の劣化防止などのために、予め脱塩処理を行
うことが好ましい。脱塩処理方法としては、当業者にて
一般的に行われている方法を用いることができる。その
方法としては、例えば、化学的脱塩法,ペトレコ電気脱
塩法、ハウ・ベーカー電気脱塩法などが挙げられる。
【0008】図1(イ)で示すように、予備蒸留塔で原
油を処理する場合、原油中のナフサ留分及びそれよりも
軽質の留分の除去が行われるが、この場合蒸留条件とし
ては、通常、温度は145〜200℃の範囲であり、ま
た圧力は常圧乃至10kg/cm2 の範囲、好ましくは
1.5kg/cm2 前後である。この予備蒸留塔にて塔頂
より除去するナフサ留分は、沸点が10℃以上で、上限
が125〜174℃の範囲にあるものが好ましいが、後
段にて水素化脱硫して精留するため、精度よく蒸留する
必要はない。なお、沸点10〜125℃のナフサ留分と
しては、通常炭素数が5〜8のものがあり、沸点10〜
174℃のナフサ留分としては、通常炭素数5〜10の
ものがある。ナフサ留分を沸点125℃未満でカットし
た場合、次の工程の水素化処理の際に水素分圧が低下し
て、水素化処理の効率が低下するおそれがあり、また沸
点174℃を超えてカットすると、後段の水素化処理及
び蒸留で得られる灯油留分の煙点が低下する傾向がみら
れる。
【0009】本発明において用いられる、原油あるいは
上記予備蒸留方法によりナフサ分を除去した原油として
は、バナジウム、ニッケル及び鉄の少なくとも一種から
なる金属成分を135重量ppm以下、アスファルテン
分を12重量%以下含有するものが用いられる。上記金
属成分が135重量ppmを越えるものは、金属成分の
蓄積により著しく触媒寿命を短くするため好ましくな
く、また、アスファルテン分が12重量%を越えるもの
は、炭素析出により著しく触媒寿命を短くするためやは
り好ましくない。このような観点から、上記金属成分は
135重量ppm以下であり、アスファルテン分は12
重量%以下であることが好ましい。
【0010】本発明の水素化精製方法は、上記原油を、
(a)移動床式水素化精製装置にて、21.8〜200k
g/cm2 の圧力下、315〜450℃の温度で、LH
SVが0.5〜2.5h-1、水素/油比が50〜500Nm
3 /キロリットルの条件で触媒と接触させて水素化処理
を行い、次いで(b)アルミナにホウ素化合物及びリン
化合物の少なくとも一種を添加してなるものあるいは鉄
含有アルミノシリケートを担体として、周期律表第6,
8,9及び10族に属する金属から選ばれる少なくとも
一種を担持した触媒の少なくとも一種を充填した固定床
式水素化装置にて、30〜200kg/cm2 の圧力
下、300〜450℃の温度で、LHSVが0.1〜3.0
-1、水素/油比が300〜2000Nm3 /キロリッ
トルの条件で水素化処理を行う、工程を含むものであ
る。
【0011】上記(a)工程で用いられる移動床式水素
化精製装置では、原油あるいはナフサ留分を除いた原油
を水素化精製する場合の反応条件としては以下の条件が
用いられる。まず、反応温度は315〜450℃の範囲
である。上記反応温度が315℃未満である時は反応の
進行が著しく遅くなり、また450℃を越える場合は芳
香族性の高い炭化水素が生成し、灯軽油留分の品質が低
下することから好ましくない。上記と同様の理由から、
反応温度は371〜440℃の範囲が好ましい。また、
反応圧力、即ち水素分圧は21.8〜200kg/cm2
の範囲である。上記圧力が21.8kg/cm2 未満であ
る時は反応の進行が著しく遅くなり、また200kg/
cm2 を越える圧力は経済的に不利であり好ましくな
い。上記と同様の理由から、水素分圧は35.5〜160
kg/cm2 の範囲であることが好ましい。更に、水素
/油比は50〜500Nm3 /キロリットルの範囲であ
る。上記比率が50Nm3 /キロリットル未満の場合
は、反応が十分に進行せず、500Nm3 /キロリット
ルを越える場合は、触媒の同伴による装置運転上の問題
を生じることがあり好ましくない。上記と同様の理由か
ら、上記比率は200〜500Nm3 /キロリットルの
範囲であることが好ましい。液時空間速度(LHSV)
は0.5〜2.5h-1の範囲である。LHSVが0.5h-1
満の場合は経済的な観点から十分な処理速度が得られ
ず、また2.5h-1を越える場合は反応時間が不十分で原
料油の水素化精製が完了せず、好ましくない。上記と同
様の理由から、LHSVは1.0〜2.0h-1の範囲である
ことが好ましい。
【0012】ここで用いられる触媒としては、市販の重
質油用脱メタル触媒と同様の物性を有するもので、触媒
の移動に適した形状のもの、例えば100Åを越える平
均細孔径を有するアルミナ担体に周期律表第6,8,9
及び10族に属する金属の中から選ばれる少なくとも一
種を担持した触媒を使用することが望ましい。ここで、
周期律表第6族に属する金属としては、タングステン、
モリブデンが好ましく、また周期律表第8〜10族に属
する金属としては、ニッケル、コバルトが好ましい。な
お、第6族の金属及び第8〜10族の金属はそれぞれ一
種用いてもよく、また複数種の金属を組み合わせて用い
てもよいが、特に水素化活性が高く、かつ劣化が少ない
点から、Ni−Mo,Co−Mo,Ni−W,Ni−C
o−Mo等の組合せが好適である。本発明において「移
動床」とは、反応を停止させることなく連続的な原油処
理を維持させつつ、触媒交換を行う、例えば特開昭59
−30890号公報に記載の方式のものを指す。また、
本発明においては図3に示すような、複数の固定床反応
器を並列に設置し、定期的に各反応器を切り替えること
により触媒活性を保ち上記移動床に近似した状態を継続
しうる態様も移動床に含むことができる。本発明におい
ては、上記移動床式水素化精製装置は、原油あるいはナ
フサ留分を除いた原油を触媒に対し向流方向に供給する
ものであることが、触媒消費量を少なくできる点で好ま
しい。
【0013】本発明において、前記(b)工程で用いら
れる固定床式水素化装置では、(a)工程で処理された
原油を更に水素化精製するが、この場合の反応条件とし
ては下記のような条件が用いられる。まず、反応温度は
300〜450℃の範囲である。上記反応温度が300
℃未満である時は反応の進行が著しく遅くなり、また4
50℃を越える場合は触媒上に固体炭素(コーク)が生
成し、触媒寿命を著しく低下させることから好ましくな
い。上記と同様の理由から、反応温度としては360〜
420℃の範囲が好ましい。また、反応圧力、即ち水素
分圧は30〜200kg/cm2 の範囲である。上記圧
力が30kg/cm2 未満である時は固体炭素を析出す
ることにより触媒寿命が著しく低下し、また200kg
/cm2を越える圧力は装置設計上不経済であり好まし
くない。上記と同様の理由から、水素分圧は100〜1
80kg/cm2 の範囲であることが好ましい。更に、
水素/油比は300〜2000Nm3 /キロリットルの
範囲である。上記比率が300Nm3 /キロリットル未
満の場合は、反応が十分に進行せず、2000Nm 3
キロリットルを越える場合は、装置設計上不経済であり
好ましくない。上記と同様の理由から、上記比率は50
0〜1000Nm3 /キロリットルの範囲であることが
好ましい。LHSVは0.1〜3.0h-1の範囲である。L
HSVが0.1h-1未満の場合は経済的な観点から十分な
処理速度が得られず、また3.0h-1を越える場合は反応
時間が不十分で原料油の水素化精製が完了せず、好まし
くない。上記と同様の理由から、LHSVは0.2〜0.8
-1の範囲であることが好ましい。
【0014】ここで用いられる触媒は、アルミナにホウ
素化合物及びリン化合物の少なくとも一種を添加してな
るものあるいは鉄含有アルミノシリケートを担体とし
て、周期律表第6,8,9及び10族に属する金属の中
から選ばれる少なくとも一種を担持した触媒であるが、
周期律表第6族に属する金属としては、タングステン、
モリブデンが好ましく、また周期律表第8〜10族に属
する金属としては、ニッケル、コバルトが好ましい。な
お、第6族の金属及び第8〜10族の金属はそれぞれ一
種用いてもよく、また複数種の金属を組み合わせて用い
てもよいが、特に水素化活性が高く、かつ劣化が少ない
点から、Ni−Mo,Co−Mo,Ni−W,Ni−C
o−Mo等の組合せが好適である。
【0015】また、前記金属の担持量については、特に
制限はなく、各種条件に応じて適宜選定すればよいが、
通常は触媒全重量に基づき、金属酸化物として1〜44
重量%、好ましくは1〜35重量%の範囲である。この
担持量が1重量%未満では、水素化処理触媒としての効
果が充分に発揮されず、また44重量%を超えると、そ
の担持量の割には水素化活性の向上が顕著でなく、かつ
経済的に不利である。特に、水素化活性及び経済性の点
から5〜30重量%、更には10〜28重量%の範囲が
好ましい。
【0016】上記触媒として、アルミナにホウ素化合物
及びリン化合物の少なくとも一種を添加してなる担体を
用いたものを使用する場合、担体の全重量に基づき、ホ
ウ素化合物,リン化合物をそれぞれ3〜20重量%,0.
5〜20重量%の割合で含有するものが好適である。上
記含有量が上記下限値未満では、水素化活性を向上させ
る効果が小さく、またその上限値を超えると、その量の
割には水素化活性の向上効果があまりみられず、経済的
でない上、脱硫活性が低下する場合があり、好ましくな
い。特に水素化活性の向上効果の点からそれぞれ5〜1
5重量%,1〜18重量%の範囲が好ましい。
【0017】上記担体は、ホウ素化合物及びリン化合物
の各々の原子分散性が分散性理論値の85%以上である
のが望ましい。上記原子分散性が理論値の85%未満で
あると、酸点の発現が不充分となり高い水素化分解活性
及び脱窒素活性が期待できないという不都合が生ずるお
それがある。このような原子分散性評価の具体的方法に
ついては、特願平6ー58643号明細書の段落番号
〔0011〕〜同〔0016〕の記載に従って行うこと
ができる。上記担体は、例えば水分含有量が65重量%
以上のアルミナ又はアルミナ前駆体に、ホウ素化合物ま
たはリン化合物を所定の割合で加え、60〜100℃程
度の温度で好ましくは1時間以上、さらに好ましくは1.
5時間以上加熱混練したのち、公知の方法により成形,
乾燥及び燒成を行うことによって、製造することができ
る。加熱混練が1時間未満では、混練が不充分となって
ホウ素原子等の分散状態が不充分となるおそれがあり、
また混練温度が上記範囲を逸脱すると、ホウ素等が高分
散しない場合があり、好ましくない。なお、上記ホウ
素,リン又はその各化合物の添加は、必要に応じ、水に
加熱溶解させて溶液状態で行ってもよい。
【0018】ここで、アルミナ前駆体としては、焼成に
よりアルミナを生成するものであれば、特に制限はな
く、例えば、水酸化アルミニウム,擬ベーマイト,ベー
マイト,バイヤライト,ジブサイトなどのアルミナ水和
物などを挙げることができる。上記のアルミナ又はアル
ミナ前駆体は水分含有量65重量%以上として使用する
のが望ましく、水分含有量が65重量%未満である場
合、添加した前記リン等の各化合物の分散が充分でない
おそれがある。
【0019】また、ホウ素化合物としては、酸化ホウ素
の他に、焼成により酸化ホウ素に転化しうる各種のホウ
素化合物を使用することができ、例えば、ホウ酸,ホウ
酸アンモニウム,ホウ酸ナトリウム,過ホウ酸ナトリウ
ム,オルトホウ酸,四ホウ酸,五硫化ホウ素,三塩化ホ
ウ素,過ホウ酸アンモニウム,ホウ酸カルシウム,ジボ
ラン,ホウ酸マグネシウム,ホウ酸メチル,ホウ酸ブチ
ル,ホウ酸トリシクロヘキシルなどが挙げられる。ま
た、上記担体のうちアルミナにリン化合物を添加してな
る担体に用いられるリン化合物としては、リン単体を含
むことができる。リン単体としては、具体的には黄リ
ン、赤リン等が挙げられる。
【0020】リン化合物としては、例えばオルトリン
酸,次リン酸,亜リン酸,次亜リン酸等の低酸化数の無
機リン酸またはこれらのアルカリ金属塩あるいはアンモ
ニウム塩、ピロリン酸,トリポリリン酸,テトラポリリ
ン酸等のポリリン酸またはこれらのアルカリ金属塩ある
いはアンモニウム塩、トリメタリン酸,テトラメタリン
酸,ヘキサメタリン酸等のメタリン酸またはこれらのア
ルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩、カルコゲン化リ
ン、有機リン酸、有機リン酸塩、等が挙げられる。これ
らの中で、特に低酸化数の無機リン酸、縮合リン酸のア
ルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩が活性、耐水耐熱
性、耐久性などの点から好ましい。
【0021】一方、前記鉄含有アルミノシリケート含有
担体の場合は、鉄含有アルミノシリケート10〜90重
量%及び無機酸化物90〜10重量%とからなるものが
好ましい。担体中の鉄含有アルミノシリケートの含有量
が10重量%未満では、水素化処理触媒としての効果が
充分に発揮されず、また90重量%を超えると、その量
の割には水素化活性の向上効果があまりみられず、むし
ろ経済的に不利となる。特に、水素化活性及び経済性の
点から、鉄含有アルミノシリケート30〜70重量%及
び無機酸化物70〜30重量%からなるものが好適であ
る。
【0022】前記鉄含有アルミノシリケート含有担体に
用いられる無機酸化物としては、例えばベーマイトゲル
やアルミナゾルなどのアルミナ,シリカゾルなどのシリ
カ、あるいはシリカ−アルミナなどの多孔質のものが挙
げられる。一方、該担体に用いられる鉄含有アルミノシ
リケートは、酸化物の形態で表した主な組成が、一般式
(1) aFe2 3 ・Al2 3 ・bSiO2 ・nH2 O ・・・(1) で表されるものである。この一般式(1)において、n
は0〜30の実数を示し、bは15<b<100、好ま
しくは18<b<40であり、またa,bの関係は0.0
05<a/b<0.15、好ましくは0.02<a/b<0.
05を満たすものである。また、この鉄含有アルミノシ
リケートには、少量のNa2 Oなどのアルカリ金属酸化
物やアルカリ土類金属酸化物などが含有されていてもよ
い。
【0023】一般に鉄含有アルミノシリケートには以下
のような様々な形態の鉄化合物が存在している。すなわ
ち、単にアルミノシリケートに物理吸着している不活
性な鉄化合物。この鉄化合物は水素雰囲気下において、
500℃以下でFe3+→Fe 0 に一段で還元される。
アルミノシリケートの骨格と規則正しく相互作用してい
る鉄化合物。これにはイオン交換鉄化合物やアルミノシ
リケート骨格を構成する鉄化合物など様々な形態の鉄化
合物が存在する。これらの鉄化合物は水素雰囲気下にお
いて、低温部(室温〜700℃)でFe3+ →Fe2+ に、
高温部(700〜1,200℃)でFe2+ →Fe0に二段で
還元される。
【0024】の鉄化合物は昇温プログラム還元(TP
R)測定によって計算される不活性鉄化合物含有率〔F
e〕dep によって判別でき、の鉄化合物は同じくTP
R測定の高温部還元ピークによって判別できる。該担体
に用いられる鉄含有アルミノシリケートは、上記TPR
測定により計算される〔Fe〕dep が35%以下、好ま
しくは30%以下であるのが望ましい。また、少なくと
も一つの高温部還元ピーク温度Thが式 700℃≦Th≦(−300×UD+8,320)℃ 好ましくは式 850℃≦Th≦(−300×UD+8,300)℃ の範囲にあるのがよい。ここで、TPR測定とは、水素
流通下で試料を加熱昇温する際の水素消費量を測定する
ものである。この水素による金属酸化物の還元挙動か
ら、試料中の金属の状態を容易に知ることができる。な
お、UDは鉄含有アルミノシリケートの格子定数(Å)
を示す。
【0025】この鉄含有アルミノシリケートに見られる
TPR測定による還元ピークには、低温部の還元ピーク
と高温部の還元ピークが認められる。ここで、低温部の
還元ピークとして、Fe3+がFe2+に還元される際のピ
ークが室温〜700℃の範囲に認められ、また高温部の
還元ピークとして、Fe2+がFe0 に還元される際のピ
ークが700℃〜(−300×UD+8,320)℃の範
囲に認められる。なお、一般に、高温部還元ピークは、
活性の高い鉄含有アルミノシリケートほど低温にシフト
する傾向がある。また、ゼオライトの格子定数が小さく
なるほど高温にシフトする傾向にある。また、該鉄含有
アルミノシリケートでは、高温部還元ピークが二箇所以
上あるときは、少なくともその一つが700℃から(−
300×UD+8,320)℃の範囲に認められる。
【0026】ところで、該鉄含有アルミノシリケート中
のFe 種は、高温部の還元ピーク面積(高温ピーク面
積,Sh)(高温部の水素消費量に対応)と低温部の還
元ピーク面積(低温ピーク面積,Sl)(低温部の水素消
費量に対応)との比率は、その還元される原子価から計
算して理想的にはSh/Sl=2になるはずである。し
かし、ここで不活性(不純物)鉄化合物が存在すると、
低温部のみにピークをもつため上記比率は2より小さく
なる。したがって不活性鉄化合物含有率〔Fe〕
dep は、 〔Fe〕dep =(Sl−Sh/2)/St×100
(%) 〔式中、St は全ピーク面積和を示す。〕により定義す
ることができる。この〔Fe〕dep で評価したときに、
該鉄含有アルミノシリケートは35%以下、特に好まし
くは30%以下のものが望ましい。このような鉄を含有
するアルミノシリケートとしては、上記の各条件を満足
するものであれば様々なものが充当できるが、特に触媒
の水素化活性を向上させる点から、結晶質アルミノシリ
ケートであるフォージャサイト型あるいはY型ゼオライ
トが好ましく、なかでも格子定数が24.15〜24.40
Å、とりわけ24.20〜24.37Åのものが最適であ
る。
【0027】該鉄含有アルミノシリケートを製造するに
当たっては、原料として、アルミナに対するシリカのモ
ル比SiO2 /Al2 3 が3.5以上のフォージャサイ
ト型ゼオライトが好ましく用いられる。このSiO2
Al2 3 モル比が3.5未満では、耐熱性が不充分であ
り、かつ結晶性が破壊されやすい。特に、耐熱性や結晶
性の保持の点から、SiO2 /Al2 3 モル比が4.6
以上のフォージャサイト型ゼオライトが好適である。ま
た、このアルミノシリケートには、Na2 Oが2.4重量
%以下程度含有されていてもよく、好ましくはその含有
量は1.8重量%以下である。本発明で用いる鉄含有アル
ミノシリケートを製造する場合、通常次に示す方法が用
いられる。まず、上記原料のアルミノシリケートをスチ
ーミング処理してスチーミングアルミノシリケートとす
る。ここでスチーミング処理の条件としては、様々な状
況に応じて適宜選定すればよいが、一般には温度540
〜810℃の水蒸気の存在下で処理することが好まし
い。ここで水蒸気は流通系であってもよく、また密閉容
器中に原料アルミノシリケートを保持して加熱し、該ア
ルミノシリケートの保有する水によりセルフスチーミン
グを行ってもよい。
【0028】次に、このようにスチーミング処理して得
られたスチーミングアルミノシリケートを、鉱酸で処理
する。ここで用いる鉱酸としては、各種のものが挙げら
れるが、塩酸,硝酸,硫酸などが一般的であり、そのほ
かリン酸,過塩素酸などを用いることもできる。次い
で、この系に鉄塩を加えて処理する。この鉄塩処理を行
う場合、前記鉱酸を加えた直後に、鉄塩を加えてそのま
ま処理を行ってもよく、また鉱酸を加えて充分に攪拌し
た後に、鉄塩を加えてもよい。また、この鉱酸の一定量
を添加したのち、残量の鉱酸と鉄塩を同時に加えてもよ
い。いずれにしても、スチーミングアルミノシリケート
に鉱酸を加えた系に鉄塩を加えること、換言すれば鉱酸
の存在下で鉄塩を加えることが必要である。
【0029】この鉱酸を添加し、さらに鉄塩を添加して
処理を行う際の処理条件としては、状況により異なり一
義的に決定することはできないが、通常は処理温度5〜
100℃、好ましくは50〜90℃、処理時間0.1〜2
4時間、好ましくは0.5〜5時間とし、処理 pH0.5〜
2.5、好ましくは1.4〜2.1の範囲で適宜選定すればよ
い。処理液のpHが2.5を超えると、重合鉄コロイドが
生成するという不都合が生じ、また pH0.5未満ではゼ
オライト(アルミノシリケート)の結晶性が破壊される
おそれがある。また、添加すべき鉱酸量は、アルミノシ
リケート1kg当たり5〜20モル程度とし、鉱酸濃度
は通常0.5〜50重量%溶液、好ましくは1〜20重量
%溶液である。さらに鉱酸の添加時期は、前記したよう
に鉄塩を加える前でなければならない。鉱酸の添加の際
の温度は、前記範囲で選定すればよいが、好ましくは室
温〜100℃、特に好ましくは50〜100℃である。
【0030】一方、鉄塩を加えるに当たっては、その種
類は特に制限はないが、通常は塩化第一鉄,塩化第二
鉄,硝酸第一鉄,硝酸第二鉄,硫酸第一鉄,硫酸第二鉄
を挙げることができる。この鉄塩はそのまま加えること
もできるが、溶液として加えることが好ましい。この際
の溶媒は鉄塩を溶解するものであればよいが、水,アル
コール,エーテル,ケトンなどが好ましい。また、加え
る鉄塩濃度は、通常は0.02〜10.0M、好ましくは0.
05〜5.0Mである。この鉄塩の添加時期は、前述の鉱
酸によりアルミノシリケートのスラリーを pH1〜2に
した後とすべきである。また鉄塩添加の際の温度は、好
ましくは室温〜100℃、特に好ましくは50〜100
℃とする。また添加に際して予め鉄塩を加熱しておくこ
とも有効である。
【0031】なお、この鉱酸ならびに鉄塩を加えてアル
ミノシリケートを処理するに当たっては、そのスラリー
比、すなわち処理溶液容量(リットル)/アルミノシリ
ケート重量(kg)は、1〜50の範囲が好都合であ
り、特に、5〜30が好適である。このように鉱酸処
理,鉄塩処理を順次あるいは同時進行的に行うことによ
って、前記したような性状の鉄含有アルミノシリケート
が得られる。ここで、アルミノシリケートを鉱酸処理後
に、乾燥,焼成し、しかる後に鉄塩処理を行うと目的と
する性状の鉄含有アルミノシリケートを得ることができ
ない。このようにして得られる鉄含有アルミノシリケー
トに、さらに必要に応じて水洗,乾燥,焼成を適宜行う
ことも有効である。
【0032】本発明の方法において、(b)工程に用い
られる触媒は、上記のようにして得られた担体に、周期
律表第6,8,9及び10族に属する金属の中から選ば
れた少なくとも一種を担持させたものであるが、その担
持方法については、特に制限はなく、含浸法,共沈法,
混練法などの公知の任意の方法を採用することができ
る。また、上記担体に、所望の金属を所定の割合で担持
させたのち、必要に応じて乾燥後、燒成処理を行う。燒
成温度及び時間は、担持させた金属の種類などに応じて
適宜選ばれる。このようにして得られた水素化処理触媒
は、通常平均細孔径が70Å以上、好ましくは90〜2
00Åのものである。この平均細孔径が70Å未満で
は、触媒寿命が短くなるという不都合が生じる場合があ
る。
【0033】さらに、上記工程(b)においては、原料
油のメタル含有レベルに応じて、既存の脱メタル触媒
を、前記各触媒又はこれらの少なくとも二種を組み合わ
せた混合触媒に、触媒全容量に基づき10〜80容量%
程度組み合わせて用いてもよい。これにより、メタルに
よる触媒劣化を抑制しうるとともに、製品中の含有量を
低減することができる。該脱メタル触媒としては、当業
者が通常用いているもの、例えば無機酸化物,酸性担
体,天然鉱物などに、周期律表第6,8,9又は10族
に属する金属の中から選ばれた少なくとも一種を、触媒
全重量に基づき、酸化物として3〜30重量%程度担持
してなる平均細孔径100Å以上の触媒、具体的にはア
ルミナにNi−Moを触媒全重量に基づき、酸化物とし
て10重量%担持してなる平均細孔径120Åの触媒な
どを挙げることができる。原油を直接水素化脱硫処理す
る場合は、その反応条件はナフサ留分を除いた原油を水
素化脱硫処理する場合の反応条件と基本的に同様である
が、水素分圧が低下するため、水素分圧及び水素/油比
を、上記範囲内で大きくすることが好ましい。
【0034】本発明においては、前記(a)工程と
(b)工程の間に、移動床式反応装置からの流出物に更
に水素を加えてから、二段目の固定床式反応装置で水素
化精製を行うことが好ましい。また、(a)工程と
(b)工程の間で、一段目の移動床式反応装置からの流
出物を気体と液体に分離した後、液体成分に更に水素を
加えてから二段目の固定床式反応装置で水素化精製を行
うことも好ましい。この際、上記気体と液体の分離は、
一般に高圧セパレーターのような、反応流出物の温度、
圧力を大きく変えることなく気体部分と液体部分に分け
る方法により行われる。上記のように移動床式反応装置
からの流出物を気体と液体に分離した場合においても、
分離しない場合においても、添加する水素量は二段目の
固定床式反応装置での反応が効率よく行われる量であれ
ばよいが、水素/油比が500〜1000Nm2 /キロ
リットルの範囲の量であることが好ましい。
【0035】このようにして、原油又はナフサ留分を除
いた原油を一括水素化脱硫処理したのち、この処理油
は、図1で示すような常圧蒸留塔にて各種製品、例えば
ナフサ留分,灯油留分,軽油留分,常圧蒸留残油などに
分離される。この際、常圧蒸留塔の操作条件としては、
石油精製設備において広く行われている原油常圧蒸留方
法と同様であり、通常温度は300〜380℃程度、圧
力は常圧乃至1.0kg/cm2 G程度である。この工程
を、水素化脱硫工程に引き続き行うことにより、熱回収
を図り運転費を大きく低減することができる。また、既
設の原油常圧蒸留塔を有効に利用するため、他の場所に
ある製油所へ水素化脱硫処理油を転送して製品の分離を
行うことにより、建設費を低減することができる。
【0036】
【実施例】以下に、実施例により本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定さ
れるものではない。 実施例1 原料油として、アラビアンヘビー脱塩原油のナフサ留分
(C5〜157℃)を除いた下記性状のものを用いた。 原料油A 密度(15℃) 0.9319g/cm3 硫黄分 3.24重量% 窒素分 1500重量ppm バナジウム 55重量ppm ニッケル 18重量ppm 鉄 1.5重量ppm アスファルテン分 9.9重量% 灯油留分(157℃より高く239℃以下) 9.8重量% 軽油留分(239℃より高く370℃以下) 25.8重量% 残油 (370℃より高いもの) 64.4重量% 図2に示すように、第1段目に触媒Aを供給する向流移
動床式反応装置、第2段目にホウ素含有触媒Bを充填し
た固定床式反応装置を組み合わせた水素化精製装置を用
いた工程を想定して、第2表に示す反応条件で上記原料
油Aの水素化処理を行った。実際には第1段目の向流移
動式反応装置は、図3に示すように固定床式反応器(2
50ミリリットル)に第1表に記載の触媒Aを充填した
ものを並列に複数設置し、1週間乃至10日毎に反応器
を切り替えて、触媒Aの活性が向流移動床の触媒活性と
ほぼ同等となる状態を継続するようにした。また、第2
段目の固定床反応器(1000ミリリットル)には第1
表に記載の直脱触媒B(平均細孔径100Å)を充填し
た。生成油は2〜3カ月間蓄積し、平均組成が実際の図
2の反応システムで得られる生成油組成を模擬的に表現
できるようにした。次に、得られた水素化処理油を、常
圧蒸留塔による蒸留により、ナフサ留分(C5〜157
℃以下),灯油留分(157℃より高く239℃以
下),軽油留分(239℃より高く370℃以下)及び
残油(370℃より高いもの)に分留し、それぞれの性
状を求めた。また、灯油留分及び軽油留分について貯蔵
安定性試験を行った。その結果を第3表及び第4表に示
す。尚、灯油留分及び軽油留分の貯蔵安定性試験は、ベ
ントを有した500ミリリットルのガラス容器に試料を
400ミリリットル入れ、43℃に保たれた暗所にて3
0日間貯蔵して、貯蔵試験前後の結果を評価して示し
た。第3表及び第4表より、上記ホウ素成分を有する触
媒を用いることで、アラビアンヘビー脱塩原油のナフサ
留分を除いた残油から、金属分及び窒素分がより高度に
除去された品質のよい灯油や軽油が得られ、貯蔵時の色
相も安定していることがわかる。
【0037】実施例2 原料油として、下記の性状を有するアラビアンライト脱
塩原油を用いた。 原料油B 密度(15℃) 0.8639g/cm3 硫黄分 1.93重量% 窒素分 850重量ppm バナジウム 18重量ppm ニッケル 5重量ppm 鉄 7.0重量ppm アスファルテン分 3.8重量% ナフサ留分(C5〜157℃) 14.7重量% 灯油留分(157℃より高く239℃以下) 14.2重量% 軽油留分(239℃より高く370℃以下) 25.6重量% 残油 (370℃より高いもの) 45.5重量% 上記原料油を第2表に示す反応条件で、第2段目にリン
含有直脱触媒Cを充填した固定床式反応装置を用いた以
外は実施例1と同様にして水素化精製処理を行った。得
られた水素化処理油を、実施例1と同様にして分留し、
それぞれの性状を評価した。また、灯油留分及び軽油留
分について、実施例1と同様にして貯蔵安定性試験を行
った。その結果を第3表及び第4表に示す。第3表及び
第4表より、上記リン成分を有する触媒を用いること
で、アラビアンライト脱塩原油から、金属分及び窒素分
がより高度に除去された品質のよい灯油や軽油が得ら
れ、貯蔵時の色相も安定していることがわかる。
【0038】実施例3 原料油Aを第2表に示す反応条件で、第2段目に鉄含有
アルミノシリケート触媒Dを充填した固定床式反応装置
を用いた以外は実施例1と同様にして水素化精製処理を
行った。得られた水素化処理油を、実施例1と同様にし
て分留し、それぞれの性状を評価した。また、灯油留分
及び軽油留分について、実施例1と同様にして貯蔵安定
性試験を行った。その結果を第3表及び第4表に示す。
第3表及び第4表より、上記触媒を用いることにより、
アラビアンヘビー脱塩原油のナフサ留分を除いた残油か
ら、軽灯油留分の性状、特に煙点及びセタン指数が著し
く向上した品質のよい灯油が増産でき、貯蔵時の色相も
安定していることがわかる。
【0039】比較例1 第2段目の固定床式反応装置に用いた触媒を脱硫触媒E
とした他は、実施例2と同様にして水素化精製処理を行
った。得られた水素化処理油を、実施例1と同様にして
分留し、それぞれの性状を求めた。また、灯油留分及び
軽油留分について、実施例1と同様にして貯蔵安定性試
験を行った。その結果を第3表及び第4表に示す。第3
表及び第4表より、リン,ホウ素等の第3成分の添加が
されていない脱硫触媒では、第3成分を有する脱硫触媒
に比較して、アラビアンヘビー脱塩原油から得られる灯
油や軽油は、金属量、灯軽油の色相及び煙点、セタン指
数のすべてにおいて品質が不充分であることがわかる。
【0040】比較例2 第2段目の固定床式反応装置に用いた触媒を脱硫触媒E
とした他は、実施例1と同様にして水素化精製処理を行
った。得られた水素化処理油を、実施例1と同様にして
分留し、それぞれの性状を評価した。また、灯油留分及
び軽油留分について、実施例1と同様にして貯蔵安定性
試験を行った。その結果を第3表及び第4表に示す。第
3表及び第4表より、リン,ホウ素等の第3成分の添加
がされていない脱硫触媒では、第3成分を有する脱硫触
媒に比較して、アラビアンヘビー脱塩原油のナフサ留分
を除いた残油から得られる灯油や軽油は、金属量、灯軽
油の色相及び煙点、セタン指数のすべてにおいて品質が
不充分であることがわかる。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、原油又はナフサ留分を
除いた原油の一括水素化脱硫工程において、特定の水素
化能を高めた触媒を用いることにより、重質油の水素化
脱硫に併せて軽灯油の水素化改質を効果的に行い、高品
質の軽灯油を増産し、設備の連続運転期間を延長するこ
とができ、かつ精製設備の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 水素化精製処理を含み各石油製品を分離する
工程の一例を示す概略工程図である。
【図2】 本発明の水素化精製方法の一実施例を示す概
略工程図である。
【図3】 実施例1で用いた水素化精製工程を示す概略
工程図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10G 45/12 Z 2115−4H 45/18 2115−4H

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原油又はナフサ留分を除いた原油であっ
    て、バナジウム、ニッケル及び鉄の少なくとも一種から
    なる金属成分を135重量ppm以下及びアスファルテ
    ン分を12重量%以下含有する原油を、(a)移動床式
    水素化精製装置にて、21.8〜200kg/cm2 の圧
    力下、315〜450℃の温度で、LHSVが0.5〜2.
    5h-1、水素/油比が50〜500Nm3 /キロリット
    ルの条件で触媒と接触させて水素化処理を行い、次いで
    (b)アルミナにホウ素化合物及びリン化合物の少なく
    とも一種を添加してなるものあるいは鉄含有アルミノシ
    リケートを担体として、周期律表第6,8,9及び10
    族に属する金属から選ばれる少なくとも一種を担持した
    触媒の少なくとも一種を充填した固定床式水素化装置に
    て、30〜200kg/cm2 の圧力下、300〜45
    0℃の温度で、LHSVが0.1〜3.0h-1、水素/油比
    が300〜2000Nm3 /キロリットルの条件で水素
    化処理を行い、更に(c)蒸留を行い、沸点の異なる炭
    化水素類を得る、ことを特徴とする、原油又はナフサ留
    分を除いた原油の水素化精製方法。
  2. 【請求項2】 移動床式水素化精製装置が、原料の原油
    又はナフサ留分を除いた原油を触媒と向流方向に供給す
    るものであることを特徴とする請求項1記載の水素化精
    製方法。
  3. 【請求項3】 周期律表第6,8,9及び10族に属す
    る金属がNi−Mo,Co−Mo,Ni−WまたはNi
    −Co−Moであることを特徴とする請求項1又は2記
    載の水素化精製方法。
  4. 【請求項4】 (b)工程において、アルミナにホウ素
    化合物及びリン化合物の少なくとも一種を、担体全重量
    に対し3〜20重量%添加してなるものを担体として、
    周期律表第6,8,9及び10族に属する金属から選ば
    れる少なくとも一種を担持した触媒を用いることを特徴
    とする請求項1又は2記載の水素化精製方法。
  5. 【請求項5】 鉄含有アルミノシリケート含有担体が、
    鉄含有アルミノシリケート10〜90重量%及び無機酸
    化物90〜10重量%からなるものであることを特徴と
    する請求項1又は2記載の水素化精製方法。
  6. 【請求項6】 移動床式水素化精製装置からの流出物
    に、更に水素を添加した後に固定床式反応装置で水素化
    処理を行うことを特徴とする請求項1または2記載の水
    素化精製方法。
  7. 【請求項7】 移動床式水素化精製装置からの流出物
    を、気体と液体に分離し、液体成分に更に水素を添加し
    た後に固定床式反応装置で水素化処理を行うことを特徴
    とする請求項1または2記載の水素化精製方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11318453B2 (en) 2009-04-21 2022-05-03 Albemarle Catalysts Company B.V. Hydrotreating catalyst containing phosphorus and boron

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