JPH08323925A - アルミナ−ムライト積層構造体およびその製造方法 - Google Patents

アルミナ−ムライト積層構造体およびその製造方法

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JPH08323925A
JPH08323925A JP7130389A JP13038995A JPH08323925A JP H08323925 A JPH08323925 A JP H08323925A JP 7130389 A JP7130389 A JP 7130389A JP 13038995 A JP13038995 A JP 13038995A JP H08323925 A JPH08323925 A JP H08323925A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】焼結助剤を0.1〜20重量%含有するアルミ
ナ質焼結体と、ムライト層とを積層してなるアルミナ−
ムライト積層構造体において、前記焼結助剤が、助剤全
量に対して80〜100重量%のSiO2 と、0〜20
重量%の周期律表第1A、2A、3A、4Aおよび8族
元素のうちの少なくとも1種の金属酸化物とからなるこ
とを特徴とするアルミナ−ムライト積層構造体を得る。 【効果】アルミナとムライトとの積層構造体として、ム
ライトを安定に存在させることができる。これにより、
積層構造体として、機械的強度の向上、多層回路基板と
して信号の伝播遅延の改善やオゾナイザーの電極層の酸
化保護層の形成が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミナ質焼結体とム
ライト層を積層した構造体に関するものであり、特に、
多層基板、オゾナイザー等の絶縁材料として有用な、特
に高強度、低誘電率が要求される構造体に関する。
【0002】
【従来技術】従来、アルミナ質焼結体は、高い絶縁抵抗
を有することから、回路基板などの絶縁材料として広く
使用されている。また、耐熱性や耐摩耗性、耐薬品性、
機械的特性も優れることから各種産業機械部品等への応
用も行われている。
【0003】アルミナ質焼結体は、一般にSiO2 やC
aO、SrOなどのアルカリ土類酸化物等の焼結助剤を
添加し、これを酸化性雰囲気中で焼成することにより得
られ、強度も40〜50kg/mm2 程度のものが得ら
れている。このアルミナ質焼結体に対しては高強度化が
望まれるが、Al2 3 −助剤系ではその強度向上には
限界がある。
【0004】また、アルミナ質焼結体の熱膨張係数は7
〜8ppm/℃であり、比誘電率は9〜10程度である
が、回路基板における絶縁材料として使用する場合、特
に半導体素子を搭載する基板に適用した場合、熱膨張係
数が半導体素子の熱膨張係数との差が大きいためにその
熱膨張係数を小さくすることが望まれる。また、アルミ
ナ質焼結体の表面あるいは内部に配線層を形成する場
合、比誘電率が高いと信号の伝搬遅延が大きくなるた
め、比誘電率は小さいことが望まれる。
【0005】一方、ムライト(3Al2 3 ・2SiO
2 )は、熱膨張係数が4〜5ppm/℃と半導体素子に
近似しており、また、比誘電率は6〜7程度と低いため
に回路基板用の絶縁材料としてはアルミナ質焼結体より
も適しているが、機械的強度が20〜30kg/mm2
とアルミナ質焼結体よりも低い。
【0006】そこで、アルミナ質焼結体の高強度を活か
しつつムライトの低誘電率、低熱膨張性を利用するため
に、アルミナ質焼結体とムライト焼結体とを複合化させ
ることが考えられる。
【0007】そこで、特公昭64−9266号では、A
2 3 に、B2 3 、SiO2 、アルカリ土類酸化
物、ムライトを添加した組成物を焼結し、焼結体の表面
にムライトを析出させた焼結体が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、特公
昭64ー9266号公報に示される方法では、ムライト
層は、焼結体の表面にしか形成することができず、ま
た、ムライト層の厚みも、焼成条件等により変化し、均
一な厚みのムライト層を析出することができないという
問題があった。
【0009】また、汎用のSiO2 やアルカリ土類酸化
物の焼結助剤を添加したアルミナ質焼結体では、一般に
SiO2 :アルカリ土類酸化物重量比が、2:1〜7:
2であり、この組成のアルミナ質焼結体の表面にムライ
トの層を形成し焼成した場合、アルカリ土類等の酸化物
とムライトが反応してアルミナと液相成分に分解してし
まい、アルミナ粒子が異常粒成長するとともに液相はア
ルミナ質焼結体中に吸収されてしまうために、結果的に
アルミナ質焼結体の表面に緻密質なムライト層を安定し
て形成することができなかった。
【0010】
【問題点を解決するための手段】本発明者は、上記問題
点を解決すべく鋭意検討した結果、アルミナ−焼結助剤
系のアルミナ質焼結体において、アルミナおよび焼結助
剤として少なくともSiO2 を用い、それらを特定の組
成範囲に制御すると、ムライト層を積層してもムライト
と焼結体中の助剤成分とが反応することなく、ムライト
層が安定して存在し得ることを見いだした。しかも、特
定の組成範囲のアルミナ質成形体の表面にムライト組成
物の層を設け、これを同時焼成することによりムライト
層を積層したアルミナ質焼結体が得られることを見いだ
し本発明に至った。
【0011】即ち、本発明は、焼結助剤を0.1〜20
重量%含有するアルミナ質焼結体と、ムライト層とを積
層してなるアルミナ−ムライト積層構造体であって、ア
ルミナ質焼結体における焼結助剤が、助剤全量に対して
80〜100重量%のSiO2 と、0〜20重量%の周
期律表第1A、2A、3A、4Aおよび8族元素のうち
の少なくとも1種の金属酸化物とからなることを特徴と
するものである。
【0012】また、かかる積層構造体を製造する方法と
して、アルミナを主成分とし、焼結助剤を0.1〜20
重量%含有し、該焼結助剤が、助剤全量に対して80〜
100重量%のSiO2 と、0〜20重量%の周期律表
第1A、2A、3A、4A、8族元素のうちの少なくと
も1種の金属の酸化物とからなる組成のアルミナ質成形
体と、ムライト形成用組成物とを積層した後、該積層物
を焼成することを特徴とするものである。
【0013】以下、本発明を詳述する。本発明によれ
ば、ムライト層を積層するアルミナ質焼結体が、アルミ
ナを主体とし、焼結助剤として、少なくともSiO2
含み、さらには周期律表第1A、2A、3A、4A、8
族元素のうちの少なくとも1種の金属の酸化物を含むも
のであるが、この焼結助剤組成が、SiO2 が80〜1
00重量%、特に85〜95重量%と、周期律表第1
A、2A、3A、4A、8族元素のうちの少なくとも1
種の金属の酸化物が0〜20重量%、特に5〜15重量
%の組成からなり、上記組成からなる焼結助剤を0.1
〜20重量%、特に3〜15重量%の割合で含有するこ
とが重要である。
【0014】この焼結助剤の組成および焼結助剤量は、
ムライトをアルミナ質焼結体に対して積層した場合にム
ライト層を安定に形成させるために重要であり、焼結助
剤の組成において、SiO2 量が80重量%より少ない
と焼成時にムライト層がAl2 3 と液相に分解しやす
くなる。また、周期律表第1A、2A、3A、4A、8
族元素のうちの少なくとも1種の金属の酸化物を添加し
た場合、その量が20重量%を越えても同様にムライト
が分解しやすくムライト層を安定に形成できない。
【0015】周期律表第1A、2A、3A、4A、8族
元素のうちの少なくとも1種の金属の酸化物としては、
具体的には、Li、Na,K、Mg、Ca、Sr、B
a、Y、Ce、Nd、Sm、Er、Yb、Ti、Feの
酸化物が挙げられる。これらの中でもCaO、MgO、
2 3 が助剤として最適である。
【0016】本発明によれば、上記アルミナ質焼結体に
積層されるムライト(3Al2 3・2SiO2 )層は
安定に存在できるために、ムライト層の厚みは、用途、
目的に応じて適宜調整することができる。なお、積層構
造体においてムライト層は、アルミナ質焼結体の表面に
積層形成する以外に、アルミナ質焼結体の内部に積層配
設することも可能である。
【0017】このようなアルミナ−ムライト積層構造体
を製造するにあたり、まず、アルミナ質成形体を作製す
る。この成形体は、SiO2 が80〜100重量%、特
に85〜95重量%と、周期律表第1A、2A、3A、
4A、8族元素のうちの少なくとも1種の金属の酸化物
が0〜20重量%、特に5〜15重量%の組成からなる
焼結助剤を調製し、この助剤成分をアルミナに対して
0.1〜20重量%、特に3〜15重量%の割合で添加
混合する。
【0018】その後、この混合粉末を用いて公知の成形
方法、例えば、ドクターブレード法、シート圧延法、金
型プレス法、冷間静水圧プレス法、押出し成形法等によ
り任意の形状に成形してアルミナ質成形体を作製する。
【0019】次に、ムライト形成用組成物を調製する。
このムライト形成用組成物としては、ムライト(3Al
2 3 ・2SiO2 )粉末、またはSiO2 粉末とAl
2 3 粉末を50〜25:50〜75の混合物に種結晶
としてムライト粉末を1重量%以上添加した組成物が使
用できる。さらに場合によっては、上記組成物に対して
アルミナの焼結助剤成分であるSiO2 や周期律表第1
A、2A、3A、4A、8族元素のうちの少なくとも1
種の金属の酸化物を10重量%以下の割合で添加するこ
ともできる。その場合には、焼結助剤成分中のSiO2
量を80重量%以上とすることがよい。
【0020】また、焼結助剤成分としては、上記成分以
外にMn、ZnあるいはBの酸化物等を添加することに
よりさらに低温焼成が可能となる。この場合において
も、焼結助剤成分中のSiO2 量が80重量%以上とな
るように組成制御するのがよい。
【0021】そして、上記のアルミナ質成形体に対し
て、ムライト形成用組成物を積層する。積層方法として
は、アルミナ質成形体の表面に、印刷法、ディッピング
等の方法によりムライト形成用組成物を塗布するか、あ
るいはムライト形成用組成物を用いて、ドクターブレー
ド法、シート圧延法、金型プレス,冷間静水圧プレス,
押出し成形等により所定形状に成形したものをアルミナ
質成形体に積層圧着することにより成形体の積層物を作
製することができる。
【0022】次に、上記のようにして作製した積層物を
大気などの酸化性雰囲気や、窒素/水素混合雰囲気など
の還元性雰囲気中で焼成する。焼成は、1250℃〜1
800℃にて同時焼成することでアルミナ質焼結体とム
ライト層を同時に焼結緻密化することができる。この
時、1500℃以下で焼成するためには、原料粉末とし
て平均粒径がサブミクロンの粉末もしくは比表面積が1
0m2 /g以上の粉末を用いることが好ましい。また、
1500℃〜1700℃の焼成をおこなう場合には、平
均粒径が数ミクロンもしくは比表面積が数m2 /gの原
料を用いることが好ましい。1700℃以上で焼成する
には、サブミクロンの粉末を極力排除し、比表面積が数
2 /g以下の原料を用いることが好ましい。
【0023】ただし、ムライトの分解温度が1810〜
1830℃であり、また、高温ではムライトの分解が促
進される可能性があるため、焼成温度は、望ましくは1
700℃以下がよい。
【0024】なお、Al、Si、周期律表第1A、2
A、3A、4A、8族元素のうちの少なくとも1種の金
属は、焼成によって酸化物になる化合物であればどのよ
うな形で用いて良く、例えば、水酸化物、炭酸塩、硝酸
塩、炭化物、窒化物、その他の化合物であっても構わな
い。
【0025】また、アルミナ質焼結体あるいはムライト
層中には、着色剤としてCr等のアルミナに全率固溶す
る元素や、W、Mo、Re、Au、Ag、Cu,Pt
等、金属として分散して着色効果がある顔料を添加する
ことも出来る。
【0026】次に、本発明のアルミナ−ムライト積層構
造体による各種の利用形態について説明する。図1、図
2は、本発明のアルミナ−ムライト積層構造体の基本的
な構造例を示すものであり、アルミナ質焼結体からなる
基板1の表面にムライト層2が形成されている。この場
合、ムライト層は基板1の外表面全面に形成してもよ
い。ムライト層2は、図1のように基板1の上下面に形
成する他、図2のように基板1の内部に形成することも
できる。このような構造によれば、ムライト層2は、ア
ルミナ質焼結体よりも低熱膨張係数であるため、焼成後
の冷却時にムライト層2に大きな圧縮応力が発生し、表
面圧縮応力による積層体全体の強化が可能となる。この
強化構造においては、ムライト層の厚みが数μmであっ
ても充分に強化が起こるが、安定して高強度にするため
には10μm以上の厚みのムライト層を形成することが
好ましい。
【0027】図3は、本発明の構造体を多層配線基板、
特に半導体素子収納用パッケージに用いた場合のもので
ある。図3の半導体収納用パッケージによれば、絶縁基
板3には、半導体素子4を収納するための凹部5が形成
されており、絶縁基板3の表面あるいは内部にはW、M
oなどの配線層6が形成されている。また、絶縁基板3
には、他の外部回路基板に実装するための接続ピン7が
複数本接続される。この接続ピン7は配線層6および半
導体素子4と電気的に接続されている。
【0028】本発明によれば、絶縁基板3をアルミナ質
焼結体により構成するが、配線層6に隣接する上下の絶
縁層のみムライト層8により構成すし、それ以外の部分
をアルミナ質層9により構成する。このように、絶縁基
板における配線層6をアルミナ質焼結体よりも低誘電率
のムライト層8により挟持することにより、配線層6に
おける信号の伝搬遅延を小さくすることができる。ま
た、この多層配線基板の外表面にムライト層10を形成
することにより、ムライト層10の圧縮応力により配線
基板の高強度化を図ることもできる。
【0029】上記半導体素子収納用パッケージを製造す
るには、例えば、前述した製法に基づきアルミナ質シー
ト状成形体と、ムライト形成用組成物からシート状成形
体を作製し、図3に示されるような層構成になるよう
に、W、Mo、Mo−Mnなどの配線層を形成するため
の金属ペースト、ムライトシート状成形体、アルミナ質
シート状成形体を積層あるいは塗布して、積層成形体を
作製し、これを1250〜1800℃の加湿した窒素/
水素混合雰囲気などの還元性雰囲気中で同時焼成するこ
とにより図3で示したような半導体素子収納用パッケー
ジが得られる。
【0030】次に、図4は、本発明の構造体をオゾナイ
ザーに用いた場合のもので、図4(a)は平面図、図4
(b)は図4(a)におけるX−X断面図である。図4
によれば、アルミナ質焼結体からなる基板11の表面に
誘導電極層12、誘電体層13、放電電極層14が積層
されている。また、放電電極層14の表面には、保護層
15が形成される。かかるオゾナイザーによれば、誘電
電極層12と放電電極層14の間に高電圧を印加するこ
とによりイオンを発生させるものである。
【0031】本発明によれば、上記オゾナイザーにおい
て基板11および誘電体層13をアルミナ質焼結体によ
り構成し、保護層15をムライト層により構成する。よ
って、放電電極層14形成部以外の箇所でアルミナ質焼
結体とムライト層が直接積層された構造となる。
【0032】このように、ムライトの方がアルミナより
比誘電率が低いため、ムライトからなる保護層は厚く形
成できるため、オゾナイザーにより発生したオゾンガス
の酸化作用に対して放電電極層14を強固に保護するこ
とができ、オゾナイザーに優れた耐久性を付与すること
ができる。
【0033】図4のオゾナイザを製造するには、例え
ば、アルミナ質のシート状成形体の表面に誘電電極層1
2を形成するためのW,Mo、Mo−Mn等の金属ペー
スト、アルミナ質シート状成形体、放電電極層14を形
成するためのW,Mo、Mo−Mn等の金属ペーストを
塗布した後、放電電極層14を完全に覆うようにムライ
ト形成用組成物のペーストを塗布して保護層を形成す
る。そして、この積層成形体を1250〜1800℃の
加湿した窒素/水素混合雰囲気などの還元性雰囲気中で
焼成することにより作製することができる。
【0034】
【作用】本発明によれば、アルミナ質焼結体にムライト
層を積層する場合、アルミナ質焼結体を、SiO2 が8
0〜100重量%と、周期律表第1A、2A、3A、4
A、8族元素のうちの少なくとも1種の金属の酸化物が
0〜20重量%の組成からなる焼結助剤を0.1〜20
重量%含有し、残部がアルミナからなるアルミナ質焼結
体により構成することにより、金属酸化物からなる焼結
助剤とムライトとの反応を抑制し、アルミナ質焼結体の
表面にムライト層を安定して形成することができる。
【0035】その結果、本発明のアルミナ−ムライト積
層構造体は、熱膨張係数が7〜8ppm/℃のアルミナ
と、熱膨張係数が4〜5ppm/℃のムライトが安定に
積層された構造からなることから、これらを同時焼成し
た後の冷却時にムライトに大きな圧縮応力が発生するた
め、アルミナ−ムライト積層構造体としての表面圧縮応
力による強化が可能となる。
【0036】また、半導体素子収納用パッケージなどの
多層配線基板において、アルミナ質焼結体からなる基板
の内部にムライト層を形成することが可能である。アル
ミナの比誘電率は約10であるのに対し、ムライトの比
誘電率は6〜7であり、多層配線基板の配線部のみをム
ライト層で挟持することにより、信号の伝播遅延を小さ
くすることが出来る。これにより、抗折強度40〜50
kg/mm2 のアルミナ質焼結体の特性を損なうことな
く、伝播遅延が小さくかつ高強度の多層配線基板を形成
できる。また、この多層配線基板を更にムライトにて被
覆する事により、さらに高強度の配線基板を作製するこ
とが可能となる。
【0037】さらに、本発明におけるアルミナ質焼結体
を基板および誘電体として作製されたオゾナイザーの表
面に放電電極層の保護層としてムライト層を被覆するこ
とにより、アルミナより比誘電率が低いために厚いコー
ティングが可能となり、放電電極層の保護力を高めるこ
とができる。
【0038】
【実施例】
実施例1 Al2 3 粉末と、焼結助剤成分としてSiO2 粉末
と、周期律表第1A、2A、3A、4Aおよび8族の酸
化物のうち少なくとも1種の粉末を表1、2の割合で混
合し、公知のバインダーと溶剤、分散剤、可塑剤、消泡
剤、帯電防止剤等と混合し、ドクターブレード法により
厚さ約0.5mmのアルミナグリーンシートを作製し
た。また、3Al2 3 ・2SiO2 の組成からなるム
ライト粉末も同様にして、厚さ約0.015mmのグリ
ーンシートを作製した。
【0039】そして、アルミナグリーンシートを7枚積
層し、さらにそれらの最上面、最下面にムライトのグリ
ーンシートをそれぞれ1〜3層積層し、全体厚みが約
3.5〜3.6mmの積層体を作製した。その積層体の
幅を4.82mm、長さを約45mmに切断し、これら
を加湿した窒素/水素混合雰囲気中で1450〜180
0℃で2時間焼成して、厚み約3mm、幅約4mm、長
さ約37mmの焼結体を得た。この焼結体を用いて3点
曲げ試験を行うと共に、ムライト層と、アルミナ質焼結
体の結晶相をX線回折により調べた。結果は、表3、4
に示した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】表1〜表4の結果から明らかなように、焼
結助剤量が20重量%よりも多い試料No.1では強度が
低いものであった。また、助剤中のSiO2 量が助剤全
量中80重量%より少ない試料No.4、No.13ではい
ずれもムライト層のほとんどがアルミナに分解してお
り、強度特性においてもムライト層を形成しない試料N
o.8、15と同様に強度向上効果は認められなかった。
【0045】また、試料No.7とNo.8との対比、試料
No.15、16、17の対比によれば、ムライト層を形
成することにより、強度が向上し、ムライト層の厚みが
増すほど強度が向上することがわかる。このように、本
発明品では、強度が50kg/mm2 以上を有するアル
ミナ−ムライト積層構造体を作製することができた。し
かも、ムライト層においては、焼結後においてもアルミ
ナ化することなく安定にムライト層を形成することがで
きた。
【0046】実施例2 実施例1と全く同様にして表5の組成からなる厚さ0.
5mmのアルミナグリーンシートと厚さ0.015mm
のムライトグリーンシートを作製した。そして、1枚の
ムライトのグリーンシートの表面にWメタライズペース
トを15μmの厚みで塗布し、その表面にムライトグリ
ーンシートを重ね、さらにその最上面と最下面の両面に
アルミナグリーンシートを各3層づつ積層し、全体厚み
が約3mmの積層体を作製した。その積層体の幅を4.
82mm、長さを約45mmに切断し、これを大気中で
で1550〜1650℃で2時間焼成することにより、
厚み約2.5mm、幅約4mm、長さ約37mmの焼結
体を得た。この焼結体を用いて3点曲げ試験を行うと共
に、ムライト層と、ムライト層と隣接するアルミナ層の
結晶相をX線回折により調べた。
【0047】
【表5】
【0048】表5から明らかなように、アルミナ質焼結
体の組成が本発明の範囲にある焼結体を用いてWメタラ
イズ層をムライト層により挟持した構造においても、ム
ライト層は全く変化なく安定に存在しており、Wメタラ
イズ層も良好に焼結していた。これに対して、アルミナ
質焼結体中のSiO2 量が少ない試料No.40〜43で
は、いずれもムライト層が一部アルミナに変化し、針状
の巨大アルミナ粒子が析出と同時にムライトが分解して
生じた液相がアルミナ質焼結体に吸収され、ポーラスと
なった。
【0049】この結果から、本発明のアルミナ−ムライ
ト積層構造体は、Wメタライズ層を配線層あるいは電極
層とする多層回路基板やオゾナイザーとして使用できる
ことがわかった。
【0050】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のアルミナ−
ムライト積層構造体によれば、アルミナの焼結助剤成分
の組成を特定することにより、アルミナとムライトとの
積層構造体として、ムライトを安定に存在させることが
できる。これにより、積層構造体として、機械的強度の
向上、多層回路基板として信号の伝播遅延の改善やオゾ
ナイザーの電極層の酸化保護層の形成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルミナ−ムライト積層構造体におけ
る基本的な一構造例を示す図である。
【図2】本発明のアルミナ−ムライト積層構造体におけ
る基本的な他の構造例を示す図である。
【図3】本発明の積層構造体を多層配線基板、特に半導
体素子収納用パッケージに用いた場合の概略図である。
【図4】本発明の積層構造体をオゾナイザーに用いた場
合のもので、(a)は平面図、(b)は(a)のX−X
断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2、8、10 ムライト層 3 絶縁基板 4 半導体素子 5 凹部 6 配線層 7 接続ピン 9 アルミナ質層 11 基板 12 誘導電極層 13 誘電体層 14 放電電極層 15 保護層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】焼結助剤を0.1〜20重量%含有するア
    ルミナ質焼結体と、ムライト層とを積層してなるアルミ
    ナ−ムライト積層構造体において、前記焼結助剤が、助
    剤全量に対して80〜100重量%のSiO2 と、0〜
    20重量%の周期律表第1A、2A、3A、4Aおよび
    8族元素のうちの少なくとも1種の金属酸化物とからな
    ることを特徴とするアルミナ−ムライト積層構造体。
  2. 【請求項2】アルミナを主成分とし、焼結助剤を0.1
    〜20重量%含有し、該焼結助剤が、助剤全量に対して
    80〜100重量%のSiO2 と、0〜20重量%の周
    期律表第1A、2A、3A、4A、8族元素のうちの少
    なくとも1種の金属の酸化物とからなるアルミナ質成形
    体と、ムライト形成用組成物とを積層した後、該積層物
    を焼成することを特徴とするアルミナ−ムライト積層構
    造体の製造方法。
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