JPH1194857A - 走査型トンネル顕微鏡を用いたサンプル表面の電子スピン状態の制御方法及びそのビット読み出し方法 - Google Patents

走査型トンネル顕微鏡を用いたサンプル表面の電子スピン状態の制御方法及びそのビット読み出し方法

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JPH1194857A
JPH1194857A JP25220097A JP25220097A JPH1194857A JP H1194857 A JPH1194857 A JP H1194857A JP 25220097 A JP25220097 A JP 25220097A JP 25220097 A JP25220097 A JP 25220097A JP H1194857 A JPH1194857 A JP H1194857A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 物質表面のスピンを、メモリの最小ビットと
して使用することに着目し、走査型トンネル顕微鏡を用
いたサンプル表面の電子スピン状態の制御方法及びその
ビット読み出し方法を提供する。 【解決手段】 物質表面に付着したサンプル分子の多重
度を、走査型トンネル顕微鏡の探針とサンプル表面間で
電子や原子のやり取りを行うことにより、制御する。分
子の多重度は一旦決定すると、励起しても変化せず、安
定したスピン状態を保持することができる。ここで異な
る多重度を持つ分子はその電子状態が異なり、したがっ
て、他の分子(物質)を近づけた時、両者の形成する分
子間ポテンシャルは多重度により変化する。この性質を
利用して、原子間力顕微鏡の探針2でサンプル表面1を
観測する時、多重度の違いにより探針2にかかる力の違
いが生ずる。この走査型トンネル顕微鏡による表面状態
の変化と原子間力顕微鏡による観測を使うことにより、
サンプル表面1に多重度の制御を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走査型トンネル顕
微鏡を用いたサンプル表面の電子スピン状態の制御方法
及びそのビット読み出し方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スピン間の相互作用は、スピンの
多重度として、STM探針とサンプルが接近したときに
形成される分子軌道におけるスピン状態を厳密に決定す
ることが量子力学的原理として知られている。すなわ
ち、スピン状態を含めてサンプル表面の電子状態を決定
するには、サンプル表面のクラスター模型を作製し、現
在広く使用されている分子軌道法を導入する方法があ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】また、原子構造まで含
めた固体の電子論は、従来のバンド理論や分子軌道法に
代表されるが、その計算規模は電子数の3から4乗に比
例して増大するために、データ処理量は膨大にならざる
を得ない。実際、ナノスケールのデバイスには現状の計
算限界以上の原子数が含まれることが予想されるため、
その性質を予測・制御できるだけの信頼性を有する計算
は極めて難しい。
【0004】本発明は、上記状況に鑑みて、一歩進め
て、物質表面のスピンを、メモリの最小ビットとして使
用することに着目し、走査型トンネル顕微鏡を用いたサ
ンプル表面の電子スピン状態の制御方法及びそのビット
読み出し方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、 〔1〕走査型トンネル顕微鏡を用いたサンプル表面の電
子スピン状態の制御方法において、走査型トンネル顕微
鏡探針をサンプル表面構造単位に近づけ、このサンプル
表面を正にバイアスして前記探針の素材のイオン化エネ
ルギー以上の電界を与えることにより、電子を前記探針
から前記サンプル表面へ放出し、サンプル表面構造単位
の電子数を制御し、前記サンプル表面を負にバイアスし
てこのサンプル表面構造単位のイオン化エネルギー以上
の電界を与えることにより、電子を前記サンプル表面か
ら前記探針に放出し、前記サンプル表面構造単位の電子
数を制御し、電子数の違いによる前記サンプル表面構造
単位のビット化を行うようにしたものである。
【0006】〔2〕走査型トンネル顕微鏡を用いたサン
プル表面の電子スピン状態の制御方法において、走査型
トンネル顕微鏡探針の尖端にスピン状態が良く知られた
分子を吸着させ、サンプル表面構造単位に近づけ、正イ
オン化したサンプル表面構造単位に電子を前記探針から
トンネルさせ、前記探針上の吸着分子との相互作用によ
り、前記電子を前記サンプル表面構造単位上の何れかの
軌道に入れ、スピン多重度の違いによる前記サンプル表
面構造単位のビット化を行うようにしたものである。
【0007】〔3〕走査型トンネル顕微鏡を用いたサン
プル表面の電子スピン状態のビット読み出し方法におい
て、走査型トンネル顕微鏡探針をサンプル表面構造単位
に近づけ、このサンプル表面を正にバイアスして前記探
針の素材のイオン化エネルギー以上の電界を与えること
により、電子を前記探針からサンプル表面へ放出し、前
記サンプル表面構造単位の電子数を制御し、前記サンプ
ル表面を負にバイアスしてこのサンプル表面構造単位の
イオン化エネルギー以上の電界を与えることにより、電
子を前記サンプル表面から前記探針に放出し、前記サン
プル表面構造単位の電子数を制御し、電子数の違いによ
るサンプル表面構造単位のビット化を行い、このビット
化されたサンプル表面を、原子間力顕微鏡で走査し、前
記サンプル表面構造単位が中性の時とは異なる引力また
は斥力により、ビットの読み出しを行うようにしたもの
である。
【0008】〔4〕走査型トンネル顕微鏡を用いたサン
プル表面の電子スピン状態のビット読み出し方法におい
て、走査型トンネル顕微鏡探針の尖端にスピン状態が良
く知られた分子を吸着させ、サンプル表面構造単位に近
づけ、正イオン化したサンプル表面構造単位に電子を前
記探針からトンネルさせ、前記探針上の吸着分子との相
互作用により、前記電子を前記サンプル表面構造単位上
の何れかの軌道に入れ、スピン多重度の違いによるサン
プル表面構造単位のビット化を行い、このビット化され
たサンプル表面を走査型トンネル顕微鏡探針で走査し、
スピン状態の相違により、ビットの読み出しを行うよう
にしたものである。
【0009】本発明によれば、上記したように、サンプ
ル表面に付着したサンプル分子の多重度を、走査型トン
ネル顕微鏡の探針とサンプル間で電子や原子のやり取り
を行うことにより制御する。分子の多重度は一旦決定す
ると、励起しても変化せず、安定したスピン状態を保持
する。ここで異なる多重度を持つ分子はその電子状態が
異なり、したがって、他の分子(物質)を近づけた時、
両者の形成する分子間ポテンシャルは多重度により変化
する。
【0010】この性質を利用して、原子間力顕微鏡の探
針でサンプル物質を観測する時、多重度の違いにより探
針にかかる力の違いが生ずる。この走査型トンネル顕微
鏡によるサンプル表面状態の変化と原子間力顕微鏡によ
る観測を使うことにより、サンプル表面に多重度の制御
を行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明に係るS
TMの概略図と動作原理を説明する図である。この図に
おいて、1はサンプル(物質)表面、2はSTM探針、
5はXピエゾ(X軸駆動圧電素子)、6はYピエゾ(Y
軸駆動圧電素子)、7はZピエゾ(Z軸駆動圧電素子)
である。
【0012】なお、STMとは、物質表面に鋭い探針を
近づけ、探針−物質表面間に電界を与え、その時流れる
電流を一定に保つように、物質表面を走査することによ
り、物質表面の構造を観測する装置である。物質表面1
の走査は、STM探針2をx,y,zの三方向から支え
る支持棒に分子(ピエゾエレクトリックな特性を持った
物質)を用いて、電界を与えることにより、それぞれの
方向に微小に移動することができる。この時、STM探
針2、物質表面1が共に原子によって構成されているこ
とを考慮すれば、STM探針2−物質表面1間では、原
子スケールにおける電子同士の相互作用が起こることに
なる。換言すれば、STM探針2で物質表面1の構造を
観測することは、点字をなぞるように部分部分の高低を
STM探針2で検出し、全体像をコンピュータにより、
再現することになる。
【0013】まず、分子軌道と電子のスピンの関係につ
いて説明する。ここでは、例えば、サンプル(物質)に
はシリコン面〔Si(111)〕と、その表面に吸着し
た水素原子を想定しており、また、STM探針2にはア
ルミニウムを想定している。アルミニウムは原子ではな
いが、探針2が原子スケールで尖鋭化しており、探針尖
端では分子的に振る舞うため、これを使用した。なお、
これらの組合せは、他の元素の組合せにおいても広く応
用可能である。
【0014】スピン状態を含めて物質表面の電子状態を
決定するには、物質表面のクラスター模型を作製し、現
在広く使用されている分子軌道法を導入する手法があ
る。例えば、シリコン表面と、表面近傍のSTM探針
(Al)及び表面吸着原子(H)を一つのクラスター模
型として作製すると、系のスピン多重度によって物質表
面とSTM探針の間において、表面吸着原子のポテンシ
ャル・エネルギー面が著しく異なることが、図4及び図
5に示すように明らかになった。
【0015】このことから物質表面に異なるスピン多重
度を持つ領域を作製し、従来、電界パルスとコンタクト
だけに頼っていたアトム・マニュピュレーションの手法
に、スピン制御が加わり、磁界や光を利用することがで
きるようになる。次に、物質表面の電子スピン状態の制
御について説明する。物質表面に、STM探針を用いて
原子スケールの構造を作製することができる。物質表面
が絶縁体であってもAFM(原子間力顕微鏡)探針を用
いて同様の操作をすることができることが知られてい
る。同じ構造を物質表面に作製して、安定状態を現出さ
せても、系全体としての電子状態は物質を構成する電子
数と電子のスピン多重度によって大きく異なることが知
られている。
【0016】したがって、このような表面構造の電子数
とスピン多重度を制御することができれば、この表面構
造を単位として配列させることにより、物質表面の電子
状態を安定にビット化することが可能である。 (1)まず、本発明の電子数の違いによる表面構造単位
のビット化について説明する。
【0017】物質表面構造単位の電子数を制御すること
は、STM探針を物質表面構造単位に近づけ、物質表面
を正にバイアスしてSTM探針の素材のイオン化エネル
ギー以上の電界を与えることにより、電子をSTM探針
から物質表面へ放出することが可能と考えられる。ここ
で、アルミニウムを探針の素材とした場合に、イオン化
エネルギーは、6.0eVである。
【0018】同様に物質表面を負にバイアスして物質表
面構造単位のイオン化エネルギー以上の電界を与えるこ
とにより、電子を物質表面からSTM探針に放出するこ
とが可能となる。このようにして、図2(a)に示すよ
うに、物質表面構造単位を負に帯電させたり、正に帯電
させたりすることが可能となる。ただし、STM探針2
を近づけ過ぎると、図2(b)に示すように、STM探
針2−物質表面1間にトンネル電流が流れ、局在した電
子状態を変えることができない。また、図2(c)に示
すように、STM探針2が遠すぎると、近傍の他の構造
単位と探針の間に電子のやり取りが起きてしまう。
【0019】すなわち、図2(b)に示すように、ST
M探針2が物質表面1に近づき過ぎると、STM探針2
尖端から大きな電子が流れる。つまり、電子が自由に流
れてしまうため、物質表面1とSTM探針2両者の表面
の軌道への電子の出入りが連続して起こり、物質表面1
の電子状態はSTM探針2−物質表面1間の僅かの変化
に対して変動してしまう。
【0020】また、図2(c)に示すように、STM探
針2が物質表面1と離れ過ぎると、電子は物質表面1の
広い範囲と相互作用して、吸着水素原子のみと電子のや
りとりをするとは限らない。さらに、物質表面と物質表
面構造単位の間には探針−物質表面間のトンネル電流の
閾値以上の障壁があることが必要である。
【0021】(2)次に、スピン多重度の違いによる物
質表面構造単位のビット化について説明する。図3は本
発明の実施例を示す正イオン化した物質表面構造単位に
電子1個を与える場合の説明図である。物質表面構造単
位(物質表面)には、図3の上段の3つの電子状態があ
り得る。ここから電子を1個取り去り、表面を正に帯電
させる。
【0022】そして、図3の中段の3つの電子状態を持
つ正イオン化した表面構造単位にSTM探針からup
(アップ)スピンの状態にある電子を与えると、図3の
下段の場合が生じる。この時、物質表面は電気的に中性
に戻る。より、具体的には、 (a)左側上段の電子状態にある場合、upのスピンを
持った電子を取り去ると、その中段のような電子状態と
なり、この状態からupのスピンを持った電子を与える
と、その下段に示すような電子状態(左側上段と同様な
電子状態)になる。ここでは、HOMO(Highes
t Occupied Molecular Orbi
tal:最高占有分子軌道)の電子スピンはupであ
り、系全体のスピン状態は、low spin sta
te(低スピン状態)となる。
【0023】(b)中央上段の電子状態にある場合、d
own(ダウン)のスピンを持った電子を取り去ると、
前記した左側中段のような電子状態となる。 (c)右側上段の電子状態にある場合、downのスピ
ンを持った電子を取り去ると、中央中段のような電子状
態となり、この状態からupのスピンを持った電子を与
えると、その下段のような電子状態(右側上段と同様な
電子状態)になる。ここでは、HOMOの軌道は閉殻
し、系全体のスピン状態は、low spin sta
teとなる。
【0024】また、右側上段の電子状態にある場合、u
pのスピンを持った電子を取り去ると、その中段のよう
な電子状態となり、更に、upのスピンを持った電子を
与えると、その下段のような電子状態となる。ここで
は、HOMOの原子スピンは、downであり、系全体
のスピン状態はhigh spin state(高ス
ピン状態)となる。
【0025】以下、上記を整理して説明すると、STM
探針尖端にスピン状態が良く知られた分子を吸着させ、
上記(a)のプロセスで正イオン化した物質表面構造単
位に、電子をSTM探針からトンネルさせる。このとき
電子が物質表面構造単位上のどの軌道に入るかはSTM
探針上の吸着分子との相互作用による。
【0026】その相互作用のプロセスを場合分けする
と、下記の表1に示すようになる。ただし、STM探針
上に吸着した分子はHOMOにup状態のスピンを持っ
た電子を持ち易いものを選んだとする。最初は電気的に
中性であった物質表面構造単位はスピン状態としてlo
w spin stateかhigh spin st
ateのいずれかの状態にあるが、今、正イオン化した
ことにより、スピン状態は変化している。このときのH
OMOのスピン状態は、電子が一個であれば、upかd
ownのいずれかをとり、電子が二個であれば、HOM
Oは閉殻となる。このHOMOに、今、STM探針から
電子を与える。
【0027】
【表1】
【0028】最初のスピン状態がlow spin s
tateである場合は、STM探針にup状態を取り易
い分子を吸着させ、上記のプロセスを実行することによ
り、lowからhighにスピン状態を変えることがで
きる。同様に最初のスピン状態がhigh spin
stateである場合は、STM探針にdown状態を
取り易い分子を吸着させることにより、highからl
owにスピン状態を変えることができる。この操作によ
り、物質表面構造単位は電気的に中性に戻る。
【0029】(3)更に、本発明のビット化された物質
表面構造単位からの情報の読み出しについて説明する。
配列された物質表面構造単位をAFMで走査するとき、
上記(a)のように電子数の差によって電子状態を変え
られた物質表面の場合、物質表面構造単位が中性の時と
異なる引力または斥力が現れることが予想される。帯電
した物質表面構造単位には、より強い引力が働くことが
考えられている。
【0030】上記(b)のように、多重度が異なる物質
表面構造を配列させてSTM探針で走査するとき、hi
gh spin stateとlow spin st
ateの違いとして、区別される。図6は本発明の実施
例を示す多重度が異なる物質表面構造を配列させてST
M探針で走査し、ビットを読み出す方法の説明図(その
1)、図7は本発明の実施例を示す多重度が異なるサン
プル表面構造を配列させてSTM探針で走査し、ビット
を読み出す方法の説明図(その2)である。
【0031】これらの図において、1はサンプル(物
質)表面、2はSTM探針、3はupスピンの状態を取
り易い分子である。サンプル表面1の部分Aはupスピ
ンをHOMOに持っているため、STM探針2の尖端に
付着する分子のupスピンと反発する。このためSTM
で観測するときにはSTM探針2−サンプル表面1間の
距離が大きくなり、したがって、トポグラフ上では高く
見える。
【0032】一方、部分BのdownスピンはSTM探
針2上のupスピンを持つ電子と同じ軌道に入ることが
可能なので、STM探針2−サンプル表面1間の距離は
小さくなる。部分CはHOMOが閉殻になっているた
め、STM探針2のスピン状態にトポグラフは依存し難
い。強いて言えば、通常のSTM探針2を用いたSTM
トポグラフに比べて明るい部分はupスピンを持ち、暗
い部分はdownスピンを持ち、通常と変わらない部分
はサンプル表面1の電子状態が閉殻になっていることを
表す。
【0033】図6と図7のトポグラフを比較すると、u
pスピンを持つ部分Aではupスピンを持つSTM探針
2は同種スピンの反発から通常のトポグラフより高い位
置を示すことが予想される。一方、部分Bにおいては、
サンプル表面1のdownスピンとSTM探針2のup
スピンが同じ軌道を共有するので、STM探針2−サン
プル表面1間の距離は小さくなる。部分Cにおいては、
STM探針2の軌道電子のスピンとサンプル表面1の軌
道電子との相互作用は部分A,Bに比べて小さい。
【0034】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能
であり、これらを本発明の範囲から排除するものではな
い。
【0035】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、以下のような効果を奏することができる。 (A)物質表面のスピンを、メモリの最小ビットとして
使用することに着目し、走査型トンネル顕微鏡を用いた
サンプル表面の電子スピン状態の制御方法及びそのビッ
ト読み出し方法を提供することができる。
【0036】(B)スピン素子の可能性の一つとして考
えられる原子スケールの論理素子において、量子コンピ
ューティングの信号として電子スピンの状態や多重度を
導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るSTMの概略図と動作原理を説明
する図である。
【図2】本発明に係るSTM探針と物質表面の位置関係
を示す図である。
【図3】本発明の実施例を示す正イオン化した物質表面
構造単位に電子一個を与える場合の説明図である。
【図4】サンプル原子距離とトータルエネルギーの特性
図である。
【図5】チップサンプル距離を示す図である。
【図6】本発明の実施例を示す多重度が異なる物質表面
構造を配列させてSTM探針で走査し、ビットを読み出
す方法の説明図(その1)である。
【図7】本発明の実施例を示す多重度が異なる物質表面
構造を配列させてSTM探針で走査し、ビットを読み出
す方法の説明図(その2)である。
【符号の説明】
1 サンプル(物質)表面 2 STM探針 3 upスピンの状態を取り易い分子 5 Xピエゾ(X軸駆動圧電素子) 6 Yピエゾ(Y軸駆動圧電素子) 7 Zピエゾ(Z軸駆動圧電素子)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)走査型トンネル顕微鏡探針をサンプ
    ル表面構造単位に近づけ、該サンプル表面を正にバイア
    スして前記探針の素材のイオン化エネルギー以上の電界
    を与えることにより、電子を前記探針から前記サンプル
    表面へ放出し、サンプル表面構造単位の電子数を制御
    し、(b)前記サンプル表面を負にバイアスして該サン
    プル表面構造単位のイオン化エネルギー以上の電界を与
    えることにより、電子を前記サンプル表面から前記探針
    に放出し、前記サンプル表面構造単位の電子数を制御
    し、(c)電子数の違いによる前記サンプル表面構造単
    位のビット化を行うことを特徴とする走査型トンネル顕
    微鏡を用いたサンプル表面の電子スピン状態の制御方
    法。
  2. 【請求項2】(a)走査型トンネル顕微鏡探針の尖端に
    スピン状態が良く知られた分子を吸着させ、サンプル表
    面構造単位に近づけ、正イオン化したサンプル表面構造
    単位に電子を前記探針からトンネルさせ、(b)前記探
    針上の吸着分子との相互作用により、前記電子を前記サ
    ンプル表面構造単位上の何れかの軌道に入れ、(c)ス
    ピン多重度の違いによる前記サンプル表面構造単位のビ
    ット化を行うことを特徴とする走査型トンネル顕微鏡を
    用いたサンプル表面の電子スピン状態の制御方法。
  3. 【請求項3】(a)走査型トンネル顕微鏡探針をサンプ
    ル表面構造単位に近づけ、該サンプル表面を正にバイア
    スして前記探針の素材のイオン化エネルギー以上の電界
    を与えることにより、電子を前記探針から前記サンプル
    表面へ放出し、サンプル表面構造単位の電子数を制御
    し、(b)前記サンプル表面を負にバイアスして該サン
    プル表面構造単位のイオン化エネルギー以上の電界を与
    えることにより、電子を前記サンプル表面から前記探針
    に放出し、前記サンプル表面構造単位の電子数を制御
    し、(c)電子数の違いによるサンプル表面構造単位の
    ビット化を行い、(d)該ビット化されたサンプル表面
    を、原子間力顕微鏡で走査し、前記サンプル表面構造単
    位が中性の時とは異なる引力または斥力により、ビット
    の読み出しを行うことを特徴とするビット読み出し方
    法。
  4. 【請求項4】(a)走査型トンネル顕微鏡探針の尖端に
    スピン状態が良く知られた分子を吸着させ、サンプル表
    面構造単位に近づけ、正イオン化したサンプル表面構造
    単位に電子を前記探針からトンネルさせ、(b)前記探
    針上の吸着分子との相互作用により、前記電子を前記サ
    ンプル表面構造単位上の何れかの軌道に入れ、(c)ス
    ピン多重度の違いによる前記サンプル表面構造単位のビ
    ット化を行い、(d)該ビット化されたサンプル表面を
    走査型トンネル顕微鏡探針で走査し、スピン状態の相違
    により、ビットの読み出しを行うことを特徴とするビッ
    ト読み出し方法。
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