JPH0835543A - 遊星歯車減速装置 - Google Patents

遊星歯車減速装置

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JPH0835543A
JPH0835543A JP19277494A JP19277494A JPH0835543A JP H0835543 A JPH0835543 A JP H0835543A JP 19277494 A JP19277494 A JP 19277494A JP 19277494 A JP19277494 A JP 19277494A JP H0835543 A JPH0835543 A JP H0835543A
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JP
Japan
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planetary gear
bearing
carrier
pin
gear
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Application number
JP19277494A
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English (en)
Inventor
Nobuo Uzawa
信夫 鵜沢
Shinobu Yamamoto
忍 山本
Akihiro Tanaka
章弘 田中
Yuji Igawa
裕二 井川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 遊星歯車の円滑な回転を長期に亘って補償す
ると共に、部品点数の削減および部品管理の簡易化を図
る。 【構成】 軸受53の保持器54と摺動鍔部56とを樹
脂材料により一体形成すると共に、各軸受58の保持器
59と摺動鍔部61とを樹脂材料により一体形成し、遊
星歯車27とキャリア30との間に軸受53の摺動鍔部
56を介在させると共に、遊星歯車38とキャリア41
との間に各軸受58の摺動鍔部61を介在させる。これ
により、例えば遊星歯車27とキャリア30との間、お
よび遊星歯車38とキャリア41との間に、軸受53,
58とは別体の摺動板等を介在させる場合に比して、摺
動鍔部56,61の摩耗を効果的に低減でき、遊星歯車
27,38の円滑な回転を長期に亘って補償することが
できる上に、部品点数の削減および部品管理の簡易化を
図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば油圧ショベル,
油圧クレーン等の旋回装置や履帯駆動装置、油圧クレー
ンのロープウインチ等に用いて好適な遊星歯車減速装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】油圧ショベル,油圧クレーン等の旋回装
置や履帯駆動装置、あるいは油圧クレーンのロープウイ
ンチ等には、一般に、回転源としてのモータの出力を増
大するための遊星歯車減速装置が搭載されている。
【0003】そこで、図4および図5に従来技術による
遊星歯車減速装置を、油圧ショベルの旋回装置に用いた
場合について説明する。
【0004】図中、1は下部走行体、2は該下部走行体
1上に旋回可能に搭載された上部旋回体を示し、該上部
旋回体2は旋回フレーム3を有し、該旋回フレーム3上
には運転室4、機械室5およびカウンタウエイト6等が
設けられている。7は上部旋回体2の前部に位置して旋
回フレーム3に俯仰動可能に設けられた作業装置を示
し、該作業装置7は土砂等の掘削作業を行うようになっ
ている。
【0005】8は下部走行体1と上部旋回体2との間に
配設された旋回装置を示し、該旋回装置8は、外部から
圧油が給排されることにより出力軸9Aを回転駆動する
回転源としての油圧モータ9と、該油圧モータ9の回転
を減速して旋回輪10に伝える減速装置11とから大略
構成されている。
【0006】ここで、前記旋回輪10は図5に示す如
く、内周面に内歯12Aが全周に亘って形成された内輪
12と、旋回フレーム3に固着された外輪13と、該外
輪13と内輪12との間に多数個配設され、内輪12に
対して外輪13が旋回フレーム3と共に回転(旋回)す
るのを補償するボール14(1個のみ図示)とからなっ
ている。
【0007】ここで、前記旋回輪10の内輪12は下部
走行体1のフレームを構成する丸胴(図示せず)に固着
され、外輪13は内輪12の周囲を各ボール14を介し
て旋回フレーム3と共に回転(旋回)するようになって
いる。
【0008】15は減速装置11の本体を構成する減速
機ハウジングを示し、該減速機ハウジング15は図5に
示す如く、段付の略円筒状に形成され、下端側の下フラ
ンジ16Aが旋回フレーム3上に複数のボルト17,1
7,…を介して固着された下側ハウジング16と、該下
側ハウジング16の上フランジ16B上に設けられ、内
周側に内歯車としての小径内歯18Aおよび大径内歯1
8Bがそれぞれ全周に亘って形成された略円筒状の上側
ハウジング18と、該上側ハウジング18の上端側を施
蓋し、前記油圧モータ9が取付けられたカバー19とか
ら構成され、該カバー19のフランジ19Aは上側ハウ
ジング18の上フランジ18Cに複数のボルト20,2
0,…を介して固着され、前記上側ハウジング18の下
フランジ18Dは下側ハウジング16の上フランジ16
Bに複数のボルト21,21,…を介して固着されてい
る。
【0009】22は下側ハウジング16に軸受23,2
4を介して回転自在に支持された回転軸としてのピニオ
ンシャフトを示し、該ピニオンシャフト22の上端側外
周には歯部22Aが形成され、該歯部22Aは後述する
キャリア41の歯部41Aと噛合させることにより、油
圧モータ9の出力軸9Aの回転を減速装置11により所
定の回転数に減速してピニオンシャフト22を回転させ
る。
【0010】また、前記ピニオンシャフト22の下端側
は旋回フレーム3の下側へと突出してピニオン22Bと
なり、該ピニオン22Bは旋回輪10の内輪12に形成
された内歯12Aと噛合している。これにより、該ピニ
オンシャフト22はピニオン22Bと共に内輪12の内
歯12Aを介して自転しつつ公転し、この公転力により
減速機ハウジング15を介して旋回フレーム3を旋回さ
せるようになっている。
【0011】25はカバー19の下側に位置して上側ハ
ウジング18内に配設された1段目の減速歯車機構を示
し、該減速歯車機構25は、油圧モータ9の出力軸9A
にスプライン結合された太陽歯車26と、該太陽歯車2
6と上側ハウジング18の小径内歯18Aとに噛合し、
該太陽歯車26の周囲を自転しつつ公転する例えば3個
の遊星歯車27(1個のみ図示)と、該各遊星歯車27
を軸受28を介して回転自在に支持する複数のピン29
(1個のみ図示)と、該各ピン29および軸受28を介
して各遊星歯車27を支持するキャリア30とから大略
構成されている。
【0012】ここで、キャリア30は内周側に形成され
た歯部30Aと、ピン29の嵌合穴が形成されピン29
の上端側を支持する上側ピン支持部31Aと、ピン29
の嵌合穴が形成されピン29の下端側を支持する下側ピ
ン支持部31Bとを有している。そして、該下側ピン支
持部31Bの上側端面と各遊星歯車27の下側端面との
間には、環状の摺動板32,32,…(1個のみ図示)
が介装され、該各摺動板32は、各遊星歯車27をキャ
リア30に対して円滑に回転させるようになっている。
【0013】33はキャリア30の上側ピン支持部31
Aと、該上側ピン支持部31Aの嵌合穴に挿嵌されたピ
ン29の先端側とに挿通された抜止ピンで、該抜止ピン
33により、各ピン29のキャリア30に対する抜止め
と位置決めとを行っている。
【0014】34は他の摺動板としての環状のプレート
を示し、該プレート34は前記太陽歯車26の下側端面
と、キャリア30の歯部30Aの上側に形成された環状
段部30Bとの間に設けられ、太陽歯車26が出力軸9
Aから下側に外れるのを防止している。また、太陽歯車
26の上側端面は出力軸9Aの外周側に係合した止め輪
35により位置決めされ、該太陽歯車26の上側への移
動を規制している。そして、プレート34および止め輪
35により、太陽歯車26が出力軸9Aに対して上,下
方向に移動するのを防止している。
【0015】36は最終段の減速段となる2段目の減速
歯車機構を示し、該減速歯車機構36は1段目のキャリ
ア30の自転を伝達する太陽歯車37と、該太陽歯車3
7と大径内歯18Bとに噛合し、該太陽歯車37の周囲
を自転しつつ公転する例えば3個の遊星歯車38(1個
のみ図示)と、該各遊星歯車38を軸受39,39を介
して回転自在に支持する複数のピン40(1個のみ図
示)と、該各ピン40および各軸受39を介して各遊星
歯車38を支持するキャリア41とから大略構成されて
いる。
【0016】ここで、キャリア41は内周側に形成され
た歯部41Aと、ピン40の嵌合穴が形成されピン40
の上端側を支持する上側ピン支持部42Aと、ピン40
の嵌合穴が形成されピン40の下端側を支持する下側ピ
ン支持部42Bとを有している。そして、該下側ピン支
持部42Bの上側端面と各遊星歯車38の下側端面との
間、および各遊星歯車38の上側端面と上側ピン支持部
42Aの下側端面との間には、環状の摺動板43,4
3,…(2個のみ図示)が介装され、該各摺動板43
は、各遊星歯車38をキャリア41の上側ピン支持部4
2Aと下側ピン支持部42Bとの間で円滑に回転させる
ようになっている。
【0017】そして、キャリア41の歯部41Aはピニ
オンシャフト22の歯部22Aに噛合し、各遊星歯車3
8の公転をピニオンシャフト22に伝えるようになって
いる。これにより、油圧モータ9の出力軸9Aの回転
は、減速歯車機構25,36によって2段階で減速さ
れ、ピニオンシャフト22を大きなトルクをもって回転
させる。
【0018】44はキャリア41の上側ピン支持部42
Aと、該上側ピン支持部42Aの嵌合穴に挿嵌されたピ
ン40の先端側とに挿通された抜止ピンで、該抜止ピン
44により、各ピン40のキャリア41に対する抜止め
と位置決めとを行っている。
【0019】45は環状のプレートを示し、該プレート
45は太陽歯車37の下側端面とキャリア41の環状段
部41Bとの間に設けられ、太陽歯車37が下側に移動
するのを防止している。一方、キャリア41の上側への
移動は、1段目の減速歯車機構25の太陽歯車26とキ
ャリア30の間に介装されたプレート34により規制さ
れている。
【0020】このように構成される減速装置11を備え
た油圧ショベルでは、下部走行体1上で上部旋回体2を
旋回させる場合に、油圧モータ9に外部から圧油を給排
すると出力軸9Aが回転し、この回転は減速装置11の
減速機ハウジング15内で減速歯車機構25,36によ
り2段階に減速され、ピニオンシャフト22に高トルク
の回転力が伝えられる。
【0021】そして、該ピニオンシャフト22のピニオ
ン22Bは旋回輪10の内歯12Aに噛合し、該旋回輪
10は内輪12が下部走行体1のフレームに固着され、
外輪13が上部旋回体2の旋回フレーム3に固着されて
いるから、ピニオン22Bは内輪12の内歯12Aを介
して自転しつつ公転し、この公転がピニオンシャフト2
2から減速機ハウジング15を介して旋回フレーム3に
伝達され、上部旋回体2が下部走行体1上で旋回するよ
うになる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術による遊星歯車減速装置では、減速歯車機構25
を構成する各遊星歯車27とキャリア30の下側ピン支
持部31Bとの間に介装された各摺動板32は、遊星歯
車27および軸受28の下側端面に常時摺接しており、
特に接触面積が小さい軸受28の保持器と摺接する部位
において著しい摩耗を生じてしまい、各遊星歯車27の
円滑な回転が妨げられるという問題がある。また、減速
歯車機構36においても、各遊星歯車38とキャリア4
1の下側ピン支持部42Bとの間に介装された各摺動板
43は、遊星歯車38および軸受39の下側端面に常時
摺接しており、特に接触面積が小さい軸受39の保持器
と摺接する部位において著しい摩耗を生じてしまい、各
遊星歯車38の円滑な回転が妨げられるという問題があ
る。
【0023】また、例えば減速歯車機構25を組立てる
に際しては、通常、キャリア30の上側ピン支持部31
Aと下側ピン支持部31Bとの間に、内周側に軸受28
を組込んだ遊星歯車27と摺動板32とを配置した状態
で、上側ピン支持部31Aから下側ピン支持部31Bに
向けてピン29を圧入することにより、キャリア30に
ピン29,軸受28および摺動板32を介して遊星歯車
27を組付ける作業を行う。
【0024】しかし、上述のキャリア30に対する遊星
歯車27の組付作業時には、軽量な摺動板32が下側ピ
ン支持部31B上で移動してしまい、例えば摺動板32
とピン29とが芯ずれした状態でキャリア30に対する
ピン29の圧入が行われることにより、摺動板32が損
傷してしまう虞れがある。
【0025】そして、減速歯車機構36も減速歯車機構
25と同様に組立てるから、キャリア41の上側ピン支
持部42Aと下側ピン支持部42Bとの間に、内周側に
各軸受39を組込んだ遊星歯車38と摺動板43とを配
置した状態で、上側ピン支持部42Aから下側ピン支持
部42Bに向けてピン40を圧入する際に、上述したと
同様の理由で摺動板43が損傷してしまう虞れがある。
【0026】さらに、摺動板32,43をそれぞれ別体
の部品として用いることにより、部品点数の増加および
部品管理の煩雑化を招くという問題もある。
【0027】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、遊星歯車の円滑な回転を長期に亘って補
償することができ、かつ、部品点数が削減できて部品管
理の簡易化を図ることができる上に、組付作業の作業性
を向上することができる遊星歯車減速装置を提供するこ
とを目的としている。
【0028】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明による遊星歯車減速装置は、内周面に内
歯車が形成された筒状のハウジングと、該ハウジングに
設けられ、出力軸が該ハウジング内に向けて伸長した回
転源と、該回転源の出力軸の回転を減速すべく、前記ハ
ウジング内に設けられた減速歯車機構とからなり、該減
速歯車機構は太陽歯車と、該太陽歯車と前記内歯車とに
噛合する遊星歯車と、該遊星歯車を軸受およびピンを介
して支持するキャリアとを備えて構成される。
【0029】そして、請求項1に記載した発明の特徴
は、前記軸受を、前記ピンと前記遊星歯車との間に介挿
される円筒状の保持器と、該保持器に回転可能に支持さ
れ、前記ピンと前記遊星歯車との間で転動することによ
り前記遊星歯車の回転を補償する複数のローラと、前記
遊星歯車の端面と前記キャリアとの間に介在するように
前記保持器の一端側から径方向外向きに一体的に突出し
たフランジ状の摺動鍔部とから構成したことにある。
【0030】また、請求項2に記載したように、前記軸
受の保持器は、耐摩耗性を有する樹脂材料により前記摺
動鍔部と共に一体形成するのが望ましい。
【0031】さらに、請求項3に記載したように、前記
ハウジングは旋回装置用の減速機ハウジングであり、前
記回転源は旋回用の油圧モータによって構成してもよ
い。
【0032】
【作用】請求項1の発明によれば、遊星歯車の端面とキ
ャリアとの間に介在する摺動鍔部が、軸受を構成する保
持器の一端側に一体的に設けられているから、減速歯車
機構の遊星歯車が回転するときに摺動鍔部が保持器に対
して相対変位することがなくなり、キャリアに対する遊
星歯車の円滑な回転を長期に亘って補償することができ
る。また、遊星歯車を軸受およびピンを介してキャリア
に組付ける際には、軸受の保持器が遊星歯車に挿嵌され
ることにより、摺動鍔部は遊星歯車と同心に位置決めさ
れ、摺動鍔部がピンに対して芯ずれする等の問題を解消
できる。
【0033】また、請求項2の発明によれば、複数のロ
ーラを回転可能に保持する樹脂材料からなる保持器と共
に摺動鍔部を一体形成することにより、樹脂材料の自己
潤滑性によって摺動鍔部の摺動性が向上し、摩耗やキャ
リアとの焼付き等を防止できる上に、減速歯車機構が軽
量化されて慣性力が低減するから、軸受の寿命を延ばす
ことができる。
【0034】さらに、請求項3の発明によれば、ハウジ
ングを旋回装置用の減速機ハウジングに、回転源を旋回
用の油圧モータにそれぞれ適用することにより、旋回装
置の動作を長期に亘って安定させることができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1ないし図3に基
づき説明する。なお、実施例では前述した図4および図
5に示す従来技術と同一の構成要素には同一の符号を付
し、その説明を省略する。
【0036】図中、51は本実施例による減速装置を示
し、該減速装置51の上側ハウジング18内には、後述
する1段目の減速歯車機構52および2段目の減速歯車
機構57が配設されている。
【0037】52は1段目の減速歯車機構を示し、該減
速歯車機構52は、図5に示す従来技術による減速歯車
機構25と略同様に、太陽歯車26、各遊星歯車27
(1個のみ図示)、各ピン29(1個のみ図示)、キャ
リア30等を備えているものの、各遊星歯車27と各ピ
ン29との間に介在する軸受53の構成が従来技術とは
異なっている。
【0038】53は遊星歯車27とピン29との間に介
在し遊星歯車27をピン29に対して回転可能に支持す
る軸受で、該軸受53は図2に示すように、ピン29と
遊星歯車27との間に介挿される円筒状の保持器54
と、均等な角度間隔をもって該保持器54に回転可能に
支持された複数のローラ(針状ころ)55,55,…
と、保持器54の一端側(下端側)に設けられて径方向
外向きに突出したフランジ状の摺動鍔部56とから構成
され、保持器54と摺動鍔部56とは、例えば耐摩耗性
および摺動性に優れた樹脂材料により一体形成されてい
る。
【0039】ここで、軸受53は図3に示すように、遊
星歯車27の軸受穴27A内に下側から挿入され、摺動
鍔部56が遊星歯車27の下側端面に当接することによ
り遊星歯車27に対する位置決めがなされる。そして、
軸受53が組込まれた遊星歯車27を、キャリア30の
上側ピン支持部31Aと下側ピン支持部31Bとの間に
配置した後、上側ピン支持部31Aから下側ピン支持部
31Bへ向けてピン29を圧入することにより、各遊星
歯車27が軸受53およびピン29を介してキャリア3
0に組付けられる。
【0040】このとき、軸受53の保持器54と摺動鍔
部56とが一体形成されているから、遊星歯車27の軸
受穴27A内に保持器54を挿嵌して軸受53を組込む
ことにより、摺動鍔部56が遊星歯車27と同心に位置
決めされる。従って、摺動鍔部56はピン29に対して
芯ずれを生じることなく遊星歯車27の下側端面とキャ
リア30の下側ピン支持部31Bとの間に介装されるか
ら、キャリア30に対する遊星歯車27等の組付時に摺
動鍔部56が損傷するのを確実に防止でき、組付け作業
の作業性を向上することができる。
【0041】57は2段目の減速歯車機構を示し、該減
速歯車機構57は、図5に示す従来技術による減速歯車
機構36と略同様に、太陽歯車37、各遊星歯車38
(1個のみ図示)、各ピン40(1個のみ図示)、キャ
リア41等を備えているものの、遊星歯車38とピン4
0との間に介在する軸受58,58の構成が従来技術と
は異なっている。
【0042】58,58は遊星歯車38とピン40との
間に介在し遊星歯車38をピン40に対して回転可能に
支持する軸受を示し、該各軸受58は1段目の減速歯車
機構52の軸受53と同様の形状を有し、円筒状の保持
器59と、複数のローラ(針状ころ)60,60,…
(2個のみ図示)と、摺動鍔部61とから構成され、保
持器59と摺動鍔部61とは、耐摩耗性および摺動性に
優れた樹脂材料により一体形成されている。
【0043】ここで、各軸受58は図3に示すように、
遊星歯車38の軸受穴38A内に上側および下側からそ
れぞれ挿入され、それぞれの摺動鍔部61,61が遊星
歯車38の上側端面および下側端面に当接することによ
り遊星歯車38に対する位置決めがなされる。そして、
各軸受58が組込まれた遊星歯車38を、キャリア41
の上側ピン支持部42Aと下側ピン支持部42Bとの間
に配置した後、上側ピン支持部42Aから下側ピン支持
部42Bへ向けてピン40を圧入することにより、各遊
星歯車38が各軸受58およびピン40を介してキャリ
ア41に組付けられる。
【0044】このとき、各軸受58の保持器59と摺動
鍔部61とが一体形成されているから、遊星歯車38の
軸受穴38A内に保持器59を挿嵌して各軸受58を組
込むことにより、摺動鍔部61が遊星歯車38と同心に
位置決めされる。従って、摺動鍔部61はピン40に対
して芯ずれを生じることなく遊星歯車38の下側端面と
キャリア41の下側ピン支持部42Bとの間に介装され
るから、キャリア41に対する遊星歯車38等の組付時
に摺動鍔部61が損傷するのを確実に防止でき、組付け
作業の作業性を向上することができる。
【0045】本実施例による減速装置51は上述の如き
構成を有するもので、その基本的作動については従来技
術によるものと格別差異はない。
【0046】然るに、本実施例によれば、1段目の減速
歯車機構52を構成する各遊星歯車27の下側端面とキ
ャリア30の下側ピン支持部31Bとの間に介在する摺
動鍔部56が、遊星歯車27とピン29との間に介挿さ
れた軸受53の保持器54と一体形成され、また、2段
目の減速歯車機構57を構成する各遊星歯車38の下側
端面とキャリア41の下側ピン支持部42Bとの間に介
在する摺動鍔部61が、遊星歯車38とピン40との間
に介挿された軸受58の保持器59と一体形成されてい
るから、以下の如き作用効果が得られる。
【0047】即ち、油圧モータ9に対する圧油の給排に
より出力軸9Aが回転し、この回転が減速歯車機構5
2,57により減速されるときに、減速歯車機構52の
各遊星歯車27は太陽歯車26の周囲を自転しつつ公転
し、減速歯車機構57の各遊星歯車38は太陽歯車37
の周囲を自転しつつ公転する。
【0048】このとき、減速歯車機構52の各遊星歯車
27と各ピン29との間に介在した軸受53は遊星歯車
27に伴って回転し、軸受53の摺動鍔部56は各遊星
歯車27の下側端面およびキャリア30の下側ピン支持
部31Bに摺接するが、軸受53の保持器54と摺動鍔
部56とは樹脂材料により一体形成されているから、例
えば従来技術で述べたように、遊星歯車27とキャリア
30の下側ピン支持部31Bとの間に介装された別体の
摺動板32が、軸受28の保持器と摺接することにより
著しい摩耗を生じる場合に比して、摺動鍔部56の摩耗
を低減することができ、各遊星歯車27の円滑な回転を
長期に亘って補償することができる。
【0049】また、減速歯車機構57の各遊星歯車38
と各ピン40との間に介在した各軸受58についても、
上述した軸受53と同様に保持器59と摺動鍔部61と
が樹脂材料により一体形成されているから、例えば従来
技術で述べたように、遊星歯車38とキャリア41の下
側ピン支持部42Bとの間に介装された別体の摺動板4
3が、軸受39の保持器と摺接することにより著しい摩
耗を生じる場合に比して、摺動鍔部61の摩耗を低減す
ることができ、各遊星歯車38の円滑な回転を長期に亘
って補償することができる。
【0050】さらに、軸受53の保持器54と摺動鍔部
56とを一体形成すると共に、各軸受58の保持器59
と摺動鍔部61とを一体形成することにより、従来技術
のように別体の摺動板32,43等を用いる必要がなく
なり、部品点数を削減することができ、部品管理の簡易
化を図ることができる。
【0051】この場合、軸受53の保持器54と摺動鍔
部56、および各軸受58の保持器59と摺動鍔部61
は、それぞれ樹脂材料により一体形成されているから、
樹脂材料の自己潤滑性により摺動鍔部56,61の摺動
性が向上し、摩耗やキャリア30,41との焼付き等を
防止できる。また、減速歯車機構52,57が軽量化さ
れて慣性力が低減するから、軸受53,58の寿命を延
ばすことができる。しかも、軸受53の保持器54と摺
動鍔部56、および各軸受58の保持器59と摺動鍔部
61を射出成形することにより、軸受53,58の製造
コストを低減することができる。
【0052】さらにまた、遊星歯車27に軸受53を組
込むことにより、摺動鍔部56がピン29に対し芯ずれ
を生じることなく遊星歯車27とキャリア30との間に
介装されるから、キャリア30に対する各遊星歯車27
の組付時に摺動鍔部56が損傷するのを確実に防止でき
ると共に、組付け作業の作業性を向上することができ
る。
【0053】また、遊星歯車38に各軸受58を組込む
ことにより、摺動鍔部61がピン40に対し芯ずれを生
じることなく遊星歯車38とキャリア41との間に介装
されるから、キャリア41に対する遊星歯車38等の組
付時に摺動鍔部61が損傷するのを確実に防止できると
共に、組付け作業の作業性を向上することができる。
【0054】なお、前記実施例では、2段の減速歯車機
構を備えた遊星歯車減速装置を例に挙げて説明したが、
本発明はこれに限らず、1段の減速歯車機構または3段
以上の減速歯車機構を備えた遊星歯車減速装置に適用し
てもよい。
【0055】さらに、遊星歯車27,38の個数は3個
に限るものではなく、例えば1個、2個または4個以上
の遊星歯車を有するものに用いてもよい。
【0056】
【発明の効果】以上詳述した如く請求項1の発明によれ
ば、遊星歯車とピンとの間に介在する軸受の保持器に径
方向外向きに突出するフランジ状の摺動鍔部を一体的に
設け、軸受およびピンを介して遊星歯車をキャリアに組
付けることにより、遊星歯車の端面とキャリアとの間に
摺動鍔部が介装されるように構成したから、摺動鍔部の
摩耗を効果的に低減でき、遊星歯車の円滑な回転を長期
に亘って補償することができる。
【0057】また、摺動鍔部を、軸受の保持器に一体的
に設けることにより、例えば遊星歯車とキャリアとの間
に別体の摺動板等を設ける必要がなくなり、部品点数を
削減でき、部品管理の簡易化を図ることができる。
【0058】さらに、軸受およびピンを介して遊星歯車
をキャリアに組付ける場合に、軸受を遊星歯車に組込む
ことにより摺動鍔部が遊星歯車に対して位置決めされる
から、軸受を介してキャリアに圧入されるピンと摺動鍔
部との芯ずれに伴う摺動鍔部の破損を確実に防止するこ
とができ、キャリアに対する遊星歯車の組付作業の作業
性を著しく向上させることができる。
【0059】また、請求項2の発明によれば、軸受の保
持器と摺動鍔部とが樹脂材料により一体形成されている
から、樹脂材料の自己潤滑性により摺動鍔部の摺動性が
向上し、摩耗やキャリアとの焼付き等を防止できる。ま
た、減速歯車機構が軽量化されて慣性力が低減するから
軸受の寿命を延ばすことができる。しかも、保持器と摺
動鍔部とを射出成形することにより、軸受の製造コスト
を低減することができる。
【0060】さらにまた、請求項3の発明によれば、ハ
ウジングを旋回装置用の減速機ハウジングに、回転源を
旋回用の油圧モータにそれぞれ適用することにより、旋
回装置の動作を長期に亘って安定させることができ、か
かる旋回装置を搭載した建設機械の信頼性を大幅に向上
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による遊星歯車減速装置を示す
縦断面図である。
【図2】図1に示す軸受を拡大して示す斜視図である。
【図3】図1に示す減速歯車機構等を示す拡大断面図で
ある。
【図4】従来技術による遊星歯車減速装置が用いられた
油圧ショベルを示す外観図である。
【図5】従来技術による遊星歯車減速装置を示す縦断面
図である。
【符号の説明】
9 油圧モータ(回転源) 15 減速機ハウジング 52,57 減速歯車機構 26,37 太陽歯車 27,38 遊星歯車 30,41 キャリア 53,58 軸受 54,59 保持器 55,60 ローラ 56,61 摺動鍔部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井川 裕二 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周面に内歯車が形成された筒状のハウ
    ジングと、該ハウジングに設けられ、出力軸が該ハウジ
    ング内に向けて伸長した回転源と、該回転源の回転を減
    速すべく、前記ハウジング内に設けられた減速歯車機構
    とからなり、該減速歯車機構は、太陽歯車と、該太陽歯
    車と前記内歯車とに噛合する遊星歯車と、該遊星歯車を
    軸受およびピンを介して支持するキャリアとを備えた遊
    星歯車減速装置において、前記軸受は、前記ピンと前記
    遊星歯車との間に介挿される円筒状の保持器と、該保持
    器に回転可能に支持され、前記ピンと前記遊星歯車との
    間で転動することにより前記遊星歯車の回転を補償する
    複数のローラと、前記遊星歯車の端面と前記キャリアと
    の間に介在するように前記保持器の一端側から径方向外
    向きに一体的に突出したフランジ状の摺動鍔部とから構
    成したことを特徴とする遊星歯車減速装置。
  2. 【請求項2】 前記軸受の保持器は、耐摩耗性を有する
    樹脂材料により前記摺動鍔部と共に一体形成してなる請
    求項1に記載の遊星歯車減速装置。
  3. 【請求項3】 前記ハウジングは旋回装置用の減速機ハ
    ウジングであり、前記回転源は旋回用の油圧モータによ
    って構成してなる請求項1または2に記載の遊星歯車減
    速装置。
JP19277494A 1994-07-25 1994-07-25 遊星歯車減速装置 Pending JPH0835543A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010144869A (ja) * 2008-12-19 2010-07-01 Hitachi Constr Mach Co Ltd 遊星歯車減速装置
JP2015187462A (ja) * 2014-03-26 2015-10-29 住友重機械工業株式会社 ショベル

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010144869A (ja) * 2008-12-19 2010-07-01 Hitachi Constr Mach Co Ltd 遊星歯車減速装置
JP2015187462A (ja) * 2014-03-26 2015-10-29 住友重機械工業株式会社 ショベル

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