JPH08323819A - 射出成形用金型装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形品にヒケがなく、ディスクゲートの容積
が小さく、成形の工程で成形品をディスクゲートから切
り離し得る射出成形用金型装置を提供する。 【構成】 可動金型が、当板の外周縁部に固定され、固
定金型に押し当てられるガイド金型と、ガイド金型の内
側に入れ子状に設けられ、キャビティーの端面を画成す
る圧縮金型と、圧縮金型の内側に入れ子状に設けられ、
当板に密着した状態で金型が閉じられた状態にあるとき
は、キャビティーと連通するディスクゲートを画成する
が、当板から離れたときにディスクゲートを圧縮してキ
ャビティーとの連通を遮断するパンチ金型とから成る射
出成形用金型装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、射出成形用金型装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、円筒状の成形品を射出成形には、
多点ゲート式又はディスクゲート式の金型装置が用いら
れている。

【０００３】このうち、多点ゲート式のものには、ゲー
トが成形品の内壁面中央の複数箇所に接続されたサイド
ゲート式と、その一方の端面に接続されたピンゲート式
のものがあるが、いずれの方式のものもキャビティー内
への圧力伝達が不充分であるため、成形品にヒケと呼ば
れる歪みが発生し易いという問題があった。

【０００４】また、ディスクゲート式のものの場合、多
点ゲート式のものに比べればヒケは生じ難いが、成形品
が細長い場合には圧力伝達が不充分になり、ヒケが発生
するという問題があった。このような場合でもディスク
ゲート部分の厚みを厚くすれば、圧力伝達の効率を高め
ることができ、ヒケのない成形品を得ることができる
が、ディスク部分に多量の材料を用いることになって材
料の無駄が多くなり、製造コストが上昇するという問題
があった。

【０００５】さらに、これらの金型装置のうち、サイド
ゲート式及びディスクゲート式のものは、成形品を金型
から取り出したときに成形品とゲートが一体となってい
るので、改めて切り離さなければならず手間がかかると
いう問題があった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題を
解決するためになされたものであり、その目的とすると
ころは、成形品にヒケがなく、ディスクゲートの容積が
小さく、成形の工程で成形品をディスクゲートから切り
離し得るので後加工の必要がない射出成形用金型装置を
提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的は、ディスク
ゲートと円筒状のキャビティーを構成し得る固定金型及
び可動金型とから成る射出成形用金型装置において、可
動金型が共通の当板の固定金型側の端面に互いに同軸に
設けられた下記の構成要素イないしハから成ることを特
徴とする射出成形用金型装置によって達成される。 イ）当板の外周縁部に固定される環状の部材であって、
金型が閉じたとき固定金型に押し当てられるガイド金
型。 ロ）ガイド金型の内側に入れ子状に中心軸方向に相対移
動可能に設けられる環状の部材であって、当板から離れ
てその移動終点まで移動したとき、キャビティーの端面
を画成する圧縮金型。 ハ）圧縮金型の内側に入れ子状に中心軸方向に相対移動
可能に設けられ、キャビティーの内壁面を構成する略円
筒状の部材であって、当板に密着した状態で金型が閉じ
られたときは、キャビティーと連通するディスクゲート
を画成するが、当板から離れてその移動終点まで移動し
たときは、ディスクゲートを圧縮してキャビティーとの
連通を遮断し、キャビティーを閉成する位置まで移動さ
せられるパンチ金型。

【０００８】而して、この金型を用いる場合、最初に金
型を閉じるときには、ガイド金型、圧縮金型及びパンチ
金型を当板に密着させておき、金型を閉じた状態で樹脂
をキャビティー内に射出し、次いで、パンチ金型を上方
に移動させてディスクゲートを圧縮してディスクゲート
から樹脂を押し出すと共にディスクゲートとキャビティ
ーの連通を遮断し、更に引き続いてパンチ金型と共に圧
縮金型を一体として上方に移動させてキャビティー内の
樹脂を圧縮してそれに強い圧力を掛けながら冷却固化さ
せ、最後に金型を開いて成形品を取り外すものである。

【０００９】

【作用】上記の如き構成であると、ディスクゲートは樹
脂の射出中には分厚いが、成形過程で圧縮されて薄くな
ると共に、キャビティーと遮断され、さらに、閉成され
たキャビティー内の樹脂は強い圧力を受けながら冷却固
化されるので、ディスクゲートの容積を最終的に小さく
でき、成形品にヒケが生ずることがなく、かつ、ディス
クゲートの切り離し作業なしに最終製品を得ることがで
きるものである。

【００１０】

【発明を実施するための最良の態様】以下、図面に基づ
いて本発明に係る射出成形用金型装置について説明す
る。図１は本発明に係る射出成形用金型装置の一実施例
を示す断面図、図２は図１に示した金型装置へ樹脂を充
填した状態を示す断面図、図３は図１に示した金型装置
でキャビティーを閉成した状態を示す断面図、図４は図
１に示した金型装置のキャビティー内の樹脂を圧縮しつ
つ冷却固化するときの状態を示す断面図である。

【００１１】まず、図１について説明する。図中、１は
固定金型、２は可動金型、３はスプルー部、４はディス
クゲート、５は突出しピン、６はキャビティー、７は当
板である。この射出成形用金型装置は、合成樹脂を円筒
状に成形するディスクゲート式のものである。

【００１２】本実施例においては、固定金型１は、図示
しない支持具によりその中心軸が鉛直になるよう支持さ
れている。可動金型２は、当板７上に載せられた上、そ
の中心軸が固定金型１のものと一致するよう固定金型１
の下面に開閉自在に支持される。

【００１３】スプルー部３は、固定金型１の中央縦方向
に設けられる貫通孔によって構成される。ディスクゲー
ト４は、金型を閉じ、固定金型１に可動金型２を合わせ
たときに両者の間に構成される。

【００１４】突出しピン５は、可動金型２の中心軸に沿
って設けた貫通孔内に挿入され、金型が開いたときディ
スクゲート４内で固化した樹脂塊を突出し除去する。キ
ャビティー６は、金型が閉じたとき固定金型１と可動金
型２の間に画成される円筒状の空間である。

【００１５】以下、固定金型１及び可動金型２の詳細に
ついて説明する。固定金型１は、外枠固定金型１０と、
中央固定金型１１とから成る。外枠固定金型１０は環状
の部材であり、その中央に設けた貫通孔に中央固定金型
１１が嵌め込まれ、両者は一体的に図示されていない受
け板に取り付けられる。

【００１６】この外枠固定金型１０には、その内周面に
沿って環状のキャビティー形成部１０ａが設けられ、ま
た、その下面の内側に沿って後に説明する圧縮金型を受
け入れるための環状の凹部１０ｂが形成されている。

【００１７】中央固定金型１１は、外枠固定金型１０と
共に上記の図示されていない受け板に取り付けられる円
盤状の部材であり、キャビティー６の内径と等しい外径
を有し、中心軸に沿ってスプルー部３となる貫通孔を有
し、その下面がディスクゲート４の一方のディスク面１
１ａとなっている。このディスク面１１ａは、その中央
周辺が緩やかな傾斜を有し、円錐状の凹面となってい
る。

【００１８】可動金型２は、いずれも当板７に同軸に取
り付けられるガイド金型２０、圧縮金型２１及びパンチ
金型２２とから成る。この当板７上に設けられた圧縮金
型２１及びパンチ金型２２は、当板７のを貫通してそれ
ぞれ結合される圧縮金型押圧ピン２１０及びパンチ金型
押圧ピン２２０により上下に移動せしめられるようにな
っている。

【００１９】この圧縮金型押圧ピン２１０及びパンチ金
型押圧ピン２２０及び突出しピン５は、図示しない装置
によりシーケンス制御され、これにより、以下に説明す
るように射出成形が行われる。

【００２０】ガイド金型２０は、当板７の外周縁部に沿
って固定される環状の部材であって、金型が閉じられた
とき外枠固定金型１０に押し当てられるものである。圧
縮金型２１は、ガイド金型２０の内側に入れ子状に中心
軸方向に微小距離相対移動可能に設けられる環状の部材
であって、高さがガイド金型２０と等しい主体環部２１
ａと、主体環部２１ａの上端から所定距離内側に張り出
し、その自由端縁がキャビティー６の下端面となるよう
所定の厚さで円筒状に上方に伸びる張り出し部２１ｂと
から成る。

【００２１】この圧縮金型２１は、樹脂の射出中はその
下面が当板７に密着しており、主体環部２１ａの上面と
外枠固定金型１０の凹部１０ｂとの間には一定の間隙が
保持されており、そのため、以下に説明するようにパン
チ金型２２によりキャビティー６が閉成された後、パン
チ金型押圧ピン２２０により固定金型１側に押し上げ得
るようになっている。

【００２２】パンチ金型２２は、キャビティー６の内壁
面を画成する円筒状の部材であり、圧縮金型２１の内側
に入れ子状に中心軸方向に微小距離相対移動可能に設け
られ、中央にスプルー部３となる貫通孔が設けられ、下
縁外周に沿って、圧縮金型２１の張出部２１ｂの下側に
張り出すフランジ２２ｂを有する。

【００２３】このパンチ金型２２は、樹脂の射出中その
下面が当板７に密着しており、キャビティー６と連通す
るディスクゲート４を画成する。また、そのフランジ２
０ｂの上面と圧縮金型２１の張出部２１ｂの下面との間
には一定の間隙が保持されており、そのため、圧縮金型
２１とは別個にパンチ金型押圧ピン２２０により固定金
型１側に押し上げられると当板７から離れ、ディスクゲ
ート４を圧縮し、さらに、フランジ２２ｂの上面が圧縮
部材２１の張出部２１ｂの下面に接触する段になると、
ディスクゲート４とキャビティー６の連通を遮断し、キ
ャビティー６を閉成し得るようになっている。

【００２４】而して、図２に示したように、ガイド金型
２０、圧縮金型２１及びパンチ金型２２が当板７に密着
した状態で金型が閉じられるとき、即ち、ガイド金型２
０が外枠固定金型１０に突き当たるまで可動金型２全体
が押し上げられるときは、中央固定金型１１とパンチ金
型２０の間にはスプルー部３から水平に広がるディスク
ゲート４と、外枠固定金型１０、圧縮金型２１及びパン
チ金型２２に囲まれた円筒状のキャビティー６とが画成
される。

【００２５】この状態ではディスクゲート４は厚みが大
きく、キャビティー６はディスクゲート４と連通せしめ
られており、外枠固定金型１０と圧縮金型２１との間、
及び張出部２１ｂとフランジ２２ｂとの間には間隙が形
成される。

【００２６】以下、上記の射出成形用金型装置による射
出成形の様子を図２ないし図４を用いて説明する。ま
ず、図２に示したように、金型を閉じた後、固定金型１
の上方に設けた図示しない溶融樹脂供給装置から溶融し
た樹脂８をスプルー部３を通じてディスクゲート４及び
キャビティー６内に射出、充填する。次いで、図３に示
したように、パンチ金型押圧ピン２２０を作用させてパ
ンチ金型２２を上方に移動させ、ディスクゲート４を圧
縮する。

【００２７】ディスクゲート４の圧縮が進行すると、パ
ンチ金型２２のフランジ２２ｂの上面が圧縮金型２１の
張出部２１ｂに接触し、ディスクゲート４とキャビティ
６の連通が遮断される。図４に示したように、パンチ金
型２２は圧縮金型２１を伴って更に上方に移動し、ディ
スクゲート４が引続き圧縮され、その樹脂が押し戻され
ると共に、圧縮金型２１が圧縮金型押圧ピン２１０によ
り強く押上られ、キャビティー６内で冷却固化する樹脂
８には強い圧力が掛けられる。

【００２８】そして、樹脂８が固化したら金型を開き、
成形品及びディスク部を取り外すものである。このよう
にすると、樹脂射出中はディスクゲート４が広いので、
キャビティー６内には充分に樹脂８が供給され、かつ、
その樹脂８は、冷却中圧縮金型２１から強い圧力を受
け、圧縮されながら固化するのでヒケのない良質の成形
品が得られ、また、パンチ金型２０の上昇によりディス
クゲート部４の容積が減るので、材料のムダが少なくて
すむものである。

【００２９】なお、本発明の構成は叙上の実施例に限定
されるものではなく、例えば、パンチ金型押圧ピンや圧
縮金型押圧ピンの数や配置、及び各金型の形状は適宜に
変更できるものであり、本発明は上記の説明から当業者
が容易に想到し得る総ての変更実施例を包摂するもので
ある。

【００３０】

【発明の効果】本発明に係る射出成形用金型装置は叙上
の如く構成されるので、本発明によるときは、ヒケがな
く、ディスクゲート部分で固化する樹脂が少なくて済
み、従って樹脂のロスが少なく、かつ、成形品からディ
スクゲートを切り離す作業なしで高精度の成形品を得る
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る射出成形用金型装置の一実施例を
示す断面図である。

【図２】図１に示した金型装置へ樹脂を充填した状態を
示す断面図である。

【図３】図１に示した金型装置でキャビティーを閉成し
た状態を示す断面図である。

【図４】図１に示した金型装置のキャビティー内の樹脂
を圧縮しつつ冷却固化するときの状態を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１・・・・・・・固定金型 １０・・・・・・外枠固定金型 １０ａ・・・・・キャビティー形成部 １０ｂ・・・・・凹部 １１・・・・・・中央固定金型 １１ａ・・・・・ディスク面 ２・・・・・・・可動金型 ２０・・・・・・ガイド金型 ２１・・・・・・圧縮金型 ２１ａ・・・・・主体環部 ２１ｂ・・・・・張出部 ２１０・・・・・圧縮金型押圧ピン ２２・・・・・・パンチ金型 ２２ａ・・・・・ディスク面 ２２ｂ・・・・・フランジ ２２０・・・・・パンチ金型押圧ピン ３・・・・・・・スプルー部 ４・・・・・・・ディスクゲート ５・・・・・・・突出しピン ６・・・・・・・キャビティー ７・・・・・・・当板 ８・・・・・・・樹脂

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ディスクゲート（４）と円筒状のキャビテ
   ィー（６）を構成し得る固定金型（１）及び可動金型
   （２）とから成る射出成形用金型装置において、 可動金型（２）が共通の当板（７）の固定金型側の端面
   に互いに同軸に設けられた下記の構成要素イないしハか
   ら成ることを特徴とする射出成形用金型装置。 イ）当板（７）の外周縁部に固定される環状の部材であ
   って、金型が閉じたとき固定金型（１）に押し当てられ
   るガイド金型（２０）。 ロ）ガイド金型（２０）の内側に入れ子状に中心軸方向
   に相対移動可能に設けられる環状の部材であって、当板
   （７）から離れてその移動終点まで移動したとき、キャ
   ビティー（６）の端面を画成する圧縮金型（２１）。 ハ）圧縮金型（２１）の内側に入れ子状に中心軸方向に
   相対移動可能に設けられ、キャビティー（６）の内壁面
   を構成する略円筒状の部材であって、当板（７）に密着
   した状態で金型が閉じられたときは、キャビティー
   （６）と連通するディスクゲート（４）を画成するが、
   当板（７）から離れてその移動終点まで移動したとき
   は、ディスクゲート（４）を圧縮してキャビティー
   （６）との連通を遮断し、キャビティー（６）を閉成す
   る位置まで移動させられるパンチ金型（２２）。