JP2009209491A - 耐熱耐圧メッシュシートおよびその製造方法ならびにその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】編目が強固で目ズレがなく、耐熱高強度繊維が本来有する強度、耐熱性などの優れた性質が生かされ、かつ適度な伸縮性を有し、しかもゴムや樹脂の補強用シートとして用いた際にゴムや樹脂との接着性が良好な、耐熱耐圧メッシュシートおよびその製造方法ならびに用途を提供する。
【解決手段】耐熱高強度繊維と熱可塑性繊維との合撚糸、交絡糸あるいは引き揃え糸を用いて編成された編み地の編み構造を、樹脂で含浸固定したメッシュシートであり、前記編み地を熱可塑性繊維のガラス転移点以上の温度で熱処理し、編み地の形態を安定化させた後、該編み地に樹脂を含浸させ、さらに該編み地をひろげた状態で樹脂を硬化することにより製造する。これにより、ゴムまたは熱可塑性エラストマーとの界面で剥離が生じることなく、耐熱高強度繊維が本来有する耐熱性と高強度を兼ね備えたメッシュシートとなる。
【選択図】なし
【解決手段】耐熱高強度繊維と熱可塑性繊維との合撚糸、交絡糸あるいは引き揃え糸を用いて編成された編み地の編み構造を、樹脂で含浸固定したメッシュシートであり、前記編み地を熱可塑性繊維のガラス転移点以上の温度で熱処理し、編み地の形態を安定化させた後、該編み地に樹脂を含浸させ、さらに該編み地をひろげた状態で樹脂を硬化することにより製造する。これにより、ゴムまたは熱可塑性エラストマーとの界面で剥離が生じることなく、耐熱高強度繊維が本来有する耐熱性と高強度を兼ね備えたメッシュシートとなる。
【選択図】なし
Description
本発明は、ゴムもしくは熱可塑性エラストマーの補強用として好適な耐熱耐圧メッシュシートおよびその製造方法ならびにその用途に関する。
従来のメッシュシートとしては、平織組織の交点をナイロンやポリエステルなどの熱可塑性ポリマーで目止めしたもの(特許文献1,2を参照)、あるいは、粗い平織やからみ織物の表面に樹脂を含浸または塗布したシート(特許文献3を参照)が、主に建築土木工事用に使用されていた。
特許文献1に開示されているメッシュシートは目が大きく(5〜150mm)、平織りであるため元々たて糸とよこ糸との組織的拘束力が殆んどなく、交点を目止めしている程度のため、わずかな外力で糸の配列状態が乱れたり、熱硬化性樹脂の湿式含浸時に溶媒によって目止め剤が溶けて、特に張力がかかっていないよこ糸が大きく屈曲したりするという問題がある。
このような問題点を解決するために、特許文献2記載の発明では、層状に配置した1個のたて糸群と1個のよこ糸群とを、補助糸によるからみ組織によって一体化してメッシュ織物とすることを提案している。このメッシュ織物は、組織的拘束力の大きいからみ組織を採用しているので、熱硬化性樹脂の湿式含浸時におけるよこ糸の屈曲を防止することができるが、厚み方向における糸の配置に対称性がないため、熱硬化性樹脂の硬化に伴って反りがでてくるという問題がある。
特許文献3記載の発明では、厚み方向における糸の配置に対称性が有るため、これに熱硬化性樹脂を含浸しても、硬化時における反りを防止することができるようになる。しかし、補助糸によるからみ組織によって一体化されているメッシュシートを、ゴムまたは樹脂資材の補強材に使用した場合は、からみ組織の空隙部に資材が侵入し難いために、メッシュシートと資材との接着性が劣り、メッシュシートが剥離してしまうという問題がある。
補助糸によるからみ組織によって一体化するかわりに、溶融温度の異なる2種の成分からなるフィラメント糸を用いた、目ズレ防止効果に優れるメッシュシート(特許文献4を参照)や、耐熱高強度繊維を融点の低い繊維で被覆してなる芯鞘構造糸を製編した編物にアクリル−ブタジエンラバーを含浸させて乾燥・熱処理したメッシュシートも開示されている(特許文献5を参照)。
しかし、いずれのメッシュシートも、目ズレ防止効果の点では不十分であった。また、目ズレしない3軸織物を用いることも考えられるが、経済的に不利である。
それに加えてこれらの技術をゴムや熱可塑性エラストマーの補強に用いるには、いずれも次の点で問題がある。一般にゴム製品はその伸縮性に特長があるのであって、たとえ補強用の繊維を内部に持つものであっても、力を加えれば適度に伸縮性がある方が好ましい場合があるのである。一例を挙げれば、ホースを結合金具やノズル等に差し込む場合、補強材に伸縮性がなければ極めて差し込み性が悪く、作業の現場で大きな問題となる。特にパラ系アラミド繊維や全芳香族ポリエステル繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維およびポリケトン繊維等の耐熱高強度繊維はナイロンやポリエステル等の汎用繊維と比べて低伸度であり、この様な問題が起きやすい。特許文献1〜3は織物の技術であり、組織のたて、よこのいずれの方向にも伸縮性が極めて乏しく問題である。
一方、特許文献4、5には編物の使用も記載されている。編地は伸縮性に富むものの、形態が一定せず少しの力で変形するため、これをゴム製品等の補強に用いて工業的な生産を行うのは困難であって、形態をある程度固定化することが不可欠である。しかし、これらの文献にはその様な内容は明記されていない。
特開昭63−55146号公報
特開昭63−197751号公報
実用新案登録第2571345号公報
特開平5−141099号公報
特開2004−150003号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑みてなされたものであり、編目が強固で目ズレがなく、耐熱高強度繊維が本来有する強度、耐熱性などの優れた性質が生かされ、かつ適度な伸縮性を有し、しかもゴムや樹脂の補強用シートとして用いた際にゴムや樹脂との接着性が良好な、耐熱耐圧メッシュシートおよびその製造方法ならびに用途を提供する。
本発明者等は、かかる課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)耐熱高強度繊維と熱可塑性繊維との合撚糸、交絡糸あるいは引き揃え糸を用いて編成された編み地の編み構造を、樹脂を用いて含浸固定したことを特徴とするメッシュシート。
(2)耐熱高強度繊維が紡績糸である、前記(1)に記載のメッシュシート。
(3)耐熱性高強度繊維と熱可塑性繊維との比率が、質量比で、30/70〜95/5である、前記(1)または(2)に記載のメッシュシート。
(4)耐熱高強度繊維が、パラ系アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維およびポリケトン繊維から選ばれた少なくとも一種の繊維である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のメッシュシート。
(5)耐熱高強度繊維と熱可塑性繊維との合撚糸、交絡糸あるいは引き揃え糸を用いて編成した編み地を、前記熱可塑性繊維のガラス転移点以上の温度で熱処理し、前記編み地の形態を安定化させた後、該熱処理後の編み地に樹脂を含浸させ、さらに該編み地をひろげた状態で、該樹脂を硬化することを特徴とするメッシュシートの製造方法。
(6)ゴムもしくは熱可塑性エラストマーの補強用である前記(1)〜(4)のいずれかに記載のメッシュシート。
(7)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のメッシュシートによって補強されたゴムもしくは熱可塑性エラストマー製品。
(8)前記(1)〜(4)のいずれか記載のメッシュシートによって補強されたホース。
(1)耐熱高強度繊維と熱可塑性繊維との合撚糸、交絡糸あるいは引き揃え糸を用いて編成された編み地の編み構造を、樹脂を用いて含浸固定したことを特徴とするメッシュシート。
(2)耐熱高強度繊維が紡績糸である、前記(1)に記載のメッシュシート。
(3)耐熱性高強度繊維と熱可塑性繊維との比率が、質量比で、30/70〜95/5である、前記(1)または(2)に記載のメッシュシート。
(4)耐熱高強度繊維が、パラ系アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維およびポリケトン繊維から選ばれた少なくとも一種の繊維である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のメッシュシート。
(5)耐熱高強度繊維と熱可塑性繊維との合撚糸、交絡糸あるいは引き揃え糸を用いて編成した編み地を、前記熱可塑性繊維のガラス転移点以上の温度で熱処理し、前記編み地の形態を安定化させた後、該熱処理後の編み地に樹脂を含浸させ、さらに該編み地をひろげた状態で、該樹脂を硬化することを特徴とするメッシュシートの製造方法。
(6)ゴムもしくは熱可塑性エラストマーの補強用である前記(1)〜(4)のいずれかに記載のメッシュシート。
(7)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のメッシュシートによって補強されたゴムもしくは熱可塑性エラストマー製品。
(8)前記(1)〜(4)のいずれか記載のメッシュシートによって補強されたホース。
本発明のメッシュシートは、編目が強固で目ズレがなく、耐熱耐圧性かつ適度な伸縮性を有している。ゴムや熱可塑性エラストマーの補強用シートとして用いた場合には、これらの素材との接着性が良好なためメッシュシートの界面で剥離が生じることがなく、耐熱高強度繊維が本来有する耐熱性と高強度を効率良く生かすことができる。さらに、編地には編み構造による伸縮性があり、かつその形態がある程度固定化されているために、適度な伸縮性、耐熱性、耐圧性を合わせ持ったゴム製品等を提供することができる。
本発明のメッシュシートは、耐熱高強度繊維と熱可塑性繊維との合撚糸、交絡糸あるいは引き揃え糸を用いて編成された編み地の編み構造を、樹脂を用いて含浸固定したことを特徴とするものである。
本発明のメッシュシートにおいて、編み目の密度は、耐圧性や、ゴム・樹脂との接着性に大きく影響するため重要である。ここで編み目の密度を、以下に示す「パネル寸法」という量で表わす。値が小さい程、編み目が密であることを示している。
パネル寸法 たて:編地(反物)の長手方向に、ループの数16個分の長さ(mm)
同 よこ:編地(反物)の幅方向に、ループの数16個分の長さ(mm)
同 よこ:編地(反物)の幅方向に、ループの数16個分の長さ(mm)
本発明のメッシュシートではパネル寸法が、たて30〜500mm、よこ50〜600mm程度の範囲が好ましい。さらにより好ましくは、たて40〜100mm、よこ60〜150mmの範囲である。パネル寸法が小さすぎると、ゴムや樹脂等の資材がメッシュの開口を介して互いに接着しにくくなるため、ゴム製品等がメッシュシートの界面から剥離する現象が生じ、接着強度が低下することになる。さらには経済的にも不利である。またパネル寸法が大きすぎると充分な補強効果が得られなくなる。
さらに編み地の目付量、すなわち1m2あたりの重量も耐圧性に大きく影響するため重要である。目付量が少なすぎると耐圧性が低くなり、高すぎれば編み地の厚みが増してゴムや樹脂等の資材がメッシュの開口を介して互いに接着しにくくなるため、ゴム製品等がメッシュシートの界面から剥離する現象が生じ、接着強度が低下することになる。さらにはコスト高をまねきやすい。本発明のメッシュシートにおいて適正な目付量は30〜1000g/m2、好ましくは50〜500g/m2の範囲である。
また、本発明のメッシュシートは衣料用編物とは全く異なったものであって、編地全体が編み構造の限界近くまで拡げられた状態で、樹脂によって固定されたものである。この際、限界からどれだけの余裕を残した状態まで拡げられているかによってバリエーションを作ることができる。本発明のメッシュシートを用いて補強ゴム等を作った場合、製品の伸縮性はそれによって調節できる。
本発明のメッシュシートを作製するには、まず耐熱高強度繊維と熱可塑性繊維との合撚糸、交絡糸あるいは引き揃え糸を用いて編成された編み地を、樹脂加工に先立ってある程度形態安定化させることが不可欠である。編み地は編まれた段階では無定型といって良く、少しの力で変形したり、編み構造や原糸の撚りに由来するトルクによって自然に丸まってしまったりするものである。この様な状態のまま、編み地をディップマシンで樹脂加工するのは操作性やディップの均一性などの点から困難なのである。
そこで、編み地を該熱可塑性繊維のガラス転移点以上の温度で熱処理することにより、熱可塑性繊維の熱セット性を利用して形態安定化させる。熱可塑性繊維を合わせて使用する目的は、一般に耐熱高強度繊維は熱セット性に乏しいためである。次いで、熱セットした編み地にディップマシンにより樹脂を含浸させ、さらに該樹脂を硬化して固定する。
編み地の編成に用いる糸としては、耐熱高強度繊維と熱可塑性繊維との合撚糸、交絡糸あるいは引き揃え糸が挙げられる。該耐熱高強度繊維は、熱不溶性の繊維、あるいは熱可塑性繊維を溶融させる温度では溶融しにくい繊維である。
耐熱高強度繊維としては、耐熱性に優れる高強度の繊維であれば良いが、高強度かつ高弾性率の繊維であることがより好ましい。このような繊維としては、JIS L 1013(1999)に基づいて測定される引張強度が10cN/dtex程度以上、より好ましくは15cN/dtex程度以上で、JISL 1013(1999)に基づいて測定される引張弾性率が400cN/dtex程度以上の繊維が挙げられる。このような高強度かつ高弾性率の繊維を用いることによって、メッシュシートの強度を高め、繊維補強ゴムもしくは樹脂製品をホースなどに用いた際の脈動吸収を高めることができる。
耐熱高強度繊維としては、溶融温度もしくは熱分解開始温度が250℃以上の繊維が好ましく、300℃以上の繊維がより好ましい。
このような耐熱高強度繊維としては、例えば、パラ系アラミド繊維(500℃以上で分解)、全芳香族ポリエステル繊維(融点412℃)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(650℃付近で分解)およびポリケトン繊維(融点272℃)などが挙げられる。
なお、パラ系アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー」)およびコポリパラフェニレン−3,4'−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ株式会社製、商品名「テクノーラ」)などがある。
全芳香族ポリエステル繊維としては、例えば、株式会社クラレ製、商品名「ベクトラン」などがあり、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維としては、例えば、東洋紡績株式会社製、商品名「ザイロン」などがある。ポリケトン繊維としては、繰り返し単位の95質量%以上が1−オキソトリメチレンにより構成されるポリケトン(PK)繊維(融点272℃)、ポリエーテルケトン(PEK)繊維(融点373℃)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)繊維、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)繊維(融点340℃)などがある。
上記の耐熱高強度繊維はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。これらの耐熱高強度繊維の中でも、ホース端末を結合するためのカシメ強さや難燃性の点においてポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が好ましい。
熱可塑性繊維としては、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維、モダクリル系繊維、塩化ビニリデン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維などが挙げられる。これらの熱可塑性繊維が熱処理の際に熱収縮すると、耐熱高強度繊維が一般に低熱収縮性であるため、編み地がいびつになって、メッシュ(目)の揃ったメッシュシートが得られにくくなり、結果として、補強効果が低下することになってしまう。このような観点から、できるだけ熱収縮の少ない繊維が望ましい。また該熱可塑性繊維はメッシュシートの耐熱耐圧性への寄与は少ないのであるから、価格的に安価であることが望ましい。これらの点から好ましいのは、ポリアミド系繊維およびポリエステル系繊維であり、特に好ましいのはポリエステル系繊維である。これらの繊維はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
ポリエステル系繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびこれらの共重合体からなる繊維など;ポリアミド系繊維としては、例えば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66およびこれらの共重合体からなる繊維など;がそれぞれ挙げられる。これらの繊維は、難燃処理が施されていても良いし、施されていなくても良い。
本発明において、耐熱高強度繊維および熱可塑性繊維としては、フィラメント糸または紡績糸が用いられるが、熱可塑性繊維の多少の熱収縮にも対応でき、繊維が延び易く加工がし易い点、またフィラメント糸と比較してメッシュ交点での屈曲による強力利用率が高くかつ、樹脂加工の際に樹脂の含浸性が良いことから、特に耐熱高強度繊維においては紡績糸が好ましく用いられる。編み地の編成に用いられる合撚糸、交絡糸あるいは引き揃え糸の糸条の繊度は、製造条件や、メッシュシートが用いられるゴムもしくは樹脂製品の種類に応じて適宜選択すればよいが、一般的には400〜10000dtexが好ましい。繊度が大きすぎると撚糸の太さに合わせるためゴムが多量に必要となり結果として重量増となり、一方、小さすぎても強度や接着性が不十分となる。
編成に用いる糸条における耐熱高強度繊維と熱可塑性繊維の比率は、質量比で、30/70〜95/5の範囲が好ましく、より好ましくは40/60〜90/10の範囲、特に好ましくは50/50〜80/20の範囲にあるのが良い。熱可塑性繊維が少なすぎると編み地の交点の融着がされにくくなり、目ズレ防止効果が得られなくなる。また、耐熱高強度繊維が少なすぎると、所望の強度および弾性率を付与することができなくなる。
編み地としては、たて編み、よこ編みなど適宜なものを用いることができるが、好ましくは、たて編みが用いられる。
本発明のメッシュシートは、次のようにして製造することができる。
耐熱高強度繊維と熱可塑性繊維との合撚糸、交絡糸あるいは引き揃え糸を用いて編成した編み地に張力をかけ、凡そ希望の形態を保った状態で熱可塑性繊維のガラス転移点以上の温度で熱処理し、形態安定化させる。熱処理条件は、用いる繊維の種類によって異なるが、100〜250℃で、10秒〜5分間行うことが好ましい。なお、熱可塑性繊維の融点以下の温度で行うことが好ましい。熱処理方法は特に限定されるものではないが、例えば、熱風加熱方式のピンテンターで加熱する方法などを好ましく用いることができる。
次に、熱処理後の編み地に樹脂を含浸し、編み構造を固定するが、ここで用いる樹脂としては熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のどちらでも良い。しかし、熱可塑性樹脂を用いる場合、一般的には樹脂を高温にて溶融した状態とし、編み地に対してディップまたは塗布して付与する必要があり、溶融状態の樹脂の管理の難しさ、操作性などの点から、より好ましいのは熱硬化性樹脂を用いる方法である。
熱硬化性樹脂を用いた場合、編み地に対して含浸させた後、再度張力をかけ、希望する程度まで編み地を引き延ばしながら加熱硬化させることにより、本発明のメッシュシートを得ることができる。該熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などが挙げられ、一般にこれらの熱硬化性樹脂は、硬化促進剤を含んでいる。かかる硬化促進剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイドやジクミルパーオキサオイドなどの過酸化物等を挙げることができる。
樹脂含浸については、熱処理後の編み地を樹脂浴の中に浸漬する方法、熱処理後の編み地に樹脂を塗布し含浸させる方法がある。含浸させる際、樹脂の厚さをドクターブレードなどによって調整することもできる。硬化は、熱硬化性樹脂が含浸した編み地をひろげた状態で、25℃〜300℃、好ましくは100〜250℃で1分〜1時間で樹脂を硬化させることが好ましい。硬化方法は特に限定されるものではないが、例えば、熱テンターにて、たておよびよこ方向に編み地をひろげた状態で樹脂を硬化する方法を好ましく使用することができる。
以上の方法により、本発明のメッシュシートを製造することができるが、該メッシュシートは、編み構造の全体に樹脂が含浸され、硬化しているので、拘束力が強固である。
すなわち、メッシュの強固な編み目を介して、ゴムや樹脂が互いに接着するため、メッシュシートはゴムや樹脂の中に埋没し一体となって見掛けの強度が向上し、ゴムや樹脂の耐久性を向上させるものである。
したがって、本発明のメッシュシートによって補強されたゴム製品や樹脂製品は、引張強度および曲げ強度が向上し、ゴムの量を低減することが可能になり、軽量化に役立ち、経済的なメリットも大きいものである。さらに、耐熱高強度繊維を用いた補強において、本発明のメッシュシートを用いる方法が、従来の補強法、すなわち織物を用いる方法や、撚糸した繊維をスパイラル状に巻き付ける等の方法と比べて優れる点は、メッシュの編み構造による伸縮性がわずかに残っており、補強ゴムに少しの伸縮性を持たせることができる点である。
本発明のメッシュシートは、弾性を持った様々な素材の補強に用いることができる。例を挙げれば、NR系、SBR系、EPDM系、BRゴム、ブチルゴム、CR系、NBR系、アクリル系、シリコーン系、フッ素系、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴムなどの各種ゴム、およびポリウレタン系、ポリエステル系、スチレン系などの熱可塑性エラストマーに適用可能で、各種ホース、ベルト、タイヤ、シートなどのゴムもしくは樹脂資材の補強材として用いることができる。中でも、耐熱性を要求されるターボホースなどの自動車用ホースに適用することが好ましい。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例における各特性値の測定方法は次の通りである。
[メッシュシート破裂圧]
JIS L1018「ニット生地試験方法」の記載に基づき、ミューレン型破裂試験機を用いて測定を行った。
JIS L1018「ニット生地試験方法」の記載に基づき、ミューレン型破裂試験機を用いて測定を行った。
[メッシュシートの伸縮性]
編み地を幅2cmの短冊状とし、チャックによるつかみ間隔を4cmとしてインストロン型引張り試験機を用いて測定、3mm伸長時の応力の値を目安に用いた。
編み地を幅2cmの短冊状とし、チャックによるつかみ間隔を4cmとしてインストロン型引張り試験機を用いて測定、3mm伸長時の応力の値を目安に用いた。
[メッシュシートの耐熱性]
メッシュシートを乾燥機にて空気下、200℃/100時間加熱した後、ミューレン型破裂試験機を用いて破裂圧を測定、加熱前の値と比較した。
メッシュシートを乾燥機にて空気下、200℃/100時間加熱した後、ミューレン型破裂試験機を用いて破裂圧を測定、加熱前の値と比較した。
(実施例1)
耐熱高強度繊維としてポリパラフェニレンテレフタル酸アミド繊維(パラ系アラミド繊維)、また熱可塑性繊維としてポリエステル繊維を用い、これらを撚り合わせた合撚糸を用いて、たて編みによりメッシュ生地を作った。なお、アラミド繊維は20番手の紡績糸、ポリエステル繊維は220デシテックスのフィラメント繊維を用い、アラミド繊維とポリエステル繊維の撚糸比率は、アラミド繊維3本に対してポリエステル繊維1本とした。続いてこれを一旦オーブンを持つ加熱ロールに通し、形態を安定化させてからメラミン樹脂の浴を通して含浸させ、ピンテンターにて編み地を拡げながら230℃に加熱されたオーブンに導入し、樹脂を硬化させてから巻き取って本発明のメッシュシートとした。
耐熱高強度繊維としてポリパラフェニレンテレフタル酸アミド繊維(パラ系アラミド繊維)、また熱可塑性繊維としてポリエステル繊維を用い、これらを撚り合わせた合撚糸を用いて、たて編みによりメッシュ生地を作った。なお、アラミド繊維は20番手の紡績糸、ポリエステル繊維は220デシテックスのフィラメント繊維を用い、アラミド繊維とポリエステル繊維の撚糸比率は、アラミド繊維3本に対してポリエステル繊維1本とした。続いてこれを一旦オーブンを持つ加熱ロールに通し、形態を安定化させてからメラミン樹脂の浴を通して含浸させ、ピンテンターにて編み地を拡げながら230℃に加熱されたオーブンに導入し、樹脂を硬化させてから巻き取って本発明のメッシュシートとした。
(実施例2)
ポリパラフェニレンテレフタル酸アミド繊維(パラ系アラミド繊維)として440デシテックスのフィラメント糸、ポリエステルには220デシテックスのフィラメント繊維を用い、アラミド繊維とポリエステル繊維の撚糸比率は、アラミド繊維1本に対してポリエステル繊維2本とした。その他は実施例1に記載の方法と同様の方法によってメッシュシートを作製した。
ポリパラフェニレンテレフタル酸アミド繊維(パラ系アラミド繊維)として440デシテックスのフィラメント糸、ポリエステルには220デシテックスのフィラメント繊維を用い、アラミド繊維とポリエステル繊維の撚糸比率は、アラミド繊維1本に対してポリエステル繊維2本とした。その他は実施例1に記載の方法と同様の方法によってメッシュシートを作製した。
(比較例1)
420デシテックスのナイロン66フィラメント繊維を撚糸し、これを用いてたて編みによりメッシュ生地を作った。続いて、実施例1の場合と同様の方法でメッシュシートを作製した。
420デシテックスのナイロン66フィラメント繊維を撚糸し、これを用いてたて編みによりメッシュ生地を作った。続いて、実施例1の場合と同様の方法でメッシュシートを作製した。
(比較例2)
440デシテックスのポリパラフェニレンテレフタル酸アミド繊維(パラ系アラミド繊維)を用いてからみ織り生地を作った。続いて、実施例1の場合と同様の方法でメッシュシートを作製した。
440デシテックスのポリパラフェニレンテレフタル酸アミド繊維(パラ系アラミド繊維)を用いてからみ織り生地を作った。続いて、実施例1の場合と同様の方法でメッシュシートを作製した。
実施例1および2によるメッシュシートと、比較例1のメッシュシートについてミューレン破裂圧、及びメッシュシートの伸縮性(編み地のかたさ)を測定した。なお編み地の目付量は各水準で同程度になるように設計した。測定結果を表1に示す。
表1から、実施例のメッシュシートは比較例1のナイロン品と比べて初期段階で1.7〜2.2倍の耐圧性を持つことがわかった。比較例2のからみ織り品についてはナイロン品と比べると高い破裂圧を示したが、実施例には及ばなかった。測定時に目ずれが生じたために低い値となり、目止めの効果が完全ではないことが示された。
さらに耐熱性を調べるため編み地を200℃/100時間加熱したのち、ミューレン破裂圧を測定すると、比較例1のナイロン品は初期値から33%と大きく低下したのに対し、実施例のメッシュシートは5〜6%と、低下が少なかった。
実施例のメッシュシートと、比較例のメッシュシートについて、生地のたてよこ方向の伸縮性を評価した。表1に記載の様に、実施例のメッシュシートは伸縮性を持つが、同じメッシュ状の形態を持っていても、比較例2のからみ織り品は3mm伸長時のパワーが約5倍と大きく柔軟な伸縮性に欠ける。
本発明に係る耐熱耐圧メッシュシートは、各種ホース、ベルト、タイヤ、シートなどのゴムもしくは熱可塑性エラストマー資材の補強材として用いることができるだけでなく、ゴムや熱可塑性エラストマーをマトリックスとする各種複合材料の補強材として用いることができる。
Claims (8)
- 耐熱高強度繊維と熱可塑性繊維との合撚糸、交絡糸あるいは引き揃え糸を用いて編成された編み地の編み構造を、樹脂を用いて含浸固定したことを特徴とするメッシュシート。
- 耐熱高強度繊維が紡績糸である、請求項1に記載のメッシュシート。
- 耐熱性高強度繊維と熱可塑性繊維との比率が、質量比で、30/70〜95/5である、請求項1または2に記載のメッシュシート。
- 耐熱高強度繊維が、パラ系アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維およびポリケトン繊維から選ばれた少なくとも一種の繊維である、請求項1〜3のいずれかに記載のメッシュシート。
- 耐熱高強度繊維と熱可塑性繊維との合撚糸、交絡糸あるいは引き揃え糸を用いて編成した編み地を、前記熱可塑性繊維のガラス転移点以上の温度で熱処理し、前記編み地の形態を安定化させた後、該熱処理後の編み地に樹脂を含浸させ、さらに該編み地をひろげた状態で該樹脂を硬化することを特徴とするメッシュシートの製造方法。
- ゴムもしくは熱可塑性エラストマーの補強用である請求項1〜4のいずれかに記載のメッシュシート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のメッシュシートによって補強されたゴムもしくは熱可塑性エラストマー製品。
- 請求項1〜4のいずれか記載のメッシュシートによって補強されたホース。
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---|---|---|---|
JP2008055478A JP2009209491A (ja) | 2008-03-05 | 2008-03-05 | 耐熱耐圧メッシュシートおよびその製造方法ならびにその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008055478A JP2009209491A (ja) | 2008-03-05 | 2008-03-05 | 耐熱耐圧メッシュシートおよびその製造方法ならびにその用途 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009209491A true JP2009209491A (ja) | 2009-09-17 |
Family
ID=41182920
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2008055478A Pending JP2009209491A (ja) | 2008-03-05 | 2008-03-05 | 耐熱耐圧メッシュシートおよびその製造方法ならびにその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2009209491A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101242583B1 (ko) | 2011-05-23 | 2013-03-19 | 주식회사씨앤에프 | 고강도 내열 섬유 그리드 제조 방법 |
KR101369343B1 (ko) | 2011-05-23 | 2014-03-04 | 주식회사씨앤에프 | 고강도 내열 섬유 그리드 제조 방법 |
-
2008
- 2008-03-05 JP JP2008055478A patent/JP2009209491A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101242583B1 (ko) | 2011-05-23 | 2013-03-19 | 주식회사씨앤에프 | 고강도 내열 섬유 그리드 제조 방법 |
KR101369343B1 (ko) | 2011-05-23 | 2014-03-04 | 주식회사씨앤에프 | 고강도 내열 섬유 그리드 제조 방법 |
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