JP2872703B2 - 磁気検出素子とそれを用いた磁気力顕微鏡およびその類似装置 - Google Patents

磁気検出素子とそれを用いた磁気力顕微鏡およびその類似装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は探針と被測定試料、特に磁性探針と磁性試料
とを接近させて、発生する磁気力およびその変位を検出
して、試料の表面形態および磁気的性質についての情報
を得るのに好適な走査型磁気力顕微鏡、走査型トンネル
顕微鏡、原子間力顕微鏡、情報記憶装置、もしくはこれ
らの類似装置に用いられる磁気検出素子に関する。
〔従来の技術〕
従来の例えば、走査型トンネル顕微鏡は、探針と被測
定試料間に電圧を印加し、探針と試料との距離を接近さ
せたときに得られるトンネル電流および電界放射電流を
利用して試料の表面形態情報を調べる装置である。一
方、走査型磁気力顕微鏡は、探針として磁性体を用い、
この磁性探針を被測定試料である磁性試料に接近させた
ときの磁気力などを検出して試料の磁化状態を調べる装
置である。
従来、磁性探針と被測定試料とを接近させて得られる
磁気力を利用した走査型磁気力顕微鏡における試料の磁
気的情報の取得方法については、ジャーナル オブ バ
キューム サイエンス テクノロジー A6(1988年)第
279頁から第282頁、あるいはアプライド フィジックス
レターズ 50巻(1987年)第1455頁から第1457頁にお
いて論じられている。
また、被測定試料とプローブ(探査針)を接近させた
ときに生ずる原子間力を検出するプローブについては、
ヨーロッパフィジックス レター3(1987年)第1281頁
から第1286頁〔Europhys.Lett.3(1987)pp1281-1286〕
において論じられている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述した従来の磁気力顕微鏡は、磁性試料表面の漏洩
磁界と磁性探針の相互作用によって生ずる磁気力を検出
する装置である。
この磁気力顕微鏡において用いられる磁性プローブ
は、カンチレバーの表面全体に磁性材料を被覆して磁性
プローブを構成するか、あるいは磁性線の先端部をL字
形に折り曲げた構成の磁性プローブが用いられていた。
この場合に、磁性プローブの先端部以外のカンチレバー
面に付着した磁性体によって、試料表面の漏洩磁界の分
布が乱され、その結果、磁気力情報の分解能が低下する
という問題があった。また、従来の他の磁性プローブで
は、平面状のカンチレバーの先端部に、その面に対して
垂直方向に磁性針を形成した磁性プローブが用いられて
いたために、被測定試料表面の磁気力情報を高感度で検
出するためには、試料面に対して磁性針を垂直、すなわ
ち平面状のカンチレバーの面を試料面に平行に設置する
必要があった。この構成では、例えば表面の起伏の大き
い試料を測定する場合には、試料とカンチレバーの面が
衝突するという構造上の問題があった。
また、従来の磁気力顕微鏡などの測定手段において
は、磁気力と表面形態とを同時に測定することができな
いため、探針と被測定試料との間隙の変化による誤差が
生じ、正確な磁気力の測定ができないという欠点があっ
た。
さらに、従来の測定手段においては、試料と探針との
相互作用による磁気力を検出する手段と、この磁気力に
よる変位を検出する手段とが、別々に構成されているた
め、検出系が大型化し、またその構成が複雑になるとい
う欠点があり、また被測定試料を加熱、冷却あるいは磁
界の印加などの必要とする手段を組み込むのが極めて困
難であるという問題があった。
本発明の目的は、上記従来技術の欠点もしくは問題点
を解決するものであって、被測定試料と探針間の磁気力
を検出する手段と、これの後方に、上記磁気力の変位を
検出するプローブとを一体化して構成し、被測定試料表
面に対して、金属探針あるいは磁性探針を垂直に対向し
て設置できる構成となし、磁気力情報と表面形態情報と
を同時に測定できる磁気検出素子およびそれを用いた磁
気力顕微鏡およびその類似装置を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記本発明の目的を達成するために、本発明の磁気検
出素子は、被測定試料に探針を接近させて磁気力を検出
する磁気力検出手段と、該磁気力の変位を検出する磁気
力変位検出手段とを連接して設け、さらに上記磁気力変
位検出手段には、別途設定した基準部材より変位する構
成のサーボ機構を設け、上記磁気力検出手段と磁気力変
位検出手段とサーボ機構とを一体に構成して、試料の磁
気力情報と表面形態情報を同時に測定するものである。
本発明の磁気検出素子は、半導体リソグラフィ技術を
用いて作製するものであって、磁気力を検出する手段
は、可撓性を有するカンチレバーと、該カンチレバーの
先端部に、該カンチレバー面とは異なる角度で形成した
先端の尖ったチップを一体に構成し、該チップの先端部
に金属探針もしくは磁性探針を設けて磁気力検出手段と
なし、該磁気力検出手段の後方に設ける上記磁気力の変
位を検出する手段は、可撓性を有するカンチレバーと、
該カンチレバーの先端部に、該カンチレバー面とは異な
る角度で形成した先端の尖ったチップを一体に構成し、
該チップの先端部に導電性の探針を設けて、上記磁気力
検出手段のカンチレバーの撓みによる変位を、例えばト
ンネル電流の変化として検出する磁気力変位検出手段と
なし、さらに上記磁気力変位検出手段の後方に、例えば
トンネル電流を一定に保持するようなサーボ機構を設
け、かつ上記磁気力検出手段と磁気力変位検出手段とサ
ーボ機構とを一体に構成し、さらに一つの駆動系で、自
在にX、Y、Zの3軸の方向に容易に移動できる機構を
有するものであって、磁気力情報と表面形態情報とが同
時に、高精度に測定することが可能な磁気検出素子であ
る。
〔作用〕
本発明の磁気検出素子は、可撓性を有する第1のカン
チレバーの先端部に、このカンチレバーの面に対してθ
(40°≦θ≦70°)の角度で傾斜した一体構造のチップ
を形成し、このチップの先端部分に金属探針あるいは磁
性探針を設けた第1のプローブ系を作製する。磁性探針
に、磁気異方性を付与するために、チップ部に設ける磁
性探針の長さは、磁性探針の幅に比べて長くすることが
望ましい。このプローブによって、被測定試料と探針と
の間の磁気力を検出する。例えば、磁性探針はカンチレ
バー先端の傾斜したチップの部分に設けられているの
で、このプローブ系の磁性探針は磁性試料の表面に対し
て垂直となるように試料と磁性探針を充分に接近して設
置することができる。さらに、上記第1のプローブ系の
カンチレバーの後方に、上記と同様に、一体に構成され
たカンチレバーとチップからなる第2のプローブ系を設
け、これにより第1のプローブ系のカンチレバーの撓み
による変位を、例えばトンネル電流の変化として検出す
る。また、第2のプローブ系のカンチレバーの後方に
は、例えばトンネル電流を一定に保つようなサーボ系を
設ける。すなわち、磁気力を検出するプローブ系と、こ
の磁気力の変位を検出するプローブ系およびサーボ系を
一体に構成する。この構成のプローブ系は、半導体リソ
グラフィ技術によって作製することができ、また同じ構
成のプローブ系を複数個配列して使用することもでき
る。このプローブは、一つの駆動系でX、Y、Zの3軸
方向に容易に移動させることができる。
上記の構成により、磁性探針と磁性試料との間には磁
気力が作用し、これにより第1のプローブ系、すなわち
そのカンチレバーに撓みが生じる。この撓みの量を、カ
ンチレバーの後方に設けられている変位検出手段(例え
ば、トンネル電流、または光学的な方法、あるいは静電
容量の変化)によって検出することにより、試料の磁気
力情報が得られる。また、同時に試料と磁性探針の間の
トンネル電流を検出することにより、試料の表面形態情
報と、さらに正確な磁気力情報を得ることができる。ま
た、カンチレバーの先端部に角度θに傾斜したチップを
設け、このチップの先端部分に磁性探針を設けているの
で、この磁性探針を試料面に垂直になるように構成する
ことによって、磁性探針の磁化容易軸を試料面に垂直に
設定することができ、高感度の磁気力の測定が可能とな
る。また、特に表面の起伏が大きい被測定試料に対し
て、正確にその表面形状をトレースすることができ、プ
ローブの先端部のみを被測定試料と作用させることがで
きるので、極めて正確な磁気力情報と表面形態情報を得
ることができる。
このように、磁気力や原子間力などを検出するプロー
ブ系と、その変位を検出するプローブ系とを一体化する
ことにより、検出系の構造を簡略化することができ、ま
た検出系はX、Y、Zの3軸方向に自在に走査できるの
で、被測定試料を加熱、冷却あるいは磁界の印加が容易
となり、特に試料の冷却を必要とし、試料ステージの走
査が困難である、例えば超電導材料などの測定が可能と
なる。
第1のプローブ系のカンチレバーによる磁気力の検出
手段は、試料と探針の間の磁気力の検出手段の他に、原
子間力、音波(歪波)、熱、光、電流などにより試料と
探針間の変位を検出する手段をもつ走査型トンネル顕微
鏡およびその類似装置に適用できる。さらに、本発明の
計測手段は、情報記憶装置における磁気ヘッドとしても
好適に用いることができる。この場合における検出手段
としては、磁気力の他に、原子間力、音波(歪波)、
熱、光、電流などを利用することができ、したがって記
憶情報は静電的、磁気的、光学的、機械的変位を与える
ものを対象とすることができる。
また、磁性探針の表面に被覆層を形成することによ
り、磁性探針の変質を防止して、磁性探針の磁気的性質
が長時間安定に保持される効果がある。
この、被覆層に用いる望ましい材料は、Pt、Pd、Au、
Ru、Rh、Cr、W、Moなどの金属およびこれらの元素を含
む合金のうちより選択される少なくとも1種の金属また
は合金を用いることが好ましい。また、この被覆層の厚
さは100nm以下であることが望ましい。また、被覆層の
材料としては電気伝導性を有する材料が好ましい。さら
に好ましくは、非磁性の材料がよい。
被測定試料が絶縁体、あるいは電気伝導性の低い材
料、例えばプラスチック、塗布型磁気ディスクなどの場
合には、被測定試料の表面に電気伝導性の被覆層を形成
することにより、磁気力情報と表面形態情報とを同時に
測定することができる。
〔実施例〕
以下に本発明の一実施例を挙げ、図面に基づいて、さ
らに詳細に説明する。
(実施例 1) 第1図は、本実施例において作製した磁気検出素子の
構成を示す斜視図である。まず、半導体リソグラフィ技
術により、先端が鋭く尖った第1のカンチレバー1を作
製する。カンチレバー1の材料としては、剛性が高く比
重の小さいものが望ましい。本実施例では、Si、SiO2
Si3N4、ダイヤモンド状カーボンを用いてカンチレバー
1を作製したがいずれも同様の性能が得られた。第1の
カンチレバー1の先端部には、このカンチレバー1の面
に対して角度θだけ傾斜した第1のチップ2を形成す
る。このチップ2の傾斜角θは、例えばリソグラフィ技
術における異方性エッチングにより形成させることがで
き、エッチング速度やエッチング液を適切に選択すこと
により任意に調整することができる。また、この第1の
チップ2は、第1のカンチレバー1を固定する支持体3
と反対側の方向に傾斜させて形成し、この傾斜角θは、
カンチレバー1の面を基準として40°≦θ≦70°の範囲
にするのが好ましい。次に、第1のカンチレバー1の先
端に形成した第1のチップ2の先端部に磁性探針4を設
け、第1のプローブ系5を構成した。磁性探針4は、リ
ソグラフィ技術によりレジストパターンを作製した後、
その部分に真空蒸着法やスパッタリング法を用いて形成
させた。また、電気メッキ法を用いて、磁性探針4を形
成させる部分に選択的に導電性材料や磁性材料を付着さ
せても良い。磁性探針4は、第1のチップ2の先端部に
長手方向に異方性をもたせるために、チップ2の傾斜部
の長さは磁性探針4の幅に比べて1以上の割合で大きく
することが望ましい。磁性探針4の構成材料としては、
80at%Ni-Feを始めとするパーマロイ、Ni、Fe、Coを含
む非晶質合金、Fe-C系の材料、あるいはCo基合金材料を
好適に用いることができる。以上の手法で形成した金属
探針4の先端部を、化学研磨することにより先端部の曲
率が1000Å以下のさらに鋭い先端部をもった磁性探針4
を形成させることができる。
第1のカンチレバー1の後方に、上記と同様の半導体
リソグラフィ技術により第2のカンチレバー6と、この
第2のカンチレバー6の面に対して角度θ傾斜した第2
のチップ7、およびこのチップ7の先端部に金属探針8
を形成して構成した第2のプローブ系9を設ける。金属
探針8は、W、Mo、Cr、Au、Pt、Pd、RuまたはReなどの
金属および上記の元素を含む合金からなる導電性材料に
よって構成することができる。金属探針8は、リソグラ
フィ技術を用いてレジストパターンを形成し、その上に
真空蒸着法やスパッタリング法を用いて成膜することに
より形成できる。または、電気メッキ法によって、金属
探針8を形成する部分に選択的に導電性材料を付着させ
ても良い。あるいは、磁性探針4、金属探針8の表面、
およびカンチレバー1、6の表面に、上記導電性材料を
メッキ法や蒸着法、あるいはスパッタリング法などによ
り被覆層を形成させることが望ましい。
次に、第2のカンチレバー6の上面に、電極10を形成
する。また、電極10と対向する位置に電極11を有するサ
ーボ系12を設ける。そして、この両電極10、11間に電位
を生じさせ、静電力を作用させることにより、サーボ系
12を基準として第2のカンチレバーに変位を与えること
ができ、第1、第2カンチレバー間に流れるトンネル電
流を一定に制御することができる。すなわち、先端部に
磁性探針4を有するカンチレバー1、先端部に金属探針
8を有するカンチレバー6、および対向する位置に電極
11を有するサーボ系12からなる一組のプローブ系を構成
する。このプローブ系は、駆動機構13によりX、Y、Z
の3軸方向に自在に移動させることができる。
本実施例において作製したプローブは、例えば次のよ
うに作用する。すなわち、磁性探針4の磁化容易軸は、
磁性試料14の表面に垂直になるように構成される。磁性
試料14は、ステージ15によって移動させることができ
る。磁性試料14の表面に磁性探針4が接近すると、試料
と探針の間に磁気力による引張り、あるいは反発力が作
用し、第1のカンチレバー1に撓みが生じる。この第1
のカンチレバー1の撓みの量は、第1のプローブ系5と
第2のプローブ系9の間のトンネル電流を測定すること
によって計測することができる。また、サーボ系12と第
2のカンチレバー6の上部に設けた電極10、11に電位を
作用させることにより静電力を与え、第2のカンチレバ
ー6に撓みを生じさせ、これにより第1のプローブ系5
と第2のプローブ系9の間のトンネル電流を一定に保つ
ことができる。
本実施例では、第1のカンチレバー1のチップ2の先
端部に磁性探針4を設けた場合について説明したが、磁
性探針4に変えて金属探針8を設けても良い。この場
合、試料と金属探針8の間には原子間力が作用して、引
力あるいは反発力が作用する。この力により、上記と同
様の作用によって第2のプローブ系によりトンネル電流
として検出することができる。
また、本実施例のプローブ系を用いることにより、被
観察(測定)試料を加熱、冷却あるいは試料に磁場を印
加することなどが容易にでき、例えば超電導材料を液体
窒素温度まで冷却しながら磁気力情報や表面形態情報の
測定を行うことが可能となる。
上記のごとく構成した磁気力およびその変位の測定系
により、磁性試料の表面における漏洩磁界によるカンチ
レバーの変位を検出し、それにより磁性試料の磁区構造
などの磁気力情報が得られる。また、同時に磁性探針と
磁性試料の間のトンネル電流を検出することにより、磁
性試料表面の形態情報を得ることができる。
磁性探針の表面に被覆層を形成させることにより、空
気中や真空中、あるいは各種ガス雰囲気中で長時間動作
させても、再現性の良い測定結果が得られる。
磁性探針の材料としては、パーマロイ合金の他に、N
i、Fe、Coおよびこれを含む合金、Co-Nb-Zr、Co-Mo-Z
r、Co-Ta-Zrなどの非晶質合金、あるいはFe/C、Fe/パー
マロイなどの多層膜、あるいはCo基合金材料を用いても
本実施例の場合と同様の効果が得られることを確認して
いる。
(実施例 2) 実施例1において、第1図に示した第1のカンチレバ
ー1のチップ2の先端部に形成した磁性探針4を、磁性
材料と非磁性の導電性材料で構成した一対のプローブ系
を一体に構成することもできる。第2図にその一例を示
す。図において、試料14に近接する第1のカンチレバー
1の先端部に磁性探針4を設けたチップ2と、金属探針
16を設けたチップ2を一体構造のプローブとして構成し
た場合を示す。このプローブ系を用いることにより、磁
性探針4を設けたプローブ系では、試料14と磁性探針4
間の磁気力により試料の磁気力情報を得ることができ、
また金属探針16を設けたプローブ系では、試料14と金属
探針16間の原子間力により表面形態情報を得ることがで
きる。このように、2種類の探針を設けたプローブ系は
1つの駆動機構13で自在に移動させることができ、検出
装置の構造が簡略化できる利点がある。
(実施例 3) 第3図(a)、(b)により金属探針および磁性探針
の作製方法の一例について説明する。第3図(a)に示
すごとく、半導体リソグラフィプロセスによりカンチレ
バーと磁性探針を作製する場合を例示する。まず、面方
位(100)のSi基板17の表面に、ホトレジストを塗布
し、露光装置によって露光、現像を行い、レジストマス
ク18を形成する〔第3図(a)の(1)〕。このレジス
トマスク18を用いて、KOH等のアルカリ系水溶液によ
り、Si基板17を異方性エッチングした後、ホトレジスト
を除去して傾斜部19を形成する〔第3図(a)の
(2)〕。この傾斜部19の角度θは、Si基板17面、すな
わちカンチレバー面20に対して40°≦θ≦70°の範囲が
適当である。次に、Si基板17を酸化させ厚さ約1.5μm
の酸化膜21を形成する〔第3図(a)の(3)〕。つい
で、この酸化膜21の上にホトレジストを塗布し、露光装
置によって露光、現像を行い、カンチレバーの基本構造
をしたレジストパターン22を形成する〔第3図(a)の
(4)〕。このレジストパターン22をマスクとして、フ
ッ酸、フッ化アンモニウム溶液の混合液を用いて余分の
酸化膜21をエッチングしてカンチレバーパターン23を形
成し、レジストを除去する〔第3図(a)の(5)〕。
このカンチレバーパターン23の先端部は、V字型に尖ら
せて、傾斜部19の領域にチップ24を形成する。これによ
り、カンチレバーに対して角度θだけ傾斜した一体構造
のチップの基本構造が構成される。このθの値は、40°
≦θ≦70°とするのが好ましい。次に、このカンチレバ
ーパターン23の上にホトレジストを塗布し、露光装置に
よって露光、現像を行い、上記チップ24の領域の一部に
開口部25を形成する〔第3図(a)の(6)〕。ホトレ
ジストをマスクとして真空蒸着法、もしくはスパッタリ
ング法により、開口部25に磁性材料26を付着させ、ホト
レジストを除去する〔第3図(a)の(7)〕。次に、
カンチレバーパターン部と磁性材料部をワックスなどで
保護して、Si基板17をKOH等のアルカリ系水溶液により
エッチングして、磁性探針27とカンチレバー28と支持台
29で構成された磁性プローブ30を作製する〔第3図
(a)の(8)、第3図(b)〕。最後に、磁性探針27
とカンチレバー28の表面に被覆層を形成させる。この被
覆層の材料としては、W、Mo、Cr、Pt、Pd、Au、Cr、R
u、Rhおよびこれらの元素を含む材料が望ましく、被覆
層の厚さは100nm以下が好ましい。また、磁性プローブ3
0の上面、すなわち支持台29を形成したカンチレバー28
面にも導電性を付与すれば、この面で磁性プローブ30の
変位を、走査型トンネル顕微鏡法(STM)などにより検
出することができる。
第3図(a)の(8)において、上部のカンチレバー
28の面に電極31を形成し、さらにこれに対向する位置に
電極31aを設けたサーボ系32を付着させる〔第3図
(a)の(9)〕。これにより、実施例1および2に示
したプローブが得られる。
磁性材料26を非磁性の金属材料に変えると、金属探針
とカンチレバー、および支持台で構成された金属プロー
ブが作製でき、これにより走査型トンネル顕微鏡法(ST
M)、走査型原子間力顕微鏡用のプローブとして用いら
れる。
本実施例では、面方位(100)のSi基板17を用いた場
合について説明したが、Si基板としては、面方位(10
0)以外のSi基板を用いても同様の効果が得られる。ま
た、Si基板17面が面方位(100)に対して0〜20°の範
囲で傾斜した基板を用いても良い。
(実施例 4) 実施例1、実施例2、実施例3により作製した磁性プ
ローブを用いた磁気力顕微鏡の原理を応用して、磁気記
憶装置の磁気ヘッドを構成した場合の一例を第4図に示
す。
磁気ヘッド33は、2組の磁性プローブ系34、35とトラ
ッキング用センサヘッド36で構成される。また、磁性プ
ローブ系34、35と、トラッキング用センサヘッド36は一
体に構成されている。磁性プローブ系34、35は、磁性探
針37、チップ38、第1のカンチレバー39、および支持台
40と、第1のカンチレバー39の後方に設けた第2のカン
チレバー41とチップ42で構成されるトンネル電流検出系
が設けられている。
磁性プローブ系34の先端部のチップ38の部分に形成し
た磁性探針37が磁性試料43の表面に垂直に接するように
設置する。すなわち、カンチレバー39の先端部のチップ
38が試料面に垂直になるように設置する。
本実施例において例示した磁気ヘッド33は次のように
作用する。まず、磁性試料43上に形成されているトラッ
キング溝45をトラッキング用センサヘッド36により探索
し、検出位置を決定する。トラッキング用センサヘッド
36は、例えば半導体レーザと光センサを組み合わせて構
成する。トラッキング用センサヘッド36と複数の磁性プ
ローブ系34、35は一体に構成されているので、一個のト
ラッキング溝45により複数列に記憶された磁性試料43の
磁気記録部44の情報を同時に、または交互に検出するこ
とができる。次に、磁性プローブ系34、35の先端部に設
けた磁性探索37が磁性試料43に形成されている磁気記録
部44と作用して、引張り力あるいは反発力を感じて、第
1のカンチレバー37に撓みによる変位が生ずる。この変
位により、第1のカンチレバー37と第2のカンチレバー
41の間に流れるトンネル電流に変化が生じる。このトン
ネル電流の変化にモニターすることにより、磁気記録部
44の情報を検出することができる。
本実施例において例示した磁気ヘッドは、対象とする
磁性試料を高速度に移動させながら使用するので、気流
により磁性プローブ系が振動するのを防止するために、
真空中で動作させることが望ましい。
特に、従来の磁気記憶装置においては、ビット間隔が
100nm以下の高密度記録は可能であるが、再生システム
において高いS/N比が得られないという問題があった。
本実施例で例示した磁気ヘッド方式によると、従来の磁
気ヘッドシステムに比べて1桁以上の高感度検出が可能
となった。また、磁気プローブ系は並列に2個以上設け
ることも可能であり、トラッキング用ヘッドを併用する
ことによって、高いトラック密度の再生系を実現するこ
とができる。
本実施例では、記憶情報として磁気的な情報について
説明したが、記憶情報を磁気的情報の他に静電的、光学
的あるいは機械的情報を対象とすることも可能である。
〔発明の効果〕
以上詳細に説明したごとく、本発明の磁気検出素子
は、磁気力を検出する手段と、磁気力変位を検出する手
段、および上記変位検出手段を別途基準部材より変位す
るサーボ系を一体に構成したプローブであって、具体的
にはカンチレバーの先端部にカンチレバー面に対して傾
斜した面を有する先端部が尖ったチップを形成し、この
チップの先端部分に磁性探針もしくは金属探針を設けて
プローブを形成し、このプローブの後方に磁気力あるい
は原子間力によるカンチレバーの変位を検出するプロー
ブを一体に構成し、かつ上記の磁性探針あるいは金属探
針を被測定試料面に垂直に接近するように設置できる構
造であるため、これを磁気力顕微鏡、原子間力顕微鏡お
よびその類似装置に利用することにより、被測定試料と
探針間の距離を精度良く制御することができ、高感度
で、かつ高分解能の試料表面の磁気力情報と表面形態情
報を得ることができる。さらに、上記本発明の一体構造
に構成されたプローブを用いることにより、試料を加
熱、冷却、あるいは磁界を印加することが容易にできる
ので測定性能および範囲を一段と向上させることが可能
である。また、本発明の磁性プローブを用いて磁気ヘッ
ドを構成することにより、高感度でかつ高トラッキング
密度の磁気ヘッドが得られるので、高感度で高密度記録
再生の磁気記憶装置の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例1において作製した磁気検出素
子の構成の一例を示す斜視図、第2図は実施例に2おい
て例示した複数のプローブを一体化した磁気検出素子の
構成の一例を示す斜視図、第3図(a)、(b)は実施
例1および2において例示した本発明の磁気検出素子の
作製方法の一例を示す工程図、第4図は本発明の磁気検
出素子を用いて磁気ヘッドを構成した場合の磁気記憶装
置の構成の一例を示す斜視図である。 1、6……カンチレバー、2、7……チップ 3……支持体、4……磁性探針 5……第1のプローブ系、8……金属探針 9……第2のプローブ系、10、11……電極 12……サーボ系、13……駆動機構 14……被測定試料、15……ステージ 16……金属探針、17……Si基板 18……レジストマスク、19……傾斜部 20……カンチレバー面、21……酸化膜 22……レジストパターン 23……カンチレバーパターン 24……チップ、25……開口部 26……磁性材料、27……磁性探針 28……カンチレバー、29……支持台 30……磁性プローブ、31、31a……電極 32……サーボ系、33……磁気ヘッド 34、35……磁性プローブ系 36……トラッキング用センサヘッド 37……磁性探針、38、42……チップ 39、41……カンチレバー 40……支持台、43……磁性試料 44……磁気記録部、45……トラッキング溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 伸司 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 佐藤 一雄 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭64−43777(JP,A) 特開 昭62−283542(JP,A) 特開 平3−96854(JP,A) 特開 平3−96856(JP,A) 特開 平3−231110(JP,A) 特開 平3−96857(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 37/00 JICSTファイル(JOIS) WPI/L

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気力顕微鏡、原子間力顕微鏡または情報
    記憶装置もしくはこれらの類似装置に用いられる、磁気
    力情報および表面形態情報を測定する磁気検出素子であ
    って、該磁気検出素子は、半導体リソグラフィプロセス
    によって作製され、かつ被測定試料に探針を接近させて
    磁気力を検出する磁気力検出手段は、可撓性を有するカ
    ンチレバーと、該カンチレバーの先端部に、該カンチレ
    バー面とは異なる角度で形成した先端の尖ったチップを
    一体に構成し、該チップの先端部に金属探針もしくは磁
    性探針を設けて磁気力検出手段となし、該磁気力検出手
    段の後方に設ける磁気力の変位を検出する手段は、可撓
    性を有するカンチレバーと、該カンチレバーの先端部
    に、該カンチレバー面とは異なる角度で形成した先端の
    尖ったチップを一体に構成し、該チップの先端部には導
    電性の探針を設けて、上記磁気力検出手段のカンチレバ
    ーの撓みによる変位を検出する磁気力変位検出手段とな
    し、さらに上記磁気力変位検出手段の後方に、別途設定
    した基準部材より変位する構成のサーボ機構を設け、か
    つ上記磁気力検出手段と磁気力変位検出手段とサーボ機
    構とを一体に構成したことを特徴とする磁気検出素子。
  2. 【請求項2】請求の範囲第1項の磁気検出素子におい
    て、磁気力の変位を検出する磁気力変位検出手段におい
    て、磁気力検出手段のカンチレバーの撓みによる変位
    を、トンネル電流の変化、または光学的もしくは静電容
    量の変化として検出する手段を設けたことを特徴とする
    磁気検出素子。
  3. 【請求項3】請求の範囲第1項または第2項記載の磁気
    検出素子において、磁気力検出手段および磁気力変位検
    出手段を構成するカンチレバーは、ケイ素、酸化ケイ
    素、窒化ケイ素のうちから選ばれる少なくとも1種の材
    料からなることを特徴とする磁気検出素子。
  4. 【請求項4】請求の範囲第1項、第2項または第3項記
    載の磁気検出素子において、カンチレバーと一体に構成
    するチップの傾斜角θは、上記カンチレバー面に対し、
    40°≦θ≦70°の範囲にあることを特徴とする磁気検出
    素子。
  5. 【請求項5】請求の範囲第1項、第2項、第3項または
    第4項記載の磁気検出素子において、磁気力を検出する
    カンチレバーのチップの先端部に設ける探針が、磁性材
    料からなることを特徴とする磁気検出素子。
  6. 【請求項6】請求の範囲第1項、第2項、第3項、第4
    項または第5項記載の磁気検出素子において、磁気力を
    検出するカンチレバーのチップの先端部に設ける磁性探
    針は、被測定試料面に対して垂直、もしくは40〜90°の
    範囲で、上記被測定試料面に対向して設置できる構成と
    したことを特徴とする磁気検出素子。
  7. 【請求項7】請求の範囲第1項、第2項、第3項、第4
    項、第5項または第6項記載の磁気検出素子において、
    複数個の上記磁気検出素子を、並列に一体に構成したこ
    とを特徴とする磁気検出素子。
  8. 【請求項8】請求の範囲第1項ないし第7項のいずれか
    1項記載の磁気検出素子において、磁気力を検出する位
    置をモニタする手段を設けたことを特徴とする磁気検出
    素子。
  9. 【請求項9】請求の範囲第1項ないし第8項のいずれか
    1項記載の磁気検出素子において、探針、チップ、カン
    チレバーのうちの少なくとも1箇所以上の表面に、Pt、
    Pd、Au、Ru、Rh、Cr、W、Moの元素およびこれらの元素
    を含む合金のうちより選択される少なくとも1種の金属
    もしくは合金からなる導電性の薄膜を設けたことを特徴
    とする磁気検出素子。
  10. 【請求項10】請求の範囲第1項ないし第9項のいずれ
    か1項記載の磁気検出素子を用いてヘッドを構成し、静
    電的、磁気的、光学的または機械的手段による情報の高
    感度で高密度記録再生を行う手段を設けたことを特徴と
    する情報の記憶装置。
  11. 【請求項11】請求の範囲第10項記載の情報の記憶装置
    において、少なくとも2個の磁気検出素子を並列に一体
    に設置した磁気検出ヘッドと、トラッキング用ヘッドと
    を一体に構成した検出ヘッドを備えたことを特徴とする
    情報の記憶装置。
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