JPH08322378A

JPH08322378A - バッグ式栽培方法と植物栽培用バッグ

Info

Publication number: JPH08322378A
Application number: JP7135326A
Authority: JP
Inventors: Akira Mio; 彰三尾
Original assignee: Maruwa Biochemical Co Ltd
Current assignee: Maruwa Biochemical Co Ltd
Priority date: 1995-06-01
Filing date: 1995-06-01
Publication date: 1996-12-10

Abstract

(57)【要約】【目的】苺の苗等を培土が充填されたバッグに植栽
し、バッグ単位で栽培するバッグ式栽培方法等を提供す
る。【構成】透水性と適度な強度を有するポリプロピレン
等の合成樹脂製の不織布を所定大きさの袋状のバッグ２
に形成し、当該バッグ２の中に培土４を充填し、前記バ
ッグ２の表面の適所に切込み３を設け、その切込み３を
通じて培土４に苺の苗１等の植物を植栽し、前記植物が
植栽されたバッグ単位で栽培する。【効果】苺の苗等はバッグ単位で植栽され育生が正確
に管理される。バッグ単位での移動が楽で、早い出荷時
期に高品質の果実が効率よく収穫される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、苺の苗など温室栽培
に適する植物（以下略して「苺の苗」という。）など
を、培土が充填されたバッグに植栽し、バッグ単位で栽
培するバッグ式栽培方法と、同栽培方法に使用されるバ
ッグに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、苺の苗を栽培する方法としては、
直径１０ｃｍぐらいのポット毎に育苗する所謂ポット栽
培が公知であり、ポット単位で温室内において育苗した
後は、冷暗の場所へ一旦運び出し、最終的に定植し、花
芽を早く分化させて育成させている。

【０００３】

【本発明が解決しようとする課題】早い出荷時期に合わ
せるために、苺の苗を冷暗の場所へ運び出したり、定植
する（植え替える）といった作業は、前記従来のポット
栽培の場合、小さいポットをいちいち１個ずつ移動させ
て行わなければならず、大変面倒で煩わしい。また、植
え替えにともなって苺の苗の植えいたみや生育遅れが生
じ、品質管理も正確に行えず、これらの点が問題とされ
ている。

【０００４】従って、本発明の目的は、苺の苗等の植物
をバッグ単位で植栽し、そのバッグ単位で複数の苗を一
度に簡単に移動できて作業性に優れると共に、植え替え
にともなう植えいたみや生育遅れを生ずることなく生育
管理を正確に行え、高品質に育成された苺等を栽培でき
るバッグ式栽培方法と、同栽培方法に好適に使用される
植物栽培用バッグを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記従来技術の課題を解
決するための手段として、請求項１の発明に係るバッグ
式栽培方法は、透水性と適度な強度を有するポリプロピ
レン等の合成樹脂製の不織布を、所定大きさの袋状のバ
ッグ２に形成し、当該バッグ２の中に培土４を充填し、
前記バッグ２の表面の適所に切込み３を設け、その切込
み３を通じて培土４に苺の苗１等の植物を植栽し、前記
植物が植栽されたバッグ単位で栽培することを特徴とす
る。

【０００６】請求項２の発明に係る植物栽培用バッグ
は、透水性と適度な強度を有する合成樹脂製の不織布を
適量の培土４が充填可能な大きさの袋状のバッグ２に形
成し、前記バッグ２の表面の適所に苺の苗１等の植物を
植栽可能な切込み３を設けたことを特徴とする。請求項
３の発明に係る植物栽培用バッグは、透水性と適度な強
度を有する合成樹脂製の不織布を袋状のバッグ２に形成
し、その表面の適所に苺の苗１等の植物を植栽可能な切
込み３を設け、前記バッグ２に適量の培土４を充填し当
該バッグ単位で運搬可能な構成としたことを特徴とす
る。

【０００７】請求項４の発明に係る植物栽培用バッグ
は、前記請求項２又は３に記載した合成樹脂製のバッグ
２を、ポリプロピレン製の長繊維が連続的にシート状に
熱圧着されて成る不織布により形成したことを特徴とす
る。

【０００８】

【作用】植物栽培用のバッグ２は透水性と適度な強度を
有するポリプロピレン等の合成樹脂製の不織布により所
定大きさの袋状に形成されているから（図１）、その中
に培土４を過不足ない量だけ充填することができる。培
土４が充填されたバッグ２は、温室内の所定高さを有す
る支持枠５の上に順に載置した後、バッグ表面の切込み
３を利用して苺の苗１を次々に植栽できる（図２）。水
分の供給は、ドリップ灌水によりバッグ単位で効率よく
行われる。この合成樹脂製不織布で形成されたバッグ２
は透水性があり、しかもフィルター性を維持して目詰ま
りすることなくバッグ２から水が均一に排出し、培土４
内に水が均一に広がるから、苺の苗１はバッグ単位で高
品質に育生される。

【０００９】前記バッグ２は、苺の苗１を植栽したまま
の状態で持ち上げ、屋外の冷蔵庫など冷暗の場所へ難な
く運搬できる。また、当該バッグ２は、合成樹脂製で成
り適度な強度を有し耐候性にも優れているから、破れた
り腐食したりもせず、寒さ、暑さにも十分耐える。所定
時間経過し花芽が分化処理した後、植え替えることなく
バッグ単位で温室内へ移動して戻す。かくして、苺の苗
１の生育は自由にコントロールされ、養分もバッグ単位
で必要十分にいきわたり、生育管理をきちんと行うこと
ができる。

【００１０】

【実施例】以下に、図示した本発明の実施例を説明す
る。図１は、植物栽培用のバッグ２の全体図を示してい
る。このバッグ２は、スパンボンド法により、ポリプロ
ピレン製（但し、ポリエチレンやポリエステル、アクリ
ル等の合成樹脂製であってもよい。）の最も太い長繊維
を連続的にシート状にして熱圧着した不織布を素材とし
て、袋状のバッグに形成されている。蒸散効果を働かせ
て培土の温度を上昇させないため、その色は、白色、灰
色など薄い色彩のものが好適である。

【００１１】前記植物栽培用のバッグ２は、厚さが０．
３７８ｍｍ、重量が１３０ｇ／ｍ²であり、透水係数が
６．０７×１０^-2ｃｍ／ｓｅｃであって透水性に優れ
る。さらに、引張強度（縦×横）が約４３×４３ｋｇｆ
もある高強度なものであって、耐候性にも優れ長寿命で
ある。全体形状は、平面的にみて、縦×横＝３０×６０
ｃｍぐらいの長方形をなし、ミシン縫い又は溶着で枕状
に形成されている。よって、苺の苗１なら６本分ぐらい
を育成するのに必要十分な量として約１２〜１５リット
ルの培土４を充填でき、前記重量の培土４を充填した状
態で運搬可能な構成とされている。当該バッグ２の表面
には、苺の苗１を培土４に対して上方から植栽可能なよ
うに、縦×横＝５×５ｃｍぐらいの十字状の切込み３が
合計６つ、夫々均等配置で設けられている。但し、バッ
グ２の形状、大きさは前記の限りでなく、全体形状を４
０×４０ｃｍぐらいの正方形にして切込み３を４つ設け
たり（図２参照）、あるいは、縦×横＝１５×２５０ｃ
ｍぐらいの細長い枕状に形成し切込み３…を等間隔に設
けて実施してもよい。

【００１２】以下に、前記バッグ２を使用したバッグ式
栽培方法を説明する。なお、本実施例では、図２に示す
ように、正方形状をなし切込み３が４つのバッグ２で実
施した場合を示している。まず、バッグ２の中に培土４
を充填する。培土４としては、主に、モミ殻、ピートモ
ス、パーミュキュライト、椰子殻（パームピート）をチ
ップ状に裁断するなど炭素繊維を含んで腐食せず軽いも
のを主要成分としたものが使用される。一方、温室内に
は、作業員が作業し易い高さとして地面から７０〜８０
ｃｍぐらいの高さに支持枠５を組み立てておく。支持枠
５の上面には、透水性、通気性のあるエキスパンドメタ
ル６を敷く。但し、エキスパンドメタル６の代わりに、
強度のある金網や多孔性のパンチングメタル等で実施し
てもよい。また、支持枠５の適所に灌水装置７を設けて
おき、各バッグ２…へ通ずる注入管８をエキスパンドメ
タル６上に配置する。

【００１３】前記エキスパンドメタル６の上に、培土４
が充填されたバッグ２を順に載置する。しかる後、各バ
ッグ２の切込み３の中央位置直下の培土４内に苺の苗１
を順次植栽し、バッグあたり合計４本の苗を植栽する。
また、灌水装置７から延びた注入管８を各々バッグ２…
の中へ差し込む。よって、灌水装置７から供給される水
分は、注入管８を通じてドリップ灌水（点滴灌水）方式
によりバッグ毎に過不足なく行われる。ポリプロピレン
製の不織布で形成されたバッグ２は透水性を有すると共
にフィルター性も有して目詰まりを起こさず、均一に排
出されて培土４内の水分が均一になり、苺の生育に好都
合である。

【００１４】屋外の冷暗場所（冷蔵庫等）へ移動するに
は、苺の苗１が植栽された前記バッグ２を手で持って運
搬する。当該ポリプロピレン製のバッグ２は、屋外に置
かれてもボロボロにならず、破損することもない。花芽
分化処理後には、再びバッグ単位で温室内へ移動（運
搬）する。かくして、苺の生育が自由にコントロールさ
れて出荷時期に合った高品質の苺が育生される。

【００１５】なお、苺の収穫が終了した後、上記のバッ
グ２…を屋外に並べ、ビニール等を被覆し、太陽光に当
てることにより、バッグ２内の培土４を簡単に消毒でき
る。また、バッグ２の数を予め多く用意し、ローテーシ
ョンして使用することにより周年栽培を行える。

【００１６】

【本発明の効果】本発明に係るバッグ式栽培方法によれ
ば、苺の苗等の植物をバッグ単位で植栽し、植えいたみ
や生育遅れを生ずることなく、その育生が正確に管理さ
れる上、バッグ単位で屋外へ移動した後に戻して成長が
制御されるから、早い出荷時期において高品質に育成し
た果実が効率よく収穫される。出荷に際しても、バッグ
単位で効率よく出荷準備を進められ作業能率の向上に寄
与する。また、育苗から収穫に至るまで植え替えること
なく栽培できるので、周年栽培や省力栽培にも貢献す
る。さらに、この植物栽培用バッグはスパンボンド不織
布より成るから、単一原料品で生産性が高く品質が安定
して優れている上、そのままの単品で、あるいは中に軽
くて腐食しない培土を充填した状態で取引きできる便利
さもある。

【図面の簡単な説明】

【図１】植物栽培用バッグを示した斜視図である。

【図２】バッグによる栽培状況を示した全体図である。

【符号の説明】

１苺の苗２バッグ３切込み４培土

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】透水性と適度な強度を有するポリプロピ
レン等の合成樹脂製の不織布を所定大きさの袋状のバッ
グに形成し、当該バッグの中に培土を充填し、前記バッ
グの表面の適所に切込みを設け、その切込みを通じて培
土に苺の苗等の植物を植栽し、前記植物が植栽されたバ
ッグ単位で栽培することを特徴とする、バッグ式栽培方
法。
【請求項２】透水性と適度な強度を有する合成樹脂製
の不織布が適量の培土を充填可能な大きさの袋状のバッ
グに形成され、前記バッグの表面の適所には苺の苗等の
植物を植栽可能な切込みが設けられていることを特徴と
する、植物栽培用バッグ。
【請求項３】透水性と適度な強度を有する合成樹脂製
の不織布が袋状のバッグに形成され、その表面の適所に
は苺の苗等の植物を植栽可能な切込みが設けられてお
り、前記バッグ内に適量の培土が充填されて当該バッグ
単位で運搬可能な構成とされていることを特徴とする、
植物栽培用バッグ。
【請求項４】請求項２又は３に記載した合成樹脂製の
バッグは、ポリプロピレン製の長繊維が連続的にシート
状に熱圧着されて成る不織布により形成されていること
を特徴とする、植物栽培用バッグ。