JPH0832238A - 多層配線基板とその製造方法、及びそれに用いるシリカ焼結体の製造方法 - Google Patents

多層配線基板とその製造方法、及びそれに用いるシリカ焼結体の製造方法

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JPH0832238A
JPH0832238A JP8512995A JP8512995A JPH0832238A JP H0832238 A JPH0832238 A JP H0832238A JP 8512995 A JP8512995 A JP 8512995A JP 8512995 A JP8512995 A JP 8512995A JP H0832238 A JPH0832238 A JP H0832238A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低誘電率、低誘電損の特性を併せもつ無機材
料であるシリカを、低抵抗導体である金、銀、銅等と同
時焼成可能となる、これら金属の融点以下で焼結させる
ことを目的とする。 【構成】 平均粒径が数nmから数十nmである非晶質シリ
カ超微粉末よりなる成形体を作製し、この成形体を水蒸
気を含む雰囲気中、800℃以上1200℃以下で焼成
することにより、十分に焼結し強度のあるシリカ焼結体
が得られる。 【効果】 上記の方法により得られたシリカ焼結体は十
分な強度を示し、誘電率は1MHzにおいて4.0以下
であった。また、焼成温度域が低温であるため、低抵抗
導体との同時焼成が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に低誘電率及び低誘
電損率を要求されるマイクロ波集積回路に用いられるセ
ラミックス多層配線基板及びその製造方法、ならびにそ
れに用いるシリカ焼結体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、セラミックス多層配線基板
は、容易に微細な回路パターンを内装できることから、
複数の素子等を高密度に実装した場合配線長の短縮化が
可能であり、高速伝送化が要求される分野に多く適用さ
れてきた。更なる高速化のためには、信号伝播遅延時間
は配線周りの絶縁材料の誘電率の平方根に比例すること
から、基板材料の体誘電率化の検討がなされている。例
えばセラミックス多層配線基板としてよく知られている
アルミナ基板に対し、ガラスとアルミナとの複合により
誘電率を下げたもの(ガラスセラミックス多層配線基
板)が多数実用化されている。また、石英、フォルステ
ライト、ステアタイト等の基板材料も知られている。
【0003】又、低誘電率化以外にも、高周波体におけ
る誘電損の増大を抑えることを要求する分野(マイクロ
波集積回路等)も存在する。前述のガラスセラミックス
多層配線基板では誘電率は最小でも3.9程度である
が、多層配線基板の低誘電損化に対する要求には十分応
えられない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】低誘電率、低誘電損失
を共に満足する絶縁材料としては石英等で代表されるシ
リカが考えられる。しかしながら、シリカはその焼結温
度の高さから、低損失導体材料として使用される金、
銀、銅といった低抵抗導体を内装することが困難であ
り、多層配線基板に利用する場合にはB2 3 やホウケ
イ酸ガラスといった複数の材料を10〜20重量%程度
添加して、ガラス相を作り出すことにより焼結温度を下
げなければならない。
【0005】添加物により焼成温度を下げる方法とし
て、特開平2−302362号公報にBPO4 を5重量
%以上添加して焼成温度を950〜1100℃とする技
術が開示されている。導体として銅や銀を適用する場合
に必要となる1000℃以下での焼成では添加量は20
重量%以上となっている。
【0006】特開平2−26862号公報にはシリカ焼
結体を低温で製造する方法の一例として、シリカ超微粉
末として50nm以下、好ましくは5〜20nmの範囲の平
均粒径を持つ微粉末を使用して500〜800℃でホッ
トプレスすることでシリカ焼結体を得る技術が開示され
ている。この超微粉末には必要に応じて希土類酸化物を
5重量%程度添加することも記載されている。しかし、
焼成時に高圧をかけることは多層配線基板の製造方法と
しては望ましくはない。
【0007】本発明の目的は、シリカの低温焼成を可能
とすることで低誘電率、低誘電損率を合わせ持つ多層配
線基板とその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による多層配線基
板の特徴は、絶縁層がシリカ焼結体を95重量%以上含
み、かつ導体層が融点800〜1200℃の導電材料よ
りなることである。
【0009】又、このようなシリカ焼結体は、平均粒径
が5〜500nmであるシリカの微粉末を、バインダー、
溶剤と混合してスラリーとし、これを形成した後、分圧
にして0.005気圧以上0.85気圧以下の水蒸気を
含む雰囲気において800〜1200℃にて焼成するこ
と、もしくは平均粒径が5〜500nmであるシリカの微
粉末をプレスすることで成形体とした後、分圧にして
0.005気圧以上0.85気圧以下の水蒸気を含む雰
囲気において800〜1200℃にして焼成することに
よって得られる。
【0010】これを多層配線基板として用いる場合に
は、平均粒径5〜500nmのシリカの微粉末、バインダ
ー、及び溶剤より作成したスラリーを用いてグリーンシ
ートを作製し、このグリーンシート上に導体層を形成
し、これらを積層した後、分圧にして0.005気圧以
上0.85気圧以下の水蒸気を含む雰囲気において80
0〜1200℃にて一体焼成すること、もしくは前述し
たシリカ焼結体に導体層を形成し、これを積層・一体化
することで製造することができる。
【0011】
【作用】本発明による多層配線基板には、Au,Ag,
Ag−Pd,Cuの少なくとも1種以上より選択された
導電材料を用いることが望ましい。これは、これら金属
が特に高周波特性が良好であるためである。又、このよ
うなシリカ焼結体は結晶性のものでも非晶質でもよい
が、シリカ焼結体全体の50重量%以上が非晶質シリカ
であることが熱膨張、転移温度といった点で望ましい。
【0012】シリカ焼結体の製造において重要であるの
はシリカの微粉末の平均粒径が5〜500nmの範囲にあ
ること、及び分圧にして0.005気圧以上0.85気
圧以下の水蒸気を含む雰囲気において800〜1200
℃にして焼結することである。これは、平均粒径が5nm
未満のシリカ粉末を得ることは困難であること、又平均
粒径が500nmより大きくなると1200℃以下の焼結
が困難となる点で不適当であるためであり、更に5〜5
0nmの範囲が好適である。焼成雰囲気に関しては、水蒸
気分圧が0.005気圧未満であると焼結が困難とな
る。水蒸気は多いほど焼結性は向上するが、分圧にして
0.85気圧以下の雰囲気を作り出すことは困難であ
る。従って、0.005気圧から0.85気圧の間、更
に好ましくは0.3〜0.7気圧の間で焼成することが
好ましい。これら条件をそろえれば、焼成温度について
は800〜1200℃の間で制御が可能となる。
【0013】更に、シリカの微粉末のうち50重量%以
上を非晶質シリカとすると、それ以下の時と比較して転
移点における体積変化の影響が小さくなり、より好まし
い。又その場合の非晶質シリカ粉末は球形であると焼結
性がよいことから、比表面積にして5〜450m 2 /g
の範囲であると好適である。
【0014】また、シリカ粉末として、5〜500nmの
微粉末と、1体積%以上20体積%以下の分量の平均粒
径1μm 以上10μm 以下の結晶化石英粉末との混合粉
とすると、焼結体強度・靱性を向上させることが可能で
ある。ここでいう結晶化石英とは、α−石英、クリスト
バライト、トリジマイトのうち少なくとも1種以上より
なることが好ましい。平均粒径が1μm より小さいと靱
性は向上せず、20μm より大きいと焼結性が低下す
る。同様なことが添加量にもいえ、1体積%未満を添加
しても靱性は向上せず、20体積%より多く添加すると
焼結性の低下を招くため、好ましくない。
【0015】多層配線基板を製造する場合には、グリー
ンシート上に導電層を形成し、一体としてから焼成する
ことで工程が簡略化できるため最も好適である。しか
し、あらかじめ焼結したシリカ上に導電層を形成してか
ら一体化してもよい。
【0016】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。
【0017】(実施例1)原料粉末として平均粒径が5
nmである非晶質シリカ粉末を用いた。ポリビニルブチラ
ールをエタノールを主成分とする溶剤で溶かした液と所
定量の前記原料粉末とを均一に混ぜ合わせ、粘度を30
00から10000cpsとしたスラリーを作製する。
これをスリップキャスティング成膜法により50μm か
ら200μm の厚みになるようにグリーンシート化す
る。作製したグリーンシートを熱プレスすることにより
生積層体を得た。この生積層体を、分圧にして0.5気
圧の水蒸気と、酸素及び窒素を含む雰囲気下800℃で
24時間、焼成を行った(表1、試料番号1)。
【0018】
【表1】
【0019】こうして得られたシリカ焼結体は透光性を
もつ白色であり、密度は2.20g/cm3 であった。X
線回折法による結晶相の同定を行ったところ、非晶質で
あることが分かった(図3)。また、試料破断面におけ
る走査型電子顕微鏡による観察を行ったところ、1μm
以下の空隙が若干存在するのが観察されたが、緻密な焼
結体であることが観察された。この焼結体の誘電率を測
定したところ、1MHzにおいて、εr=3.8であっ
た。
【0020】(実施例2)非晶質シリカの粗粉体を乾式
粉砕機にて微粉末とした。この粉末をレーザ回折式粒度
計にて粒径を測定したところ、平均粒径は0.5μm で
あった。この微粉末を原料粉末として実施例1と同様の
工程により生積層体を得た。この生積層体を分圧にして
0.85気圧の水蒸気と、酸素及び窒素を含む雰囲気
下、1200℃にて48時間の焼成を行った(表2、試
料番号12)。
【0021】
【表2】
【0022】こうして得られたシリカ焼結体は、実施例
1で得られた試料同様、透光性を示す白色であり、密度
は2.20g/cm3 であった。X線回折法による結晶相
の同定では若干のクリストバライト相を含んでいるが、
大部分は非晶質相であった(図3)。また、この焼結体
の誘電率を測定したところ、1MHzにおいてεr=
3.9であった。
【0023】(実施例3)平均粒径が7nmである非晶質
シリカ粉末を用い、実施例1と同様の工程により生積層
体を作製し、1200℃にて48時間焼成を行った。こ
の際、焼成雰囲気として分圧にして0.005気圧の水
蒸気と、酸素及び窒素を用いた(表2、試料番号1
0)。
【0024】得られた試料は実施例1、2と同様に焼結
体密度は2.20g/cm3 に達しており、外観も同様の
透光性のある白色であった。X線回折法による結晶相の
同定では実施例2と同様に若干のクリストバライト相を
含んでいることが確認されたが、他は非晶質相であるこ
とが確認された。
【0025】(実施例4)前述した平均粒径7nmの非晶
質シリカ粉末50重量%と平均粒径1μm の結晶石英粉
末50重量%とからなる混合粉末をエタノール中、ホモ
ジナイザーを用いて分散させ、分散液を作製した。エタ
ノールを主成分とする溶剤にポリビニルブチラールを溶
解させたものを、所定量の前述した分散液と混合し、粘
度を3000から10000cpsに調整したスラリー
を作製する。これをスリップキャスティング成膜法によ
り50から200μm の厚みになるようにグリーンシー
ト化する。作製したグリーンシートを熱プレスすること
により生積層体を得る。この生積層体を電気炉中、分圧
にして0.5気圧の水蒸気と、酸素及び窒素を含む雰囲
気中、1200℃にて24時間焼成を行った(表3、試
料番号16)。
【0026】
【表3】
【0027】こうして得られた試料は、非晶質シリカ単
体の焼結体と同様の透光性をもつ白色であり、焼結体温
度は2.35g/cm3 であった。X線回折法による結晶
相の同定を行ったところ、クォーツが確認され、若干の
クリストバライト相と非晶質相が確認された。
【0028】(実施例5)平均粒径7nmの非晶質シリカ
粉末80重量%と平均粒径1μm の結晶石英粉末20重
量%とからなる混合粉末を用い、実施例4と同様の工程
により生積層体を作製、焼成を行った(表3、試料番号
17)。こうして得られた試料は、非晶質シリカ単体の
焼結体と同様の透光性をもつ白色であり、焼結体密度は
2.22g/cm3 であった。X線回折法による結晶相の
同定では、非晶質相を示すブロードパターンとクォーツ
のピークが確認された。
【0029】(実施例6)平均粒径7nmの非晶質シリカ
粉末95重量%と平均粒径1μm のホウケイ酸ガラス粉
末5重量%とからなる混合粉末及び、平均粒径7nmの非
晶質シリカ粉末97重量%と平均粒径1μm のホウケイ
酸ガラス粉末3重量%とからなる混合粉末を用い、実施
例4と同様の工程によりそれぞれ生積層体を作製し、分
圧にして0.5気圧の水蒸気と、窒素及び酸素からなる
雰囲気下、1000℃にて24時間焼成を行った。得ら
れた試料は、実施例1で得られた試料と同様の外観をも
ち、焼結体密度はそれぞれ2.19g/cm3 、2.20
g/cm3 であった。使用したホウケイ酸ガラスは誘電率
が5.0であるが、焼結体の誘電率はそれぞれ4.0、
3.9であった。
【0030】(実施例7)前述した平均粒径7nmの非晶
質シリカ粉末をシリカ原料とし、実施例1と同様の方法
により、100μm 厚みのグリーンシートを作製した。
これに直径200μm のヴィアホールを形成しCuペー
ストを埋め込んだ。更にCuペーストにより導体パター
ンを印刷したシート20枚を積層し、90℃、50MP
aで30分間静水圧プレスを行い、生積層体を形成し
た。この生積層体を分圧にして0.5気圧の水蒸気と、
窒素及び微量酸素からなる雰囲気下、図1に示した条件
にて脱バインダー及び焼成を行った。得られた多層基板
(図2)の絶縁層は実施例1で得られた焼結体と同様の
性能を示した。また、Cu導体の比抵抗値は3μΩ・cm
であり低抵抗導体として良好であった。
【0031】(実施例8)原料粉末として平均粒径が5
nmである非晶質石英粉末80体積%と平均粒径1μm の
α−石英粉末20体積%及び平均粒径が5nmである非晶
質石英粉末99体積%と平均粒径10μm のα−石英粉
末1体積%からなる混合粉末を用いた。この混合粉末を
エチルセロソルブを分散媒としてボールミル混合を行っ
た。得られた分散液にポリビニルブチラール・可塑剤等
を添加した後、ホモジナイザーにて約80℃に加温しな
がらバインダーの溶解・混合を行い、粘度3000から
10000cpsのスラリーを作製した。得られたスラ
リーをスリップキャスティング成膜法により50μm か
ら200μm の厚みのグリーンシートとした。作製した
グリーンシートを熱プレスすることにより生積層体を得
た。この生積層体を、分圧にして0.5気圧の水蒸気
と、酸素及び窒素を含む雰囲気中1000℃で10時間
焼成を行った。
【0032】こうして得られたシリカ焼結体は透光性の
白色を呈しており、密度は2.40g/cm3 であった。
破断面を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、気孔は
ほとんど認められず、緻密な焼結体であることが観察さ
れた。また、この焼結体から角柱試片を切り出し、破壊
靱性測定を行ったところKIC=3.5MPa/m1/2
び3.0MPa/m1/2 であり十分信頼性が得られるこ
とが確認された。
【0033】また、原料粉末としてα−石英粉末をクリ
ストバライト、トリジマイトとした場合についても破壊
靱性値は3.0MPa/m1/2 以上であり十分な信頼性
が得られる。
【0034】(実施例9)非晶質石英の粗粉体を乾式粉
砕機にて微粉末とした。この粉末をレーザ回折式粒度計
にて粒径を測定したところ、平均粒径は500nmであっ
た。この微粉末80体積%と平均粒径1μm のα−石英
粉末20体積%及び前記微粉末99体積%と平均粒径1
0μm のα−石英粉末1体積%からなる混合粉末を原料
粉末とし、実施例1と同様の工程により生積層体を作製
した。この生積層体を分圧にして0.5気圧の水蒸気
と、酸素及び窒素を含む雰囲気中1200℃にて50時
間焼成を行った。
【0035】得られたシリカ焼結体の破壊靱性値を測定
したところ、KIC=3.5MPa/m1/2 及び3.0M
Pa/m1/2 であった。
【0036】(比較例1)実施例1と同様の工程により
作製した試料を電気炉中、分圧にして0.85気圧の水
蒸気と、酸素及び窒素を含む雰囲気下、750℃にて4
8時間焼成を行った(表2、試料番号13)。得られた
試料は生積層体の寸法と比較して大きな収縮を示した
が、透光性は認められない白色を呈していた。走査型電
子顕微鏡にて破断面の観察を行ったが、未焼結であるこ
とが観察された。従って、焼成温度については、750
℃では不十分であると考えられる。
【0037】一方、1200℃以上の温度域では焼成を
行った場合、充分な焼結は可能であるが、低抵抗導体の
融点以上となるため同時焼成が不可能となり、実用に共
さない。
【0038】(比較例2)実施例1と同様の工程により
作製した生積層体を、分圧にして0.004気圧となる
水蒸気と、窒素および酸素を含む雰囲気中、最高温度1
200℃で48時間焼成を行った(表2、試料番号
9)。得られた試料は透光性を示さず、全く焼結してい
ない。焼成雰囲気に占める水蒸気量が分圧にして0.0
04気圧以下では、本発明に示す温度範囲における焼成
では十分な焼結体は得られない。
【0039】また、水蒸気量として分圧にして0.85
気圧以上を実現することは困難であり、実用に共さな
い。
【0040】(比較例3)平均粒径5nmの非晶質シリカ
粉末45wt%と平均粒径1μm の結晶石英粉末55w
t%を原料として、実施例4と同様の方法により生積層
体を得た。これを分圧にして0.5気圧となる水蒸気
と、酸素及び窒素を含む雰囲気中、1200℃にて24
時間焼成を行った(表3、試料番号15)。こうして得
られた試料は生積層体寸法と比較して大きな収縮を示し
たが、容易に破断できる脆さを呈しており、焼結は不十
分であった。従って、非晶質シリカは45wt%以下で
は本発明の範囲の焼成条件下では、十分な焼結体は得ら
れない。
【0041】(比較例4)晶質石英の粗粉末を乾式粉砕
機にて平均粒径0.5μm の微粉末とした。この粉末を
X線回折法による結晶相の同定を行ったが、クォーツで
あることが確認された。この粉末を原料粉末として実施
例1と同様の工程により生積層体を得た。この生積層体
を分圧にして0.5気圧の水蒸気と、酸素及び窒素を含
む雰囲気下、1200℃にて24時間焼成を行った(表
3、試料番号14)。こうして得られたシリカ焼成体は
白色を呈しており、非常に脆いものであった。走査型電
子顕微鏡により破断面の観察を行ったところ、多くのマ
イクロクラックが発生していることが確認された。これ
は冷却途中に高温型から低温型結晶への転移点があるた
めに起こるものと思われる。従って、全てを晶質石英に
することは、強度のある試料を作る上では不適当であ
る。
【0042】(比較例5)平均粒径7nmの非晶質シリカ
粉末90重量%と平均粒径1μm のホウケイ酸ガラス粉
末10重量%とからなる混合粉末を用い、実施例4と同
様の工程により生積層体を作製し、分圧にして0.5気
圧の水蒸気と、窒素及び酸素からなる雰囲気下、100
0℃にて24時間焼成を行った。得られた試料は実施例
6で得られた試料と同様の外観をもつが、誘電率を測定
したところ1MHzにおいて4.1であり、4.0以上
となってしまう。重量基準でSiO2 が95重量%未満
となる緻密なシリカ焼結体を作製した場合、低誘電率と
いう有意性がなくなり実用に共さない。
【0043】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば非常
に低い誘電率を有する多層配線基板を得ることができ
る。特に非晶質体シリカの場合その誘電率は3.5〜
4.0であり、より信号伝播遅延時間の短縮がはかれ
る。又、Au,Ag,Ag−Pd等の低抵抗導体の融点
以下で焼結が可能であるので、同時焼成により内層導体
を形成することも可能となった。特にα−石英粉末等を
添加した場合においては、破壊靱性値はKIC=3.5〜
3.6(MPa/m1/2 )であり、十分な信頼性をもつ
シリカ焼結体を得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における焼成条件の実施例を示すグラフ
である。
【図2】低抵抗導体としてCuを用いた、本発明による
多層配線基板の構成を示す図である。
【図3】900℃、1200℃、及び1400℃におい
て焼成を行ったときの結晶相を示すXRDパターンであ
る。
【図4】シリカ焼結体の概略を示す図である。
【符号の説明】
1 シリカ焼結体 2 銅導体パターン 3 ヴィア銅導体 4 石英マトリクス 5 結晶化石英粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H05K 1/03 610 B 7511−4E

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁層がシリカ焼結体を95重量%以上含
    み、かつ導体層が融点800〜1200℃の導電材料よ
    りなることを特徴とする多層配線基板。
  2. 【請求項2】シリカ焼結体のうち50重量%以上が非晶
    質シリカであることを特徴とする請求項1記載の多層配
    線基板。
  3. 【請求項3】導体層がAu,Ag,Ag−Pd,Cuの
    少なくとも1種以上よりなることを特徴とする請求項1
    ないし2記載の多層配線基板。
  4. 【請求項4】平均粒径が5〜500nmであるシリカの微
    粉末を、バインダー、溶剤と混合してスラリーとし、こ
    れを形成した後、分圧にして0.005気圧以上0.8
    5気圧以下の水蒸気を含む雰囲気において800〜12
    00℃にて焼成することを特徴とするシリカ焼結体の製
    造方法。
  5. 【請求項5】平均粒径が5〜500nmであるシリカの微
    粉末をプレスすることで成形体とした後、分圧にして
    0.005気圧以上0.85気圧以下の水蒸気を含む雰
    囲気において800〜1200℃にて焼成することを特
    徴とするシリカ焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】平均粒径が5〜500nmであるシリカの微
    粉末と、平均粒径1μm 以上10μm 以下の結晶化石英
    粉末とを、前記結晶化石英粉末が全粉末中1体積%以上
    20体積%以下となるように秤量した後バインダー、溶
    剤と混合してスラリーとし、これを成形した後、分圧に
    して0.005気圧以上0.85気圧以下の水蒸気を含
    む雰囲気において800〜1200℃にて焼成すること
    を特徴とするシリカ焼結体の製造方法。
  7. 【請求項7】シリカの微粉末のうち50重量%以上が非
    晶質シリカであることを特徴とする請求項4ないし6記
    載のシリカ焼結体の製造方法。
  8. 【請求項8】非晶質シリカ粉末の比表面積が、5m 2
    g以上450m 2 /g以下であることを特徴とする請求
    項7記載のシリカ焼結体の製造方法。
  9. 【請求項9】結晶化石英粉末がα−石英、クリストバラ
    イト、トリジマイトのうち少なくとも1種以上よりなる
    ことを特徴とする請求項6記載のシリカ焼結体の製造方
    法。
  10. 【請求項10】平均粒径が5〜500nmであるシリカの
    微粉末、バインダー、及び溶剤より作成したスラリーを
    用いてグリーンシートを作製し、このグリーンシート上
    に導体層を形成し、これらを積層した後、分圧にして
    0.005気圧以上0.85気圧以下の水蒸気を含む雰
    囲気において800〜1200℃にて一体焼成すること
    を特徴とする請求項1ないし3記載の多層配線基板の製
    造方法。
  11. 【請求項11】請求項4ないし9によるシリカ焼結体に
    導体層を形成し、これを積層・一体化することを特徴と
    する請求項1ないし3記載の多層配線基板の製造方法。
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