JPH08326923A - シールリング - Google Patents

シールリング

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JPH08326923A
JPH08326923A JP7154108A JP15410895A JPH08326923A JP H08326923 A JPH08326923 A JP H08326923A JP 7154108 A JP7154108 A JP 7154108A JP 15410895 A JP15410895 A JP 15410895A JP H08326923 A JPH08326923 A JP H08326923A
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Mitsuhiro Sowa
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 円周上の一箇所で切断され、切断端部4,5
のそれぞれに断面略矩形の凹部6,7および凸部8,9
を並べて設け、一方の切断端部4の凹部6と他方の切断
端部5の凸部9とを係合させるとともに一方の切断端部
4の凸部8と他方の切断端部5の凹部7とを係合させた
ステップカット3を設けたシールリング1について、一
方の切断端部4の凹部6の軸方向内壁面と他方の切断端
部5の凸部9の軸方向端面の間に軸方向の隙間があった
り、一方の切断端部4の凹部6の径方向内壁面と他方の
切断端部5の凸部9の内周面の間に径方向の隙間があっ
たりしても、これを塞ぐことが可能なシールリング1を
提供する。 【構成】 一方の切断端部4の凹部6の内壁面と対向す
る他方の切断端部5の凸部9の対向面に楔状の突起14
を設け、一方の切断端部4の凹部6の内壁面にこの突起
14を挿入する溝15を設けることにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、密封装置の一種である
シールリングに関する。本発明のシールリングは例え
ば、自動車のオートマティックトランスミッションに用
いられる。
【0002】
【従来の技術】従来から、図11ないし図14にそれぞ
れ一部を示すように、全体として環状であり、断面(当
該シールリング21の中心軸線を含む平面で裁断した断
面、以下、同じ)矩形であり、組込み性を向上させるた
めに円周上の一箇所で切断されており、更に、使用温度
が変化してもこの切断部(カット部とも称する)22に
隙間が発生することがないように、この切断部22にス
テップカット23を設けたシールリング21が知られて
いる。
【0003】ステップカット23は、切断部22を挾ん
で互いに対をなす切断端部24,25のそれぞれ外周側
に、断面略矩形の凹部26,27と凸部28,29とを
軸方向に並べて設け、一方の切断端部24の凹部26と
他方の切断端部25の凸部29とを係合させるとともに
一方の切断端部24の凸部28と他方の切断端部25の
凹部27とを係合させたものであって、図示したように
二段ステップ状になっていることから、一段ステップ状
の狭義の「ステップカット」と区別すべく、特に「特殊
ステップカット」と称されることもある。尚、図12
は、ステップカット23を見易くするため、図11の係
合状態(自由状態)に対してA方向に引張り力を加え
て、切断部22を円周方向に開いた状態を示している。
また図13はステップカット23を径方向外方から見た
平面図、図14はステップカット23を軸方向一方から
見た正面図であり、この図14に表わされた軸方向端面
が、装着溝(図示せず)の内壁に密接するシール面30
として作用する。
【0004】上記構成のシールリング21においては、
そのシール性能を良好に維持するために、図13に示し
たように、互いに対向する一方の切断端部24の凹部2
6の軸方向内壁面26aと他方の切断端部25の凸部2
9の軸方向端面29aとが互いに接触するとともに、図
14に示したように、互いに対向する一方の切断端部2
4の凹部26の径方向内壁面26bと他方の切断端部2
5の凸部29の内周面29bとが互いに接触することが
要求される。
【0005】しかしながら、実際には、製作時の寸法の
ばらつきによって、図15に示すように、一方の切断端
部24の凹部26の軸方向内壁面26aと他方の切断端
部25の凸部29の軸方向端面29aの間に軸方向の隙
間31が生じたり、図16に示すように、一方の切断端
部24の凹部26の径方向内壁面26bと他方の切断端
部25の凸部29の内周面29bの間に径方向の隙間3
2が生じたりすることがあり、このような隙間31,3
2が生じると、これらの隙間31,32を伝って、点線
で示すようにして、圧油等のシール流体が漏洩する問題
がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の点に鑑
み、上記したような二段ステップ状のステップカット
(特殊ステップカット)を設けたシールリングにおい
て、凹部と凸部の間に軸方向の隙間または径方向の隙間
があっても、これを塞ぐことが可能であり、もって優れ
たシール性能を発揮することが可能なシールリングを提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のシールリングは、円周上の一箇所で切断さ
れ、切断端部のそれぞれに断面略矩形の凹部および凸部
を並べて設け、一方の切断端部の凹部と他方の切断端部
の凸部とを係合させるとともに一方の切断端部の凸部と
他方の切断端部の凹部とを係合させたステップカットを
設けたシールリングにおいて、前記一方の切断端部の凹
部の内壁面と対向する前記他方の切断端部の凸部の対向
面に楔状の突起を設け、前記一方の切断端部の凹部の内
壁面に前記突起を挿入する溝を設けることにした。
【0008】
【作用】上記構成を備えた本発明のシールリングにおい
ては、一方の切断端部の凹部の内壁面と対向する他方の
切断端部の凸部の対向面に楔状の突起が設けられるとと
もに一方の切断端部の凹部の内壁面にこの突起を挿入す
る溝が設けられているために、凹部と凸部の間に軸方向
の隙間または径方向の隙間があっても、この突起によっ
て、これらの隙間を塞ぐことが可能となる。楔状の突起
は、当初(シール圧力が作用する以前)から溝の内面に
接触していても良く、または当初は溝の内面から離れて
いるが、シール圧力を受けて溝の内面に接触するもので
あっても良い。
【0009】
【実施例】つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説
明する。
【0010】図1ないし図8にそれぞれ一部を示すよう
に、当該実施例に係るシールリング1は、全体として環
状であり、断面(当該シールリング1の中心軸線を含む
平面で裁断した断面、以下、同じ)矩形であり、組込み
性を向上させるために円周上の一箇所で切断されてお
り、この切断部2に、ステップカット3が設けられてい
る。このステップカット3は、切断部2を挾んで互いに
対をなす切断端部4,5のそれぞれ外周側に、断面略矩
形の凹部6,7と凸部8,9とを軸方向に並べて設け、
一方の切断端部4の凹部6と他方の切断端部5の凸部9
とを係合させるとともに一方の切断端部4の凸部8と他
方の切断端部5の凹部7とを係合させたものであって、
上記した二段ステップ状の「特殊ステップカット」の範
疇に属し、また図5に表わされた軸方向端面が、装着溝
17(図6ないし図8参照)の内壁17aに密接するシ
ール面10として作用する。尚、このシールリング1は
樹脂製であって、射出成形または切削加工により成形さ
れている。
【0011】一方の切断端部4の凹部6の内壁面、すな
わち軸方向内壁面6aおよび径方向内壁面6bと対向す
る他方の切断端部5の凸部9の対向面、すなわち軸方向
端面9aおよび内周面9bに、楔状を呈する突起14が
凸部9に対して一体に成形されており、一方の切断端部
4の凹部6の内壁面、すなわち軸方向内壁面6aおよび
径方向内壁面6bに、この突起14を挿入する溝15が
設けられている。またこれと対称的に、他方の切断端部
5の凹部7の内壁面、すなわち軸方向内壁面7aおよび
径方向内壁面(図示せず)と対向する一方の切断端部4
の凸部8の対向面、すなわち軸方向端面8aおよび内周
面8bに、楔状を呈する突起13が凸部8に対して一体
に成形されており、他方の切断端部5の凹部7の内壁
面、すなわち軸方向内壁面7aおよび径方向内壁面に、
この突起13を挿入する溝16が設けられている。
【0012】他方の切断端部5に設けられた楔状の突起
14は、図8に示したように、凸部9の軸方向端面9a
から軸方向一方(図上左方向)へ向けて離れるにしたが
って肉厚が漸次薄くなる軸方向リップ部14aと、凸部
9の内周面9bから径方向内方(図上下方向)へ向けて
離れるにしたがって肉厚が漸次薄くなる径方向リップ部
14bとよりなり、両リップ部14a,14bが略L字
形に並べられて一体に成形されている。またこの突起1
4を挿入する、一方の切断端部4に設けられた溝15
は、図2または図8に示したように、凹部6の軸方向内
壁面6aから深まるに連れて溝幅が漸次狭くなる軸方向
溝部15aと、凹部6の径方向内壁面6bから深まるに
連れて溝幅が漸次狭くなる径方向溝部15bとよりな
り、両溝部15a,15bが略L字形に並べられて一連
に形成されており、前者の軸方向溝部15aに軸方向リ
ップ部14aが挿入され、後者の径方向溝部15bに径
方向リップ部14bが挿入された関係となっている。溝
15は、熱膨張による円周方向の寸法変化量を吸収でき
る幅をもっている。突起14は、当初(シール圧力が作
用する以前)からこの溝15の内面に接触していても良
く、または当初は溝15の内面から離れているが、シー
ル圧力を受けたときに初めて溝15の内面に接触するも
のであっても良い。
【0013】また、対称的に一方の切断端部4に設けら
れた楔状の突起13は、図2または図3に示したよう
に、凸部8の軸方向端面8aから軸方向一方へ向けて離
れるにしたがって肉厚が漸次薄くなる軸方向リップ部1
3aと、凸部8の内周面8bから径方向内方へ向けて離
れるにしたがって肉厚が漸次薄くなる径方向リップ部1
3bとよりなり、両リップ部13a,13bが略L字形
に並べられて一体に成形されている。またこの突起13
を挿入する、他方の切断端部5に設けられた溝16は、
凹部8の軸方向内壁面8aから深まるに連れて溝幅が漸
次狭くなる軸方向溝部(図示せず)と、凹部8の径方向
内壁面8bから深まるに連れて溝幅が漸次狭くなる径方
向溝部(図示せず)とよりなり、両溝部が略L字形に並
べられて一連に形成されており、前者の軸方向溝部16
aに軸方向リップ部が挿入され、後者の径方向溝部16
bに径方向リップ部が挿入された関係となっている。溝
16は、熱膨張による円周方向の寸法変化量を吸収でき
る幅をもっている。突起13は、当初(シール圧力が作
用する以前)からこの溝16の内面に接触していても良
く、または当初は溝16の内面から離れているが、シー
ル圧力を受けたときに初めて溝16の内面に接触するも
のであっても良い。
【0014】上記構成を備えたシールリング1において
は、一方の切断端部4の凹部6の軸方向内壁面6aおよ
び径方向内壁面6bと対向する他方の切断端部5の凸部
9の軸方向端面9aおよび内周面9bに楔状の突起14
が設けられるとともに、一方の切断端部4の凹部6の軸
方向内壁面6aおよび径方向内壁面6bにこの突起14
を挿入する溝15が設けられているために、図示したよ
うに、一方の切断端部4の凹部6の軸方向内壁面6aと
他方の切断端部5の凸部9の軸方向端面9aの間に軸方
向の隙間11があったり、一方の切断端部4の凹部6の
径方向内壁面6bと他方の切断端部5の凸部9の内周面
9bの間に径方向の隙間12があったりしても、突起1
4が溝15の内面に密接することによって、実質的にこ
の隙間11,12による漏れ流路を塞ぐことが可能であ
る。したがってこれにより隙間11,12から圧油等の
シール流体が漏洩するのを防止することができ、シール
性能に優れたシールリング1を提供することができる。
突起14は、図9および図10に示したように、シール
圧力を受けて撓み、溝15の内面に強く密接する。
【0015】また上記構成のシールリング1において
は、一方の切断端部4の凹部6の軸方向内壁面6aおよ
び径方向内壁面6bと対向する他方の切断端部5の凸部
9の軸方向端面9aおよび内周面9bに楔状を呈する突
起14が設けられるとともに、一方の切断端部4の凹部
6の軸方向内壁面6aおよび径方向内壁面6bにこの突
起14を挿入する溝15が設けられているのと対称的
に、他方の切断端部5の凹部7の軸方向内壁面7aおよ
び径方向内壁面と対向する一方の切断端部4の凸部8の
軸方向端面8aおよび内周面8bに楔状を呈する突起1
3が設けられるとともに、他方の切断端部5の凹部7の
軸方向内壁面7aおよび径方向内壁面にこの突起13を
挿入する溝16が設けられている。したがって当該シー
ルリング1を軸方向反対向きに装着溝17に装着する
と、この場合は、一方の切断端部4に設けられた突起1
3がシール圧力を受けて溝16の内面に密接して、シー
ル作用を発揮する。したがって当該シールリング1に
は、その軸方向の装着の向きに関して、どちら向きにも
装着することができる効果がある。
【0016】
【発明の効果】本発明は、以下の効果を奏する。
【0017】すなわち、上記構成を備えた本発明のシー
ルリングにおいては、一方の切断端部の凹部の内壁面と
対向する他方の切断端部の凸部の対向面に楔状の突起が
設けられるとともに一方の切断端部の凹部の内壁面にこ
の突起を挿入する溝が設けられているために、一方の切
断端部の凹部の軸方向内壁面と他方の切断端部の凸部の
軸方向端面の間に軸方向の隙間があったり、一方の切断
端部の凹部の径方向内壁面と他方の切断端部の凸部の内
周面の間に径方向の隙間があったりしても、突起が溝の
内面に密接することによって、実質的にこの隙間による
漏れ流路を塞ぐことが可能である。したがってこれによ
り、隙間からシール流体が漏洩するのを防止することが
でき、優れたシール性能を発揮するシールリングを提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るシールリングのステップ
カット部分の斜視図
【図2】同シールリングの一方の切断端部のみを描いた
斜視図
【図3】図2におけるB方向矢視図
【図4】同ステップカット部分を径方向外方から見た平
面図
【図5】同ステップカット部分を軸方向一方から見た正
面図
【図6】図5におけるC−C線で裁断した同シールリン
グの装着状態を示す断面図
【図7】図5におけるD−D線で裁断した同シールリン
グの装着状態を示す断面図
【図8】図5におけるE−E線で裁断した同シールリン
グの装着状態を示す断面図
【図9】同ステップカット部分を径方向外方から見た作
動状態を示す平面図
【図10】同ステップカット部分を軸方向一方から見た
作動状態を示す正面図
【図11】従来例に係るシールリングのステップカット
部分の斜視図
【図12】同ステップカット部分を円周方向に押し開い
た状態の斜視図
【図13】同ステップカット部分を径方向外方から見た
平面図
【図14】同ステップカット部分を軸方向一方から見た
正面図
【図15】同ステップカット部分を径方向外方から見た
平面図
【図16】同ステップカット部分を軸方向一方から見た
正面図
【符号の説明】
1 シールリング 2 切断部 3 ステップカット 4 一方の切断端部 5 他方の切断端部 6,7 凹部 6a,7a 軸方向内壁面 6b 径方向内壁面 8,9 凸部 8a,9a 軸方向端面 8b,9b 内周面 10 シール面 11,12 隙間 13,14 突起 13a,14a 軸方向リップ部 13b,14b 径方向リップ部 15,16 溝 15a 軸方向溝部 15b 径方向溝部 17 装着溝 17a 内壁

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円周上の一箇所で切断され、切断端部
    (4)(5)のそれぞれに断面略矩形の凹部(6)
    (7)および凸部(8)(9)を並べて設け、一方の切
    断端部(4)の凹部(6)と他方の切断端部(5)の凸
    部(9)とを係合させるとともに一方の切断端部(4)
    の凸部(8)と他方の切断端部(5)の凹部(7)とを
    係合させたステップカット(3)を設けたシールリング
    (1)において、前記一方の切断端部(4)の凹部
    (6)の内壁面(6a)(6b)と対向する前記他方の
    切断端部(5)の凸部(9)の対向面(9a)(9b)
    に楔状の突起(14)を設け、前記一方の切断端部
    (4)の凹部(6)の内壁面(6a)(6b)に前記突
    起(14)を挿入する溝(15)を設けたことを特徴と
    するシールリング。
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