JP2010258496A - スピーカー用ダンパーおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 優れた耐水性、寸法安定性、耐久性を兼ね備え、各種音響機器に使用されるスピーカーを構成するスピーカー用ダンパー及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
ポリエーテルイミド系繊維を含有する布帛を基材とすることを特徴とするスピーカー用ダンパー。
【選択図】 なし
【解決手段】
ポリエーテルイミド系繊維を含有する布帛を基材とすることを特徴とするスピーカー用ダンパー。
【選択図】 なし
Description
本発明は優れた耐水性、寸法安定性、耐久性を兼ね備えた各種音響機器に使用されるスピーカーを構成するスピーカー用ダンパー及びその製造方法に関するものである。
スピーカー用ダンパーは、音響出力機器のスピーカーにおける部品の1つであって、音を放射状に発する振動板(スピーカー・コーン)に振動を伝達するコイルボビンとスピーカーフレームに接着され、これらを弾性的に支持する機能を有し、同心円のコルゲーションを面状に広げた形態を有している。このスピーカー用ダンパーには、コイルボビンの保持安定性に優れていること、コイルボビンで発生した応力に応じて振動板を忠実に往復運動させることなどから、通気性と使用時の形状保持性を兼ね備えた繊維材料が用いられている。
従来、スピーカー用ダンパーとしては、フェノール繊維の織布にフェノール樹脂を含浸させたもの、全芳香族ポリアミド繊維および綿よりなる織布にフェノール樹脂を含浸させたもの、あるいはパラ系芳香族ポリアミド繊維およびメタ系芳香族ポリアミド繊維の混紡糸よりなる織布にフェノール樹脂等の硬化性樹脂を含浸したものなど、種々の構造材料が提案されている(例えば、特許文献1〜6参照。)。これらは、いずれも織布に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを基材として使用し、この基材を加熱金型中で硬化と同時に賦形して所定の形状に成型し、スピーカー用ダンパーを得る方法である。
上記基材の成形は、賦形剤として熱硬化性樹脂を用い、所定の加熱金型中で加熱反応により硬化し、所定の形状に成形する工法であるが、基材のマトリックスである布帛は、上記のとおり天然繊維の綿繊維や耐熱性繊維のアラミド繊維、フェノール繊維によって構成されているため、加熱金型中でもほとんど変形をせず、形状は主として賦形剤によって成形保持されている。一方、成形条件としては、成形時間の短縮のために通常金型温度を180℃以上の高温に設定しているため、金型中では賦形剤は硬化反応終了後も比較的柔らかいゴム状態にあり、成形後の金型からの取り出し時に、比較的剛性の高いマトリックス織物の内部応力により所定の形状を維持できずにしばしば変形を起こすという、成形性に課題を有していた。
また、常温に冷却後、賦形剤の樹脂は非常に高い弾性率を保つが、賦形剤として用いられているフェノール樹脂またはメラミン樹脂等はマトリックス布帛を構成する繊維との親和性が低いため、スピーカーのダンパー材として成形した成形物が、たわみ、または曲げの変形を繰返し受けたとき、マトリックス布帛と賦形剤との界面で剥離を生じたり、あるいは薄膜の状態でマトリックス布帛表面を被覆している賦形剤が、柔軟性のある布帛のたわみに追随できず亀裂破壊を起こし、それに伴って、布帛を構成する糸の交点の結合部が破壊され、ダンパーとしての剛性が著しく低下するという、スピーカー部材としての耐久性の面での課題も有していた。
更には、上記の方法で得られる基材は、賦形剤としての熱硬化性樹脂を含浸したプリプレグを作製する工程を必要とするが、この工程のみならず、成形工程において、賦形剤として用いるフェノール樹脂またはメラミン樹脂等の樹脂の溶液は、肌に対してカブレを引き起こしたり、乾燥時に有毒ガスが発生する等作業環境上の課題が指摘されているなどの課題を有していた。
また、耐水性の要求される用途として、例えば自動車のドアに取り付けられるスピーカーの場合においては、ダンパーはウィンドーからの雨水や洗車の際の漏水により、水の影響を受け易く、そのため特に耐水性が要求され、湿潤、乾燥の繰返しに対して変形が小さいことが必要とされているが、上記基材においては賦形剤の樹脂が比較的吸水率が高く吸水時に賦形剤自体が変形すると共に、布帛の繊維表面を被覆している賦形剤に亀裂が起こり、この亀裂から侵入する水によってマトリックス布帛の繊維間並びに繊維自体が吸水することで伸びによる変形をきたし、その結果、成形品であるダンパーが変形してスピーカーの性能に影響を与えるという、ダンパー基材の耐水性の面での課題も有していた。
本発明の目的は、成形時に変形を起こすことが極めて少なく、使用時に性能の劣化が小さく、かつ耐水性に優れたスピーカー用ダンパー及びその製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記したスピーカー用ダンパーを得るべく鋭意検討を重ねた結果、ポリエーテルイミド(以下、PEIと略記する)系繊維を含有する布帛を基材と用いることで、加工性、耐熱性、耐水性に優れたスピーカー用ダンパーを安価に製造できることを見出した。
すなわち本発明は、PEI系繊維を含有する布帛を基材とすることを特徴とするスピーカー用ダンパーである。
また本発明は、基材のガラス転移温度に加熱した後、基材の固化点以下の温度に設定した金型にて加圧成形する上記のスピーカー用ダンパーの製造方法に関するものである。
さらに本発明は、好ましくは基材のガラス転移温度に設定した金型にて加圧成形する上記のスピーカー用ダンパーの製造方法に関するものである。
また本発明は、基材のガラス転移温度に加熱した後、基材の固化点以下の温度に設定した金型にて加圧成形する上記のスピーカー用ダンパーの製造方法に関するものである。
さらに本発明は、好ましくは基材のガラス転移温度に設定した金型にて加圧成形する上記のスピーカー用ダンパーの製造方法に関するものである。
スピーカー用ダンパー基材としてPEI系繊維を含有する布帛を用いることにより、成形時に変形を起こすことが極めて少なく、使用時に性能の劣化が小さく、かつ耐水性に優れたスピーカー用ダンパー及びその製造方法を提供することが可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。まず本発明のスピーカー用ダンパー基材を構成するPEI系繊維について説明する。本発明で用いるPEI系繊維を構成するPEI系ポリマーとは、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミドを繰り返し単位として含有するポリマーであり、溶融成形性を有すものであれば特に限定されない。また、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、PEI系ポリマーの主鎖に環状イミド、エーテル結合以外の構造単位、例えば脂肪族、脂環族または芳香族エステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていてもよい。
具体的なPEI系ポリマーとしては、下記一般式で示されるポリマーが好適に使用される。但し、式中R1は、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、R2は、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、および2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。
上記R1、R2としては、例えば、下記式群に示される芳香族残基を有するものが好ましく使用される。
本発明では、溶融成形性、コストの観点から、下記式で示される構造単位を主として有する、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物が好ましく使用される。このポリエーテルイミドは、「ウルテム」の商標でサービックイノベイティブプラスチックス社から市販されている。
本発明に用いるPEI系ポリマーには、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、ラジカル抑制剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機物、他ポリマーを含んでいてもよい。かかる無機物の具体例としては、カーボンナノチューブ、フラーレン、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、シリカ、ベントナイト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛などが用いられる。また、かかるポリマーの具体例としては、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリサルフォン、ポリエーテルスルホン、ポリアリルサルフォン、ポリケトン、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、四フッ化ポリエチレン、ポリカーボネート等が用いられる。
本発明で用いるPEI系ポリマーの分子量は特に限定されるものではないが、得られる繊維の機械的特性や寸法安定性、工程通過性を考慮すると、390℃、せん断速度1200sec−1での溶融粘度が5000poise以下を満たすものが望ましく、その観点からは、重量平均分子量Mwが1000〜80000のものが望ましい。高分子量のものを用いると、繊維強度、耐熱性等の点で優れるので好ましいが、樹脂製造コストや繊維化コストなどの観点から、より好ましくは、Mwが10000〜50000である。
次に本発明のPEI系繊維について説明する。本発明のPEI系繊維は、上述のPEI系ポリマーを繊維にしたものが用いられる。繊維の好ましい特性としては、高温での成形時における収縮が問題になる場合があるため、200℃における乾熱収縮率が5%以下であることである。より具体的には、100〜200℃までの全ての温度域において、乾熱収縮率が−1〜5%であることが好ましい。かかる乾熱収縮率が5%を超えると加工時や使用時のお製品の寸法変化が大きくなり、好ましくない、また、−1%未満であっても、同様な理由で好ましくない。より好ましくは乾熱収縮率が−1〜4.5%、更に好ましくは0〜4%である。なお、ここでいう乾熱収縮率とは後述する方法により測定した値をいう。
また、本発明で用いるPEI系繊維は、その溶融特性を利用して後述する方法によりダンパー成形にすることから、非晶性のPEI系繊維であることが望ましい。一般に、非晶性ポリマーは、ガラス転移温度付近になると分子運動が活発になり溶融し、布帛とした場合、成形時に圧力などの外部応力を加えることで容易に変形し繊維同士が接着する。一方で、結晶性ポリマーは、成形時に結晶化による体積収縮を引き起こしたり、結晶化による残留歪などが成形品内に残り、寸法安定性などの制御が困難になる。さらには、実使用時においても、結晶化による寸法変化、残留歪の開放などが起こってしまうなどの問題を抱えているので好ましくない。
更に本発明で用いるPEI系繊維の単繊維繊度は3.0dtex以下であることが好ましい。単繊維繊度が3.0dtexを超えると、紡績糸にすることが困難になるので好ましくない。製造コスト、取り扱い性の観点からは、より好ましくは単繊維繊度が0.1〜2.6dtexであり、0.1〜2.3dtexであると更に好ましい。
本発明で用いるPEI系繊維の繊維強度は工程通過性を確保できれば特に問題ないが、実使用の観点からは2.0cN/dtex以上、より好ましくは2.3〜4.0cN/dtex以上、2.5〜4.0cN/dtex以上であると更に好ましい。
本発明で用いるPEI系繊維の形態は、例えばステープルファイバー、ショートカットファイバー、フィラメントヤーン、紡績糸などが好適に使用され、また、その際の繊維の断面形状に関しても特に制限はなく、円形、中空、あるいは星型等異型断面であってもかまわない。
本発明のスピーカー用ダンパーはPEI系繊維を含有する布帛を基材とすることに特徴がある。PEI系繊維を含有する布帛は、PEI系繊維のみで構成されていてもよいが、50質量%以下の範囲内においてPEI系繊維以外の繊維を用いてもよく、綿、ウールなどの天然繊維、ポリエステル繊維やポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリケトン繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリイミド繊維、パラ並びにメタアラミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維、ポリオレフィン繊維等の公知の合成繊維を混用してもよい。混用の形態としては、混紡、複合紡糸、混繊、混織、交撚、複合嵩高加工(仮撚、流体噴射加工など)、交偏織(例えば織物では経糸及び/又は緯糸において1〜5本交互に混用)等、公知の方法を用いることができる。また、布帛としては、平、綾、朱子、模紗、絡み等の織物や、経編、緯編(横、丸)の編物が挙げられるが、平織物が好ましい。
次に、本発明のスピーカー用ダンパーの成形方法について説明する。本発明のスピーカー用ダンパーは、かかる布帛を基材にして、これに賦形剤として、フェノールやメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸、加熱下に金型中で加圧成形するという、従来の方法でも得られるが、先述したとおりこれら熱硬化性樹脂は、カブレを引き起こしたり、乾燥時に有毒ガスが発生する等作業環境上の課題がある。
本発明のスピーカー用ダンパーは、熱硬化性樹脂を使わなくてもダンパー成形が可能であり、具体的にはPEI系繊維を含有する布帛からなる基材をPEI系繊維の熱溶融温度、すなわちガラス転移温度に加熱した後、PEI系繊維の固化点以下の温度に設定した金型にて加圧成形して製造することにより、上記したような課題を解決することが可能となる。
また、PEI系繊維を含有する布帛からなる基材を、PEI系繊維の熱溶融温度に設定した金型にて加圧成形して製造する方法でもよい。
また、PEI系繊維を含有する布帛からなる基材を、PEI系繊維の熱溶融温度に設定した金型にて加圧成形して製造する方法でもよい。
この場合の成形温度(固化点以下の温度)は、PEI系繊維のガラス転移温度にあわせて適宜設定すれば良いが、<ガラス転移温度(熱溶融温度)−40℃>の範囲が望ましい。成形温度が、<ガラス転移温度(熱溶融温度)−40℃>の範囲より低い場合、繊維間の接着が進まず好ましくない。好ましくは<ガラス転移温度(熱溶融温度)−30℃>の範囲、より好ましくは<ガラス転移温度(熱溶融温度)−20℃>の範囲である。成形温度をガラス転移点を超える温度に設定した場合、繊維の収縮が起きたり、繊維全体が融着してフィルム化してしまい通気性が失われるなどの懸念があるので好ましくない。
このような製造方法により、PEI系繊維の一部が溶融して、基材を構成する糸の交点を接着・固化し、形状を保持すると共に、成形の金型からの取り出し時に基材の内部応力が生じず、所定の形状を維持できることが本発明の製造方法の特徴である。また、このようにして得られたスピーカー用ダンパーは、PEI系繊維同士の接着のため、その接着力も強く、熱硬化性樹脂を使用したときに問題となる接着不足による亀裂破壊、剥離もなく、耐久性に優れるものとなる。
また、PEI系繊維の吸水率は極めて少なく、吸水によるダンパーの寸法変化や、接着部分の破壊によるダンパー剛性の低下などを引き起こすことはない。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例により何等限定されるものではない。なお以下の実施例において、繊維のガラス転移温度、スピーカー用ダンパー成形時の寸法精度、スピーカー用ダンパーの吸水率ならびに寸法変化、耐久性は下記の方法により測定したものを示す。
[PEI系繊維のガラス転移温度]
オリエンテック社製自動動的粘弾性測定機Rheovibron DDV−II−EPを用いて、試料の損失正接(tanδ)の測定を行い、そのピークの頂点をガラス転移温度とした。
オリエンテック社製自動動的粘弾性測定機Rheovibron DDV−II−EPを用いて、試料の損失正接(tanδ)の測定を行い、そのピークの頂点をガラス転移温度とした。
[スピーカー用ダンパー成形時の寸法精度]
成形したスピーカー用ダンパーの外周部の平面度で評価した。平面度の測定は、ダンパーを平滑な定盤上に置き、底面の外周部の反りをハイトゲージで測定した。
成形したスピーカー用ダンパーの外周部の平面度で評価した。平面度の測定は、ダンパーを平滑な定盤上に置き、底面の外周部の反りをハイトゲージで測定した。
[スピーカー用ダンパーの吸水率ならびに寸法変化]
成形したスピーカー用ダンパーを常温の水に24時間浸漬した後、これを乾燥し、この前後の重量差から求めた。また、吸水による寸法変化は、24時間浸漬後の反りによって評価した。
成形したスピーカー用ダンパーを常温の水に24時間浸漬した後、これを乾燥し、この前後の重量差から求めた。また、吸水による寸法変化は、24時間浸漬後の反りによって評価した。
[スピーカー用ダンパーの耐久性]
作成されたダンパーを用いた16cm口径のスピーカーの連続動作における最低共振周波数の500時間後の経時変化で評価した。
作成されたダンパーを用いた16cm口径のスピーカーの連続動作における最低共振周波数の500時間後の経時変化で評価した。
[実施例1]
(1)非晶性PEI系ポリマー(サービックイノベイティブプラスチックス社製「ULTEM9001」)を紡糸温度390℃、紡速2000m/分の条件で丸孔ノズルにて紡糸し、66dtex/24fのマルチフィラメントを得た。動的粘弾性測定から求めた該繊維のガラス転移温度は215℃であった。
(2)上記(1)のマルチフィラメントを用いて、縦80本/インチ、緯80本/インチの打ち込み本数のPEI系繊維の平織物を作製しダンパー用基材とした。
(3)得られた基材を、中央部に該基材の外径に対して十分に大きな内径の孔をあけた円盤状のクランプで上下から挟んで張力を保つように固定し、200℃の雰囲気中で10秒間保持して基材を熱接着させた後、金型温度を常温に設定した金型でプレス圧2kg/cm2で5秒間加圧した後、金型を開き、スピーカー用ダンパーを得た。性能評価結果を表1に示す。
(1)非晶性PEI系ポリマー(サービックイノベイティブプラスチックス社製「ULTEM9001」)を紡糸温度390℃、紡速2000m/分の条件で丸孔ノズルにて紡糸し、66dtex/24fのマルチフィラメントを得た。動的粘弾性測定から求めた該繊維のガラス転移温度は215℃であった。
(2)上記(1)のマルチフィラメントを用いて、縦80本/インチ、緯80本/インチの打ち込み本数のPEI系繊維の平織物を作製しダンパー用基材とした。
(3)得られた基材を、中央部に該基材の外径に対して十分に大きな内径の孔をあけた円盤状のクランプで上下から挟んで張力を保つように固定し、200℃の雰囲気中で10秒間保持して基材を熱接着させた後、金型温度を常温に設定した金型でプレス圧2kg/cm2で5秒間加圧した後、金型を開き、スピーカー用ダンパーを得た。性能評価結果を表1に示す。
[実施例2]
(1)実施例1(2)において得られた基材を、あらかじめ190℃に設定した金型でプレス圧2kg/cm2で加圧した。
(2)このプレス圧を維持したまま100℃付近まで冷却後金型を開き、スピーカー用ダンパーを得た。性能評価結果を表1に示す。
(1)実施例1(2)において得られた基材を、あらかじめ190℃に設定した金型でプレス圧2kg/cm2で加圧した。
(2)このプレス圧を維持したまま100℃付近まで冷却後金型を開き、スピーカー用ダンパーを得た。性能評価結果を表1に示す。
[比較例1]
(1)市販の100番手の綿糸を用いて、縦100本/インチ、緯100本/インチの打ち込み本数の平織物にフェノール樹脂(住友ベークライト社製「スミレジン(登録商標)」)を10質量%含浸した布帛を基材とした。
(2)得られた基材を、金型温度220℃に設定した金型で、プレス圧2kg/cm2で5秒間加圧成形後、金型を開き、スピーカー用ダンパーを得た。性能評価結果を表1に示す。
(1)市販の100番手の綿糸を用いて、縦100本/インチ、緯100本/インチの打ち込み本数の平織物にフェノール樹脂(住友ベークライト社製「スミレジン(登録商標)」)を10質量%含浸した布帛を基材とした。
(2)得られた基材を、金型温度220℃に設定した金型で、プレス圧2kg/cm2で5秒間加圧成形後、金型を開き、スピーカー用ダンパーを得た。性能評価結果を表1に示す。
[比較例2]
(1)1670dtex/1250fのポリケトン繊維(旭化成せんい社製「サイバロン(登録商標)」)を合糸してトウとなし、常法のリング紡績法に従って、275dtexのリング紡績糸を得た。
(2)得られた紡績糸を用いて、経38本/インチ×緯38本/インチの打ち込み本数の平織物を作製し、この平織物に比較例1と同じフェノール樹脂を10質量%含浸した布帛を基材とした。
(3)得られた基材を、金型温度220℃に設定した金型で、プレス圧2kg/cm2で5秒間加圧成形後、金型を開き、スピーカー用ダンパーを得た。性能評価結果を表1に示す。
(1)1670dtex/1250fのポリケトン繊維(旭化成せんい社製「サイバロン(登録商標)」)を合糸してトウとなし、常法のリング紡績法に従って、275dtexのリング紡績糸を得た。
(2)得られた紡績糸を用いて、経38本/インチ×緯38本/インチの打ち込み本数の平織物を作製し、この平織物に比較例1と同じフェノール樹脂を10質量%含浸した布帛を基材とした。
(3)得られた基材を、金型温度220℃に設定した金型で、プレス圧2kg/cm2で5秒間加圧成形後、金型を開き、スピーカー用ダンパーを得た。性能評価結果を表1に示す。
[比較例3]
(1)10番手のパラ系全芳香族ポリアミド紡績糸(帝人テクノプロダクツ社製「テクノーラ(登録商標)」)、並びに10番手のメタ系全芳香族ポリアミド紡績糸(帝人テクノプロダクツ社製「コーネックス(登録商標)」)を用い、両紡績糸が交互に配置されるように、経25本/インチ×緯25本/インチの打ち込み本数の平織物を作製し、この平織物に比較例1と同じフェノール樹脂を10質量%含浸した布帛を基材とした。
(2)得られた基材を、金型温度220℃に設定した金型で、プレス圧2kg/cm2で5秒間加圧成形後、金型を開き、スピーカー用ダンパーを得た。性能評価結果を表1に示す。
(1)10番手のパラ系全芳香族ポリアミド紡績糸(帝人テクノプロダクツ社製「テクノーラ(登録商標)」)、並びに10番手のメタ系全芳香族ポリアミド紡績糸(帝人テクノプロダクツ社製「コーネックス(登録商標)」)を用い、両紡績糸が交互に配置されるように、経25本/インチ×緯25本/インチの打ち込み本数の平織物を作製し、この平織物に比較例1と同じフェノール樹脂を10質量%含浸した布帛を基材とした。
(2)得られた基材を、金型温度220℃に設定した金型で、プレス圧2kg/cm2で5秒間加圧成形後、金型を開き、スピーカー用ダンパーを得た。性能評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明のスピーカー用ダンパーは、成形物の反りが小さく、吸水率が小さく、寸法精度に優れていることが分かる。また、最低共振周波数の経時変化が少なく、耐久性に優れたスピーカー用ダンパーであることが分かる。更には、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を使わなくてもダンパー成形が可能なことから、作業安全上、製造コストの点においても有用性のあるものと考えられる。
一方で、基材とし高強度であっても吸水率の高い繊維を用いた場合や、フェノール含浸したものでは、寸法安定性や耐久性などの面で課題を残すものであった。
一方で、基材とし高強度であっても吸水率の高い繊維を用いた場合や、フェノール含浸したものでは、寸法安定性や耐久性などの面で課題を残すものであった。
本発明のスピーカー用ダンパーは優れた耐水性、寸法安定性、耐久性を兼ね備えおり、自動車用や家電用など各種音響機器に使用されるスピーカー用ダンパーとして、極めて有効に使用することができる。
Claims (3)
- ポリエーテルイミド系繊維を含有する布帛を基材とすることを特徴とするスピーカー用ダンパー。
- ポリエーテルイミド系繊維のガラス転移温度に加熱した後、ポリエーテルイミド系繊維の固化点以下の温度に設定した金型にて加圧成形することを特徴とする請求項1記載のスピーカー用ダンパーの製造方法。
- ポリエーテルイミド系繊維のガラス転移温度に設定した金型にて加圧成形することを特徴とする請求項1記載のスピーカー用ダンパーの製造方法。
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CN105407439A (zh) * | 2016-01-01 | 2016-03-16 | 苏州井利电子股份有限公司 | 一种用于扬声器的耐疲劳弹波 |
CN105407436A (zh) * | 2016-01-01 | 2016-03-16 | 苏州井利电子股份有限公司 | 一种用于扬声器的弹波 |
CN105611464A (zh) * | 2016-01-01 | 2016-05-25 | 苏州井利电子股份有限公司 | 一种用于扬声器的耐腐蚀弹波 |
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CN105407436A (zh) * | 2016-01-01 | 2016-03-16 | 苏州井利电子股份有限公司 | 一种用于扬声器的弹波 |
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