JPH0833833A - 膜分離装置の殺菌方法 - Google Patents

膜分離装置の殺菌方法

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JPH0833833A
JPH0833833A JP17407994A JP17407994A JPH0833833A JP H0833833 A JPH0833833 A JP H0833833A JP 17407994 A JP17407994 A JP 17407994A JP 17407994 A JP17407994 A JP 17407994A JP H0833833 A JPH0833833 A JP H0833833A
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Toru Kawachi
透 河内
Katsumi Okada
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 膜分離装置を加熱水により簡単な操作で効果
的に殺菌する。 【構成】 透過水取出手段を閉とした状態で加熱水を供
給して給水手段、膜分離装置本体の原水室及び循環手段
を殺菌した後、透過水取出手段を開とした状態で加熱水
を供給して膜分離装置本体の透過水室及び透過水取出手
段を殺菌する。 【効果】 透過水取出手段を閉とした状態で、加熱水を
供給して殺菌処理した後、加熱水を膜分離装置外へ排出
するため、この殺菌処置に当り、給水側の汚染物質を透
過水側へ移行させることなく、確実に系外へ排出するこ
とができる。給水側の殺菌及び汚染物質排出後、透過水
取出手段を開として透過水側の殺菌を行うため、透過水
側が給水側の汚染物質により再汚染されることはなく、
効果的な殺菌を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は膜分離装置の殺菌方法に
係り、特に、膜分離装置を加熱水により簡単な操作で効
果的に殺菌する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原水中のパイロジエン及び菌を除去して
医薬用精製水、即ち、医薬品の製造工程で用いられる用
水を製造するために、従来、UF(限外濾過)膜又はR
O(逆浸透)膜等を用いた膜分離処理が適用されてい
る。特に、UF膜は熱水殺菌が可能な材質(例えばポリ
スルホン)が用いられており、加熱水による無菌化が容
易であることから医薬用精製水製造工程に多用されてい
る。
【0003】即ち、原水の脱パイロ(パイロジエン除
去)及び除菌を継続して行うことにより、膜分離装置の
膜を含む系内が汚染されてくる。このため、定期的(標
準的には1週間に1回)に加熱水を通水して膜分離装置
系内の殺菌を行う必要があるが、UF膜は一般にこの加
熱水による殺菌処理にも十分に耐える耐熱性を有する。
【0004】従来の膜分離装置における膜分離処理及び
殺菌方法を図1を参照して説明する。図1において、1
は原水タンク、2はポンプ、3は熱交換器、4はUF膜
分離装置本体、5は処理水タンクであり、11〜20の
各符号は配管、V1 ,V2 ,V3 ,V4 はバルブを示
す。
【0005】原水の膜分離処理に際しては、バルブV
1 ,V4 を閉、バルブV2 ,V3 を開として原水タンク
1内の原水をポンプ2を備える配管11、熱交換器3、
配管12を経てUF膜分離装置本体4の原水室4Aに供
給し、膜透過水を透過水室4Bから配管13、配管14
を経て抜き出し、処理水タンク5に受ける。一方、膜濃
縮水は、原水室4Aより配管16,17を経て抜き出
し、原水タンク1に循環させる。なお、バルブV4 を開
として、膜濃縮水の一部を配管18より系外へ排出する
場合もある。
【0006】このような膜分離処理による脱パイロ及び
除菌を継続することにより、系内が汚染されるため、加
熱水を通水して系内の殺菌を行う。殺菌処理に当って
は、バルブV1 ,V4 を開、バルブV2 ,V3 を閉とす
るとともに、配管19より熱交換器3に加熱蒸気を供給
してUF膜分離装置本体4に給水される原水を加熱し、
加熱した原水をUF膜分離装置本体4の原水室4Aから
透過水室4Bに透過させ、配管13,15を経て系外へ
排出させる。なお、加熱水の一部は原水室4Aから、配
管16,18を経て系外へ排出される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】最近になって、上記従
来の膜分離装置の殺菌処理を行うと、殺菌処理後の膜分
離処理の運転再開時において、透過水のパイロジエン濃
度が殺菌処理前よりも上昇することが判明した。
【0008】そこで、上記従来の膜分離装置の殺菌処理
において、殺菌処理前、処理中、処理後の透過水のパイ
ロジエン濃度と原水室内の水温との関係を調べたところ
(ただし、原水のパイロジエン濃度は20〜40EU
(エンドトキシンユニット)/ml)、図3に示す如
く、水温が約60℃以上になるとパイロジエン濃度が大
きく上昇し、その後水温を低下させて、膜分離処理を再
開した際には、透過水のパイロジエン濃度が殺菌処理前
よりも高くなることが確認された。なお、この実験で用
いたUF膜は水温90℃であってもパイロジエンを透過
しないことが予め確認されているものである。
【0009】本発明者らは、このパイロジエン濃度の上
昇について検討するに当り、パイロジエン以外のパイロ
ジエン類似物質、例えばβ−グルカン等が透過水側に移
行し、擬似パイロジエンとして検出されることを仮定し
た。そして、β−グルカンを原水側に投入して透過実験
を行ったところ、約60℃以上の濃度では、β−グルカ
ンの膜透過が認められた。
【0010】このことから、本発明者らは、パイロジエ
ン以外の、パイロジエン分析(エンドトキシン試験)に
感知するβ−グルカン等の物質(これらは原水中の藻類
から発生すると推定される。)が加熱水による殺菌時に
UF膜を透過し、透過水側を汚染させ、これが膜分離処
理の通水時に少しずつ溶解し、処理水質を悪化させてい
るものと判断した。
【0011】従って、この水質悪化を防止するために
は、原水中のβ−グルカン等の擬似パイロジエン物質を
RO膜等により予め除去することが考えられるが、本発
明者らは、この擬似パイロジエン物質を効果的に除去し
得る簡便な殺菌方法を見出し、本発明をなすに到った。
【0012】本発明は、特に脱パイロ及び除菌を行う膜
分離装置を簡便な方法で効果的に殺菌する方法であっ
て、殺菌処理後において、高水質透過水を得ることがで
きる膜分離装置の殺菌方法を提供することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の膜分離装置の殺
菌方法は、内部に膜を備え、該膜により原水室と透過水
室とが画成されている膜分離装置本体と、該膜分離装置
本体の原水室に原水を導入する給水手段と、該膜分離装
置本体の透過水室から透過水を抜き出す透過水取出手段
と、該膜分離装置本体の原水室から濃縮水を抜き出して
前記給水手段に循環する循環手段とを備えた膜分離装置
を加熱水で殺菌する方法において、前記透過水取出手段
を閉とした状態で加熱水を給水手段、膜分離装置本体の
原水室及び循環手段に流通させることによりこれらを殺
菌した後、前記透過水取出手段を開とした状態で膜分離
装置本体の原水室に加熱水を供給して膜分離装置本体の
透過水室及び透過水取出手段に該加熱水を流通させるこ
とによりこれらを殺菌することを特徴とする。
【0014】以下、一般的なUF膜分離装置の系統図で
ある図1を参照して、本発明の膜分離装置の殺菌方法の
一実施例方法を詳細に説明する。
【0015】なお、以下において、膜分離装置の殺菌の
ために系内に加熱水を供給した後、膜分離装置本体の原
水室内の水温が上昇する工程を昇温工程、原水室内の水
温が一定の加熱水温に保たれる工程を保持工程、加熱水
の供給を停止し、原水室内の水温が常温まで低下する工
程を冷却工程と称す。また、保持工程のうち、透過水取
出手段を閉として給水手段、膜分離装置本体の原水室及
び循環手段を殺菌する工程を第1保持工程と称し、透過
水取出手段を開として膜分離装置本体の透過水室及び透
過水取出手段を殺菌する工程を第2保持工程と称す。
【0016】図1に示すUF膜分離装置において、本発
明の殺菌方法を実施するには、まず、バルブV1 ,V2
を閉、バルブV3 ,V4 を開とすると共に、配管19よ
り蒸気を供給し、配管11より送給される原水タンク1
からの原水を加熱し、加熱した原水を配管12よりUF
膜分離装置本体4に供給する。これにより、膜分離装置
本体4の原水室4A内の水温は上昇し(昇温工程)、そ
の後一定に保持される(第1保持工程)。この加熱水
は、配管12、UF膜分離装置本体4の原水室4A、配
管16を経て、一部は配管18より系外に排出され、残
部は配管17より原水タンク1に返送される。
【0017】これにより、給水手段(配管12)、膜分
離装置本体4の原水室4A及び循環手段(配管16)が
加熱水により効果的に殺菌され、パイロジエンやβ−グ
ルカン等の擬似パイロジエン物質は系外へ排出される。
【0018】本発明において、昇温工程及び第1保持工
程におけるバルブの開閉は透過水取出手段が閉とされ、
加熱水の膜透過が起こらないような状態であれば良く、
濃縮水側のバルブの開閉には特に制限はない。従って、
上述の如く一部を原水タンクに循環することなく、全量
を系外へ排出しても良い。
【0019】昇温工程及び第1保持工程のバルブ開閉は
例えば次の〜に設定することができる。
【0020】 昇温工程及び第1保持工程において、
配管16内の水の50〜10%を配管17より循環し、
残部50〜90%を系外へ排出するようにし、第1保持
工程終了直前に、一旦全量を膜分離装置外へ排出する。
【0021】 昇温工程及び第1保持工程において、
配管16内の水を全量膜分離装置外へ排出する。
【0022】 昇温工程において配管16内の水の5
0〜10%を配管17より循環し、残部50〜90%を
系外へ排出するようにし、第1保持工程では全量を膜分
離装置外へ排出する。
【0023】第1保持工程終了後、バルブV1 ,V4
開、バルブV2 ,V3 を閉として、引き続き加熱水を膜
分離装置本体4に供給し、加熱水を原水室4Aから透過
水室4Bに透過させ、配管13,15を経て膜分離装置
外へ排出する。また、加熱水の一部(通常の場合、供給
される加熱水の5〜20%程度)は配管16,18を経
て膜分離装置外へ排出する(第2保持工程)。その後、
この状態で蒸気の供給を停止することにより原水の加熱
を止める。これにより膜分離装置本体4の原水室4A内
の水温は常温まで低下する(冷却工程)。
【0024】この第2保持工程及び冷却工程により、膜
分離装置本体4の透過水室4B及び透過水取出手段(配
管13)内は加熱水により効果的に殺菌される。
【0025】この際、原水側のパイロジエンやβ−グル
カン等の擬似パイロジエン物質は、昇温工程及び第1保
持工程において、この透過水側へ移行することなく膜分
離装置外へ排出されているため、これらの物質により透
過水側が汚染されることはない。
【0026】従って、一連の殺菌処理後においては、膜
分離装置内は十分に殺菌され、汚染物質が除去されたも
のとなる。
【0027】殺菌処理後は、バルブV1 を閉、バルブV
2 ,V3 を開、バルブV4 を閉又は開として、原水を通
水して、膜分離処理を再開し、透過水を配管13,14
を経て処理水タンク5に受ける。
【0028】本発明において、昇温工程、第1保持工
程、第2保持工程及び冷却工程の各工程の処理時間は、
例えば、次のような範囲とするのが好ましい。
【0029】 昇温工程:5〜60分、より好ましくは10〜30分 第1保持工程:15〜60分、より好ましくは30〜6
0分 第2保持工程:15〜60分、より好ましくは15〜3
0分 冷却工程:5〜60分、より好ましくは10〜30分 また、殺菌に用いる加熱水の温度(即ち、保持工程にお
ける膜分離装置本体の原水室の水温)は、60〜95℃
とするのが好ましい。
【0030】本発明において、殺菌に用いる加熱水は、
図1に示す如く、原水を熱交換器等で加熱したものに限
らず、別途加熱水タンクを設け、系外から加熱水を供給
するようにしても良い。
【0031】また、本発明の膜分離装置の殺菌方法は、
ポリスルホンUF膜等の耐熱性に優れた膜を備えるUF
膜分離装置に好適に適用されるが、これに限らず、RO
膜分離装置やその他の膜分離装置にも適用可能である。
【0032】
【作用】本発明においては、透過水取出手段を閉とした
状態で、加熱水を供給して給水手段、膜分離装置本体の
原水室、循環手段を殺菌処理した後、加熱水を膜分離装
置外へ排出するため、この殺菌処理に当り、給水側の汚
染物質を透過水側へ移行させることなく、確実に系外へ
排出することができる。そして、この給水側の殺菌及び
汚染物質排出後、透過水取出手段を開として透過水側の
殺菌を行うため、透過水側が給水側の汚染物質により再
汚染されることはなく、効果的な殺菌を行うことができ
る。
【0033】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明する。
【0034】実施例1 図1に示す膜分離装置において、表1に示すバルブ操作
及び熱交換器の蒸気供給により膜分離処理及び殺菌処理
を行った。このときの膜分離装置本体の原水室水温及び
透過水(ただし、昇温工程と第1保持工程では透過水は
得られない。)のパイロジエン濃度を調べ、結果を図2
に示した。
【0035】なお、昇温工程及び第1保持工程において
は、バルブV3 の通水量を90%、バルブV4 の通水量
を10%とし、第1保持工程終了直前の10分間は、1
00%系外に排出した。
【0036】
【表1】
【0037】図2より、透過水側の水のパイロジエン濃
度は、殺菌処理時においても殺菌処理後の通水時におい
ても常にパイロジエン分析下限値の0.03EU/ml
以下となり、殺菌処理により、パイロジエン濃度が上昇
することはなく、良好な殺菌効果が得られることが明ら
かである。
【0038】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の膜分離装置
の殺菌方法によれば、バルブ操作という簡便な操作によ
り、膜分離装置を効果的に殺菌処理することができる。
【0039】本発明の膜分離装置の殺菌方法は、原水の
脱パイロ及び除菌を行って医薬用精製水を製造する膜分
離装置の加熱水殺菌に特に有効であり、擬似パイロジエ
ン物質の系内残留を防止して、良好な殺菌効果を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する膜分離装置の一実施例を示す
系統図である。
【図2】実施例1の結果を示す、水温及び透過水パイロ
ジエン濃度のグラフである。
【図3】従来の殺菌処理における水温及び透過水パイロ
ジエン濃度のグラフである。
【符号の説明】
1 原水タンク 2 ポンプ 3 熱交換器 4 UF膜分離装置本体 4A 原水室 4B 透過水室 5 処理水タンク

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に膜を備え、該膜により原水室と透
    過水室とが画成されている膜分離装置本体と、該膜分離
    装置本体の原水室に原水を導入する給水手段と、該膜分
    離装置本体の透過水室から透過水を抜き出す透過水取出
    手段と、該膜分離装置本体の原水室から濃縮水を抜き出
    して前記給水手段に循環する循環手段とを備えた膜分離
    装置を加熱水で殺菌する方法において、 前記透過水取出手段を閉とした状態で加熱水を給水手
    段、膜分離装置本体の原水室及び循環手段に流通させる
    ことによりこれらを殺菌した後、前記透過水取出手段を
    開とした状態で膜分離装置本体の原水室に加熱水を供給
    して膜分離装置本体の透過水室及び透過水取出手段に該
    加熱水を流通させることによりこれらを殺菌することを
    特徴とする膜分離装置の殺菌方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN117582824A (zh) * 2023-11-28 2024-02-23 武汉启诚生物技术有限公司 一种净水设备热消毒方法以及净水设备热消毒系统

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