JPH083259A - 滑り摩擦抵抗の低いポリウレタンフォーム及びそれを用いた表皮材 - Google Patents
滑り摩擦抵抗の低いポリウレタンフォーム及びそれを用いた表皮材Info
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- JPH083259A JPH083259A JP6166023A JP16602394A JPH083259A JP H083259 A JPH083259 A JP H083259A JP 6166023 A JP6166023 A JP 6166023A JP 16602394 A JP16602394 A JP 16602394A JP H083259 A JPH083259 A JP H083259A
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- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 表面の滑り摩擦抵抗の低いポリウレタンフォ
ームと装飾用表皮との２層の積層体を裁断、縫製してな
る表皮材の提供を目的とする。この表皮材は、例えば自
動車のシートなどの成形品に使用され、不織布等の裏基
布が積層されていなくても縫製性に優れ、且つ柔軟な感
触を有する製品を得ることができる。 【構成】 ポリエステル製ニットからなる装飾用表皮
に、原料に５重量部のポリブテンを配合し、発泡、硬化
させて得られた厚さ８ｍｍ、密度０．０２０ｇ／ｃｍ3
のポリウレタンフォームを一体に接合し、これを自動車
シート用の型紙を用いて裁断し、裁断された積層体をミ
シン掛けして自動車シート用の形状を有する表皮材を得
た。
ームと装飾用表皮との２層の積層体を裁断、縫製してな
る表皮材の提供を目的とする。この表皮材は、例えば自
動車のシートなどの成形品に使用され、不織布等の裏基
布が積層されていなくても縫製性に優れ、且つ柔軟な感
触を有する製品を得ることができる。 【構成】 ポリエステル製ニットからなる装飾用表皮
に、原料に５重量部のポリブテンを配合し、発泡、硬化
させて得られた厚さ８ｍｍ、密度０．０２０ｇ／ｃｍ3
のポリウレタンフォームを一体に接合し、これを自動車
シート用の型紙を用いて裁断し、裁断された積層体をミ
シン掛けして自動車シート用の形状を有する表皮材を得
た。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、表面の滑り摩擦抵抗の
低いポリウレタンフォーム及びそれを布、皮革等の装飾
用表皮と積層し、所定形状に裁断した後縫製して得られ
る表皮材に関する。本発明の表皮材は、自動車、電車等
の車両用シートの表皮材或いは一般家具用の表皮材等に
利用される。
低いポリウレタンフォーム及びそれを布、皮革等の装飾
用表皮と積層し、所定形状に裁断した後縫製して得られ
る表皮材に関する。本発明の表皮材は、自動車、電車等
の車両用シートの表皮材或いは一般家具用の表皮材等に
利用される。
【０００２】
【従来の技術】現在、例えば自動車のシート等はモール
ドウレタン等の合成樹脂発泡体からなるクッションパッ
ド等の基体を、その形状に合わせて裁断、縫製した表皮
材によって被覆し製造されている。この表皮材として
は、織物、編み物、皮革等の装飾用表皮、スラブウレタ
ンフォーム等の合成樹脂発泡層、及び織物、編み物、不
織布等からなる裏基布が接合された３層の積層体など
を、所定形状に裁断、縫製したものが使用されている。
尚、各素材は裁断、縫製の前にフレームラミネート、接
着樹脂による接着ラミネート或いはホットメルト材によ
るドライラミネート等の方法により一体に接合され、積
層体とされる。
ドウレタン等の合成樹脂発泡体からなるクッションパッ
ド等の基体を、その形状に合わせて裁断、縫製した表皮
材によって被覆し製造されている。この表皮材として
は、織物、編み物、皮革等の装飾用表皮、スラブウレタ
ンフォーム等の合成樹脂発泡層、及び織物、編み物、不
織布等からなる裏基布が接合された３層の積層体など
を、所定形状に裁断、縫製したものが使用されている。
尚、各素材は裁断、縫製の前にフレームラミネート、接
着樹脂による接着ラミネート或いはホットメルト材によ
るドライラミネート等の方法により一体に接合され、積
層体とされる。
【０００３】表皮材は、被覆する基体が自動車シートの
クッションパッド等の比較的大型のものの場合は、通常
縫製により基体に縫い付けられ、又は接着剤等により基
体に貼り合わされるが、自動車のヘッドレスト、アーム
レスト等比較的小さい基体の場合は、型中に収容された
表皮材中にウレタンフォーム原料を充填し、発泡、硬化
させる、いわゆるフォーム一体成形法によって成形され
ることも多い。
クッションパッド等の比較的大型のものの場合は、通常
縫製により基体に縫い付けられ、又は接着剤等により基
体に貼り合わされるが、自動車のヘッドレスト、アーム
レスト等比較的小さい基体の場合は、型中に収容された
表皮材中にウレタンフォーム原料を充填し、発泡、硬化
させる、いわゆるフォーム一体成形法によって成形され
ることも多い。
【０００４】表皮材は上記のような構成であり、上記の
ような用途に使用されるが、その各部材は以下の作用、
特性を有する。 (1) 装飾用表皮は製品の外観、使用時の触感等を決定
し、製品に耐久性を持たせる。 (2) 合成樹脂発泡層は立体縫製によるしわ及び長期間の
使用によるしわの発生を防ぎ、また製品の触感、自動車
シート等の場合の座り心地など官能面での向上に役立
つ。更に、装飾用表皮のみでは耐久性が不十分な場合に
それを補い、製品の長期使用を可能とする。 (3) 裏基布は表皮材裏面を滑り易くし、縫製の際の作業
効率が向上する。
ような用途に使用されるが、その各部材は以下の作用、
特性を有する。 (1) 装飾用表皮は製品の外観、使用時の触感等を決定
し、製品に耐久性を持たせる。 (2) 合成樹脂発泡層は立体縫製によるしわ及び長期間の
使用によるしわの発生を防ぎ、また製品の触感、自動車
シート等の場合の座り心地など官能面での向上に役立
つ。更に、装飾用表皮のみでは耐久性が不十分な場合に
それを補い、製品の長期使用を可能とする。 (3) 裏基布は表皮材裏面を滑り易くし、縫製の際の作業
効率が向上する。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】上記のように裏基布は
縫製の際の作業効率向上のために使用されているが、こ
れは、縫製面が滑り摩擦抵抗値の高いスラブウレタン等
の合成樹脂発泡層であると、ミシン掛けを行う際に滑り
が悪く、スムーズな縫製を妨げるためである。しかし一
方で、この裏基布の使用は下記の幾つかの問題を生ず
る。 合成樹脂発泡層の一面に装飾用表皮を、他面に裏基布
を積層することとなり、接着界面が増え、三者を良好な
状態で積層、接着するためには高度な技術を要する。
縫製の際の作業効率向上のために使用されているが、こ
れは、縫製面が滑り摩擦抵抗値の高いスラブウレタン等
の合成樹脂発泡層であると、ミシン掛けを行う際に滑り
が悪く、スムーズな縫製を妨げるためである。しかし一
方で、この裏基布の使用は下記の幾つかの問題を生ず
る。 合成樹脂発泡層の一面に装飾用表皮を、他面に裏基布
を積層することとなり、接着界面が増え、三者を良好な
状態で積層、接着するためには高度な技術を要する。
【０００６】表皮材とクッションパッド等の基体とを
接着剤によって接合する場合、接着剤が裏基布にしみ込
み、それが硬化することにより裏基布が剛直な層となっ
てしまい、表皮材が全体として硬く仕上がってしまう。
そのため表皮材のソフトな感触が損なわれ、また、自動
車のシートのように長期に渡って繰り返し荷重が加わる
ような場合は、成形品表面のシワの発生の原因となる。 表皮材が３層になることにより、全体の伸びのバラン
スが悪くなり、近年増えてきたスポーツタイプの自動車
用シートのような複雑な凹凸形状をもつ成形品では表面
にシワが発生する。 表皮材の材料コストが上昇する。
接着剤によって接合する場合、接着剤が裏基布にしみ込
み、それが硬化することにより裏基布が剛直な層となっ
てしまい、表皮材が全体として硬く仕上がってしまう。
そのため表皮材のソフトな感触が損なわれ、また、自動
車のシートのように長期に渡って繰り返し荷重が加わる
ような場合は、成形品表面のシワの発生の原因となる。 表皮材が３層になることにより、全体の伸びのバラン
スが悪くなり、近年増えてきたスポーツタイプの自動車
用シートのような複雑な凹凸形状をもつ成形品では表面
にシワが発生する。 表皮材の材料コストが上昇する。
【０００７】本発明は、上記問題点を解決するものであ
り、特定の潤滑成分を配合した原料からなるポリウレタ
ンフォームを、表皮材の合成樹脂発泡層として使用する
ことにより、裏基布を用いなくても縫製作業が妨げられ
ることがなく、また、裏基布の使用による前記種々問題
を生ずることもない、滑り摩擦抵抗の低いポリウレタン
フォーム及びそれを用いた表皮材を提供することを課題
とする。
り、特定の潤滑成分を配合した原料からなるポリウレタ
ンフォームを、表皮材の合成樹脂発泡層として使用する
ことにより、裏基布を用いなくても縫製作業が妨げられ
ることがなく、また、裏基布の使用による前記種々問題
を生ずることもない、滑り摩擦抵抗の低いポリウレタン
フォーム及びそれを用いた表皮材を提供することを課題
とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、裏基布を
用いなくてもスムーズな縫製ができる表皮材用の積層体
について鋭意検討した結果、積層体の合成樹脂発泡層と
して、特定の滑り摩擦抵抗の低いポリウレタンフォーム
を使用することにより上記目的が達成できることを見出
して、本発明を完成した。
用いなくてもスムーズな縫製ができる表皮材用の積層体
について鋭意検討した結果、積層体の合成樹脂発泡層と
して、特定の滑り摩擦抵抗の低いポリウレタンフォーム
を使用することにより上記目的が達成できることを見出
して、本発明を完成した。
【０００９】即ち、第１発明の滑り摩擦抵抗の低いポリ
ウレタンフォームは、潤滑成分とポリオールを含むポリ
ウレタンフォーム原料を、発泡、硬化させて得られるポ
リウレタンフォームであって、上記潤滑成分と上記ポリ
オールの溶解度パラメーターの絶対値の差が１〜５であ
り、且つ上記潤滑成分は、上記ポリウレタンフォーム原
料に対して１〜２０重量部配合されていることを特徴と
し、第２発明は、上記溶解度パラメーターの絶対値の差
及び潤滑成分の配合量を特定したものであることを特徴
とする。また、第３発明は、第１又は２発明のフォーム
と装飾用表皮のみからなる２層の表皮材であることを特
徴とする。
ウレタンフォームは、潤滑成分とポリオールを含むポリ
ウレタンフォーム原料を、発泡、硬化させて得られるポ
リウレタンフォームであって、上記潤滑成分と上記ポリ
オールの溶解度パラメーターの絶対値の差が１〜５であ
り、且つ上記潤滑成分は、上記ポリウレタンフォーム原
料に対して１〜２０重量部配合されていることを特徴と
し、第２発明は、上記溶解度パラメーターの絶対値の差
及び潤滑成分の配合量を特定したものであることを特徴
とする。また、第３発明は、第１又は２発明のフォーム
と装飾用表皮のみからなる２層の表皮材であることを特
徴とする。
【００１０】上記「ポリウレタンフォーム原料」は、潤
滑成分以外はこれまで表皮材の用途に用いられているス
ラブウレタンフォーム等の原料を特に制限されることな
く使用できる。上記「潤滑成分」としては、フォーム原
料中の「ポリオール」との「溶解度パラメーターの絶対
値の差が１〜５」の範囲のものを使用できる。具体的に
は、クレジールジフェニルフォスフェート等の可塑剤、
タービン油、マシン油等の潤滑油、ポリブテン等のオリ
ゴマーなどが挙げられる。これら潤滑成分はフォーム原
料中のポリオールの溶解度パラメーターを考慮し、適宜
選択して使用すればよい。
滑成分以外はこれまで表皮材の用途に用いられているス
ラブウレタンフォーム等の原料を特に制限されることな
く使用できる。上記「潤滑成分」としては、フォーム原
料中の「ポリオール」との「溶解度パラメーターの絶対
値の差が１〜５」の範囲のものを使用できる。具体的に
は、クレジールジフェニルフォスフェート等の可塑剤、
タービン油、マシン油等の潤滑油、ポリブテン等のオリ
ゴマーなどが挙げられる。これら潤滑成分はフォーム原
料中のポリオールの溶解度パラメーターを考慮し、適宜
選択して使用すればよい。
【００１１】上記溶解度パラメーターの絶対値の差が１
未満では、潤滑成分はフォーム原料との相溶性がよいた
め生成するフォームの表面に浸出せず、従ってフォーム
表面の滑り摩擦抵抗は、潤滑成分を配合しない場合と殆
ど変わらず、縫製性は向上しない。一方、溶解度パラメ
ーターの差が５を越える場合は、潤滑成分とフォーム原
料との相溶性が低すぎて正常に発泡、硬化せず、実用的
なフォームが得られない。溶解度パラメーターの差は１
〜３、また、特に第２発明のように１〜２の範囲が好ま
しく、この範囲であれば潤滑成分とフォーム原料との相
溶性と、生成するフォーム表面への潤滑成分の浸出がほ
どよくバランスし、正常なフォームが得られるととも
に、その表面の滑り摩擦抵抗が十分低下し縫製性が向上
する。
未満では、潤滑成分はフォーム原料との相溶性がよいた
め生成するフォームの表面に浸出せず、従ってフォーム
表面の滑り摩擦抵抗は、潤滑成分を配合しない場合と殆
ど変わらず、縫製性は向上しない。一方、溶解度パラメ
ーターの差が５を越える場合は、潤滑成分とフォーム原
料との相溶性が低すぎて正常に発泡、硬化せず、実用的
なフォームが得られない。溶解度パラメーターの差は１
〜３、また、特に第２発明のように１〜２の範囲が好ま
しく、この範囲であれば潤滑成分とフォーム原料との相
溶性と、生成するフォーム表面への潤滑成分の浸出がほ
どよくバランスし、正常なフォームが得られるととも
に、その表面の滑り摩擦抵抗が十分低下し縫製性が向上
する。
【００１２】また、潤滑成分はフォーム原料に対して１
〜２０重量部配合される。配合量が１重量部未満ではフ
ォーム表面に浸出する潤滑成分の量が少なく、滑り摩擦
抵抗は殆ど変化しない。２０重量部を越える場合は、た
とえ適度な相溶性を有する潤滑成分であってもフォーム
原料が正常に発泡、硬化せず、実用的なフォームが得ら
れない。更に、この潤滑成分の配合量が第２発明のよう
に２〜７重量％の範囲であれば、フォーム原料が正常に
発泡するとともに、滑り摩擦抵抗が適度に低下し好まし
い。上記潤滑成分は通常フォーム原料のポリオール成分
中へ配合して使用されるが、ポリイソシアネート成分と
ポリオール成分とを混合してから配合しても構わない。
〜２０重量部配合される。配合量が１重量部未満ではフ
ォーム表面に浸出する潤滑成分の量が少なく、滑り摩擦
抵抗は殆ど変化しない。２０重量部を越える場合は、た
とえ適度な相溶性を有する潤滑成分であってもフォーム
原料が正常に発泡、硬化せず、実用的なフォームが得ら
れない。更に、この潤滑成分の配合量が第２発明のよう
に２〜７重量％の範囲であれば、フォーム原料が正常に
発泡するとともに、滑り摩擦抵抗が適度に低下し好まし
い。上記潤滑成分は通常フォーム原料のポリオール成分
中へ配合して使用されるが、ポリイソシアネート成分と
ポリオール成分とを混合してから配合しても構わない。
【００１３】
【作用】フォーム原料に配合した潤滑成分は、フォーム
原料の発泡、硬化中及び／又はフォーム生成終了後にフ
ォームの樹脂骨格の表面に浸出してくる。それによりフ
ォーム表面の滑り摩擦抵抗が低下して滑り易くなり、表
皮材用積層体の部材として使用した場合に裏基布がなく
てもスムーズな縫製が可能となる。このように潤滑成分
が適度に樹脂骨格の表面に浸出し、且つフォーム原料が
正常に発泡、硬化するためには、潤滑成分はフォーム原
料と適度な相溶性を有し、且つ適量でなければならず、
本発明では特定の潤滑成分を適量配合することにより、
上記目的を達成することができたものである。
原料の発泡、硬化中及び／又はフォーム生成終了後にフ
ォームの樹脂骨格の表面に浸出してくる。それによりフ
ォーム表面の滑り摩擦抵抗が低下して滑り易くなり、表
皮材用積層体の部材として使用した場合に裏基布がなく
てもスムーズな縫製が可能となる。このように潤滑成分
が適度に樹脂骨格の表面に浸出し、且つフォーム原料が
正常に発泡、硬化するためには、潤滑成分はフォーム原
料と適度な相溶性を有し、且つ適量でなければならず、
本発明では特定の潤滑成分を適量配合することにより、
上記目的を達成することができたものである。
【００１４】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を具体
的に説明する。 比較例１ ポリエステル繊維で編まれたニットからなる装飾用表
皮、厚さ８ｍｍ、密度０．０２０ｇ／ｃｍ3 の汎用のポ
リウレタンフォーム（フォーム原料中に本発明において
使用される特定の潤滑成分を含まない。）、及びナイロ
ン繊維をトリコット編みした裏基布、を公知の技術によ
り接合し３層の積層体とした。これを自動車シート用の
型紙を用いて裁断し、裁断された積層体の裏基布を縫製
面としてミシン掛けをし、縫製性を確認するとともに、
積層体の裏基布面の滑り摩擦抵抗値及び積層体の２５％
モジュラスを測定した。
的に説明する。 比較例１ ポリエステル繊維で編まれたニットからなる装飾用表
皮、厚さ８ｍｍ、密度０．０２０ｇ／ｃｍ3 の汎用のポ
リウレタンフォーム（フォーム原料中に本発明において
使用される特定の潤滑成分を含まない。）、及びナイロ
ン繊維をトリコット編みした裏基布、を公知の技術によ
り接合し３層の積層体とした。これを自動車シート用の
型紙を用いて裁断し、裁断された積層体の裏基布を縫製
面としてミシン掛けをし、縫製性を確認するとともに、
積層体の裏基布面の滑り摩擦抵抗値及び積層体の２５％
モジュラスを測定した。
【００１５】比較例２ 裏基布を使用しなかった以外は比較例１と同様にして２
層の積層体を作製した。この積層体を使用し、比較例１
と同様にして裁断、縫製し、フォーム面を縫製面として
ミシン掛けをし、縫製性の確認をするとともに、フォー
ム面の滑り摩擦抵抗値及び積層体の２５％モジュラスを
測定した。 比較例３ フォーム原料にジオクチルアジペート（フォーム原料中
のポリオールとの溶解度パラメーターの絶対値の差：
０．１）を１０重量部添加し、裏基布を使用しなかった
以外は比較例１と同様にして積層体を作製した。この積
層体を使用し、比較例２と同様にして裁断、縫製し、縫
製性の確認をするとともに、滑り摩擦抵抗値及び２５％
モジュラスを測定した。
層の積層体を作製した。この積層体を使用し、比較例１
と同様にして裁断、縫製し、フォーム面を縫製面として
ミシン掛けをし、縫製性の確認をするとともに、フォー
ム面の滑り摩擦抵抗値及び積層体の２５％モジュラスを
測定した。 比較例３ フォーム原料にジオクチルアジペート（フォーム原料中
のポリオールとの溶解度パラメーターの絶対値の差：
０．１）を１０重量部添加し、裏基布を使用しなかった
以外は比較例１と同様にして積層体を作製した。この積
層体を使用し、比較例２と同様にして裁断、縫製し、縫
製性の確認をするとともに、滑り摩擦抵抗値及び２５％
モジュラスを測定した。
【００１６】実施例１ ポリエステル繊維で編まれたニットからなる装飾用表
皮、厚さ８ｍｍ、密度０．０２０ｇ／ｃｍ3 のポリウレ
タンフォーム（フォーム原料中にフォーム原料に対して
５重量部のポリブテンを添加して発泡、硬化させた。フ
ォーム原料中のポリオールとポリブテンとの溶解度パラ
メーターの絶対値の差：１．４）を公知の技術により接
合し２層の積層体とした。これを自動車シート用の型紙
を用いて裁断し、裁断された積層体のフォーム面を縫製
面としてミシン掛けをし、縫製性を確認するとともに、
フォーム面の滑り摩擦抵抗値及び積層体の２５％モジュ
ラスを測定した。
皮、厚さ８ｍｍ、密度０．０２０ｇ／ｃｍ3 のポリウレ
タンフォーム（フォーム原料中にフォーム原料に対して
５重量部のポリブテンを添加して発泡、硬化させた。フ
ォーム原料中のポリオールとポリブテンとの溶解度パラ
メーターの絶対値の差：１．４）を公知の技術により接
合し２層の積層体とした。これを自動車シート用の型紙
を用いて裁断し、裁断された積層体のフォーム面を縫製
面としてミシン掛けをし、縫製性を確認するとともに、
フォーム面の滑り摩擦抵抗値及び積層体の２５％モジュ
ラスを測定した。
【００１７】実施例２ ５重量部のポリブテンを３重量部のタービンオイル（フ
ォーム原料中のポリオールとの溶解度パラメーターの絶
対値の差：１．５）に代えた以外は実施例１と同様にし
て積層体を作製した。この積層体を使用し、実施例１と
同様にして裁断、縫製し、縫製性を確認するとともに、
滑り摩擦抵抗値及び２５％モジュラスを測定した。
ォーム原料中のポリオールとの溶解度パラメーターの絶
対値の差：１．５）に代えた以外は実施例１と同様にし
て積層体を作製した。この積層体を使用し、実施例１と
同様にして裁断、縫製し、縫製性を確認するとともに、
滑り摩擦抵抗値及び２５％モジュラスを測定した。
【００１８】上記比較例及び実施例において、滑り摩擦
抵抗値及び２５％モジュラスは下記の方法により測定し
た。 滑り摩擦抵抗値：ＪＩＳ Ｋ７１２５を参考にした簡易
法による。測定法の概略を図１に示す。尚、図中３の錘
は２５ｇ、４の試験片の寸法は５０×５０×１０ｍｍ、
５の相手材料は試験片と同一素材、４と５との相対的な
移動速度は２００ｍｍ／分である。測定するのは動摩擦
力で、測定値を試験片面積で割る等の計算はしておら
ず、数値はロードセルにかかる力そのものである。 ２５％モジュラス：ＪＩＳ Ｌ１０９６に準拠
抵抗値及び２５％モジュラスは下記の方法により測定し
た。 滑り摩擦抵抗値：ＪＩＳ Ｋ７１２５を参考にした簡易
法による。測定法の概略を図１に示す。尚、図中３の錘
は２５ｇ、４の試験片の寸法は５０×５０×１０ｍｍ、
５の相手材料は試験片と同一素材、４と５との相対的な
移動速度は２００ｍｍ／分である。測定するのは動摩擦
力で、測定値を試験片面積で割る等の計算はしておら
ず、数値はロードセルにかかる力そのものである。 ２５％モジュラス：ＪＩＳ Ｌ１０９６に準拠
【００１９】また、潤滑成分及びポリオールの溶解度パ
ラメーターの差は、R.F.Fedorsが提唱した方法（下記に
記載の文献参照）に基づき、各成分の化学構造におい
て、各官能基の蒸発エネルギーと分子容及びそれぞれの
官能基数とから下記の式によって算出されるＳＰ値の差
として求めた。 文献：Polymer Engineering and Science, 14, (2), 14
7(1974) 以上の結果を表１に示す。尚、表１中「ＳＰ値の差」は
使用した潤滑成分とポリオールの溶解度パラメーターの
差を表す。
ラメーターの差は、R.F.Fedorsが提唱した方法（下記に
記載の文献参照）に基づき、各成分の化学構造におい
て、各官能基の蒸発エネルギーと分子容及びそれぞれの
官能基数とから下記の式によって算出されるＳＰ値の差
として求めた。 文献：Polymer Engineering and Science, 14, (2), 14
7(1974) 以上の結果を表１に示す。尚、表１中「ＳＰ値の差」は
使用した潤滑成分とポリオールの溶解度パラメーターの
差を表す。
【００２０】
【表１】
【００２１】表１の結果によれば、比較例１では従来の
汎用のポリウレタンフォームをそのまま表皮材の部材と
して使用しているが、裏基布を使用しているため、縫製
性は良好である。しかし、２５％モジュラスは他例に比
べて大きな値となつており、裏基布に接着剤がしみ込み
表皮材が剛直になっているのが分かる。一方、実施例１
及び２では比較例１と同様のフォーム原料に、それぞれ
適量のポリブテン又はタービンオイルを配合しているた
め、裏基布を使用していないにもかかわらず縫製性は良
好であり、且つ２５％モジュラスも比較例１に比べて低
く、縫製性及び表皮材の柔軟な感触いずれも良好である
ことが分かる。
汎用のポリウレタンフォームをそのまま表皮材の部材と
して使用しているが、裏基布を使用しているため、縫製
性は良好である。しかし、２５％モジュラスは他例に比
べて大きな値となつており、裏基布に接着剤がしみ込み
表皮材が剛直になっているのが分かる。一方、実施例１
及び２では比較例１と同様のフォーム原料に、それぞれ
適量のポリブテン又はタービンオイルを配合しているた
め、裏基布を使用していないにもかかわらず縫製性は良
好であり、且つ２５％モジュラスも比較例１に比べて低
く、縫製性及び表皮材の柔軟な感触いずれも良好である
ことが分かる。
【００２２】また、比較例２では従来の汎用のポリウレ
タンフォームをそのまま使用し、且つ裏基布を使用して
いないため、モジュラスは各実施例同様低いものの、縫
製性が劣っており、更に、比較例３では適量のジオクチ
ルアジペートが配合されているが、フォーム原料のポリ
オールとの溶解度パラメーターの差が０．１と非常に小
さいため、ジオクチルアジペートはフォームの生成中或
いは生成後もフォーム表面にほとんど浸出せず、その滑
り摩擦抵抗値は比較例２に比べ僅かに低下している程度
であり、縫製性は劣っている。
タンフォームをそのまま使用し、且つ裏基布を使用して
いないため、モジュラスは各実施例同様低いものの、縫
製性が劣っており、更に、比較例３では適量のジオクチ
ルアジペートが配合されているが、フォーム原料のポリ
オールとの溶解度パラメーターの差が０．１と非常に小
さいため、ジオクチルアジペートはフォームの生成中或
いは生成後もフォーム表面にほとんど浸出せず、その滑
り摩擦抵抗値は比較例２に比べ僅かに低下している程度
であり、縫製性は劣っている。
【００２３】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。例え
ば、自動車のシートばかりではなく、ヘツドレスト、ア
ームレスト、ダッシュボード等の表皮材とすることもで
き、更に、そのような合成樹脂発泡体を基体とする成形
品ばかりでなく、家具その他の家庭用品の表皮材として
も使用でき、美しい外観、ソフトな感触等を有する製品
とすることができる。
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。例え
ば、自動車のシートばかりではなく、ヘツドレスト、ア
ームレスト、ダッシュボード等の表皮材とすることもで
き、更に、そのような合成樹脂発泡体を基体とする成形
品ばかりでなく、家具その他の家庭用品の表皮材として
も使用でき、美しい外観、ソフトな感触等を有する製品
とすることができる。
【００２４】
【発明の効果】第１発明のポリウレタンフォームは、従
来のフォームと異なり、その表面の滑り摩擦抵抗が低い
ため、表皮材用の積層体の部材として使用した場合に、
滑りがよく縫製性に優れた表皮材が得られる。また、第
２発明では、フォーム原料として使用されるポリオール
の溶解度パラメーターとの差が特定の範囲である潤滑成
分を、特定量使用することにより、フォーム原料が正常
に発泡するとともに、その滑り摩擦抵抗が適度に低いフ
ォームを得ることができる。
来のフォームと異なり、その表面の滑り摩擦抵抗が低い
ため、表皮材用の積層体の部材として使用した場合に、
滑りがよく縫製性に優れた表皮材が得られる。また、第
２発明では、フォーム原料として使用されるポリオール
の溶解度パラメーターとの差が特定の範囲である潤滑成
分を、特定量使用することにより、フォーム原料が正常
に発泡するとともに、その滑り摩擦抵抗が適度に低いフ
ォームを得ることができる。
【００２５】更に、第３発明の表皮材は、第１又は２発
明のポリウレタンフォームをその構成部材として有する
ため、従来２層品では困難であった縫製作業も、裏基布
を有する３層品と変わりなく行うことができる。更に裏
基布がないためモジュラスが低くなって伸縮性が向上
し、例えばスポーツタイプの乗用車のシートのように複
雑な凹凸形状を持つクッションパッド形状にも馴染み易
く、長期間使用してもシワが発生し難い等の効果が得ら
れる。また、裏基布を用いないため積層工程が容易とな
り、工数、時間及びコストも大幅に低減する。
明のポリウレタンフォームをその構成部材として有する
ため、従来２層品では困難であった縫製作業も、裏基布
を有する３層品と変わりなく行うことができる。更に裏
基布がないためモジュラスが低くなって伸縮性が向上
し、例えばスポーツタイプの乗用車のシートのように複
雑な凹凸形状を持つクッションパッド形状にも馴染み易
く、長期間使用してもシワが発生し難い等の効果が得ら
れる。また、裏基布を用いないため積層工程が容易とな
り、工数、時間及びコストも大幅に低減する。
【図１】滑り摩擦抵抗値測定法の概略を示す説明図であ
る。
る。
１；ロードセル、２；滑車、３；錘、４；試験片、５；
相手材料。
相手材料。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 //(Ｃ０８Ｇ 18/08 101:00）
Claims (3)
- 【請求項１】 潤滑成分とポリオールを含むポリウレタ
ンフォーム原料を、発泡、硬化させて得られるポリウレ
タンフォームであって、 上記潤滑成分と上記ポリオールの溶解度パラメーターの
絶対値の差が１〜５であり、且つ上記潤滑成分は、上記
ポリウレタンフォーム原料に対して１〜２０重量部配合
されていることを特徴とする滑り摩擦抵抗の低いポリウ
レタンフォーム。 - 【請求項２】 上記溶解度パラメーターの絶対値の差が
１〜２であり、且つ上記潤滑成分の配合量が２〜７重量
％である請求項１記載の滑り摩擦抵抗の低いポリウレタ
ンフォーム。 - 【請求項３】 装飾用表皮と請求項１又は２記載のポリ
ウレタンフォームのみからなる２層の積層体を、所定形
状に裁断した後、縫製してなることを特徴とする表皮
材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6166023A JPH083259A (ja) | 1994-06-23 | 1994-06-23 | 滑り摩擦抵抗の低いポリウレタンフォーム及びそれを用いた表皮材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6166023A JPH083259A (ja) | 1994-06-23 | 1994-06-23 | 滑り摩擦抵抗の低いポリウレタンフォーム及びそれを用いた表皮材 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH083259A true JPH083259A (ja) | 1996-01-09 |
Family
ID=15823503
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP6166023A Pending JPH083259A (ja) | 1994-06-23 | 1994-06-23 | 滑り摩擦抵抗の低いポリウレタンフォーム及びそれを用いた表皮材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH083259A (ja) |
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN1054144C (zh) * | 1998-03-13 | 2000-07-05 | 江枝田 | 无溶剂发泡聚氨酯组合物及其应用 |
| CN1055736C (zh) * | 1998-03-13 | 2000-08-23 | 江枝田 | 聚氨酯人造革的制造方法 |
| WO2007063881A1 (ja) * | 2005-11-29 | 2007-06-07 | Ntn Corporation | 多孔性固形潤滑剤および軸受並びに等速自在継手 |
| WO2008001880A1 (fr) * | 2006-06-30 | 2008-01-03 | Ntn Corporation | Joint universel et son procédé de fabrication |
| JP2009052052A (ja) * | 2005-11-29 | 2009-03-12 | Ntn Corp | 多孔性固形潤滑剤 |
| KR101581042B1 (ko) * | 2014-10-24 | 2016-01-04 | 대화산업(주) | 헤드레스트 외피제조방법 |
-
1994
- 1994-06-23 JP JP6166023A patent/JPH083259A/ja active Pending
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN1054144C (zh) * | 1998-03-13 | 2000-07-05 | 江枝田 | 无溶剂发泡聚氨酯组合物及其应用 |
| CN1055736C (zh) * | 1998-03-13 | 2000-08-23 | 江枝田 | 聚氨酯人造革的制造方法 |
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| JP2009052052A (ja) * | 2005-11-29 | 2009-03-12 | Ntn Corp | 多孔性固形潤滑剤 |
| WO2008001880A1 (fr) * | 2006-06-30 | 2008-01-03 | Ntn Corporation | Joint universel et son procédé de fabrication |
| US8118682B2 (en) | 2006-06-30 | 2012-02-21 | Ntn Corporation | Universal joint and method for production thereof |
| KR101581042B1 (ko) * | 2014-10-24 | 2016-01-04 | 대화산업(주) | 헤드레스트 외피제조방법 |
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