JPH08329953A - ニッケルめっき不織布電極基板の製造方法 - Google Patents

ニッケルめっき不織布電極基板の製造方法

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JPH08329953A
JPH08329953A JP7128717A JP12871795A JPH08329953A JP H08329953 A JPH08329953 A JP H08329953A JP 7128717 A JP7128717 A JP 7128717A JP 12871795 A JP12871795 A JP 12871795A JP H08329953 A JPH08329953 A JP H08329953A
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nickel
fibers
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fiber
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Jun Yamada
旬 山田
Seiji Shinohara
誠治 篠原
Toshio Horie
俊男 堀江
Takahiro Imai
高広 今井
Masatoshi Ito
雅敏 伊藤
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Furukawa Electric Co Ltd
Furukawa Battery Co Ltd
Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Furukawa Electric Co Ltd
Furukawa Battery Co Ltd
Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 有機繊維を主成分とするウェブを熱処理した
不織布ウェブにニッケルめっきを施して比較的空隙率の
大きい電極基板を製造する際に、基材繊維の体積を極力
小さくし、しかも引張強度に優れた、柔軟性のある空隙
率の大きな、高容量化可能なニッケルめっき不織布電極
基板の製造方法を提供することを目的とする。 【構成】 熱処理後の不織布ウェブの密度が0.03g
/cm3未満であり、好ましくは坪量が40g/m2以下
である不織布ウェブに導電処理し、ニッケル電気めっき
を施すことを特徴とするニッケルめっき不織布電極基板
の製造方法。さらに、交絡処理後のウェブを熱処理した
ことを特徴とする前記ニッケルめっき不織布電極基板の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はニッケル−カドミウム電
池等のアルカリ電池の電極基板として用いられるニッケ
ルめっき多孔質不織布電極基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−
水素電池、ニッケル−鉄電池、ニッケル−亜鉛電池等ア
ルカリ電池に広く使用されているニッケル極を例に従来
技術について説明する。ニッケル極の製法として、ニッ
ケル粉末を焼結した焼結基板に硝酸ニッケル溶液を含
浸、アルカリ溶液で中和して活物質を充填する焼結式極
板および発泡ニッケルやニッケル繊維等三次元構造の基
板にペースト状の水酸化ニッケルを充填するペースト式
極板が実用化されている。極板はできるだけ多くの活物
質を保持し、かつ所定量の活物質からできるだけ効率よ
く集電するとともに強度を維持するため、電極基板に種
々の工夫が凝らされてきた。
【0003】焼結式極板は焼結基板の空隙率が75〜8
0%と低い上、硝酸塩溶液中のニッケル含有量が少ない
ため、所定の活物質充填量を得るためには含浸−中和の
充填サイクルを数回以上繰り返す必要があり、充填サイ
クルを繰り返すに従い硝酸塩溶液の基板内部への浸透が
悪化するため活物質を高密度に充填することが困難であ
る。一方、シート状の発泡ウレタンにめっきを施し基板
を還元雰囲気中で熱分解した発泡ニッケル、有機繊維不
織布にめっきを施し基板を還元雰囲気中で熱分解したニ
ッケルフェルトおよびニッケル繊維を焼結したニッケル
マット等三次元構造電極基板は空隙率が90%以上と高
い上、孔径が大きくペースト状の水酸化ニッケルを直接
充填できることから活物質を高密度に充填することが容
易である。
【0004】しかし、発泡ニッケルやニッケルフェルト
等中空の三次元構造電極基板を用いた極板は構造的に柔
軟性に乏しく、円筒型電池に使用した場合、円筒状に捲
回する際クラックが発生し、その割れ目において内部短
絡が生じ易いだけでなく極板の集電機能が損なわれ電池
性能面で問題が生じる。又、角型電池に使用した場合、
クラックは発生しないものの充放電反応に伴う活物質の
体積変化により、電池ケースの耐圧が低いため次第に膨
らみ、基板と活物質あるいは活物質同士の密着性が損な
われ円筒型と同様に集電機能が悪化して電池性能面で問
題が生じる。柔軟性を上げるべくめっき量を減らすとさ
らに強度が低下し、実用上極板として使用できなくな
る。これら中空の三次元構造電極基板の基材格子は熱分
解して除去されるため、太く、また、基材の占める体積
に配慮されることはなかった。又、ニッケルマットを電
極基板として用いた極板は引張強度が弱く加工性に乏し
いだけでなく、ニッケル繊維の毛羽立ちあるいはニッケ
ル繊維の脱落に起因する内部短絡が生じ易く問題であ
る。
【0005】柔軟性や引張強度および繊維の毛羽立ちを
改善した三次元構造電極基板として、有機繊維で構成し
た繊維集合体にエポキシ系樹脂を繊維間結合剤として適
用し、ウェブ構成繊維が相互に交差、接触する部分およ
び繊維間表面を接着被覆せしめて形成した不織布に無電
解ニッケルめっきを施した基板が特開平3−17957
号公報に示されている。このめっき不織布基板は、電極
の強度に優れ、且つ空隙率が充分高く活物質の高密度充
填が期待できる。しかし、この方法では電極の引張強度
は向上しているもののエポキシ樹脂の塗布及び硬化等の
有機溶剤系化合物による処理が必要であるため、強度を
上げようとすれば必然的に処理量を増やさねばならず、
処理前の不織布の本来の空隙を埋める結果となり、基材
の体積を減らすことができず、従って断面方向の圧縮性
も乏しくなり、高密度に充填する上で不利になる問題が
あった。充填量を確保するためには基板の厚みを大きく
したり、めっき量を減らさねばならず、基板の電流容量
を大きくすることができない問題もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、有機繊維で
構成した不織布ウェブにニッケルめっきを施した比較的
空隙率の大きい電極基板の製造方法において、結着剤を
使用することなく基材ウェブを製造し、基材繊維を残し
たまま電極基板として使用し、引張強度に優れた柔軟性
のある空隙率の大きな、高容量化可能なニッケルめっき
不織布電極基板の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
につき鋭意検討した。その結果、有機繊維を主成分とし
て作製したウェブを熱処理して不織布ウェブを作製する
際に、その密度が0.03g/cm3を越えないように
調整することにより、ニッケル電気めっき後も基材繊維
を残したままで、基板体積が小さく、空隙率が大きく、
従って電極活物質の収容体積が大きく、しかも強度に優
れたニッケルめっき不織布電極基板が製造できることを
見い出した。
【0008】すなわち、本発明は熱処理後の不織布ウェ
ブの密度が0.03g/cm3未満であり、好ましくは
不織布ウェブの坪量が40g/m2以下である不織布ウ
ェブに導電処理し、ニッケル電気めっきを施すことを特
徴とするニッケルめっき不織布電極基板の製造方法であ
る。さらに、該発明において、交絡処理後のウェブを熱
処理したことを特徴とするニッケルめっき不織布電極基
板の製造方法である。
【0009】本発明では有機繊維で構成した繊維集合体
であるウェブを製造し、次に必要に応じてウェブに交絡
処理した後、熱処理して不織布ウェブを製造し、導電処
理し、しかる後ニッケル電気めっきして電極基板とす
る。ウェブは交絡処理することにより、低密度のウェブ
の場合にも構成繊維がさらに互に上下に絡み合い、相互
の接点が増し、熱処理することにより増加した接点にお
いて構成繊維が相互に局部的に熱融着し、著しく強度を
上げることができる。その結果、基材の体積が小さく、
活物質収納体積の大きな空隙率の大きな、かつ強度に優
れた電極基板を結着剤を使用することなく作ることがで
きる。
【0010】めっき後の電極基板には電極端子が取り付
けられた後、水酸化ニッケル粉末等の電極活物質が充填
され、プレスされ、電極活物質と基板の密着が図られる
とともに所定の体積(厚みxサイズ)に調整されて極板
とされ、電池に組み込まれる。本来電極基板は電池の形
態、容量、サイズ等により任意に選択可能であって、そ
の厚み、坪量、空隙率等には特に制限はなく、従ってめ
っき前の不織布ウェブの厚み、坪量、空隙率等にも特に
制限はない。しかし既存の規格型電池の場合にはその形
態、容量、サイズ等が決められていて、その容積内で高
容量化が追求され、極板はこれに収納できる体積に設定
される。従って、電極基板の体積は基板の機械的強度が
保持できるかぎり小さい方がよい。そのためには、めっ
き前の不織布の坪量が小さく、その空隙が多い方が、即
ち不織布の密度が小さい方が電極活物質を多く充填する
ことができ、電池を高容量化できる。
【0011】本発明では熱処理後の不織布ウェブの密度
を0.03g/cm3 未満とし、めっき後の電極基板は
基材である熱処理した不織布ウェブを残したまま極板と
して使用するので、引張強度に優れた柔軟性のある電極
基板をつくることができる。熱処理後の不織布は密度が
小さく、坪量も小さいほど電極活物質の充填量を増やす
ことができるが、繊維径が太い場合には単位体積当りの
繊維の数が少なく、空隙も大きくなり、活物質が脱落
し、さらに充填した電極活物質と集電極の距離が長くな
って、抵抗が増し、電極活物質の利用効率が悪化して、
逆に電池容量が制限される。繊維径が細い場合には繊維
の数を増やすことができると同時に空隙径が小さくな
り、極板の強度を保持しつつ、電極活物質の利用効率も
維持できる。従って本発明の密度の不織布ウェブに使用
する繊維の繊維径は20μm以下が望ましい。繊維径が
細いほど空隙径を小さくでき、細かい活物質が充填でき
るが、ウェブ製造時の強度、作業性等を考慮すると繊維
径は5μm以上が好ましい。
【0012】不織布ウェブの坪量が大きい場合、厚みを
大きくすることにより、密度は本発明の範囲に調節する
ことができ、活物質の充填量は確保できるが、極板に成
形する際に基板格子の体積が邪魔して規定の厚みに設定
することができなくなる。極板の厚みは例えば小型の円
筒型電池では0.4〜0.7mm程度にプレスされるの
で、本発明のように電極基板の基材を残したまま使用す
る場合には基材の不織布ウェブの坪量は50g/m2
下、好ましくは15〜40g/m2である。
【0013】また、不織布ウェブの坪量も小さく、密度
も小さい場合、同一坪量ならばめっき後の電極基板の厚
みはその空隙の体積にほぼ比例するので、活物質の充填
量もまた電極基板の厚みに比例する。従って、所定の厚
みより厚い場合には適宜所定の厚みになるように予備プ
レスし、厚みを揃えてから活物質を充填することによ
り、活物質の充填量を調節することができる。しかし、
電極基板の厚みが大きすぎる場合、例えば前期小型円筒
型電池では極板にプレスする際の基板の変形が大きくな
り、基板格子のニッケルめっきが折れたり、剥離して脱
落し、極板の導電性が損なわれる恐れがあるので、めっ
き後の電極基板の厚みは予め充填量を勘案し、1〜1.
5mmの範囲になるように製造することが望ましい。従
って、不織布ウェブの厚みはめっきによる厚みの増大も
考慮して0.7〜1.5mmの範囲に調節しておくこと
が好ましい。不織布ウェブの厚みの測定にはその圧縮性
に配慮した低荷重(50g)の不織布用厚み計が使用さ
れ、その厚みが管理される。
【0014】以下、本発明について順を追って詳細に説
明する。まず、有機繊維で構成した繊維集合体であるウ
ェブを製造し、好ましくはこのウェブを3次元的に交絡
処理し、しかる後、熱処理して、不織布ウェブを作製
し、これに導電処理を施した後、ニッケル電気めっきし
てニッケルめっき不織布電極基板とする。
【0015】一般に、不織布に用いられる繊維として
は、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニ
ル系、ポリアクリロニトリル系、ポリアミド系、ポリビ
ニルアルコール系繊維、ナイロン繊維、ウレタン繊維、
再生セルロース繊維等の有機繊維、或いはガラス繊維等
の無機繊維等の繊維がある。
【0016】本発明ではニッケル−カドミウムアルカリ
電池等の電極基板用として使用する為、耐アルカリ性が
強く、不活性であるものが望ましく、特にポリオレフィ
ン系繊維例えばポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維
等、或いはこれらを同心円状にした、或は偏心状にした
芯鞘型複合繊維、またはこれらの成分を貼合わせた並列
型複合繊維等の有機繊維が好ましい。また、鞘部をポリ
オレフィンポリマーとしたポリエステル系の芯鞘型複合
繊維も使用できる。また、上記有機繊維は必要に応じて
混合して使用することも可能である。水流交絡処理され
る不織布ウェブの場合には、交絡処理段階で溶解除去可
能な結着剤繊維、例えば水流で溶解流出するポリビニル
アルコール系繊維等を、混合し、不織布ウェブを強化す
ることができる。
【0017】有機繊維の断面形状も特に制限はなく、円
形のみならず楕円形、偏平、三角形、星型、T型、Y
型、U型、ドッグボーン型等いわゆる異型断面形状をと
るものでも良い。折れ曲がった繊維、巻縮機能を持つ繊
維、枝別れした構造をもつ繊維の使用も低密度の不織布
ウェブを製造する上で好ましいものである。当然、以上
の繊維以外に、本発明で特定された以外の繊維を不織布
内に少量含有させることは可能であるが、本発明の不織
布ウェブの性能を阻害する範囲であってはならない。
【0018】ウェブの製造方法としては一旦有機短繊維
を製造してからシート化するカード法、エアレイ法、紡
糸状態から連続的にシート化するメルトブロー法、スパ
ンボンド法等の乾式法、パルプ或は有機短繊維を一旦水
中に分散してから漉取る湿式抄造法等が挙げられる。本
発明においてウェブ製造後3次元交絡処理を行う場合に
は、前記製造方法の内、ウェブ製造の段階で繊維が結着
剤或は繊維同士の熱融着で恒久的に固定されない製造
法、例えばカード法、エアレイ法等の乾式法、或は湿式
抄造法が好ましい。
【0019】ウェブの製造方法により用いられる繊維の
繊維径と繊維長は異なり、特に制限はないが、繊維の繊
維径と繊維長によりできあがる不織布の風合い、厚みの
範囲、空隙率、空隙の形状、開孔径、均質性、柔軟性、
弾力性、毛羽だち、繊維の脱落等の特性が異なるので、
目的に応じて適宜選択される。当然、目的により繊維
径、繊維長の異なる有機繊維を2種以上混合して用いる
こともできる。
【0020】特に、カード法では繊維径5〜50μm、
繊維長30〜100mmの折れ曲がった繊維、巻縮機能
を持つ繊維等の長い繊維を用いることができ、かさ高く
て密度の低い、ふかふかしたウェブが製造可能である。
本発明では不織布ウェブの坪量は出来る限り小さい方が
電極基板の体積を小さくする上で好ましい。ウェブの坪
量が小さい場合、繊維径が大きいと繊維数が少なくな
り、均一なウェブの抄造が困難になり、また、繊維径が
細すぎる場合には繊維の剛度が小さくなり、必要な厚み
を保持することが困難になる。従って、本発明の密度の
範囲でウェブを抄造するには繊維径は5〜20μmの範
囲が好ましい。
【0021】湿式抄造法でも低坪量のウェブを製造する
ためには繊維径5〜20μmが好ましい。
【0022】次に交絡処理について説明する。3次元交
絡処理とは、上記の不織布ウェブを単層、或いは、複数
積層し、支持体に載せ、不織布ウェブに機械的処理を施
し、繊維を3次元的に交絡する方法であり、具体的に
は、ニードルパンチ法、水流交絡法があげられる。ニー
ドルパンチ法とは、不織布ウェブ上方或は下方から多数
の針を突き刺し、不織布ウェブを構成する繊維を3次元
交絡させ、強度を発現させる方法であり、水流交絡法と
は、不織布ウェブ上方から多数の細い水流を噴射し、不
織布ウェブを構成する繊維を3次元交絡させ、強度を発
現させる方法である。細い繊維でも交絡が均一に行わ
れ、生産速度が速い点では水流交絡法が好ましい。又、
必要に応じてニードルパンチ後さらに水流交絡して、さ
らに交絡を高めたり、或は水流の圧力を調整して表面の
毛羽たちを抑えることができる。
【0023】例えば、カード法等の乾式法で製造したウ
ェブの場合には水流交絡処理すると交絡前に比べて強度
を増すとともに、厚みも薄くなり、電極基板用不織布と
して適当な厚みと空隙率を有する低密度の交絡ウェブと
することができる。また湿式抄造法の場合には抄造時ウ
ェブ断面内で上下に層状に密に配列した有機繊維が交絡
処理することにより上下の繊維が相互に絡み合い、結着
剤を加えなくても強度が発現する。しかも、繊維が曲が
って上下に絡み合う結果その空隙が上下に広がり、厚み
を増し、ふかふかした空隙に富んだ弾力性のある交絡ウ
ェブとなる。さらにその空隙の形状は交絡前に比べて著
しく丸味を帯びたものとなる。いずれの場合も交絡処理
により繊維同士の接点の数が増し、熱処理の際にそのま
ま接点が融着し、繊維同士の融着点が増して引っ張り強
度が向上するとともに寸法安定性も向上する。
【0024】水流交絡処理の際には製造されたウェブは
60〜200メッシュの多孔質の支持体に積載し、つい
で、ウェブ上方から所定の圧力の柱状水流を噴射し、水
流とウェブを相対的に移動させ、繊維を3次元的に交絡
させる。水流交絡処理の条件はウェブを構成する繊維の
種類、繊維径、繊維長さ、ウェブの層数、坪量、目標の
品質により変えられるが、均一且つ適度な交絡が得られ
るように支持体、加工速度、ノズル形状、ノズル間隔、
ノズルヘッドの数等を考慮し、水流の水圧と交絡回数を
選ぶことが重要である。
【0025】次に熱処理について説明する。本発明にお
ける熱処理とは本発明の有機繊維の表面を軟化させ、繊
維同士を互いに熱融着させる為の処理である。熱処理の
温度と時間は使用する有機繊維の融点によって適宜決め
られる。有機繊維の融点温度は、例えばPP(ポリプロ
ピレン)系単一成分型の繊維では164〜167℃、P
E(ポリエチレン)系単一成分型の繊維では121〜1
24℃、PPを芯部、PEを鞘部とする複合繊維では鞘
部の融点131〜133℃、PPを芯部、EVA(ポリ
エチレンビニルアセテート)を鞘部とする複合繊維では
100〜110℃である。また、ポリエステル系複合繊
維では例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)を
芯部、PEを鞘部とする複合繊維では130〜134
℃、EVAを鞘部とする複合繊維では96〜100℃で
ある。本発明では上記複合繊維の使用が鞘部である表面
のみ熱融着し、芯部繊維の熱収縮による不織布ウェブの
変形が抑えられる点で特に好ましい。
【0026】本発明の熱処理では上記複合繊維の表面の
接触部分が熱融着すれば良い。熱処理温度は熱処理の方
法により適宜変えられ、繊維の融点温度より高く、或い
は若干低くても良いが、温度が高い場合は熱処理時間は
短く、低い場合は長く、熱処理温度によって調整する必
要がある。処理時間は熱処理温度により1分から1時間
の範囲で適宜調整することが望ましい。温度が高すぎる
場合、処理時間が長すぎる場合には繊維全体が融着し、
収縮し、硬い板となって不織布としての柔軟性が失われ
る。また、密度も高くなる。本発明の熱処理の範囲では
不織布本来の柔軟性、多孔性を失うことなく、表面の毛
羽立ちを解消し、繊維の抜け落ちを防止でき、引っ張り
強度が向上する。また、熱処理をすることにより、繊維
同士が強固に結び付くため、寸法安定性が増す。これに
より電極活物質を充填する際にも膨張が起こりにくくな
り、極板の精度が増す。特に本発明では不織布ウェブの
密度が小さいので、熱処理をしない場合は引張強度が低
く、導電処理が困難になる。
【0027】熱処理する場合テンションができるだけ小
さくなるような方法が好ましい。具体的に熱処理方法と
しては上記温度の熱風オーブンに所定時間通すか、或い
は上記温度の熱ドラムに所定時間接触させる方法があ
る。又、ウェブを連続的熱処理する場合その自重によっ
てもテンションがかかるので、適当な搬送ベルトに乗せ
て送る方法が好ましい。熱処理に際し、圧着すると熱効
率はよくなるが、ウェブ段階で形成された空隙が潰れ、
密度が上がるので、好ましくない。熱ロールを使用する
場合には一旦上記のようなテンションフリーの状態で予
備的に熱処理した後、所定の間隙を開けた十分温度管理
された2本の熱ロールの間を通して熱処理するのが好ま
しい。この場合には、表面のみさらに熱処理され、表面
の毛羽立ちを抑えて平坦性を改善することができる。
【0028】次に導電処理について説明する。一般に有
機繊維のような絶縁性の支持体表面に導電性層を形成す
る方法としては大別して、無電解めっき法、蒸着等の真
空成膜法、導電性カーボン等の塗布法等があげられる
が、不織布のような多孔性の基材の表面をその多孔性を
損なうことなく導電処理するためには薄層で導電性に優
れた無電解めっき法、真空成膜法が好ましい。電気めっ
きに必要な基材の電導度は0.01〜1S/cmで十分
であるので、導電処理層の厚みは0.1〜1μmで十分
である。
【0029】無電解めっき法の工程は基本的にはパラジ
ウム等の触媒付与の工程とこれを触媒として銅、ニッケ
ル等の金属イオンを還元剤で還元析出させる無電解めっ
き工程の2工程である。通常は支持体表面の水酸化ナト
リウム等による表面の洗浄・脱脂の為のコンディショニ
ング工程、めっき層に対するアンカー効果を得るため粗
面化する硫酸、クロム酸等によるソフトエッチング工
程、触媒液の劣化防止の為のプレディップ工程、触媒の
活性化の為の硫酸、水酸化ナトリウム等の酸、アルカリ
による活性化工程等がその前後に付加される。各工程間
にはそれぞれ必要に応じて、水洗、水切り、乾燥等の工
程が付加されて、処理液の安定化及びめっき皮膜の密着
性と均一性向上が図られる。
【0030】真空成膜法には、真空蒸着、イオンプレー
ティング、スパッタリング等の方法があり、銅、銀、ニ
ッケル等の金属を基材上に成膜することができる。これ
らの方法は一般的に方向性が大きく、不織布ウェブのよ
うな多孔性の基材の場合には幾何学的に見えない裏側に
は十分な成膜ができないが、アルゴンンガス等を導入
し、成膜圧力を高めることにより電気めっきに必要な程
度の導電処理は可能であり、本発明の導電処理にも適用
できる。
【0031】次に本発明に使用するニッケル電気めっき
方法について説明する。電気ニッケルめっき液としては
ワット浴、塩化浴、スルファミン酸浴として知られた、
めっき液があるが、構成成分は一般的にはめっき金属イ
オン源として上記無電解ニッケルめっき液に使用するニ
ッケル塩が同様に使用され、さらにほう酸等pH調整
剤、サッカリン、1,5−ナフタレンスルホン酸、ホル
マリン、1,4−ブチンジオール等の光輝剤、界面活性
剤等が少量添加される。電気めっきでは20〜80℃の
上記めっき液中に前記導電性を付与した不織布ウェブを
浸漬し、該不織布を陰極に、ニッケル対極板を陽極に接
続し、直流或はパルス断続電流を1〜15A/dm2
範囲で流してめっきされる。不織布ウェブの導電性が小
さい場合には第一段では低電流密度でめっきし、その後
めっき量が増すに従って電流密度を高くしていくように
数段に分けてめっきすることもできる。不織布繊維上の
電気めっき層の厚みには特に制限はないが、薄過ぎる場
合には極板電流容量が小さくなって、高電流の充放電時
に発熱の恐れがあり、また、厚すぎる場合には柔軟性も
小さくなって、捲回する際にクラックが発生し、また基
板が重くなるばかりか、めっきのコストも高くなり、経
済性が悪化するので、その厚みは2〜10μmの範囲が
適当である。
【0032】本発明のニッケルめっき不織布電極基板は
空隙を有するが、その空隙径はASTMF-316記載のバブル
ポイント法およびミーンフローポイント法により、最大
空隙径、平均空隙径として測定することが可能である。
また、空隙が表裏透けて見える場合には例えば東洋紡不
織布地合測定ソフトにより統計的に孔径の大きさ及び孔
径分布を評価することができる。
【0033】
【実施例】本発明を実施例により更に具体的に説明する
が、本発明はその主旨を越えない限り、下記の実施例に
限定されるものではない。なお、実施例中における、
部、%はすべて重量によるものである。
【0034】実施例1 維度2d(繊維径約18μm)、繊維長51mmのポリ
オレフィン系複合繊維(チッソ製ESC、芯部PP、鞘
部PE)を使用し、カード法のクロスレイヤー法により
幅75cm、坪量は33g/m2の乾式法のウェブを製
造した。
【0035】該ウェブをそのまま、ノズルヘッドを3ヘ
ッド用い柱状水流で水流交絡処理を行なった。第1ヘッ
ドのノズルは2列、ノズル径120μm、ノズル間隔
1.2mm、水圧15kg/cm2、 第2ヘッドのノズ
ルは1列、ノズル径120μm、ノズル間隔0.6m
m、水圧15kg/cm2、第3ヘッドのノズルは1
列、ノズル径100μm、ノズル間隔0.6mm、水圧
10kg/cm2とした。支持体には平織りで線径0.
112mmのステンレス製モノフィラメントを使用し
た、開孔率34%、開孔の大きさ0.023mm2のメ
ッシュ状の支持体に積載し、ウェブを上記の水流下通過
させ、有機繊維間を交絡させた。同様に裏面にも同様の
処理を行なった。交絡の速度は10m/分で行なった。
この交絡ウェブをそのままメッシュ状搬送ベルトにのせ
て、90℃で乾燥を行ない、水流交絡ウェブを得た。
【0036】次に、上記交絡ウェブを縦50cm、横5
0cmの大きさに切断し、100メッシュのステンレス
製金網に乗せ、140℃の熱風オーブンに投入して、5
分間、熱処理し、交絡した繊維の接点を互いに熱融着
し、不織布ウェブを得た。この時不織布ウェブの坪量は
28g/m2、厚みは1.3mmであった。 不織布ウェ
ブの密度は0.021g/cm3であった。
【0037】次に上記の熱処理した不織布ウェブをアル
カリ性クリーナーコンディショナー(室町化学製:MK
−160)の40倍希釈水溶液に55℃にて1分間浸漬
した後、水洗し、次に硫酸−過酸化水素水系のソフトエ
ッチング剤(室町化学製:MK−660)の3倍希釈水
溶液に50℃にて5分間浸漬し、水洗し、2N塩酸水溶
液のプレディップ液に浸漬し、次にコロイド状パラジウ
ム溶液の触媒液(室町化学製:MK−220)の32倍
希釈液に25℃にて10分間浸漬し、水洗し、さらに触
媒を活性化させる硫酸系の活性化液(室町化学製:MK
−360)の10倍希釈液に30℃にて8分間浸漬し、
水洗し、触媒付与を行なった。次にこの不織布ウェブを
無電解ニッケルめっき液(奥野製薬製、化学ニッケルA
及びB各100cc/lを含む)が30℃で循環してい
る容器(幅70cm角、高さ20cm)に約5分間浸漬
して無電解ニッケルめっきにより導電処理を施した。
【0038】次に、長さ50cmにカットした導電処理
済み不織布シートを陰極兼用の取り枠に挟み、硫酸ニッ
ケル240g/l、塩化ニッケル45g/l、ほう酸3
0g/l、サッカリン2g/l、1,4−ブチンジオー
ル0.2g/lを含む電気ニッケルめっき液が50℃で
循環している容器(高さ・幅70cm、奥行き20c
m)の中央に浸漬し、両側のニッケル対電極との間に電
流を流し、めっき量が400g/m2 になるように電気
ニッケルめっきを施し、ニッケルめっき不織布電極基板
を得た。電気めっき後、基板の厚みを測定したところ
1.35mmであった。
【0039】実施例2 維度1.5d(繊維径約15μm)、繊維長51mmの
ポリオレフィン系複合繊維(チッソ製ESC、芯部P
P、鞘部PE)を使用し、カード法クロスレイヤー法に
より幅75cmのウェブを作製し、ニードルパンチ法に
より両面より交絡処理した後、100メッシュのステン
レス製金網を搬送ベルトとする140℃の熱風オーブン
を通過させて、4分間、熱処理し、交絡した繊維の接点
を互いに熱融着し、不織布ウェブを得た。この時不織布
ウェブの坪量は25g/m2 、厚みは1.25mmであ
った。 不織布ウェブの密度は0.020g/cm3であ
った。
【0040】このようにして得た不織布ウェブに実施例
1と同様にして導電処理し、ニッケル電気めっきまで施
し、ニッケルめっき不織布電極基板を得た。電気めっき
後、基板の厚みを測定したところ1.28mmであっ
た。
【0041】実施例3 維度0.9d(繊維径約11μm)、繊維長45mmの
ポリオレフィン系複合繊維(ダイワボウ製NBF−H、
芯部PP、鞘部PE)を70部、維度1.0d(繊維径
約12μm)、繊維長45mmのPP単一繊維(チッソ
製PP−BR)30部をブレンダーにて十分混合し、カ
ード法のクロスレイヤー法により幅75cmのウェブを
作製し、ニードルパンチ法により両面より交絡処理した
後、100メッシュのステンレス製金網を搬送ベルトと
する140℃の熱風オーブンを通過させて、4分間、熱
処理し、交絡した繊維の接点を互いに熱融着し、不織布
ウェブを得た。この時不織布ウェブの坪量は28g/m
2 、厚みは1.15mmであった。不織布ウェブの密度
は0.024g/cm3であった。
【0042】このようにして得た不織布ウェブに実施例
1と同様にして導電処理し、ニッケル電気めっきまで施
し、ニッケルめっき不織布電極基板を得た。電気めっき
後、基板の厚みを測定したところ1.20mmであっ
た。
【0043】実施例4 実施例3において交絡処理することなくそのまま熱処理
し、繊維の接点を互いに熱融着し、不織布ウェブを得
た。この時不織布ウェブの坪量は28g/m2 、厚みは
1.5mmであった。不織布ウェブの密度は0.018
g/cm3であった。このあと、実施例1と同様にして
ニッケル電気めっきまで行い、基板の厚みを測定したと
ころ1.5mmであった。
【0044】比較例1 実施例1において水流交絡処理後、熱処理することな
く、実施例1と同様にしてニッケル電気めっきまで行
い、ニッケルめっき不織布電極基板を得た。電気めっき
後、基板の厚みを測定したところ1.35mmであっ
た。
【0045】比較例2 実施例1において繊維を維度4d(繊維径約25μm)
のものに変え、水流交絡処理の水圧をいずれも60kg
/cm2とした以外は、実施例1と同様にしてニッケル
めっき不織布電極基板を得た。電気めっき後、基板の厚
みを測定したところ1.35mmであった。
【0046】上記実施例1〜4及び比較例1、2で得ら
れたニッケルめっき不織布基板について、不織布ウェブ
の坪量、厚み及び密度とめっき後不織布基板の厚み、空
隙率、引張強度(幅20mm、長さ150mmの試料を
スパン100mm、速度5mm/分で引っ張ったとき
に、試料が破断するまでの最大荷重値で縦方向を測
定)、テープ接着性評価(幅1.5cmのセロハンテー
プを指で貼り付け、引き剥したときの繊維の抜け、めっ
きの剥げ具合で評価)、および繊維の毛羽立ち評価を表
1及び表2にまとめた。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】次いで、前記のように作製した不織布電極
基板を1.10mmの厚さに調厚した後、幅50mm、
長さ75mmの寸法に裁断し、長さ方向一辺に5mmx
5mmの寸法で加圧された電極耳溶接部位を形成した。
次いで、この電極基板を水酸化ニッケル92.5部、酸
化コバルト7.5部からなる活物質混合粉末100部
に、1%カルボキシメチルセルロース溶液36部を加え
混練して作製したニッケルペースト中に浸漬し、浸漬槽
を100トールの減圧下に5分間保持して、電極基板に
ニッケルペーストを充填した。表面に付着した余分なペ
ーストを除去し、80℃の乾燥器中で1時間乾燥した
後、電極板の重量を測定し、ニッケル活物質の充填量を
測定した。
【0050】ついで、ロールギャップを調整しながら電
極板をロールプレス機に通搬し、電極板の厚さが約0.
58mmとなるまで加圧した。加圧後、電極板の厚さと
寸法を測定し、伸び及び活物質の充填密度を求めた。
【0051】ついで、この電極板を幅41mm、長さ7
2mmの寸法に再び裁断し、電極耳溶接部位にニッケル
テープからなる電極耳を溶接し、ニッケル電極とした。
このニッケル電極を水素吸蔵合金電極及びセパレーター
とともに、渦巻状に捲回し、缶に収納後、アルカリ電解
液を注液し、蓋を取り付け封口して円筒型のAA型ニッ
ケル−水素電池を組み立てた。完成したAA型ニッケル
−水素電池を充放電して活性化処理を施した後、110
mAの電流で15時間充電後、220mAの電流で電池
電圧1Vまで放電する充放電サイクルを3回繰り返し、
3回目の放電容量を測定した。
【0052】充填量、伸び、充填密度及び電池容量の測
定結果を表3に示した。
【0053】
【表3】
【0054】実施例1〜4で得られた電極基板は、基材
の不織布ウェブの密度が小さいため、基材繊維を残した
ままでも、空隙率が大きく、又熱処理によって有機繊維
の交絡点を融着し強度を高めることによって充填時のペ
ーストの圧力で電極基板が圧縮されることもなく、孔の
中に活物質ペーストを良く充填することができる。これ
に反し、基材の坪量が多く不織布ウェブの密度が大きい
比較例2は空隙率が低下し孔径も小さくなるので、充填
できるペースト量が少なくなる。又、熱処理を行わない
比較例1は空隙率は高いものの、強度が弱く、充填時の
ペーストの圧力で電極基板が圧縮され、実質的な空隙が
減少するため充填量は低下する。基材の熱処理を行わず
めっき量を増やすことで、電極基板に充分な強度を持た
せることは可能であるが、この場合電極基板の空隙率が
低下し、又孔径も小さくなるので、やはり充填量は低下
する。尚、不織布ウェブに交絡処理を施さない実施例4
は、強度がやや弱くペーストの圧力で電極基板がいくら
か圧縮されるため、交絡処理を施した実施例1〜3と比
べ充填量がやや少なくなる。
【0055】活物質充填後、ロールプレス機で加圧する
と電極板は延伸される。この時、引張強度が強いと伸び
は小さく弱いと伸びは大きくなる。本発明に係わる基材
繊維を残し製造した電極基板は、従来の発泡ニッケルと
比べ、引張強度が強く伸びが小さいため、基材繊維が残
っているにも関わらず、活物質の充填密度を高めること
が可能である。実際、実施例1〜3で得られた電極板
は、活物質が充分充填され、又伸びが小さいので、従来
の発泡ニッケルに比べ活物質の充填密度を高めることが
できる。比較例1は熱処理を行っていないので強度がや
や劣り伸びがやや大きく、活物質を高密度に充填するこ
とができない。実施例4も不織布ウェブに交絡処理を施
していないため伸びがやや大きく、活物質を高密度に充
填する上でいくらか不利である。比較例2は基材の坪量
が多く不織布ウェブの密度が大きいので引張強度に優れ
伸びが小さいものの、充填量が少ないので、高密度に活
物質を充填することができない。
【0056】電池容量は活物質充填量とその利用率の積
である。電池を高容量化するためには活物質の充填密度
を高めると同時に、その利用率を高める必要がある。活
物質の利用率は電極内部におけるOHイオンの拡散性、
活物質間の電子伝導性および表面積などによって支配さ
れる。従って、利用率を高めるために、電極には、充填
密度が高く活物質がよく密着していると同時に、適度に
孔が空きOHイオンの流通経路が形成されていることが
必要となる。実施例1〜3で得られた電極板は、充填密
度が高く、又基材の不織布ウェブの密度が小さいため、
基材繊維を残したままでもOHイオンの拡散を阻害する
ことがない充分な空隙を持ち、強度が強く伸びが少ない
のでクラックの発生も少なく、利用率が高いので、電池
を高容量化できる。実施例4は、実施例1〜3と比べ、
充填密度がいくらか低いものの、電極の空隙が増すの
で、利用率に遜色なく、比較的高い容量を維持できる。
比較例1は充填密度が非常に低く、活物質の密着性も悪
く利用率が低いので、電池の容量は少なくなる。比較例
2は充填密度がかなり低く、又基材の不織布ウェブの密
度が大きく基材繊維を残したままでは電極内部でOHイ
オンの拡散を阻害するため、利用率が低くなり、電池容
量も少ない。
【0057】
【発明の効果】有機繊維の不織布を交絡処理し、熱処理
したウェブにニッケルめっきを施した不織布電極基板に
おいて、不織布ウェブの坪量を40g/m2以下とし、
密度が0.03g/cm3未満とすることにより、基材
繊維を残したままでも、空隙率が大きく、又交絡処理や
熱処理で融着された多くの交絡点を形成することによっ
て、圧縮や伸びに対する強度が強い不織布電極基板を製
造することができる。このようにして製造された電極基
板は結着剤を使用せずに不織布ウェブを製造したにもか
かわらず、繊維の抜け、毛羽立ちがない。従って、この
ニッケルめっき不織布を電池電極基板に用いると、極板
のクラックや基板繊維の毛羽立ちに起因する電池の内部
短絡を減少することができるだけでなく、活物質ペース
トの充填性を高め、伸びが少なく活物質充填密度の高
い、又電極板に適度な活物質密着性とOHイオン拡散性
が付与された利用率の高い電極板を得ることができるの
で、電池を高容量化することができる。
フロントページの続き (72)発明者 篠原 誠治 東京都千代田区丸の内3丁目4番2号三菱 製紙株式会社内 (72)発明者 堀江 俊男 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号古河 電気工業株式会社内 (72)発明者 今井 高広 福島県いわき市常磐下船尾町杭出作23−6 古河電池株式会社いわき事業所内 (72)発明者 伊藤 雅敏 福島県いわき市常磐下船尾町杭出作23−6 古河電池株式会社いわき事業所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱処理後の不織布ウェブの密度が0.0
    3g/cm3未満である不織布ウェブに導電処理し、ニ
    ッケル電気めっきを施すことを特徴とするニッケルめっ
    き不織布電極基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 不織布ウェブの坪量が40g/m2以下
    であることを特徴とする請求項1記載のニッケルめっき
    不織布電極基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 交絡処理後のウェブを熱処理したことを
    特徴とする請求項1又は請求項2記載のニッケルめっき
    不織布電極基板の製造方法。
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