JPH08330293A - 絶縁膜の作成方法及びこの方法に使用されるプラズマ気相成長装置 - Google Patents
絶縁膜の作成方法及びこの方法に使用されるプラズマ気相成長装置Info
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- JPH08330293A JPH08330293A JP15697495A JP15697495A JPH08330293A JP H08330293 A JPH08330293 A JP H08330293A JP 15697495 A JP15697495 A JP 15697495A JP 15697495 A JP15697495 A JP 15697495A JP H08330293 A JPH08330293 A JP H08330293A
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Abstract
素を含む酸化硅素薄膜からなる絶縁膜を作成する。 【構成】 第一の発明では、酸素のプラズマに弗素を含
む硅素化合物ガスと水素を含む硅素化合物ガスとを混合
させて導入し、気相成長を利用して基板40の表面に弗
素を含む酸化硅素薄膜を作成する。弗素を含む硅素化合
物と水素を含む硅素化合物との合計ガス流量に対する弗
素を含む硅素化合物ガスの流量は、50%から1%の範
囲である。第二の発明では、酸素と水素のプラズマに弗
素を含む硅素化合物ガスを導入し、同様に弗素を含む酸
化硅素薄膜を作成する。弗素を含む硅素化合物のガス流
量に対する水素ガスの流量は、200%から400%の
範囲である。
Description
液晶ディスプレイ,太陽電池等の製造において、プラズ
マ気相成長法を用いて基板上に絶縁膜を作成する方法お
よび装置に関するものである。
料を真空容器内に導入し、真空容器内でプラズマを形成
してプラズマ中の気相反応を利用して薄膜を作成する技
術である。このプラズマ気相成長法は、半導体電子素子
等の製造の際に必要な絶縁膜の作成にも使用されてい
る。図8は、プラズマ気相成長法を使用した従来の絶縁
膜の作成方法を説明する図であり、この方法に使用され
るプラズマ気相成長装置の例を示されている。
成長装置は、排気系11を備えた真空容器1と、真空容
器1内に所定のガスを導入するガス導入機構2と、導入
されたガスにエネルギーを与えてプラズマを形成するた
めの電力供給機構3と、薄膜作成を行う基板40を載置
するための基板ホルダー4などから主に構成されてい
る。そして、ガス導入機構2は、プラズマ形成用ガスを
導入する第一のガス導入系21と、絶縁膜作成用ガスを
導入する第二のガス導入系を有している。
01の下側に位置した少し大きな空間の真空排気室10
2を構成している。また、成膜室101の部分の真空容
器1は、高さ230mm,直径360mm程度の円筒形
状のアルミニウム合金で形成されている。成膜室101
の部分の器壁には不図示のゲートバルブが設けられ、真
空排気室102の部分の器壁には、排気系11がつなが
る排気管13が設けられている。排気系11は、粗引き
ポンプ111と、粗引きポンプ111の前段に配置され
た主ポンプ112と、これらのポンプ111,112に
よって排気する排気経路上に配置された主バルブ113
及び可変コンダクタンスバルブ114とから主に構成さ
れている。上記真空容器1は、上側にベルジャー12を
有している。真空容器1の上部器壁には中央に円形の開
口が設けられ、ベルジャー12はこの開口に気密に接続
されている。ベルジャー12は、先端が半球状で下端が
開口になっている直径100mm程度の円筒状の形状を
有するものであり、石英ガラス等の誘電体で形成されて
いる。
形成用ガスを導入する第一のガス導入系21と、絶縁膜
作成用ガスを導入する第二のガス導入系22を有してい
る。各々のガス導入系21,22は、不図示のガスボン
ベに接続された配管211,221と、配管211,2
21の終端に接続されたガス導入体212,222とか
ら主に構成されている。
の構成を説明する図である。図9に示すように、ガス導
入体212,222は、断面円形の円環状のパイプから
構成されている。このガス導入体212,222は、真
空容器1に設けられた支持棒23によって支持され、真
空容器1の内面に沿う形で水平に配置されている。ま
た、真空容器1の壁を気密に貫通する状態で輸送管24
が設けられており、この輸送管24の一端はガス導入体
212,222に接続されている。ガス導入体212,
222の他端は図1の配管211,221に接続されて
いる。そして、ガス導入体212,222は、図2に示
すように、その内側面にガス吹き出し口25を有してい
る。このガス吹き出し口25は、直径0.5mm程度の
開口であり、10mm程度の間隔をおいて周上に設けら
れている。
ルジャー12の周囲を取り囲んで配置された高周波コイ
ル31と、この高周波コイル31に整合器32を介して
高周波電力を供給する高周波電源33とから主に構成さ
れている。高周波電源33には、例えば13.56MH
zの高周波電力を発生させるものが採用され、高周波コ
イル31からベルジャー12内にこの高周波電力が供給
される。
方位置には、基板ホルダー4が設けられている。この基
板ホルダー4は、薄膜作成を行う基板40を上面に載置
させるものであり、必要に応じて基板40を加熱又は冷
却する温度調節機構41を内蔵している。この温度調節
機構41は、熱交換媒体を循環させる部材や温度検出器
等で構成される。この基板ホルダー4には、生成される
プラズマと高周波との相互作用によって基板40に所定
の基板バイアス電圧を印加するための基板用高周波電源
42が接続されている。基板用高周波電源42が発生さ
せる高周波は、例えば400kHzである。尚、「プラ
ズマと高周波との相互作用によるバイアス電圧」には、
高周波電源33,42とプラズマとの間に相当のキャパ
シタンスが存在していることが必要である。従って、基
板ホルダー4や基板40がすべて金属で形成されている
場合には、基板ホルダー40への給電回路上に所定のコ
ンデンサが接続される。
説明しながら従来の絶縁膜の作成方法について説明す
る。まず、不図示のゲートバルブを通して基板40を真
空容器1内に搬入して基板ホルダー4上に載置する。排
気系11によって真空容器1内を排気した後、最初に第
一のガス導入系21によってプラズマ形成用ガスを導入
する。導入されたプラズマ形成用ガスは、真空容器1内
を拡散してベルジャー12に達する。プラズマ形成用ガ
スの圧力が所定の値に安定したら、電力供給機構3を動
作させ、高周波コイル31を介して高周波電力をベルジ
ャー12に供給し、これによってプラズマが形成され
る。この状態で、第二のガス導入系22によって絶縁膜
作成用ガスを導入し、プラズマ中で生じる絶縁膜形成用
ガスの気相反応を利用して基板40の表面に所定の絶縁
膜を作成する。例えば、絶縁膜として酸化硅素薄膜を作
成する場合、プラズマ形成用ガスとして酸素ガスを導入
し、絶縁膜作成用ガスとしてモノシランガスを導入す
る。モノシランガスが酸素プラズマ中で分解反応を起こ
し、酸素と化合することによって基板の表面に酸化硅素
薄膜を成長させる。
詳しく説明する。図10は、プラズマ気相成長法を使用
した絶縁膜の作成方法を基板の表面の状態に即して説明
した図である。図10(a)に示す通り、例えば、硅素
半導体基板40上に、熱酸化膜401が約500nmの
厚みで作成されている。熱酸化膜401上には、アルミ
ニウムに硅素1%と銅0.5%が添加されたアルミニウ
ム合金からなる導電膜402が作成され、所定の配線パ
ターンに形成されている。配線の高さは0.8μm、配
線の線幅は0.35μm程度である。そしてさらに、導
電膜402上には、窒化チタニウム薄膜403がリソグ
ラフィの際の反射防止膜として約50nmの厚さにて形
成されている。
て、第一のガス導入系21から酸素ガスを120SCC
Mの流量にて導入し、成膜室101内部の圧力を5mT
orrに維持する。前述のようにプラズマを形成した
後、第二のガス導入系22にからモノシランガスを60
SCCMの流量にて成膜室101に導入すると、図10
(b)に示す通り基板40の表面上に酸化硅素薄膜40
4が作成される。
用高周波電源42によって周波数400kHz電力2k
Wの高周波電力を印加すると、導電膜402上の窒化チ
タニウム薄膜403の角部405に電界が集中してスパ
ッタリング現象が生じる。本スパッタリング現象は、当
該角部405に酸化硅素膜が堆積することを抑制するの
で、当該半導体基板40に対して酸化硅素薄膜404の
成膜を進行させながら、導電膜402の配線パターンが
形成する孔又は溝の入り口を塞いてしまうことが無いよ
うにする。もし、上記スパッタリング現象が生じない
と、図10(c)に示すように、角部405の部分に堆
積した薄膜によって孔又は溝が塞がれ、絶縁膜内にボイ
ドと呼ばれる空洞406が形成されてしまう。
等の高速動作を図ることを目的として、当該半導体電子
素子等を構成するアルミニウム合金等の配線を伝幡する
信号の時定数を小さくするために、配線間の絶縁膜ある
いは配線層の層間絶縁膜に比誘電率の低い絶縁膜を用い
ることが要求されている。比誘電率の低い絶縁膜を形成
する方法として、例えば、弗素を含む硅素化合物ガスと
して四弗化硅素ガスと酸素ガスまたは亜酸化窒素ガスを
用いたプラズマ気相成長法により、弗素を含む硅素酸化
物の薄膜を作成することが提案されている(特開平6−
333919号公報参照)。
と、下地の配線パターンが著しく損傷し、現実には実施
不可能の技術であることを本願の発明者は見いだした。
この点を図11を用いて説明する。図11は、上記公報
に示された従来の弗素を含む酸化硅素薄膜の作成方法の
問題点を示した図である。上記公報の発明では、四弗化
硅素ガスと酸素ガスとを用いてプラズマ気相成長法によ
り弗素を含む酸化硅素薄膜を作成している。しかしなが
ら、上記公報の技術を実際に実施してみると、図11に
示すように下地の導電膜402の配線パターンが削られ
て変形し、期待された弗素を含む硅素酸化物薄膜の堆積
が殆ど見られないことが見いだされた。
たところ、次のようなことが判明した。まず、前記公報
の発明は、酸素プラズマ中で四弗化硅素の分解反応が生
じ、分解した硅素が酸素と反応して酸化硅素薄膜を堆積
すると考えている。そして、分分解した弗素がその酸化
硅素薄膜中に取り込まれ、薄膜は弗素を含む酸化硅素薄
膜となって比誘電率を下げるとしている。しかしなが
ら、現実には、酸素プラズマ中での四弗化硅素は遊離弗
素等の弗素系活性種を生成し、これら弗素系活性種によ
って基板上の下地材料を激しくエッチングしてしまう。
特に、前述したように、ボイドの形成を防止するため基
板にバイアス電圧を印加していると、角部405に対し
て電界が集中してこの角部405の部分から配線パター
ンを激しく削ってしまう。この結果、図11に示すよう
に導電膜402の配線パターンが断面三角形状に削られ
て変形してしまうのである。
ーンがわずか1%削られただけでも不良品であり、その
ような絶縁膜の作成方法は採用不可である。従って、上
記公報の発明は、現実には実施不可能の技術である。上
記公報の発明では、アルミニウム合金配線と弗素との化
学反応を抑制すべく、まずモノシランガスと酸素ガスを
用いてアルミニウム合金配線上に弗素を含まない酸化硅
素膜を100nmの厚さで形成した後、モノシランガス
を四弗化硅素ガスに変更して弗素を含む酸化硅素膜を作
成する例が提案されている。しかしながら、本願の発明
者の実験によれば、たとえ弗素を含まない酸化硅素膜を
100nmの厚みにて作成した後であっても、図11に
示すように下地のアルミニウム合金配線を激しくエッチ
ングしてしまうことが確認された。
チング用ガスとして使用されていることからも分かる通
り、四弗化硅素ガスから生成された弗素系活性種が酸化
硅素を短時間のうちにエッチングして取り除いてしま
い、その下のアルミニウム合金と弗素との反応が容易に
開始されてしまうからである。さらに、上記公報の発明
では、酸素を亜酸化窒素に変更したり、アルミニウム合
金配線に代えてアルミニウム配線を使用する旨が提示さ
れているが、このように変更しても、配線パターンやそ
の下の熱酸化膜をエッチングしてしまう欠点は改善でき
ないことが、本願発明者の実験で判明した。
酸化硅素膜が絶縁性に優れ、比誘電率が小さくとも、上
記従来の方法では実用に耐え得る絶縁膜の作成は現実に
は不可能であった。本願発明は、上記課題を解決するた
めになされたものである。即ち、下地材料に対して損傷
を与えることなく、弗素を含む酸化硅素薄膜からなる絶
縁膜を作成できるようにし、比誘電率の小さい絶縁膜を
得ることによって信号の時定数の小さい配線構造を可能
にすることで、半導体電子素子等の高速化に貢献するこ
とを目的としている。
め、本願の請求項1記載の発明は、基板の表面に酸化硅
素からなる絶縁膜を作成する方法において、基板を配置
した成膜室又はこの成膜室に空間的に連続したプラズマ
生成室内にプラズマ形成用ガスとして酸素ガスを導入し
て酸素のプラズマを形成し、絶縁膜作成用ガスとして弗
素を含む硅素化合物ガスと水素を含む硅素化合物ガスと
をそれらが成膜室又はプラズマ生成室内で混合している
ようにして導入し、形成されたプラズマによる気相成長
を利用して基板の表面に弗素を含む酸化硅素薄膜からな
る絶縁膜を作成するとともに、この際の弗素を含む硅素
化合物ガスの流量の割合を、弗素を含む硅素化合物と水
素を含む硅素化合物との合計ガス流量に対して50%か
ら1%の範囲とするという構成を有する。同様に上記目
的達成のため、請求項2記載の発明は、基板の表面に酸
化硅素からなる絶縁膜を作成する方法において、基板を
配置した成膜室又はこの成膜室に空間的に連続したプラ
ズマ生成室内にプラズマ形成用ガスとして酸素ガス及び
水素ガスを導入して酸素及び水素のプラズマを形成し、
絶縁膜作成用ガスとして弗素を含む硅素化合物を前記成
膜室又はプラズマ生成室に導入して、形成されたプラズ
マによる気相成長を利用して基板上に弗素を含む酸化硅
素からなる絶縁膜を作成するとともに、この際の水素ガ
スの流量の割合を、弗素を含む硅素化合物のガス流量に
対して200%から400%の範囲とするという構成を
有する。同様に上記目的を達成するため、請求項3記載
の発明は、上記請求項1又は2の構成において、プラズ
マ形成用ガスには、アルゴンガスが添加されているとい
う構成を有する。同様に上記目的を達成するため、請求
項4記載の発明は、上記請求項3の構成において、基板
の表面には、導電膜よるなる配線パターンが形成されて
おり、その配線パターンを覆うように絶縁膜を作成する
という構成を有する。同様に上記目的を達成するため、
請求項5記載の発明は、請求項1記載の絶縁膜の作成用
法に使用されるプラズマ気相成長装置であって、排気系
を備えた真空容器と、この真空容器内に所定のガスを導
入するガス導入機構と、導入されたガスにエネルギーを
与えてプラズマを形成する電力供給機構とを具備し、前
記ガス導入機構は、前記プラズマ形成用ガスを導入する
第一のガス導入系と、前記絶縁膜作成用ガスを導入する
第二のガス導入系とを有し、この第二のガス導入系は、
前記弗素を含む硅素化合物ガスと前記水素を含む硅素化
合物ガスとを所定の混合比で混合させてから前記成膜室
又はプラズマ生成室に導入するものであるという構成を
有する。
に説明する。図1は、請求項1の発明の実施例の絶縁膜
の作成方法に使用されるプラズマ気相成長装置の概略を
示す図である。図1に示すプラズマ気相成長装置は、ガ
ス導入機構2の構成が異なるのみで、他の部分の構成は
図5の装置とほぼ同様である。従って、ガス導入機構2
以外の部分の説明は省略する。
の装置と同様、プラズマ形成用ガスを導入する第一のガ
ス導入系21と、絶縁膜作成用ガスを導入する第二のガ
ス導入系21を有している。そして、プラズマ形成用ガ
スを導入する第一のガス導入系21の主配管(以下、第
一主配管)211には、酸素ガスを導入する第一の配管
211aと、水素ガスを導入する第二の配管211b
と、アルゴンガスを導入する第三の配管211cとが接
続されている。また、絶縁膜作成用ガスを導入する第二
のガス導入系22の主配管(以下、第二主配管)221
には、弗素を含む硅素化合物ガスを導入する第四の配管
221aと、水素を含む硅素化合物ガスを導入する第五
の配管221bとが接続されている。即ち、第二のガス
導入系22は、弗素を含む硅素化合物ガスと水素を含む
硅素化合物ガスとを混合して導入するようになってい
る。
211a、第二の配管211b、第三の配管211c、
第四の配管221a、第五の配管221bには、それぞ
れのガス流量を調整する流量調整器213,223が設
けられている。また、上記第一第二のガス導入系21,
22のそれぞれの主配管211,222の終端は、図5
と同様に真空容器1内に配置されたガス導入体212,
222に接続されている。
て行う本実施例の絶縁膜の作成方法について説明する。
まず、基板の表面の状態は、図10(a)に示すものと
同様であり、硅素半導体基板40の表面に熱酸化膜40
1が形成され、その上にアルミニウム合金からなる導電
膜402の配線パターンが形成されている。
ブを通してを真空容器1内に搬入し、基板ホルダー4上
に載置する。排気系11によって真空容器1内を排気し
た後、第一のガス導入系21によってプラズマ形成用ガ
スを導入する。導入されたガスは、真空容器1内を拡散
してベルジャー12に達する。真空容器1内の圧力が5
mTorr程度で安定したら、電力供給機構3を動作さ
せ、ベルジャー12内にプラズマを形成する。形成され
たプラズマは、ベルジャー12内から基板4に向けて真
空容器1内を拡散する。この状態で、第二のガス導入系
22により絶縁膜形成用ガスを導入する。導入された絶
縁膜形成用ガスは、ベルジャー12から拡散するプラズ
マにより気相反応を生じ、基板40の表面に弗素を含む
酸化硅素薄膜が作成される。
確認した実験の結果について説明する。図1に示す装置
を使用し、酸素ガス流量を120SCCM、四弗化硅素
ガスとモノシランガスの合計流量を60SCCMとし、
四弗化硅素ガスの流量とモノシランガスの流量との比率
を変えながら弗素を含む酸化硅素膜を実際に作成した。
この結果を示したのが、表1である。
モノシランガスの流量よりも多い場合は、前記半導体基
板上に形成されているアルミニウム合金および熱酸化膜
をエッチングする現象が観察された。しかしながら、四
弗化硅素ガスとモノシランガス流量を同一とした場合、
より具体的には、四弗化硅素ガス流量を30SCCM、
モノシランガスを30SCCMとした場合には、アルミ
ニウム合金配線ならびに熱酸化膜のエッチング現象は観
察されなかった。以上の結果より、弗素を含む硅素酸化
膜を形成する場合の四弗化硅素ガスの流量の上限は、モ
ノシランガスと同一流量であることが判った。また、四
弗化硅素ガスの流量がモノシランガス流量よりも少ない
場合にも、アルミニウム合金配線ならびに熱酸化膜のエ
ッチング現象は観測されなかった。
ついて、完全に解明された訳ではないが、本願の発明者
は次のようなものであると考えている。まず、酸素プラ
ズマ中の四弗化硅素ガスは、酸素と反応してSiOxFy
(例えばSiOF2 )という中間生成物を作り出す。こ
の中間生成物がそのまま薄膜として成長すると弗素を含
む酸化硅素薄膜が作成できると予想されるが、実際には
このSiOxFyという生成物は非常に不安定で、下地金
属配線をエッチングする作用を有すると考えられる。
を考えてみると、このSiOF2 はプラズマによって弗
素を遊離し、 SiOF2 →SiOF+F という反応を生ずると考えられる。生成されたSiOF
は、基板上に弗素を含む薄膜を堆積する前駆体となると
推察されるが、その一方で、遊離した弗素は非常に活性
で、アルミニウム等の下地金属配線と反応してエッチン
グしてしまう。従って、薄膜が作成できたとしてもその
下地金属配線が著しく変形してしまう。
ノシランを導入していると、モノシランガスは、酸素プ
ラズマ中で、例えば、 SiH4 +O→SiH+H+H2O のような反応を生じ、SiHと遊離水素を生成する。こ
の遊離水素は、上記遊離弗素と反応して化学的に安定な
弗化水素(HF)を作り出す。この結果、四弗化硅素ガ
スのみを導入した場合のような激しい下地金属配線のエ
ッチングは抑制される。
に成長する過程でHとOを置換しSiO2 を形成する
が、この際、弗素を取り込んで成長することによって弗
素を含んだ酸化硅素薄膜になるものと想定される。具体
的な反応機構は特定できないが、いずれにしろ、四弗化
硅素から直接遊離した弗素か又はSiOFのような不安
定な中間生成物から遊離した弗素を取り込んで弗素を含
む酸化硅素薄膜を堆積するものと考えられる。尚、「弗
素を含む酸化硅素薄膜」とは、酸化硅素薄膜中の一部の
酸素が弗素で置換されて弗素−硅素結合を有する酸化硅
素薄膜という意味である。
施例の方法により作成された酸化硅素薄膜の比誘電率を
調べた結果の図であり、(四弗化硅素ガス流量)/(四
弗化硅素ガス流量+モノシランガス流量)の比(以下、
単に四弗化硅素ガス流量比と略す)に対する酸化硅素薄
膜の比誘電率の関係が示されている。図2の縦軸は比誘
電率、横軸は四弗化硅素ガス流量比を示している。図2
において、横軸の値が0%の場合は、モノシランガスの
みを60SCCMの流量にて成膜室101に導入する場
合を示しており、横軸が50%の場合は、モノシランガ
スおよび四弗化硅素ガスをそれぞれ30SCCMの流量
にて成膜室101に導入する場合に対応している。
の流量(即ち、四弗化硅素ガス流量比0%の条件)で導
入して基板上に作成した酸化硅素膜の比誘電率の値は
3.9であった。そして、四弗化硅素ガス流量比を多く
するに従い、比誘電率は低下する傾向にあり、モノシラ
ンガスおよび四弗化硅素ガスをそれぞれ30SCCMの
流量で導入して(即ち、四弗化硅素ガス流量比50%の
条件)、弗素を含む酸化硅素膜を作成した場合の比誘電
率の値は3.5であった。
りも少ない領域にて作成した酸化硅素膜は、モノシラン
ガス導入を導入して作成した酸化硅素膜と比べて、比誘
電率を含めた電気的特性は殆ど同一であり、区別は困難
である。よって、酸化硅素膜中に弗素を含むことで比誘
電率が低下する効果を得るには、四弗化硅素ガス流量比
を1%以上とすることが望ましい。従って、以上の結果
をまとめれば、弗素を含む酸化硅素膜を作成して比誘電
率低下を効果を得るには、四弗化硅素ガス流量比を50
%から1%の範囲にすることが望ましい。
四弗化硅素ガスとモノシランガスとは別々のガス導入系
で導入され、真空容器1の内部で混合されるようになっ
ていてもかまわない。但し、予め混合してから導入する
方が真空容器1内で混合するより均一に混ざるため、処
理の均一性の点で良好である。
法の実施例について説明する。この実施例では、プラズ
マ形成用ガスとして酸素ガスと水素ガスとを混合して導
入し、絶縁膜作成用ガスとして四弗化硅素ガスを導入す
る。使用する装置の構成としては、図1に示すものと同
じものが使用できる。この実施例では、前述した実施例
の方法と同じように真空容器1を排気した後、第一のガ
ス導入系21によって酸素と水素とを混合して導入し、
同様に電力供給機構3を動作させた後、第二のガス導入
系22によって四弗化硅素ガスを導入する。この実施例
においても、プラズマ気相成長による酸化硅素薄膜の堆
積の際に弗素が膜中に取り込まれ、弗素を含む酸化硅素
薄膜が作成される。
と、酸素ガの流量スを120SCCM、四弗化硅素ガス
の流量を60SCCMとして、四弗化硅素ガス流量に対
する水素ガス流量の比率(以下、単に水素ガス流量比と
称す)を変えながら、弗素を含む酸化硅素膜を形成し
た。この結果を示したのが、表2である。
ランガスの流量よりも少ない場合には、半導体基板上に
形成されているアルミニウム合金および熱酸化膜をエッ
チングする現象が観察された。しかしながら、水素ガス
と四弗化硅素ガス流量を同一とした場合、より具体的に
は、水素ガスの流量を120SCCM、四弗化硅素ガス
の流量を60SCCMとした場合(即ち、水素ガス流量
比200%の場合)には、アルミニウム合金配線ならび
に熱酸化膜のエッチング現象は観察されなかった。以上
の結果より、弗素を含む硅素酸化膜を形成する場合の水
素ガスの流量の下限は、四弗化硅素ガスと同一流量であ
ることが判った。また、水素ガス流量比が200%より
多い場合にも、アルミニウム合金配線ならびに熱酸化膜
のエッチング現象は観測されなかった。
方法によって作成された酸化硅素薄膜の比誘電率を調べ
た結果の図であり、水素ガス流量比と作成された酸化硅
素薄膜の比誘電率との関係を示したグラフである。図3
の実験では、酸素ガスの流量を120SCCM、四弗化
硅素ガスの流量を60SCCMとした。図3の縦軸は酸
化硅素薄膜の比誘電率、横軸は水素ガス流量であり、そ
れぞれ比百分率にて表示している。図3において、横軸
の値が0%の場合は水素ガス流量が0SCCMであるこ
とを意味し、横軸の値が200%の場合は水素ガス流量
が120SCCMであることを意味している。
ち、水素ガス流量比0%)にて成膜室101に導入し、
半導体基板上に酸化硅素薄膜を作成した場合、比誘電率
の値は3.2であった。しかしながら、当該条件では、
半導体基板上に形成されたアルミニウム合金配線や熱酸
化膜がエッチングされてしまった。そして、水素ガス流
量比を多くするに従い、比誘電率は上昇する傾向にあ
り、水素ガスの流量と四弗化硅素ガスの流量とを同じ1
20SCCM(即ち、水素ガス流量比200%)に設定
して酸化硅素薄膜を作成した場合には、比誘電率の値は
3.5であった。また、水素ガス流量比を400%とし
た場合には、弗素を含む酸化硅素薄膜の比誘電率は3.
9となり、水素ガス流量比を400%より多くした場合
にも比誘電率は3.9あった。
化合物ガスのみを絶縁膜作成用ガスとして導入した場合
であっても、プラズマ形成用ガスに水素を添加すること
によって比誘電率の低い「弗素を含む酸化硅素薄膜」が
作成できる。この点もメカニズムも、上記請求項1の発
明の実施例と同様、完全には明かではないが、以下のよ
うなものであると考えられる。
化硅素は弗素をSiOF2 等の生成物から弗素を遊離す
るが、この遊離弗素は酸素・水素の混合プラズマ中で生
成される水素イオン又は遊離水素と反応して、前述と同
様に弗化水素を生成する。一方、詳細な反応機構は明か
ではないが、弗素を遊離して生成されたSiOF等が前
駆体となって酸素と水素の混合プラズマ中で組成変化
し、「弗素を含む酸化硅素薄膜」が作成されると考えら
れる。
ス流量の割合を、400%より多くした領域において形
成した弗素を含む酸化硅素膜は、弗素を含まない酸化硅
素膜と比べて、比誘電率を含めた電気的特性は殆ど同一
であり、区別は困難である。従って、水素ガス流量比は
400%以下とすることが望ましい。以上の結果をまと
めれば、半導体基板に対して弗素を含む酸化硅素膜を形
成する場合には、当該水素ガス流量の割合を前記四弗化
硅素ガス流量に対して200%から400%の範囲にす
ることが望ましい。
マ生成用の原料ガスにアルゴンガス(Ar)を混合する
とさらに好適である。即ち、アルゴンガスを導入した状
態でプラズマを形成するとともに、基板40にバイアス
電圧を印加した場合には、アルゴンイオンによる基板4
0表面へのスパッタリング現象が起こるが、アルゴンは
酸素や水素に比べてスパッタ率が優れているため、前述
した孔又は溝を空洞を形成することなく塞ぐ絶縁膜作成
を行う場合に、特に好適な構成となる。
成長装置としては、ヘリコン波プラズマを形成するよう
構成することができる。図4は、この種の装置の概略を
示したものである。ヘリコン波プラズマは、強い磁場を
加えるとプラズマ振動数より低い周波数の電磁波が減衰
せずにプラズマ中を伝搬することを利用するものであ
り、高密度プラズマを低圧で生成できる技術として最近
注目されているものである。プラズマ中の電磁波の伝搬
方向と磁場の方向とが平行のとき、電磁波はある定まっ
た方向の円偏光となり螺旋状に進行する。このことから
ヘリコン波プラズマと呼ばれている。
では、図1又は図3の高周波コイル21に代えて、ルー
プ状のアンテナ24が配置されている。アンテナ24
は、一本の丸棒状又は帯板状の部材を曲げて上下二段の
ループ状の形状にしたものである。また、ベルジャー1
2の周囲に磁場形成機構25を設置している。磁場形成
機構25は、内側コイル25aと外側コイル25bから
なる二重コイルであり、各コイル25a,25bはベル
ジャー12と同軸上の位置に配置される。内側コイル2
5aと外側コイル25bは、互いに逆向きの磁場が形成
されるように、コイルの巻き方向と通電方向が調整され
る。磁場形成機構25を二重コイルの構造とすること
で、所望の磁場を作り易いという利点を有する。磁場形
成機構25を単一コイルで構成することもできる。尚、
磁場形成機構25が発生させる磁場は、ベルジャー12
内部で生成されたプラズマを効率よく成膜室101内部
に輸送するので、成膜室101内におけるプラズマの高
密度化を促進することができる。その結果、基板40表
面での化学反応をより安定に促進することができるた
め、成膜速度の向上といった効果もある。
方法に使用されるプラズマ気相成長装置の他の例の主要
部を示したものであり、プラズマ生成室を構成する部材
の他の例について説明したものである。上記説明では、
プラズマ生成室を構成するベルジャー12が半球状又は
円筒状であるとして説明したが、これに限られるもので
はない。即ち、図5に示す如く、金属部材121にて一
方を閉じられた円筒形状の誘電体容器122でもよい。
また、図6に示す如く、プラズマ生成室を構成する円筒
状の誘電体容器122の内部に基板40が配置されても
よい。さらに、図7に示す如く、円板形状の誘電体蓋1
23を配置して、プラズマ生成室と成膜室とが殆ど同じ
空間になるような構成でも良い。
は周波数13.56MHzの高周波電力を供給して高密
度プラズマを形成しているが、13.56MHzに限定
されることなく、例えば周波数2MHzの高周波電力で
もよく、また、周波数2.45GHzのマイクロ波電力
を供給するように構成してもよい。また、上記説明で
は、弗素を含む硅素化合物として四弗化硅素ガス、水素
を含む硅素化合物としてモノシランガスを用いて例につ
いて説明したが、弗素を含む硅素化合物に六弗化2硅素
ガス(Si2F6)を用いたり、水素を含む硅素化合物に
ジシランガス(Si2H6)あるいはテトラエチルオルソ
シリケイトガス(Si(C2H5O)4 )を用いても、本
発明が適用できることは容易に類推できる。
記載の発明によれば、下地材料に対して損傷を与えるこ
となく弗素を含む酸化硅素薄膜からなる絶縁膜を作成す
ることができる。このため、比誘電率の小さい絶縁膜を
得ることによって、信号の時定数の小さい配線構造が可
能になり、半導体電子素子等の高速化に貢献できる。ま
た、請求項3記載の発明によれば、上記請求項1又は2
の効果を得るに際し、スパッタリングを行いながら絶縁
膜を作成することができる。また、請求項4記載の発明
によれば、ボイドを形成することなく配線パターンを絶
縁膜で覆うことができる。さらに、請求項5の発明によ
れば、上記効果に加え、弗素を含む硅素化合物ガスと水
素を含む硅素化合物ガスが均一に混合されるので、処理
の均一化の点で好適な構成となる。
使用されるプラズマ気相成長装置の概略を示す図であ
る。
作成された酸化硅素薄膜の比誘電率を調べた結果の図で
ある。
素薄膜の比誘電率を調べた結果の図である。
他のプラズマ気相成長装置の概略を示したものである。
ズマ気相成長装置の他の例の主要部を示したものであ
る。
ズマ気相成長装置の他の例の主要部を示したものであ
る。
ズマ気相成長装置の他の例の主要部を示したものであ
る。
作成方法を説明する図であり、この方法に使用されるプ
ラズマ気相成長装置の例を示されている。
する図である。
方法を基板の表面の状態に即して説明した図である。
問題点を示した図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 基板の表面に酸化硅素からなる絶縁膜を
作成する方法において、基板を配置した成膜室又はこの
成膜室に空間的に連続したプラズマ生成室内にプラズマ
形成用ガスとして酸素ガスを導入して酸素のプラズマを
形成し、絶縁膜作成用ガスとして弗素を含む硅素化合物
ガスと水素を含む硅素化合物ガスとをそれらが成膜室又
はプラズマ生成室内で混合しているようにして導入し、
形成されたプラズマによる気相成長を利用して基板の表
面に弗素を含む酸化硅素薄膜からなる絶縁膜を作成する
とともに、この際の弗素を含む硅素化合物ガスの流量の
割合を、弗素を含む硅素化合物と水素を含む硅素化合物
との合計ガス流量に対して50%から1%の範囲とする
ことを特徴とする絶縁膜の作成方法。 - 【請求項2】 基板の表面に酸化硅素からなる絶縁膜を
作成する方法において、基板を配置した成膜室又はこの
成膜室に空間的に連続したプラズマ生成室内にプラズマ
形成用ガスとして酸素ガス及び水素ガスを導入して酸素
及び水素のプラズマを形成し、絶縁膜作成用ガスとして
弗素を含む硅素化合物を前記成膜室又はプラズマ生成室
に導入して、形成されたプラズマによる気相成長を利用
して基板上に弗素を含む酸化硅素からなる絶縁膜を作成
するとともに、この際の水素ガスの流量の割合を、弗素
を含む硅素化合物のガス流量に対して200%から40
0%の範囲とすることを特徴とする絶縁膜の作成方法。 - 【請求項3】 前記プラズマ形成用ガスには、アルゴン
ガスが添加されていることを特徴とする請求項1又は2
記載の絶縁膜の作成方法。 - 【請求項4】 前記基板の表面には、導電膜よるなる配
線パターンが形成されており、その配線パターンを覆う
ように絶縁膜を作成することを特徴とする請求項3記載
の絶縁膜の作成方法。 - 【請求項5】 請求項1記載の絶縁膜の作成用法に使用
されるプラズマ気相成長装置であって、排気系を備えた
真空容器と、この真空容器内に所定のガスを導入するガ
ス導入機構と、導入されたガスにエネルギーを与えてプ
ラズマを形成する電力供給機構とを具備し、前記ガス導
入機構は、前記プラズマ形成用ガスを導入する第一のガ
ス導入系と、前記絶縁膜作成用ガスを導入する第二のガ
ス導入系とを有し、この第二のガス導入系は、前記弗素
を含む硅素化合物ガスと前記水素を含む硅素化合物ガス
とを所定の混合比で混合させてから前記成膜室又はプラ
ズマ生成室に導入するものであることを特徴とするプラ
ズマ気相成長装置。
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-
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- 1995-05-30 JP JP15697495A patent/JP3590451B2/ja not_active Expired - Fee Related
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