JPH08340596A - スピーカー用ダンパーおよびその製造方法 - Google Patents
スピーカー用ダンパーおよびその製造方法Info
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Abstract
ーカー用ダンパーにおいて、成形時に優れた賦形性を示
し、しかも作業環境面でも安全性が高く、耐水性と耐熱
性、耐久性に優れたスピーカー用ダンパーを提供するこ
とにある。 【解決手段】 全芳香族ポリアミド繊維と芳香族ポリエ
ステル繊維とからなる混合ヤーンから構造された布帛に
ポリエステル樹脂を含浸させて加熱加圧下に成形するこ
とによって得られたスピーカー用ダンパー。
Description
スピーカーに組み込まれているスピーカー用ダンパーお
よびその製造方法に関する。さらに詳しくは、耐水性並
びに寸法安定性に優れ、かつスピーカーの性能が長期間
維持され、しかもその製造の作業性が改善されたスピー
カー用ダンパーおよびその製造方法に関する。
のスピーカーにおける部品の1つであって、音を放射状
に発する振動板(スピーカー・コーン)に振動を伝達す
るコイルボビンと、スピーカーフレームに接着され、こ
れらを弾性的に支持する機能を有し、同心円のコルゲー
ションを面状に広げた形態を有している。このスピーカ
ー用ダンパーは、コイルボビンの保持安定性に優れてい
ること、コイルボビンで発生した応力に応じて振動板を
忠実に往復運動させること、つまりヒステリシスに優れ
ていることが基本特徴として要求される。
構造材料が提案されている。例えばフェノール繊維の織
布にフェノール樹脂を含浸させたもの(特開昭53−4
8520号公報)、全芳香族ポリアミド繊維および綿よ
りなる織布にフェノール樹脂を含浸させたもの(特開昭
62−258596号公報)およびパラ型芳香族ポリア
ミドおよびメタ型芳香族ポリアミド繊維の混紡糸よりな
る織布にフェノール樹脂等の硬化性樹脂を含浸したもの
(特開平5−183991号公報)が提案されている。
これらは、いずれも織布に熱硬化性樹脂を含浸させたプ
リプレグを基材として使用し、この基材を加熱金型中で
硬化と同時に賦形して所定の形状に成型し、スピーカー
用ダンパーを得る方法である。
は、賦形剤としての熱硬化性樹脂を含浸したプリプレグ
を作製する工程を必要とするが、この工程のみならず、
成形工程において、賦形剤として用いるフェノール樹脂
またはメラミン樹脂等の樹脂の溶液は、肌に対して、カ
ブレを引き起こしたり、乾燥時に有毒ガスが発生する等
作業環境上の課題が指摘されていた。
性樹脂であり、所定の加熱金型中で加熱反応により硬化
し、所定の形状に成形する工程を用いているが、基材の
マトリックスである織物は、上記のとおり天然繊維の綿
織物や、耐熱性繊維のアラミド繊維またはフェノール繊
維によって構成されているため、加熱金型中でもほとん
ど変形せず、形状は主として賦形剤によって成形保持さ
れている。
常180℃以上の高温に設定している。このため、賦形
剤は、硬化反応終了後も、金型中で比較的柔らかいゴム
状であり、成形後の金型から取り出したときに、比較的
剛性の高いマトリックス織物の内部応力により賦形剤が
変形され、所定の形状を維持できないという成形性に関
する課題を有していた。
常に高い弾性率を保つが、賦形剤として用いられている
フェノール樹脂またはメラミン樹脂等はマトリックス布
帛を構成する繊維との親和性が低いため、成形物がスピ
ーカーのダンパー材として、たわみ、または曲げの変形
を繰返し受けたとき、マトリックス布帛と賦形剤との界
面で剥離を生じたり、薄膜の状態でマトリックス布帛表
面を被覆している賦形剤が、柔軟性のある布帛のたわみ
に追随できず亀裂破壊を起こし、それに伴って、布帛を
構成する糸の交点の結合部が破壊され、ダンパーとして
の剛性が著しく低下するという、スピーカー部材として
の耐久性の面での課題も有していた。
例えば自動車のドアに取り付けられるスピーカーの場合
においては、ダンパーはウィンドーからの雨水や洗車の
際の漏水により、水の影響を受け易く、そのため特に耐
水性が要求され、湿潤、乾燥の繰返しに対して変形が小
さいことが必要とされているが、上記基材においては賦
形剤の樹脂が比較的吸水率が高く吸水時に賦形剤自体が
変形すると共に、布帛の繊維表面を被覆している賦形剤
に亀裂が起こり、この亀裂から侵入する水によってマト
リックス布帛の繊維間並びに繊維自体が吸水することで
伸びによる変形をきたし、その結果、成形品であるダン
パーが変形してスピーカーの性能に影響を与えるとい
う、ダンパー基材の耐水性の面での課題も有していた。
情を背景としてなされたものである。すなわち、本発明
の第1の目的は、スピーカーの部材として使用したと
き、性能の劣化が少なく、耐水性、耐湿性および耐熱性
に優れたスピーカー用ダンパーを提供することにある。
本発明の第2の目的は、スピーカーの部材として使用し
たとき、長期間の使用によって形態保持性が低下せず、
スピーカーの特性も低下しないスピーカー用ダンパーを
提供することにある。本発明の第3の目的は、その製造
工程において作業環境に悪い影響を与えない、具体的に
は含浸工程や成形工程が安全であり、しかも有害なガス
の発生がないスピーカー用ダンパーの製造方法を提供す
ることにある。
ば、前記本発明は、全芳香族ポリアミドヤーンで構成さ
れた布帛をマトリックス成分とするスピーカー用ダンパ
ーにおいて、(i)該全芳香族ポリアミドヤーンは、そ
の熱分解温度よりも100℃以上低い熱融着温度を有す
る熱可塑性芳香族ポリエステル繊維との混合ヤーンとし
て構成され、(ii)該混合ヤーン内では、全芳香族ポリ
アミド繊維同志が該熱可塑性芳香族ポリエステル繊維の
融着により固着され、(iii)該混合ヤーン内では、該
ヤーンを構成する繊維間および繊維表面がポリエステル
樹脂を含む賦形剤により固着され、そして(iv)該布帛
内では、混合ヤーン同志がその交叉点において、熱可塑
性芳香族ポリエステル繊維の融着によりかつポリエステ
ル樹脂を含む賦形剤により固着されている、ことを特徴
とするスピーカー用ダンパーによって達成される。
発明の他の目的は、全芳香族ポリアミドヤーンで構成さ
れた布帛をマトリックス成分とするスピーカー用ダンパ
ーの製造方法であって、全芳香族ポリアミド繊維および
芳香族ポリエステル繊維の混合ヤーンより構成された布
帛に、水溶性ポリエステル樹脂の水溶液を含浸させ、次
いで乾燥し、しかる後金型中で芳香族ポリエステル繊維
の融着により全芳香族ポリアミド繊維同志が固着しかつ
ポリエステル樹脂による混合ヤーン内における繊維同志
および混合ヤーン同志が固着するに充分な温度および圧
力条件下で所望の形状に加圧成形することを特徴とする
スピーカー用ダンパーの製造方法によって達成される。
る。本発明のスピーカー用ダンパーにおけるマトリック
ス成分は、全芳香族ポリアミドヤーンで構成された布帛
であり、このヤーンは全芳香族ポリアミド繊維と芳香族
ポリエステル繊維との混合ヤーンで構成されている。そ
して、この混合ヤーンは、全芳香族ポリアミド繊維およ
び芳香族ポリエステル繊維のそれぞれのフィラメントよ
りなるフィラメントヤーンであってもよく、またそれぞ
れの短繊維よりなる紡績糸であってもよい。
ミド繊維は、極めて優れた耐熱性および高いモジュラス
を有する繊維であって、芳香族ジアミン成分および芳香
族ジカルボン酸成分よりなる芳香族ポリアミドを重合体
成分として形成される。この全芳香族ポリアミド繊維
は、通常350℃以上、特に400〜550℃の軟化点
或いは分解温度を有しており、極めて耐熱性に優れてい
る。
繰返し単位の少なくとも50モル%がメタフェニレンイ
ソフタラミド単位またはパラフェニレンテレフタラミド
単位であるポリアミドが好ましい例であり、具体的には
ポリメタフェニレンイソフタラミド、ポリパラフェニレ
ンテレフタラミド或いはこれらの共重合体が挙げられ
る。共重合体としては、3,4’−ジアミノジフェニル
エーテルとパラフェニレンジアミンをジアミン成分と
し、これとテレフタル酸成分をジカルボン酸成分とする
ポリアミドが例示される。これらのうち、ポリメタフェ
ニレンイソフタラミドが好ましい。
10デニール、好ましくは1〜5デニールが適当であ
り、短繊維の場合、繊維長は20〜75mmの範囲が好
ましい。
トリックス成分の布帛を形成している混合ヤーンにおい
て、前記全芳香族ポリアミド繊維に混合して使用される
芳香族ポリエステル繊維は、全芳香族ポリアミド繊維の
ポリマーの軟化点(或いは分解温度)よりも100℃以
上、特に150〜200℃低い融点または軟化点を有し
ているポリマーから形成されているのが好ましい。この
芳香族ポリエステルは、具体的には120〜270℃、
好ましくは130〜250℃、特に好ましくは140〜
220℃の融点(非晶性ポリマーの場合には軟化点)を
有しているのが望ましい。
ステルとしては、全繰返し単位の少なくとも50モル
%、好ましくは少なくとも60モル%がエチレンテレフ
タレート単位を有していることが有利である。具体的に
は、ポリエチレンテレフタレート或いはエチレンテレフ
タレート単位を50モル%以上含有する共重合ポリエス
テルが挙げられる。共重合ポリエステルの場合、共重合
成分としてはイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の
ようなジカルボン酸成分;プロピレングリコール、1,
4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−
ヘキサンジオールのようなグリコール成分が例示され
る。
フタル酸/イソフタル酸を重量で60/40の割合とす
るジカルボン酸成分と、エチレングリコール/ジエチレ
ングリコールを重量で88/12の割合とするグリコー
ル成分とから得られる共重合ポリエステルがある。これ
らの成分の比率は、得られた共重合ポリエステルのDS
C測定法による軟化点が約110℃、融点が130〜1
80℃の範囲になるように変化させることができる。
ニール、好ましくは1〜5デニールの繊度であるものが
有利に使用され、短繊維の場合、繊維長は20〜75m
mの範囲が望ましい。
る混合ヤーンは、前記全芳香族ポリアミド繊維および芳
香族ポリエステル繊維よりなる。この両繊維の混合割合
は、全芳香族ポリアミド繊維/芳香族ポリエステル繊維
の重量比として50:50〜85:15、好ましくは5
5:45〜80:20の範囲である。この範囲よりも全
芳香族ポリアミド繊維の割合が少ないと、布帛の耐熱性
が損なわれる等の不具合が生じることがある。一方、前
記範囲よりも芳香族ポリエステル繊維の割合が少なくな
ると、スピーカー用ダンパーの製造工程において布帛の
目擦れが起こる恐れがある。
維および芳香族ポリエステル繊維とが前記割合で均一に
混繊され、150〜500デニール、好ましくは200
〜400デニールのヤーンとして布帛を構成する。
クス成分である布帛は、前記混合ヤーンより構成される
ものであり、織物或いは編物のいずれであってもよい。
例えば平織、綾織または朱子織等の織物;経編または緯
編(横編、丸編)等の編物の組織形態であることができ
る。これらのうち、スピーカー用ダンパーとしての特性
およびその加工性等の点から織物、殊に平織であること
が有利である。
た布帛を基体(substrate)として、これにポリエステ
ル樹脂を適当量含浸させ、加熱下に金型中で加圧成形す
ることにより得られる。
ンパーにおける賦形剤としての機能を有する。ポリエス
テル樹脂を全く使用しないで、前記布帛を加熱下に加圧
成形すると、スピーカー用ダンパーとしての形態を付与
することができるが、得られた成形品はスピーカー用ダ
ンパーとして形態保持性および硬さが極めて不充分であ
り、実用性のないものである。ところが、ポリエステル
樹脂の適当割合を布帛に含浸させて加熱加圧下に成形す
ると、ポリエステル樹脂が布帛を形成している混合ヤー
ンの繊維間に介在して繊維同志を固着し、また混合ヤー
ンの交叉点においてもポリエステル樹脂が介在して混合
ヤーン同志をしっかり固着し、かくして成形された布帛
は、充分な硬さ並びに形態保持性を有するスピーカー用
ダンパーとなる。
用ダンパーの賦形剤として優れた特性を有する理由は明
確ではないが、恐らく混合ヤーンを形成している全芳香
族ポリアミド繊維および芳香族ポリエステル繊維とポリ
エステル樹脂の親和性によるものと考えられる。従っ
て、本発明において加熱加圧下に布帛を成形する前に、
布帛中にポリエステル樹脂を好都合に含浸させておくこ
とが肝要となる。
せる方法は、ポリエステル樹脂の溶液、好ましくは水溶
液を使用することである。最も簡単な方法は、ポリエス
テル樹脂の溶液中に布帛を浸漬する方法である。ポリエ
ステル樹脂の溶液としては、水溶液であることが工業的
にもまた作業環境からも有利である。従って、その水溶
液を得ることができる水溶性ポリエステル樹脂について
具体的に説明する。
ボン酸成分とジオール成分とから主として形成され、ま
た水溶性を高めるため親水性基を有する成分を共重合し
たものが有利に使用される。
ボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フ
タル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、コハク
酸、セバチン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸
等であり、一方、ジオール成分としては、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール等で
ある。樹脂を水溶性にするため、親水性の基を共重合す
るが、その成分としては5−スルホイソフタル酸ナトリ
ウムのように、スルホン基またはその誘導体基を側鎖に
有する成分或いはポリエチレングリコール等を共重合成
分として用いる。
ルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、
フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−オキシ
安息香酸等挙げられるが、なかでもテレフタル酸、イソ
フタル酸が好ましい。特にテレフタル酸/イソフタル酸
のモル比は、65/35〜50/50の範囲内にあるこ
とが望ましい。
の、例えばエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコ
ール等、およびジエチレングリコールが挙げられる。な
かでもエチレングリコール、ジエチレングリコールが望
ましい。
カルボン酸としては、スルホテレフタル酸、5−スルホ
イソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタ
レン−2,7−ジカルボン酸等のスルホン酸の金属塩を
挙げることができ、金属塩としては、ナトリウム、カリ
ウム、リチウム等のアルカリ金属塩を挙げることができ
る。このうち、特に好ましいものは、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸である。この様なSO3M基を有する
ジカルボン酸の共重合割合は、共重合ポリエステルの全
ジカルボン酸成分を基準として40モル%以下、特に5
〜20モル%を占めていることが好ましく、40モル%
を越えると溶融粘度が飛躍的に増大するため、溶融重合
法で所望の重合度のポリマーを得ることが困難となるの
で好ましくない。
共重合成分として、使用しうるポリオキシアルキレング
リコールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポ
リオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレング
リコール・ポリオキシプロピレングリコール共重合体等
が挙げられ、なかでもポリオキシエチレングリコールが
好適である。なお、これらのポリオキシアルキレングリ
コールは、一方の水酸基がエーテル結合で封鎖されてい
てもよく、例えばモノメチルエーテル、モノエチルエー
テル、モノフェニルエーテル等を用いることができる。
上記ポリオキシアルキレングリコールの平均分子量は、
通常500〜12000であるが、特に1000〜60
00のものが好ましい。また、共重合量は、生成共重合
ポリエステルの重量を基準として20〜90重量%、好
ましくは30〜80重量%が望ましい。
びにSO3M基(Mは金属イオン)を有するジカルボン
酸および/またはポリアルキレングリコールからなる水
溶性ポリエステルには、本発明の目的を損なわない範囲
内で上記以外の共重合成分を少量含有していてもよい。
(o−クロロフェノール中25℃で測定)は、0.2〜
0.55の範囲が好ましい。また、本発明でいう水溶性
とは、完全に水溶性であるものに限定されず、水中に微
分散し得るものであればよい。
度は、100gの水中に30℃おいて、樹脂が20〜4
5g、好ましくは25〜40g溶解しうるのが望まし
い。また、ポリエステル樹脂水溶液中に布帛を浸漬させ
る場合、水溶液中の樹脂の濃度は15〜40重量%、好
ましくは20〜35重量%の範囲が適当である。
後、加熱加圧に成形された場合、架橋して硬化するもの
が有利であり、架橋剤としては種々のものが使用され
る。架橋剤としては、例えばメラミン、メチロール化メ
ラミン、トリイソシアネート等が使用される。架橋剤の
使用により、成形品に適当な硬さを付与できる。これら
架橋剤中、メラミンまたはメチロール化メラミンは、成
形品に望ましい物性を付与しうると共に、成形において
金型を汚染することもないので好適である。架橋剤の添
加量は、その種類によって一定ではないが、ポリエステ
ル樹脂(固形分)に対して20〜30重量%の割合が適
当である。
樹脂の割合は、スピーカー用ダンパーの性能および物性
に影響を与える。布帛に付着させるポリエステル樹脂の
割合は、乾燥重量で布帛に対し15〜40重量%、好ま
しくは20〜35重量%の範囲が望ましい。ポリエステ
ル樹脂(賦形剤)の割合が前記範囲よりも少ないと、成
形品の硬さが不足し、さらにスピーカー用ダンパーとし
て長時間使用すると、物性の低下が著しくなる。一方、
ポリエステル樹脂の付着量が前記範囲より多くなると、
成形品の耐熱性が低下すると共に、スピーカー用ダンパ
ーとしての特性も低下することがある。
溶液を含浸させた後、樹脂の付着量を前記範囲とするに
は、溶液の濃度並びに含浸させた後の布帛のマングルに
よる絞りを適宜選択またはコントロールすればよい。し
かる後、乾燥して樹脂が付着した布帛は成形に供され
る。
与されるような型であり、その温度および圧力はポリエ
ステル樹脂が付着した布帛が充分な硬さと形態が付与さ
れるような条件が選択される。金型における加熱および
圧力によって、布帛中の混合ヤーン内で全芳香族ポリア
ミド繊維同志が芳香族ポリエステル繊維の融着により固
着されかつ混合ヤーン内で該ヤーンを構成する繊維間お
よび繊維表面がポリエステル樹脂を含む賦形剤によって
固着され、その上布帛内で混合ヤーン同志がその交叉点
において芳香族ポリエステル繊維の融着およびポリエス
テル樹脂を含む賦形剤により固着されたスピーカー用ダ
ンパーが得られる。
融着温度、ポリエステル樹脂の固着温度および布帛の構
造等により左右されるが、通常130〜250℃、好ま
しくは140〜230℃の範囲が適当であり、成形時間
は30秒〜10分、好ましくは1〜5分が望ましい。
カーにおけるコイルボビンの保持安定の目的に利用され
かつ振動板(スピーカー・コーン)を忠実に振動させる
ことが特性として必要であるから、軽量で薄くかつ適当
な通気性が要求される。スピーカー用ダンパーは、布帛
の厚さが0.1〜0.7mm、好ましくは0.2〜0.5m
mであり、通常円盤状であって、円心円の波形が形が付
与されている。
IS L−1096に基づいて測定された通気度が70
〜170cm3/cm2・sec、好ましくは100〜1
40cm3/cm2・secの範囲のものが望ましい。
帛およびポリエステル樹脂を使用し、混合ヤーン内およ
び混合ヤーン間における融着および固着によって所望の
硬さを有し、その上優れた耐水性および耐湿性を有して
いる。殊に、本発明のスピーカー用ダンパーは、耐水性
に関して成形されたスピーカー用ダンパーを常温(20
℃)で24時間水中に浸漬させた後の、柔軟度変化率
(%)が5%以下、特に3%以下であるという特性を有
している。
中の芳香族ポリエステル繊維が適度な柔軟性を有してお
り、さらに賦形剤として使用されるポリエステル樹脂
が、ポリエステル繊維並びに全芳香族ポリアミド繊維と
親和性がよいので、たわみや曲げの変形を繰返し受けて
も、ダンパーとしての剛性が著しく低下するということ
が起こらず、これを用いたスピーカーは長時間連続して
動作させても性能が大きく劣化することがない。また、
布帛を構成する繊維の素材であるポリマーの吸水率が極
めて低いので、この繊維によって構成される布帛の成形
物であるスピーカー用ダンパーは、吸水による繊維の伸
びが原因で変形してスピーカーの性能に影響を与えると
いうことがない。しかも、本発明は、従来法に比べて簡
単な作業工程でかつ作業環境を低下させることなく、成
形性が良く、耐水性、耐久性に優れたスピーカー用ダン
パーを製造することができる。以下、実施例により本発
明を具体的に説明する。
社製コーネックス、タイプHG、単糸繊度2デニール)
および低融点ポリエステル短繊維(帝人株式会社製、軟
化点110℃、単糸繊度2デニール)を用い、これらを
重量比率70/30の割合で混紡し、250デニールの
紡績糸とした。得られた紡績糸を用い、タテ・ヨコ共に
織密度38本/インチで布帛(平織)を得た。一方、水
溶性ポリエステル樹脂(互応化学株式会社製、商品名:
プラスコート、Z−561、濃度25%)200gにメ
ラミン(例えば住友化学株式会社製、トリメチロールメ
ラミン、商品名:M−3、濃度80%)15gおよび反
応促進剤(住友化学株式会社製、アルカノールアミンの
塩酸塩、商品名:スミテックスACX、濃度30%)1
5gを混合し、含浸目標量に応じ、水の添加量を変更
し、混合攪拌し水溶液を得た。先に準備した布帛を、こ
の水溶液中に浸漬し、マングルで均一に絞り、引き続き
120℃の乾燥機中で3分間乾燥処理を行った。
帛を所定のサイズにカットし、金型に入れ、180℃の
プレスで2分間熱成形した。得られた成形体について、
平面部を巾5mmにカットし、その片方を保持し、長さ
20mmの長方形の布帛の他方の先端に重りをぶら下
げ、布帛がたわむのに要する重りの重量で、サンプルの
硬さを判定した。比較例2、3では、フェノール樹脂を
含浸した。表1において、成型性とは金型の凹凸部の角
の成型性を目視判定したものである。角がハッキリと成
型されているものを○。そうではなく角が丸く成型され
たものを×。それらの中間を△と判定した。
度180℃に設定した金型で、プレス圧2kg/cm2
で10秒間加圧し、この後金型を開き成形物を取り出
し、外形を切断して外径6mm、ネック径19mmのド
ーナツ型ダンパーとした。実施例1、実施例2、実施例
3、実施例4および実施例5において得られたスピーカ
ー用ダンパーはほぼ同等の外観、柔軟度を示した。本実
施例におけるスピーカー用ダンパーの成形前における表
面の状態の拡大図を図1aに、成形後の表面の状態の拡
大図を図1bに示す。図1a、図1bから明らかなよう
に、成形時の加熱により、織物を構成する熱融着繊維が
溶融、固化し、糸の交点を融着すると共に糸の表面を被
覆する形となっている。顕微鏡観察の結果、各実施例に
おける成形物は共に同様の形態を示した。
成形品の寸法精度および耐水性を表2に示す。成形品の
寸法精度としては、成形されたスピーカー用ダンパーの
外周部の平面度で表した。表面度の測定は、ダンパーを
平滑な定盤上に置き、低面の外周部の反りをハイトゲー
ジで測定した。耐水性については、湿潤状態での柔軟度
の変化として、水道水に24時間浸漬した前後の値を測
定した。柔軟度は、ダンパー中央のネック部に、嵌合す
る直径方向断面が逆凸型のごく軽量の円板を置き、その
上に50gの分銅を乗せたときのたわみの大きさをmm
で表したものである。寸法安定性としては、同上の操作
後、上記の反りによって評価した。
を用いた緯38本/インチ、経38本/インチの織密度
で織成した平織の綿布にフェノール樹脂を5重量%含浸
した布帛を基材とし、型温220℃に設定した金型で、
プレス圧2kg/cm2で5秒間加圧し成形したものの
同様の結果を示した。
さく寸法精度に優れていることが判る。また、湿潤状態
での柔軟度、寸法安定性ともに従来品よりも低く、耐水
性に優れていることが判る。
されたダンパーを用いた16cm口径のスピーカーの連
続動作における最低共振周波数の経時変化で図2に示
す。従来品の綿布を基材とするスピーカー用ダンパーに
比べ、スピーカーの連続動作における最低共振周波数の
変化率が極めて低いことが判る。なお、図2では、実施
例3のデータが従来品のデータと共に示されているが、
実施例1、2、4および5のスピーカー用ダンパーにつ
いて、最低共振周波数の変化率を調べたところ、500
時間経過後、いずれも−4%〜−7%の範囲であった。
前の表面状態を示す拡大図である。 (b)本発明のスピーカー用ダンパーの成形後の表面の
状態を示す拡大図である。
用したスピーカーの連続動作試験における最低共振周波
数の変化を従来品と比較した特性図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 全芳香族ポリアミドヤーンで構成された
布帛をマトリックス成分とするスピーカー用ダンパーに
おいて、(i)該全芳香族ポリアミドヤーンは、その熱
分解温度よりも100℃以上低い熱融着温度を有する熱
可塑性芳香族ポリエステル繊維との混合ヤーンとして構
成され、(ii)該混合ヤーン内では、全芳香族ポリアミ
ド繊維同志が該熱可塑性芳香族ポリエステル繊維の融着
により固着され、(iii)該混合ヤーン内では、該ヤー
ンを構成する繊維間および繊維表面がポリエステル樹脂
を含む賦形剤により固着され、そして(iv)該布帛内で
は、混合ヤーン同志がその交叉点において、熱可塑性芳
香族ポリエステル繊維の融着によりかつポリエステル樹
脂を含む賦形剤により固着されている、ことを特徴とす
るスピーカー用ダンパー。 - 【請求項2】 70〜170cc/cm2・secの通
気度を有する請求項1記載のスピーカー用ダンパー。 - 【請求項3】 該混合ヤーンは、全芳香族ポリアミド繊
維:芳香族ポリエステル繊維の割合が重量で50:50
〜85:15で構成されている請求項1記載のスピーカ
ー用ダンパー。 - 【請求項4】 該全芳香族ポリアミド繊維は、メタフェ
ニレンイソフタルアミド単位或いはパラフェニレンテレ
フタルアミド単位を全繰返し単位の少なくとも50モル
%よりなるポリマーから形成されている請求項1記載の
スピーカー用ダンパー。 - 【請求項5】 該芳香族ポリエステル繊維は、エチレン
テレフタレート単位を全繰返しの少なくとも50モル%
よりなるポリマーから形成されている請求項1記載のス
ピーカー用ダンパー。 - 【請求項6】 賦形剤としてのポリエステル樹脂が、熱
硬化したポリエステル樹脂である請求項1記載のスピー
カー用ダンパー。 - 【請求項7】 加熱加圧成形により賦形された請求項1
記載のスピーカー用ダンパー。 - 【請求項8】 24時間水中に浸漬後の柔軟度の変化率
が5%以下の耐水性を有する請求項1記載のスピーカー
用ダンパー。 - 【請求項9】 賦形剤としてのポリエステル樹脂の含有
量が、布帛に対して15〜40重量%である請求項1記
載のスピーカー用ダンパー。 - 【請求項10】 全芳香族ポリアミドヤーンで構成され
た布帛をマトリックス成分とするスピーカー用ダンパー
の製造方法であって、全芳香族ポリアミド繊維および芳
香族ポリエステル繊維の混合ヤーンより構成された布帛
に、水溶性ポリエステル樹脂の水溶液を含浸させ、次い
で乾燥し、しかる後金型中で芳香族ポリエステル繊維の
融着により全芳香族ポリアミド繊維同志が固着しかつポ
リエステル樹脂による混合ヤーン内における繊維同志お
よび混合ヤーン同志が固着するに充分な温度および圧力
条件下で所望の形状に加圧成形することを特徴とするス
ピーカー用ダンパーの製造方法。 - 【請求項11】 水溶性ポリエステル樹脂が、加圧成形
条件下で硬化しうるポリエステル樹脂である請求項10
記載のスピーカー用ダンパーの製造方法。
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---|---|---|---|
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JP7-35279 | 1995-02-23 | ||
JP03332796A JP3287750B2 (ja) | 1995-02-23 | 1996-02-21 | スピーカー用ダンパーおよびその製造方法 |
US08/603,867 US5776597A (en) | 1995-02-23 | 1996-02-22 | Speaker damper |
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JP (1) | JP3287750B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002232990A (ja) * | 2000-07-19 | 2002-08-16 | Onkyo Corp | スピーカー用部材およびその製造方法 |
JP2008124589A (ja) * | 2006-11-09 | 2008-05-29 | Asahi Kasei Fibers Corp | スピーカー用ダンパー |
US8098869B2 (en) | 2005-01-24 | 2012-01-17 | Panasonic Corporation | Loudspeaker damper, manufacturing method thereof, and loudspeaker and electronic device using the same |
-
1996
- 1996-02-21 JP JP03332796A patent/JP3287750B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8098869B2 (en) | 2005-01-24 | 2012-01-17 | Panasonic Corporation | Loudspeaker damper, manufacturing method thereof, and loudspeaker and electronic device using the same |
JP2008124589A (ja) * | 2006-11-09 | 2008-05-29 | Asahi Kasei Fibers Corp | スピーカー用ダンパー |
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