JPH08319452A - 缶塗料用高分子量エポキシ樹脂およびその製造方法 - Google Patents

缶塗料用高分子量エポキシ樹脂およびその製造方法

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JPH08319452A
JPH08319452A JP12796195A JP12796195A JPH08319452A JP H08319452 A JPH08319452 A JP H08319452A JP 12796195 A JP12796195 A JP 12796195A JP 12796195 A JP12796195 A JP 12796195A JP H08319452 A JPH08319452 A JP H08319452A
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epoxy resin
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high molecular
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JP12796195A
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Taira Harada
田 平 原
Ryoko Itagaki
垣 良 子 板
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】フレーバー保持性、硬化反応性および加工性に
優れた缶内面塗料用の高分子量エポキシ樹脂およびその
製造方法の提供。 【構成】数平均分子量、α−ジオール基含有量、HPL
Cで測定したn=0および1の成分のピーク面積(各
々、S0 およびS1 )、熱水抽出処理後の抽出水中のC
ODMn濃度、加水分解性塩素量(A)、アルカリ金属イ
オン量(B)、かつAとBが、特定の条件を満たす高分
子量エポキシ樹脂およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子量エポキシ樹脂
およびその製造方法に関し、特に、飲物、肉類、野菜、
果物等を保存するための食用缶の内面を被覆するのに有
用な缶内面被覆用の高純度な高分子量エポキシ樹脂およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂は、接着性、防食性および
成形性に優れ、またポリアミン系化合物、カルボン酸無
水物、ポリフェノール化合物、ポリメルカプタン化合物
等の、いわゆる硬化剤を配合して硬化させて得られるエ
ポキシ樹脂の硬化物は、機械的、熱的および電気的性質
において卓越した性能を示す。そのため、塗料、接着、
土木、建築、電気材料等の既存分野はもちろんのこと、
先端技術分野においても各種の利用が計られている。
【0003】このようなエポキシ樹脂の利用分野の中で
も、特に、缶内面用塗料の主剤として固形の高分子量エ
ポキシ樹脂を使用する場合、硬化して得られる塗膜が、
フレーバー保持性、耐久性および加工性に優れ、さらに
金属露出による腐食を発生させないことが要求される。
従来、このような要求を満足させるエポキシ樹脂とし
て、数平均分子量(Mn)が2500以上の高分子量エ
ポキシ樹脂が使用されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の高分子
量エポキシ樹脂の硬化反応性は十分満足できるレベルに
はなく、需要家から一層の硬化時間の短縮、あるいは低
温硬化性を望む声が高まっている。一方、TFS(ティ
ンフリースチール)、アルミ、ブリキ等の金属素材上に
塗料を焼き付け硬化させる場合において、従来の高分子
量エポキシ樹脂を使用すると、焼き付け時に高分子量エ
ポキシ樹脂中の一部の成分が飛散して焼き付け炉を汚す
ため、やはり需要家から飛散物量の少ない高分子量エポ
キシ樹脂が求められている。
【0005】ところで、通常、高分子量エポキシ樹脂
は、バッチ法によって製造されるが、このバッチ法にお
いては、フレーキング操作時に樹脂を高温(通常、19
0℃以上)に保つ必要があるため、同じバッチで製造さ
れた樹脂であっても初期のフレークと後期のフレークで
は樹脂特性が異なるのが一般的であり、ましてや異なる
バッチ間で同一の特性を有するものを製造することは極
めて難しく、樹脂製造メーカの技術開発が求められてい
た。
【0006】そこで、本発明の第1の目的は、熱安定性
に優れ、また、硬化剤を配合して焼き付け硬化して得ら
れる塗膜が、優れた加工性、密着性、および耐食性を示
し、また飲料物と接する場合にも、抽出量が少ないため
に、フレーバー性に優れる高分子量エポキシ樹脂を提供
することにある。
【0007】また、本発明の第2の目的は、前記特徴を
有する高分子量エポキシ樹脂を、高温下の熱反応に起因
する品質変動を最小限に抑えて安定して製造することが
できる製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
高分子量エポキシ樹脂の優れた性能を低下させることな
く、前記の種々の課題を解決するために鋭意検討した。
その結果、高分子量エポキシ樹脂の分子量、高分子量エ
ポキシ樹脂中の特定成分の量および量比、高分子量化反
応時の触媒種および量を特定することによって、前記課
題が解決されることを知得し、本発明に至った。
【0009】すなわち、本発明は、一般式〔1〕:
【化4】 〔式中、Xは−C(CH3)2 −、−CH(CH3)−、ま
たは−CH2 −で表される基であり、複数のXがある場
合、複数のXは同一でも異なっていてもよく、nは0ま
たは1以上の整数である〕で表され、下記(1)〜
(5)の要件: (1)GPCで測定される数平均分子量が2500〜4
500 (2)HPLCで測定されるクロマトグラムにおけるn
=0の成分のピーク面積(S0 )およびn=1の成分の
ピーク面積(S1 )が次の関係式を満たす 0.5≦S1 /S0 ≦1.5 (3)α−ジオール基含有量が、5〜15(ミリ当量/
100g) (4)熱水抽出処理後の抽出水中のCODMn濃度が10
(mg/l)以下 (5)加水分解性塩素量(A)が0.003〜0.05
0重量%、リチウム、ナトリウムまたはカリウムからな
るアルカリ金属元素量(B)が2〜50wtppmであ
り、かつAとBが下記式(a)で表される関係を有する
【数2】 (式中、Mはアルカリ金属元素の原子量を示す。)を備
える缶塗料用高分子量エポキシ樹脂を提供するものであ
る。
【0010】また、本発明は、前記の高分子量エポキシ
樹脂の製造方法として、エポキシ当量(PE )が400
〜500g/eq、かつGPCで測定される数平均分子
量(Mn)が500〜2000であるエポキシ樹脂
(P)と、2価フェノール(Q)とを、エポキシ樹脂
(P)のエポキシ基量(PE eq)と、2価フェノール
(Q)中のフェノール性の水酸基量(QE eq) とが下
記式: 0.3≦QE /PE ≦0.9 で表される関係を有するように、アルカリ金属水酸化物
およびアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1種の触
媒を用いて反応させる高分子量エポキシ樹脂の製造方法
をも提供するものである。
【0011】以下、本発明の高分子量エポキシ樹脂およ
びその製造方法について、詳細に説明する。
【0012】本発明の高分子量エポキシ樹脂は、前記一
般式〔1〕で表されるものである。前記一般式〔1〕に
おいて、Xは−C(CH3)2 −、−CH(CH3)−、ま
たは−CH2 −で表される基であり、複数のXがある場
合、複数のXは同一でも異なっていてもよく、nは0ま
たは1以上の整数である。
【0013】本発明の高分子量エポキシ樹脂は、塗料成
分として被塗布物に塗布して硬化させて加工性に優れる
塗膜が得られる点で、GPCで測定される数平均分子量
(Mn)が2500〜4500の範囲、好ましくは30
00〜4000の範囲のものである。本発明において、
GPCで測定される数平均分子量(Mn)は、分子量既
知のヒスフェノールA型エポキシ樹脂を標準試料として
換算される数平均分子量をいう。
【0014】本発明の高分子量エポキシ樹脂は、α−ジ
オール基含有量が、硬化反応性の観点から、5〜15
(ミリ当量/100g)の範囲にあることが必要であ
り、7〜13(ミリ当量/100g)の範囲であると、
硬化反応性、製造性および硬化物特性の点で、特に好ま
しい。α−ジオール基含有量が5(ミリ当量/100
g)未満である場合は過酷な焼き付け条件を必要とし、
結果として熱エネルギーコストが増大し、一方、α−ジ
オール基含有量が15(ミリ当量/100g)を超える
と、硬化反応に関与するエポキシ基の数が減少する結
果、塗膜の物性、特に耐衝撃性低下を招くことがある。
【0015】また、本発明の高分子量エポキシ樹脂は、
熱水抽出処理後の抽出水中のCODMn(化学的酸素要求
量)が、10mg/l以下であることが必要であり、8
mg/l以下であると、さらに好ましい。CODMnが1
0mg/lを超えると、塗布、硬化して得られる塗膜の
フレーバー性が悪化するおそれがある。例えば、本発明
の高分子量エポキシ樹脂を缶内面の塗料として使用した
場合、焼付硬化後の塗膜と缶内に充填される飲料物とが
接触した場合、塗膜中から少量の不純物が飲料物中に移
行して飲料物のフレーバーが悪化するおそれがある。
【0016】本発明の高分子量エポキシ樹脂は、塗料成
分として被塗布物に塗布した場合に、塗膜焼き付け時に
飛散する揮発成分量が最少となり、焼き付け炉の汚れ防
止に有効である点で、HPLCで測定されるクロマトグ
ラムにおけるn=0の成分のピーク面積(S0 )および
n=1の成分のピーク面積(S1 )が次の関係式を満た
すものである。 0.5≦S1 /S0 ≦1.5 これは、本発明の高分子量エポキシ樹脂において、HP
LCで測定されるクロマトグラムにおけるn=0の成
分、すなわち、原料成分である後記の一般式〔2〕で表
される2価フェノールのジグリシジルエーテルが少ない
程、硬化焼き付け時において炉の汚染が少なくなる、と
考えられる。
【0017】さらに、本発明の高分子量エポキシ樹脂
は、加水分解性塩素量(A)が、0.003〜0.05
0重量%、好ましくは0.005〜0.030重量%の
範囲である。また、製造に用いられる触媒に由来するア
ルカリ金属元素量(B)が2〜50wtppmの範囲で
あり、好ましくは5〜30wtppmの範囲である。
【0018】また、本発明の高分子量エポキシ樹脂は、
加水分解性塩素量(A)とアルカリ金属元素量(B)
は、下記式で表される関係を有するものである。
【数3】 (式中、Mはアルカリ金属元素の原子量を示す。)
【0019】本発明の高分子量エポキシ樹脂の製造は、
下記一般式〔2〕:
【化5】 (式中、Yは−C(CH3)2 −、−CH(CH3)−また
は−CH2 −で表される基である)で表される2価フェ
ノール類と、下記一般式〔3〕:
【化6】 (式中、ZはC(CH3)2 、CH(CH3)またはCH2
であり、mは0または1以上の整数を示す)で表される
低分子量エポキシ樹脂とを反応させて行うことができ
る。
【0020】一般式〔2〕で表される2価フェノール類
としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニルプロパン(通称、ビスフェノールA)、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)メタン(通称、ビスフェノール
F)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン
(通称、ビスフェノールAD)等が挙げられる。本発明
の高分子量エポキシ樹脂の製造において、これらの2価
フェノール類は、1種単独で使用しても良いし、2種以
上を組み合わせて用いても良い。また、高分子量エポキ
シ樹脂のエポキシ当量を微調整する目的で、少量のモノ
フェノール類を使用することもできる。モノフェノール
類としては、フェノール、tert−ブチルフェノー
ル、オクチルフェノール、ノニルフェノール、p−クミ
ルフェノール等を例示することができる。
【0021】また、一般式〔3〕で表される低分子量エ
ポキシ樹脂は、前記一般式〔2〕で表される2価フェノ
ール類とエピクロロヒドリンとを反応させて製造され
る、いわゆる一段法固形エポキシ樹脂である[垣内 弘
編著「新エポキシ樹脂」(昭晃堂)30頁(昭和60
年)]。
【0022】この低分子量エポキシ樹脂は、その製造が
容易であること、および高分子量エポキシ樹脂の製造時
の高分子量化反応における原料供給の操作が容易である
こと等の製造上の観点から、低分子量エポキシ樹脂単体
の状態、あるいはできるだけ少量の溶剤による希釈状態
(例えば、固形分濃度70重量%以上)において、室温
下の粘度が30000cps以下であることが望まし
い。そのため、この低分子量エポキシ樹脂は、数平均分
子量(Mn)が2000以下のものが、前記所要の粘度
を示すため、好ましく、さらに好ましくは500〜20
00、特に好ましくは700〜1500のものである。
例えば、一般式〔3〕におけるZが−C(CH3)2 −で
ある低分子量エポキシ樹脂を例にとれば、数平均分子量
(Mn)が2000以下である場合の平均重合度mav
は5.8以下と計算される。また、一般式〔3〕におい
てZが−C(CH3)2 −である場合を例にとれば、mav
値の範囲は0.5〜6.0、好ましくは1.2〜4.1
である。本発明の高分子量エポキシ樹脂の製造時におけ
る原料の供給速度等の点では、この低分子量エポキシ樹
脂は、室温下で、それ自体が粘稠液状である、mav
0.1程度の液状エポキシ樹脂であることが望ましい。
一方、得られる高分子量エポキシ樹脂のHPLCで測定
されるクロマトグラムにおけるn=0のピークに該当す
る成分の量が多いと、塗膜を焼き付ける際に発生する揮
発分量がかなり多量に認められる傾向があり、高分子量
エポキシ樹脂の硬化焼き付け時において炉の汚染の原因
となる、と考えられる。そこで、低分子量エポキシ樹脂
の数平均分子量(Mn)が500〜2000、mav値に
換算すると0.5〜6.0の条件を満たせば、(1)少
量の溶剤希釈状態(例えば、固形分濃度70重量%以
上)において、室温下の粘度が30000cps以下と
なり、(2)得られる高分子量エポシキ樹脂のHPLC
で測定したクロマトグラムにおけるn=0のピークに該
当する成分の量が減少する結果、塗膜焼き付け時の揮発
分発生量が激減するため、好ましい。
【0023】本発明の高分子量エポキシ樹脂の製造にお
いて使用される、一般式〔3〕で表される低分子量エポ
キシ樹脂は、加水分解性塩素量が、通常、0.005〜
0.1重量%、好ましくは0.007〜0.050重量
%のものである。低分子量エポキシ樹脂中の加水分解性
塩素量が0.005重量%未満、換言すれば、生成する
高分子量エポキシ樹脂中の加水分解性塩素量が0.00
3重量%未満であると、固形物として得られる高純度の
高分子量エポキシ樹脂を、反応器からベルトフレーカー
経由で抜き出すとき、長時間に渡って190℃以上の高
温熱履歴に曝される間に特性が変化してしまうおそれが
ある。一方、低分子量エポキシ樹脂中の加水分解性塩素
量が0.1重量%以上、換言すれば、生成する高分子量
エポキシ樹脂中の加水分解性塩素量が0.05重量%以
上であると、重合反応速度が遅くなり、所望の反応時間
内に重合反応が完結せず経済的でない。
【0024】また、本発明の高分子量エポキシ樹脂の製
造時の重合反応において、加水分解性塩素量は、前記の
アルカリ金属触媒の使用量と密接な関係があり、一般式
〔1〕で表される高分子量エポキシ樹脂100gにおい
て、下記式:
【数4】 で表される関係を満たす場合に、経済的な反応時間内
で、かつ反応容器から抜き出す間の熱履歴による樹脂の
特性変化を最少量に押さえた高純度の固形エポキシ樹脂
を得ることが可能となる。すなわち、高分子量エポキシ
樹脂の代表的な特性である数平均分子量(GPC)につ
いては、180℃の加熱条件下、7時間以降の単位時間
当りの増加量を50以下とすることが可能となる。上記
式中、Aは高純度高分子量エポキシ樹脂中の加水分解性
塩素量(重量%)、Bは重合反応において使用されるア
ルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属塩の使用量をア
ルカリ金属元素量に換算した量(重量ppm)、Mはア
ルカリ金属元素の原子量を示す。一般に、原料樹脂に存
在する加水分解性塩素は、重合反応中は不活性であるこ
とが知られている。そのため、得られる重合物である高
分子量エポキシ樹脂についての前記式から、触媒として
使用されるアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属塩
の使用量および原料となる低分子量エポキシ樹脂中の加
水分解性塩素量を計算によって予め求めることが可能で
ある。
【0025】本発明の高分子量エポキシ樹脂の製造にお
いて、前記一般式〔3〕で表される低分子量エポキシ樹
脂は1種単独でも、2種以上を混合して使用することも
できる。
【0026】また、本発明の製造方法において、一般式
〔2〕で表される2価フェノールと、一般式〔3〕で表
される低分子量エポキシ樹脂とを重合させて、本発明の
高分子量エポキシ樹脂を製造する場合、低分子量エポキ
シ樹脂のエポキシ基量PE (g/当量)に対する2価フ
ェノールの水酸基量QE (g/当量)の比、すなわちQ
E /PE が0.3〜0.9、好ましくは、0.5〜0.
7であると、GPCで測定される数平均分子量(Mn)
が2500〜4500の範囲の高分子量エポキシ樹脂を
得ることが可能となるため、好ましい。
【0027】重合反応に際して用いられる重合触媒とし
ては、高分子量エポキシ樹脂の製造時の樹脂特性の加熱
による変化、および缶内面塗膜とした場合の安全性、飲
料物のフレーバー性の点から、アルカリ金属水酸化物お
よびアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1種の触媒
が用いられる。アルカリ金属水酸化物としては、例え
ば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム等が挙げられ、アルカリ金属塩としては、例えば、塩
化リチウム、臭化リチウム等のアルカリ金属塩が用いら
れる。本発明の製造方法において、重合触媒として、ア
ルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属塩は、1種単独
でも2種以上を組み合わせて用いられる。
【0028】この重合触媒の使用量は、前記一般式
〔1〕で示されるエポキシ樹脂に対して、通常、アルカ
リ金属元素として2〜50wtppm、好ましくは5〜
30wtppmとなる量を用いるのがよい。
【0029】重合反応においては、反応混合物中のフェ
ノール性水酸基量がビスフェノールA換算値として10
00wtppm以下になるまで反応を行うのが理想的で
ある。フェノール性水酸基量が1000wtppmを超
える場合は、得られる高分子量エポキシ樹脂の塗膜が着
色し易くなる、あるいは十分な性能を有する硬化物を得
ることができないなどの弊害を招くおそれがある。
【0030】重合反応は、通常、反応温度が130〜2
00℃、好ましくは150〜190℃の範囲で、5〜2
0時間程度行うことによって、一般式〔1〕で表される
高分子量エポキシ樹脂を得ることができる。
【0031】また、本発明の製造方法において、熱水抽
出処理後の抽出水中のCODMn濃度が10(mg/l)
以下である高分子量エポキシ樹脂を得るためには、例え
ば、重合生成物を水洗する、あるいは一般式〔3〕で表
される原料エポキシ樹脂を水洗する方法等の種々の方法
が有効であるが、原料エポキシ樹脂に水洗処理を施す方
法が、プロセス上最も簡便であり経済的である。
【0032】以上のようにして得られる本発明の高分子
量エポキシ樹脂を缶用塗料の硬化成分として使用する場
合、缶用塗料の硬化剤として常用のものを配合すること
ができる。この硬化剤の具体例として、フェノール−ア
ルデヒドレゾール樹脂、尿素−アルデヒド樹脂、メラミ
ン−アルデヒド樹脂、ポリアミド、酸無水物、およびこ
れらの組み合わせを挙げることができる。特に好適な硬
化剤は、フェノール−ホルムアルデヒドレゾール樹脂、
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデ
ヒド樹脂およびこれらの組み合わせである。
【0033】硬化剤の配合量は、高分子量エポキシ樹脂
を十分に硬化させる量が使用される。通常、高分子量エ
ポキシ樹脂100重量部当り1〜40重量部、より好適
には5〜30重量部の前記硬化剤が使用される。
【0034】また、本発明の高分子量エポキシ樹脂およ
び硬化剤からなる塗料には、必要に応じて、充填剤、顔
料、流れ調整剤、抗酸化剤などの添加剤を配合すること
もできる。
【0035】さらに、このような塗料を金属素材等の被
塗布面に塗工する手段としては、例えば、ロールコーテ
イング、スプレー塗装、刷毛塗り、吹き付け塗り、浸漬
等の既知の任意の方法を用いることができる。塗布膜厚
は通常5〜30μmの範囲で十分である。塗膜の焼き付
けは一般に、約150〜約220℃で、30〜600秒
間行われる。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。なお、実施例および比較例において、エポキ
シ当量、粘度、加水分解性塩素量、α−ジオール基含有
量、フェノール性水酸基量、GPCによる数平均分子量
(Mn)、および抽出水中のCODMn量は、下記の方法
により求めた。
【0037】1)エポキシ当量;樹脂0.2〜5gを精
秤し、200mlの三角フラスコに入れた後、ジオキサ
ン25mlを加えて溶解する。1/5規定の塩酸溶液
(ジオキサン溶媒)25mlを加え、密栓して十分混合
後、30分間静置する。次に、トルエン−エタノール混
合溶液(1:1容量比)50mlを加えた後、クレゾー
ルレッドを指示薬として1/10規定水酸化ナトリウム
水溶液で滴定する。滴定結果に基づいて下記式に従って
エポキシ当量(g/eq)を計算する。
【0038】
【数5】 W:試料採取量(g) B:空試験に要した1/10規定水酸化ナトリウム水溶
液(ml) S:試料の滴定に要した1/10規定水酸化ナトリウム
水溶液(ml) N:水酸化ナトリウム水溶液の規定度 F:1/10規定水酸化ナトリウム水溶液の力価
【0039】2)粘 度;比重を測定した後、JIS
K7233に準拠して求める。
【0040】3)フェノール性水酸基量;樹脂10gを
精秤して容量100mlのメスフラスコに入れ、ジオキ
サン50mlを加えて溶解させる。ジオキサンを追加し
て100mlの標線に液面を調整して試料液を調製す
る。次に、試料液5mlを50mlビーカーに入れ、ジ
オキサン5mlを加える。この中に、3−メチル−2−
ベンゾチアゾリノンヒドラジンの0.5重量%メタノー
ル溶液2ml、25重量%アンモニア水0.4ml、お
よび2重量%フェリシアン化カリウム水溶液2mlを順
次加えた後、30分間静置する。試料液から不溶物を濾
紙で濾別後、ろ液を分光光度計(波長510nm、セル
容量10ml)を用いて吸光度を測定する。得られた吸
光度から、予め、ビスフェノールAを標準物質として作
成しておいた吸光度検量線から樹脂中のフェノール性水
酸基量をビスフェノールA換算で求める。
【0041】4)加水分解性塩素量;エポキシ樹脂技術
協会「技術報告書第1号−エポキシ樹脂の可けん化塩素
量測定法」(昭和52年9月発行)に記載されているA
STM Designation :D1276−73法に準拠して
測定する。
【0042】5)水酸基当量Lee and Neville 著, "
Handbook of Epoxy Resins "第4章, MvGraw-Hill(196
7)記載の方法によって測定する。
【0043】6)α−ジオール基含有量;内容量300
mlのヨウ素フラスコに、試料1〜2gを精秤して入
れ、クロロホルム25mlを加えて完全に溶解する。こ
の中に、1/5規定過ヨウ素酸ベンジルトリエチルアン
モニウムメタノール溶液25mlを加え、混合後、室温
で2時間放置する。次に、冷水100mlを加えて激し
く混合後、10重量%硫酸5ml、および20%ヨウ化
カリウム水溶液20mlを加え、十分に混合した後、1
/10規定チオ硫酸ナトリウム水溶液でヨウ素が無くな
るまで滴定する。空試験を並行して行い、以下の計算式
によりα−ジオール基含有量を求める。
【0044】
【数6】 B:空試験で消費された1/10規定チオ硫酸ナトリウ
ム水溶液(ml) S:試料試験で消費された1/10規定チオ硫酸ナトリ
ウム水溶液(ml) N:1/10規定チオ硫酸ナトリウム水溶液の規定度 F:1/10規定チオ硫酸ナトリウム水溶液の力価 W:試料採取重量(g)
【0045】7)軟化点;滴点軟化点測定装置(日本シ
イベルヘグナー社製、FP83)を用い、1℃/min
の昇温速度で測定した。
【0046】8)GPCによる数平均分子量(Mn)
樹脂試料80mgをTHF10mlに溶解して試料液を
調製し、この試料液100μlを、カラムに注入し、下
記の条件で保持時間の測定を行う。また、予め、数平均
分子量既知のビスフェノールA型エポキシ樹脂を標準物
質として用いて、保持時間を測定して、下記表1に示す
結果を得、この表に基づいて検量線を作成し、その検量
線から樹脂試料の数平均分子量(Mn)を求める。 ・カラム :HSG20(ガードカラム)+HS
G60S+HSG50+HSG40+HSG20(全て
島津製作所(株)製) ・カラム温度 :40℃ ・移動相(流量):THF(1ml/min) ・ピーク検出法 :UV(254nm)
【0047】・検量線 種類:直線 表1 保持時間の補正のため、内部標準としてキシレン使
用。
【0048】9)HPLCによるエポキシ樹脂の構成成
分量の定量;エポキシ樹脂試料80mgをTHF10m
lに溶解して試料液を調製し、この試料液100μl
を、カラムに注入し、試料エポキシ樹脂の構成成分に基
づくピークを示すクロマトグラムを測定する。各ピーク
の面積を求めて成分量を求める。 ・カラム :島津製作所(株)製、 Shim-pack SLC-SIL(M) 、25cm× 4.6mm ・カラム温度 :40℃ ・移動相 :A液:クロロホルム、B液:メタノール グラジエント B;1% 流量:1.0ml/min ・ピーク検出法:UV(278nm) ・面積計算 :島津製作所(株)製、クロマトパック CR4Aを用いて、 各成分の面積を自動計算した。
【0049】10)抽出水中のCODMn量;JIS K
−0102「工場排水試験方法」に準拠して求める。
【0050】(製造例1)攪拌機、窒素導入管および温
度計を備えた容量50lのガラス製反応槽に、キシレン
含有ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三井石油化学工
業株式会社製、エポミックR301X75、固形分濃
度:74.8重量%、樹脂換算のエポキシ当量:477
g/eq、粘度:8100cps/25℃、加水分解性
塩素量:0.003重量%、樹脂換算のα−ジオール基
含有量:14meq/100g、GPC数平均分子量M
n:885)20Kg、およびキシレン10Kgを仕込
み、攪拌下に反応混合物の温度を90℃まで昇温させ
た。次いで、内容物を攪拌しながら、5重量%リン酸二
水素ナトリウム水溶液2Kgを加え、85〜90℃の温
度で15分間攪拌後、静置分層させ、下層の水層を除去
した。このリン酸二水素ナトリウム水溶液の添加−攪拌
−静置分層−水層の除去の一連の操作を、再度繰り返し
て行った。窒素導入管から油層に窒素を吹き込み、油層
に残留する水分全量およびキシレンの一部を留去し、固
形分濃度が約75重量%になった時点で留去操作を停止
した。
【0051】反応混合物の温度が約50℃以下になった
ことを確認した後、油層の樹脂キシレン溶液を抜き出
し、セライトコーティングしたフィルターにより加圧濾
過して、生成したキシレン含有エポキシ樹脂を得た。得
られたキシレン含有エポキシ樹脂の物性を測定したとこ
ろ、以下の通りであった。 固形分濃度;75.3重量% 樹脂換算のエポキシ当量;476g/eq 粘度;8200cps/25℃ 加水分解性塩素量0.003重量% 樹脂換算のα−ジオール基含有量:13meq/100
g GPC数平均分子量Mn;880 以下、この製造例1で得られたキシレン含有エポキシ樹
脂をR1 と言う。
【0052】(製造例2)前記製造例1において、1回
目の水洗操作における洗浄剤として5重量%リン酸モノ
ソーダ水溶液の代わりに、5重量%リン酸二ナトリウム
水溶液を用いた以外は全く同様な操作を行って、キシレ
ン含有エポキシ樹脂を得た。得られたキシレン含有エポ
キシ樹脂の物性を測定したところ、以下の通りであっ
た。 固形分濃度;76.1重量% 樹脂換算のエポキシ当量;478g/eq 粘度;8200cps/25℃ 加水分解性塩素量0.002重量% 樹脂換算のα−ジオール基含有量:13ミリ当量/10
0g GPC数平均分子量(Mn);890 以下、この製造例2で得られたキシレン含有エポキシ樹
脂をR2 と言う。
【0053】(製造例3)温度計および攪拌機を備えた
内容量3lのセパラブルフラスコに、製造例2で得られ
たキシレン含有エポキシ樹脂R2 2000gおよびビス
フェノールA型液状エポキシ樹脂(三井石油化学工業株
式会社製、エポミックR140C、エポキシ当量214
g/eq、粘度19,000cps/25℃、加水分解
性塩素量2.0重量%)13gを仕込み、50℃で約5
分間攪拌混合させて、キシレン含有エポキシ樹脂を得
た。得られたキシレン含有エポキシ樹脂の物性は以下の
通りであった。 固形分濃度;76.2重量% 樹脂換算のエポキシ当量;473g/eq 粘度;8250cps/25℃ 加水分解性塩素量;0.015重量% 樹脂換算のα−ジオール基含有量;13ミリ当量/10
0g GPC数平均分子量(Mn);880 以下、この製造例3で得られたキシレン含有エポキシ樹
脂をR3 と言う。
【0054】(製造例4)製造例3において、製造例2
で得られたキシレン含有エポキシ樹脂R2 2Kgの代わ
りに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三井石油化学
工業株式会社製、エポミックR301X75固形分濃
度;74.8重量%、樹脂換算のエポキシ当量477g
/eq、粘度;8100cps/25℃、加水分解性塩
素量0.003重量%、樹脂換算のα−ジオール基含有
量:13ミリ当量/100g、GPC数平均分子量(M
n);885)2150gを使用して、キシレン含有エ
ポキシ樹脂を製造した。得られたキシレン含有エポキシ
樹脂の物性は以下の通りであった。 固形分濃度;75.9重量% 樹脂換算のエポキシ当量;474g/eq 粘度;8250cps/25℃ 加水分解性塩素量:0.015重量% 樹脂換算のα−ジオール基含有量=13ミリ当量/10
0g GPC数平均分子量(Mn);880 以下、製造例4で得られたキシレン含有エポキシ樹脂を
4 と言う。
【0055】(実施例1)ダブルヘリカル型攪拌翼、温
度計、窒素導入口、および冷却管を備えた500mlの
セパラブルフラスコに、製造例3で得られたキシレン含
有エポキシ樹脂R 3 450g、ビスフェノールA55.
3gを仕込み、窒素雰囲気下で昇温した。内温が80℃
に到達したところで、1重量%水酸化ナトリウム水溶液
1.04gを添加し、さらに昇温させた。内温が130
℃に到達したところで、反応系内を減圧にして、キシレ
ンと水を系外に抜き出した。反応温度を160℃に維持
しながら反応を行い、1時間後に窒素を反応系内に導入
して反応系内の圧力を常圧に戻した。
【0056】反応混合物の温度を155℃に保って3時
間攪拌を続けた後、反応混合物の温度を180℃まで上
げた。さらに12時間攪拌を行った後、反応混合物をフ
ラスコから抜き出して重合反応を完結させて高分子量エ
ポキシ樹脂を得た。得られた高分子量エポキシ樹脂の物
性は、以下の通りであった。 エポキシ当量;2080g/eq 軟化点;142℃ GPC数平均分子量;3880 α−ジオール基含有量;11ミリ当量/100g 加水分解性塩素量;0.013重量% ナトリウム量;14wtppm フェノール性水酸基量;ビスフェノールAとして50w
tppm以下 HPLCチャート(図1)におけるS1 /S0 =1.0
【0057】また、この重合反応中は、反応混合物の温
度が180℃に到達してから5時間後、7時間後、10
時間後のそれぞれの時点で、反応混合物の一部をサンプ
リングしてGPCによる数平均分子量の測定を行うこと
によって、反応の進行度をチェックするとともに、生成
物の加熱時の特性変化があるかどうかを調べた。その結
果、下記に示すとおり、7時間目以降、測定された数平
均分子量はほぼ一定値を示しており、熱安定性に優れた
高分子量エポキシ樹脂が得られたことが分かった。 180℃に到達してから 5時間後サンプル;Mn=3635 7時間後サンプル;Mn=3785 10時間後サンプル;Mn=3870
【0058】〔高分子量エポキシ樹脂中の水溶性不純物
量の測定〕上記のようにして得られた高分子量エポキシ
樹脂を、キシレン/ブチルセロソルブ/メチルイソブチ
ルケトン(1:3:1容量比)混合溶媒に溶解させて3
5重量%の溶液を調製した。この溶液を、バーコーター
♯21を用いて厚さ0.1mmのアルミニウム箔に塗布
した。150℃で1分間焼き付けた後、裏面側にも同様
に塗布し、200℃で15分間焼き付けを行った。試験
片を、塗膜の面積1cm2 あたり1mlとなる量のイオ
ン交換水中に浸漬した後、耐圧ガラス容器中にて125
℃で30分間処理した。室温まで冷却し、抽出液をN
o.5Cの濾紙で濾過後、濾液のCODをJIS K−
0102に従って測定した結果、7mg/lであった。
この測定値から、試験片がないブランク試験で得られた
測定値1mg/lを差し引いた値、6mg/lを高分子
量エポキシ樹脂中の水溶性不純物の尺度とした。
【0059】(実施例2)ビスフェノールAの代わり
に、ビスフェノールF48.5gを使用した以外は、実
施例1と同様にして高分子量エポキシ樹脂を得た。得ら
れた高分子量エポキシ樹脂の物性は以下の通りであっ
た。 エポキシ当量;2060g/eq 軟化点;135℃ GPC数平均分子量;3570 α−ジオール基含有量;11ミリ当量/100g 加水分解性塩素量;0.013重量% ナトリウム量;15wtppm フェノール性水酸基量;ビスフェノールAとして50w
tppm以下 HPLCチャートにおけるS1 /S0 =0.9
【0060】また、高分子量エポキシ樹脂中の水溶性不
純物量は5mg/lであった。重合反応中は、反応混合
物の温度が180℃に到達してから5時間後、7時間
後、10時間後のそれぞれの時点で、反応混合物の一部
をサンプリングしてGPCによる数平均分子量の測定を
行うことによって、反応の進行度をチェックするととも
に、生成物の加熱時の特性変化があるかどうか調べた。
その結果、下記に示すとおり、7時間目以降、数平均分
子量はほぼ一定値を示しており、熱安定性に優れた高分
子量エポキシ樹脂であることが分かった。 180℃に到達してから 5時間後サンプル;Mn=3490 7時間後サンプル;Mn=3525 10時間後サンプル;Mn=3560
【0061】(実施例3)キシレン含有エポキシ樹脂と
してR3 の代わりに製造例4で得られたR4 45lgを
使用した以外は、実施例1と同様にして、高分子量エポ
キシ樹脂を得た。得られた高分子量エポキシ樹脂の物性
は以下の通りであった。 エポキシ当量;2085g/eq 軟化点;141℃ GPC数平均分子量;3870 α−ジオール基含有量;11ミリ当量/100g 加水分解性塩素量;0.013重量% ナトリウム量;15wtppm フェノール性水酸基量;ビスフェノールAとして50w
tppm以下 HPLCチャートにおけるS1 /S0 =1.0
【0062】また、この高分子量エポキシ樹脂中の水溶
性不純物量は9mg/lであった。重合反応中は、反応
混合物の温度が180℃に到達してから、5時間後、7
時間後および10時間後のそれぞれの時点で、反応混合
物の一部をサンプリングしてGPCによる数平均分子量
の測定を行うことによって、反応の進行度をチェックす
るとともに、生成物の加熱時の特性変化があるかどうか
調べた。その結果、下記に示すとおり、7時間目以降、
数平均分子量はほぼ一定値を示しており、熱安定性に優
れた高分子量エポキシ樹脂であることが分かった。 180℃に到達してから 5時間後サンプル;Mn=3620 7時間後サンプル;Mn=3790 10時間後サンプル;Mn=3865
【0063】(比較例1)キシレン含有エポキシ樹脂と
してR3 の代わりに製造例1で得られたR1 459gを
使用した以外は、実施例1と同様にして、高分子量エポ
キシ樹脂を得た。得られた高分子量エポキシ樹脂の物性
は以下の通りであった。 エポキシ当量;2250g/eq 軟化点;145℃ GPC数平均分子量;4665 α−ジオール基含有量;10ミリ当量/100g 加水分解性塩素量;0.002重量% ナトリウム量;14wtppm フェノール性水酸基量;ビスフェノールAとして50w
tppm以下 HPLCチャート(図1)におけるS1 /S0 =0.8
【0064】また、この高分子量エポキシ樹脂中の水溶
性不純物量は8mg/lであった。重合反応中は、反応
混合物の温度が180℃に到達してから、5時間後、7
時間後および10時間後のそれぞれの時点で、反応混合
物の一部をサンプリングしてGPCによる数平均分子量
の測定を行うことによって、反応の進行度をチェックす
るとともに、生成物の加熱時の特性変化があるかどうか
調べた。その結果、下記に示すとおり、数平均分子量が
一定値に収束する傾向が認められず、安定な品質を有す
る樹脂を得ることが極めて難しいことが分かった。 180℃に到達してから 5時間後サンプル;Mn=3740 7時間後サンプル;Mn=3995 10時間後サンプル;Mn=4310
【0065】(比較例2)キシレン含有エポキシ樹脂と
してR3 の代わりに製造例2で得られたR2 457.3
g使用した以外は、実施例1と同様にして、高分子量エ
ポキシ樹脂を得た。得られた高分子量エポキシ樹脂の物
性は以下の通りであった。 エポキシ当量;2230g/eq 軟化点;146℃ GPC数平均分子量;4540 α−ジオール基含有量;11ミリ当量/100g 加水分解性塩素量;0.002重量% ナトリウム量;15wtppm フェノール性水酸基量;ビスフェノールAとして50w
tppm以下 HPLCチャートにおけるS1 /S0 =0.8
【0066】また、この高分子量エポキシ樹脂中の水溶
性不純物量は5mg/lであった。重合反応中は、反応
混合物の温度が180℃に到達してから、5時間後、7
時間後および10時間後のそれぞれの時点で、反応混合
物の一部をサンプリングしてGPCによる数平均分子量
の測定を行うことによって、反応の進行度をチェックす
るとともに、生成物の加熱時の特性変化があるかどうか
調べた。その結果、下記に示すとおり、数平均分子量が
一定値に収束する傾向が認められず、安定品質樹脂を得
ることが極めて難しいことが分かった。 180℃に到達してから 5時間後サンプル;Mn=3650 7時間後サンプル;Mn=4015 10時間後サンプル;Mn=4340
【0067】(比較例3)ダブルヘリカル型攪拌翼、温
度計、窒素導入口、および冷却管を備えた内容量500
mlのセパラブルフラスコに、ビスフェノールA型液状
エポキシ樹脂(三井石油化学工業株式会社製、エポミッ
クR140P、エポキシ当量:188g/eq、粘度;
13100cps/25℃、加水分解性塩素量:0.0
15重量%、α−ジオール基含有量:3meq/100
g、GPC数平均分子量Mn;380)350g、ビス
フェノールA169.9g、キシレン100gを仕込
み、窒素雰囲気下で昇温した。反応混合物の温度が80
℃に到達したところで、1重量%水酸化ナトリウム水溶
液1.36gを添加し、さらに昇温した。反応混合物の
温度が130℃に到達したところで、反応系内を減圧に
して、キシレンと水を反応系外に抜き出した。さらに、
反応温度を160℃に維持しながら反応を行い、1時間
後に窒素導入口から窒素を導入し反応系内の圧力を常圧
に戻した。
【0068】反応混合物の温度を155℃に保持して3
時間攪拌を続けた後、内容物温度を180℃まで上げ
た。さらに12時間攪拌を行った後、反応混合物をフラ
スコから抜き出して重合反応を完結させて高分子量エポ
キシ樹脂を得た。得られた高分子量エポキシ樹脂の物性
は以下の通りであった。 エポキシ当量;1734g/eq 軟化点;140℃ GPC数平均分子量;3345 α−ジオール基含有量;2ミリ当量/100g 加水分解性塩素量;0.011重量% ナトリウム量;14wtppm フェノール性水酸基量;ビスフェノールAとして50w
tppm以下 HPLCチャート(図2)におけるS1 /S0 =0.2
【0069】また、この高分子量エポキシ樹脂中の水溶
性不純物量は6mg/lであった。重合反応中は、反応
混合物の温度が180℃に到達してから、5時間後、7
時間後および10時間後のそれぞれの時点で、反応混合
物の一部をサンプリングしてGPCによる数平均分子量
の測定を行うことによって、反応の進行度をチェックす
るとともに、生成物の加熱時の特性変化があるかどうか
調べた。その結果、下記に示すとおり、ほぼ安定した品
質の高分子量エポキシ樹脂を製造できる最低限の熱安定
性を備えていることが分かった。 180℃に到達してから 5時間後サンプル;Mn=2865 7時間後サンプル;Mn=3090 10時間後サンプル;Mn=3225
【0070】次に、実施例1〜3および比較例1〜3で
得られた高分子量エポキシ樹脂を用いて、下記の塗膜性
能試験を行った。 塗膜の形成 高分子量エポキシ樹脂を、キシレン/ブチルセロソルブ
/メチルイソブチルケトン/ブタノール(1:1:1:
1容量比)混合溶媒に溶解させて30重量%の溶液を調
製した。この溶液に、硬化剤(日立化成工業(株)製フ
ェノール樹脂、ヒタノール4010、固形分濃度=5
0.2重量%)を、高分子量エポキシ樹脂:硬化剤(固
形分比)=90:10の割合で配合して塗料液を調製し
た。この塗料液を、バーコーター♯26を用いて厚さ
0.3mmのアルミ板の表面に塗布した後、150℃で
1分間焼き付けた。次いで、裏面にも同様に塗料液を塗
布した後、210℃で10分間焼き付けて両面塗装板を
作製した。得られた塗膜の膜厚は、表裏両面ともに5〜
8μmであった。この両面塗装板を、4×15cmの大
きさに切取って試験片とし、下記の方法にしたがって塗
膜性能試験に供した。結果を表2に示す。
【0071】フレーバー性;前記方法で作成した試験片
を、活性炭処理した蒸留水200mlに浸したまま、密
栓した耐圧ガラスビン中で100℃×30分間殺菌処理
後、40℃で1ヶ月保存後の風味試験を実施し、下記の
基準で評価した。 ◎ 全く変化なし ○ ごくわずか変化 △ 少し変化あり × 著しく変化あり
【0072】レトルト試験;試験片の片面をクロスカッ
トし、125℃で30分間水中に浸漬し、乾燥後の塗膜
の白化程度を目視で調べ、下記の基準で評価した。 ○ 変化なし × 白化
【0073】密着性試験;試験片の塗膜面に、ナイフを
使用して、1.5mm幅で縦および横にそれぞれ11本
の切れ目を入れて100個の碁盤目を作成した。この塗
膜の碁盤目の上にセロハンテープを接着させた後、強く
剥離した時の残存碁盤目の個数を調べ、下記の基準で評
価した。 ○ 98個以上 △ 90〜98個 × 90個以下
【0074】加工性試験;試験片を二つ折りにし、この
二つ折りにした試験片の間に厚さ0.23mmのTFS
(ティンフリースチール板)を2枚はさみ、プレスで5
Kg/cm2 の荷重をかけた。折り曲げ部にセロハンテ
ープを密着させ、強く剥離した時の塗膜はがれ状況を目
視で観察し、下記の基準で評価した。 ○ 全く変化なし △ 少しハガレあり × 折り曲げ部の前面ハガレ
【0075】硬化反応性;試験片から剥離した塗膜をメ
チルエチルケトン還流下で2時間抽出し、抽出前後の重
量変化を測定し、硬化反応性の指標とした。
【0076】焼き付け時飛散率;塗料100gを500
mlフラスコに入れ、210℃で30分間加熱した。留
去物をガスクロマトグラフィーで分析し、n=0に相当
する成分量をo−ターフェニル内部標準として定量し
た。この測定値を、使用した高分子量エポキシ樹脂重量
(28.1g)で除することにより飛散率(重量%)を
求めた。
【0077】
【0078】
【発明の効果】本発明の高分子量エポキシ樹脂は、熱安
定性に優れるため製造時の品質変動が極めて少なく、硬
化剤を配合して焼き付け硬化する際の硬化速度が速いた
めにエネルギーコストの削減が可能となる。また、硬化
剤を配合して焼き付け硬化して得られる塗膜は、優れた
加工性、密着性、および耐食性を示し、また飲料物と接
する場合にも、抽出量が少ないために、フレーバー性お
よび衛生性に優れるという特徴を有する。そのため、本
発明の高分子量エポキシ樹脂は、例えば、缶内面塗料な
どの用途に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例1で得られた高分子量エポキシ樹脂のH
PLCチャート
【図2】比較例3で得られた高分子量エポキシ樹脂のH
PLCチャート

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式〔1〕: 【化1】 〔式中、Xは−C(CH3)2 −、−CH(CH3)−、ま
    たは−CH2 −で表される基であり、複数のXがある場
    合、複数のXは同一でも異なっていてもよく、nは0ま
    たは1以上の整数である〕で表され、下記(1)〜
    (5)の要件: (1)GPCで測定される数平均分子量が2500〜4
    500 (2)HPLCで測定されるクロマトグラムにおけるn
    =0の成分のピーク面積(S0 )およびn=1の成分の
    ピーク面積(S1 )が次の関係式を満たす 0.5≦S1 /S0 ≦1.5 (3)α−ジオール基含有量が、5〜15(ミリ当量/
    100g) (4)熱水抽出処理後の抽出水中のCODMn濃度が10
    (mg/l)以下 (5)加水分解性塩素量(A)が0.003〜0.05
    0重量%、リチウム、ナトリウムまたはカリウムからな
    るアルカリ金属元素量(B)が2〜50wtppmであ
    り、かつAとBが下記式(a)で表される関係を有する 【数1】 (式中、Mはアルカリ金属元素の原子量を示す。)を備
    える缶塗料用高分子量エポキシ樹脂。
  2. 【請求項2】180℃の加熱条件下において、7時間目
    以降のGPCで測定した数平均分子量(Mn)の単位時
    間当たりの増加量が50以下である請求項1記載の缶塗
    料用高分子量エポキシ樹脂。
  3. 【請求項3】エポキシ当量(PE )が400〜500g
    /eq、かつGPCで測定される数平均分子量(Mn)
    が500〜2000であるエポキシ樹脂(P)と、2価
    フェノール(Q)とを、エポキシ樹脂(P)のエポキシ
    基量(PE eq)と、2価フェノール(Q)中のフェノ
    ール性の水酸基量(QE eq) とが下記式: 0.3≦QE /PE ≦0.9 で表される関係を有するように、アルカリ金属水酸化物
    およびアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1種の触
    媒を用いて反応させる高分子量エポキシ樹脂の製造方
    法。
  4. 【請求項4】前記2価フェノール(Q)が、下記一般式
    〔2〕: 【化2】 (式中、Yは式:−C(CH3)2 −、−CH(CH3)−
    または−CH2 −で表される基である)で表される2価
    フェノールであり、前記エポキシ樹脂(P)が下記一般
    式〔3〕: 【化3】 (式中、Zは式:−C(CH3)2 −、−CH(CH3)−
    または−CH2 −で表される基であり、mは0または1
    以上の整数を示す)で表される低分子量エポキシ樹脂で
    ある請求項3に記載の高分子量エポキシ樹脂の製造方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006008984A1 (ja) * 2004-07-20 2006-01-26 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物

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