JPH08330182A - 電気回路用コンデンサ及びその製造法 - Google Patents

電気回路用コンデンサ及びその製造法

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JPH08330182A
JPH08330182A JP13236595A JP13236595A JPH08330182A JP H08330182 A JPH08330182 A JP H08330182A JP 13236595 A JP13236595 A JP 13236595A JP 13236595 A JP13236595 A JP 13236595A JP H08330182 A JPH08330182 A JP H08330182A
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layer
resin
dielectric
conductive
capacitor
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JP13236595A
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Shozo Yamana
章三 山名
秀次 ▲桑▼島
Hideji Kuwajima
Junichi Kikuchi
純一 菊池
Riichi Ono
利一 小野
Toyoichi Ueda
豊一 植田
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Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 厚さが薄く、曲げても破損せず、十分な静電
容量を有し、短絡の問題のない耐電圧の安定な電気回路
用コンデンサ及びその容易な製造法を提供する。 【構成】 基材上に導電性金属粉末及び樹脂を含む導電
ペーストで形成された導電層(A)を含み、その上に、
高誘電体粉末及び樹脂を含む誘電体ペーストで形成され
た層とその上に形成された樹脂フィルム層の二層を含む
誘電体層(B)とその樹脂フィルム層上に形成された導
電性金属からなる導電層(C)を、(B)及び(C)を
一単位として一単位又は複数単位含有してなる電気回路
用コンデンサ及びその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気回路用コンデンサ及
びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電気工学ハンドブック(社団法人
電気学会発行)の第692〜720頁に記載されている
ように、プリント配線板、電子部品などの電気回路でコ
ンデンサを使用する場合、必要とする容量に応じてセラ
ミックチップコンデンサ、タンタルチップコンデンサ、
フィルムコンデンサ等が使用されている。
【0003】しかし、セラミックチップコンデンサ、タ
ンタルチップコンデンサ、フィルムコンデンサ等は、静
電容量は十分であるが、その厚さが通常0.5mm以上あ
り、例えばICカードのように厚さが0.76mmという
薄葉状の製品に組み込むには厚すぎる欠点があった。
又、セラミックチップコンデンサ、タンタルチップコン
デンサ等は柔軟性がないため、曲げると折れやすいとい
う欠点もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、厚さが薄
く、曲げても破損せず、十分な静電容量を有し、短絡の
問題のない耐電圧の安定な電気回路用コンデンサ及びそ
の容易な製造法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、基材上に導電
性金属粉末及び樹脂を含む導電ペーストで形成された導
電層(A)を含み、その上に、高誘電体粉末及び樹脂を
含む誘電体ペーストで形成された層とその上に形成され
た樹脂フィルム層の二層を含む誘電体層(B)とその樹
脂フィルム層上に形成された導電性金属からなる導電層
(C)を、(B)及び(C)を一単位として一単位又は
複数単位含有してなる電気回路用コンデンサに関する。
また、本発明は、基材上に、導電性金属粉末及び樹脂を
含む導電ペーストを塗布して導電層(A)を形成する工
程、片面に導電性金属の薄膜が形成された樹脂フィルム
の他の面に高誘電体粉末及び樹脂を含む誘電体ペースト
を塗布して、誘電体ペーストで形成された層及び樹脂フ
ィルム層の二層を含む誘電体層(B)と導電性金属から
なる導電層(C)とを含む多層フィルムを形成する工
程、前記多層フィルムを、前記導電層(A)上に誘電体
層(B)を下にして一枚又は複数枚貼り合わせる工程を
含むことを特徴とする電気回路用コンデンサの製造法に
関する。
【0006】まず、導電層(A)の形成に用いる導電性
金属粉末及び樹脂を含む導電ペーストについて説明す
る。前記導電性金属粉末は、導電性の高い金属からな
り、例えば、銀、銅、ニッケル、コバルト、アルミニウ
ム、これらの金属を主成分とする合金の粉末、これらの
金属(例えば銅)を別の金属(例えば銀)でめっきした
ものなどがある。これらの中で導電性の点から銀が好ま
しいものとして挙げられる。その金属粉末の平均粒子径
はペースト化した後の印刷性の面から、30μm以下が
好ましく、1〜20μmがより好ましい。なお、平均粒
子径は、レーザー散乱型粒度分布測定装置により測定す
ることができる。前記装置として、本発明では、マスタ
ーサイザー(マルバン社製)を使用した。
【0007】また、金属粉末の形状としては、一般に、
りん片状、樹枝状、球状、略球状、四面体状等と呼ばれ
ているものがあげられるが、アスペクト比(粒子の最長
径と最短径の比率の平均値)の高いりん片状又は樹枝状
のものが導電性に優れるので好ましい。導電性の面から
は、金属粉末のアスペクト比は3以上が好ましく、5以
上がより好ましく、7以上がさらに好ましい。なお、ア
スペクト比は、粘度の低い硬化性樹脂中に金属粉末の粒
子をよく混合し、静置して粒子を沈降させるとともにそ
のまま樹脂を硬化させ、得られた硬化物を垂直方向に切
断し、その切断面に現われる粒子の形状を電子顕微鏡で
拡大して観察し、一つ一つの粒子の最長径と最短径を、
少なくとも100の粒子について求め、平均値とするこ
とにより求めることができる。
【0008】前記樹脂としては、各種熱硬化性樹脂又は
各種熱可塑性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂の場合、
軟化点が110℃以上のものが導電ペーストとしてのコ
ンデンサの特性上好ましい。前記樹脂としては、エポキ
シ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポ
リアミドイミド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリ
ル樹脂、飽和ポリエステル樹脂等が挙げられ、単独で又
は組み合わされて使用される。これらの中で密着性の面
からはエポキシ樹脂が好ましく、導電性金属粉末の緻密
化の面からはフェノール樹脂が好ましい。なお、熱硬化
性樹脂を使用する場合は、熱硬化性樹脂の他に硬化剤、
硬化促進剤、カップリング剤等を含有していてもよい。
【0009】以上の各成分は、必要に応じ溶剤を用い
て、らいかい機等で均一に分散混合され、導電ペースト
とされる。溶剤としては、例えば、エチルセロソルブ、
ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、カルビトー
ル、ブチルカルビトール等の有機溶剤が挙げられる。導
電性金属粉末と樹脂の配合割合は、ペースト状態で印刷
出来る範囲であれば特に限定するものではないが導電性
の点で、導電性金属粉末と樹脂の重量比(前者/後者)
で50/50〜95/5が好ましく、60/40〜90
/10がより好ましい。また、導電ペースト中における
導電性金属粉末の体積百分率は、導電性の面から、15
%以上が好ましく、25〜50%がより好ましい。
【0010】次に誘電体層(B)のうちの一層の形成に
用いる高誘電体粉末及び樹脂を含む誘電体ペーストにつ
いて説明する。高誘電体粉末としては、チタン酸バリウ
ム、ジルコン酸カルシウム、スズ酸カルシウム、チタン
酸ビスマス等の比誘電率が好ましくは100以上、より
好ましくは1000以上の高い誘電体材料を粉砕した粉
末が挙げられる。その粉末の粒径はペースト化した後の
印刷性の面から、平均粒子径が30μm以下が好まし
く、1〜20μmがより好ましい。なお、平均粒子径
は、レーザー散乱型粒度分布測定装置により測定するこ
とができる。前記装置として、本発明では、マスターサ
イザー(マルバン社製)を使用した。粉末の形状は特に
限定されない。
【0011】前記樹脂としては、導電ペーストと同様
に、各種熱硬化性樹脂又は各種熱可塑性樹脂が用いられ
る。熱可塑性樹脂の場合、軟化点が110℃以上のもの
が硬化性等の点で好ましい。前記樹脂としては、エポキ
シ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポ
リアミドイミド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリ
ル樹脂、飽和ポリエステル樹脂等が挙げられ、単独で又
は組み合わされて使用される。これらの中で密着性の面
からはエポキシ樹脂が好ましく、導電性金属粉末の緻密
化の面からはフェノール樹脂が好ましい。なお、熱硬化
性樹脂(組成物)を使用する場合は、熱硬化性樹脂の他
に硬化剤、硬化促進剤、カップリング剤等を含有してい
てもよい。
【0012】以上の各成分は、必要に応じ溶剤を用い
て、撹拌らいかい機等で均一に分散混合され、誘電体ペ
ーストとされる。溶剤としては、例えば、エチルセロソ
ルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、カル
ビトール、ブチルカルビトール等の有機溶剤が挙げられ
る。高誘電体粉末と樹脂の配合割合は、ペースト状態で
印刷出来る範囲であれば特に制限するものではないが、
誘電体層の比誘電率を高くする点で、高誘電体粉末と樹
脂の重量比(前者/後者)で50/50〜95/5が好
ましく、70/30〜90/10がより好ましい。ま
た、高誘電体粉末の誘電体ペースト中における体積百分
率は、誘電体層の比誘電率を高くする点で、40%以上
が好ましく、45〜70%がより好ましい。70%を超
えると誘電体層がもろくなり曲げ応力によって折れやす
くなる傾向にある。また40%未満では誘電体層の比誘
電率が低くなるため、コンデンサ容量が小さくなる傾向
にあり実用的でなくなることがある。
【0013】次に誘電体層(B)のうちの一層とする樹
脂フィルム層について説明する。樹脂フィルム層に使用
される樹脂フィルムとは、フィルム状の樹脂であり、導
電性でないものであり、その厚さは薄いほど好ましい。
厚さは1〜50μmが好ましく、1〜25μmがより好
ましく、1〜10μmがさらに好ましい。その材質は特
に制限するものではないが、例えば、ポリエチレンテレ
フタレート等のポリエステル、ポリプロピレン等のポリ
オレフィンなどが好ましいものとして使用できる。
【0014】次に導電性金属からなる導電層(C)につ
いて説明する。この層は導電性金属の薄膜であり、例え
ば、アルミニウム、ニッケル、銀、銅、これらの合金等
が用いられる。本発明のコンデンサの基材としては、薄
く丈夫なので樹脂フィルムが好ましい。その厚さは、薄
さと基材としての強度の両面から、10〜250μmの
ものが好ましく、20〜150μmのものがより好まし
い。その材質は特に制限するものではないが、例えば、
ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプ
ロピレン等のポリオレフィンなどが好ましいものとして
使用できる。
【0015】次いで、電気回路用コンデンサの構造及び
その製造法について説明する。本発明の電気回路用コン
デンサは、前記の通り、基材上に導電性金属粉末及び樹
脂を含む導電ペーストで形成された導電層(A)を含
み、その上に、高誘電体粉末及び樹脂を含む誘電体ペー
ストで形成された層とその上に形成された樹脂フィルム
層の二層を含む誘電体層(B)とその樹脂フィルム層上
に形成された導電性金属からなる導電層(C)を、
(B)及び(C)を一単位として一単位又は複数単位含
有する。一単位含む場合は、一般的なコンデンサであ
り、その断面図の一例を図1に示す。この場合は導電層
(A)が下部電極となり、導電層(C)が上部電極とな
る。 複数単位含む場合は、いわゆる多層コンデンサで
あり、その断面図の一例を図2に示す。図2は三単位含
む場合である。このように多層とする場合、複数の導電
層は、一層おきに、図2に示すように両端方向に位置ず
れさせて配設し、必要に応じ切断し、両端部又はその付
近を導電ペースト等を用いて一層おきに導通して、2つ
の電極とする。なお、複数単位含む場合、その単位数に
制限はないが、一般に10以下である。
【0016】導電層(A)は、コンデンサの電極として
作用し、その厚さは特に制限はないが、薄くかつ十分な
電極としての特性を有する点から5〜15μmが好まし
い。誘電体層(B)のうち誘電体ペーストで形成する層
の厚さは薄い程好ましいが、具体的には5〜30μmが
好ましい。5μm未満では誘電体層にピンホールが生成
し易くなり、コンデンサとして充分に機能しなくなる傾
向にある。また、誘電体層(B)は、フィルム層を含む
ために誘電体ペーストで形成する層を薄くしてもピンホ
ールによる短絡の問題を回避し、電気回路用コンデンサ
の耐電圧の安定化を図ることができる。導電層(C)も
コンデンサの電極として作用する。その厚さは電流が流
れかつ薄いほうがよく、好ましくは0.01〜2μmで
あり、より好ましくは0.1〜0.5μmである。
【0017】前記コンデンサの製造法としては、種々の
方法があるが、基材上に、導電性金属粉末及び樹脂を含
む導電ペーストを塗布して導電層(A)を形成する工
程、片面に導電性金属の薄膜が形成された樹脂フィルム
の他の面に高誘電体粉末及び樹脂を含む誘電体ペースト
を塗布して、誘電体ペーストで形成された層及び樹脂フ
ィルム層の二層を含む誘電体層(B)と導電層(C)と
を含む多層フィルムを形成する工程、前記多層フィルム
を前記導電層(A)上に誘電体層(B)を下にして一枚
又は複数枚貼り合わせる工程を含むことを特徴とする方
法が、簡易で好ましい方法として挙げられる。基材上へ
の導電ペーストの塗布による導電層(A)の製造は、公
知の方法、例えば、スクリーン印刷法、コンピュータ制
御によるディスペンサによる方法等でペーストを塗布
し、硬化することで行うことができる。
【0018】前記の片面に導電性金属の薄膜からなる導
電層が形成された樹脂フィルムは、例えば、金属蒸着法
等により樹脂フィルム上に金属を蒸着させることによっ
て製造される。前記樹脂フィルムの他の面に誘電体ペー
ストを塗布し、誘電体ペーストで形成された層を製造す
る方法は、公知の方法、例えば、スクリーン印刷法、コ
ンピュータ制御によるディスペンサによる方法等でペー
ストを塗布し、硬化することで行うことができる。場合
により、ピンホールを避けるために誘電体ペーストを印
刷する際に、二回以上に分けて塗布することもできる。
この場合は、一回目の塗布を行った後に硬化及びプレス
を行い、次いで二回目の塗布及び硬化を行うとさらにピ
ンホールの発生は抑制されるのでより好ましい。こうし
て誘電体ペーストで形成された層及び樹脂フィルム層の
二層を含む誘電体層(B)と導電層(C)とを含む多層
フィルムを形成する。
【0019】次いで、導電層(A)上に前記多層フィル
ムを誘電体層(B)を下にして一枚又は複数枚貼り合わ
せる。この工程は、誘電体ペーストで形成された層が半
硬化の時点で行い、さらに完全硬化させ一体化させるの
が好ましい。一体化は、例えば、貼りあわせた後、ヒー
トプレスすることが密着性に優れるので好ましい。な
お、この場合、誘電体ペーストの樹脂成分としては熱硬
化性樹脂を用いることが好ましい。なお、半硬化させる
条件及び完全に硬化させる条件は樹脂の種類等により異
なるが、一般に、半硬化は50〜100℃で20分〜1
時間、完全硬化は130〜160で行うことができる。
ヒートプレスする場合は、100〜150℃、0.8〜
1.2MPaで20分〜1時間行うことができる。ま
た、場合により各層を接着させるために公知の接着剤を
用いても良い。これらの製造法においても、前記コンデ
ンサの構造の説明で述べたとおり、基材が厚さ10〜1
50μmの樹脂フィルムであり、形成する導電層(A)
が厚さ5〜15μmであり、誘電体層(B)の樹脂フィ
ルム層が厚さ1〜50μmであり、誘電体ペーストで形
成する層の厚さが5〜30μmであり、導電層(C)の
厚さが0.01〜2μmであるのが、厚さが薄くかつ各
特性のバランスに優れるので好ましい。以上の方法によ
れば、導電層の一部及び誘電体層がともに樹脂を含むペ
ーストからなるため、そのペーストの配合組成で、各層
の弾性率を設定可能であり、基材の弾性率を参考に低弾
性化することで、特に耐折り曲げ性に優れた電気回路用
コンデンサを容易に形成することが出来る。
【0020】
【実施例】以下本発明の実施例を説明する。 実施例1 ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名エピコート8
34、油化シェルエポキシ(株)製)60重量部、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂(商品名エピコート828、
油化シェルエポキシ(株)製)40重量部を予め加温溶解
させた後室温に冷却したものに2−エチル−4−メチル
イミダゾール(四国化成工業(株)製)5重量部、エチル
カルビトール25重量部、ブチルセロソルブ25重量部
を加えて均一に混合して樹脂組成物とした。
【0021】一方、導電性金属粉末としてりん片状の銀
粉(商品名TCG−1、徳力化学研究所製、平均粒子径
5μm、アスペクト比8)210重量部を前記樹脂組成
物に添加し、撹拌らいかい機及び三本ロールで均一に分
散して導電ペーストとした。得られた導電ペースト中の
金属粉末の体積割合は17.5体積%であった。また、
高誘電体粉末として、酸化チタンと炭酸バリウムを1:
1のモル比で混合し、1200℃で合成したチタン酸バ
リウム(平均粒子径15μm、比誘電率が3800)4
90重量部を、前記樹脂組成物155重量部、エチルカ
ルビトール5重量部及びブチルセロソルブ5重量部の混
合物に添加し撹拌らいかい機及び三本ロールで均一に分
散して誘電体ペーストとした。得られた誘電体ペースト
中の高誘電体粉末の体積割合は45体積%であった。な
お、本発明におけるアスペクト比の具体的測定法を以下
に示す。低粘度のエポキシ樹脂(ビューラー社)の主剤
(No.20−8130)8gと硬化剤(No.20−
8132)2gを混合し、ここへ導電性金属粉末2gを
混合して良く分散させ、そのまま30℃で真空脱泡した
後、6〜8時間30℃で静置して硬化させた。その後、
得られた硬化物を垂直方向に切断し、切断面を電子顕微
鏡で2000倍に拡大して切断面に現われる100個の
粒子について最長径及び最短径を計測して平均値を求め
た。
【0022】これらの材料を用いて図3に示す断面形状
のコンデンサを作成した。まず、前記導電ペーストを厚
さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基
材(商品名;ダイアホイル、三菱樹脂(株)製)上にバー
コーターで塗布したのち、60℃で30分乾燥させて導
電層(下部電極)を形成した。形成された下部電極の厚
さは8μmであり、半硬化状態であった。一方、厚さが
7μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に
厚さ0.1μmのアルミニウムの薄膜がアルミ蒸着法に
より形成されたもの(加古川プラスチック(株)製)のも
う一方の面に、誘電体ペーストをバーコーターで塗布し
たのち、60℃で30分乾燥させて誘電体層を形成し
た。この誘電体ペーストの層の厚さは7μmであり、半
硬化状態であった。こうして三層構造のフィルムを得
た。得られた前記三層構造のフィルムを図3に示したよ
うに貼りあわせた後、ヒートプレスで加熱硬化し一体化
して電気回路用コンデンサとした。なお、ヒートプレス
の条件は圧力が1MPaで、温度は145℃、時間は10
分であり、ヒートプレス後に後硬化として145℃で3
0分の熱処理を施した。形成された電気回路用コンデン
サの厚さは140μmであった。
【0023】形成された電気回路用コンデンサの誘電体
層の比誘電率を測定したところ、測定周波数が1000
kHzで30であり、コンデンサとして十分に使用できる
機能を有していることがわかった。またtanδ(誘電体
正接)は0.008であった。さらにコンデンサを曲率
半径12.5mmに曲げたが破損せず、その後コンデンサ
の特性も変化しなかった。さらに耐電圧を測定したが1
000V以上であり、実用上十分な耐電圧を示した。な
お、比誘電率は、インピータンスアナライザー(ヒュー
レットパッカード社製、形式4192A)でコンデンサ
容量及びtanδを測定し、次式により求めた。
【数1】 (但し、εは比誘電率、ε0は真空中の比誘電率、Cは
コンデンサ容量、tは誘電体層の厚さ及びSは電極面積
である。)
【0024】実施例2 レゾール型フェノール樹脂(商品名レヂトップPL−2
212、群栄化学工業(株)製)40重量部、ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂(商品名エピコート828、油化
シェルエポキシ(株)製)40重量部及び飽和ポリエステ
ル樹脂(商品名;エスペルPS−9201−10、日立
化成工業(株)製)20重量部を均一混合させたものに2
−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業(株)
製)5重量部、エチルカルビトール25重量部及びブチ
ルセロソルブ25重量部を加えて均一に混合して樹脂組
成物とした。前記樹脂組成物に実施例1記載の導電性金
属粉末を210重量部添加し、撹拌らいかい機及び三本
ロールで均一に分散して導電ペーストとした。得られた
導電ペースト中の金属粉末の体積割合は17体積%であ
った。また前記樹脂組成物155重量部にエチルカルビ
トール5重量部及びブチルセロソルブ5重量部を加えて
均一に混合したのち、実施例1記載の高誘電体粉末69
0重量部を添加し撹拌し、らいかい機及び三本ロールで
均一に分散して誘電体ペーストとした。得られた誘電体
ペースト中の金属粉末の割合は、52体積%であった。
【0025】前記導電ペースト及び誘電体ペーストを用
いて、実施例1記載の方法によってコンデンサを形成
し、前記と同様に評価した。得られたコンデンサは、下
部電極の厚さが8μm、誘電体ペーストで形成された層
の厚さが8μmであり、コンデンサとしての厚さは14
0μmであった。評価の結果、誘電体層の比誘電率は測
定周波数が1000kHzで40であった。またtanδは
0.008であり、さらに耐電圧を測定したが1000
V以上であり実用上十分な耐電圧を示した。また、実施
例1及び2で得られたコンデンサを曲率半径12.5mm
に曲げたが破損せず、その後、コンデンサの特性も変化
しなかった。また曲げた後に耐電圧を測定したが100
0V以上であり、実用上十分な耐電圧を示した。
【0026】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の電気回路用コン
デンサは、厚さが薄く、耐折り曲げ性に優れるため曲げ
ても破損せず、比誘電率が高く十分な静電容量を有し、
短絡の問題のない耐電圧の安定な実用上優れたものであ
る。請求項2記載の電気回路用コンデンサは、請求項1
記載の電気回路用コンデンサの効果を奏し、特に厚さが
薄く、その効果のバランスに優れるものである。本発明
の請求項3記載の電気回路用コンデンサの製造法によれ
ば、厚さが薄く、耐折り曲げ性に優れるため曲げても破
損せず、比誘電率が高く十分な静電容量を有し、短絡の
問題のない耐電圧の安定な実用上優れたコンデンサを容
易に製造できる。請求項4記載の電気回路用コンデンサ
の製造法によれば、請求項3記載の電気回路用コンデン
サの製造法の効果を奏し、特に各層の密着性に優れたコ
ンデンサが製造ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンデンサの一例を示す断面図であ
る。
【図2】本発明のコンデンサのうち、多層コンデンサの
一例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例で製造したコンデンサを示す断
面図である。
【符号の説明】
1…基材 2…導電層(A) 3…誘電体ペーストで形成された層 4…樹脂フィルム層 5…導電層(C)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野 利一 茨城県日立市鮎川町三丁目3番1号 桜川 産業株式会社内 (72)発明者 植田 豊一 東京都新宿区西新宿二丁目1番1号 日立 化成工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に導電性金属粉末及び樹脂を含む
    導電ペーストで形成された導電層(A)を含み、その上
    に、高誘電体粉末及び樹脂を含む誘電体ペーストで形成
    された層とその上に形成された樹脂フィルム層の二層を
    含む誘電体層(B)とその樹脂フィルム層上に形成され
    た導電性金属からなる導電層(C)を、(B)及び
    (C)を一単位として一単位又は複数単位含有してなる
    電気回路用コンデンサ。
  2. 【請求項2】 基材が厚さ10〜250μmの樹脂フィ
    ルムであり、導電層(A)が厚さ5〜15μmであり、
    誘電体層(B)が厚さ1〜50μmの樹脂フィルム層と
    厚さ5〜30μmの誘電体ペーストで形成された層を含
    むものであり、導電層(C)の厚さが0.01〜2μm
    である請求項1記載の電気回路用コンデンサ。
  3. 【請求項3】 基材上に、導電性金属粉末及び樹脂を含
    む導電ペーストを塗布して導電層(A)を形成する工
    程、片面に導電性金属の薄膜が形成された樹脂フィルム
    の他の面に高誘電体粉末及び樹脂を含む誘電体ペースト
    を塗布して、誘電体ペーストで形成された層及び樹脂フ
    ィルム層の二層を含む誘電体層(B)と導電性金属から
    なる導電層(C)とを含む多層フィルムを形成する工
    程、前記多層フィルムを、前記導電層(A)上に誘電体
    層(B)を下にして一枚又は複数枚貼り合わせる工程を
    含むことを特徴とする電気回路用コンデンサの製造法。
  4. 【請求項4】 多層フィルムを導電層(A)上に貼り合
    わせる工程を、誘電体層(B)が半硬化の状態で行い、
    さらに完全硬化させ一体化させるものである請求項3記
    載の電気回路用コンデンサの製造法。
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