JPH0832814B2 - ポリオキシメチレン樹脂成形用組成物 - Google Patents

ポリオキシメチレン樹脂成形用組成物

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JPH0832814B2
JPH0832814B2 JP2000595A JP59590A JPH0832814B2 JP H0832814 B2 JPH0832814 B2 JP H0832814B2 JP 2000595 A JP2000595 A JP 2000595A JP 59590 A JP59590 A JP 59590A JP H0832814 B2 JPH0832814 B2 JP H0832814B2
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interpolymer
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ppm
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雅彦 二井野
靖郎 服部
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、成形加工性に優れた耐衝撃性ポリオキシメ
チレン樹脂組成物及び製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
ポリオキシメチレン樹脂はバランスのとれた機械的性
質や優れた耐薬品性を持つエンジニアリング樹脂であ
り、各種の機構部品をはじめOA機器などに広く使用され
ている。
しかしながら、ポリオキシメチレン樹脂は他のエンジ
ニアリング樹脂であるポリアミドやポリカーボネートな
どに比べると耐衝撃性、例えばノッチ付きアイゾット衝
撃値が低く成形時の残留応力や小さな傷が存在すると、
破壊しやすいという欠点を有しており改良が必要であ
る。
従来から、ポリオキシメチレン樹脂の耐衝撃性を改良
する方策として、ポリオキシメチレン樹脂に対して種々
のゴム類を添加する試みがなされている。それらの1つ
として、特開昭59-136343号公報にはポリオキシメチレ
ン樹脂に2相構造からなるアクリル系多相インターポリ
マーを添加して得られる組成物が耐衝撃性に優れること
が開示されている。しなしながら、ポリオキシメチレン
樹脂の成形時の熱安定性を同時に満そうとした場合該公
報で使われる多相インターポリマーでは不十分であっ
た。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の課題は、このような従来技術における欠点を
克服し、ポリオキシメチレン樹脂の成形時に熱安定性を
保ったままで優れた耐衝撃性をもつポリオキシメチレン
樹脂を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
即ち本発明は、ポリオキシメチレン樹脂95〜50重量
%と、乳化重合で製造された粒径1μ以下の、中心相
から最外相に向かって軟質相と硬質相の繰り返しよりな
る2相以上の多相構造を有し、アルカリ金属含有量が43
〜100ppmで、且つ硫黄含有量が93〜200ppmに調整された
多相インターポリマー5〜50重量%とからなるポリオキ
シメチレン樹脂成形用組成物、及びその有利な製法を提
供するものである。
本発明の組成物で用いられるポリオキシメチレン樹脂
とは、ホルムアルデヒド単量体またはその3量体(トリ
オキサン)もしくは4量体(テトラオキサン)等の環状
オリゴマーを原料として製造された、実質的にオキシメ
チレン単位からなるオキシメチレンホモポリマー及び上
記原料とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、
エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソラン、グリコール
のホルマール、ジグリコールのホルマール等の環状エー
テルとから製造された、炭素数2〜8のオキシアルキレ
ン単位を0.1〜20重量%含有するオキシメチレンコポリ
マーである。また、分子鎖の分岐化されたオキシメチレ
ンコポリマーも包含する。
本発明で使用することのできる多相インターポリマー
とは、中心相から最外相に向かって軟質相と硬質相の繰
り返しよりなる2相以上の多相構造を有する多相インタ
ーポリマーである。
例えば、2相構造からなり、中心相である第1相に軟
質相であるエラストマー相を有し、最外相である第2相
に硬質相を有する多相インターポリマーを本発明に用い
ることができる。
軟質相を構成する重合体のガラス転移温度(以下Tgと
略す)は、25℃未満が好ましく、0℃未満が更に好まし
い。具体的な一例としては−20〜−110℃の範囲のもの
である。一方、硬質相を構成する重合体のTgは25℃以上
が好ましく、50℃以上が更に好ましい。具体的な一例と
しては70〜200℃の範囲のものである。
また、3相構造の場合は、例えば第1相(中心相)及
び第3相(最外相)が硬質相からなり、第2相(中心
相)がエラストマー相からなるものである。この場合の
各々の相のTgも2相構造の場合と同様なものであること
が好ましい。
更に、ポリオキシメチレン樹脂と多相インターポリマ
ーとの界面接着を向上させるためにこれらの多相インタ
ーポリマーの最外相は、エポキシ基、ヒドロキシル基或
はカルボキシル基等の官能基をもつものでもよい。
多相インターポリマーの軟質相、硬質相は、具体的に
は次にあげるモノマーからなる単独重合体、或は、2種
類以上のモノマーからなる共重合体から構成される。使
用可能なモノマーとしては、例えば、スチレン、p−メ
チルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル
モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン
化ビニルモノマー;アクリロニトリル、メタアクリロニ
トリルなどのニトリル系モノマー;メタアクリル酸メチ
ル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸ヒドロキシ
エステルなどのメタクリル酸エステル;アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル
などのアクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニルなどのビニルエステル;アクリルアミド、メタク
リルアミドなどの不飽和アミド;ビニルメチルエーテ
ル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテルなど
のビニルアルキルエーテル或は、ブタジエン、イソプレ
ンなどの共役ジエンが挙げられる。
多相インターポリマーの軟質相は、アクリル酸エステ
ル、または、共役ジエンからなる重合体が好ましく、更
には、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘ
キシル、または、スチレンブタジエンからなる重合体が
より好ましい。
該多相インターポリマーの硬質相は、メタクリル酸エ
ステル、または、芳香族ビニル、またはハロゲン化ビニ
ルからなる重合体が好ましく、更には、メタクリル酸メ
チル、または、スチレン、または、塩化ビニルからなる
重合体が好ましい。
多相インターポリマー中の硬質相、軟質相を構成する
重合体の好ましい組合せとしては、例えば、硬質相がメ
タクリル酸メチルを主成分とする重合体で、かつ軟質相
がアクリル酸n−ブチルを主成分とする重合体; 硬質相がメタクリル酸メチルを主成分とする重合体
で、かつ軟質相がアクリル酸2−エチルヘキシルを主成
分とする重合体; 硬質相がメタクリル酸メチルを主成分とする重合体
で、かつ軟質相がスチレン−ブタジエンないしはブタジ
エンを主成分とする重合体; 硬質相がスチレンを主成分とする重合体で、かつ軟質
相がスチレン−ブタジエンないしはブタジエンを主成分
とする重合体; 硬質相が塩化ビニルを主成分とする重合体で、かつ軟
質相がスチレン−ブタジエンないしはブタジエンを主成
分とする重合体; 硬質相がアクリロニトリルを主成分とする重合体で、
かつ軟質相がスチレン−ブタジエンを主成分とする重合
体などがある。
最外相へのエポキシ樹脂、ヒドロキシル基或はカルボ
キシル基等の官能基を導入するためには、通常、最外相
を構成するモノマーと、エポキシ基、ヒドロキシル基或
はカルボキシル基をもつビニルモノマーとを共重合する
ことによって行われる。
エポキシ基をもつビニルモノマーとしては、例えば一
般式、 (Rは水素原子または低級アルキル基である) で表されるα,β−不飽和酸のグリシジルエステルがあ
る。具体的には、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸
グリシジル、エタクリル酸グリシジル、などであり、メ
タクリル酸グリシジルがより好ましい。
ヒドロキシルをもつビニルモノマーとしては、例えば
一般式、 (Rは水素原子、アルキル基または置換アルキル基、
Aは二価の無置換若しくは置換脂肪族残基または芳香族
残基である) で表される化合物を挙げることができる。
このような化合物の好ましいものとしては、例えば、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ
プロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリ
レート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロ
キシブチルメタクリレート、p−ヒドロキシフェニルメ
タクリレート、p−ヒドロキシベンジルメタクリレー
ト、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト、グリセリンモノメタクリレート、ポリエチレングリ
コールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタ
クリレートなどが挙げられる。
カルボキシル基を持つビニルモノマーとしては、例え
ば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン
酸などがあり、アクリル酸、メタクリル酸がより好まし
い。
これらエポキシ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル
基をもつビニルモノマーは特にこれらに限定するもので
はない。
また、最外相を形成するモノマーと共重合するエポキ
シ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基をもつビニル
モノマーの量は多相インターポリマーを形成するトータ
ルモノマーに対して0.5〜10.0重量%が望ましい。耐衝
撃性から、最も好ましい添加量は1.0〜5.0重量%であ
る。
最も、好ましい多相インターポリマーとしては、多相
インターポリマーの最外相の硬質相がメタクリル酸メチ
ル80重量%以上と、エポキシ基、ヒドロキシル基或はカ
ルボキシル基をもつビニルモノマー及び他の共重合可能
なモノマー20重量%以下からなる共重合体から構成さ
れ、かつ、その内相の軟質相がアクリル酸n−ブチルの
単独重合体、または、アクリル酸n−ブチル80重量%以
上と、他の共重合可能なモノマー20重量%以下の共重合
体から形成された2相構造をもつ多相インターポリマ
ー、更に中心相としてメタクリル酸メチル80重量%以上
と他の共重合可能なモノマー20重量%からなる共重合体
から形成された3相構造をもつ多相インターポリマーが
ある。
本発明における多相インターポリマーは特公昭55-275
76号公報、或は、特開昭59-136343号公報に記載のある
慣用の乳化重合技術を用いて製造することができる。
2相構造をもつ多相インターポリマーの具体的な製造
例としては、ジオクチルスルホコハク酸ソーダ等の乳化
剤を含む水の中に、軟質相の形成に必要な前述のモノマ
ーとジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド等の
重合開始剤を入れて攪はんしながら通常の50〜90℃の温
度で重合を行う。この際、軟質相に適度な弾性を与える
為に、ジビニル化合物等の多官能性架橋剤を共重合させ
るのが好ましい。この多官能性架橋剤の添加量は軟質相
を構成する重合体の全重量に基いて0.1〜5.0重量%が好
ましい。更にこの際、硬質相と軟質相の間の化学結合を
行わせる為に、アクリル酸のアリル等の多官能グラフト
剤を使用することもできる。この多官能グラフト剤の添
加量は軟質相を構成する重合体の全重量に基いて0.1〜
5.0重量%が好ましい。
軟質相を構成する重合反応が終了した時点で、次に、
硬質相を構成するモノマー、場合により同時にエポキシ
基或は、カルボキシル基を持つビニルモノマーを追添加
する。この際重合開始剤を追添加することもできる。
上記乳化重合によって得られた多相ポリマーは、慣用
の手段、例えば、塩析、凍結融解、或はスプレードライ
などの方法を用いて粒子の形態を保ったまま水と分離す
ることができる。
また、3相構造をもつ多相インターポリマーの場合
は、まず中心相を形成するモノマーと多官能グラフト剤
等とをまず重合させ、その後前述の方法で軟質相である
中心相ついで硬質相である最外相の順に重合していけば
よい。
また、多相ポリマーを構成する各相の間、即ち、硬質
相と軟質相の間に、モノマー組成の異なる新規な中間相
を導入することもできる。
また、多相インターポリマーの粒径は、耐衝撃性から
1μ以下が好ましい。最適な粒径は0.5〜0.05μであ
る。
本発明でいうアルカリ金属、及び硫黄化合物とは、多
相インターポリマーの製造時に使用するドデシルベンゼ
ンスルホン酸リチウム、ソーダ、或はカリウム、ジオク
チルスルホコハク酸リチウム、ソーダ或はカリウム等の
スルホン酸塩、ラウリル硫酸リチウム、ソーダ或はカリ
ウム等の硫酸エステル塩などの乳化剤、硫酸ナトリウ
ム、塩化ナトリウムなどの塩析剤に起因するものであ
る。
即ち、本発明でいうアルカリ金属とは、リチウム、ナ
トリウム、カリウムをいう。
多相インターポリマー中のアルカリ金属の含有量の定
量方法は一般的な方法で行うことができるが、中でも原
子吸光或はプラズマ発光法で行うことができる。本発明
においては、原子吸光法を用いて定量した。即ち、多相
インターポリマーを炭化或は灰化しそこから酸水溶液で
アルカリ金属分を抽出した液を原子吸光にかける方法で
ある。
本発明におけるアルカリ金属の含有量は原子吸光法で
分析したアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウ
ム)のトータルであり、多相インターポリマーに対し43
〜100ppmであることが必要である。好ましくは、43〜80
ppm、更に好ましくは43〜60ppmである。
また、多相インターポリマー中の硫黄の含有量の定量
方法は一般的な方法で行うことができるが中でもイオン
クロマトグラフ法が良い。本発明においてはこのイオン
クロマトグラフ法を用いて定量した。即ち、多相インタ
ーポリマーをフラスコ燃焼法で燃焼し、そこからアルカ
リ水溶液で硫黄分を抽出した液をイオンクロマトグラフ
にかける方法である。
本発明における硫黄の含有量はイオンクロマトグラフ
で分析した硫黄化合物のトータル量を硫黄元素の量に換
算したものであり、多相インターポリマーに対し93〜20
0ppmであることが必要である。好ましくは、93〜150ppm
更に好ましくは43〜100ppmである。
本発明で用いられる多相インターポリマー中のアルカ
リ金属含有量を100ppm以下及び硫黄含有量を200ppm以下
にする方法としては、通常に重合した多相インターポリ
マーを水で洗浄しる方法、などがある。
通常の乳化剤及び塩析剤を用いて重合した多相インタ
ーポリマーを洗浄する方法としては、多相インターポリ
マーに対して約5倍量の70〜80℃の温水で5〜15回程度
洗浄するものである。
本発明における多相インターポリマーはポリオキシメ
チレン樹脂に対して5〜50重量%配合する必要がある。
更に好ましくは、10〜40重量%である。これより、少な
い場合は耐衝撃性が不十分であり、逆に多い場合には、
耐衝撃性の向上も少なく剛性の低下が著しい為、好まし
くない。
本発明で用いられる3−t−ブチル−5−メチルヒド
ロキシフェニル基を持つ酸化防止剤とは、例えば、3,9
−ビス〔2−(3−(t−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメ
チルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕
ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3
−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3
−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトール−テト
ラキス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3
−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート、N,N−ヘキサメチレンビス−
(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシ−ヒド
ロシンナマミド)などがある。
本発明のポリオキシメチレン樹脂成形用組成物は、上
記の3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル基をもつ酸化防止剤を同時に配合することにより更
に成形加工性を向上させることができ、好ましい実施態
様の1つである。その好ましい配合量は、ポリオキシメ
チレン樹脂と多相インターポリマーに対して0.1〜2.0重
量%である。0.1重量%に満たないと成形時の熱安定性
への効果がほとんど見られず、逆に2.0を越えても熱安
定性は向上せず無意味である。
本発明の耐衝撃性に優れたポリオキシメチレン樹脂組
成物は、ポリオキシメチレン樹脂と多相インターポリマ
ーとを、例えばニーダー、ロールミル、押出機などの通
常樹脂溶融体の混練に用いられる公知の装置を用いて、
ポリオキシメチレン樹脂の融点以上の温度で溶融混練す
ることによって調整することができる。溶融混練装置と
しては、酸素の遮断や、作業環境などの点から押出機が
最適である。この押出機の種類としては1軸、2軸、ベ
ント付、ノーベントタイプなどがあるが、いずれの押出
機によっても、本発明の組成物を調整することができ
る。混合の温度は使用するポリオキシメチレン樹脂の融
点以上であり、その一例としては180〜240℃の範囲であ
る。混練に要する時間(樹脂の滞留時間)は、ポリオキ
シメチレン樹脂を単独で押出するに要する時間とほぼ同
等で十分である。その一例としては、1〜10分である。
以上、本発明組成物を調整するための混練条件を示し
たが、混練方法や条件については、前記のみに限定され
ず、ポリオキシメチレン樹脂組成物を調整するのに用い
られる公知の方法や条件の中から任意のものを用いるこ
とができる。
尚、本組成物には通常プラスチックスに添加される光
安定剤、無機フィラー、顔料、潤滑剤などを同時に添加
することができる。
本発明におけるポリオキシメチレン樹脂成形用組成物
の好ましい用途としては、クリップ、ファスナー、ロー
ラー、レバー、消音ギア、ハウジングなどである。その
中でも自動車用クリップが好ましい。
〔発明の効果〕
本発明は、アルカリ金属及び硫黄含有量を限定した多
相インターポリマーをポリオキシメチレン樹脂に配合す
ることにより、その優れた成形時の熱安定性を維持し、
かつ耐衝撃性に優れたポリオキシメチレン樹脂成形用組
成物を提供することができるものである。本発明の効果
は、通常の多相インターポリマーをポリオキシメチレン
樹脂に配合しただけでは決して得られないものである。
〔実施例〕
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説
明するが本発明はこれらの例によって限定されるもので
はない。
実施例1〜8及び比較例1〜4 両末端アセチル化されたポリオキシメチレンホモポリ
マー粉末を米国特許第2998409号にある公知の方法で製
造した。このものの固有粘度は1.2であった(固有粘度
は2重量%のアルファピネンを含有するp−クロロフェ
ノール溶液に重合体0.1重量%を溶かし60℃にて測定し
た)。また、ASTM D1238-57T(E条件)でのメルトイン
デックスは9.0g/10分であった。このポリオキシメチレ
ンホモポリマー粉末を80℃で3時間乾燥したものに、下
記に示す方法で製造された種々のアルカリ金属及び硫黄
の含有量をもつ2相構造をもつ多相インターポリマー及
び酸化防止剤を表−1,2の配合でブレンドし2軸押出機
(シリンダー温度;200℃、スクリュウ回転数;100rpm)
で溶融混練した。この際、樹脂温度は210〜230℃であり
滞留時間は約3分であった。
得られた最終ペレットを3オンス成形機にて試験片を
成形し(条件:金型温度80℃、冷却時間20秒)、ASTM D
256に準じてアイゾット衝撃強度を測定した。またシリ
ンダー温度220℃に設定した3オンス成形機でアイゾッ
ト試験片を成形する際、試験片にシルバーストリークの
発生するまでの限界滞留時間(分)をST値として測定し
た。それらの結果を表−1,2に示す。
また比較例として、表−3の配合で実施例1と同様に
溶融混練してなる組成物のアイゾット衝撃強度及びST値
を表−3に示す。
以下に実施例1〜8及び比較例1〜4で用いられた2
相構造をもつ多相インターポリマーの製造方法を示す。
かき混ぜ機、コンデンサーを備えた10lビーカーに蒸
留水5.7l、乳化剤としてジオクチルスルホコハク酸ソー
ダ20g、還元剤としてロンガリット1.2gを加え均一に溶
解する。
第1相の軟質相として、アクリル酸−n−ブチル(以
下BAと略す)1270g、スチレン(以下Stと略す)320g、
ジアクリル酸ジエチレングリコール(以下DEGAと略す)
20g、メタクリル酸アリル(以下ALMAと略す)13g、ジイ
ソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド(以下PBPと
略す)1.6gの均一溶液を加え、80℃で重合した。約40分
で反応は完了した。このものを単独で重合して得られた
重合体のTgは−38℃であった。
次に第2相の硬質相(最外相)として、メタクリル酸
メチル(以下MMAと略す)680g、BA4.0g、メタクリル酸
グリシジル60g、PBP0.6g、n−オクチルメルカプタン
(以下OMと略す)0.2gの均一溶液を加えた。
このものを単独で重合させて得た重合体の分子量は1,
220,000、Tgは109℃であった。この段階の反応は約15分
で完了した。
ついで、温度を95℃に上げ、1時間保持した。得られ
た重合体を0.5%塩化ナトリウム水溶液中に投入して重
合体を凝集させ、多相インターポリマーに対して70℃の
温水で0回から15回洗浄(洗浄回数を変えることにより
表−1に示す種々のアルカリ金属及び硫黄の含有量を持
つ多相インターポリマーを用意した。)後、乾燥して白
色フロック状の多相インターポリマーを得た。このもの
の平均粒子径は0.3μであった。
実施例9〜16及び比較例5〜10 エチレンオキサイド2.8%のポリオキシメチレンコポ
リマーを米国特許第3027352号に記載の公知の方法で重
合した。このポリマーの固有粘度は1.1でメルトインデ
ックスは10.0g/10分であった。実施例1の条件に従い、
乾燥されたこのポリオキシメチレンホモポリマーに以下
に示す3相構造をもつ多相インターポリマー及び酸化防
止剤を表−4,5の配合で溶融混練した。この際樹脂温度
は205〜230℃であった。この溶融混練体を実施例1と同
じ方法で試験片に成形し、アイゾット衝撃強度及びST値
を測定した。これらの結果を表−4,5に示す。
また比較例として、表−6の配合で実施例1と同様に
溶融混練してなる組成物のアイゾット衝撃強度及びST値
を表−6に示す。
以下に実施例9〜16及び比較例5〜10で用いられた3
相構造をもつ多相インターポリマーの製造方法を述べ
る。
かき混ぜ機、コンデンサーを備えた10lビーカーに蒸
留水5.7l、乳化剤としてジオクチルスルホコハク酸ソー
ダ20g、還元剤としてロンガリット1.2gを加え均一に溶
解する。
第1相の軟質相として、MMA220g、BA3.0g、ALMA0.8
g、PBP0.2gの均一溶液を加え、80℃で重合した。約15分
で反応は完了した。このものを単独で重合して得られた
重合体のTgは108℃であった。
次いで、第2相としてBA1270g、St320g、DEGA20g、AL
MA13.0g、PBP1.6gを均一温度で1時間にわたって滴下し
た。滴下終了後、40分で反応は完了した。このものを単
独で重合して得られた重合体のTgは、−38℃であった。
次に第3相の硬質相(最外相)として、MMA680g、BA
4.0g、メタクリル酸100g、PBP0.6g、OM0.2gの均一溶液
を加えた。このものを単独で重合させて得た重合体の分
子量は1,220,000、Tgは109℃であった。この段階の反応
は約15分で完了した。
ついで、温度を95℃に上げ、1時間保持した。得られ
た重合体を0.5%硫酸ナトリウム水溶液中に投入して重
合体を凝集させ、80℃の温水で0〜15回洗浄後、乾燥し
て白色フロック状の多相インターポリマーを得た。この
ものの平均粒子径は0.1μであった。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオキシメチレン樹脂95〜50重量%
    と、乳化重合で製造された粒径1μ以下の、中心相か
    ら最外相に向かって軟質相と硬質相の繰り返しよりなる
    2相以上の多相構造を有し、製造時にアルカリ金属含有
    量が43〜100ppmで、且つ硫黄含有量が93〜200ppmに調整
    された多相インターポリマー5〜50重量%とからなるポ
    リオキシメチレン樹脂成形用組成物。
  2. 【請求項2】3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロ
    キシフェニル基を持つ酸化防止剤が添加された請求項1
    記載のポリオキシメチレン樹脂成形用組成物。
  3. 【請求項3】ポリオキシメチレン樹脂95〜50重量%
    と、乳化重合で製造された粒径1μ以下の、中心相か
    ら最外相に向かって軟質相と硬質相の繰り返しよりなる
    2相以上の多相構造を有し、製造時にアルカリ金属含有
    量が43〜100ppmで、且つ硫黄含有量が93〜200ppmに調整
    された多相インターポリマー5〜50重量%とからなるポ
    リオキシメチレン樹脂組成物をポリオキシメチレン樹脂
    の融点以上の温度で溶融混練してなるポリオキシメチレ
    ン樹脂成形用組成物の製造方法。
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