JPH08334910A - 電子写真用感光体 - Google Patents

電子写真用感光体

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JPH08334910A
JPH08334910A JP16151095A JP16151095A JPH08334910A JP H08334910 A JPH08334910 A JP H08334910A JP 16151095 A JP16151095 A JP 16151095A JP 16151095 A JP16151095 A JP 16151095A JP H08334910 A JPH08334910 A JP H08334910A
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JP
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unsubstituted
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hydrogen atom
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JP16151095A
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English (en)
Inventor
Kaoru Tadokoro
薫 田所
Masayuki Shiyoji
正幸 所司
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 単層型の感光層中、あるいは下引き層を有す
る積層型感光体においては下引き層中に、下記一般式
(I)、好ましくは(II)〜(III)等で表わされ
るフルオラン化合物を含有させる。 (式中、Xは=O、=C(CN)など、r,r
水素原子、アルキル基、アルコキシ基など、m,nは1
〜4の整数を表わす。) (式中、R,R及びR,Rは、水素原子、アル
キル基、フェニル基などを、R,R及びR
,rは、水素原子、アルキル基、スルホニル基など
を表わす。R,Rは他の原子と結合して環を形成し
ていても良く、更に置換基rにより置換されていても良
い。m,nは1〜4の整数を表わす。又、XはS又はO
原子を表わす。) 【効果】 感度、帯電特性、静電特性、耐久性に優れて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真プロセスを用
いた複写機、プリンター等に用いられる有機材料による
電子写真用感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真プロセスは静電力による潜像の
可視化することを利用するため、用いられる電子写真用
感光体には良好な帯電特性と光照射による迅速な表面電
位の減衰が必要となる。これら電子写真プロセス上必要
な感光体としての特性は、初期の帯電電荷を維持するた
めの暗抵抗、露光時の良好な量子効率及び生成電荷の高
い電荷移動能に換言される。
【0003】これらの感光体の諸特性を満足するものと
して、従来、セレン、セレン−テルル合金、ヒ化セレン
などの無機化合物で構成された感光体が採用され多くの
複写機で用いられてきた。しかしながら、これらの材料
は化学的な安全性に注意を要するアモルファス状態で用
いられるため取扱が厄介である。また、数十μmの厚さ
に真空蒸着する必要があるためコストが高くなる等の欠
点があり、感光体の必要機能を充分満たしているとはい
えないものであった。
【0004】これらの欠点を改良するため、有機材料を
用いた電子写真用感光体(OPC)の開発が積極的にな
され実用されるようになってきた。実用化されたOPC
の殆どは電荷発生機能を有する層(CGL)と電荷輸送
機能を有する層(CTL)からなる積層型の構成であ
り、専ら負帯電子写真プロセスに用いられている。その
理由は、使用される材料を混合し単に単層として形成し
た感光体では、繰返しの使用により疲労して帯電性、感
度などの静電的特性が実用の程度以下まで低下する欠点
が多いのに対し、積層型ではこれらの欠点を極力抑えら
れ、かつ、機械的強度に富み、膜厚の設計が可能なCT
Lを表面に配置することで、電子写真プロセスに使用さ
れた状態で充分な機械的耐久性を感光体に保持させるこ
とが可能となるからである。また、高速電子写真プロセ
スにおいても支障のない程度の高い電荷移動度を示す有
機材料は、現在のところ殆ど正孔移動の性質のみを有す
るドナー化合物に限られている。そのためドナー化合物
で形成されたCTLを表面側に配置した感光体では、そ
の帯電極性は負帯電に限定されるので、このような機能
分離構造の電子写真感光体では次のような問題がある。
【0005】それらの問題の第1番目は、帯電極性が負
帯電にだけ限定されていることによりもたらされるもの
である。電子写真プロセスにおける帯電性の高い帯電方
式はコロナ放電によるものであり、殆んどの複写機、プ
リンタはこの方式が採用されている。しかしながら、周
知のように、正極性と比べ負極性のコロナ放電は不安定
であり、このためスコロトロンによる帯電方式が採用さ
れコストアップの一要因となっている。また、負極性の
コロナ放電は化学的負傷の原因となるオゾンの発生をよ
り多く、その外部排出を防止するために負帯電方式の複
写機、プリンタにはオゾンフィルタが用いられていて、
これも装置のコストアップの要因となっている。
【0006】正帯電方式であれば、オゾン発生はもとも
と極めて小さく抑えられる。さらに現状で広く用いられ
ている2成分トナーは、感光体が正帯電である方が環境
変動によるトナーの特性の変動が少なく安定な画像が得
られるので、この面からも正帯電で使用できる感光体が
望ましい。また、帯電極性が負帯電に限定されているこ
とにより、電子写真プロセスの自由度が限定されてしま
い、より拡張性の高い電子写真作像プロセスには適用で
きない欠点もある。例えば、正負両帯電の可能な感光体
があれば、その一つの感光体で正あるいは負のプロセス
に対応でき、さらに正及び負の帯電の両方を使用した電
子写真プロセスの実現も可能となる。
【0007】第2番目の問題は、感光体の複雑な積層構
造によるものである。有機材料を用いた感光体では、無
機材料を用いた場合の真空蒸着と比べ安価な溶液塗布方
式で感光体を得ることが可能であるが、積層型感光体を
製造するためには少なくとも2回、通常は感光体の帯電
性の確保のため基板のすぐ上に下引き層を設けるため3
回の塗布が必要である。これらの多数回の塗布は感光体
のコストアップを引き起こす。さらの感度、耐久性のバ
ランスを保ち、また良好な画像を得るため、CGLの厚
さをサブミクロンの範囲で充分に管理することが必要
で、製造コストを引き上げる要因となっている。
【0008】以上の問題を考慮すると、感光体として有
機材料を用いた正帯電プロセス、あるいは正負両帯電で
の使用が可能な感光体が望ましいことが理解される。
【0009】しかしながら、このような条件を満足する
感光体の例は非常に少ない。単層型の感光体としては、
Kelle社及びIBM社から上市されたポリビニルカ
ルバゾールとトリニトロフルオレノンの電荷移動錯体型
感光体、Kodak社のチアピリリウム染料とポリカー
ボネートからなる共晶錯体型感光体、三田工業社の感光
層中に正孔輸送材料としてヒドラゾン化合物を含有させ
た感光体(特開平6−41041)、感光層中に正孔輸
送材料としてスチルベン化合物、電子移動材料としてジ
フェノキノン化合物を含有させた三田工業社の感光体
(特開平6−43677)、感光層中に、正孔輸送材料
と、電子移動材料としてベンゾフェノンテトラカルボン
酸ジイミド化合物を含有させた花王社の感光体(特開平
5−307273)がある。このうち、前の二つは感度
が低く、また繰返し使用の点で問題があるなどの欠点が
あった。また、専ら負帯電プロセスに用いられるので、
オゾン発生の欠点も伴っていた。三つめの感光体は感光
体を繰り返し使用した際の耐久性に劣るという問題があ
り、最後の二つの感光体については、感度不足という問
題があった。
【0010】一方、従来の有機材料を用いた積層感光層
型(機能分離型)の電子写真感光体において、導電性基
体上に直接感光層を設けた場合、導電性基板の欠陥、即
ち傷、不純物、腐食物といった表面欠陥が画像にそのま
ま反映し、黒ポチや白抜けといった異常画像の原因とな
る場合が多い。特に電荷発生層(CGL)は、通常数μ
m以下の薄膜にする必要があり、基板表面の欠陥を拾い
やすく、塗布欠陥が生じやすく、生産性を低下させてい
る。また、導電性基板と感光層との接着性が悪い場合も
多く見られ、小さな感光層の傷から全体が剥がれてしま
う場合もある。
【0011】それらを防止する目的で、多くの感光体で
はバリヤー層、接着層として導電性基体と感光層との間
に下引き層を設けている。下引き層としては、主に絶縁
性高分子材料がサブミクロンの膜厚の薄膜で設けられて
いるが、絶縁性であるため、感度の低下、残留電位の上
昇を引き起こすという致命的な欠点を有している。これ
らを防ぐ目的で種々の方法が提案されている。一つは下
引き層中に無機導電性フィラーを分散させる方法、また
一つはイオン導電性高分子を下引き層中に含有させる方
法、また一つはアクセプター性の電子輸送物質を下引き
層中に含有させる方法である。無機導電性フィラーとし
ては、酸化チタンや酸化スズが用いられる(特公昭63
−19869号公報)が、これらを下引き層塗布液中に
分散させる必要があり、その分散液の調整や、ポットラ
イフに技術的な困難を伴う。イオン導電性高分子として
は、例えば可溶性ナイロン、ポリアミド等の高分子が用
いられる(特開昭52−25638号、特開昭58−3
0757号各公報)が、導電率が低いため問題点を解消
するまでには至っていない。更に、アクセプター性の電
子輸送物質を含有させるのが3番目の方法であり(特開
平2−203352号、特開平2−300759号、特
開平5−134443号各公報)、例えば、トリニトロ
フルオレノン、テトラシアノキノジメタン等のアクセプ
ター性化合物が用いられるが、これらは安全性、相溶性
に問題がある。即ち、下引き層を設けた場合、感度、耐
久性の低下という重要な問題点が残されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的
は、正帯電時の帯電性及び感度が優れ、さらに正負両帯
電で使用が可能で、複写プロセスを繰り返しても安定な
静電特性を維持できる単層型電子写真用感光体を提供す
ることにある。本発明の第二の目的は、高感度、高耐久
性を有する積層型電子写真用感光体を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、単層型電子写真用感
光体の感光層あるいは積層型電子写真用感光体の下引層
に特定なフルオレン化合物を含有させることが有効であ
ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0014】本発明によれば、導電性基体上に、少なく
とも電荷発生物質、有機正孔移動物質及び有機アクセプ
ター性化合物が結着剤中に分散された感光層を有する単
層型電子写真用感光体において、該アクセプター化合物
が下記一般式(I)で示されるフルオレン化合物である
単層型電子写真用感光体が提供される。
【化1】 (式中、Xは=O、=C(CN)2、=C(H)(CN)、=
C(COOR)2、=N(CN)、=C(CN)(COOR)、
=C(H)(COOR)、=C(CN)(Ar)、=N(Ar)
を表わす。ただしRは、アルキル基、アルコキシ基、ア
リール基、アシル基、エステル基、アミド基、又は水素
原子を表わす。Arは、置換又は非置換の(ベンズ)オ
キサゾール環、(ベンズ)チアゾール環等のヘテロ原子
を含む環から成る基、又は置換又は非置換のベンゼン
環、ナフタレン環から成る基を表わす。r1、r2は互い
に独立して、水素原子、置換もしくは非置換アルキル
基、アルコキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカ
ルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、置換もし
くは非置換のスルホニル基、置換もしくは非置換スルホ
ンアミド基、置換もしくは非置換カルバモイル基、ハロ
ゲン原子、シアノ基およびニトロ基よりなる群から選ば
れたものである。m、nは1〜4の整数を表わす。) また、本発明によれば、好ましい態様として前記一般式
(I)で示されるフルオレン化合物が下記一般式(II)
又は一般式(III)で表される化合物である前記単層型電
子写真用感光体が提供される。
【化2】 (式中、R1、R2は互いに独立して、水素原子、置換も
しくは非置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしく
は非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置
換のアシル基、置換もしくは非置換のフェニル基、ハロ
ゲン原子、シアノ基及びニトロ基よりなる群から選ばれ
たものである。R3、R4は互いに独立して、水素原子、
置換もしくは非置換のアルキル基、アルコキシ基、置換
もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしく
は非置換のアシル基、置換もしくは非置換のスルホニル
基、置換もしくは非置換スルホンアミド基、置換もしく
は非置換カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基及び
ニトロ基よりなる群から選ばれたものである。m、nは
1〜4の整数を表わす。) 一般式(III)
【化3】 (式中、XはS又はO原子を表わす。R5、R6は互いに
独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル
基、アルコキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカ
ルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、置換もし
くは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のスルホ
ニル基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基よりなる
群から選ばれたものである。又、R5、R6は他の原子と
結合して環を形成していても良く、更に置換基rにより
置換されていても良い。R7、R8は互いに独立して、水
素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、アルコキシ
基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置
換もしくは非置換のアシル基、置換もしくは非置換のス
ルホニル基、置換もしくは非置換スルホンアミド基、置
換もしくは非置換カルバモイル基、ハロゲン原子、シア
ノ基及びニトロ基よりなる群から選ばれたものである。
rは互いに独立して、水素原子、置換もしくは非置換ア
ルキル基、アルコキシ基、置換もしくは非置換のアルコ
キシカルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、置
換もしくは非置換のスルホニル基、置換もしくは非置換
スルホンアミド基、置換もしくは非置換カルバモイル
基、ハロゲン原子、シアノ基およびニトロ基よりなる群
から選ばれたものである。m、nは1〜4の整数を表わ
す。)
【0015】更に、本発明によれば、導電性基板上に電
荷発生層(CGL)、正孔輸送能を有するドナー性化合
物を含有する電荷輸送層(CTL)を順次積層して構成
される機能分離型電子写真用感光体において、該導電性
基板と該CGLの間に一般式(I)で示されるフルオレ
ン化合物を含有する下引層を設けたことを特徴とする積
層型電子写真用感光体が提供される。
【0016】また、本発明によれば、好ましい態様とし
て、前記一般式(I)で表わされるフルオレン化合物が
前記一般式(II)又は(III)で表わされる化合物であ
る前記下引き層を設けてなる積層型電子写真用感光体が
提供される。
【0017】以下、本発明の電子写真用感光体について
詳しく説明する。本発明においては、感光層又は下引層
ににアクセプター化合物として前記一般式(I)、好ま
しくは(II)又は(III)で表わされるフルオレン化合
物の少なくとも一種が含有される。
【0018】以下、本発明で好ましく用いる一般式(I
I)又は(III)で示されるフルオレン化合物について説
明する。一般式(II)において、R1、R2は、互いに独
立して、水素原子、置換もしくは無置換のフェニル基、
メチル基、エチル基などのアルキル基、トリフルオロメ
チル基、トリクロロメチル基等のハロゲン化アルキル
基、ベンジル基等のフェニル置換アルキル基、メトキシ
基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロ
ピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、iso−ブチルオ
キシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ
基、n−デシルオキシ基などのアルコキシ基、これらの
アルコキシ基を有するアルコキシカルボニル基、ハロゲ
ン原子、シアノ基及びニトロ基よりなる置換基群から選
ばれたものである。
【0019】置換フェニル基の置換基としては、メチル
基、エチル基などのアルキル基、トリフルオロメチル
基、トリクロロメチル基等のハロゲン化アルキル基、ベ
ンジル基等のフェニル置換アルキル基、メトキシ基、エ
トキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオ
キシ基、n−ブチルオキシ基、iso−ブチルオキシ
基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n
−デシルオキシ基などのアルコキシ基、これらのアルコ
キシ基を有するアルコキシカルボニル基等がある。
【0020】R3、R4は互いに独立して、水素原子、メ
チル基、エチル基などのアルキル基、トリフルオロメチ
ル基、トリクロロメチル基等のハロゲン化アルキル基、
ベンジル基等のフェニル置換アルキル基、メトキシ基、
エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピル
オキシ基、n−ブチルオキシ基、iso−ブチルオキシ
基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n
−デシルオキシ基などのアルコキシ基、これらのアルコ
キシ基を有するアルコキシカルボニル基、メチル基、エ
チル基などのアルキル基、トリフルオロメチル基、トリ
クロロメチル基等のハロゲン化アルキル基、スルホニル
基、スルホンアミド基及び(又は)カルバモイル基、ハ
ロゲン原子、シアノ基及びニトロ基よりなる置換基群か
ら選ばれたものである。
【0021】前記一般式(II)で示されるフルオレン化
合物は、例えば下記の反応式(イ)に従って、相当する
キノン化合物(A)、アセトニトリル誘導体(B)と
を、酸性触媒、塩基性触媒の存在下で反応することによ
って得ることができる。反応に使用される酸性触媒とし
ては、例えば四塩化チタン、塩化亜鉛あるいは三フッ化
ホウ素などがあげられ、塩基性触媒としては、N−メチ
ルモルフォリン、N−メチルピペリジン、ピリジン、ピ
ペリジン、あるいはトリエチルアミンなどの有機塩基、
酢酸ナトリウム、酢酸カリウム或いは酢酸アンモニウム
などの酢酸塩、炭酸ナトリウム、或いは炭酸カリウムな
どの無機塩基などを挙げることができる。反応は、通常
無溶媒かジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲ
ン系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、
あるいはベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶媒中で行
うことができる。反応温度は0℃から150℃、好まし
くは0℃から100℃で行われる。
【0022】
【化4】 (式中、R1〜R4、m、nは上記に同じ)
【0023】出発原料として使用される上記の式(B)
で表わされるアセトニトリル誘導体は、下記の反応式
(ロ)に示すように、例えば式(C)で表わされる化合
物と、式(D)で表わされるマロノニトリルとを、硫酸
等の酸の存在下で反応させることによって得られる。
【0024】
【化5】
【0025】一般式(III)において、R5、R6は、互い
に独立して、水素原子、置換もしくは無置換フェニル
基、メチル基、エチル基などのアルキル基、トリフルオ
ロメチル基、トリクロロメチル基等のハロゲン化アルキ
ル基、ベンジル基等のフェニル置換アルキル基、メトキ
シ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プ
ロピルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオ
キシ基などのアルコキシ基、これらのアルコキシ基を有
するアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のアシル
基、スルホニル基、スルホンアミド基、カルバモイル
基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基よりなる置換
基群から選ばれたものである。
【0026】置換フェニル基の置換基としては、メチル
基、エチル基などのアルキル基、トリフルオロメチル
基、トリクロロメチル基等のハロゲン化アルキル基、ベ
ンジル基等のフェニル置換アルキル基、メトキシ基、エ
トキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオ
キシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基な
どのアルコキシ基、これらのアルコキシ基を有するアル
コキシカルボニル基等がある。
【0027】R5、R6は、他の原子と結合して、環を形
成し、置換又は非置換のフェニル基、ナフチル基、アン
トラセニル基、フェナンスレニル基、ピレニル基等であ
っても良く、置換基としては、水素原子、メチル基、エ
チル基等のアルキル基、トリフルオロメチル基等のハロ
ゲン化アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニ
ル基、塩素原子、シアノ基、ニトロ基等である。
【0028】R7、R8は互いに独立して、水素原子、メ
チル基、エチル基などのアルキル基、トリフルオロメチ
ル基、トリクロロメチル基等のハロゲン化アルキル基、
ベンジル基等のフェニル置換アルキル基、メトキシ基、
エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピル
オキシ基、n−ブチルオキシ基、iso−ブチルオキシ
基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n
−デシルオキシ基などのアルコキシ基、これらのアルコ
キシ基を有するアルコキシカルボニル基、メチル基、エ
チル基などのアルキル基、トリフルオロメチル基、トリ
クロロメチル基等のハロゲン化アルキル基、スルホニル
基、スルホンアミド基及び(又は)カルバモイル基、ハ
ロゲン原子、シアノ基及びニトロ基よりなる置換基群か
ら選ばれたものである。
【0029】前記一般式(III)で示されるフルオレン化
合物は、例えば下記の反応式(ハ)に従って、相当する
キノン化合物(A)’、アミン化合物(B)’とを、酸
性触媒の存在下で反応することによって得ることができ
る。反応に使用される酸性触媒としては、例えば四塩化
チタン、塩化亜鉛あるいは三フッ化ホウ素などがあげら
れ、塩素性触媒としては、N−メチルモルフォリン、N
−メチルピペリジン、ピリジン、ピペリジン、あるいは
トリエチルアミンなどの有機塩素、酢酸ナトリウム、酢
酸カリウム或い酢酸アンモニウムなどの酢酸塩、炭酸ナ
トリウム、或は炭酸カリウムなどの無機塩基などを挙げ
ることができる。反応は、通常無溶媒かジクロロメタ
ン、ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、テトラヒド
ロフランなどのエーテル系溶媒、あるいはベンゼン、ト
ルエンなどの芳香族系溶媒中で行うことができる。反応
温度は0℃から150℃、好ましくは0℃から100℃
で行われる。
【化6】 (式中、X、R5〜R8、r、m、nは上記に同じ)
【0030】前記一般式(II)及び(III)で表わされ
る本発明の化合物の具体例を下記の表1〜2に示す。た
だし、本発明の化合物は表1〜2に示すものに限定され
るものではない。
【0031】
【表1−(1)】
【0032】
【表1−(2)】
【0033】
【表1−(3)】
【0034】
【表1−(4)】
【0035】
【表2−(1)】
【0036】
【表2−(2)】
【0037】
【表2−(3)】
【0038】
【表2−(4)】
【0039】
【表2−(5)】
【0040】
【表2−(6)】
【0041】
【表2−(7)】
【0042】
【表2−(8)】
【0043】
【表2−(9)】
【0044】
【表2−(10)】
【0045】次に、本発明の感光体の構成を図面によっ
て説明する。本発明の単層型感光体は、図1に示される
ように必須成分として電荷発生物質(P)、有機正孔移
動物質及び有機アクセプター物質からなり、有機正孔移
動物質及び本発明に係わる特定された構造のフルオレン
化合物を分子状に分散させた結着剤樹脂マトリックス
(Q)の中に、微粒子状の電荷発生物質を含有させた感
光層2を、導電性基体1(導電性支持体又はシート上に
導電層を設けたもの)の上に設けた構成からなる。ま
た、本発明の積層型感光体は、図2に示されるように、
導電性基体上1に下引層6を設け、ついで電荷発生層5
と電荷輸送層6をその順に設けた構成からなる。図1の
単層構成の感光体の上層に保護層が設けられてもよく、
また導電性基体と感光層の間に下引き層が設けられても
よい。また、図2に示すような感光層が積層構成である
場合にも、感光層3の上に保護層を設けてもよいこと
は、もちろんである。
【0046】本発明に使用する電荷発生物質としては、
可視光を吸収してフリー電荷を発生するものであれば、
無機物質及び有機物質のいずれをも用いることができ
る。例えば、無定形セレン、三方晶系セレン、セレン−
砒素合金、セレン−テルル合金、硫化カドミウム、セレ
ン化カドミウム、硫セレン化カドミウム、硫化水銀、酸
化鉛、硫化鉛、アモルファスシリコン等の無機物質、あ
るいはビスアゾ系色素、ポリアゾ系色素、トリアリール
メタン系色素、チアジン系色素、オキサジン系色素、キ
サンテン系色素、シアニン系色素、スチリル系色素、ピ
リリウム系色素、キナクリドン系色素、インジゴ系色
素、ペリレン系色素、多環キノン系色素、ビスベンズイ
ミダゾール系色素、インダンスロン系色素、スクアリリ
ウム系色素、アントラキノン系色素、及びフタロシアニ
ン系色素等の有機物質が挙げられる。
【0047】本発明において感光層に使用可能なバイン
ダ樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、
酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂等
の付加重合型樹脂、重付加型樹脂、重縮合型樹脂、並び
にこれらの樹脂の繰返し単位のうち2つ以上を含む共重
合体樹脂、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩
化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂等
の絶縁性樹脂のほか、ポリ−N−ビニルカルバゾール等
の高分子有機半導体が挙げられる。
【0048】次に、前記感光層を支持する導電性基体と
しては、アルミニウム、ニッケルなどの金属板、金属ド
ラム又は金属箔、アルミニウム、酸化錫、酸化インジウ
ムなどを蒸着したプラスチックフィルムあるいは導電性
物質を塗布した紙、プラスチックなどのフィルム又はド
ラムを使用することができる。
【0049】本発明に係る感光体を電荷発生層と電荷輸
送層の積層構成で形成する場合、即ち前述の図2の場
合、下引層は本発明のアクセプター性化合物を、適当な
溶媒に単独若しくは適当なバインダ樹脂と共に溶解若し
くは分散せしめたものを支持体上に下引層を塗布して乾
燥させる方法により設ける。この場合、電荷発生層ある
いは電荷輸送層に用いられる溶媒としては、例えばN,
N−ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、モノ
クロルベンゼン、1,2−ジクロロエタン、ジクロルメ
タン、1,1,1−トリクロルエタン、1,1,2−ト
リクロルエチレン、テトラヒドロフラン、メチルエチル
ケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル等
を挙げることができる。この電荷輸送層中、電荷輸送物
質がバインダ樹脂に含有される割合は、バインダ樹脂1
00重量部に対して電荷輸送物質が20〜200重量部
とされる。このときの、電荷輸送層の膜厚は、好ましく
は5〜50μm、特に好ましくは5〜30μmである。
【0050】電荷発生層は電荷発生物質を導電性基体上
に真空蒸着するか、あるいは適当な溶媒に単独若しくは
適当なバインダ樹脂と共に溶解若しくは分散せしめたも
のを塗布、乾燥して電荷輸送層と同様に形成することが
できる。
【0051】上記電荷発生物質を分散せしめて電荷発生
層を形成する場合、その電荷発生物質は2μm以下、好
ましくは1μm以下の平均粒径の粉粒体とされるのが好
ましい。即ち、粒径があまりに大きいと層中への分散が
悪くなると共に、粒子が表面に一部突出して表面の平滑
性が悪くなり、場合によっては粒子の突出部分で放電が
生じたりあるいはそこにトナー粒子が付着してトナーフ
ィルミング現象が生じやすい。但し、上記の粒径があま
りに小さいと却って凝集しやすく、層の抵抗が上昇した
り、結晶欠陥が増えて感度及び繰返し特性が低下した
り、あるいは微細化する上で限界があるから、平均粒径
の下限を0.01μmとするのが好ましい。
【0052】電荷発生層は、次の如き方法によって設け
ることができる。即ち、電荷発生物質はボールミル、ホ
モミキサー等によって分散媒中で微細粒子とし、バイン
ダ樹脂を加えて混合分散して得られる分散液を塗布する
方法である。この方法において超音波の作用下に粒子を
分散させると、均一分散が可能である。また、電荷発生
層中、電荷発生物質がバインダ樹脂に含有される割合
は、バインダ樹脂100重量部に対して20〜200重
量部とされる。以上のようにして形成される電荷発生層
の膜厚は、好ましくは0.1〜10μm、特に好ましく
は0.5〜5μmである。
【0053】次に、本発明の感光体を単層構成で形成す
る場合、即ち図1の場合、電荷発生物質及び本発明のア
クセプター性化合物がバインダ樹脂に含有される割合
は、バインダ樹脂100重量部に対して電荷発生物質は
20〜200重量部、電荷輸送物質は20〜200重量
部とされる。この単層構成の感光体の膜厚は5〜100
μm、好ましくは7〜50μm、更に好ましくは10〜
30μmである。また、前記下引き層は接着層又はバリ
ヤ層等として機能するもので、上記のバインダ樹脂のほ
かに、例えばポリビニルアルコール、エチルセルロー
ス、カルボキシルメチルセルロース、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイ
ン酸共重合体、カゼイン、N−アルコキシメチルナイロ
ン等の樹脂をそのまま、又は酸化スズあるいはインジウ
ムなどを分散させたもの、酸化アルミニウム、酸化亜
鉛、あるいは酸化ケイ素などの蒸着膜等が用いられる。
下引き層の膜厚は、1μm以下が望ましい。
【0054】また、前記保護層に用いられる材料として
は、前述の樹脂をそのまま使用するか、又は酸化スズや
酸化インジウムなどの低抵抗物質を分散させたものが適
当である。また、有機プラズマ重合膜も使用でき、その
有機プラズマ重合膜は、必要に応じて適宜酸素、窒素、
ハロゲン、周期率表の第III族、第V族原子を含んでも
よい。
【0055】前述したように、本発明においては、感光
層を単層構成とすることも、あるいは電荷発生層と電荷
輸送層との積層構成とすることもできる。特に感光層を
単層構成とした場合、電荷輸送物質として有機正孔輸送
物質と本発明の有機アクセプター性化合物とを併用する
ことは非常に好ましい。
【0056】というのは、従来の単層型電子写真感光体
のうち、電荷発生物質を樹脂に分散させた形態のもので
は電荷発生物質が電荷移動機能も兼ねており、且つ、正
孔及び電子の両方の電荷とも移動特性が良好な顔料が少
ないため、感度が低い、少数電荷が蓄積し、繰り返しに
より帯電電位が低下する等の欠点や、光照射後直ちに光
減衰が開始しない誘導期間が存在し(インダクション効
果)、静電潜像電位のラチチュードが狭い等の欠点があ
った。また、この様な感光体の正孔移動を向上させるた
め、単に正孔輸送物質を添加した感光体では、帯電性が
低い、繰り返し使用時で帯電電位が激しく低下する等の
欠点が克服出来てはいなかった。本発明では、少なくと
も電荷発生物質及び本発明の有機アクセプター性化合物
を結着樹脂中に分散することにより、上記の欠点が改良
されたものであるが、更に結着樹脂中に有機正孔輸送物
質を配合することにより、その効果が向上する。
【0057】上記効果が実現される機構は次のように推
定される。電荷発生物質は感光層中で粒子形態で存在し
ている。従って、光照射下で発生した電子の感光層中に
おける移動は電荷発生物質粒子中と比較し電荷発生物質
粒子間で極めて悪くなり、この過程が感光層中の電子移
動、寿命を決定していると考えられる。このため、電荷
発生物質を分散保持しているマトリックス中に電子移動
に優れたアクセプター性化合物が存在すると、電子は電
荷発生物質粒子から、アクセプター性化合物へ注入さ
れ、マトリックスを通るスムーズな移動が達成できるも
のと考えられる。前記一般式(I)、好ましくは(II)
又は(III)で表わされるフルオラン化合物は電子を引き
つける能力が高く、光照射により電荷発生物質中で発生
した大多数の電子をアクセプター性化合物に移動させる
ことが出来、感光体の実用に支障を来さない帯電性、感
度、静電特性の長寿命化が実現される。更に、正孔移動
に優れた正孔輸送物質が樹脂マトリックス中に存在して
いると、感光層中の正孔移動もそれがないときに比べス
ムーズになされる。即ち、感光層中での正孔輸送物質の
役割は電荷発生物質で発生した正孔を感光層中で移動さ
せることである。この移動機能により電荷発生物質で正
孔が蓄積されず、電荷発生物質の電荷発生機能を充分に
発揮させることが可能となる。
【0058】この場合、用いられる正孔輸送物質として
は分子中にトリフェニルアミン部位を有する化合物、ヒ
ドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、オキサゾ
ール化合物、ピラゾリン化合物、オキサジアゾール化合
物、カルバゾール基を含む化合物、スチリル系化合物、
ブタジエン系化合物、ポリシラン化合物、ポリビニルカ
ルバゾール、ピレン−ホルマリン縮合物等のドナー性化
合物が挙げられる。
【0059】この単一感光層構成の場合のその組成は、
電荷発生物質0.1〜40重量%、好ましくは0.3〜
20重量%、アクセプター化合物1〜40重量%、正孔
輸送物質15重量%以上、好ましくは20〜40重量
%、バインダー樹脂30〜90重量%、好ましくは40
〜70重量%である。
【0060】更に、本発明においては、導電性基体上に
電荷発生層と有機正孔輸送物質を含有する電荷輸送層と
をその順に積層し、且つ該導電性基体と該電荷発生層と
の間に有機アクセプター性化合物を含有する下引き層を
設けてなる電子写真感光体において、該有機アクセプタ
ー性化合物として前記一般式(I)、好ましくは一般式
(II)又は(III)で表わされるフルオラン化合物を含有
させるという構成が採られる。
【0061】前記したように、従来の有機材料を用いた
積層感光層型(機能分離型)の電子写真感光体におい
て、導電性基体上に直接感光層を設けた場合、導電性基
体の欠陥、即ち傷、不純物、腐食物といった表面欠陥が
画像にそのまま反映し、黒ポチや白抜けといった異常画
像の原因となる場合が多い。特に電荷発生層(CGL)
は、通常数μm以下の薄膜にする必要があり、基板表面
の欠陥を拾いやすく、塗布欠陥が生じやすく、生産性を
低下させている。また、導電性基板と感光層との接着性
が悪い場合も多く見られ、小さな感光層の傷から全体が
剥がれてしまう場合もある。
【0062】それらを防止する目的で、多くの感光体で
はバリヤー層、接着層として導電性基体と感光層との間
に下引き層を設けている。下引き層としては、主に絶縁
性高分子材料がサブミクロンの膜厚の薄膜で設けられて
いるが、絶縁性であるため、感度の低下、残留電位の上
昇を引き起こすという致命的な欠点を有している。これ
らを防ぐ目的で種々の方法が提案されている。一つは下
引き層中に無機導電性フィラーを分散させる方法、また
一つはイオン導電性高分子を下引き層中に含有させる方
法、また一つはアクセプター性の電子輸送物質を下引き
層中に含有させる方法である。無機導電性フィラーとし
ては、酸化チタンや酸化スズが用いられる(特公昭63
−19869号公報)が、これらを下引き層塗布液中に
分散させる必要があり、その分散液の調整や、ポットラ
イフに技術的な困難を伴う。イオン導電性高分子として
は、例えば可溶性ナイロン、ポリアミド等の高分子が用
いられる(特開昭52−25638号、特開昭58−3
0757号各公報)が、導電率が低いため問題点を解消
するまでには至っていない。更に、アクセプター性の電
子輸送物質を含有させるのが3番目の方法であり(特開
平2−203352号、特開平2−300759号、特
開平5−134443号各公報)、例えば、トリニトロ
フルオレノン、テトラシアノキノジメタン等のアクセプ
ター性化合物が用いられるが、これらは安全性、相溶性
に問題がある。即ち、下引き層を設けた場合、感度、耐
久性の低下という重要な問題点が残されている。本発明
では、下引き層にアクセプター性として前記一般式
(I)、好ましくは(II)又は(III)フルオラン化合物
を含有させることによって、上記のような欠点が改善さ
れ、高感度、高耐久性の感光体となる。
【0063】この場合の電子写真感光体は、導電性基体
上に前記一般式(I)、好ましくは一般式(II)又は一
般式(III)で表わされるフルオラン化合物の少なくとも
一種をバインダ樹脂中に分散させた下引き層を設け、次
いで、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層することによ
り作製される。
【0064】下引き層に使用されるバインダ樹脂は、前
記した感光層に使用されるバインダ樹脂と同様なものが
用いられる。前記一般式(I)〜(III)で表わされる化
合物の使用量はバインダ樹脂に対して1〜50重量%、
好ましくは2〜30重量%である。1重量%未満である
と効果が少なく、また50重量%超過だと帯電性が悪く
なる。下引き層の膜厚は0.1〜2.0μmが好まし
い。
【0065】前記のフルオラン化合物を含有する下引き
層を設けた場合の電荷輸送層は、少なくとも正孔輸送物
質及びバインダ樹脂からなり、必要に応じ、添加剤を加
えることが出来る。正孔輸送物質としては、単一感光層
の場合に例示された化合物と同様なものが使用される。
電荷輸送層の構成は、バインダ樹脂100重量部に対し
て、正孔輸送物質は25〜400重量部、好ましくは5
0〜200重量部である。また、電荷輸送層の膜厚は、
5〜60μm、好ましくは10〜30μmである。ま
た、必要に応じて用いられる添加剤としては、消泡剤、
酸化防止剤、接着補助剤、可塑剤を挙げることが出来
る。
【0066】なお、電荷発生層については、前記した積
層感光層の場合と同様の材料が使用され、且つ同様の構
成をとることができる。バインダ樹脂とともに用いる場
合は、電荷発生物質100重量部に対してバインダ樹脂
は10〜400重量部、好ましくは25〜100重量部
である。また、電荷発生層の膜厚は0.05〜10μ
m、好ましくは0.1〜2μmである。
【0067】
【実施例】以下本発明により説明するが、これにより本
発明の実施の態様が限定されるものではない。なお、以
下において示す部はいずれも重量基準である。
【0068】〔実施例1〕X型無金属フタロシアニン1
g、ポリカーボネートZ(PC−Z)の10wt%のT
HF溶液10g、THF9gをボールミルポット中に入
れ1晩ミリングした。更にPC−Zの10wt%のTH
F溶液20gを加えた後1晩ミリングした(これを10
%分散液とする)。次に20mlサンプル瓶中に、10
%分散液を1.2g、PC−Zの15wt%のTHF溶
液を4.7g、下記の正孔移動物質0.45g、表1の
例示化合物No.1を0.27g、THFを1.03
g、シリコン樹脂(KF50)の1wt%THF溶液を
0.15g入れた後1時間撹拌し、感光層塗布液を得
た。この液をアルミニウム基板上に塗布し乾燥して20
μmの単層型感光体(感光体No.1)を作製した。
【化6】
【0069】〔実施例2〕表1の例示化合物No.1の
代わりに、表2の例示化合物No.98を用いた以外は
実施例1と同様の方法で感光体No.2を作製した。
【0070】〔実施例3〕表1の例示化合物No.1の
代わりに、表2の例示化合物No.20を用いた以外は
実施例1と同様の方法で感光体No.3を作製した。
【0071】〔比較例1〕フルオレン化合物を含有しな
いこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の単層型
感光体(感光体No.4)を作製した。以上のようにし
て得られた電子写真感光体について、静電複写紙試験装
置(川口電気製作所製:SP−428)を用いて以下の
ように特性評価を行った。+6KVのコロナ帯電を施し
て、正帯電した後、20秒間暗所に放置し、その時の表
面電位V0を測定し、次いでタングステンランプを用い
て表面の照度が40ルックスに成るように光照射し、そ
の時V0が半分になるのに要した露光量をE1/2(lux
・sec)を測定した。その結果を表4に示す。
【0072】
【表4】
【0073】〔実施例4〕表1の例示化合物No.1
1g、ナイロン樹脂(CM8000 東レ(株)製)5
gをエチルアルコール94gに溶解し、アルミニウムを
1000Aの厚さに蒸着した75μm厚のポリエステル
フィルム上にドクターブレードにて塗布し、乾燥後の膜
厚が0.5μmの下引層を設けた。次に、下記構造式の
ビスアゾ顔料(化7)1gをブチラール樹脂(エスレッ
クBL−S積水化学(株)製)の5重量%テトラヒドロ
フラン溶液10gおよびテトラヒドロフラン9gともに
ボールミリングし、ミリング後テトラヒドロフランを加
え、2重量%に希釈し、下引層にドクターブレードにて
塗布し、乾燥後の膜厚が1.0μmの電荷発生層を設け
た。次に、下記構造式の正孔輸送物質であるトリフェニ
ルアミン系化合物(化6)6g、ポリカーボネートZ
(帝人化成(株)製)9g、シリコンオイル(KF50
信越化学(株)製)0.009gをテトラヒドロフラ
ン85gに溶解し、電荷発生層上に塗布し、乾燥後の膜
厚が20μmの電荷輸送層を設け、導電性基体上に下引
層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した電子写真用
感光体(感光体No.5)を作製した。
【化7】
【化6】
【0074】〔実施例5〕表1の例示化合物No.1の
代わりに表1の例示化合物No.2を用いた以外は実施
例4と同様にして感光体No.6を作製した。
【0075】〔実施例6〕電荷発生物質としてX型無金
属フタロシアニン(Fastogen Blue812
0BS 大日本インキ(株)製)を用いた以外は実施例
4と同様の条件で感光体No.7を作製した。
【0076】〔実施例7〕表1の例示化合物No.1の
代わりに表2の例示化合物No.98を用いた以外は実
施例4と同様の条件で感光体No.8を作製した。
【0077】〔実施例8〕表1の例示化合物No.1の
代わりに表2の例示化合物20を用いた以外は実施例4
と同様の条件で感光体No.9を作製した。
【0078】〔実施例9〕電荷発生物質としてX型無金
属フタロシアニン(Fastogen Blue812
0BS 大日本インキ(株)製)を用いた以外は実施例
7と同様の条件で感光体No.10を作製した。
【0079】〔比較例2〕下引層を設けない以外は実施
例4と同様の条件で感光体No.11を作製した。この
ようにして作製した電子写真用感光体を川口電機(株)
製の静電複写紙試験装置(SP−428)を用い、−6
KVでコロナ放電を20秒間行なって帯電し、さらに2
0秒間暗減衰させ、その後感光体表面の照度が20ルッ
クスになるようにタングステン光を30秒間照射した。
以上の条件で連続500回の測定を行ない、20秒間帯
電後の表面電位VS(V)、20秒間暗減衰後の表面電
位V0(V)、V0が1/10になるのに要する露光量E
1/10(ルックス・秒)及び30秒間露光後の表面電位V
30(V)を測定した。測定結果を表5に示す。
【0080】
【表5】
【0081】
【発明の効果】以上の様に本発明の電子写真用感光体
は、単層型の感光層中に前記一般式(I)、好ましくは
(II)又は(III)で表わされるフルオラン化合物の少な
くとも一種を含有させるか、あるいは下引き層を有する
積層型感光体における下引き層中に前記一般式(I)、
好ましくは(II)又は(III)で表わされるフルオラン化
合物の少なくとも一種を含有させたことから、帯電性、
感度、耐久性に優れ、複写プロセスを繰り返しても静電
特性の安定性に富んだものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る単層型電子写真用感光体の模式断
面図である。
【図2】本発明に係る下引き層を設けた積層型電子写真
用感光体の模式断面図である。
【符号の説明】
1 導電性基体 2 感光層(単層構成) 3 感光層(積層構成) 4 電荷発生層 5 電荷輸送層 6 下引き層 P 電荷発生物質 Q 有機正孔移動物質と特定された構造のアクセプター
性化合物を分子状に分散した結着剤樹脂マトリックス

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に、少なくとも電荷発生物
    質、有機正孔移動物質及び有機アクセプター性化合物が
    結着剤中に分散された感光層を有する単層型電子写真用
    感光体において、該アクセプター化合物が下記一般式
    (I)で示されるフルオレン化合物である単層型電子写
    真用感光体。 【化1】 (式中、Xは=O、=C(CN)2、=C(H)(CN)、=
    C(COOR)2、=N(CN)、=C(CN)(COOR)、
    =C(H)(COOR)、=C(CN)(Ar)、=N(Ar)
    を表わす。ただしRは、アルキル基、アルコキシ基、ア
    リール基、アシル基、エステル基、アミド基、又は水素
    原子を表わす。Arは、置換又は非置換の(ベンズ)オ
    キサゾール環、(ベンズ)チアゾール環等のヘテロ原子
    を含む環から成る基、又は置換又は非置換のベンゼン
    環、ナフタレン環から成る基を表わす。r1、r2は互い
    に独立して、水素原子、置換もしくは非置換アルキル
    基、アルコキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカ
    ルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、置換もし
    くは非置換のスルホニル基、置換もしくは非置換スルホ
    ンアミド基、置換もしくは非置換カルバモイル基、ハロ
    ゲン原子、シアノ基およびニトロ基よりなる群から選ば
    れたものである。m、nは1〜4の整数を表わす。)
  2. 【請求項2】 一般式(I)で示されるフルオレン化合
    物が下記一般式(II)又は一般式(III)で示されるフル
    オレン化合物であることを特徴とする請求項1の単層型
    電子写真用感光体。 【化2】 (式中、R1、R2は互いに独立して、水素原子、置換も
    しくは非置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしく
    は非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置
    換のアシル基、置換もしくは非置換のフェニル基、ハロ
    ゲン原子、シアノ基及びニトロ基よりなる群から選ばれ
    たものである。R3、R4は互いに独立して、水素原子、
    置換もしくは非置換のアルキル基、アルコキシ基、置換
    もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしく
    は非置換のアシル基、置換もしくは非置換のスルホニル
    基、置換もしくは非置換スルホンアミド基、置換もしく
    は非置換カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基及び
    ニトロ基よりなる群から選ばれたものである。m、nは
    1〜4の整数を表わす。) 一般式(III) 【化3】 (式中、XはS又はO原子を表わす。R5、R6は互いに
    独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル
    基、アルコキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカ
    ルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、置換もし
    くは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のスルホ
    ニル基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基よりなる
    群から選ばれたものである。又、R5、R6は他の原子と
    結合して環を形成していても良く、更に置換基rにより
    置換されていても良い。R7、R8は互いに独立して、水
    素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、アルコキシ
    基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置
    換もしくは非置換のアシル基、置換もしくは非置換のス
    ルホニル基、置換もしくは非置換スルホンアミド基、置
    換もしくは非置換カルバモイル基、ハロゲン原子、シア
    ノ基及びニトロ基よりなる群から選ばれたものである。
    rは互いに独立して、水素原子、置換もしくは非置換ア
    ルキル基、アルコキシ基、置換もしくは非置換のアルコ
    キシカルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、置
    換もしくは非置換のスルホニル基、置換もしくは非置換
    スルホンアミド基、置換もしくは非置換カルバモイル
    基、ハロゲン原子、シアノ基およびニトロ基よりなる群
    から選ばれたものである。m、nは1〜4の整数を表わ
    す。)
  3. 【請求項3】 導電性基板上に電荷発生層(CGL)、
    正孔輸送能を有するドナー性化合物を含有する電荷輸送
    層(CTL)を順次積層して構成される機能分離型電子
    写真用感光体において、該導電性基板と該CGLの間に
    一般式(I)で示されるフルオレン化合物を含有する下
    引層を設けたことを特徴とする積層型電子写真用感光
    体。 【化1】 (式中、Xは=O、=C(CN)2、=C(H)(CN)、=
    C(COOR)2、=N(CN)、=C(CN)(COOR)、
    =C(H)(COOR)、=C(CN)(Ar)、=N(Ar)
    を表わす。ただしRは、アルキル基、アルコキシ基、ア
    リール基、アシル基、エステル基、アミド基、又は水素
    原子を表わす。Arは、置換又は非置換の(ベンズ)オ
    キサゾール環、(ベンズ)チアゾール環等のヘテロ原子
    を含む環から成る基、又は置換又は非置換のベンゼン
    環、ナフタレン環から成る基を表わす。r1、r2は互い
    に独立して、水素原子、置換もしくは非置換アルキル
    基、アルコキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカ
    ルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、置換もし
    くは非置換のスルホニル基、置換もしくは非置換スルホ
    ンアミド基、置換もしくは非置換カルバモイル基、ハロ
    ゲン原子、シアノ基およびニトロ基よりなる群から選ば
    れたものである。m、nは1〜4の整数を表わす。)
  4. 【請求項4】 一般式(I)で示されるフルオレン化合
    物が下記一般式(II)又は一般式(III)で示されるフル
    オレン化合物であることを特徴とする請求項3の単層型
    電子写真用感光体。 【化2】 (式中、R1、R2は互いに独立して、水素原子、置換も
    しくは非置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしく
    は非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置
    換のアシル基、置換もしくは非置換のフェニル基、ハロ
    ゲン原子、シアノ基及びニトロ基よりなる群から選ばれ
    たものである。R3、R4は互いに独立して、水素原子、
    置換もしくは非置換のアルキル基、アルコキシ基、置換
    もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしく
    は非置換のアシル基、置換もしくは非置換のスルホニル
    基、置換もしくは非置換スルホンアミド基、置換もしく
    は非置換カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基及び
    ニトロ基よりなる群から選ばれたものである。m、nは
    1〜4の整数を表わす。) 一般式(III) 【化3】 (式中、XはS又はO原子を表わす。R5、R6は互いに
    独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル
    基、アルコキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカ
    ルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、置換もし
    くは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のスルホ
    ニル基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基よりなる
    群から選ばれたものである。又、R5、R6は他の原子と
    結合して環を形成していても良く、更に置換基rにより
    置換されていても良い。R7、R8は互いに独立して、水
    素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、アルコキシ
    基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置
    換もしくは非置換のアシル基、置換もしくは非置換のス
    ルホニル基、置換もしくは非置換スルホンアミド基、置
    換もしくは非置換カルバモイル基、ハロゲン原子、シア
    ノ基及びニトロ基よりなる群から選ばれたものである。
    rは互いに独立して、水素原子、置換もしくは非置換ア
    ルキル基、アルコキシ基、置換もしくは非置換のアルコ
    キシカルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、置
    換もしくは非置換のスルホニル基、置換もしくは非置換
    スルホンアミド基、置換もしくは非置換カルバモイル
    基、ハロゲン原子、シアノ基およびニトロ基よりなる群
    から選ばれたものである。m、nは1〜4の整数を表わ
    す。)
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