JP3842525B2 - 遊星歯車減速装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の履帯駆動装置、旋回装置、油圧クレーン用のロープウインチ等に好適に用いられる遊星歯車減速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、油圧ショベル、油圧クレーン等の装軌式車両の履帯を駆動する履帯駆動装置は、回転源の回転出力を減速して大きな出力を得るために遊星歯車減速装置を備えている。
【0003】
そこで、この従来技術による遊星歯車減速装置について、図7ないし図11を参照しつつ説明する。
【0004】
図中、1は回転源としての油圧モータで、該油圧モータ1は、例えば斜板式の油圧モータにより構成され、油圧ポンプ(図示せず)から圧油が給排されることにより出力軸1Aが回転するものである。
【0005】
2は油圧モータ1の外殻をなす支持部材としてのモータハウジングで、該モータハウジング2は、軸方向中間部の外周側にフランジ部2Aが設けられ、該フランジ部2Aは、例えば装軌式車両の下部走行体を構成するサイドフレーム(図示せず)にボルト等を用いて固着されるものである。また、モータハウジング2は、後述のケーシング3内に挿入される先端側がキャリア固定部2Bとなっている。そして、キャリア固定部2Bの外周側には、軸方向の途中部位に後述のナット26が螺着される雄ねじ2Cが形成されると共に、軸方向の先端に後述のキャリア25が結合される雄スプライン2Dが形成されている。
【0006】
3は減速装置の外殻をなす有蓋円筒状のケーシングで、該ケーシング3は、モータハウジング2のキャリア固定部2B外周側に位置するドラム4と、内周側に内歯車5Aが形成されたリングギヤ5と、該リングギヤ5を施蓋する円板状の底蓋6とにより大略構成されている。そして、ドラム4の内周側は軸受7,8を介してモータハウジング2の外周側に回転可能に取付けられ、ドラム4の外周側には複数のボルト9を用いてスプロケット10が固着されている。また、リングギヤ5は複数のボルト11によってドラム4に固着され、底蓋6は複数のボルト12によってリングギヤ5に固着されている。
【0007】
13は油圧モータ1の回転出力を導出する回転軸で、該回転軸13の基端側は油圧モータ1の出力軸1Aにスプライン結合され、先端側は底蓋6まで延在し、後述の太陽歯車15となっている。
【0008】
14は1段目の減速歯車機構で、該減速歯車機構14は、回転軸13の先端側に一体形成された太陽歯車15と、該太陽歯車15とリングギヤ5の内歯車5Aとに噛合し、太陽歯車15の周囲を自転しつつ公転する複数の遊星歯車16(1個のみ図示)と、該遊星歯車16をピン17、軸受18を介して回転可能に支持し、遊星歯車16の公転を後述する2段目の太陽歯車21に伝達するキャリア19とにより大略構成されている。
【0009】
20は最終段となる2段目の減速歯車機構で、該減速歯車機構20は、回転軸13に遊嵌された状態で1段目のキャリア19にスプライン結合され、遊星歯車16の公転のみが伝達される太陽歯車21と、該太陽歯車21とリングギヤ5の内歯車5Aとに噛合し、太陽歯車21の周囲を自転しつつ公転する複数の遊星歯車22(1個のみ図示)と、該遊星歯車22をピン23、軸受24を介して回転可能に支持するキャリア25とにより大略構成されている。
【0010】
ここで、キャリア25は、モータハウジング2のキャリア固定部2B端面に当接することにより軸方向に位置決めされている。また、キャリア25にはモータハウジング2の雄スプライン2Dに噛合する雌スプライン25Aが形成され、キャリア25とモータハウジング2とは雌スプライン25Aと雄スプライン2Dとによって回転方向に位置決めされている。さらに、キャリア25には、雌スプライン25Aの外周側に位置して後述のノックピン27が挿入されるピン穴25Bが穿設されている。
【0011】
26はモータハウジング2の雄ねじ2Cに螺着されたナットで、該ナット26は、雄ねじ2Cに螺着されることにより軸受8の内輪を軸方向に押圧し、該軸受8を軸方向に位置決めするものである。また、ナット26のうちキャリア25のピン穴25Bと対応する位置には、ノックピン27が圧入されるピン穴26Aが穿設されている。
【0012】
27は最終段のキャリア25とナット26との間を連結し、ナット26をキャリア25に対して廻止めするノックピンで、該ノックピン27は、図8及び図9に示すように、モータハウジング2の雄スプライン2Dとキャリア25の雌スプライン25Aとが噛合した状態で、基端側がナット26のピン穴26Aに圧入され、先端側がキャリア25のピン穴25Bに挿入されている。
【0013】
ここで、ノックピン27は、基端側から先端側にかけて等しいピン径(外径)Dをもった全長Lの円柱状に形成され、ピン穴25Bの穴径は、ノックピン27のピン径Dよりも例えば2mm程度大きく形成されている。
【0014】
従来技術による遊星歯車減速装置は上述の如き構成を有するもので、油圧モータ1が作動して回転軸13が回転すると、この回転は太陽歯車15、遊星歯車16、キャリア19等からなる1段目の減速歯車機構14によって所定の減速比で減速され、遊星歯車16の公転のみがキャリア19から出力される。そして、キャリア19は最終段の太陽歯車21に噛合しているので、キャリア19の公転は、太陽歯車21、遊星歯車22、キャリア25等からなる最終段の減速歯車機構20によってさらに所定の減速比で減速される。
【0015】
ここで、最終段のキャリア25とモータハウジング2とは、雌スプライン25Aと雄スプライン2Dとによって回転方向に位置決めされているので、ドラム4、リングギヤ5等からなるケーシング3は、最終段の遊星歯車22の周囲を公転するようになる。
【0016】
かくして、油圧モータ1の回転出力は、減速歯車機構14,20によって順次減速され、大きなトルクとなってケーシング3に伝達される。そして、ケーシング3と共にスプロケット10が回転し、該スプロケット10に巻回された履帯(図示せず)が駆動されることにより、装軌式車両を走行させることができる。
【0017】
次に、上述の遊星歯車減速装置の組立時において、モータハウジング2に最終段のキャリア25を組付ける作業について説明する。
【0018】
まず、図10に示すように、モータハウジング2に軸受7,8を介してケーシング3のドラム4を回転可能に取付ける。そして、ナット26のピン穴26Aにノックピン27の基端側を圧入した後、該ナット26をモータハウジング2の雄ねじ2Cに螺着することにより、軸受8を軸方向に位置決めする。
【0019】
次に、ナット26から突出したノックピン27の先端側にキャリア25のピン穴25Bを挿入しつつ、キャリア25の雌スプライン25Aをモータハウジング2の雄スプライン2Dに噛合させる。
【0020】
この場合、キャリア25に設けたピン穴25Bの穴中心と、ナット26に圧入されたノックピン27の軸中心とがほぼ一致している場合には、キャリア25のピン穴25B内にノックピン27の先端側を挿入しつつ、円滑にキャリア25の雌スプライン25Aをモータハウジング2の雄スプライン2Dに噛合させることができる。
【0021】
しかし、実際の組付け作業時には、ピン穴25Bの穴中心とノックピン27の軸中心とが一致しない場合が多いため、通常、図10に示すように、キャリア25の雌スプライン25Aとモータハウジング2の雄スプライン2Dとが噛合する前に、ノックピン27の先端部を長さ寸法Aだけキャリア25のピン穴25B内に予め挿入しておき、このノックピン27によってキャリア25を案内しつつ該キャリア25の雌スプライン25Aとモータハウジング2の雄スプライン2Dとを噛合させている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、モータハウジング2の雄スプライン2Dとキャリア25の雌スプライン25Aとの間には、通常、適度な隙間(がた)が形成されており、この両者間の隙間により、例えば図11に示すように、ナット26に対してキャリア25が僅かな傾きを生じることがある。
【0023】
このように、ナット26に対してキャリア25が傾いた場合には、キャリア25のピン穴25B内に挿入されたノックピン27の先端部が、ピン穴25Bの内面に当接し、ケーシング3が大きなトルクをもって回転するときの反力により、キャリア25からノックピン27に対して曲げ荷重が作用する。
【0024】
そして、従来技術においては、ナット26の表面からノックピン27の先端部までの寸法Bが比較的大きいため、キャリア25からノックピン27に大きな曲げ荷重が作用し、ノックピン27が変形してしまうという問題がある。
【0025】
特に、装軌式車両が荒れ地等を走行するときに、キャリア25からノックピン27に衝撃的な荷重が作用した場合には、ノックピン27がナット26の近傍部位から大きなせん断力を受けて損傷する。そして、ノックピン27が損傷すると、該ノックピン27によってナット26を適正に廻止めすることができなくなり、ナット26が弛んで軸受8が位置ずれを生じ、遊星歯車減速装置の円滑な作動が妨げられてしまう。
【0026】
一方、モータハウジング2にキャリア25を組付けるときには、上述の如くナット26から突出したノックピン27の先端側にキャリア25のピン穴25Bを挿入しつつ、キャリア25の雌スプライン25Aをモータハウジング2の雄スプライン2Dに噛合させるが、ノックピン27は、その基端側から先端側にかけて等しいピン径Dをもった円柱状に形成されている。
【0027】
このため、ノックピン27の先端側にキャリア25のピン穴25Bを挿入するのが難しく、モータハウジング2にキャリア25を組付けるときの作業性が低下してしまうという問題がある。
【0028】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、ノックピンの変形、損傷等を抑えることができ、支持部材に最終段のキャリアを組付けるときの作業性を向上することができるようにした遊星歯車減速装置を提供することを目的としている。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明は、支持部材と、該支持部材に軸受を介して回転可能に支持されたケーシングと、該ケーシングを回転駆動すべく前記支持部材に設けられた回転源と、該回転源の回転出力を減速して前記ケーシングに伝達するために該ケーシング内に設けられた1段または複数段の減速歯車機構とを備え、該減速歯車機構のうち最終段のキャリアと支持部材とは雌スプラインと雄スプラインとによって回転方向に位置決めし、前記軸受は前記支持部材に螺着されたナットによって軸方向に位置決めし、該ナットを最終段のキャリアに廻止め状態に連結するためのノックピンを設け、該ノックピンは、その基端側を前記ナットに設けたピン穴に圧入し、先端側を前記キャリアに設けたピン穴に挿入してなる遊星歯車減速装置に適用される。
【0030】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記ノックピンは、軸方向中間部に位置する大径軸部と、該大径軸部の基端側に位置し該大径軸部よりも小径に形成された基端側の小径軸部と、前記大径軸部の先端側に位置し前記大径軸部よりも小径に形成された先端側の小径軸部とにより構成し、かつ前記ノックピンは、前記基端側の小径軸部から大径軸部にかけて前記ナットのピン穴に圧入し、前記先端側の小径軸部から大径軸部にかけて前記キャリアピン穴に挿入する構成としたことにある。
【0031】
このように構成したことにより、例えば最終段のキャリアがナットに対して傾いたとしても、キャリアのピン穴内面は、ノックピンの軸方向中間部に位置する大径軸部と小径軸部との境目に当接するので、最終段のキャリアからノックピンに作用する曲げ荷重を小さくすることができ、該ノックピンの変形、損傷等を抑えることができる。また、ノックピンの基端側に位置する小径軸部によってノックピンをナットのピン穴に案内することができるので、ノックピンをナットのピン穴に圧入するときの作業性を向上することができる。一方、ノックピンの先端側に位置する小径軸部によってキャリアのピン穴を案内することができるので、最終段のキャリアをノックピンによって案内しつつ、該ノックピンの先端側の小径軸部に最終段のキャリアのピン穴を容易に挿入することができる。これにより、キャリアをノックピンによって案内しつつ支持部材に組付けるときの作業性を向上することができる。
【0032】
請求項2の発明が採用する構成の特徴は、前記ノックピンは、その基端側から軸方向中間部に亘って軸方向に延びる大径軸部と、該大径軸部の先端側に位置し該大径軸部よりも小径に形成された先端側の小径軸部とにより構成し、かつ前記ノックピンは、前記大径軸部を基端側から前記ナットのピン穴に圧入し、前記先端側の小径軸部から大径軸部にかけて前記キャリアのピン穴に挿入する構成としたことにある。
【0033】
そして、この場合でも、最終段のキャリアがナットに対して傾いたとしても、キャリアのピン穴内面は、ノックピンの先端部(小径軸部)に当接することなく軸方向中間の大径軸部に当接するので、最終段のキャリアからノックピンに作用する曲げ荷重を小さくし、該ノックピンの変形等を抑えることができる。また、ノックピンの先端側に位置する小径軸部によってキャリアのピン穴を案内することができるので、キャリアをノックピンによって案内しつつ、キャリアのピン穴をノックピンの先端側の小径軸部に容易に挿入することができる。これにより、キャリアをノックピンによって案内しつつ支持部材に組付けるときの作業性を向上することができる。
【0034】
請求項の発明によると前記小径軸部の端縁部には全周に亘って面取り部を形成する構成としている。このように構成したことにより、ノックピンの小径軸部の端縁部がエッジ形状となるのを抑えることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る遊星歯車減速装置の実施の形態について、図1ないし図6を参照しつつ説明する。
【0036】
まず、図1ないし図5は本発明の第1の実施の形態を示している。なお、本実施の形態では、上述した従来技術と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0037】
図中、31は本実施の形態による遊星歯車減速装置で、該遊星歯車減速装置31は、従来技術によるものとほぼ同様に、油圧モータ1が設けられた支持部材としてのモータハウジング2と、該モータハウジング2に軸受7,8を介して回転可能に設けられたケーシング3と、油圧モータ1の回転出力を減速してケーシング3に伝達する減速歯車機構14,20とにより大略構成されている。
【0038】
そして、最終段の減速歯車機構20のキャリア25とモータハウジング2とは、雌スプライン25Aと雄スプライン2Dとによって回転方向に位置決めされ、軸受8はモータハウジング2の雄ねじ2Cに螺着されたナット26によって軸方向に位置決めされている。
【0039】
しかし、本実施の形態による遊星歯車減速装置31は、ナット26をキャリア25に廻止め状態に連結する後述のノックピン32の構成が、従来技術によるノックピン27とは異なっている。
【0040】
32は従来技術によるノックピン27に代えて本実施の形態に用いるノックピンで、該ノックピン32は、図2及び図3に示すように、軸方向中間部に位置する大径軸部32Aと、該大径軸部32Aよりも小径となった基端側の小径軸部32Bと、該小径軸部32Bと同一のピン径を有する先端側の小径軸部32Cとにより段付き円柱状に形成されている。そして、小径軸部32Bはノックピン32の基端側をナット26のピン穴26A内に挿入するときの案内部となり、小径軸部32Cはノックピン32の先端側にキャリア25のピン穴25Bを挿入するときの案内部となるものである。
【0041】
ここで、ノックピン32の全長L、ナット26の表面からノックピン32の先端部までの寸法Bは従来技術によるノックピン27と等しく設定され、大径軸部32Aのピン径Dは従来技術のノックピン27と等しく設定されている。
【0042】
しかし、小径軸部32B,32Cのピン径dは、大径軸部32Aのピン径Dよりも例えば0.2mm程度小さく設定されている。このため、大径軸部32Aと小径軸部32Bとの境目には環状の段部32Dが形成され、大径軸部32Aと小径軸部32Cとの境目には環状の段部32Eが形成されている。また、小径軸部32B,32Cは等しい長さ寸法Xに形成され、この長さ寸法Xは、例えば従来技術においてモータハウジング2にキャリア25を組付けるときに、キャリア25のピン穴25B内に挿入されるノックピン27先端部の長さ寸法A(図10参照)と等しいか僅かに大きく(X≧A)形成されている。
【0043】
さらに、各小径軸部32B,32Cの端縁部には全周に亘って面取り部32F,32Gがそれぞれ形成されている。この場合、面取り部32F,32Gは、ノックピン32をナット26のピン穴26A、キャリア25のピン穴25B内に挿入するときの案内となるものではなく、ノックピン32の両端縁部がエッジ形状となるのを抑えるものである。
【0044】
そして、ノックピン32は、基端側の小径軸部32Bから大径軸部32Aにかけてナット26のピン穴26A内に圧入され、先端側の小径軸部32Cから大径軸部32Aにかけてキャリア25のピン穴25Bに挿入されることにより、ナット26を最終段のキャリア25に廻止め状態に連結している。
【0045】
本実施の形態による遊星歯車減速装置31は上述の如きノックピン32を備えたもので、その基本的作動については従来技術によるものと格別差異はない。
【0046】
然るに、本実施の形態による遊星歯車減速装置31は、軸方向の両端側が小径軸部32B,32Cとなったノックピン32を用いてナット26を最終段のキャリア25に廻止め状態に連結する構成としている。
【0047】
このため、例えば図4に示すように、ナット26に対してキャリア25が僅かな傾きを生じたときに、キャリア25のピン穴25B内面は、小径軸部32Cとなったノックピン32の先端部に当接することなく、大径軸部32Aと小径軸部32Cとの間に位置してノックピン32の軸方向中間部に形成された段部32Eに当接するようになる。
【0048】
この場合、ノックピン32の小径軸部32Cは長さ寸法Xの範囲に形成されているので、ナット26の表面からノックピン32の段部32Eまでの寸法Yは、ナット26の表面からノックピン32の先端部までの寸法Bよりも、小径軸部32Cの長さ寸法Xだけ小さく(Y=B−X)なる。
【0049】
従って、仮にキャリア25のピン穴25B内面がノックピン32(段部32E)に当接した状態で遊星歯車減速装置31が作動したとしても、キャリア25からノックピン32に作用する曲げ荷重を低減することができる。これにより、ノックピン32の変形、損傷等を確実に抑え、該ノックピン32によってナット26を確実に廻止めしておくことができるので、遊星歯車減速装置31を長期に亘り安定して作動させることができる。
【0050】
また、本実施の形態による遊星歯車減速装置31は、モータハウジング2のキャリア固定部2Bに最終段のキャリア25を組付けるときの作業性を向上できるようになっており、以下、キャリア25の組付け作業について説明する。
【0051】
まず、図5に示すように、モータハウジング2に軸受7,8を介してケーシング3のドラム4を回転可能に取付ける。
【0052】
次に、ナット26のピン穴26A内にノックピン32の基端側を打込んで圧入する。この場合、ノックピン32の基端側には小径軸部32Bが形成されているので、該小径軸部32Bを容易にピン穴26Aに挿入し、この小径軸部32Bによって大径軸部32Aをピン穴26Aに案内することができる。このため、ノックピン32を確実にナット26のピン穴26A内に打込むことができ、このときの作業性を向上することができる。
【0053】
そして、ノックピン32を圧入したナット26をモータハウジング2の雄ねじ2Cに螺着し、該ナット26を適度に締込むことにより軸受8を軸方向に位置決めする。
【0054】
次に、キャリア25の雌スプライン25Aをモータハウジング2の雄スプライン2Dに噛合させるため、ナット26から突出したノックピン32の先端側にキャリア25のピン穴25Bを挿入する。
【0055】
この場合、ノックピン32の先端側には小径軸部32Cが形成されているので、該小径軸部32Cにキャリア25のピン穴25Bを容易に挿入することができる。従って、この小径軸部32Cを案内としてキャリア25のピン穴25Bをノックピン32の大径軸部32Aへと挿入しつつ、キャリア25の雌スプライン25Aをモータハウジング2の雄スプライン2Dに噛合させることができ、キャリア25をモータハウジング2に組付けるときの作業性を向上させることができる。
【0056】
かくして、本実施の形態によれば、軸方向の両端側が小径軸部32B,32Cとなったノックピン32を用いてナット26を最終段のキャリア25に廻止め状態に連結する構成としている。
【0057】
このため、例えばキャリア25がナット26に対して傾き、キャリア25のピン穴25B内面がノックピン32に当接した状態で遊星歯車減速装置31が作動したとしても、キャリア25からノックピン32に作用する曲げ荷重を低減することができる。これにより、ノックピン32の変形、損傷等を抑え、該ノックピン32によってナット26を確実に廻止めしておくことができるので、遊星歯車減速装置31を長期に亘り安定して作動させることができる。
【0058】
また、ノックピン32の基端側をナット26のピン穴26Aに圧入するときには、ノックピン32の小径軸部32Bによって大径軸部32Aをピン穴26Aに案内することができ、このときの作業性を向上することができる。
【0059】
また、モータハウジング2にキャリア25を組付けるため、ナット26に圧入されたノックピン32の先端側にキャリア25のピン穴25Bを挿入するときには、ノックピン32の小径軸部32Cによってピン穴25Bを案内することができる。これにより、モータハウジング2にキャリア25を組付けるときの作業性を向上することができ、遊星歯車減速装置31全体の組立性を向上することができる。
【0060】
さらに、本実施の形態による遊星歯車減速装置31は、従来技術に用いたノックピン27をノックピン32に代えるだけで、他の構成部品の変更等を行うことなく容易に構成することができる。
【0061】
なお、上述した第1の実施の形態では、軸方向の中間部が大径軸部32Aとなり、軸方向の両端側が小径軸部32B,32Cとなったノックピン32を例に挙げたが、本発明はこれに限るものではなく、例えば図6に示す変形例のように、ナット26のピン穴26A内に圧入される基端側から軸方向中間部がピン径Dを有する大径軸部41Aとなり、キャリア25のピン穴25B内に挿入される先端側のみがピン径dを有する小径軸部41Bとなり、その端縁部には全周に亘って面取り部41Cが形成されたノックピン41を用いてもよい。
【0062】
また、上述した第1の実施の形態では、ノックピン32の小径軸部32B,32Cを等しい長さ寸法Xに設定した場合を例に挙げたが、本発明はこれに限らず、例えば基端側に位置する小径軸部32Bの長さ寸法を、先端側に位置する小径軸部32Cよりも短くしてもよい。
【0063】
また、上述した実施の形態では、油圧モータ1の回転出力を減速してケーシング3に伝達するため、2段の減速歯車機構14,20を備えた遊星歯車減速装置を例に挙げたが、本発明はこれに限らず、例えば1段、または3段以上の減速歯車機構を備えた遊星歯車減速装置にも適用することができる。
【0064】
さらに、上述した実施の形態では、装軌式車両の履帯駆動装置に用いられる遊星歯車減速装置を例に挙げたが、例えば油圧クレーン用のロープウインチ等に用いられる遊星歯車減速装置にも適用することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1の発明によれば、軸受を位置決めするナットを最終段のキャリアに廻止め状態に連結するノックピンを、軸方向中間部に位置する大径軸部と、基端側に位置する小径軸部と、先端側に位置する小径軸部とにより構成したので、例えば最終段のキャリアがナットに対して傾いたとしても、キャリアのピン穴内面は、ノックピンの軸方向中間部に位置する大径軸部と小径軸部との境目に当接する。このため、キャリアからノックピンに作用する曲げ荷重を小さくし、該ノックピンの変形、損傷等を抑えることができる。そして、ノックピンによってナットを確実に廻止めしておくことができ、遊星歯車減速装置を長期に亘り安定して作動させることができる。
【0066】
また、ノックピンの基端側に位置する小径軸部によってノックピンの大径軸部をナットのピン穴に案内することができ、ノックピンの大径軸部をナットのピン穴に圧入するときの作業性を向上することができる。一方、ノックピンの先端側に位置する小径軸部によって、該ノックピンの先端側を最終段のキャリアのピン穴に容易に挿入することができ、キャリアをノックピンによって案内しつつ支持部材に確実に組付けることができるので、支持部材にキャリアを組付けるときの作業性を向上し、遊星歯車減速装置全体の組立性を向上することができる。
【0067】
また、請求項2の発明によれば、ノックピンを、その基端側から軸方向中間部に亘って軸方向に延びる大径軸部と、該大径軸部の先端側に位置し該大径軸部よりも小径に形成された先端側の小径軸部とにより構成し、かつ前記ノックピンは、前記大径軸部を基端側か らナットのピン穴に圧入し、前記先端側の小径軸部から大径軸部にかけて前記キャリアのピン穴に挿入する構成としているので、この場合でも、最終段のキャリアがナットに対して傾いたとしても、キャリアのピン穴内面は、ノックピンの先端部(小径軸部)に当接することなく軸方向中間の大径軸部に当接するので、最終段のキャリアからノックピンに作用する曲げ荷重を小さくし、該ノックピンの変形等を抑えることができる。また、ノックピンの先端側に位置する小径軸部によってキャリアのピン穴を案内することができるので、キャリアをノックピンによって案内しつつ、キャリアのピン穴をノックピンの先端側の小径軸部に容易に挿入することができる。これにより、キャリアをノックピンによって案内しつつ支持部材に組付けるときの作業性向上することができる。
【0068】
また、請求項3の発明によれば、小径軸部の端縁部には全周に亘って面取り部を形成する構成としているので、ノックピンの小径軸部の端縁部がエッジ形状となるのを抑えることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態による遊星歯車減速装置の断面図である。
【図2】 図1中のナット、キャリア、ノックピン等の要部を示す拡大断面図である。
【図3】 第1の実施の形態に用いるノックピンを示す正面図である。
【図4】 ナットに対してキャリアが傾いた状態を示す図2と同様位置の拡大断面図である。
【図5】 モータハウジングにキャリアを組付ける状態を示す断面図である。
図6】 ノックピンの変形例をナット、キャリア等と共に示す図2と同様位置の拡大断面図である。
図7】 従来技術による遊星歯車減速装置の断面図である。
図8図7中のナット、キャリア、ノックピン等の要部を示す拡大断面図である。
図9】 モータハウジング、キャリア、ノックピン等を図8中の矢示IX IX方向からみた断面図である。
図10】 モータハウジングにキャリアを組付ける状態を示す断面図である。
図11】 ナットに対してキャリアが傾いた状態を示す図8と同様位置の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 油圧モータ(回転源)
2 モータハウジング(支持部材)
2D 雄スプライン
3 ケーシング
7,8 軸受
14,20 減速歯車機構
19,25 キャリア
25A 雌スプライン
25B ピン穴
26 ナット
26A ピン穴
32,4ノックピン
32A,41A 大径軸部
32B,32C,41B 小径軸部
32F,32G,41C 面取り部

Claims (3)

  1. 支持部材と、該支持部材に軸受を介して回転可能に支持されたケーシングと、該ケーシングを回転駆動すべく前記支持部材に設けられた回転源と、該回転源の回転出力を減速して前記ケーシングに伝達するために該ケーシング内に設けられた1段または複数段の減速歯車機構とを備え、該減速歯車機構のうち最終段のキャリアと支持部材とは雌スプラインと雄スプラインとによって回転方向に位置決めし、前記軸受は前記支持部材に螺着されたナットによって軸方向に位置決めし、該ナットを最終段のキャリアに廻止め状態に連結するためのノックピンを設け、該ノックピンは、その基端側を前記ナットに設けたピン穴に圧入し、先端側を前記キャリアに設けたピン穴に挿入してなる遊星歯車減速装置において、
    前記ノックピンは、軸方向中間部に位置する大径軸部と、該大径軸部の基端側に位置し該大径軸部よりも小径に形成された基端側の小径軸部と、前記大径軸部の先端側に位置し前記大径軸部よりも小径に形成された先端側の小径軸部とにより構成し、かつ前記ノックピンは、前記基端側の小径軸部から大径軸部にかけて前記ナットのピン穴に圧入し、前記先端側の小径軸部から大径軸部にかけて前記キャリアピン穴に挿入する構成としたことを特徴とする遊星歯車減速装置。
  2. 支持部材と、該支持部材に軸受を介して回転可能に支持されたケーシングと、該ケーシングを回転駆動すべく前記支持部材に設けられた回転源と、該回転源の回転出力を減速して前記ケーシングに伝達するために該ケーシング内に設けられた1段または複数段の減速歯車機構とを備え、該減速歯車機構のうち最終段のキャリアと支持部材とは雌スプラインと雄スプラインとによって回転方向に位置決めし、前記軸受は前記支持部材に螺着されたナットによって軸方向に位置決めし、該ナットを最終段のキャリアに廻止め状態に連結するためのノックピンを設け、該ノックピンは、その基端側を前記ナットに設けたピン穴に圧入し、先端側を前記キャリアに設けたピン穴に挿入してなる遊星歯車減速装置において、
    前記ノックピンは、その基端側から軸方向中間部に亘って軸方向に延びる大径軸部と、該大径軸部の先端側に位置し該大径軸部よりも小径に形成された先端側の小径軸部とにより構成し、かつ前記ノックピンは、前記大径軸部を基端側から前記ナットのピン穴に圧入し、前記先端側の小径軸部から大径軸部にかけて前記キャリアのピン穴に挿入する構成としたことを特徴とする遊星歯車減速装置。
  3. 前記小径軸部の端縁部には全周に亘って面取り部を形成してなる請求項1または2に記載の遊星歯車減速装置。
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