JP3251318B2 - 低光沢性のポリオキシメチレン樹脂組成物 - Google Patents

低光沢性のポリオキシメチレン樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオキシメチレン樹
脂の本来の特性を保ちながら低光沢性を付与したポリオ
キシメチレン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリオキシメチレン樹脂は機械的
強度が高く、且つ剛性、耐クリープ性、耐溶剤性、摺動
性などに優れ軽量で良好な成形性を有することから、電
気電子や自動車などの分野で代表的なエンジニアリング
樹脂として幅広く使用されている。しかし、ポリオキシ
メチレン樹脂の特長の1つである高光沢性は使用分野に
よっては欠点として見なされている。自動車内装部品の
場合、シートカバーや他樹脂などと共に光沢を抑えるこ
とによって、内装に高級感・重厚感を持たせている。ま
た、低光沢にすることによって、フロントガラスに内装
材が映って運転者が眩惑される事がないように工夫され
ている。更に、光学機器の分野においても光の反射によ
る機器の誤操作を防止するために低光沢の材料が重要視
されている。
【0003】そこで、低光沢にする方法が種々検討され
ている。成形品表面に凹凸を付けるために金型表面にシ
ボ加工を施し、成形品表面に転写する方法、及び低光沢
塗装を施したりする方法が知られている。しかし、シボ
加工した金型でポリオキシメチレン樹脂を成形してもモ
ールドデポジット(金型汚染物)がシボ加工面を覆って
しまい、充分な低光沢表面を得ることができない。低光
沢塗装についてはポリオキシメチレン樹脂表面に強力に
密着する塗料がないため、有効な手段とは言えない。
【0004】また、ポリオキシメチレン樹脂自体を低光
沢にする方法としては、無機充填剤をポリオキシメチレ
ン樹脂に配合する方法が知られている(特開昭64−5
4053号公報、特開平1−170641号公報、特開
平1−319561号公報)。これらの無機充填剤の配
合されたポリオキシメチレン樹脂組成物はその成形品表
面に微細な凹凸が生じるため、照射された光を乱反射
し、光沢性の低減が実現できるものの、その効果の程度
は充分ではない。更に、無機充填剤の配合されたポリオ
キシメチレン樹脂組成物は機械的物性、特に伸度、靱性
が極度に低下し、ポリオキシメチレン樹脂本来の特徴を
損なう欠点を有する。
【0005】一方、ポリオキシメチレン樹脂に多相イン
ターポリマーを添加する方法として、2相構造からなる
アクリル系多相インターポリマーをポリオキシメチレン
樹脂に添加する方法(特開昭59−136343号公
報)、−20℃以下のガラス転移温度を有するゴム弾性
グラフト共重合物をオキシメチレン重合体に添加する方
法(特公昭48−34830号公報)、ブタジエンを有
するゴム弾性グラフト重合体をポリオキシメチレン樹脂
に添加する方法(特開昭61−120849号公報)が
知られているが、上記方法で得た組成物はいすれもポリ
オキシメチレン樹脂本来の機械物性(特に強度、弾性
率)を大きく損なう事、及び成形時の熱安定性が不十分
である事等の問題点を有している。しかも上記方法で得
られる組成物はいずれも低光沢性を目的とするものでは
ないため、低光沢の程度は充分ではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、この
ような従来技術における欠点を克服し、ポリオキシメチ
レン樹脂本来の機械物性を保持し、且つ充分な低光沢性
を実現するポリオキシメチレン樹脂組成物を提供するこ
とである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明者らは鋭意検討した結果、ポリオキシメチレン
樹脂に特定の組成を有した多相インターポリマーを添加
して得られるポリオキシメチレン樹脂組成物が、極めて
優れた低光沢性を持ち、且つポリオキシメチレン樹脂本
来の機械物性を損なわない事を見いだし、本発明に至っ
た。
【0008】すなわち、本発明は、次のとおりである。 1. (1)(A)ポリオキシメチレン樹脂50〜99
重量%と(B)中芯相と外殻相からなる多相インター
ポリマー50〜1重量%とからなる低光沢性ポリオキシ
メチレン樹脂組成物であって、(2)上記多相インター
ポリマー(B)の中芯相(b1)が、アクリル酸または
メタクリル酸炭素数1〜12のアルキルアルコールと
のエステルと共役ジエンを主成分とする共重合体であ
り、かつ、(3)外殻相(b2)が、アクリル酸または
メタクリル酸と炭素数1〜4のアルキルアルコールとの
エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノ
マーから得られる重合体が主成分であり、しかも、
(4)上記多相インターポリマー(B)の中芯相(b
1)を構成するアクリル酸またはメタクリル酸と炭素数
1〜12のアルキルアルコールとのエステルと、共役ジ
エンのモノマー比率が、該エステル60〜96.9重量
該共役ジエン40〜3.1重量%であることを特徴
とする低光沢性ポリオキシメチレン樹脂組成物。 2. 多相インターポリマー(B)の中芯相(b1)
が、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、お
よびメタクリル酸メチルからなる群から選ばれる少なく
とも1種とブタジエン、およびイソプレンからなる群か
ら選ばれる少なくとも1種との共重合体である上記
記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。 3. 多相インターポリマー(B)の外殻相(b2)
が、アクリル酸ブチル、およびメタクリル酸メチルから
なる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーから得ら
れる重合体である上記記載のポリオキシメチレン
樹脂組成物。 4. 多相インターポリマー(B)が、アルカリ金属を
100ppm以下、かつ硫黄を200ppm以下含有し
ている上記記載のポリオキシメチレン樹脂組成
物。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いられる(A)ポリオキシメチレン樹脂とは、ホルム
アルデヒド単量体またはその3量体(トリオキサン)も
しくは4量体(テトラオキサン)等の環状オリゴマーを
原料として製造された、実質的にオキシメチレン単位か
らなるオキシメチレンホモポリマー及び上記原料とエチ
レンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒ
ドリン、1,3−ジオキソラン、グリコールのホルマー
ル、ジグリコールのホルマール等の環状エーテルから製
造された、炭素数2〜8のオキシアルキレン単位を0.
1〜20重量%含有するオキシメチレンコポリマーであ
る。また、分子鎖の分岐化されたオキシメチレンコポリ
マー及びオキシメチレンの繰り返し単位を50重量%以
上含み異種ポリマー単位を50重量%未満含むオキシメ
チレンブロックコポリマーも包含する。
【0010】本発明で用いられる(B)多相インターポ
リマーは、中芯相と外殻相からなり、(b)中芯相は
アクリル酸またはメタクリル酸と炭素数1〜12のアル
キルアルコールとのエステルと共役ジエンの共重合体が
主成分であり、(b)外殻相はアクリル酸またはメタ
クリル酸と炭素数1〜4のアルキルアルコールとのエス
テルからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー
から得られる重合体が主成分である多相インターポリマ
ーである。
【0011】(b1)中芯相を構成する共重合体はアク
リル酸またはメタクリル酸と炭素数1〜12のアルキル
アルコールとのエステルと共役ジエンを主成分とする共
重合体である。アクリル酸またはメタクリル酸と炭素数
1〜12のアルキルアルコールとのエステルとしては、
例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸オ
クチル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸ドデシ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチルなどが挙
げられる。これらの中で、アクリル酸ブチル、アクリル
酸エチルヘキシル、メタクリル酸メチルが好ましい。こ
れらのアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルは、
各々単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用
いてもよい。
【0012】共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプ
レン、クロロプレンなどが挙げられる。これらの中で、
ブタジエン、イソプレンが好ましい。これらの共役ジエ
ンは各々単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて
用いてもよい。中芯相を構成するアクリル酸またはメタ
クリル酸と炭素数1〜12のアルキルアルコールとのエ
ステルと共役ジエンを主成分とする共重合体は軟質であ
れば良く、モノマー比率は、アクリル酸またはメタクリ
ル酸と炭素数1〜12のアルキルアルコールとのエステ
ルが60〜96.9重量%で、共役ジエンが3.1〜4
0重量%である。
【0013】中芯相は本発明の目的に影響のない範囲で
は一つの相である必要はなく、アクリル酸またはメタク
リル酸と炭素数1〜12のアルキルアルコールとのエス
テルと共役ジエンのモノマー比率の異なる共重合体の複
数の相から構成されてもよい。また、アクリル酸または
メタクリル酸と炭素数1〜12のアルキルアルコールと
のエステルと共役ジエンを主成分とする共重合体以外の
重合体の相を含んでいてもよい。
【0014】(b)外殻相を構成する重合体はアクリ
ル酸またはメタクリル酸と炭素数1〜4のアルキルアル
コールとのエステルからなる群から選ばれる少なくとも
1種のモノマーから得られる重合体である。アクリル酸
またはメタクリル酸と炭素数1〜4のアルキルアルコー
ルとのエステルとしては、例えばアクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヒドロ
キシエチルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタ
クリル酸ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸エステル
が挙げられ、これらの中でアクリル酸ブチル、メタクリ
ル酸メチルが好ましい。これらは、単独で用いても2種
類以上を組み合わせて用いても良い。
【0015】本発明で用いられる多相インターポリマー
の中芯相と外殻相は前述のモノマー組成であることのほ
か、中芯相と外殻相の組成は実質的に異なる組成であ
る。本発明で用いられる多相インターポリマーの中芯相
と外殻相には本発明の目的を損なわない範囲でスチレ
ン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳
香族ビニルモノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデンなど
のハロゲン化ビニルモノマー;アクリロニトリル、メタ
アクリロニトリルなどのニトリル系モノマー;酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリ
ルアミド、メタアクリルアミドなどの不飽和アミド;ビ
ニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブ
チルエーテルなどのビニルアルキルエーテル;ジエチレ
ングリコールジアクリレート、ブチレンジアクリレー
ト、ジビニルベンゼン、アクリル酸アリル、メタクリル
酸アリルなどの1分子中に2個以上の二重結合を持つ単
量体;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒド
ロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタク
リル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシイソ
プロピル、メタクリル酸ヒドロキシイソプロピル、アク
リル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチ
ルなどの水酸基を持つビニルモノマー;アクリル酸グリ
シジル、メタクリル酸グリシジル、エタアクリル酸グリ
シジルなどのα、β−不飽和酸のグリシジルエステルな
どを共重合させることもできる。
【0016】本発明で用いられる多相インターポリマー
の中芯相と外殻相を構成する重合体の好ましい組合せと
しては、例えば、外殻相がメタクリル酸メチルを主成分
とする重合体で、かつ中芯相がアクリル酸ブチル60重
量%以上、ブタジエン30重量%以下、その他の共重合
可能なモノマー10重量%以下を主成分とする重合体;
外殻相がメタクリル酸メチルを主成分とする重合体で、
かつ中芯相がアクリル酸エチルヘキシル60重量%以
上、ブタジエン30重量%以下、その他の共重合可能な
モノマー10重量%以下を共重合して得られる重合体;
外殻相がメタクリル酸メチル90重量%以上、メタクリ
ル酸ヒドロキシエチレン10重量%以下を主成分とする
重合体で、かつ中芯相がアクリル酸ブチル60重量%以
上、ブタジエン20重量%以下、その他の共重合可能な
モノマー20重量%以下を共重合して得られる重合体な
どがある。
【0017】本発明における多相インターポリマーは特
公昭55−27576号公報、あるいは、特開昭59−
136343号公報に記載のある慣用の乳化重合技術を
用いて製造することができる。多相インターポリマーの
具体的な製造例としては、ジオクチルスルホコハク酸ソ
ーダ等の乳化剤を含む水のなかに、中芯相の形成に必要
な前述のモノマーとジイソプロピルベンゼンヒドロパー
オキサイド等の重合開始剤を入れて撹拌しながら通常の
50〜90℃の温度で重合を行う。この際、中芯相に適
度な弾性を与える為に、ジビニル化合物等の多官能性架
橋剤を共重合させるのが好ましい。この多官能性架橋剤
の添加量は中芯相を構成する重合体の全重合に基いて
0.1〜5.0重量%が好ましい。更にこの際、外殻相
と中芯相の間の化学結合を行わせる為に、アクリル酸ア
リル等の多官能グラフト剤を使用することが好ましい。
この多官能グラフト剤の添加量は中芯相を構成する重合
体の全重量に基いて0.1〜5.0重量%が好ましい。
【0018】中芯相を構成する重合反応が終了した時点
で、次に、外殻相を構成するモノマーを追添加する。こ
の際重合開始剤を追添加することもできる。上記乳化重
合によって得られた多相ポリマーは、慣用の手段、たと
えば、塩析、凍結融解、或はスプレードライなどの方法
を用いて粒子の形態を保ったまま水と分離することがで
きる。
【0019】また、3相以上の構造を持つ多相インター
ポリマーの場合は、まず第一相を形成するモノマーと多
官能グラフト剤等とをまず重合させ、その後前述の方法
で中間相ついで外殻相の順に重合していけばよい。多相
インターポリマーの外殻相と中芯相の比率は特に限定さ
れないが、好ましくは外殻相が1〜40重量%、中芯相
が60〜99重量%である。更に好ましい範囲は外殻相
が2〜10重量%、中芯相が90〜98重量%である。
【0020】また、多相インターポリマーの粒径は、低
光沢性の点から1μm以下が好ましい。最適な粒径は
0.05μm〜0.5μmである。本発明で用いられる
多相インターポリマーの配合量は1〜50重量%であ
る。1重量%に満たないと低光沢性に対してこれらの添
加効果が現れず50重量%を越えると、ポリオキシメチ
レン樹脂の成形加工性、機械物性を著しく低下させるた
めである。その中でも本発明の効果を最大限に発揮でき
る好ましい範囲は2〜20重量%、最も好ましい範囲は
4〜15重量%である。
【0021】多相インターポリマーは、アルカリ金属お
よび硫黄化合物の含有量が少ないものが用いられる。本
発明でいうアルカリ金属、及び硫黄化合物とは、多相イ
ンターポリマーの製造時に使用するドデシルベンゼンス
ルホン酸リチウム、ソーダ、或はカリウム等のスルホン
酸塩、ラウリル硫酸リチウム、ソーダ、或はカリウム等
の硫酸エステル塩などの乳化剤、硫酸ナトリウム、塩化
ナトリウムなどの塩析剤に起因するものである。
【0022】即ち、本発明でいうアルカリ金属とは、リ
チウム、カリウム、ナトリウムをいう。多相インターポ
リマー中のアルカリ金属の含有量の定量方法は一般的な
方法で行うことができるが、中でも原子吸光或はプラズ
マ発光法で行うことができる。本発明においては、原子
吸光法を用いて定量した。即ち、多相インターポリマー
を炭化或は灰化しそこから酸水溶液でアルカリ金属分を
抽出した液を原子吸光にかける方法である。
【0023】本発明におけるアルカリ金属の含有量は原
子吸光法で分析したアルカリ金属(リチウム、カリウ
ム、ナトリウム)のトータルであり、多相インターポリ
マーに対し100ppm以下であることが好ましい。さ
らに好ましくは、80ppm以下、特に好ましくは60
ppm以下である。また、多相インターポリマー中の硫
黄の含有量の定量方法は一般的な方法で行うことができ
るが、中でもイオンクロマトグラフ法が良い。本発明に
おいてはこのイオンクロマトグラフ法を用いて定量し
た。即ち、多相インターポリマーをフラスコ燃焼法で燃
焼し、そこからアルカリ水溶液で硫黄分を抽出した液を
イオンクロマトグラフにかける方法である。
【0024】本発明における硫黄の含有量はイオンクロ
マトグラフで分析した硫黄化合物のトータル量を硫黄元
素の量に換算したものであり、多相インターポリマーに
対し200ppm以下であることが好ましい。さらに好
ましくは、150ppm以下、最も好ましくは100p
pm以下である。本発明における組成物は、ポリオキシ
メチレン樹脂と多相インターポリマーとを、ブレンド、
さらには溶融混練することにより得られる。
【0025】溶融混練機としては、たとえばニーダー、
ロールミル、押出機などの通常樹脂溶融体の混練に用い
られる公知の装置を用いることができるが、酸素の遮断
や、作業環境などの点から押出機が最適である。この押
出機の種類としては1軸、2軸、ベント付、ノーベント
タイプなどがあるが、いずれの押出機によっても、本発
明の組成物を調製することができる。
【0026】尚、本組成物には通常プラスチックに添加
される酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、
耐衝撃性改良剤、結晶核剤、帯電防止剤、無機フィラ
ー、顔料などを必要に応じて添加することができる。ま
た、通常ポリオキシメチレン樹脂に添加されるポリアミ
ド、メラミン、メラミン誘導体、ジシアンジアミド、脂
肪酸カルシウムなども添加することができる。
【0027】特に、酸化防止剤としては、3−メチル−
4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル基を持つ酸化
防止剤が好ましい。この酸化防止剤を同時に添加すると
驚くべき程に他の酸化防止剤に比べ滞留着色が改良され
る為である。具体的な酸化防止剤としては、例えば、
3,9−ビス〔2−〔3−(t−ブチル−4−ヒドロキ
シ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,
1−ジメチルエチル−2,4,8,10−テトラオキサ
スピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコール
−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサン
ジオール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエ
リスリトール−テトラキス〔3−(3−t−ブチル−5
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕、オクタデシル−3−(3−t−ブチル−5−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N
−ヘキサメチレンビス−(3−t−ブチル−5−メチル
−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)などがある。
【0028】好ましい酸化防止剤は3,9−ビス〔2−
〔3−(t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェ
ニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル
−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウ
ンデカン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−
t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3
−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プピオネート〕である。
【0029】光安定剤としては、ビス(2,2,6,6
−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(2,
2,6,6−テトラメチルピペリジル)アジペートなど
のヒンダードアミン系光安定剤が使用できる。紫外線吸
収剤としては、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−
ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾ
トリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル
−フェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤が使用できる。
【0030】また、本発明の低光沢性に優れたポリオキ
シメチレン樹脂組成物は、一般に使われているポリオキ
シメチレンホモポリマー、コポリマー、分岐ポリマー及
び、ブロックコポリマーとブレンドして使うことができ
る。本発明におけるポリオキシメチレン樹脂組成物はい
かなる表面の成形品に対しても有効な低光沢性を付与す
るものであるが、シボ加工を施した金形で成形した成形
品に対しては、特に大きな低光沢効果を発揮する。
【0031】本発明におけるポリオキシメチレン樹脂組
成物の好ましい用途としては、例えばレバー、インスツ
ルメンタルパネル、スイッチ部品、ハンドル、クリッ
プ、ハウジング等である。特に自動車用内装部品に適し
ている。
【0032】
【実施例】以下本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
【参考例1】 <ポリオキシメチレン樹脂の製造>エチレンオキサイド
2.8%のポリオキシメチレンコポリマーを米国特許3
027352に記載の公知の方法で重合した。このポリ
マーの固有粘度は1.1であった(固有粘度は2重量%
のα−ピネンを含有するp−クロロフェノール溶液に重
合体0.1重量%を溶かし60℃にて測定した)。ま
た、ASTM D1238(E条件)でのメルトインデ
ッスクは10.0g/10分であった。このポリオキシ
メチレンポリマーをP−1とする。
【0034】両末端アセチル化されたポリオキシメチレ
ンホモポリマー粉末を米国特許2998409にある公
知の方法で製造した。このものの固有粘度は1.2でメ
ルトインデックスは9.0g/10分であった。このポ
リオキシメチレンポリマーをP−2とする。
【0035】
【参考例2】 <多相インターポリマーの製造>かき混ぜ機、コンデン
サーを備えた10リットルビーカーに蒸留水5.7リッ
トル、乳化剤としてジオクチルスルホコハク酸ソーダ2
0g、還元剤としてロンガリット1.2gを加え均一に
溶解する。
【0036】第1相の中芯相として、別表記載のモノマ
ー組成とジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド
(以下PBPと略す)2gの均一溶液を加え、80℃で
重合した。この時点での重合収率はほぼ100%であっ
た。次に第2相の外殻相として、別表記載のモノマー組
成とPBP0.6g、n−オクチルメルカプタン0.2
gの均一溶液を加えた。
【0037】この段階の反応の収率はほぼ100%であ
つた。次いで、温度を95℃に上げ、1時間保持した。
得られた重合体を0.5%塩化アルミニウム水溶液中に
投入して重合体を凝集させ、温水で5〜15回洗浄後、
乾燥して白色フロック状の各種多相インターポリマーを
得た。得られた多相インターポリマーの平均粒子径は
0.1〜0.5μmであった。また、それぞれのアルカ
リ金属含有量、及び硫黄含有量を表1〜表3に示した。
【0038】
【実施例1〜13、比較例1〜6】 <ポリオキシメチレン樹脂組成物の製造>前述のポリオ
キシメチレン樹脂及び多相インターポリマーを表1〜表
3に示した配合比率でブレンドし、シリンダー温度が2
00℃に設定された2軸ベント付押出機で溶融混練し、
得られた組成物をペレタイズした。
【0039】<組成物の評価>得られた最終ペレットを
3オンス成形機で成形し試験片を得た。これを下記の方
法で評価し、その結果を表1〜表3に示した。 光沢度:日本電色工業製光沢度計で入射角60゜反射角
60゜で測定した。引張強度、引張伸度:ASTM D
638に従った。
【0040】曲げ強度、曲げ弾性率:ASTM D79
0に従った。 Izod値:ASTM D256に従った。 熱安定性:得られた最終ペレットをシリンダー温度22
0℃に設定した3オンス成形機で前述の試験片を成形す
る際、試験片にシルバーストリークの発生するまでの限
界滞留時間(分)を測定した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、中芯相がアクリル酸ま
たはメタクリル酸と炭素数1〜12のアルキルアルコー
ルとのエステルと共役ジエンの共重合体を主成分とし、
外殻相がアクリル酸またはメタクリル酸と炭素数1〜4
のアルキルアルコールとのエステルからなる群から選ば
れる少なくとも一つのモノマーから得られる重合体を主
成分とする多相インターポリマーをポリオキシメチレン
樹脂に配合することにより、低光沢性、機械物性の両方
に優れたポリオキシメチレン樹脂組成物を得ることがで
きる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−205442(JP,A) 特開 平3−14858(JP,A) 特開 平2−251558(JP,A) 特開 平5−17514(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 59/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)(A)ポリオキシメチレン樹脂5
    0〜99重量%と(B)中芯相と外殻相からなる多相
    インターポリマー50〜1重量%とからなる低光沢性ポ
    リオキシメチレン樹脂組成物であって、(2)上記多相
    インターポリマー(B)の中芯相(b1)が、アクリル
    酸またはメタクリル酸炭素数1〜12のアルキルアル
    コールとのエステルと共役ジエンを主成分とする共重
    合体であり、かつ、(3)外殻相(b2)が、アクリル
    酸またはメタクリル酸と炭素数1〜4のアルキルアルコ
    ールとのエステルからなる群から選ばれる少なくとも1
    種のモノマーから得られる重合体が主成分であり、しか
    も、(4)上記多相インターポリマー(B)の中芯相
    (b1)を構成するアクリル酸またはメタクリル酸と炭
    素数1〜12のアルキルアルコールとのエステルと、共
    役ジエンのモノマー比率が、該エステル60〜96.9
    重量%該共役ジエン40〜3.1重量%であることを
    特徴とする低光沢性ポリオキシメチレン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 多相インターポリマー(B)の中芯相
    (b1)が、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルヘキ
    シル、およびメタクリル酸メチルからなる群から選ばれ
    る少なくとも1種とブタジエン、およびイソプレンから
    なる群から選ばれる少なくとも1種との共重合体である
    請求項1記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 多相インターポリマー(B)の外殻相
    (b2)が、アクリル酸ブチル、およびメタクリル酸メ
    チルからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー
    から得られる重合体である請求項1記載のポリオキシメ
    チレン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 多相インターポリマー(B)が、アルカ
    リ金属を100ppm以下、かつ硫黄を200ppm以
    下含有している請求項1記載のポリオキシメチレン樹脂
    組成物。
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