JPH08203534A - ニッケルめっき不織布電極基板の製造方法 - Google Patents

ニッケルめっき不織布電極基板の製造方法

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JPH08203534A
JPH08203534A JP7011888A JP1188895A JPH08203534A JP H08203534 A JPH08203534 A JP H08203534A JP 7011888 A JP7011888 A JP 7011888A JP 1188895 A JP1188895 A JP 1188895A JP H08203534 A JPH08203534 A JP H08203534A
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nickel
web
fibers
fiber
treatment
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JP7011888A
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Jun Yamada
旬 山田
Seiji Shinohara
誠治 篠原
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 有機繊維を主成分とするウェブを熱処理した
不織布ウェブに真空成膜法により導電処理する際に、耐
アルカリ性には優れているが耐熱性に劣るポリオレフィ
ン系繊維を使用してもウェブ繊維の熱収縮や熱変形する
ことなく、かつ断面方向の幾何学的に見えない内部にも
電気めっきに必要な量の導電処理を施す方法を提供し、
均一なニッケル電気めっきを施した電極基板を得るこ
と。 【構成】 有機繊維を主成分とするウェブを熱処理した
不織布ウェブに真空成膜法により導電処理する際に、1
回の成膜量を制限し、複数回成膜して導電処理した後、
電気めっきしたことを特徴とするニッケルめっき不織布
電極基板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はニッケル−カドミウム電
池等のアルカリ電池の電極基板として用いられるニッケ
ルめっき多孔質不織布電極基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−
水素電池、ニッケル−鉄電池、ニッケル−亜鉛電池等ア
ルカリ電池に広く使用されているニッケル極を例に従来
技術について説明する。ニッケル極の製法として、ニッ
ケル粉末を焼結した焼結基板に硝酸ニッケル溶液を含
浸、アルカリ溶液で中和して活物質を充填する焼結式極
板および発泡ニッケルやニッケル繊維等三次元構造の基
板にペースト状の水酸化ニッケルを充填するペースト式
極板が実用化されている。極板はできるだけ多くの活物
質を保持し、かつ所定量の活物質からできるだけ効率よ
く集電するとともに強度を維持するため、電極基板に種
々の工夫が凝らされてきた。
【0003】焼結式極板は焼結基板の空隙率が75〜8
0%と低い上、硝酸塩溶液中のニッケル含有量が少ない
ため、所定の活物質充填量を得るためには含浸−中和の
充填サイクルを数回以上繰り返す必要があり、充填サイ
クルを繰り返すに従い硝酸塩溶液の基板内部への浸透が
悪化するため活物質を高密度に充填することが困難であ
る。一方、シート状の発泡ウレタンにめっきを施し基板
を還元雰囲気中で熱分解した発泡ニッケル、有機繊維不
織布にめっきを施し基板を還元雰囲気中で熱分解したニ
ッケルフェルトおよびニッケル繊維を焼結したニッケル
マット等三次元構造電極基板は空隙率が90%以上と高
い上、孔径が大きくペースト状の水酸化ニッケルを直接
充填できることから活物質を高密度に充填することが容
易である。
【0004】しかし、発泡ニッケルやニッケルフェルト
等中空の三次元構造電極基板を用いた極板は構造的に柔
軟性に乏しく、円筒型電池に使用した場合、円筒状に捲
回する際クラックが発生し、その割れ目において内部短
絡が生じ易いだけでなく極板の集電機能が損なわれ電池
性能面で問題が生じる。又、角型電池に使用した場合、
クラックは発生しないものの充放電反応に伴う活物質の
体積変化により、電池ケースの耐圧が低いため次第に膨
らみ、基板と活物質あるいは活物質同士の密着性が損な
われ円筒型と同様に集電機能が悪化して電池性能面で問
題が生じる。柔軟性を上げるべくめっき量を減らすとさ
らに強度が低下し、実用上電極基板として使用できなく
なる。又、ニッケルマットを電極基板として用いた極板
は引張強度が弱く加工性に乏しいだけでなく、ニッケル
繊維の毛羽立ちあるいはニッケル繊維の脱落に起因する
内部短絡が生じ易く問題である。
【0005】柔軟性や引張強度および繊維の毛羽立ちを
改善した三次元構造電極基板として、有機繊維で構成し
た繊維集合体にエポキシ系樹脂を繊維間結合剤として適
用し、ウェブ構成繊維が相互に交差、接触する部分およ
び繊維間表面を接着被覆せしめて形成した不織布に無電
解ニッケルめっきを施した基板が特開平3−17957
号公報に示されている。このめっき不織布基板は、電極
の強度に優れ、且つ空隙率が充分高く活物質の高密度充
填が期待できる。しかし、この方法では電極の引張強度
は向上しているもののエポキシ樹脂の塗布及び硬化等の
有機溶剤系化合物による処理が必要であるため、強度を
上げようとすれば必然的に処理量を増やさねばならず、
処理前の不織布の本来の空隙を埋める結果となり、空隙
率を増すためには基材の体積を減らすことができず、断
面方向の圧縮性も乏しくなり、高密度に充填する上で不
利になる問題があった。
【0006】上記電極基板は基材を導電処理し、その後
ニッケルを電気めっきして作られる。導電処理として例
えば、導電性カーボンで処理する場合、導電性に劣るた
め数μmの厚みに処理しなければならず、基材を熱分解
して除去する場合はよいが、基材を残して、強度を上げ
ようとする場合にはそれだけ基板の体積が増えて、高密
度化には不利である。無電解めっきで導電処理する場合
には導電層の体積は無視でき導電性もよいが、湿式処理
である上に処理工程が複雑で、工程管理も煩雑でコスト
も高くなる。蒸着により繊維表面に金属を付着させる方
法はすでに特開昭47−8899号公報に記載されてい
るが、無電解めっきの触媒形成が目的であって、帯電防
止程度の導電性しかなく、電気めっきはできない。特開
昭51−65377号公報では合成樹脂単線に蒸着によ
り導電処理し、電気めっきしたプラスチック導電性素線
を開示し、単一繊維には蒸着により電気めっき可能な導
電処理ができることを示している。特開昭56−693
34号公報は金属蒸着膜を形成後、基材を除去し、金属
多孔体を得る方法を開示している。特開昭61−766
86号公報は真空中の金属被覆による導電処理後電気め
っきによりシート状の多孔質金属構造の製造方法を開示
している。この方法では蒸着量が少ない場合には直接電
気めっきするための導電性が得られず、蒸着層を触媒と
し、無電解めっきで金属層を厚くしている。1回の処理
で電気めっきに必要な導電処理するためには数分間の蒸
着が必要であり、繊維径の大きい、網目の大きな耐熱性
の強いポリエーテル等の基材しか処理できず、しかもウ
ェブの連続処理による導電処理は事実上出来ないばかり
か、電池の高容量化にも自ずと限界がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、有機繊維で
構成した不織布ウェブにニッケルめっきを施した比較的
空隙率の大きい電極基板の製造方法において、耐アルカ
リ性に優れてはいるが耐熱性の劣る例えばポリオレフィ
ン系繊維を使用した不織布ウェブに真空成膜法により導
電処理する際に、ウェブ繊維の熱による収縮、変形を抑
え、内部まで均一な導電性を与えることができる導電処
理方法を提供し、基材体積が小さくても引張強度が強
く、柔軟性のある空隙率の大きな、高容量化可能なニッ
ケルめっき不織布電極基板の製造方法を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
につき鋭意検討した。その結果、有機繊維を主成分とし
て作製したウェブを熱処理して不織布ウェブを作製した
後、1回の成膜量を制限して、複数回に分けて成膜する
ことにより、真空成膜法により成膜する際の熱による基
材ウェブの熱収縮、熱変形が抑制され、しかも不織布ウ
ェブの内部まで導電処理できることを見い出した。その
結果、ニッケル電気めっき後も低坪量で厚みのある基材
の特性を損なうことなく、基板体積が小さく、空隙率が
大きく、しかも強度に優れたニッケルめっき不織布電極
基板が製造できることを見い出した。
【0009】すなわち、本発明は有機繊維を主成分とし
たウェブを熱処理した不織布ウェブに真空成膜法により
導電処理する際に、1回の成膜量を制限し、複数回に分
けて成膜することにより導電処理した後、ニッケル電気
めっきを施すことを特徴とするニッケルめっき不織布電
極基板の製造方法である。
【0010】本発明では有機繊維で構成した繊維集合体
であるウェブを製造し、次に必要に応じてウェブに交絡
処理した後、熱処理して不織布ウェブを製造し、これに
真空成膜法を複数回繰り返して導電処理し、しかる後ニ
ッケル電気めっきして電極基板とする。ウェブは必要に
応じて交絡処理することにより、低密度のウェブの場合
にも構成繊維がさらに互に上下に絡み合い、相互の接点
が増し、熱処理することにより増加した接点において構
成繊維が相互に局部的に熱融着し、著しく強度を上げる
ことができる。その結果、基材の体積が小さく、活物質
収納体積の大きな空隙率の大きな、かつ強度に優れた電
極基板を結合剤を使用することなく作ることができる。
【0011】電極基板には水酸化ニッケルの粉末等のペ
ースト状の電極活物質を充填してニッケル極板とされ
る。従って、めっき前の不織布の有する空隙が多い方
が、即ち不織布の密度が小さい方が電極活物質を多く充
填することができ、電池を高容量化できる。従って、電
極基板の体積は基板の機械的強度が保持できるかぎり小
さい方がよい。即ち、不織布ウェブの密度が小さいほど
めっき後の電極基板の体積も小さくなり、電極活物質の
充填量を増やすことができる。繊維径が太い場合には単
位体積当りの繊維の数が少なく、空隙径が大きくなり、
充填した電極活物質と集電極の距離が長くなって、抵抗
が増し、電極活物質の利用効率が悪化して、逆に電池容
量が制限される。繊維径が細い場合には繊維の数を増や
すことができると同時に空隙径が小さくなり、極板の強
度を保持しつつ、電極活物質の利用効率も維持できる。
【0012】電極基板の厚みは電池の形態、容量、サイ
ズ等により任意に選択可能であって特に制限はなく、従
ってめっき前の不織布ウェブの厚みにも特に制限はな
い。しかし既存の規格型電池の場合にはその形態、容
量、サイズ等が決められていて、これに収納できる厚み
に設定される。例えば円筒型電池の場合には電極基板の
厚みは一般に0.5〜2mmの範囲に設定されるので、
めっき前の不織布ウェブの厚みとしては、めっきによる
厚み増大も考慮して、0.5〜2mmの範囲に設定する
のが適当である。不織布ウェブの厚みの測定にはその圧
縮性に配慮した低荷重(50g)の不織布用厚み計が使
用され、その厚みが管理される。
【0013】以下、本発明について順を追って詳細に説
明する。まず、有機繊維で構成した繊維集合体であるウ
ェブを製造し、次に必要に応じてこのウェブを水流によ
り3次元的に交絡処理し、しかる後、熱処理して、不織
布ウェブを作製し、これに真空成膜法による導電処理を
複数回繰り返した後、ニッケル電気めっきしてニッケル
めっき不織布電極基板とする。
【0014】一般に、不織布に用いられる繊維として
は、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニ
ル系、ポリアクリロニトリル系、ポリアミド系、ポリビ
ニルアルコール系繊維、ナイロン繊維、ウレタン繊維、
再生セルロース繊維等の有機繊維、或いはガラス繊維等
の無機繊維等の繊維がある。
【0015】本発明ではニッケル−カドミウムアルカリ
電池等の電極基板用として使用する為、耐アルカリ性が
強く、不活性であるものが望ましく、特にポリオレフィ
ン系繊維例えばポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維
等、或いはこれらを同心円状にした、或は偏心状にした
芯鞘型複合繊維、またはこれらの成分を貼合わせた並列
型複合繊維等の有機繊維が好ましい。また、鞘部をポリ
オレフィンポリマーとしたポリエステル系の芯鞘型複合
繊維も使用できる。また、上記有機繊維は必要に応じて
混合して使用することも可能である。特に、水流交絡処
理されて得られる不織布ウェブの場合には、交絡処理段
階で溶解除去可能な結着剤繊維、例えば水流で溶解流出
するポリビニルアルコール系繊維等を、混合し、不織布
ウェブを強化することができる。
【0016】有機繊維の断面形状も特に制限はなく、円
形のみならず楕円形、偏平、三角形、星型、T型、Y
型、U型、ドッグボーン型等いわゆる異型断面形状をと
るものでも良い。むしろ、不織布の空隙率、比表面積が
向上するので円形以外の断面形状をもつ繊維或は内部が
空洞になった中空有機繊維の使用は好ましい。さらに、
折れ曲がった繊維、巻縮機能を持つ繊維、枝別れした構
造をもつ繊維の使用も低密度の不織布ウェブを製造する
上で好ましいものである。当然、以上の繊維以外に、本
発明で特定された以外の繊維を不織布内に少量含有させ
ることは可能であるが、本発明の不織布ウェブの性能を
阻害する範囲であってはならない。
【0017】ウェブの製造方法としては一旦有機短繊維
を製造してからシート化するカード法、エアレイ法、紡
糸状態から連続的にシート化するメルトブロー法、スパ
ンボンド法等の乾式法、パルプ或は有機短繊維を一旦水
中に分散してから漉取る湿式抄造法等が挙げられる。本
発明でウェブ製造後、水流による3次元交絡処理を行う
場合には、前記製造方法の内、ウェブの段階で繊維が結
着剤或は繊維同士の熱融着で恒久的に固定されない製造
法、例えばカード法、エアレイ法等の乾式法、或は湿式
抄造法が好ましい。
【0018】ウェブの製造方法により用いられる繊維の
繊維径と繊維長は異なり、特に制限はないが、用いられ
る繊維の繊維径、繊維長によりできあがる不織布の風合
い、厚みの範囲、空隙率、空隙の形状、開孔径、均質
性、柔軟性、弾力性、毛羽だち、繊維の脱落等の特性が
異なるので、目的に応じて適宜選択される。当然、目的
により繊維径、繊維長の異なる有機繊維を2種以上混合
して用いることもできる。
【0019】例えば、カード法では繊維径5〜50μ
m、繊維長30〜100mmの長い繊維を用いることが
でき、かさ高くて密度の低い、ふかふかしたウェブが製
造可能である。本発明では不織布ウェブの坪量は出来る
限り小さい方が電極基板の体積を小さくする上で好まし
い。ウェブの坪量が小さい場合、繊維径が大きいと繊維
数が少なくなり、均一なウェブが抄造できないばかり
か、めっき後の基板の空隙径が大きくなりすぎて活物質
の保持性が悪くなり、円筒型電池製作の際、極板の捲き
回作業時に活物質の脱落が生じ好ましくない。また、繊
維径が細すぎる場合には繊維の剛度が小さくなり、必要
な厚みを保持することが困難になる。従って、本発明で
は繊維径は5〜30μmの範囲が好ましい。
【0020】湿式抄造法では繊維径5〜35μm、繊維
長1〜50mmの繊維を用いることができ、薄手の均一
なウェブが製造可能である。湿式抄造法の場合、繊維長
が50mmを超えるものは、繊維の分散中に繊維がもつ
れるため、好ましくなく、また、3次元交絡処理を行う
場合には繊維が短か過ぎると交絡時に脱落し、交絡が不
十分となって強度が低下するので、本発明では、10〜
30mmの範囲が好ましい。さらに、繊維径が細すぎる
と、不織布ウェブが緻密になりすぎるため、密度が大き
くなり、または空隙率が低下し好ましくなく、また逆に
太くなりすぎると繊維の剛度が高くなり、その交絡処理
が不十分となり、場合により交絡せずに繊維が脱落する
ので好ましくない。本発明において湿式抄造法により低
密度のウェブを製造するためには繊維径は10〜30μ
mが好ましい。
【0021】次に交絡処理について説明する。3次元交
絡処理とは、上記の不織布ウェブを単層、或いは、複数
積層し、支持体に載せ、不織布ウェブに機械的処理を施
し、繊維を3次元的に交絡する方法であり、具体的に
は、ニードルパンチ法、水流交絡法があげられる。ニー
ドルパンチ法とは、不織布ウェブ上方或は下方から多数
の針を突き刺し、不織布ウェブを構成する繊維を3次元
交絡させ、強度を発現させる方法であり、水流交絡法と
は、不織布ウェブ上方から多数の細い水流を噴射し、不
織布ウェブを構成する繊維を3次元交絡させ、強度を発
現させる方法である。細い繊維でも交絡が均一に行わ
れ、生産速度が速い点では水流交絡法が好ましい。又、
必要に応じてニードルパンチ後さらに水流交絡して、さ
らに交絡を高めたり、或は水流の圧力を調整して表面の
毛羽たちを抑えることができる。
【0022】例えば、カード法等の乾式法で製造したウ
ェブの場合には交絡処理すると交絡前に比べて強度を増
すとともに、厚みも薄くなり、電極基板用不織布として
適当な厚みと空隙率を有する低密度の交絡ウェブとする
ことができる。また湿式抄造法の場合には抄造時ウェブ
断面内で上下に層状に密に配列した有機繊維が交絡処理
することにより上下の繊維が相互に絡み合い、結着剤を
加えなくても強度が発現する。しかも、繊維が曲がって
上下に絡み合う結果その空隙が上下に広がり、厚みを増
し、ふかふかした空隙に富んだ弾力性のある交絡ウェブ
となる。さらにその空隙の形状は交絡前に比べて著しく
丸味を帯びたものとなる。いずれの場合も交絡処理によ
り繊維同士の接点の数が増し、熱処理の際にそのまま接
点が融着し、繊維同士の融着点が増して引っ張り強度が
向上するとともに寸法安定性も向上する。
【0023】水流交絡処理の際には製造されたウェブは
60〜200メッシュの多孔質の支持体に積載し、つい
で、ウェブ上方から所定の圧力の柱状水流を噴射し、水
流とウェブを相対的に移動させ、繊維を3次元的に交絡
させる。水流交絡処理の条件はウェブを構成する繊維の
種類、繊維径、繊維長さ、ウェブの層数、坪量、目標の
品質により変えられるが、均一且つ適度な交絡が得られ
るように支持体、加工速度、ノズル形状、ノズル間隔、
ノズルヘッドの数等を考慮し、水流の水圧と交絡回数を
選ぶことが重要である。
【0024】次に熱処理について説明する。本発明にお
ける熱処理とは本発明の有機繊維の表面を軟化させ、繊
維同士を互いに熱融着させる為の処理である。熱処理の
温度と時間は使用する有機繊維の融点によって適宜決め
られる。有機繊維の融点温度は、例えばPP(ポリプロ
ピレン)系単一成分型の繊維では164〜167℃、P
E(ポリエチレン)系単一成分型の繊維では121〜1
24℃、PPを芯部、PEを鞘部とする複合繊維では鞘
部の融点131〜133℃、PPを芯部、EVA(ポリ
エチレンビニルアセテート)を鞘部とする複合繊維では
100〜110℃である。また、ポリエステル系複合繊
維では例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)を
芯部、PEを鞘部とする複合繊維では130〜134
℃、EVAを鞘部とする複合繊維では96〜100℃で
ある。本発明では上記複合繊維の使用が鞘部である表面
のみ熱融着し、芯部繊維の熱収縮による不織布ウェブの
変形が抑えられる点で特に好ましい。
【0025】本発明の熱処理では有機繊維同士の表面の
接触部分が熱融着すれば良い。熱処理温度は熱処理の方
法により適宜変えられ、繊維の融点温度より高く、或い
は若干低くても良いが、温度が高い場合は熱処理時間は
短く、低い場合は長く、熱処理温度によって調整する必
要がある。処理時間は熱処理温度により1分から1時間
の範囲で適宜調整することが望ましい。温度が高すぎる
場合、処理時間が長すぎる場合には繊維全体が融着し、
収縮し、硬い板となって不織布としての柔軟性が失われ
る。また、密度も高くなる。本発明の熱処理の範囲では
不織布本来の柔軟性、多孔性を失うことなく、表面の毛
羽立ちを解消し、繊維の抜け落ちを防止でき、引っ張り
強度が向上する。また、熱処理をすることにより、繊維
同士が強固に結び付くため、寸法安定性が増す。これに
より電極活物質を充填する際にも膨張が起こりにくくな
り、極板の精度が増す。熱処理をしない場合は引張強度
が低く、導電処理が出来ない。
【0026】熱処理する場合テンションができるだけ小
さくなるような方法が好ましい。具体的に熱処理方法と
しては上記温度の熱風オーブンに所定時間通すか、或い
は上記温度の熱ドラムに所定時間接触させる方法があ
る。又、ウェブを連続的熱処理する場合その自重によっ
てもテンションがかかるので、適当な搬送ベルトに乗せ
て送る方法が好ましい。熱処理に際し、圧着すると熱効
率はよくなるが、ウェブ段階で形成された空隙が潰れ、
密度が上がるので、好ましくない。熱ロールを使用する
場合には一旦上記のようなテンションフリーの状態で予
備的に熱処理した後、所定の間隙を開けた十分温度管理
された2本の熱ロールの間を通して熱処理するのが好ま
しい。この場合には、表面のみさらに熱処理され、表面
の毛羽立ちを抑えて平坦性を改善することができる。
【0027】次に本発明における真空成膜法による導電
処理方法について説明する。真空成膜法には、真空蒸
着、イオンプレーティング、スパッタリング等の方法が
ある。これらの方法は一般的に方向性が大きく、不織布
ウェブのような多孔性の基材の場合には幾何学的に見え
ない裏側には十分な成膜ができない。強いて一回の処理
で幾何学的に見えない裏側或は表裏両面にも電気めっき
に必要な導電処理を処理しようとすれば、シート状基材
でしかも蒸発源を複数個設けたり、基材の蒸発源に対す
る角度を変えたり、蒸発源を回転させたりし、蒸着量も
増やさねばならず、このため耐熱性に劣る不織布ウェブ
や繊維径の細い不織布ウェブでは特に蒸発源の正面に当
たる側で繊維表面が溶解したり、熱収縮して熱変形が大
きくなり、適用困難であった。このような成膜時に発生
する熱は蒸着源の加熱方法、蒸着時の遮弊方法によって
も異なるが、本質的には溶融した金属が繊維上で凝縮
し、金属膜になる際に放出される凝集潜熱の影響が大き
い。有機繊維は熱電導性が悪く、一度に多量の蒸着物質
が繊維表面に付着する場合にはその潜熱が放熱されるこ
となく蓄積されて繊維全体を軟化させ、甚だしい場合に
は繊維表面の溶解、繊維の熱収縮が起こる。
【0028】本発明ではこのような成膜物質の凝集潜熱
の影響をできるだけ避け、しかも電気めっきに必要な成
膜量を確保するため、1回の成膜量をできるだけ減ら
し、その間に放熱し、これを複数回繰り返して導電処理
する。成膜時の凝集潜熱の影響は当然成膜物質の成膜効
率によって異なり、従って上記成膜方法によって異な
る。例えば、真空蒸着では単位時間当りの成膜速度が速
く、即ち蒸着量が多く、短時間で所定量の成膜量を得る
ことが出来る。繊維上の成膜量は同条件で表面平滑なフ
ィルム或はガラス上に成膜したテストピースで評価する
ことができる。本発明では1回の成膜量は真空蒸着の場
合には0.03μm程度に止めるのが適当である。ま
た、スパッタリングでは成膜速度は遅く、所定量の成膜
量を得るのに時間がかかるので、成膜中の放熱を考慮す
ると、1回の成膜量は真空蒸着より厚くてもよいが、
0.05μm程度に止めるのが好ましい。
【0029】成膜の回数には特に制限はないが、導電処
理は少なくとも表裏各1回行うのが好ましい。複数回の
成膜による合計の膜厚には特に制限はないが、1回の成
膜量が少なすぎる場合は必要な導電性を得るための成膜
回数が多くなり、生産性が低下する恐れがある。上記真
空成膜法では成膜時の圧力も異なり、それによって方向
性も変わる。例えば真空蒸着では通常2x10ー5Tor
rの圧力で、スパッタリング、イオンプレーティングで
は2x10ー3Torrの圧力で成膜されるが、圧力が高
い方が方向性は小さく、裏回りの効果が得られる。本発
明では真空蒸着においても成膜圧力を2x10ー4Tor
r以上に調整するのが好ましい。成膜圧力の調整は通常
アルゴン等の不活性ガスを導入して行われる。裏回りの
効果が大きい程、成膜回数を減らすことが出来るが、圧
力が高すぎる場合には皮膜性が悪化し、成膜量が多くて
も導電性が低下し、好ましくない。
【0030】真空成膜法による導電処理に使用する金属
としては金、銀、白金、ニッケル、クロム、鉄、銅、
錫、アルミニウム、チタン、亜鉛及びこれらの合金等を
挙げることが出来るが、本発明の電池用ニッケル電極基
板の導電処理にはニッケルが特に好ましい。また、蒸発
源は搬送方向に複数個設置することが可能であるが、蒸
着中の不織布ウェブにはそれぞれの蒸発源の蒸発ゾーン
で受ける熱が蓄積するのを防ぐため、適度に間隔をあ
け、その間に冷却できることが望ましい。また、連続処
理には不織布ウェブにできるだけテンションがかからな
い搬送方法例えばニップロールによる搬送が好ましい。
【0031】次に本発明に使用するニッケル電気めっき
方法について説明する。電気ニッケルめっき液としては
ワット浴、塩化浴、スルファミン酸浴として知られた、
めっき液があるが、構成成分は一般的にはめっき金属イ
オン源として上記無電解ニッケルめっき液に使用するニ
ッケル塩が同様に使用され、さらにほう酸等pH調整
剤、サッカリン、1,5ナフタレンスルホン酸、ホルマ
リン、1,4ブチンジオール等光輝剤、界面活性剤等が
少量添加される。電気めっきでは20〜80℃の上記め
っき液中に前記導電性を付与した不織布ウェブを浸漬
し、該不織布を陰極に、ニッケル対極板を陽極に接続
し、直流或はパルス断続電流を1〜15A/dm2の範
囲で流してめっきされる。 不織布ウェブの導電性が小
さい場合には第一段では低電流密度でめっきし、その後
めっき量が増すに従って電流密度を高くしていくように
数段に分けてめっきすることもできる。
【0032】本発明のニッケルめっき不織布電極基板は
空隙を有するが、その空隙径はASTMF-316記載のバブル
ポイント法およびミーンフローポイント法により、 最
大空隙径、平均空隙径として測定することができる。
【0033】めっき後の電極基板には電極端子が取り付
けられた後、水酸化ニッケル粉末等の電極活物質が充填
され、プレスされ、電極活物質と基板の密着が図られる
とともに所定の厚みに調整されて電池に組み込まれる。
電極基板の厚みは一般に同一坪量の場合にはその厚みに
活物質の充填量が比例するので、所定の厚みより厚い場
合には適宜所定の厚みになるように予備プレスし、厚み
を揃えてから活物質を充填する方がよい。
【0034】
【実施例】本発明を実施例により更に具体的に説明する
が、本発明はその主旨を越えない限り、下記の実施例に
限定されるものではない。なお、実施例中における、
部、%はすべて重量によるものである。
【0035】実施例1 維度4d(繊維径25μm)、繊維長20mmのポリオ
レフィン系複合繊維(チッソ製EAC、芯部PP、鞘部
EVA)97部を1%ノニオン系分散剤溶液中に浸漬し
た。ついで熱水可溶性ポリビニルアルコール(PVA)
繊維3部を、ノニオン系分散剤1%溶液中に浸漬した。
このものを水中に投入し、高速ミキサーで3分間攪拌
し、繊維を離解させた後、往復回転式撹拌機(アジタ
ー、島崎製作所社製)を装着したチェスト内で緩やかに
撹拌した。次いで速やかに、ポリアクリルアミド0.1
%水溶液(粘剤)を適宜添加し、引続き緩やかに撹拌し
た。このようにして、均一なスラリーを調製した。該ス
ラリーを用い、円網抄紙機で幅50cm、乾燥重量で坪
量50g/m2のウェブを抄造した。
【0036】該ウェブをそのまま、ノズルヘッドを3ヘ
ッド用い柱状水流で水流交絡処理を行なった。第1ヘッ
ドのノズルは2列、ノズル径120μm、ノズル間隔
1.2mm、水圧50kg/cm2、 第2ヘッドのノズルは1
列、ノズル径120μm、ノズル間隔0.6mm、水圧5
0kg/cm2、 第3ヘッドのノズルは1列、ノズル径10
0μm、ノズル間隔0.6mm、水圧30kg/cm2とし
た。 支持体には平織りで線径0.112mmのステンレ
ス製モノフィラメントを使用した、開孔率34%、開孔
の大きさ0.023mm2のメッシュ状の支持体にウェブ
を積載し、 上記の水流下、通過させ、有機繊維間を交
絡させると共に、ポリビニルアルコールバインダーを溶
出させた。同様に裏面にも同様の処理を行なった。交絡
の速度は10m/分で行なった。この交絡ウェブをその
ままメッシュ状搬送ベルトにのせて、90℃で乾燥を行
ない、水流交絡ウェブを得た。
【0037】次に、該交絡ウェブを表面温度130℃の
2本の熱ドラムに通し、表裏を順に2分間ずつ接触させ
て、連続的に熱処理し、不織布ウェブを得た。この時の
不織布ウェブの坪量は48g/cm2、厚みは1.1m
mであった。
【0038】次に上記の熱処理した不織布ウェブを幅3
0cmにスリットし、蒸発源1個を有するアルゴンガス
を導入した2x10ー3Torrの成膜圧力の蒸着装置の
中を蒸発源のEB出力12kw、ウェブの搬送速度24
m/minの条件で往復させて表裏各2回ずつ、計4回
に分けて順次ニッケル蒸着し、導電処理した。この時、
テストピースのフィルム上に蒸着されたニッケルの厚み
は片面で0.05μm、比抵抗は18μΩ・cmであっ
た。蒸着後ウェブの表面を観察したところ熱による繊維
の溶融変形は見られなかった。
【0039】次に、長さ50cmにカットした導電処理
済み不織布シートを陰極兼用の取り枠に挟み、硫酸ニッ
ケル240g/l、塩化ニッケル45g/l、ほう酸3
0g/l、サッカリン2g/l、1,4−ブチンジオー
ル0.2g/lを含む電気ニッケルめっき液が50℃で
循環している容器(高さ・幅70cm、奥行き20c
m)の中央に浸漬し、両側のニッケル対電極との間に1
00Aの電流を30分間流して、電気ニッケルめっきを
施し電極基板を得た。この基板の厚みを測定したところ
1.2mmであった。またこの基板を裁断し断面を観察
したところ全般に渡り電気めっきされていることが確認
された。
【0040】比較例1 実施例1の表裏両面合わせた蒸着量になるように蒸着速
度を6m/minに下げ、表面からのみ1回で蒸着した
以外は実施例1と同様にして導電処理まで行った。蒸着
後、処理面を観察したところ、繊維が融解し、熱収縮
し、蒸着処理された側が縮みカールした。さらに裏面側
には蒸着されないところが見られ、電気めっきしても裏
側まで均一に電気めっきできないことが確認された。従
って、電極基板として使用できないことが判った。
【0041】比較例2 実施例1においてアルゴンガスを排出し、成膜圧力を2
x10ー5Torrに下げて蒸着した以外は同様にして導
電処理まで行った。この時、テストピースのフィルム上
に蒸着されたニッケルの厚みは0.04μm、比抵抗は
10μΩ・cmであった。このようにして導電処理した
不織布ウェブを実施例1と同様にして電気ニッケルめっ
きした。電気めっき後、裁断し、断面を観察したところ
中央部に電気めっきされていない部分が残っていること
が確認された。
【0042】実施例2 実施例1と同じ蒸着条件で表面からのみ4回に分けて蒸
着し、導電処理した以外は実施例1と同様にして電極基
板を得た。この時、テストピースのフィルム上に蒸着さ
れたニッケルの厚みは0.09μm、比抵抗は6μΩ・
cmであった。このようにして導電処理したニッケル電
気めっき前の不織布ウェブは蒸着された表面側に若干カ
ールしていたが、表面のウェブ繊維に熱変形は見られな
かった。得られた電極基板を裁断し、断面を観察したと
ころ裏面まで均一に電気めっきされていることが確認さ
れた。
【0043】実施例3 維度3d(繊維径約22μm)、繊維長51mmのポリ
オレフィン系複合繊維(チッソ製ESC、芯部PP、鞘
部PE)を使用し、カード法クロスレイヤー法により幅
75cm、坪量45g/m2の乾式法のウェブを製造し
た。
【0044】該ウェブを単層のまま使用し、実施例1の
水流交絡処理の交絡条件を第1ヘッドの水圧30kg/cm
2、第2ヘッドの水圧30kg/cm2、第3ヘッドの水圧1
0kg/cm2、とする以外は同様に水流交絡処理し、交絡
ウェブを得た。 次に、該交絡ウェブを縦50cm、横
50cmの大きさに切断し、100メッシュのステンレ
ス製金網に乗せ、140℃の熱風オーブンに投入して、
5分間、熱処理し、交絡した繊維の接点を互いに熱融着
し、不織布ウェブを得た。この時不織布ウェブの坪量は
43g/cm2、厚みは1.3mmであった。
【0045】次に上記の熱処理した不織布ウェブを幅3
0cmにスリットし、蒸発源1個を有するアルゴンガス
を導入した2x10ー3Torrの成膜圧力の蒸着装置の
中を36m/min、EB出力10kwの条件で表裏各
4回ずつ、計8回に分けて順次ニッケル蒸着し、導電処
理した。この時、テストピースのフィルム上に蒸着され
たニッケルの厚みは片面で0.06μm、比抵抗は15
μΩ・cmであった。このようにして導電処理した不織
布ウェブの繊維表面を観察したところ繊維の溶融変形は
見られなかった。以下実施例1と同様にしてニッケル電
気めっきを行い電極基板を得た。この基板の厚みを測定
したところ1.5mmであった。得られた電極基板を裁
断し、断面を観察したところ均一に電気めっきされてい
ることが確認できた。
【0046】実施例4 維度1.5d(繊維径約15μm)、繊維長51mmの
ポリオレフィン系複合繊維(大和紡製NBF−H、芯部
PP、鞘部PE)を使用し、カード法クロスレイヤー法
によりウェブを形成し、さらに両側よりニードルパンチ
により交絡処理した後該ウェブを搬送ベルトに乗せて、
温度135℃の熱風炉に搬送し、速度5m/minで連
続的に通過させて、熱処理し、坪量45g/m2、 厚み
1.2mmの乾式法の不織布ウェブを製造した。
【0047】次に上記の熱処理した不織布ウェブを幅3
0cmにスリットし、蒸発源1個を有するアルゴンガス
を導入した2x10ー3Torrの成膜圧力の蒸着装置の
中を36m/min、EB出力10kwの条件で表裏各
4回ずつ、計8回に分けて順次ニッケル蒸着し、導電処
理した。この時、テストピースのフィルム上に蒸着され
たニッケルの厚みは片面で0.06μm、比抵抗は15
μΩ・cmであった。このようにして導電処理した不織
布ウェブの繊維表面を観察したところ繊維の溶融変形は
見られなかった。以下実施例1と同様にしてニッケル電
気めっきを行い電極基板を得た。この基板の厚みを測定
したところ1.3mmであった。得られた電極基板を裁
断し、断面を観察したところ均一に電気めっきされてい
ることが確認できた。
【0048】実施例5 実施例3で得られた不織布ウェブを使用し、5x18イ
ンチのニッケルカソードを有するスパッタリング装置に
より、成膜圧力5x10-3Torr、成膜パワー2.3
kw、1m/minの速度でスパッタリングにより表裏
を順次導電処理した。この時、比較のフィルム上にスパ
ッタリングされたニッケルの厚みは片面で0.048μ
m、比抵抗は30μΩ・cmであった。このようにして
導電処理した不織布ウェブの繊維表面を観察したところ
繊維の溶融変形は見られなかった。以下実施例1と同様
にしてニッケル電気めっきを行い電極基板を得た。この
基板の厚みを測定したところ1.2mmであった。得ら
れた電極基板を裁断し、断面を観察したところ均一に電
気めっきされていることが確認できた。
【0049】実施例1〜5で得られた各不織布電極基板
を幅50mm、長さ75mmに裁断し、上部中央に極板
耳となるニッケルテープを溶接したこれらニッケルめっ
き不織布電極基板に、水酸化ニッケル85部、ニッケル
粉末10部、コバルト粉末5部から成る活物質混合粉末
100部に、1%カルボキシメチルセルロース溶液30
部を加え混練したニッケルペーストを100トールの減
圧下で充填し、表面に付着したペーストを充分に除去し
乾燥した後、5トン/cm2 の圧力で加圧し、幅が41
mmで体積が1.4cm3 となるような長さに裁断して
ニッケル極を作製した。得られたニッケル極と体積2.
0cm3 の焼結式のカドミウム極をセパレーターを介し
て渦巻状に捲回し、缶に挿入後、アルカリ電解液を注
液、封口して円筒AA型のニッケル・カドミウム電池を
各10セル合計50セル作製した。完成したAA型電池
を用い、60mAの電流で15時間充電後、120mA
の電流で電池電圧1Vまで放電する充放電サイクルを3
回繰り返し、電池の放電容量を測定した。ニッケル極の
評価として、ニッケル極の活物質充填密度、極板捲回に
よる内部短絡セル数および完成電池の3サイクル目放電
容量の平均値を評価し、その結果を表1にまとめた。
尚、従来の焼結式ニッケル極の場合、活物質充填密度は
1.7g/cm3 。これを用い同様に構成された円筒A
A型電池の容量は約630mAHである。
【0050】
【表1】
【0051】実施例1〜5で得られた電極基板は、基板
体積が小さく、空隙率が大きく、結着剤を使用せずに製
造したにも関わらず、引張強度が向上し、かつ、熱処理
することにより繊維の抜け、毛羽立ちも解消している。
さらにポリオレフィン系繊維を使用したにもかかわら
ず、複数回に分けた真空成膜法により導電処理を施すこ
とにより、無電解めっきの処理工程よりも簡略化され、
めっき皮膜と繊維との間の接着性も向上していることが
わかった。従って、これらニッケルめっき不織布に活物
質ペーストを充填して製作した極板は、活物質が高密度
に充填され、電池を構成した時に活物質の脱落や毛羽立
ちに起因する電池内部短絡もなく、電池を高容量化する
ことができた。
【0052】
【発明の効果】有機繊維を主成分とするウェブを熱処理
した不織布ウェブに真空成膜法により導電処理する際
に、1回の成膜量を制限し、複数回に分けて成膜して導
電処理することにより、耐アルカリ性には優れているが
耐熱性に劣るポリオレフィン系繊維を使用した基材で
も、ウェブ繊維の熱収縮や不織布ウェブの熱変形を抑
え、かつ断面方向の幾何学的に見えない内部にも導電処
理することができる。このようにして導電処理すること
により、無電解めっきのような複雑な湿式処理によるこ
となく、乾式法で簡単に生産性よく導電処理でき、内部
まで均一に電気めっきされたニッケルめっき不織布電極
基板を製造することができる。このようにして製造され
た電極基板は結着剤を使用せずに基材ウェブを製造した
にもかかわらず、引っ張り強度特性が向上し、かつ繊維
の抜け、毛羽立ちを抑えた、基材体積の小さい、空隙率
の大きなニッケルめっき不織布電極基板になる。このニ
ッケルめっき不織布電極基板を電池電極に用いることに
より、極板のクラックや基板繊維の毛羽立ちに起因する
電池の内部短絡を減少することができるだけでなく、活
物質を高密度に充填することが可能となり電池を高容量
化することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 11/83 D21H 27/00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機繊維を主成分としたウェブを熱処理
    して得られた不織布ウェブに、真空成膜法により導電処
    理する際に、1回の成膜量を制限し、複数回に分けて成
    膜して導電処理した後、ニッケル電気めっきを施すこと
    を特徴とするニッケルめっき不織布電極基板の製造方
    法。
JP7011888A 1995-01-27 1995-01-27 ニッケルめっき不織布電極基板の製造方法 Pending JPH08203534A (ja)

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