JPH08337790A - グリース組成物 - Google Patents

グリース組成物

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JPH08337790A
JPH08337790A JP14596895A JP14596895A JPH08337790A JP H08337790 A JPH08337790 A JP H08337790A JP 14596895 A JP14596895 A JP 14596895A JP 14596895 A JP14596895 A JP 14596895A JP H08337790 A JPH08337790 A JP H08337790A
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group
carbon atoms
thickener
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mass
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JP14596895A
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English (en)
Inventor
Yutaka Shikatani
裕 鹿谷
Jinichi Igarashi
仁一 五十嵐
Nobuo Imai
信夫 今井
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】鉱油および/または合成油を基油とし、組成物
全量基準で2〜50質量%の増ちょう剤を含むグリース
組成物であって、増ちょう剤として、(A)一般式
(1)で表されるアミドオリゴマーを増ちょう剤全量に
対して50〜100質量%と、(B)一般式(2)で表
されるジアミドを増ちょう剤全量に対して50質量%以
下とを含有してなるグリース組成物。 【化1】 (R1、R4:C1〜24の炭化水素基、R2、R3:C1
〜24の2価の有機残基、a=1〜10) 【化2】 (R5、R7:C1〜24の炭化水素基、R6:C1〜2
4の2価の有機残基) 【効果】前記グリース組成物は、耐熱性等に優れかつ長
寿命性であり、軸受部、自動車用の電装部品や補機、鉄
鋼等の鋳造設備等の厳しい条件下で用いられる潤滑剤と
して有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定構造のアミド化合
物を増ちょう剤とする各種性能、特に耐熱性に優れかつ
長寿命性のグリース組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】グリースは通常基油、増ちょう剤および
添加剤より構成されているが、従来の増ちょう剤として
はナトリウム系、カルシウム系の金属せっけん類が用い
られている。しかしながら、近年の工業技術の進歩と共
に、各種装置の使用条件も非常に過酷なものとなってお
り、実際に装置を運転する条件下で使用に適する潤滑剤
の性能も、それに応じて極めて高い性能が要求されるよ
うになっている。特に、高荷重、高速度で運転される軸
受部、自動車用の電装部品や補機、鉄鋼等の鋳造設備に
用いられるグリースには耐熱性の優れたものが要求され
る。この様な、厳しい条件下での潤滑は、部品の早期交
換、集中給脂によって対処されているが、機械装置のメ
ンテナンスフリー化、および省資源化の考え方に伴いグ
リースの長寿命化も求められている。
【0003】この様な要請に対して、ナトリウム石けん
系、カルシウム石けん系の増ちょう剤にかわり、リチウ
ム石けん系の増ちょう剤を使用したグリースが用いられ
るようになっている。これは、耐熱性、耐水性および機
械的安定性等従来のグリースと比較して極めて優れた性
質を示すものであり、各種機械の軸受部、自動車部品お
よび製鉄設備等に広く使用されている。
【0004】しかしながら、このリチウム石けん系のグ
リースも比較的高温安定性に優れているとはいえ、その
滴点は200℃前後程度であり、150℃以上での高温
領域での使用は好ましくない。そこで、さらに高い熱安
定性を持つものとして、各種のコンプレックス石けん、
ベントン、シリカゲル等の無機系の増ちょう剤を用いた
のものが考えられているが、耐熱性はまだ不十分であ
り、また経時硬化性が大きい、油分離が大きい、高温長
時間での潤滑性に欠点がある等の問題点がある。
【0005】耐熱性に優れたグリースとしては、ジウレ
アグリース、テトラウレアグリース等のウレア系のグリ
ースおよびウレア−ウレタングリース等の有機系の増ち
ょう剤を使用したものが知られている。これらは、優れ
た耐熱性を示すと共に長寿命性を示し、原料であるアミ
ン類およびイソシアネート類の組み合わせで種々の特性
を有するグリースが得られるので、今日まで非常に多く
のものが研究開発されている。
【0006】これに対して、最近アミド結合を有する有
機化合物を増ちょう剤として用いたグリースがいくつか
提案されている。特開昭54−114506号公報、特
開昭56−139592号公報には、1分子中に2個の
イミド結合と2個のアミド結合とからなる化合物を増ち
ょう剤としたグリース組成物が開示されているが、これ
は耐熱性が不十分である。特開平2−6599号公報に
は、末端にアミド基を持つことを特徴とするジウレア化
合物を増ちょう剤として使用したジウレアグリースが開
示されている。
【0007】また、米国特許第3,773,666号明
細書には、フタルアミドポリマーを細かく粉砕した粉末
を増ちょう剤とするグリース組成物が開示されている
が、該ポリマー化合物の分子量や末端基については一切
規定されておらず、またその製法等に関する記載もな
い。
【0008】さらに、特開昭63−108098号公報
には、一般式RNHOC(CH2)nCOHNRで表さ
れるN−アルキル置換ジアミドを添加したリチウム石け
ん系グリース組成物が開示されているが、ここではN−
アルキル置換ジアミドは増ちょう剤としてではなく、耐
荷重性向上剤として添加されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、各種
性能、特に耐熱性に優れ、かつ長寿命性のグリース組成
物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、鉱油お
よび/または合成油を基油とし、組成物全量基準で2〜
50質量%の増ちょう剤を含むグリース組成物であっ
て、増ちょう剤として、(A)一般式(1)で表される
アミドオリゴマーを増ちょう剤全量に対して50〜10
0質量%含有し、
【0011】
【化3】
【0012】(式中、R1およびR4は同一または異なる
基であって、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、R2
およびR3は同一または異なる基であって、炭素数1〜
24の2価の有機残基を表し、aは1〜10の整数を表
す) また必要に応じて、増ちょう剤として、さらに(B)一
般式(2)で表されるジアミドを増ちょう剤全量に対し
て50質量%以下含有してなるグリース組成物が提供さ
れる。
【0013】
【化4】
【0014】(式中、R5およびR7は同一または異なる
基であって、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、R6
は炭素数1〜24の2価の有機残基を表す) 以下、本発明についてさらに詳細に説明する。本発明の
グリース組成物は、鉱油および/または合成油を基油と
し、増ちょう剤として、前記一般式(1)で表わされる
アミドオリゴマーである(A)成分を特定の割合で含有
する。
【0015】前記鉱油としては、原油の常圧蒸留で得ら
れた重質油をさらに減圧蒸留して得られた潤滑油留分に
対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろ
う、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の
1種もしくは2種以上の精製処理を適宜組み合わせて得
られるパラフィン系、ナフテン系の鉱油等が挙げられ
る。
【0016】また、前記合成油としては、例えば、ポリ
αーオレフィン(ポリブテン、1ーオクテンオリゴマ
ー、1ーデセンオリゴマー等)、アルキルベンゼン、ア
ルキルナフタレン、エステル(ブチルステアレート、オ
クチルラウレート、ジトリデシルグルタレート、ジ−2
−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペー
ト、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシル
セバケート等)、ポリオールエステル(トリメチロール
プロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラル
ゴネート、トリメチロールプロパンオレート、トリメチ
ロールプロパンステアレート、ペンタエリスリトール−
2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラ
ルゴネート、ペンタエリスリトールオレート、ペンタエ
リスリトールステアレート等)、ポリオキシアルキレン
グリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェ
ニルエーテル等が挙げられる。
【0017】前記基油は、鉱油および前記油の中から選
ばれる1種で構成させることができ、また2種以上を任
意の割合で配合した混合物で構成させることもできる。
【0018】前記基油の粘度は、格別限定されないが、
一般的には、40℃における動粘度が1〜300mm2
/sの範囲にあるものが好ましく、2〜100mm2
sの範囲にあるものがより好ましい。
【0019】本発明のグリース組成物に、増ちょう剤と
して含有させる前記(A)成分は、前記一般式(1)で
表されるアミドオリゴマーである。
【0020】前記一般式(1)において、R1およびR4
は同一または異なる基であって、炭素数1〜24、好ま
しくは6〜18の炭化水素基を示す。このような炭化水
素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアル
キル基、アルキルシクロアルキル基、アリール基、アル
キルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。
【0021】前記アルキル基としては、具体的には例え
ば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘ
プチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシ
ル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペ
ンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オク
タデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル
基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基等の炭
素数1〜24のものが挙げられ、これらの構造は直鎖状
または分枝状のいづれであってもよい。この中でも炭素
数6〜18のものが好ましく、さらに好ましくは炭素数
6〜18の直鎖アルキル基である。
【0022】前記アルケニル基としては、具体的には例
えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテ
ニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、
ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル
基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニ
ル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデ
セニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセ
ニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニ
ル基等の炭素数2〜24のものが挙げられ、これらの構
造は直鎖状または分枝状のいづれであってもよい。この
中でも炭素数6〜18のものが好ましく、さらに好まし
くは炭素数6〜18の直鎖アルケニル基である。
【0023】前記シクロアルキル基としては、具体的に
は例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シク
ロヘプチル基等の炭素数5〜7のもの等が挙げられる。
【0024】前記アルキルシクロアルキル基としては、
具体的には例えば、メチルシクロペンチル基、ジメチル
シクロペンチル基、エチルシクロペンチル基、メチルエ
チルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メ
チルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、エ
チルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル
基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル
基、ジメチルシクロヘプチル基、エチルシクロヘプチル
基、メチルエチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘ
プチル基等の炭素数6〜11のもの等が挙げられ、また
これらの基の全ての置換異性体も挙げることができる。
この中でも炭素数7〜10のアルキルシクロアルキル基
が特に好ましい。
【0025】前記アリール基としては、具体的には例え
ば、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のもの
等が挙げられる。
【0026】前記アルキルアリール基としては、具体的
には例えば、トリル基、キシリル基、エチルフェニル
基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチル
フェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル
基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフ
ェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル
基、トリデシルフェニル基、テトラデシルフェニル基、
ペンタデシルフェニル基、ヘキサデシルフェニル基、ヘ
プタデシルフェニル基、オクタデシルフェニル基等の炭
素数7〜24のものが挙げられ、これらの構造は直鎖状
または分枝状のいづれであってもよく、またこれらの基
の全ての置換異性体を挙げることができる。この中でも
炭素数7〜12、さらに好ましくは7〜9のものが好ま
しい。
【0027】前記アリールアルキル基としては、具体的
には例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−
フェニルエチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル
基(プルピル基の異性体を含む)、フェニルブチル基
(ブチル基の異性体を含む)、フェニルペンチル基(ペ
ンチル基の異性体を含む)、フェニルヘキシル基(ヘキ
シル基の異性体を含む)等の炭素数7〜12のもの等が
挙げられるが、好ましくはこの中でも炭素数7〜9のも
のである。
【0028】前記R1およびR4の具体例のうち、特に炭
素数6〜18のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアル
キル基または炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
【0029】前記(A)成分のアミドオリゴマーは、前
記一般式(1)で表されるように両端のアミド基が炭化
水素基でキャップされている(炭素数1〜24の炭化水
素基が結合している)ことが重要であり、R1またはR4
が水素原子である場合には増ちょう能力が著しく低下し
グリース状にならず、また炭素数25以上の炭化水素基
である場合は滴点が下がり耐熱性に劣る。
【0030】前記一般式(1)において、R2およびR3
は同一または異なる基であって、炭素数1〜24の2価
の有機残基を表す。このような有機残基としては、具体
的には例えば炭素数1〜10の2価の炭化水素基、ベン
ゼン環を2個以上持つ炭素数12〜24の有機残基等が
挙げられる。
【0031】前記R2およびR3としての炭素数1〜10
の2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニ
レン基、2価の脂環式炭化水素基、2価の芳香族炭化水
素基等が挙げられる。
【0032】前記アルキレン基としては、具体的には例
えば、メチレン基;メチルメチレン基(エチリデン
基)、エチレン基等の炭素数2のアルキレン基;エチル
メチレン基(プロピリデン基)、ジメチルメチレン基
(イソプロピリデン基)、メチルエチレン基(プロピレ
ン基)、トリメチレン基等の炭素数3のアルキレン基;
n−プロピルメチレン基(ブチリデン基)、イソプロピ
ルメチレン基(イソブチリデン基)、エチルメチルメチ
レン基、エチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン
基、1,2−ジメチルエチレン基、1−メチルトリメチ
レン基、2−メチルトリメチレン基、テトラメチレン基
等の炭素数4のアルキレン基;n−ブチルメチレン基
(ペンチリデン基)、sec−ブチルメチレン基、イソ
ブチルメチレン基(イソペンチリデン基)、tert−
ブチルメチレン基、n−プロピルメチルメチレン基、イ
ソプロピルメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、n
−プロピルエチレン基、イソプロピルエチレン基、1−
エチル−1−メチルエチレン基、1−エチル−2−メチ
ルエチレン基、トリメチルエチレン基、1−エチルトリ
メチレン基、2−エチルトリメチレン基、1,1−ジメ
チルトリメチレン基、1,2−ジメチルトリメチレン
基、1,3−ジメチルトリメチレン基、2,2−ジメチ
ルトリメチレン基、1−メチルテトラメチレン基、2−
メチルテトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数
5のアルキレン基;n−ペンチルメチレン基(ヘキシリ
デン基)、(1−メチルブチル)メチレン基、イソペン
チルメチレン基(イソペンチリデン基)、(1,2−ジ
メチルプロピル)メチレン基、n−ブチルメチルメチレ
ン基、イソブチルメチルメチレン基、エチル−n−プロ
ピルメチレン基、エチルイソプロピルメチレン基、ブチ
ルエチレン基、イソブチルエチレン基、1−(n−プロ
ピル)−1−メチルエチレン基、1−(n−プロピル)
−2−メチルエチレン基、1−イソプロピル−1−メチ
ルエチレン基、1−イソプロピル−2−メチルエチレン
基、1,2−ジエチルエチレン基、1−エチル−2,2
−ジメチルエチレン基、テトラメチルエチレン基、1−
n−プロピルトリメチレン基、2−n−プロピルトリメ
チレン基、1−イソプロピルトリメチレン基、2−イソ
プロピルトリメチレン基、1−エチル−3−メチルトリ
メチレン基、1−エチル−2−メチルトリメチレン基、
1,1,2−トリメチルトリメチレン基、1,1,3−
トリメチルトリメチレン基、1−エチルテトラメチレン
基、1,1−ジメチルテトラメチレン基、1,3−ジメ
チルテトラメチレン基、1,4−ジメチルテトラメチレ
ン基、2,2−ジメチルテトラメチレン基,1−メチル
ペンタメチレン基、2−メチルペンタメチレン基、ヘキ
サメチレン基等の炭素数6のアルキレン基(すべての炭
素数6のアルキレン基の異性体を含む);n−ヘキシル
メチレン基(ヘプチリデン基)、n−ペンチルエチレン
基(ヘプチレン基)、ヘプタメチレン基等の炭素数7の
アルキレン基(すべての炭素数7のアルキレン基の異性
体を含む);n−ヘプチルメチレン基(オクチリデン
基)、n−ヘキシルエチレン基(オクチレン基)、オク
タメチレン基等の炭素数8のアルキレン基(すべての炭
素数8のアルキレン基の異性体を含む);n−オクチル
メチレン基(ノニリデン基)、n−ヘプチルエチレン基
(ノニレン基)、ノナメチレン基等の炭素数9のアルキ
レン基(すべての炭素数9のアルキレン基の異性体を含
む);n−ノニルメチレン基(デシリデン基)、n−オ
クチルエチレン基(デシレン基)、デカメチレン基等の
炭素数10のアルキレン基(すべての炭素数10のアル
キレン基の異性体を含む)等が挙げられる。
【0033】前記アルケニレン基としては、具体的には
例えば、ビニリデン基、エテニレン基(ビニレン基)等
の炭素数2のアルケニレン基;プロペニレン基、メチレ
ンエチレン基、メチルエテニレン基、1−プロペニリデ
ン基、2−プロペニリデン基等の炭素数3のアルケニレ
ン基;3−メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の炭
素数4のアルケニレン基(すべての炭素数4のアルケニ
レン基の異性体を含む);1−メチル−3−メチレント
リメチレン基、3−エチルプロペニレン基、1,3−ジ
メチルプロペニレン基、2,3−ジメチルプロペニレン
基、3,3−ジメチルプロペニレン基、ヘプテニレン基
等の炭素数5のアルケニレン基(すべての炭素数5のア
ルケニレン基の異性体を含む);1,1−ジメチル−3
−メチレントリメチレン基、1−エチル−3−メチレン
トリメチレン基、3−エチル−1−メチルプロペニレン
基、3−エチル−2−メチルプロペニレン基、1,3,
3−トリメチルプロペニレン基、2,3,3−トリメチ
ルプロペニレン基、ヘキセニレン基等の炭素数6のアル
ケニレン基(すべての炭素数6のアルケニレン基の異性
体を含む);ヘプテニレン基等の炭素数7のアルケニレ
ン基(すべての炭素数7のアルケニレン基の異性体を含
む);オクテニレン基等の炭素数8のアルケニレン基
(すべての炭素数8のアルケニレン基の異性体を含
む);ノネニレン基等の炭素数9のアルケニレン基(す
べての炭素数9のアルケニレン基の異性体を含む);デ
セニレン基等の炭素数10のアルケニレン基(すべての
炭素数10のアルケニレン基の異性体を含む)等が挙げ
られる。
【0034】前記2価の脂環式炭化水素基としては、具
体的には例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレ
ン基、シクロヘプチレン基等の炭素数5〜7のもの等が
挙げられる。
【0035】前記2価の芳香族炭化水素基としては、具
体的には例えば、フェニレン基、メチルフェニレン基、
ジメチルフェニレン基、エチルフェニレン基、エチルメ
チルフェニレン基、ジエチルフェニレン基、プロピルフ
ェニレン基、ブチルフェニレン基、ナフチレン基等の炭
素数6〜10のものが挙げられ、またこれらの基の全て
の置換異性体を挙げることができる。
【0036】前記ベンゼン環を2個以上持つ炭素数12
〜24の有機残基としては、下記一般式(3)で表され
る有機残基等が挙げられる。
【0037】
【化5】
【0038】(式中、Xは炭素数1〜10の2価の炭化
水素基、酸素原子、硫黄原子、または単結合(2つのベ
ンゼン環が他の原子を介さずに直接結合しビフェニル構
造をとっている状態)を表わす。R8およびR9は同一ま
たは異なる基であって、炭素数1〜6の炭化水素基を表
し、mおよびnは同一または異なる数であって、0〜2
の整数を表す) 前記一般式(3)において、Xとしての前記炭素数1〜
10の2価の炭化水素基としては、前記一般式(1)中
のR2で例示した炭素数1〜10のアルキレン基、炭素
数2〜10のアルケニレン基、炭素数5〜7の2価の脂
環式炭化水素基、炭素数6〜10の2価の芳香族炭化水
素基等が挙げられる。
【0039】前記一般式(3)において、Xが酸素原子
を示す場合は2つのベンゼン環がエーテル結合で結合し
ている状態を、Xが硫黄原子を示す場合は同様にチオエ
ーテル結合(スルフィド結合)で結合している状態をそ
れぞれ示す。
【0040】前記一般式(3)中のXの好ましいものと
しては、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数
2〜8のアルケニレン基、酸素原子および硫黄原子が挙
げられる。この中でも、単結合、炭素数1〜6のアルキ
レン基、酸素原子、硫黄原子がより好ましい。
【0041】前記一般式(3)において、R8およびR9
としての炭素数1〜6の炭化水素基としては、具体的に
は例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ
プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブ
チル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基
等のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル
基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基等が
挙げられ、これらの基の構造は直鎖状または分枝状のい
ずれであってもよい。この中でも炭素数1〜3のものが
好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキル基
である。また、同一分子中にR8および/またはR9が2
つ以上存在する場合は、その個々のR8および/または
9は同一でも異なっていてもよい。
【0042】前記R2およびR3の具体例の中でも、炭素
数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルケニレン
基、炭素数6〜10の2価の芳香族炭化水素基、ならび
に前記一般式(3)で表されるベンゼン環を2個以上持
つ炭素数12〜24の有機残基が好ましいが、さらに耐
熱性の点から炭素数6〜10の2価の芳香族炭化水素
基、ならびに前記一般式(3)のXが単結合、炭素数1
〜6のアルキレン基、酸素原子もしくは硫黄原子であっ
て、R8およびR9が炭素数1〜3のアルキル基であるも
のがより好ましい。
【0043】なお、前記(A)成分である前記一般式
(1)で表わされるアミドオリゴマーにおいて、R2
3は同一でも異なっていてもよい。また、同一分子中
にR2およびR3が2つ以上存在する場合は、即ち式中の
aが2以上の場合には、R2およびR3は同一または異な
っていてもよく、かつその個々のR2およびR3も同一で
も異なっていてもよい。
【0044】前記(A)成分を表わす前記一般式(1)
において、aは重合度を表し、1〜10の整数である。
オリゴマーの分布は、aが1〜5であるもので構成され
ていることが好ましく、具体的には、(A)成分全量基
準で、aが1のものが10〜70質量%、aが2のもの
が5〜40質量%、aが3のものが4〜20質量%、a
が4のものが3〜15質量%、aが5のものが2〜10
質量%、およびaが6〜10のものが0〜20質量%含
有していることが望ましい。
【0045】本発明のグリース組成物における増ちょう
剤としての前記(A)成分は、同一の構造を有する化合
物が単独で含有されていてもよく、前記一般式(1)を
満たす限りにおいて異なる構造を有する2種以上の化合
物の混合物が含有されていてもよい。
【0046】前記(A)成分のアミドオリゴマーの具体
例としては、前述の各基を組み合わせたもの全てを好ま
しく挙げることができるが、中でも耐熱性の点から、1
分子中に少なくとも1つのベンゼン環骨格を有する前記
一般式(1)に相当するアミドオリゴマーが好ましく、
より好ましくは複数個(2個以上)持つものの使用が望
ましい。この様なアミドオリゴマーとしては、例えば下
記一般式(4)で表されるものがさらに好ましい。
【0047】
【化6】
【0048】(式中、R10およびR13は同一または異な
る基であって、炭素数1〜24の炭化水素基を表わし、
bは1〜10の整数を表し、R11およびR12は同一また
は異なる基であって、炭素数1〜6の炭化水素基を表
し、Yは単結合、炭素数1〜10の2価の炭化水素基、
酸素原子または硫黄原子を表し、sは0〜2の整数を、
tは0〜2の整数を表し、qは0または1を表す。) 前記一般式(4)において、R10およびR13は同一また
は異なる基であって、炭素数1〜24の炭化水素基を表
すが、好ましくは6〜18の炭化水素基を表す。このよ
うな炭化水素基としては、具体的には例えば前記一般式
(1)中のR1およびR4で例示した炭素数1〜24、好
ましくは炭素数6〜18のアルキル基;炭素数2〜2
4、好ましくは炭素数6〜18のアルケニル基;炭素数
5〜7のシクロアルキル基;炭素数6〜11、好ましく
は炭素数7〜10のアルキルシクロアルキル基;炭素数
6〜10のアリール基;炭素数7〜24、好ましくは炭
素数7〜12、さらに好ましくは炭素数7〜9のアルキ
ルアリール基;炭素数7〜12、好ましくは炭素数7〜
9のアリールアルキル基が挙げられる。前記一般式
(4)中のR10およびR13としてはこの中でも炭素数6
〜18のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル
基、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
【0049】前記一般式(4)において、bは前記一般
式(1)中のaと同様に重合度を表し1〜10の整数を
表すが、好ましくは1〜5の整数である。
【0050】前記一般式(4)において、R11およびR
12が表す炭素数1〜6の炭化水素基としては具体的には
例えば前記一般式(3)のR8およびR9で例示したアル
キル基およびアルケニル基等が挙げられる。この中でも
炭素数1〜3のものが好ましく、さらに好ましくは炭素
数1〜3のアルキル基である。また同一分子中にR11
よび/またはR12が2つ以上存在する場合は、その個々
のR11および/またはR12は同一でも異なってもよい。
【0051】前記一般式(4)において、sおよびtは
同一または異なる数であって、0〜2の整数を表す。
【0052】前記一般式(4)において、Yは単結合、
炭素数1〜10の2価の炭化水素基、酸素原子または硫
黄原子を表し、具体的には、前記一般式(3)中のXで
定義したものと同一のものを挙げることができる。この
中でも前記一般式(4)のYとして好ましいものとして
は単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8
のアルケニレン基、酸素原子、硫黄原子が挙げられ、さ
らに好ましくは単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、
酸素原子、硫黄原子である。
【0053】前記一般式(4)で表されるベンゼン環骨
格を複数個持つアミドオリゴマーのうち、さらに好まし
いものとしては、芳香族単環式ジアミンから誘導される
qが0のアミドオリゴマー、またはYが単結合、メチレ
ン基、酸素原子、硫黄原子のいずれかであり芳香族2環
式ジアミンから誘導されるqが1のアミドオリゴマーが
挙げられるが、この中でもYがメチレン基でありqが1
のアミドオリゴマーがより好ましい。また、前記一般式
(4)で表されるアミドオリゴマーは分子中にベンゼン
環骨格を有しているが、これらのベンゼン環がパラ位で
結合されているものが最も好ましく、前記一般式(4)
で表されるアミドオリゴマーの最も好ましい態様は、次
式(5)で表すことができる。
【0054】
【化7】
【0055】(式中、R10およびR13は炭素数6〜18
のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素
数6〜10のアリール基を表し、bは1〜5の整数を表
し、R11およびR12は炭素数1〜3のアルキル基を表
し、sは0〜2の整数を、tは0〜2の整数を表す。) 本発明のグリース組成物において、前記(A)成分は、
増ちょう剤全量に対して50〜100質量%の範囲で含
有させる。前記(A)成分の増ちょう剤全量に対する含
有量が50質量%未満の場合、耐熱性、長寿命性等の本
発明の効果が期待できない。
【0056】前記(A)成分であるアミドオリゴマーの
製造法は任意であるが、通常はR1−NH2(R1は前記
一般式(1)で定義したところと同じ内容を示す。)で
表される第1級モノアミンおよびH2N−R3−NH
2(R3は前記一般式(1)で定義されたところと同じ内
容を示す)で表されるジアミンを、HOOC−R2−C
OOH(R2は前記一般式(1)で定義されたところと
同じ内容を示す)で表されるジカルボン酸またはジカル
ボン酸誘導体(アミン、エステル、酸塩化物等)と反応
させる方法等によって製造される。
【0057】前記R1−NH2で表される第1級モノアミ
ンとしては、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチ
ルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルア
ミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシ
ルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、
ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン等の炭素数6
〜18の第1級アルキルアミン(これらは全ての異性体
を含む);シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミ
ン、シクロヘプチルアミン等の炭素数5〜7の第1級シ
クロアルキルアミン;アニリン、トルイジン、キシリジ
ン、エチルアニリン等の第1級芳香族アミン等が好まし
く用いられる。
【0058】前記H2N−R3−NH2で表されるジアミ
ンとしては、メタンジアミン、エタンジアミン、プロパ
ンジアミン、ブタンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキ
サンジアミン、ヘプタンジアミン、オクタンジアミン等
の脂肪族ジアミン(これらのうち異性体を含むものはそ
の全ての異性体を含む);フェニレンジアミン、メチル
フェニレンジアミン、ジメチルフェニレンジアミン、エ
チルフェニレンジアミン等の芳香族単環式ジアミン;下
記一般式(6)で表される芳香族二環式ジアミン等が好
ましく用いられる。
【0059】
【化8】
【0060】(式中、X、R8、R9、mおよびnは前記
一般式(3)で定義されたものと同一のものを示す) 前記一般式(6)で示される芳香族二環式ジアミンとし
ては、ジアミノビフェニル、ジアミノジメチルビフェニ
ル、ビス(アミノフェニル)メタン、ビス(アミノフェ
ニル)エタン、ビスアミノフェニルプロパン、ビス(ア
ミノフェニル)ブタン、ビス(アミノフェニル)エーテ
ル、ビス(アミノフェニル)スルフィド等が挙げられ
る。
【0061】前記HOOC−R2−COOHで表される
ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカ
ルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の
芳香族単環式ジカルボン酸;下記一般式(7)で表され
る芳香族二環式ジカルボン酸等が好ましく用いられる。
【0062】
【化9】
【0063】(式中、X、R8、R9、mおよびnは前記
一般式(3)で定義されたものと同一のものを示す) 本発明のグリース組成物において、前記(A)成分であ
るアミドオリゴマーは、通常前述の第1級モノアミンお
よびジアミンを、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導
体と反応させることによって得られるが、反応性の点か
らジカルボン酸のエステルまたはジカルボン酸の酸塩化
物がよく用いられる。例えば、ジカルボン酸の酸塩化物
を用いた場合には、モノアミンおよびジアミンを適当な
溶媒に溶解させ、反応温度を0〜30℃に保ちながら該
酸塩化物を滴下することによって直ちに前記(A)成分
であるアミドオリゴマーが得られる。また、ジカルボン
酸のエステルは酸塩化物に比べ反応性が劣るため、一般
に200℃以上で1〜5時間反応させる必要がある。
【0064】前記(A)成分のアミドオリゴマーを製造
する場合、溶媒として揮発性の溶媒例えばベンゼン、ト
ルエン、キシレン、ヘキサン、ナフサ、石油エーテル
や、非プロトン性の極性溶媒(例えばジエチルエーテ
ル、ジイソブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチ
ルセロソルブ、ハロゲン化メタン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアニリン、ジメチルスルホキシド等)等が
使用できる。また、さらに適当な溶媒として潤滑基油を
使用することができる。なお、このようにして反応させ
るに際し均一なアミドオリゴマーを生成するように十分
混合撹拌するのが好ましい。
【0065】本発明のグリース組成物における増ちょう
剤としては、前記(A)成分に加え、さらに前記(B)
一般式(2)で表されるジアミドを含有させることもで
きる。
【0066】前記一般式(2)において、R5およびR7
は同一または異なる基であって、炭素数1〜24の炭化
水素基を表すが、具体的には例えば前記一般式(1)中
のR1およびR4の具体例として列挙したアルキル基、ア
ルケニル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキ
ル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアル
キル基等が挙げられる。この中でも、炭素数6〜18の
アルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基または炭
素数6〜10のアリール基が好ましい。
【0067】また、前記一般式(2)中のR6は炭素数
1〜24の2価の有機残基を表すが、具体的には例えば
前記一般式(1)中のR2およびR3の具体例として列挙
した炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10の
アルケニレン基、炭素数5〜7の2価の脂環式炭化水素
基、炭素数6〜10の2価の芳香族炭化水素基またはベ
ンゼン環を2個以上持つ炭素数12〜24の有機残基等
が挙げられる。この中でも、炭素数1〜8のアルキレン
基、炭素数2〜8のアルケニレン基、炭素数6〜10の
2価の芳香族炭化水素基、前記一般式(3)で表される
ベンゼン環を2個以上持つ炭素数12〜24の有機残基
が好ましいが、さらに耐熱性の点から炭素数6〜10の
2価の芳香族炭化水素基、ならびに前記一般式(3)の
Xが単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、酸素原子も
しくは硫黄原子であって、R8およびR9が炭素数1〜3
のアルキル基であるものがより好ましい。
【0068】前記(B)成分としては、同一の構造を有
する化合物が単独で含有されていてもよく、前記一般式
(2)を満たす限りにおいて異なる構造を有する2種以
上の化合物の混合物が含有されていてもよい。
【0069】本発明のグリース組成物において、前記
(B)成分は、増ちょう剤全量に対して50質量%以下
含有させることができる。前記(B)成分の増ちょう剤
全量に対する含有量が50質量%を越える場合、組成物
がグリース状にならない。
【0070】前記(B)成分であるジアミドは、任意の
方法により製造されるが、通常は前記(A)成分のアミ
ドオリゴマーを製造する際の副生成物として得られる。
従って、本発明のグリース組成物における増ちょう剤と
しては、この様にして得られた前記(A)成分のアミド
オリゴマーと前記(B)成分のジアミドとの混合物をそ
のまま用いてもよい。また、前記(B)成分のジアミド
を別途公知の方法により合成することもできる。
【0071】本発明のグリース組成物において、前記
(A)成分を含む増ちょう剤の含有量は組成物全量を基
準として2〜50質量%、好ましくは3〜40質量%で
ある。2質量%未満の場合は、増ちょう剤としての効果
がなく、また50質量%を越えるとグリースとして固く
なりすぎて十分な潤滑効果を発揮することができない。
【0072】また、増ちょう剤として、前記(A)成分
および(B)成分の他に、金属せっけん、ベントン、シ
リカゲル、ウレア化合物、ウレタン化合物等の他の増ち
ょう剤を、単独または2種以上を組み合わせて含有させ
ることもできる。この場合、前記他の増ちょう剤は、増
ちょう剤全量に対して、20質量%以下であることが好
ましい。20質量%を越えると、耐熱性、長寿命性等の
本発明の効果が期待できないので好ましくない。
【0073】本発明のグリース組成物には、その性質を
損ねることなくさらに性能を向上させる添加剤を含有さ
せることができる。例えば、塩素系、イオウ系、リン
系、ジチオリン酸亜鉛等の極圧剤;アミン系、フェノー
ル系、イオウ系、ジチオリン酸亜鉛等の酸化防止剤;脂
肪酸、動物油、植物油等の油性剤;石油スルホネート、
ジノニルナフタレンスルホネート、ソルビタンエステル
等のさび止め剤;ベンゾトリアゾール、チアジアゾー
ル、亜硝酸ソーダ等の金属不活性化剤;ポリメタクリレ
ート、ポリブテン、ポリスチレン等の粘度指数向上剤;
二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤等を含
有させてさらにグリースの性能を向上させることができ
る。これらの添加剤は単独でまたは2種以上を組み合わ
せて含有させることができる。また、その含有量は任意
であるが、通常これらの添加剤を用いる場合、グリース
組成物全量基準でその合計含有量が10質量%以下とな
るように含有させるのが好ましい。
【0074】本発明のグリース組成物を用いて、グリー
スを製造するには、前記(A)成分、必要に応じて前記
(B)成分等の増ちょう剤を基油中に混合撹拌するだけ
でなくミル(三本ロールミル、コロイドミル等)等を用
いて混練処理する方法等を好ましく挙げることができ
る。例えば、揮発性溶媒を使用して前記(A)成分等の
増ちょう剤を合成した場合は、溶媒を除いた後蒸留、洗
浄、再結晶等で精製し、前記増ちょう剤の含有量が組成
物全量基準で2〜50質量%となるように潤滑基油と混
合し、十分撹拌を行った後、三本ロールミル、コロイド
ミル等で混練する方法等により得ることができる。ま
た、溶媒として潤滑基油を使用した場合においても、前
記(A)成分等の増ちょう剤を生成させた後に三本ロー
ルミル、コロイドミル等で混練することが必要である。
【0075】一般に、グリース中の増ちょう剤は基油中
に溶解することなく相互に結びあって三次元的網目構造
をつくっていると考えられている。そして、外力が加わ
った場合その程度に応じてこの構造がゆるみ、著しい非
ニュートン性とチキソトロピーを示し、グリースに特異
な流動性を与えると考えられている。例えば、せん断速
度の大きい潤滑面においては、ほとんど基油に近い流動
性を持って潤滑に預かり、軸受の運動が停止すれば流動
性を失って軸受部に保持される固体潤滑剤のごとく作用
する。したがって、増ちょう剤の十分な分散と混練の操
作を行わない場合は、三次元構造が不十分となって前記
のグリース特有の性質を示さなくなり好ましくない。
【0076】
【発明の効果】本発明のグリース組成物は、特定構造の
アミド化合物を増ちょう剤として特定割合含有するた
め、各種性能、特に耐熱性等に優れかつ長寿命性であ
り、高荷重、高速度で運転される軸受部、自動車用の電
装部品や補機、鉄鋼等の鋳造設備等の厳しい条件下で用
いられる潤滑剤として特に有用である。
【0077】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明の内
容をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら
限定されるものではない。なお、以下の実施例で、基油
としては、全てジアルキルジフェニルエーテル(商品名
「モレスコ ハイルーブ LB400」、松村石油
(株)製)を用いた。
【0078】
【実施例1】コンデンサー、撹拌羽根、滴下ロートを取
り付け十分窒素置換した500ml四ッ口フラスコに
p,p'-ジアミノジフェニルメタン9.9g、n-デシル
アミン15.7g、トリエチルアミン20.2gを投入
し、さらに150mlのテトラヒドロフランを導入して
溶解した。この溶液を水浴中で13〜15℃に冷却し
た。次に滴下ロートにテレフタロイルクロリド20.3
gを入れ、さらに150mlのテトラヒドロフランに溶
解し強撹拌下で滴下した。
【0079】生成した白色沈殿物をテトラヒドロフラン
で十分洗浄後、蒸留水で塩酸アミン塩を除去した。50
℃の真空乾燥器中で10時間乾燥し、以下に示すアミド
オリゴマー(I−A)85質量%およびジアミド(I−
B)15質量%からなる粉末状のアミド化合物(I)を
得た。収率97%であった。
【0080】
【化10】
【0081】次いで基油80質量部にアミド化合物
(I)20質量部を、ホモジナイザーを用いて均一に分
散させ200℃で2時間撹拌し、冷却後3本ロールミル
で混練処理をしてグリースを得た。得られたグリースに
ついて、以下に示す性能評価試験を行った。結果を表1
に示す。 不混和ちょう度:JIS K 2220 5.3に準拠
してちょう度を測定した。 滴点:JIS K 2220 5.4に準拠して滴点を
測定した。 離油度:JIS K 2220 5.7に準拠して離油
度を測定した。
【0082】
【実施例2】コンデンサー、撹拌羽根、滴下ロートを取
り付け十分窒素置換した500ml四ッ口フラスコに
p,p'-ジアミノジフェニルメタン9.9g、n-デシル
アミン7.9g、トリエチルアミン15.2gを投入
し、さらに150mlのテトラヒドロフランを導入して
溶解した。この溶液を水浴中で13〜15℃に冷却し
た。次に滴下ロートにテレフタロイルクロリド20.3
gを入れ、さらに150mlのテトラヒドロフランに溶
解し強撹拌下で滴下した。
【0083】生成した白色沈殿物をテトラヒドロフラン
で十分洗浄後、蒸留水で塩酸アミン塩を除去した。50
℃の真空乾燥器中で10時間乾燥し、以下に示すアミド
オリゴマー(II−A)90質量%およびジアミド(II−
B)10質量%からなる粉末状のアミド化合物(II)を
得た。収率96%であった。
【0084】
【化11】
【0085】次いで基油80質量部にアミド化合物(I
I)20質量部を、ホモジナイザーを用いて均一に分散
させ200℃で2時間撹拌し、冷却後3本ロールミルで
混練処理をしてグリースを得た。得られたグリースにつ
いて、実施例1と同様に性能評価試験を行なった。結果
を表1に示す。
【0086】
【実施例3】コンデンサー、撹拌羽根、滴下ロートを取
り付け十分窒素置換した500ml四ッ口フラスコに
p,p'-ジアミノジフェニルメタン7.9g、n−ドデシ
ルアミン14.8g、トリエチルアミン16.2gを投
入し、さらに150mlのテトラヒドロフランを導入し
て溶解した。この溶液を水浴中で13〜15℃に冷却し
た。次に滴下ロートにテレフタロイルクロリド16.2
gを入れ、150mlのテトラヒドロフランに溶解し強
撹拌下で滴下した。
【0087】生成した白色沈殿物をテトラヒドロフラン
で十分洗浄後、蒸留水で塩酸アミン塩を除去した。50
℃の真空乾燥器中で10時間乾燥し、以下に示すアミド
オリゴマー(III−A)85質量%およびジアミド(III
−B)15質量%からなる粉末状のアミド化合物(II
I)を得た。収率96%であった。
【0088】
【化12】
【0089】次いで基油80質量部にアミド化合物(II
I)20質量部を、ホモジナイザーを用いて均一に分散
させ200℃で2時間撹拌し、冷却後3本ロールミルで
混練処理をしてグリースを得た。得られたグリースにつ
いて、実施例1と同様に性能評価試験を行なった。結果
を表1に示す。
【0090】
【実施例4】コンデンサー、撹拌羽根、滴下ロートを取
り付け十分窒素置換した500ml四ッ口フラスコに
p,p'-ジアミノジフェニルメタン11.9g、アニリン
11.2g、トリエチルアミン24.3gを投入し、さ
らに150mlのテトラヒドロフランを導入して溶解し
た。この溶液を水浴中で13〜15℃に冷却した。次に
滴下ロートにテレフタロイルクロリド24.4gを入
れ、さらに150mlのテトラヒドロフランに溶解し強
撹拌下で滴下した。
【0091】生成した白色沈殿物をテトラヒドロフラン
で十分洗浄後、蒸留水で塩酸アミン塩を除去した。50
℃の真空乾燥器中で10時間乾燥し、以下に示すアミド
オリゴマー(IV−A)85質量%およびジアミド(IV−
B)15質量%からなる粉末状のアミド化合物(IV)を
得た。収率96%であった。
【0092】
【化13】
【0093】次いで基油80質量部にアミド化合物(I
V)20質量部を、ホモジナイザーを用いて均一に分散
させ200℃で2時間撹拌し、冷却後3本ロールミルで
混練処理をしてグリースを得た。得られたグリースにつ
いて、実施例1と同様に性能評価試験を行なった。結果
を表1に示す。
【0094】
【実施例5】コンデンサー、撹拌羽根を取り付け十分窒
素置換した三ッ口フラスコに基油100g、p,p'-ジ
アミノジフェニルメタン6.4g、テレフタル酸ジフェ
ニル20.6g、nーデシルアミン10.2gを投入し、
窒素雰囲気下220℃で4時間撹拌した。反応後生成し
たフェノールを留去し、冷却後3本ロールミルで混練処
理をして以下に示すアミドオリゴマー(V−A)85質
量%およびジアミド(V−B)15質量%からなるアミ
ド化合物(V)を増ちょう剤とするグリースを得た。
【0095】
【化14】
【0096】得られたグリースについて、実施例1と同
様に性能評価試験を行なった。結果を表1に示す。
【0097】
【実施例6】コンデンサー、撹拌羽根を取り付け十分窒
素置換した三ッ口フラスコに基油100g、p,p'-ジ
アミノジフェニルメタン11.8g、テレフタル酸ジフ
ェニル22.9g、nーデシルアミン3.8gを投入し、
窒素雰囲気下220℃で4時間撹拌した。反応後生成し
たフェノールを留去し、冷却後3本ロールミルで混練処
理をして以下に示すアミドオリゴマー(VI−A)97質
量%およびジアミド(VI−B)3質量%からなるアミド
化合物(VI)を増ちょう剤とするグリースを得た。
【0098】
【化15】
【0099】得られたグリースについて、実施例1と同
様に性能評価試験を行なった。結果を表1に示す。
【0100】
【比較例1】コンデンサー、撹拌羽根、滴下ロートを取
り付け十分窒素置換した500ml四ッ口フラスコに
p,p'-ジアミノジフェニルメタン19.8g、トリエチ
ルアミン20.2gを投入し、さらに150mlのテト
ラヒドロフランを導入して溶解した。この溶液を水浴中
で13〜15℃に冷却した。次いで滴下ロートにテレフ
タロイルクロリド20.3gを入れ、さらに150ml
のテトラヒドロフランに溶解し強撹拌下で滴下した。
【0101】生成した白色沈殿物をテトラヒドロフラン
で十分洗浄後、蒸留水で塩酸アミン塩を除去した。50
℃の真空乾燥器中で10時間乾燥し、以下に示す粉末状
のアミド化合物(VII)を得た。収率96%であった。
【0102】
【化16】
【0103】次いで基油80質量部にアミド化合物(VI
I)20質量部を、ホモジナイザーを用いて均一に分散
させ200℃で2時間撹拌し、冷却後3本ロールミルで
混練処理をしたが2層に分離しグリース状にならなかっ
た。
【0104】
【比較例2】基油50質量部に前記比較合成例1で合成
したアミド化合物(VII)50質量部を、ホモジナイザ
ーを用いて均一に分散させ200℃で2時間撹拌し、冷
却後3本ロールミルで混練処理をしグリースを得た。得
られたグリースについて、実施例1と同様に性能評価試
験を行なった。結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】表1の結果から明らかなように、本発明の
グリース組成物は熱安定性に優れていた。これに対し
て、末端基を炭化水素基でキャップしていないアミド化
合物を用いた比較例1では増ちょう能力が小さくグリー
ス状にならなかった。またグリース状になるためには組
成物全量基準で50質量%のアミド化合物が必要であっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 119:24) C10N 30:08 40:02 50:10

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉱油および/または合成油を基油とし、組
    成物全量基準で2〜50質量%の増ちょう剤を含むグリ
    ース組成物であって、増ちょう剤として、(A)一般式
    (1)で表されるアミドオリゴマーを増ちょう剤全量に
    対して50〜100質量%含有してなるグリース組成
    物。 【化1】 (式中、R1およびR4は同一または異なる基であって、
    炭素数1〜24の炭化水素基を表し、R2およびR3は同
    一または異なる基であって、炭素数1〜24の2価の有
    機残基を表し、aは1〜10の整数を表す)
  2. 【請求項2】増ちょう剤として、さらに(B)一般式
    (2)で表されるジアミドを増ちょう剤全量に対して5
    0質量%以下含有してなる請求項1記載のグリース組成
    物。 【化2】 (式中、R5およびR7は同一または異なる基であって、
    炭素数1〜24の炭化水素基を表し、R6は炭素数1〜
    24の2価の有機残基を表す)
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