JPH08321085A - 極微小構造素子、その製造方法、記録方法、情報伝達方法、配線及び論理素子 - Google Patents

極微小構造素子、その製造方法、記録方法、情報伝達方法、配線及び論理素子

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JPH08321085A
JPH08321085A JP28685095A JP28685095A JPH08321085A JP H08321085 A JPH08321085 A JP H08321085A JP 28685095 A JP28685095 A JP 28685095A JP 28685095 A JP28685095 A JP 28685095A JP H08321085 A JPH08321085 A JP H08321085A
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ferromagnetic
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probe
manufacturing
microstructure
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JP28685095A
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Kazuhiro Bessho
和宏 別所
Shunichi Hashimoto
俊一 橋本
Hiroshi Iwasaki
洋 岩崎
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ナノメートルオーダの強磁性微小構造体を形
成して極めて高い密度で磁気記録ができる極微小構造素
子、その製造方法、前記極微小構造素子を使用しての記
録方法及び情報伝達方法並びに前記極微小構造素子を用
いた配線及び論理素子を提供すること。 【解決手段】 珪素基板12上に白金薄膜11又は二酸化珪
素の絶縁性薄膜61が被着し、白金薄膜11又は絶縁性薄膜
61上に、径13〜45nm、高さ3〜24nmのニッケル、コバル
ト−クロム合金又はコバルトの微小凸部14がX、Y方向
に約 100nmピッチで形成され、強磁性の極微小構造体が
設けられて記録媒体20が構成される。各微小凸部14は、
矢印方向に磁化される。これにより、極めて高い密度を
以て磁気記録がなされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極微小構造素子
(例えば50nm以下の極めて微細な記録パターンを形成す
る(又は形成した)記録媒体)、その製造方法、前記極
微小構造素子を使用しての記録方法及び情報伝達方法並
びに前記極微小構造素子を用いた配線及び論理素子に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】微小構造作製技術の向上は、工学におけ
る重要なテーマの一つとなりつつあり、例えば各種電子
機器の小型化に伴って、半導体デバイス微細化のための
加工技術の研究が精力的に行われている。
【0003】この結果、基板に垂直な方向に関しては、
一原子層オーダでの制御が可能となったが、面内方向で
の加工(配線など)に関しては、電子線リソグラフィ等
を用いる従来技術の延長では数十nmが限界であるといわ
れている。
【0004】更に、半導体においては、電子を数十nm以
下の領域に閉じ込めることによって現れる量子効果と呼
ばれる現象を積極的にデバイスに応用しようという動き
が活発になっている。このように、数十nmという従来の
限界を打破する加工法の開発が切望されている。
【0005】また、マルチメディア時代における要素技
術として超高密度記録技術が不可欠である。高密度化は
即ち記録単位の微小化であり、これもやはり微小構造作
製技術の向上にかかっている。
【0006】ところが、光記録や磁気記録など従来の記
録方法による情報記録密度は109bit/cm2(1ギガビット
/cm2)のオーダーが限界と言われており、動画記録には
とても対応しきれないのが現状である。従って、更に高
密度化可能な記録手法及び記録メディアの出現が待たれ
ている。
【0007】このように、微小構造作製技術の向上に対
する要求が近年ますます厳しいものとなってきているに
もかかわらず、従来の方法はその限界に近付きつつあ
る。
【0008】一方、材料の極微細加工手段として、走査
トンネル顕微鏡を利用することが最近注目を集めてい
る。即ち、探針と基板との間にパルス電圧を印加するな
どの方法により相互作用を発生させ、これによって基板
材料の表面形状を変化させるという方法である。
【0009】走査トンネル顕微鏡は室温・大気中でも約
0.1nmという高い面内分解能を有するため、これを用い
ることにより非常に微細な加工が可能であり、例えばS
i原子1個を対象とした加工操作もAonoらによって現実
に行われている(Surf. Sci.287/288, (1993) 1056)。
即ち、従来の加工法の限界を超える技術として非常に有
望である。
【0010】中でも、金属探針材料を基板へ局所的に堆
積させることによりナノスケールの凸部を形成する方法
は、デバイスの応用を考える上で有効と考えられてい
る。
【0011】Mamin らは、Au(111)面上に+3.6
V、600nsec のパルス電圧を印加し、Au探針からの電
界蒸発によるAuの微小凸部を作製した(Phys. Rev. L
ett. 65, (1990) 2418)。Hsiao らは、やはり電界蒸発
を利用してSi(111)基板上に銅の微小凸部を作製
し(Appl. Phys. Lett. 64, (1994) 1350)、これらが示
す電流−電圧特性に興味が持たれるとしている。
【0012】しかし、複数の微小凸部がそれと性質を異
にする基板材料を介して相互作用し、特徴的な性質を示
すことが期待される系については、系統的な研究はなさ
れていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に鑑みてなされたものであって、極微小構造を基体上に
有し、これらの間の物性の違いによる相互作用で特徴的
な性質を示す極微小構造素子、その製造方法、前記極微
小構造素子を使用しての記録方法及び情報伝達方法並び
に前記極微小構造素子を用いた配線及び論理素子を提供
することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】第一の発明は、非強磁性
基体上に、50nm以下の寸法サイズの強磁性極微小構造体
が設けられている極微小構造素子に係るものである。
【0015】第二の発明は、非強磁性基体に対向して針
状体を配置し、この針状体と前記非強磁性基体との間に
電圧を印加して電界蒸発を起こさせ、この電界蒸発によ
って前記非強磁性基体上に強磁性極微小構造体を形成す
る、極微小構造素子の製造方法に係るものである。
【0016】第三の発明は、非強磁性基体上に、50nm以
下の寸法サイズの強磁性極微小構造体が設けられている
記録媒体を使用し、前記強磁性極微小構造体を所定方向
に磁化させるようにした記録方法に係るものである。
【0017】第四の発明は、非強磁性基体上に、50nm以
下の寸法サイズの強磁性極微小構造体が複数個設けられ
ている極微小構造素子を使用し、前記強磁性極微小構造
体を所定方向に磁化させ、この磁化の向きに対応した磁
化の向きを任意の経路に沿って伝搬させる、情報伝達方
法に係るものである。
【0018】第五の発明は、前述した情報伝達方法によ
って情報伝達を行うように構成した配線に係るものであ
る。
【0019】第六の発明は、前述した情報伝達方法を用
いて論理演算を行うように構成した論理素子に係るもの
である。
【0020】
【発明の実施の形態】第一の発明において、複数個の強
磁性極微小構造体が配列されていることが望ましい。
【0021】また、第一の発明において、強磁性極微小
構造体が単一の磁区によって構成されていることが望ま
しい。
【0022】上記において、単一磁区をなす強磁性極微
小構造体が記録単位を形成し、その磁化の向きが反転可
能となっていることが望ましい。
【0023】また、第一の発明において、非強磁性基体
が強磁性体でない金属又は半導体を主成分とし、強磁性
極微小構造体が強磁性体を主成分とすることが望まし
い。
【0024】上記において、強磁性体でない金属を白金
とし、強磁性体をニッケル又はコバルト−クロム合金と
することができる。
【0025】上記に替えて、強磁性体でない半導体を絶
縁性表面層を有する珪素とし、強磁性体をコバルト−ク
ロム合金又はコバルトとすることができる。コバルト−
クロム合金は垂直記録に好適であり、コバルトは磁束密
度が高いという利点がある。
【0026】第二の発明において、上記針状体として、
走査探針顕微鏡の探針を用いることが望ましい。
【0027】上記において、走査トンネル顕微鏡の探針
を用いることができる。
【0028】上記において、非強磁性基体にパルス電圧
を印加し、強磁性の探針の電界蒸発によって前記非強磁
性基体上に前記探針の材料を主成分とする強磁性の微小
な凸部を形成するのが望ましい。
【0029】上記において、非強磁性基体と探針との間
にトンネル電流が流れるように前記非強磁性基体と前記
探針とを近付け、この探針に対する前記非強磁性基体の
位置を固定し、然る後、この非強磁性基体にパルス電圧
を印加するのが望ましい。
【0030】上記において、非強磁性基体側に、1800mV
〜5000mVのパルス電圧を3μsec 〜65sec の範囲内で印
加するのが望ましい。
【0031】上記に替えて、非強磁性基体側に、−1800
mV〜−5000mVのパルス電圧を3μsec 〜65sec の範囲内
で印加することができる。
【0032】以上のようにして、非強磁性基体上に、50
nm以下の寸法サイズの強磁性極微小構造体を形成するこ
とができる。
【0033】上記において、複数個の強磁性極微小構造
体を配列するのが望ましい。
【0034】第二の発明において、強磁性極微小構造体
を単一の磁区として形成するのが望ましい。
【0035】上記において、単一磁区をなす強磁性極微
小構造体によって記録単位を形成し、その磁化の向きを
反転可能となすことが望ましい。
【0036】前記において、非強磁性基体として強磁性
体でない金属又は半導体を主成分としたものを使用し、
強磁性極微小構造体として強磁性体を主成分としたもの
を使用するのが望ましい。
【0037】上記において、強磁性体でない金属を白金
とし、強磁性体をニッケルとすることができる。
【0038】第二の発明において、走査トンネル顕微鏡
の探針に替えて、原子間力顕微鏡の探針を用いることが
できる。
【0039】上記において、非強磁性基体にパルス電圧
を印加し、探針の電界蒸発によって前記探針の材料を主
成分とする強磁性の微小な凸部を前記非磁性基体上に形
成するに際し、少なくとも前記電界蒸発時には、前記非
強磁性基体又はこの非強磁性基体上の絶縁性表面層と、
前記探針とを非接触状態にするのが望ましい。
【0040】上記において、非強磁性基体上に強磁性の
微小な凸部を形成する期間の初期から終期迄の間は、前
記非強磁性基体又はこの非強磁性基体上の絶縁性表面層
と、探針とを非接触状態に保つことができる。
【0041】上記において、非強磁性基体上に強磁性の
微小な凸部を形成する期間の初期から終期迄の間は、探
針を振動させることができる。
【0042】上記に替えて、非強磁性基体上に強磁性の
微小な凸部を形成する期間の初期から終期迄の間は、探
針を振動させ、この振動により、前記非強磁性基体又は
この非強磁性基体上の絶縁性表面層に前記探針を間欠的
に接触させることもできる。
【0043】原子間力顕微鏡の探針を用いる場合、任意
の材料からなるベース材に強磁性材料が被覆されてなる
探針を用い、前記強磁性材料を電界蒸発させることがで
き、また、金属又は半導体からなる非強磁性基体を用い
るのが望ましい。
【0044】上記において、珪素からなり絶縁性表面層
を有する非強磁性基体を用い、コバルト−クロム合金の
被覆層を有する探針を用いることができる。
【0045】上記に替えて、珪素からなり絶縁性表面層
を有する非強磁性基体を用い、コバルトの被覆層を有す
る探針を用いることもできる。
【0046】上記のような珪素からなる基体上の絶縁性
表面層は、本発明に必須不可欠なものではなく、原子間
力顕微鏡の探針を用いる場合は、絶縁性表面層上に微小
な凸部を形成することができる。
【0047】更に上記に替えて、白金からなる非強磁性
基体を用い、コバルト−クロム合金の被覆層を有する探
針を用いることもできる。
【0048】原子間力顕微鏡の探針を用いる場合、探針
を支持するカンチレバーを振動させ、その振動周波数の
逆数以上でかつ100sec以下の範囲内で5〜16Vのパルス
電圧を非強磁性基体側に印加して電界蒸発を起こさせる
のが望ましい。
【0049】上記に替えて、探針を支持するカンチレバ
ーを振動させ、その振動周波数の逆数以上でかつ100sec
以下の範囲内で−5〜−16Vのパルス電圧を非強磁性基
体側に印加して電界蒸発を起こさせることができる。
【0050】上記のいずれの場合でも、0.02msec〜100s
ecの範囲内でパルス電圧を印加するのが望ましい。
【0051】また、原子間力顕微鏡の探針を用いる場
合、探針を支持するカンチレバーを振動させ、その振動
周波数の逆数の1/4以上でかつ100sec以下の範囲内
で、5〜16Vのパルス電圧を非強磁性基体側に印加して
電界蒸発を起こさせることもできる。
【0052】上記に替えて、探針を支持するカンチレバ
ーを振動させ、その振動周波数の逆数の1/4以上でか
つ100sec以下の範囲内で、−5〜−16Vのパルス電圧を
非強磁性基体側に印加して電界蒸発を起こさせることも
できる。
【0053】上記のいずれの場合でも、探針が振動の中
心から非強磁性基体に近付きつつある時期に、パルス電
圧を印加するのが望ましい。
【0054】上記において、0.005msec 〜100secの範囲
内でパルス電圧を印加するのが望ましい。
【0055】原子間力顕微鏡の探針を用いる場合にも、
以上のようにして、非強磁性基体上に、50nm以下の寸法
サイズの強磁性極微小構造体を形成することができる。
【0056】上記において、複数個の強磁性極微小構造
体を配列するのが望ましい。
【0057】上記において、強磁性極微小構造体を単一
の磁区として形成するのが望ましい。
【0058】上記において、単一磁区をなす強磁性極微
小構造体によって記録単位を形成し、その磁化の向きを
反転可能となすことが望ましい。
【0059】第三の発明において、単一磁区をなす強磁
性極微小構造体によって記録単位を形成し、その磁化の
向きを反転させることによって記録を行うことが望まし
い。
【0060】また、第三の発明において、複数個の強磁
性極微小構造体を配列するのが望ましい。
【0061】また、第三の発明において、非強磁性基体
として強磁性体でない金属又は半導体を主成分としたも
のを使用し、強磁性極微小構造体として強磁性体を主成
分としたものを使用するのが望ましい。
【0062】上記において、強磁性体でない金属を白金
とし、強磁性体をニッケルとすることができる。
【0063】上記に替えて、強磁性体でない金属を白金
とし、強磁性体をコバルト−クロム合金とすることがで
きる。
【0064】上記に替えて、強磁性体でない半導体を、
絶縁性表面層を有する珪素とし、強磁性体をコバルト−
クロム合金とすることができる。
【0065】更に上記に替えて、強磁性体でない半導体
を、絶縁性表面層を有する珪素とし、強磁性体をコバル
トとすることができる。
【0066】第四の発明において、単一磁区をなす強磁
性極微小構造体の磁化の向きを反転させた領域を含むこ
とが望ましい。
【0067】また、第四の発明において、複数個の強磁
性極微小構造体を配列するのが望ましい。
【0068】また、第四の発明において、非強磁性基体
として強磁性体でない金属又は半導体を主成分としたも
のを使用し、強磁性極微小構造体として強磁性体を主成
分としたものを使用するのが望ましい。
【0069】上記において、強磁性体でない金属を白金
とし、強磁性体をニッケルとすることができる。
【0070】上記に替えて、強磁性体でない金属を白金
とし、強磁性体をコバルト−クロム合金とすることがで
きる。
【0071】また、上記に替えて、強磁性体でない半導
体を、絶縁性表面層を有する珪素とし、強磁性体をコバ
ルト−クロム合金とすることもできる。
【0072】更に上記に替えて、強磁性体でない半導体
を、絶縁性表面層を有する珪素とし、強磁性体をコバル
トとすることもできる。
【0073】本発明において、前記「非強磁性基体」と
は、基体全体が非強磁性基体であることのほかに、別の
基体上に非強磁性表面層を有するものも含むものであ
る。
【0074】また、前記「強磁性体でない金属又は半導
体」として、前述した白金のほかに金や珪素を用いるこ
ともでき、前記強磁性体として、前述したニッケル、コ
バルト−クロム合金、コバルトのほかに、鉄、ニッケル
及び/又はコバルトを含む2種以上の合金を用いること
もできる。
【0075】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0076】先ず、走査トンネル顕微鏡(以下、STM
と称する。)の探針を用いた実施例を説明する。
【0077】最初に、極微小構造の形成の要領について
説明する。図4は、この例において極微小構造製造に使
用した装置の概要を示す概略斜視図である。この装置
は、微小構造製造のための手段をSTMに付加してなる
ものである。
【0078】基板ステージ21上に基体12が水平に載置さ
れる。そして、基板12の薄膜11の表面に、ピエゾ素子23
に固定された探針10が垂直に位置している。基板ステー
ジ21は、互いに直交する水平のX方向、Y方向に移動可
能にしてあり、基板12のX方向、Y方向の位置決めを行
うには、夫々レーザ測長機22X、22Yによる計測結果を
マイクロコンピュータ29に入力し、マイクロコンピュー
タ29によって駆動手段(図示省略)を制御して駆動させ
る。
【0079】基板12に対する探針10の精密な位置決め
は、ほぼ円筒形のピエゾ素子23により、次のようにして
なされる。
【0080】ピエゾ素子23のX方向の内周端及び外周端
はX方向走査回路25に接続し、同Y方向の内周端及び外
周端はY方向走査回路26に接続し、同Z方向(鉛直方
向)の上下端はZ方向駆動・サーボ回路27に接続してい
る。ピエゾ素子23のX方向、Y方向、Z方向の各回路へ
の接続端は、対称位置に各々2組づつ設けているが、図
4では一方の1組のみ示し、他方の1組は図示省略して
ある。
【0081】X方向走査回路25、Y方向走査回路26及び
Z方向駆動・サーボ回路27はマイクロコンピュータ29に
接続している。マイクロコンピュータ29はフィードバッ
ク回路28を介してX方向走査回路25、Y方向走査回路2
6、Z方向駆動・サーボ回路27に接続している。探針10
と薄膜11とにトンネル電流電源24を接続し、トンネル電
流電源24はマイクロコンピュータ29に接続している。
【0082】そして、マイクロコンピュータ29には陰極
線管(CRT)30A及びプリンタ30Bを接続し、STM
による薄膜11の表面状態を観察してこれを記録できるよ
うになっている。上記表面状態は、前述したように、S
TMによって原子オーダの解像度を以て観察できる。
【0083】先ず、CRT30Aを監視しながら、ピエゾ
素子23に対し、マイクロコンピュータ29の作動により、
X方向走査回路25及びY方向走査回路26からピエゾ素子
23に電圧を印加し、ピエゾ素子23のX方向及びY方向の
寸法を制御し、探針10を薄膜11の所望の位置直上に正確
に位置させる。
【0084】図3(A)、(B)は極微細加工の原理を
説明するための概略図である。
【0085】図3(A)は、探針10を構成する強磁性材
料の構成原子を電界蒸発させ、これを非磁性薄膜11上に
堆積させて微小凸部14を直接形成する要領を示してい
る。
【0086】即ち、STMの探針10の先端を薄膜11の表
面に対して 0.1〜数nmの距離に近付けてトンネル電流が
流れるようにし、次いで探針10の位置を固定し、探針10
と非磁性の薄膜11を有する基板12との間に3μsec 〜65
sec の時間幅で絶対値|1800mV〜5000mV|のパルス電圧
44を印加する。
【0087】このような微小距離での電圧印加により、
薄膜11と探針10との間に 107〜108V/cmの極めて大きな
電界が加わることになり、これが電界蒸発と呼ばれる、
探針10からの原子放出現象を惹き起こす。
【0088】これにより、原子オーダの領域に昇華した
探針原子が非磁性薄膜11上に堆積し、薄膜表面に強磁性
の微小凸部14が50nm以下の寸法サイズにドット状に形成
される。
【0089】図3(B)は、図3(A)におけると同様
にして(但し、パルス電圧の極性は逆)、強磁性金属の
薄膜14を構成する原子を電界蒸発させ、探針10を全体と
して格子パターンに走査して所定位置に強磁性金属をド
ット状に残し、微小凸部14を形成する要領の途中を示し
ている。
【0090】図3(A)のように凸部が形成されるか、
或いは同図(B)のように凹部が形成されるかは、薄膜
及び探針の材料並びに加工条件に依存する。
【0091】図3(A)の微細加工を例に挙げると、極
微小構造形成の手順は次の通りである。
【0092】探針10のX方向、Y方向の位置を所定の一
点に止め、次いでZ方向駆動・サーボ回路27による電圧
印加によってピエゾ素子23のZ方向の寸法を変化させ、
探針10の先端を薄膜11に対して 0.1〜数nmの距離に近付
け、トンネル電流が流れるようにする。次いで、フィー
ドバック回路28内のZ方向駆動・サーボ回路27に接続す
るフィードバック回路部分をOFFして探針10先端の位
置を固定する。
【0093】次に、探針10と薄膜11との間に接続された
パルス電源44から探針10と薄膜11との間に、3μsec 〜
65sec の時間幅を以て1800mV〜5000mV、若しくは−1800
mV〜−5000mVのパルス電圧を印加する。このとき、Z方
向のフィードバック回路28をOFFしているので、パル
ス電圧印加中は探針先端と薄膜表面との距離は変化しな
い。
【0094】そして前述したように、探針先端と薄膜表
面との間に大きな電界を発生させ、これによって惹き起
こされる電界蒸発により、薄膜11の極めて狭い領域に凸
部(図3(A)の凸部14)を形成させる。
【0095】前記のように、探針10と薄膜11の表面との
距離を常に一定に保った儘、そしてこのように一定に保
っていることを電気的にZ方向のフィードバック回路を
切ることで確認することにより、所望の時間だけ大きな
電界を探針先端のみに、確実に加えることができる。以
上の理由から、パルス印加時にはZ方向のフィードバッ
ク回路を切るのが望ましい。
【0096】パルス電圧の印加後、直ちにピエゾ素子23
のZ方向のフィードバックを回復させ、再びトンネル電
流により探針をコントロールできるようにする。次に微
細加工を行いたい場所にX、Y方向のピエゾ素子をコン
トロールして移動させ、上述と同様にしてパルス印加す
る。これらは総て、コンピュータでコントロールが可能
であり、従って任意の間隔で、或いは任意の形になるよ
うに、加工ができる。
【0097】図1は、上記のようにして非磁性薄膜11上
に強磁性金属の微小凸部14を形成した記録媒体(生の記
録媒体)20を模式的に示す拡大部分斜視図、図2は微小
凸部14を形成する前の非磁性薄膜11付きの基板12を模式
的に示す拡大部分斜視図である。
【0098】図1の記録媒体は、次のようにして製造さ
れる。
【0099】先ず、図2に示すように、基板12(例えば
珪素(Si)からなる)上に白金の薄膜11を被着させ
る。薄膜11は、スパッタ、蒸着、MBE(分子線エピタ
キシ)等の通例の成膜技術によって設けることができ
る。
【0100】次に、図1に示すように、白金の薄膜11に
対し、図3、図4で説明した要領により、ニッケルの探
針10を用いた電界蒸発でニッケルからなる微小凸部14を
形成して記録媒体20とする。微小凸部14は、X、Y方向
の等間隔の線の各交差する位置に総て又は選択的に形成
する。なお、これらの形成の詳細な条件は、後に図5及
び図6によって次に説明する。
【0101】図5は、機械研磨、電界研磨、アニーリン
グ、スパッタエッチなどの方法により先端を鋭利かつ清
浄にしたニッケル探針10を用いて、珪素基板(図1、図
2の12)上の白金蒸着膜11の表面をSTM観察した結果
である。
【0102】白金は、化学的に極めて安定であり、自然
酸化膜(大気中に放置して生成する酸化膜)が生成しな
いので、後述するように基板表面が導電性であることを
要するSTMを用いる場合、好適である。
【0103】白金11の表面上に、以下に示す手順に従っ
て微細加工を行った。なお、操作はすべて室温、 1.0×
10-9Torr以下の超高真空中で行った。
【0104】先ず、白金11の表面上の 300nm×300nm の
領域を、ニッケル探針を用いて走査した。この時の印加
バイアス電圧は 100mV、トンネル電流は1nAとした。こ
の時点で図5のような像が得られた。
【0105】次に、画面を監視しながら、加工を行うべ
き位置に探針10を移動させ、固定した。この状態でZ軸
方向のフィードバック回路を切り、探針10の高さを固定
した状態で白金11の表面と探針10との間にパルス電圧を
印加した。印加電圧は+2100mV(基板側)、印加時間は
500μsec とした。
【0106】電圧印加後、直ちにフィードバック回路を
回復させ、次に加工を行う位置へと探針10を移動させ、
再度フィードバック回路を切り、+2100mV(基板側)、
500μsec のパルス電圧を印加した。この操作を繰り返
し、合計9回のパルス電圧印加を行った。すべての印加
を行った後、フィードバック回路を回復させ、再び元の
300nm×300nm の領域をSTM観察した。
【0107】この観察結果を図6に示す。パルス電圧の
印加によって、印加した位置に直径13nm〜45nm、高さ3
nm〜24nmの凸部14が規則的に多数形成された。凸部14の
ピッチは、X、Y方向共約 100nmである。凸部14が形成
される原因は、探針10からニッケル原子が電界蒸発によ
り薄膜11上へ移動したためである。
【0108】以上の過程はすべて超高真空下において、
清浄な基板及び探針を用いて行われており、形成された
微小凸部14は、探針10と同等の純度(99.9%ニッケル)
を有している。
【0109】図6に示される微小凸部14は磁性元素であ
るニッケルからなっており、直径10nm〜数十nmでは単磁
区になっている可能性がある。このような単磁区微粒子
14を一記録単位として磁気記録を行うことが可能であ
る。
【0110】この場合、各単磁区微粒子14の磁化の向き
が上向き或いは下向きのいずれであるかによる2値記録
が可能である。また、この場合、直径10nmの微小凸部14
を一記録単位とし、各記録単位間を10nmとすると、記録
密度は 250Gbit/cm2 となる。
【0111】更に、これら単磁区微粒子の線状配列にお
いて、磁化の向きを任意の方向に伝搬させる配線を作製
することが可能である。また、このような配線の作製が
可能になると、Bandyopadhyay が提唱するような論理素
子(Nanotechnology 5, (1994) 113)の実現に近付くこ
とができる。
【0112】図7は、上記のようにして特定の単磁区に
対し特定の向きに磁化させることによって情報が伝搬さ
れる配線の例を示す。
【0113】ここでは、例えば、スピン偏極走査トンネ
ル顕微鏡(以下、SP−STMと称する。)(応用物
理、第63巻第3号(1994))の探針や微細化された薄膜
ヘッド等の磁気ヘッド(共に図示せず)を用い、単磁区
としてのニッケル微小凸部14の特定のドットの磁化の向
きを例えば上向き40になるように垂直磁化する。
【0114】この結果、矢印50で示す配列方向に順次磁
化していき、あたかも情報が伝達されるが如き配線を形
成する。これは、隣接するドットへスピン偏極した電子
がトンネリングすることによって“スピンの伝達”が生
じたり、或いは漏洩磁束による着磁現象が生じるからで
あると想定される。
【0115】この場合、各ドット間が極めて近くに存在
していることが必要である。ドット間が比較的離れてい
ると、反強磁性的な結合によって隣接ドットのスピンが
反転して下向きに磁化され、これが更に隣接ドットへと
伝搬されることになる。なお、伝搬された磁化はSP−
STMによって検出することができる。
【0116】次に、上記した情報伝達方法を利用した論
理素子の例を図8〜図10に示す。
【0117】この例は、上記したBandyopadhyay が提唱
する論理素子を実現できるものであって、図8及び図9
に示すNANDゲートの例では、円形に描かれた強磁性
微小凸部14の所定の列AとBが入力であり、SP−ST
Mによる磁化の向きが上向き40を“1”、下向き41を
“0”として中央列のYから出力を取り出すものであ
る。
【0118】ここで、各強磁性微小凸部14は互いに反強
磁性的な結合をしやすいものであるとすれば、例えば図
9のように、A、Bいずれにも↑、つまり上向きスピン
40を入力した場合には、中央のYは(反強磁性結合なの
で)下向きとなり、これを出力として取り出せば、NA
NDゲートの出力“0”が得られたことになる。他方、
A、Bへの入力が互いに逆向きの時は、あらかじめ上向
きになりやすいようにバイアスをかけておけば、出力は
“1”、即ち上向きとなる(この時、バイアスは反強磁
性結合のエネルギーより低くなくてはならない)。
【0119】また、図10のように、中央の微小凸部の隣
りにもう一つのドットを設け、これを出力Yとすれば、
これらドット間の反強磁性結合によって、上記のNAN
Dの出力とは逆の出力が得られ、ANDゲートとなる。
【0120】ここに例示した各ゲートの出力は、SP−
STMによって検出可能である。従って、入力及び出力
ともにワイヤリング(メタル配線)なしで可能となり、
極微細な信号処理(超高密度化)が実現されるので、非
常に有用となる。
【0121】以上のように、本発明に基づく50nm以下
(例えば10nm)と極微小サイズの強磁性微小凸部14を単
位とする磁気記録、又は情報伝達若しくは情報処理によ
って、250ギガビット/cm2という従来にない高密度の記
録又は信号処理が可能である。
【0122】即ち、走査トンネル顕微鏡の高分解能に対
応したnmオーダの極めて微小な構造の作製が可能であ
り、この極微小構造は高純度の磁性元素からなり、各種
の高密度・高速・小型磁気デバイスへの応用が可能であ
る。
【0123】次に、原子間力顕微鏡を用いた実施例を説
明する。
【0124】前述したSTMを用いた微小凸部の形成に
あっては、基板表面が導電性であることが要求される。
何故なら、基板表面に絶縁性の膜が在ると、探針との間
にトンネル電流が流れず、STMが顕微鏡としての機能
を発揮できず、微小凸部を形成すべき箇所を特定できな
くなるからである。上記絶縁性の膜は、例えば珪素基板
表面の極めて薄い自然酸化膜(大気中に放置しただけで
形成される)であってもトンネル電流が流れなくなって
しまう。
【0125】これに対し、原子間力顕微鏡(以下、AF
Mと称する。)を利用した微小凸部形成がHosakaらによ
って試みられた(Jpn. Appl. Phys. Vol.33(1994) pp.
L 1358〜L 1361)。これは、SiO2 からなり猛禽類の
嘴に似た形状を呈するカンチレバー(片持ち梁)に金を
被覆し、表面に酸化層を有する珪素基板に上記カンチレ
バーを接触させ、金の被覆層と珪素基板との間に酸化層
を介して電界を生ぜしめ、これによって金原子の電界蒸
発を起こさせて酸化層上に金の微小凸部を形成するもの
である。これは、AFMを利用することにより、絶縁性
の表面層上にも電界蒸発を利用した微小凸部の形成が可
能であることを示すものである。
【0126】然し、この方法では、基板表面が導電性で
ある場合は、電界が発生せず(電圧を印加しても、基
体、カンチレバー間が電気的に導通するため)、STM
とは異なり、金属や半導体上には微小凸部形成のような
加工が行えないという欠点がある。
【0127】本発明者は、AFMに対して検討を重ねた
結果、AFMを利用して、前述したSTMによると同様
の極微小構造を絶縁性表面層上にも形成することに成功
した。
【0128】最初に、AFMの原理について説明する。
AFMでは、ピエゾ素子上に試料を固定し、試料をZ軸
方向に移動させて探針に近付け、試料表面の原子と探針
先端の原子との間に引力又は斥力を発生させる。この原
子間の引力又は斥力をピエゾ素子に作用させて電気信号
として出力させながらピエゾ素子によって試料をX軸方
向、Y軸方向に走査させ、これらの制御信号と前記電気
信号とに基づいて試料の表面状態を観察する。
【0129】AFMによる観察には次のような方法があ
る。試料をピエゾ素子上に固定し、探針を支持するカン
チレバーを振動させながらピエゾ素子をZ軸方向に移動
させ、試料を探針に近付けて試料を探針で叩くように
し、探針の振幅を減衰させる。そして、ピエゾ素子を駆
動させて試料をX軸方向、Y軸方向に走査させながら、
探針の振幅の減衰量が一定になるようにピエゾ素子によ
って試料表面のZ軸方向の位置を制御する。ピエゾ素子
の上記X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の制御信号に基づ
いて試料表面の三次元イメージを描くことができる。こ
の方法は、タッピングモードAFMと呼ばれ、米国Digi
tal Instruments 社で開発された方法である。
【0130】次に、AFMを用いての極微小構造の形成
の要領について説明する。図11は、この例において極微
小構造製造に使用した装置の概要を示す概略斜視図であ
る。この装置は、微小構造製造のための手段をAFMに
付加してなるものである。
【0131】円筒形を呈するピエゾ素子32上に基板ステ
ージ21が固定され、基板ステージ21上に基板12が水平に
載置されている。基板12は導電性を有する金属又は半導
体からなり、その表面に絶縁性薄膜61が形成されてい
る。
【0132】絶縁性薄膜61に対向して探針70が鉛直方向
に位置している。探針70は、カンチレバー73の先端部に
一体に設けられていて、カンチレバー73の後端部はピエ
ゾ加振器74のベース74aに固定されている。ピエゾ加振
器74は、マイクロコンピュータ29によって駆動する周波
数シンセサイザ86により、カンチレバー73を上下方向に
振動させる。これに伴って、探針70が振動して絶縁性薄
膜61の表面を叩くようになっている。即ち、この例は、
タッピングモードによる例である。
【0133】探針70の上下方向の振動の振幅は、カンチ
レバー73の探針上の部分にレーザL1 を照射し、その反
射光L2 の変化によって計測される。レーザL1 はレー
ザ光源81から出射してレンズ82によりカンチレバー73の
表面に焦点を結び、その反射光L2 は2分割ダイオード
を有するフォトディテクタ83に入射し、アナログ電気信
号に変換される。そして、このアナログ電気信号はRM
S検出器85Aに入力する。
【0134】RMS検出器85Aは、探針の振動振幅(変
位)の2乗平均(root-mean-square)を所望の振幅設定
値と比較する装置であり、RMS検出器85A−マイクロ
コンピュータ29間にA/D変換器85Bが配され、此処で
ディジタル信号に変換されてマイクロコンピュータ29に
入力する。
【0135】ピエゾ素子23のX方向の内周端及び外周端
はX方向走査回路25に接続し、同Y方向の内周端及び外
周端はY方向走査回路26に接続し、同Z方向(鉛直方
向)の上下端はZ方向駆動回路87に接続している。ピエ
ゾ素子23のX方向、Y方向及びZ方向の各回路への接続
端は、対称位置に各々2組ずつ設けてあるが、図11では
一方の1組のみを示し、他方の1組は図示省略してあ
る。
【0136】X方向走査回路25及びY方向走査回路26
は、マイクロコンピュータ29に接続し、Z方向駆動回路
87は、直接及びフィードバック回路28を経由してマイク
ロコンピュータ29に接続している。
【0137】探針70は、ピエゾ加振器74によって一定の
振動数(カンチレバー73の共振周波数付近(この例では
約70kHz))でZ方向に振動する。このとき、探針70の先
端が振動の最下点に達する前に絶縁性薄膜61の表面に衝
突するようにする。この衝突によって探針70の振動の振
幅が減衰し、この減衰量はフォトディテクタ83によって
計測することによって知ることができる。
【0138】この情報はZ方向駆動回路87へフィードバ
ックされ、探針70の振幅の減衰量が一定になるようにZ
方向駆動回路87がピエゾ素子23を駆動して基板12のZ方
向の位置を制御する。これと同時にX方向走査回路25及
びY方向走査回路26が駆動して基板12をX軸方向及びY
軸方向に走査する。これらのX、Y、Z軸の制御信号を
基に基板12の表面の三次元イメージをCRT30A、プリ
ンタ30Bに描くことができる。
【0139】上記のように基板12の表面を観察した後、
再び表面を観察しながら基板表面の所定箇所に強磁性材
料からなる微小凸部を形成する。この例では、ピエゾ素
子23を駆動して探針70をX軸、Y軸の所定座標に固定
し、探針の先端で基板12の絶縁性薄膜61の表面を叩きな
がら微小凸部を形成する。図12は、微小凸部形成の要領
を説明するための、探針及びその周辺の拡大断面図であ
る。
【0140】ピエゾ加振器74のベース74aにカンチレバ
ー73の後端部が固定され、カンチレバー先端部には探針
70が一体成形で設けられている。図12中にA部を拡大し
て示すように、カンチレバー73のベース材72は例えば珪
素(Si)からなり、探針70の部分を含めて表面にスパ
ッタリング等の方法で強磁性材料の被覆層71が形成され
ている。
【0141】ところで、基板12と探針70との間で 107
108 V/cmの極めて大きな電界を加えることができれ
ば、探針70から原子を放出させる電界蒸発を惹き起こす
ことが可能である。この電界は、探針先端の曲率半径及
び探針先端と基板との距離、特にこの距離に大きく依存
し、大きな電界を発生させるためにはこの距離が或る閾
値(約1nm)よりも小さくする必要がある。基板表面及
び探針先端が共に導電性である場合は、基板と探針とが
接触すると両者が等電位になって電界が発生しないた
め、上記距離は0よりも大きくなければ電界蒸発が起こ
らない。
【0142】図12において、ピエゾ加振器74を駆動さ
せ、カンチレバー73を介して探針70で基板12の絶縁性薄
膜61を叩き、図13に示すように探針70の振幅をd1
し、パルス電源84を駆動して基板12にパルス電圧を印加
する。振幅d1 は約20nmである。探針70の先端は、0〜
1 (0〜20nm)の範囲内で絶縁性薄膜61との距離の増
減を繰り返すことになる。この振動の1周期の間には、
電界蒸発を起こさせる条件を満足する時期が必ず存在す
る。
【0143】図14は、振動による探針先端の位置を示し
ており、探針先端は絶縁性薄膜を叩く(タッピングす
る)瞬間は実線のように一定位置に停止する。図14中、
Oは自由状態(タッピングしない状態)で振動するとき
(一部破線の正弦曲線)の振動中心を示し、Sは電界蒸
発が起こる最適の探針先端位置を示す。振動の1周期の
間で探針先端がP点及びQ点を中心とする或る幅内に位
置するとき、電界蒸発が起こる条件が満足される。
【0144】図14から、電界蒸発のための電圧印加のパ
ルス幅W1 は、少なくとも探針振動1周期の幅だけあれ
ば充分であることが理解できよう。なお、この振動の周
期は、カンチレバー(図11〜図13の73)の共振周波数(7
0kHz)付近とする。従って、パルス幅は、その逆数の1
/70,000sec(約0.0142msec)以上で100sec以下とすれば
良く、0.02msec〜100secとすれば、1/70,000sec より
も充分に長くなり、電界蒸発が確実になされる。
【0145】パルス電圧は、基板側へ5〜16V印加する
のが良い。なお、図3(B)に示したように、基板材料
を電界蒸発させる場合は、基板に−5〜−16Vのパルス
電圧を印加するのが良い(これについては後に説明す
る)。この場合のパルス電圧印加は、図14に仮想線で示
してある。
【0146】また、微小凸部形成時には、探針に対して
基板を固定するので、図11のフィードバック回路28は切
っておくのが望ましいが、切らないでおいても差し支え
はない。
【0147】以上のようにして探針被覆材の強磁性材料
を電界蒸発させ、絶縁性薄膜上の所定位置の極めて狭い
領域に強磁性材料の原子を堆積させて強磁性微小凸部を
形成した後、ピエゾ素子23を駆動して、次に微小凸部を
形成しようとする箇所のX軸、Y軸座標位置を探針直下
に移動させ、上記と同様の微小凸部を形成する。基板12
の移動は、総てマイクロコンピュータ29によって制御可
能であり、任意の間隔で、また任意の形に微小凸部を形
成することができる。
【0148】次に、この例における微小凸部形成の具体
的な手順について説明する。
【0149】先ず、珪素(Si)の基板12上に二酸化珪
素(SiO2 )の薄膜61を形成する。薄膜61は、濃塩
酸、過酸化水素水及び水を容積比で1:1:1の割合で
混合してなる酸に基板12を浸漬することによって形成さ
れたものであって、その膜厚は1nm程度である。なお、
絶縁性薄膜61は、二酸化珪素のほか、窒化珪素又は他の
適宜の絶縁性薄膜として良い。
【0150】探針70とカンチレバー73とは、珪素からな
るベース材を異方性エッチングによって一体成形した。
そして、ベース材72の表面に、強磁性材料としてコバル
ト−クムロ(Co−Cr)合金の被覆層71を、この例で
はスパッタリングによって設けた。
【0151】この探針及びカンチレバーを具備するAF
Mにより、SiO2 薄膜61の表面を約 550nm×550nm の
領域に対し、前述した要領でAFM観察を行ったとこ
ろ、図15に示す像が得られた。
【0152】次に、CRT30Aの画面を監視しながら微
小凸部を形成すべきSiO2 薄膜61上の所定位置に、探
針を基板に対して相対的に移動させてから固定し、前述
したタッピングモードによって電界蒸発を起こさせ、探
針被覆層71を構成するCo−Cr合金をSiO2 薄膜61
上に堆積させ、微小凸部を形成した。この操作を繰り返
してSiO2 膜61上の9箇所に強磁性の微小凸部を形成
した。図16は、基板12の表面の前記と同じ 550nm×550n
m の領域をAFM観察して得られた像を示すものであっ
て、SiO2 薄膜61上の9箇所に、電界蒸発によって形
成されたCo−Cr合金の凸部14(直径70nm、高さ2n
m)が観察される。
【0153】この例における微小凸部形成の条件は次の
通りである。各微小凸部形成位置での基板12への印加電
圧は+12V、パルス幅は 900msec、電圧印加回数は1回
である。上記のAFMによる観察及び微小凸部の形成は
総て室温、大気中で遂行された。
【0154】以上のようにして、図1に示した前記実施
例1におけると同様の記録媒体20が得られる。図1、図
2、図7及び図8には、本実施例による絶縁性(SiO
2 )薄膜の符号「61」を、括弧を付して示してある。従
って、本実施例による記録媒体は、前記実施例1による
記録媒体と同様に、記録、情報伝達、配線及び論理素子
に適用可能である(以下の実施例3〜8も同様)。本実
施例によれば、AFMの高分解能に対応したnmオーダの
極微小構造が得られる。
【0155】SiO2 薄膜61上に形成する強磁性微小凸
部を、前記実施例2におけるコバルト−クロム合金に替
えて、例えばコバルト(Co)の微小凸部とすることが
できる。
【0156】図17は、上記のようにしてコバルトの微小
凸部14を形成した基板の図16と同様のAFM像を示すも
のである。この例にあっては、基板12への印加電圧を−
7.5V、そのパルス幅を 500msecとしている。その他は
前記におけると同様である。
【0157】上記のほか、珪素基板上の白金の膜上に、
コバルト−クロム合金の微小凸部を形成することができ
る。
【0158】図18は、このようにして、微小凸部14が白
金の膜11上に形成された基板12の、図16、図17と同様の
AFM像を示すものである。この例にあっては、白金の
膜11への印加電圧を+13V、そのパルス幅を 500msecと
している。その他は前記の各例におけると同様である。
【0159】電界蒸発のための電圧印加のパルス幅は、
次のようにして前述した図14のそれよりも小さくするこ
とができる。
【0160】探針のZ方向の振動の位相を計測する装置
を付加し、最適な位相、即ち探針振動の中心からの変位
がOから基板の絶縁性薄膜又は導電性表面に近付きつつ
ある瞬間の位相においてパルスを発生するようにすれ
ば、パルス幅は探針振動の1周期の1/4以上とするこ
とにより、電界蒸発が可能になる。
【0161】図19は、このようにした探針先端の位置
と、電圧印加のタイミングとの関係を示す、図14と同様
のタイミングチャートである。探針振動の中心Oから電
界蒸発を起こさせるのに最適な探針先端の位置(基板表
面からの距離D)に達した時点Pにおいて基板に電圧を
印加すれば、電界蒸発が起こる。従って、振動中心から
自由状態での振動における最下位に至る時期(振動1周
期の1/4の時間帯)に電圧印加を行えば、微小凸部の
形成が可能になる。この時間(パルス幅)W2 は、1/
70,000/4sec(0.005msec)以上であり、パルス幅は 100
sec 以下とするのが良い。
【0162】このような操作を可能にするために、図20
に示す制御機構を設計した。探針70の振動は、先に図11
で説明したように、フォトディテクタ83で検出され、ア
ナログ電気信号に変換される。このアナログ電気信号
は、RMS検出器85Aを経由してA/D変換器85Bによ
りディジタル信号に変換され、このディジタル信号がカ
ウンタ回路91に入力し、振動1周期毎にカウントされ
る。
【0163】この振動1周期のカウントは、4分割の分
周回路92で1/4ずつの4カウントに分けられ、マイク
ロコンピュータ29に入力する。カウンタ回路91の各カウ
ントが4分割された少なくとも3番目の1/4周期(図
19参照)には、パルス電源84が電圧印加するように、マ
イクロコンピュータ29がパルス電源駆動回路93を駆動さ
せる。かくして、図19に示したような周期で電圧が印加
され、電界蒸発が起こって微小凸部が形成される。
【0164】パルス電圧は、基板側へ5〜16V印加する
のが良い。なお、図3(B)に示したように、基板材料
を電界蒸発させる場合は、基板に−5〜−16Vのパルス
電圧を印加するのが良い(これについては後に説明す
る)。この場合のパルス電圧印加は、図19に仮想線で示
してある。
【0165】前記の各例では、いずれも基板表面をAF
M観察しながら微小凸部を形成すべき位置を決め、此処
で基板を固定しておいて電界蒸発を起こさせて微小凸部
を形成しているが、次に説明するように、AFM観察の
情報をマイクロコンピュータに一旦記憶させ、この記憶
された情報に基づいて基板上の予め指定された位置に微
小凸部を形成するようにしている。
【0166】図21は、上記のようにして微小凸部を形成
する手順を示すブロック図である。AFM観察によって
得られた基板表面の情報(X軸、Y軸の各座標毎のZ軸
の座標)は、マイクロコンピュータ29のメモリに記憶さ
れ、同中央処理装置(CPU)に入力する。
【0167】次に、微小凸部を形成すべき基板上の位置
(X軸、Y軸の座標)が操作部90で指定され、この指定
された座標がCPUに入力する。CPUは、指定された
座標が探針下に位置するように、X方向操作回路25、Y
方向走査回路26を介してピエゾ素子(図11の23)を駆動
させ、次いでZ方向駆動回路87を介して基板表面のZ軸
方向の位置決めをする。
【0168】次に、CPUは、周波数シンセサイザ86を
駆動させてピエゾ加振器74によって探針を振動させ、次
いでパルス電源駆動回路93を駆動させてパルス電源84に
よりパルス電圧を基板に印加し、電界蒸発を起こさせ
る。このような操作を繰り返すことにより、基板上の所
定の位置に微小凸部が形成される。
【0169】前記の各例は、いずれもタッピングモード
による微小凸部形成の例であるが、探針と基板とを常時
非接触に保ちながら、即ち、ノンコンタクトモードによ
り微小凸部を形成することができる。
【0170】図22は、このようにした探針及びその周辺
を示す、図12と同様の拡大断面図、図23は探針の振動を
示す、図13と同様の拡大正面図である。
【0171】探針70は、AFM観察及び微小凸部形成時
には、図23に示す振幅d2 を以てZ軸方向に振動し、探
針70が最下位に位置したときの探針先端と基板最表面と
の距離はd3 である。従って、探針70が最上位に位置し
たときは、探針先端と基板最表面との距離は、図22に示
すようにd2 +d3 である。d3 を、電界蒸発に最適の
距離D(図14参照)よりも小さくすることにより、探針
先端が図14のP、Qの位置を含む或る幅の範囲内で電界
蒸発が起こることになり、基板上に微小凸部が形成され
る。
【0172】前述したタッピングモードでは、AFMと
しての分解能が高い。これに対してこのノンコンタクト
モードでは、端子先端と基板最表面との距離が大きくな
るため、タッピングモードによる前記の各例に較べて分
解能が少し低下する。その反面、非接触であるため、基
板表面の絶縁性薄膜61或いは金属薄膜11を叩いてこれを
傷付けるおそれがないという利点がある。その他は前記
のタッピングモードによると同様である。
【0173】更に、ノンコンタクトモードでは、探針を
振動させずに静止した状態で基板上に微小凸部を形成す
ることができる。即ち、図24に示すように、絶縁性薄膜
61又は導電性薄膜11の表面から、電界蒸発を起こさせる
のに最適の距離D(図14参照)の位置に探針70の先端を
固定し、ノンコンタクトモードで電界蒸発を起こさせ
る。このようにすることにより、電界蒸発が起こらない
時期にもパルス電圧を基板に印加するという無駄が無く
なり、効率的な微小凸部の形成が可能になる。
【0174】この例にあっても、AFM観察によって得
られた基板表面の情報を一旦記憶させておいて、この記
憶された情報に基づいて基板上に微小凸部を形成するこ
とができる。
【0175】図25は、上記のようにして微小凸部を形成
する手順を示すブロック図である。AFM観察によって
得られた基板表面の情報(X軸、Y軸の各座標毎のZ軸
の座標)は、マイクロコンピュータ29のメモリに記憶さ
れ、同中央処理装置(CPU)に入力する。
【0176】次に、微小凸部を形成すべき基板上の位置
(X軸、Y軸の座標)が操作部90で指定され、この指定
された座標がCPUに入力する。CPUは、指定された
座標が探針下に位置するように、X方向走査回路25、Y
方向走査回路26を介してピエゾ素子(図11の23)を駆動
させ、次いでZ方向駆動回路87を介して基板表面のZ軸
方向の位置決めをする。
【0177】次に、CPUは、パルス電源駆動回路93を
駆動させてパルス電源84によりパルス電圧を基板に印加
し、電界蒸発を起こさせる。このような操作を繰り返す
ことにより、基板上の所定の位置に微小凸部が形成され
る。
【0178】AFMの探針を用いての微小凸部形成にあ
っては、基板表面が絶縁性薄膜である場合は、探針を基
板の絶縁性薄膜に常時接触させ(コンタクトモード)、
絶縁性薄膜上に探針材料からなる微小凸部を形成するこ
ともできる。これに対し、前記実施例のように、基板材
料を金属とし、電界蒸発により強磁性材料からなる微小
凸部を直接金属基板上に形成する場合は、コンタクトモ
ードでは基板金属と探針とが等電位になって電界蒸発が
起こらなくなるため、コンタクトモードでは不可能であ
り、タッピングモード又はノンコンタクトモードとしな
ければならない。
【0179】AFMの探針を用いる実施例にあっても、
図3(B)に示したように、基体側の強磁性金属の薄膜
を構成する原子を電界蒸発させ、探針を全体として格子
パターンに走査して所定位置に強磁性金属をドット状に
残し、微小凸部を形成することができる。この場合は、
基体を強磁性材料で構成し、パルス電圧の極性を前記と
は逆にする。即ち、図14、図19に仮想線で示すように、
負のパルス電圧を基体側に印加する。
【0180】以上、本発明の実施例を説明したが、本発
明の技術的思想に基づいて、前記の各実施例に種々の変
形を加えることができる。
【0181】例えば、前記各実施例では、非強磁性の基
体上に強磁性の微小凸部を形成しているが、非強磁性基
体として金やゲルマニウム、更には軟磁性材料等が使用
可能であり、また、強磁性の微小凸部はニッケル、コバ
ルト−クロム合金、コバルトのほか、鉄等で形成するこ
とも可能である。
【0182】また、前記実施例による記録媒体は、各微
小凸部の磁化の向きを変えること、即ち、記録の書換え
(記録データを他の記録データに変更する)或いは選択
的に記録を消去するなどが可能である。
【0183】なお、前記実施例では、各微小凸部の磁化
の向きを互いに逆の向きにして2進法による記録を行っ
ているが、これに、磁化をゼロにする(或いは微小凸部
を設けない)領域を加えて、例えば3進法による記録を
行うことも可能である。
【0184】前記実施例による記録媒体又は素子は、ハ
ードディスクのような円板状にすることができるが、使
用目的に応じて他の適宜の形状にすることもできる。ま
た、上述した用途以外にも勿論適用できる。
【0185】
【発明の作用効果】本発明に基づく極微小構造素子は、
非強磁性基体上に、50nm以下の寸法サイズの強磁性の極
微小構造体が設けられているので、これらの磁気的な物
性の違いによる相互作用で、極めて高い密度を以て磁気
記録や信号処理を行うことができる。
【0186】また、本発明に基づく極微小構造素子の製
造方法は、非強磁性基体に対向して針状体(例えば走査
トンネル顕微鏡や原子間力顕微鏡の探針)を配置し、こ
の針状体と前記非強磁性基体との間に電圧を印加して電
界蒸発を起こさせ、前記非強磁性基体上に強磁性の極微
小構造体を形成するので、前記の50nm以下の寸法サイズ
の強磁性の極微小構造体を高密度に形成することができ
る。
【0187】また、本発明に基づく記録方法は、前記の
本発明に基づく極微小構造素子を記録媒体として使用
し、強磁性の極微小構造体を所定方向に磁化するので、
高密度の磁気記録を確実に行える。
【0188】また、本発明に基づく極微小構造素子は、
強磁性の極微小構造体を所定方向に磁化させ、この磁化
の向きに対応した磁化の向きを任意の経路に沿って伝搬
させる情報伝達方法に使用することができ、従来には無
い情報伝達機能を具備することができる。
【0189】更に、本発明に基づく極微小構造素子は、
上記情報伝達方法によって情報伝搬を行う配線や、論理
演算を行う論理素子という、従来には無い機能を具備す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による記録媒体を模式的に示す
拡大部分斜視図である。
【図2】同記録媒体の強磁性の極微小構造体を形成する
前の基体の一部分を模式的に示す拡大斜視図である。
【図3】同極微小構造体の形成の原理を同図(A)及び
同図(B)の2例について説明するための概略図であ
る。
【図4】同走査トンネル顕微鏡(STM)による極微小
構造体の形成システムの概略図である。
【図5】同白金基板のSTMによる平面像のスケッチ図
である。
【図6】同ニッケルの微小凸部による極微小構造体を形
成した白金基板のSTMによる平面像のスケッチ図であ
る。
【図7】同ニッケルの微小凸部を所定の方向に磁化する
配線を模式的に示す拡大部分斜視図である。
【図8】同極微小構造体を使用した論理素子を模式的に
示す拡大部分斜視図である。
【図9】同論理素子の一例の説明図である。
【図10】同論理素子の他の例の説明図である。
【図11】同原子間力顕微鏡(AFM)による極微小構造
体の形成システムの概略図である。
【図12】同図11の探針及びその周辺を示す拡大断面図で
ある。
【図13】同探針の振動振幅を示す拡大正面図である。
【図14】同探針の振動周期とパルス電圧印加との関係を
示すタイミングチャートである。
【図15】同基板の絶縁性薄膜のAFMによる斜視像のス
ケッチ図である。
【図16】同コバルトークロム合金の微小凸部による極微
小構造体を形成した絶縁性薄膜のAFMによる斜視像の
スケッチ図である。
【図17】同コバルトの微小凸部による極微小構造体を形
成した絶縁性薄膜のAFMによる斜視像のスケッチ図で
ある。
【図18】同コバルト−クロム合金の微小凸部による極微
小構造体を形成した白金基板のAFMによる斜視像のス
ケッチ図である。
【図19】同AFMの探針の振動周期とパルス電圧印加と
の関係を示すタイミングチャートである。
【図20】同パルス電圧印加の制御の機構を示すブロック
図である。
【図21】同パルス電圧印加の制御の他の機構を示すブロ
ック図である。
【図22】同他のAFMの探針及びその周辺を示す図12と
同様の拡大断面図である。
【図23】同探針の振動振幅を示す拡大正面図である。
【図24】同他のAFMの探針と基板との位置関係を示す
拡大正面図である。
【図25】同パルス電圧印加の制御の他の機構を示すブロ
ック図である。
【符号の説明】
10、70・・・探針 11・・・白金薄膜 12・・・珪素基板 14・・・ニッケル、コバルト−クロム合金若しくはコバ
ルトの微小凸部又はニッケルの薄膜 20・・・記録媒体 23・・・ピエゾ素子 24・・・トンネル電流電源 25・・・X方向走査回路 26・・・Y方向走査回路 27・・・Z方向駆動・サーボ回路 28・・・フィードバック回路 29・・・マイクロコンピュータ 30A・・・陰極線管(CRT) 30B・・・プリンタ 44、84・・・パルス電源 61・・・絶縁性薄膜(表面層) 71・・・探針の被覆層 72・・・探針のベース材 73・・・カンチレバー 74・・・ピエゾ加振器 81・・・レーザ光源 83・・・フォトディテクタ 85A・・・RMS検出器 85B・・・A/D変換器 86・・・周波数シンセサイザ 87・・・Z方向駆動回路 91・・・カウンタ回路 92・・・分周回路 93・・・パルス電源駆動回路 D・・・電界蒸発に最適な距離 d1 、d2 ・・・探針の振動振幅 W1 、W2 ・・・最小パルス幅

Claims (64)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非強磁性基体上に、50nm以下の寸法サイ
    ズの強磁性極微小構造体が設けられている極微小構造素
    子。
  2. 【請求項2】 複数個の強磁性極微小構造体が配列され
    ている、請求項1に記載した素子。
  3. 【請求項3】 強磁性極微小構造体が単一の磁区によっ
    て構成されている、請求項1に記載した素子。
  4. 【請求項4】 単一磁区をなす強磁性極微小構造体が記
    録単位を形成し、その磁化の向きが反転可能となってい
    る、請求項3に記載した素子。
  5. 【請求項5】 非強磁性基体が強磁性体でない金属又は
    半導体を主成分とし、強磁性極微小構造体が強磁性体を
    主成分とする、請求項1に記載した素子。
  6. 【請求項6】 強磁性体でない金属が白金であり、強磁
    性体がニッケルである、請求項5に記載した素子。
  7. 【請求項7】 強磁性体でない金属が白金であり、強磁
    性体がコバルト−クロム合金である、請求項5に記載し
    た素子。
  8. 【請求項8】 強磁性体でない半導体が絶縁性表面層を
    有する珪素であり、強磁性体がコバルト−クロム合金で
    ある、請求項5に記載した素子。
  9. 【請求項9】 強磁性体でない半導体が絶縁性表面層を
    有する珪素であり、強磁性体がコバルトである、請求項
    5に記載した素子。
  10. 【請求項10】 非強磁性基体に対向して針状体を配置
    し、この針状体と前記非強磁性基体との間に電圧を印加
    して電界蒸発を起こさせ、この電界蒸発によって前記非
    強磁性基体上に強磁性極微小構造体を形成する、極微小
    構造素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 走査探針顕微鏡の探針を針状体として用
    いる、請求項10に記載した製造方法。
  12. 【請求項12】 走査トンネル顕微鏡の探針を用いる、請
    求項11に記載した製造方法。
  13. 【請求項13】 非強磁性基体にパルス電圧を印加し、強
    磁性の探針の電界蒸発によって前記非強磁性基体上に前
    記探針の材料を主成分とする強磁性の微小な凸部を形成
    する、請求項12に記載した製造方法。
  14. 【請求項14】 非強磁性基体と探針との間にトンネル電
    流が流れるように前記非強磁性基体と前記探針とを近付
    け、この探針に対する前記非強磁性基体の位置を固定
    し、然る後、この非強磁性基体にパルス電圧を印加す
    る、請求項12に記載した製造方法。
  15. 【請求項15】 非強磁性基体側に、1800mV〜5000mVのパ
    ルス電圧を3μsec〜65sec の範囲内で印加する、請求
    項12に記載した製造方法。
  16. 【請求項16】 非強磁性基体側に、−1800mV〜−5000mV
    のパルス電圧を3μsec 〜65sec の範囲内で印加する、
    請求項12に記載した製造方法。
  17. 【請求項17】 非強磁性基体上に、50nm以下の寸法サイ
    ズの強磁性極微小構造体を形成する、請求項12に記載し
    た製造方法。
  18. 【請求項18】 複数個の強磁性極微小構造体を配列す
    る、請求項17に記載した製造方法。
  19. 【請求項19】 強磁性極微小構造体を単一の磁区として
    形成する、請求項12に記載した製造方法。
  20. 【請求項20】 単一磁区をなす強磁性極微小構造体によ
    って記録単位を形成し、その磁化の向きを反転可能とな
    す、請求項19に記載した製造方法。
  21. 【請求項21】 非強磁性基体として強磁性体でない金属
    又は半導体を主成分としたものを使用し、強磁性極微小
    構造体として強磁性体を主成分としたものを使用する、
    請求項12に記載した製造方法。
  22. 【請求項22】 強磁性体でない金属を白金とし、強磁性
    体をニッケルとする、請求項21に記載した製造方法。
  23. 【請求項23】 原子間力顕微鏡の探針を用いる、請求項
    11に記載した製造方法。
  24. 【請求項24】 非強磁性基体にパルス電圧を印加し、探
    針の電界蒸発によって前記探針の材料を主成分とする強
    磁性の微小な凸部を前記非磁性基体上に形成するに際
    し、少なくとも前記電界蒸発時には、前記非強磁性基体
    又はこの非強磁性基体上の絶縁性表面層と、前記探針と
    を非接触状態にする、請求項23に記載した製造方法。
  25. 【請求項25】 非強磁性基体上に強磁性の微小な凸部を
    形成する期間の初期から終期迄の間は、前記非強磁性基
    体又はこの非強磁性基体上の絶縁性表面層と、探針とを
    非接触状態に保つ、請求項24に記載した製造方法。
  26. 【請求項26】 非強磁性基体上に強磁性の微小な凸部を
    形成する期間の初期から終期迄の間は、探針を振動させ
    る、請求項25に記載した製造方法。
  27. 【請求項27】 非強磁性基体上に強磁性の微小な凸部を
    形成する期間の初期から終期迄の間は、探針を振動さ
    せ、この振動により、前記非強磁性基体又はこの非強磁
    性基体上の絶縁性表面層に、前記探針を間欠的に接触さ
    せる、請求項24に記載した製造方法。
  28. 【請求項28】 任意の材料からなるベース材に強磁性材
    料が被覆されてなる探針を用い、前記強磁性材料を電界
    蒸発させる、請求項23に記載した製造方法。
  29. 【請求項29】 金属又は半導体からなる非強磁性基体を
    用いる、請求項24に記載した製造方法。
  30. 【請求項30】 珪素からなり絶縁性表面層を有する非強
    磁性基体を用い、コバルト−クロム合金の被覆層を有す
    る探針を用いる、請求項29に記載した製造方法。
  31. 【請求項31】 珪素からなり絶縁性表面層を有する非強
    磁性基体を用い、コバルトの被覆層を有する探針を用い
    る、請求項29に記載した製造方法。
  32. 【請求項32】 白金からなる非強磁性基体を用い、コバ
    ルト−クロム合金の被覆層を有する探針を用いる、請求
    項29に記載した製造方法。
  33. 【請求項33】 探針を支持するカンチレバーを振動さ
    せ、その振動周波数の逆数以上でかつ100sec以下の範囲
    内で、5〜16Vのパルス電圧を非強磁性基体側に印加し
    て電界蒸発を起こさせる、請求項24に記載した製造方
    法。
  34. 【請求項34】 探針を支持するカンチレバーを振動さ
    せ、その振動周波数の逆数以上でかつ100sec以下の範囲
    内で、−5〜−16Vのパルス電圧を非強磁性基体側に印
    加して電界蒸発を起こさせる、請求項24に記載した製造
    方法。
  35. 【請求項35】 0.02msec〜100secの範囲内でパルス電圧
    を印加する、請求項33に記載した製造方法。
  36. 【請求項36】 0.02msec〜100secの範囲内でパルス電圧
    を印加する、請求項34に記載した製造方法。
  37. 【請求項37】 探針を支持するカンチレバーを振動さ
    せ、その振動周波数の逆数の1/4以上でかつ100sec以
    下の範囲内で、5〜16Vのパルス電圧を非強磁性基体側
    に印加して電界蒸発を起こさせる、請求項24に記載した
    製造方法。
  38. 【請求項38】 探針を支持するカンチレバーを振動さ
    せ、その振動周波数の逆数の1/4以上でかつ100sec以
    下の範囲内で、−5〜−16Vのパルス電圧を非強磁性基
    体側に印加して電界蒸発を起こさせる、請求項24に記載
    した製造方法。
  39. 【請求項39】 探針が振動の中心から非強磁性基体に近
    付きつつある時期に、パルス電圧を印加する、請求項37
    に記載した製造方法。
  40. 【請求項40】 探針が振動の中心から非強磁性基体に近
    付きつつある時期に、パルス電圧を印加する、請求項38
    に記載した製造方法。
  41. 【請求項41】 0.005msec 〜100secの範囲内でパルス電
    圧を印加する、請求項39に記載した製造方法。
  42. 【請求項42】 0.005msec 〜100secの範囲内でパルス電
    圧を印加する、請求項40に記載した製造方法。
  43. 【請求項43】 非強磁性基体上に、50nm以下の寸法サイ
    ズの強磁性極微小構造体を形成する、請求項23に記載し
    た製造方法。
  44. 【請求項44】 複数個の強磁性極微小構造体を配列す
    る、請求項43に記載した製造方法。
  45. 【請求項45】 強磁性極微小構造体を単一の磁区として
    形成する、請求項23に記載した製造方法。
  46. 【請求項46】 単一磁区をなす強磁性極微小構造体によ
    って記録単位を形成し、その磁化の向きを反転可能とな
    す、請求項45に記載した製造方法。
  47. 【請求項47】 非強磁性基体上に、50nm以下の寸法サイ
    ズの強磁性極微小構造体が設けられている記録媒体を使
    用し、前記強磁性極微小構造体を所定方向に磁化させる
    ようにした記録方法。
  48. 【請求項48】 単一磁区をなす強磁性極微小構造体によ
    って記録単位を形成し、その磁化の向きを反転させるこ
    とによって記録を行う、請求項47に記載した記録方法。
  49. 【請求項49】 複数個の強磁性極微小構造体を配列す
    る、請求項47に記載した記録方法。
  50. 【請求項50】 非強磁性基体として強磁性体でない金属
    又は半導体を主成分としたものを使用し、強磁性極微小
    構造体として強磁性体を主成分としたものを使用する、
    請求項47に記載した記録方法。
  51. 【請求項51】 強磁性体でない金属を白金とし、強磁性
    体をニッケルとする、請求項50に記載した記録方法。
  52. 【請求項52】 強磁性体でない金属を白金とし、強磁性
    体をコバルト−クロム合金とする、請求項50に記載した
    記録方法。
  53. 【請求項53】 強磁性体でない半導体を、絶縁性表面層
    を有する珪素とし、強磁性体をコバルト−クロム合金と
    する、請求項50に記載した記録方法。
  54. 【請求項54】 強磁性体でない半導体を、絶縁性表面層
    を有する珪素とし、強磁性体をコバルトとする、請求項
    50に記載した記録方法。
  55. 【請求項55】 非強磁性基体上に、50nm以下の寸法サイ
    ズの強磁性極微小構造体が複数個設けられている極微小
    構造素子を使用し、前記強磁性極微小構造体を所定方向
    に磁化させ、この磁化の向きに対応した磁化の向きを任
    意の経路に沿って伝搬させる、情報伝達方法。
  56. 【請求項56】 単一磁区をなす強磁性極微小構造体の磁
    化の向きを反転させた領域を含む、請求項55に記載した
    情報伝達方法。
  57. 【請求項57】 複数個の強磁性極微小構造体を配列す
    る、請求項55に記載した情報伝達方法。
  58. 【請求項58】 非強磁性基体として強磁性体でない金属
    又は半導体を主成分としたものを使用し、強磁性極微小
    構造体として強磁性体を主成分としたものを使用する、
    請求項55に記載した情報伝達方法。
  59. 【請求項59】 強磁性体でない金属を白金とし、強磁性
    体をニッケルとする、請求項58に記載した情報伝達方
    法。
  60. 【請求項60】 強磁性体でない金属を白金とし、強磁性
    体をコバルト−クロム合金とする、請求項58に記載した
    情報伝達方法。
  61. 【請求項61】 強磁性体でない半導体を、絶縁性表面層
    を有する珪素とし、強磁性体をコバルト−クロム合金と
    する、請求項58に記載した情報伝達方法。
  62. 【請求項62】 強磁性体でない半導体を、絶縁性表面層
    を有する珪素とし、強磁性体をコバルトとする、請求項
    58に記載した情報伝達方法。
  63. 【請求項63】 請求項55又は56に記載した方法によって
    情報伝達を行うように構成した配線。
  64. 【請求項64】 請求項55又は56に記載した方法を用いて
    論理演算を行うように構成した論理素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005023705A1 (ja) * 2003-09-05 2005-03-17 Sony Corporation 微細構造体の製造方法および微細構造体、表示装置、ならびに記録装置の製造方法および記録装置

Cited By (1)

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WO2005023705A1 (ja) * 2003-09-05 2005-03-17 Sony Corporation 微細構造体の製造方法および微細構造体、表示装置、ならびに記録装置の製造方法および記録装置

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