JP2009203558A - 布帛 - Google Patents

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Abstract

【課題】
高荷重下における摺動性、異音防止性、固着性に優れた布帛を提供する。
【解決手段】
一方の表面を含む層がフッ素系繊維を含み、他方の表面を含む層がフッ素系以外の繊維の紡績糸を含んで構成された多層構造を有する布帛であって、フッ素系繊維を含む表面上に露出した紡績糸の毛羽本数が30本/cm以下の範囲内で構成されている布帛とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、固着性と摩擦による摺動性に優れた布帛に関し、例えば自動車など車両の走行時あるいは旋回時に発生するロール(車体の傾き)を抑制するスタビライザー(別名アンチロールバー)に装着される車両用防振ゴム材に好適に用いられ、摩擦による異音や摩滅を防ぐことができ、ゴムとの固着性が良好な布帛に関するものである。
従来から、振動及び異音を防止するために各種用途において、ゴム弾性体や樹脂組成物にフィーラーを充填させた制振材などが使用され、防振、防音対策が図られている。しかし、高荷重下での振動や摩擦による異音対策としては前述のゴム弾性体などでは限界があった。
例えば、車体のロール(車体の傾き)を抑制するスタビライザー(別名アンチロールバー)には一般的にゴム弾性体からなる防振ゴムブッシュが使用されている。前記スタビライザーとは、船、飛行機、自動車、自転車などの車両に取り付けられ、操縦時の不規則なゆれや転倒、転覆を防ぐために取り付けられるものである。そのなかでも、自動車用のスタビライザーは、左右のサスペンションアームをコの字型をしたバネ鋼からなるバーで連結し、左右のサスペンションの沈み込みに差異が生じた時に、連結したバーにねじれが生じてバネ反力が発生、そのバネ反力が左右のサスペンションの動きを制御して車体の傾きを減少させる構造をしている。そして、タイヤが路面から受ける振動やスタビライザーのねじれから生じる摩擦や異音を防止、抑制するため、前記バネ鋼からなるバーが車体に固定される部分において、ゴム弾性体などからなる防振ゴムブッシュが使用される。
かかる防振ゴムブッシュには、スタビライザーバーのねじれによる摩擦力がかかると同時に、自動車の自重、すなわち高荷重がかかるため、ゴムとの固着性と摩擦による異音防止と合わせて耐摩耗性が要求されている。さらに、スタビライザーバー表面は防錆性の観点から塗装を施されていることが多く、平滑な面となっているため、スタビライザーバーにねじれが生じて防振ゴムブッシュと摩擦や擦れが生じた場合、スティックスリップが起こり異音を発生させてしまうという問題がある。この防振ゴムブッシュとスタビライザーバーによる異音は、自動車の重量が重いほど大きくなり易く、また、遮音性能が求められる車両ほど問題視され易く、改善の要求が高まってきている。
前記のスタビライザーブッシュとしては、特許文献1に、ゴム弾性体から成り、スタビライザーバーと車体側との間で振動吸収する車両用スタビライザーブッシュにおいて、スタビライザーバーを挿通させる挿通孔周りに「テフロン」(登録商標)の布をゴム弾性体から剥離しないように強固に結合する旨が開示されている。確かに、この文献に記載のスタビライザーブッシュによれば、スタビライザーバーとゴムとの直接接触による異音の発生が抑えられ、接着剤を「テフロン」の布の両面に塗布することによりゴム弾性体からの剥離も抑えられる。しかしながら、「テフロン」の布の両面に接着剤を塗布することにより、「テフロン」の低摩擦特性が阻害されるという問題がある。また、接着剤をゴムとの接着面のみに塗布した場合、ゴムとの強固な結合が不十分となってゴム弾性体から「テフロン」布が剥離しやすくなり、さらには、「テフロン」の布の反対面にも接着剤が染みだして、「テフロン」の低摩擦特性が阻害されるという懸念があった。
また、特許文献2にはナイロン繊維からなる筒状編成物に摺動性と接着性向上を目的として樹脂加工を施した自動車のスタビライザーブッシュ用ライナーが開示されている。確かに、この文献に記載のスタビライザーブッシュ用ライナーは、樹脂加工により摺動性やゴムとの接着性が向上され、振動や騒音の防止性という点でも向上されたものとなる。しかしながら、接着性や摺動性を改善するために施される樹脂加工は、特許文献1と同様に剥離することによる問題が懸念される。さらに、樹脂加工の工程数が増加するため高コスト化の問題もあった。
また、特許文献3にはフッ素樹脂ステープルファイバーや半焼成ポリテトラフルオロエチレンなどからなる熱融着繊維を含んだウェブと、ガラス繊維やポリイミド繊維などからなる織布または編布からなる基布とを交絡により結合し、交絡した繊維同士を熱融着することにより形成された通気性を有するフッ素系複合シートが開示されている。しかしながら、この文献に記載のフッ素系複合シートは、強度と防水性や耐汚染性が要求されるテント用シート材に適したものであって、通気性が良好でしかも着色が自在で機械的強度が大きく、他素材との接着も接着剤などを使用して行うことができるものの、摺動面での耐摩耗性を改善するものではなかった。
特開2001−221284号公報 特開2005−88828号公報 特開2002−155457号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点を解消し、高荷重下における摺動性、異音防止性、固着性に優れた布帛を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するための本発明は、次の(1)〜(5)の構成を特徴とするものである。
(1)一方の表面を含む層がフッ素系繊維を含み、他方の表面を含む層がフッ素系以外の繊維の紡績糸を含んで構成された多層構造の布帛であって、前記一方の表面上に露出した紡績糸の毛羽本数が30本/cm以下の範囲内で構成されていることを特徴とする布帛。
(2)前記フッ素系繊維および前記フッ素系以外の繊維が、総繊度5dtex以上2000dtex以下であることを特徴とする、請求項1記載の布帛。
(3)前記布帛が2重編物であることを特徴とする、請求項1または2記載の布帛。
(4)一方の表面を含む層がフッ素系繊維を含み、他方の表面を含む層がフッ素系以外の繊維の紡績糸を含んで構成された多層構造の布帛を用い、前記一方の表面側に露出している前記紡績糸の毛羽を溶融除去もしくは燃焼させることを特徴とする、布帛の製造方法。
(5)請求項1〜3いずれかに記載の布帛または請求項4に記載の方法で得られた布帛とゴム弾性体とを有し、該ゴム弾性体に前記他方の表面を含む層が固着されていることを特徴とする車両用防振ゴム材。
本発明によれば、高荷重下における摺動性、異音防止性、固着性という点でも優れた布帛を提供できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の布帛は、一方の表面を含む層がフッ素系繊維を含み、他方の表面を含む層がフッ素系以外の繊維の紡績糸を含んで構成された多層構造を有する布帛であって、フッ素系繊維を含む表面上に露出した紡績糸の毛羽本数が30本/cm以下の範囲内で構成されている。ここでいう露出した紡績糸とは、前記多層構造を有する布帛において該フッ素系以外の繊維の紡績糸が、フッ素系繊維を含む層を貫通して該フッ素系繊維を含む層上に突出している状態をいう。
そして、この布帛を、フッ素系繊維が摩擦を生じる部分に配置されるように用いることにより、摩擦力を低減して摩擦やねじれといった物質と物質がこすれあった際に発生する異音などをも低減できる。また、低摩擦性能を付与するためフッ素系樹脂などのコーティング剤を塗布するのではなく、フッ素系繊維で構成することにより、樹脂コーティング剤の剥離または摩滅など、樹脂コーティング剤の消失による摩擦性能低化を生じることなく、長時間の使用にも耐えうる耐久性を得ることができる。
優れた摺動特性を得るためだけであれば低摩擦特性を有するフッ素系繊維のみで布帛を構成することが好ましいが、フッ素系繊維は非粘着性の特性を持つために他素材との接着がしにくいという問題がある。このため、本発明においては、他素材との固着を良好にするため、布帛の一方の表面を含む層はフッ素系繊維を主として構成し、他方の表面を含む層をフッ素系繊維以外の繊維で構成する、すなわち多層構造を有する布帛とすることで、ゴム弾性体など他素材との固着性を高めることができるので好ましい。なお、「主として構成する」とは、布帛を構成する形態によるが、例えばダブルラッセルにおける裏側の繊維が表側に出てきたものや、積層不織布において裏側の繊維の一部がニードルパンチなどにより表側に出てきたものなども包含されるという趣旨である。
本発明に使用されるフッ素系繊維は、主鎖または側鎖にフッ素原子を1個以上含む繰り返し構造単位を有する重合体からなり、フッ素原子数の多い繰り返し構造単位で構成されたものほど好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−4フッ化エチレン共重合体(ETFE)などを挙げることができ、中でも、表面低摩擦特性に優れるPTFE繊維を用いることがさらに好ましい。
また、上記のような単重合体あるいは共重合体に対して、他の成分を繰り返し構造の個数の10%以下程度共重合してなるものでもよい。
フッ素系繊維の形態としては、1本のフィラメントで構成されるモノフィラメント、複数本のフィラメントで構成されるマルチフィラメント、また、捲縮加工をして所定の長さにカットしてなるステープルのいずれも採用することができる。前述のマルチフィラメントは、単重合体と共重合体からなる繊維を複合して構成することも可能であるが、表面低摩擦特性に優れるPTFE繊維のみで構成すると、より摺動性が優れ摩擦時の異音発生が抑制されるので好ましい。
一方、フッ素系繊維以外の繊維の形態としては、前述のフッ素系繊維と同様にモノフィラメントやマルチフィラメントで構成することによって、ゴム弾性体など他素材に貼り合わせた際の固着性がフッ素系繊維より良好となる点で優れるが、さらに優れた固着性を得るため、本発明においては紡績糸を採用することが必要である。
該紡績糸の表層部には、マルチフィラメント等にはない複数本の毛羽を有しているので、ゴム弾性体など他素材と貼り合わせた際、マルチフィラメントよりも見かけ上の表面積が大きいため固着性が向上するとともに、毛羽によるアンカー効果が発現するため、より優れた固着性を有する布帛を得ることが可能となる。
該紡績糸は、適宜異なる繊維を所望の割合で均一に混合して所望の特性の繊維を得てもよい。具体的には、該紡績糸の中に熱融着繊維を含むことも可能であり、熱融着繊維を含むことによって、加熱された際に熱融着性繊維の低融点成分が部分的に溶融し、その他の繊維と均一な状態で固着させることが可能となる。
該熱融着性繊維としては、例えば、ポリエステルに酸成分としてイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの炭素環カルボン酸やアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを共重合した共重合ポリエステルからなるポリエステル繊維、ナイロン12などの低融点ナイロンや共重合ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンなど200℃以下の低融点の樹脂からなる繊維を用いることができる。これらの繊維を用いることにより、家庭用アイロンなどによる熱圧着処理で容易に熱融着性成分を溶融することができ、接着面として、本発明の布帛を容易に他素材に重ね合わせて固着させることも可能となる。なお、熱融着性繊維の融点は、100〜200℃の範囲内であることが好ましく、後述する成型加工時にかかる温度により適宜選定すればよい。
また、熱融着性繊維は単成分繊維であってもよいが、その他の成分からなる繊維と複合した芯鞘構造、バイメタル構造、海島構造などの複合繊維であってもかまわない。芯鞘構造で構成された熱融着性繊維は、芯成分を鞘部よりも融点の高い単独重合体からなるポリエステルとすることによって、鞘成分の共重合ポリエステル部分が熱により部分的に溶融した場合においても大きな強力低下がなく、繊維状としての形態保持性が優れた繊維とすることが可能である。具体的には芯部の融点が鞘部の融点より50℃以上高いことが加熱・溶融時の形状保持性が良くなるので好ましい。さらに、鞘部の融点は100℃〜200℃の範囲内にあることが好ましく、芯部の融点は160℃〜290℃の範囲内であることが好ましい。
熱融着繊維の芯鞘構造繊維における芯部を構成するポリマーまたはフッ素系繊維以外の繊維としては、例えば、ナイロン6・6、ナイロン6、ナイロン4・6などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイドなどのポリマーまたは繊維を用いることができる。また、綿、ウールなどの天然繊維などを用いることもできる。上記のような合成樹脂には、原糸の製造工程や加工工程での生産性あるいは特性改善のために各種添加剤を含ませてもよい。たとえば、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、平滑剤、帯電防止剤、可塑剤、増粘剤、顔料、難燃剤などを含有せしめることができる。そして、前記ポリマーの中でも、熱安定性が良く、織り編みなどの高次加工性に優れ、コストが安いなどの点でポリアミドやポリエステルなどを用いるのが好ましく、特に汎用性からポリエステルを用いることが好ましい。
本発明の布帛を構成するフッ素系繊維およびフッ素系以外の繊維の総繊度としては、5〜2000dtexが好ましく、さらには100〜1000dtexの範囲内であることが好ましい。布帛を構成する繊維の総繊度が5dtex以上であると繊維の強力が強く、編み加工時の糸切れを低減できるので工程通過性が向上する。2000dtex以下であれば布帛表面の凹凸が少ないので、摺動性への影響がなく、かつ、布帛の剛性が高くなり過ぎず、柔軟性が損なわれないので、ゴム部品や固定具などの形状に沿い易くなる。
また、これら表面を含む層の間にさらに異なる繊維素材からなる層を適宜積層することも好ましい形態の1つである。3層以上の多層構造とすることにより、例えば、布帛の引張強度を向上させたり、布帛自身の厚みを厚くしてクッション性を付与することが容易になる。
上記のような多層構造を有する本発明の布帛は、例えば次のようにして製造することができる。まず多層構造の布帛を用意する。かかる布帛としては平織り、綾織り、朱子織りなどの織物やタテ編み、ヨコ編み、丸編みなどの編物を積層し、縫製したものでもよいし、二重織りの織物や二重編みの編物であってもよい。中でも繊維素材が異なる多層構造を有する布帛を同時に編み立てすることが可能な、ラッセル編み機で編む2重タテ編み(ダブルラッセル編み)が編み密度が高く、肉厚で、クッション性のある布帛を得ることができ、耐久性を向上できる点で、好ましい。
また、上述の繊維を適宜選択して構成した不織布を、フッ素系繊維を含む織編物とフッ素系以外の繊維の紡績糸を含む織編物との間に積層し、縫製、あるいはニードルパンチやウォータージェットパンチなどで一体化することで本発明の布帛を得てもよい。なお、この場合、個々の不織布に予めニードルパンチやウォータージェットパンチが施されている方が作業性に優れ好ましい。
このような構成の布帛において紡績糸が有する毛羽は、固着性を高める点においては優れた効果を発現するが、一方で摺動性を阻害する。つまり紡績糸の毛羽はフッ素系樹脂の層を突き抜けてかかるフッ素繊維の層上にも露出する。そのため、本発明においては上記多層構造の布帛を加熱処理し、フッ素繊維の層上に露出する紡績糸の毛羽の本数を30本/cm以下にすることが好ましい。30本/cm以下とすることで、フッ素系以外の繊維による摺動性への影響を抑えることができる。さらに、20本/cm以下であると、表面摩擦係数に優れるフッ素系繊維の性能を有効に発現するので好ましい。
該表面上に露出した紡績糸の毛羽を除去する手法としては、フッ素系繊維を含む層の表面側から直火などによる加熱処理を施し、毛羽を溶融もしくは燃焼させて除去することが可能である。
例えば、布帛の片面あるいは両面に加熱処理を施し、繊維を融着処理する毛焼き処理装置を用いることができる。かかる毛焼き処理装置によれば、布帛の表層部にバーナー炎を曝して繊維を部分的に溶融、あるいは燃焼させることが可能である。前記のバーナー炎は、本発明のフッ素系以外の繊維の溶融温度よりも遥かに高い温度(およそ150℃以上高い温度)であるから、フッ素形繊維を含む層の表面側から処理を施すことによって、フッ素系繊維を含む層側に露出した紡績糸を溶融もしくは燃焼除去することが可能である。尚、前記のバーナー炎に曝す時間は短い方が好ましく、仮に同一箇所に長時間曝すと、フッ素系以外の繊維で構成した層における紡績糸の毛羽が溶融し減少する懸念がある。短時間とすることにより、フッ素系繊維を含む層側に露出した毛羽のみを溶融することが可能である。好ましくは2秒以内、より好ましくは1秒以内である。
以上のような本発明の布帛は、一方の表面を含む層がフッ素系繊維を有することにより他の物質との摩擦力を低減して異音などを低減でき、他方の表面を含む層が紡績糸を有することでゴム弾性体との固着性に優れ、長時間の使用にも耐えうるので、自動車など車両用の防振、防音対策品として用いられる防振ゴム材と組み合わせて好適に用いることが可能である。例えば、自動車など車両の走行時あるいは旋回時に発生するロール(車体の傾き)を抑制するスタビライザーに装着される車両用防振ゴム材のスタビライザーバーとの摺動部に本発明の布帛を設けることで、高荷重下での摩擦による異音や摩滅を防止することができる。具体的には、防振ゴム材は、たとえば中央部にスタビライザーバーの挿通孔を備えた筒状のゴム弾性体を有し、その挿通孔の内周面全面に、本発明の布帛の、紡績糸を含む層がゴム弾性体と接するように固着される。このような構成により、スタビライザーを通して伝わってきた衝撃や歪みを吸収し、摩擦やねじれから生じる異音を長期に亘って防止できる。
かかるゴム弾性体としては、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブタジエン・イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、塩素化ポリエチレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム(ACM)、エチレン・酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合ゴム、シリコーンゴムおよびスチレン・ブタジエンゴム(SBR)などのゴム弾性樹脂を使用することができる。かかるゴム弾性樹脂は、単品またはこれらを組合せてなる複合物を使用することができる。
かかる防振ゴムの成型方法としては特に限定はされないが、加硫状のゴム弾性樹脂を押出成型、射出成型、金型成型、押出金型成型、射出金型成型などの手法で成型することが一般的である。本発明の布帛は、上述の成型加工時に金型内にセットし、加硫状のゴム弾性樹脂を射出する際の圧力と熱によって、従来の成型方法を変更することなくゴム弾性体との固着性に優れた防振ゴムを成型することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、図に示すものは一実施例であり、これに限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態を示す布帛の概略模式図である。この布帛はダブルラッセル編み物からなり、防振ゴム材に用いられた際には摺動面となるフッ素系繊維で構成された層2と、紡績糸で構成された層3とを有している。
図2は、本発明の布帛を組み込んだ、自動車のスタビライザー用防振ゴム材の概略模式図である。図2において、スタビライザー用防振ゴム材4は、中央部に挿通孔を備えたゴム弾性樹脂からなるゴム弾性体5と、ゴム弾性体の挿通孔内周面全面に設けられた本発明の布帛1とからなり、該布帛1は、紡績糸を含む層がゴム弾性体5に固着されている。
図3は、図2のスタビライザー用防振ゴム材4のA−A´矢視断面図である。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
[測定・評価方法]
1.紡績糸の毛羽本数
5cm角の試験片を1枚採取し、フッ素系繊維を含む表面側に毛焼き処理を施し、続けて同じ表面側にガラス板を乗せた状態で拡大写真(50倍)を3箇所撮影し、1cm当りに含まれる長さ0.5mm以上の毛羽の本数を計測し、それぞれの平均値を算出した。
2.固着性
幅3cm×長さ5cm×厚さ10mmのSBRの未加硫ゴムの両面側に、幅3cm×長さ15cmの布帛のフッ素繊維以外の繊維で構成された表面側が、未加硫ゴムと布帛が長さ10cm接しない部分が残るように重ね合わせ、加硫モールドに入れ、150℃×30分間の加硫プレス成型を行い、放冷し、試験片を得た。
得られた試験片3枚から、JIS L 1096:1999 8.12.1 A法(ストリップ法)のラベルドストリップ法に準じて、破断強力を測定し、固着性の評価指標とした。
定速緊張型の試験機にて、つかみ間隔100mm、引張速度150mm/minで試験したときの固着性(破断強力)を測定し、平均値を算出した。
3.表面摩擦係数(摺動性)
新東化学(株)製表面性測定機 トライボギア(TYPE:HEIDON−14DR)を用い、移動速度100mm/min、荷重9.8Nで、平面圧子(面積36×63mm)に布帛をビス固定しフッ素系繊維を含む側の表面とステンレス板(鏡面仕上げ)との摩擦係数を求めた。測定は恒温恒湿環境下(20±2℃、60±5%RH)にて行った。
4.繊度
JIS L 1013:1999 8.3.1 A法に基づき、112.5m分の小かせをサンプル数5セット採取し、室温20℃、湿度60%の環境下で4時間放置後、その質量(g)を測定し、下記するように繊度(dtex)を求め平均値を算出した。
繊度(dtex)=(小かせサンプル重量(g))×(10000/112.5)。
[実施例1]
(紡績糸)
単糸繊度1.6dtex、カット長51mm、融点254℃のポリエステル繊維(東レ(株)製“テトロン”(R)471−1.6T51mm)100重量%で、総繊度590dtexの紡績糸を得た。
(編み加工)
丸断面のPTFE繊維からなる総繊度440dtex、フィラメント数60本のマルチフィラメント糸と、上述の紡績糸(ポリエステル繊維=100重量%)を用い、ダブルラッセル編機にて交編率をフッ素系繊維(一方の表面):紡績糸(他方の表面)=60:40、コース数29コース/25.4mm、ウェル数19ウェル/25.4mm、筒状での幅が34mm、内径22mmになるように編み立てした。なお、耳部のつなぎ糸には上述のPTFE繊維マルチフィラメント糸を使用した。
(毛羽処理)
フッ素系繊維を含む表面側からバーナー炎による毛焼き処理(1秒間)を施し、毛羽を溶融/燃焼除去させ、毛羽本数18本/cmの布帛を得た。
このようにして得られた布帛の特性を表1に示した。この布帛は表面摩擦係数と固着性に優れていた。
[実施例2]
実施例1で得た布帛に再度同様な毛羽処理を施し、毛羽本数9本/cmの布帛を得た。
このようにして得られた布帛の特性を表1に示した。この布帛は表面摩擦係数と固着性に優れていた。
[比較例1]
(紡績糸)
単糸繊度1.6dtex、カット長51mm、融点254℃のポリエステル繊維(東レ(株)製“テトロン”(R)471−1.6T51mm)100重量%で、総繊度590dtexの紡績糸を得た。
(編み加工)
丸断面のPTFE繊維からなる総繊度440dtex、フィラメント数60本のマルチフィラメント糸と、上述の紡績糸(ポリエステル繊維=100重量%)を用い、ダブルラッセル編機にて交編率をフッ素系繊維(一方の表面):紡績糸(他方の表面)=60:40、コース数29コース/25.4mm、ウェル数19ウェル/25.4mm、筒状での幅が34mm、内径22mmになるように編み立てした。なお、耳部のつなぎ糸には上述のPTFE繊維マルチフィラメント糸を使用した。得られた布帛のフッ素系繊維で構成した表面側の毛羽本数を計測したところ、51本/cmの毛羽があった。
このようにして得られた布帛の特性を表1に示した。この布帛は表面摩擦係数に劣っていた。
[比較例2]
(紡績糸)
単糸繊度1.6dtex、カット長51mm、融点254℃のポリエステル繊維(東レ(株)製“テトロン”(R)471−1.6T51mm)100重量%で、総繊度590dtexの紡績糸を得た。
(編み加工)
丸断面のポリエステル繊維からなる総繊度560dtexフィラメント数96本のマルチフィラメント糸と、上述の紡績糸(ポリエステル繊維=100重量%)を用い、ダブルラッセル編機にて交編率をポリエステル繊維(一方の表面):紡績糸(他方の表面)=60:40、コース数29コース/25.4mm、ウェル数19ウェル/25.4mm、筒状での幅が34mm、内径22mmになるように編み立てした。なお、耳部のつなぎ糸には上述のPTFE繊維マルチフィラメント糸を使用した。得られた布帛のフッ素系繊維で構成した表面側の毛羽本数を計測したところ、43本/cmの毛羽があった。
このようにして得られた布帛の特性を表2に示した。この布帛は表面摩擦係数に劣っていた。
[比較例3]
総繊度440dtex、丸断面のPTFE繊維からなるフィラメント数60本のマルチフィラメント糸と、丸断面のポリエステル繊維からなる総繊度560dtexフィラメント数96本のマルチフィラメント糸(東レ(株)製“テトロン”(R)560T/96F)を用い、ダブルラッセル編機にて交編率をフッ素系繊維(一方の表面):ポリエステル繊維(他方の表面)=60:40、コース数29コース/25.4mm、ウェル数19ウェル/25.4mm、筒状での幅が34mm、内径22mmになるように編み立てした。なお、耳部のつなぎ糸には上述のPTFE繊維マルチフィラメント糸を使用した。得られた布帛のフッ素系繊維で構成した表面側の毛羽本数を計測したところ、0本/cmであった。
このようにして得られた布帛の特性を表1に示した。この布帛は固着性に劣っていた。
Figure 2009203558
表1の評価結果から明らかなように、実施例1、2の布帛は比較例1、2よりも表面摩擦係数が低く、比較例3より固着性が高く優れていることが分かった。
本発明は、振動及び異音を防止するための各種用途に適用が可能であり、かつ、固着性、摺動性にも優れるため自動車など車両の防振ゴム用布帛として好適に用いられる。
本発明の一実施形態を示す布帛の概略模式断面図である。 本発明の一実施形態を示す自動車のスタビライザー用防振ゴムの概略模式正面図である。 図2のスタビライザー用防振ゴム材4のA−A´矢視断面図である。
符号の説明
1 布帛
2 フッ素系繊維で構成された層
3 フッ素系以外の繊維の紡績糸を含んで構成された層
4 スタビライザー用防振ゴム
5 ゴム弾性体

Claims (5)

  1. 一方の表面を含む層がフッ素系繊維を含み、他方の表面を含む層がフッ素系以外の繊維の紡績糸を含んで構成された多層構造の布帛であって、前記一方の表面上に露出した紡績糸の毛羽本数が30本/cm以下の範囲内で構成されていることを特徴とする布帛。
  2. 前記フッ素系繊維および前記フッ素系以外の繊維が、総繊度5dtex以上2000dtex以下であることを特徴とする、請求項1記載の布帛。
  3. 前記布帛が2重編物であることを特徴とする、請求項1または2記載の布帛。
  4. 一方の表面を含む層がフッ素系繊維を含み、他方の表面を含む層がフッ素系以外の繊維の紡績糸を含んで構成された多層構造の布帛を用い、前記一方の表面側に露出している前記紡績糸の毛羽を溶融除去もしくは燃焼させることを特徴とする、布帛の製造方法。
  5. 請求項1〜3いずれかに記載の布帛または請求項4に記載の方法で得られた布帛とゴム弾性体とを有し、該ゴム弾性体に前記他方の表面を含む層が固着されていることを特徴とする車両用防振ゴム材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014114526A (ja) * 2012-12-12 2014-06-26 Toray Ind Inc 防振ゴムライナー用の伸縮性織編物
JP2016533280A (ja) * 2013-10-04 2016-10-27 アルケマ フランス Pvdf繊維製品

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