JPH08319141A - ホログラム封入合せガラス - Google Patents

ホログラム封入合せガラス

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JPH08319141A
JPH08319141A JP12654295A JP12654295A JPH08319141A JP H08319141 A JPH08319141 A JP H08319141A JP 12654295 A JP12654295 A JP 12654295A JP 12654295 A JP12654295 A JP 12654295A JP H08319141 A JPH08319141 A JP H08319141A
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JP
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hologram
synthetic resin
laminated glass
resin film
enclosed
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JP12654295A
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Inventor
Norito Nakazawa
伯人 中沢
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ホログラムが目立たず、意匠性に富んだホログ
ラム封入合せガラスを得る。 【構成】一方の表面に着色層が設けられていて、ホログ
ラムを封入する部分4aの色調とそうでない部分4bの
色調とを変えた合成樹脂膜2の、ホログラムを封入する
部分の厚みをその他の部分4bよりホログラムの厚み分
だけ薄くし、この合成樹脂膜2を2枚のガラス板1、2
の間に介在させた合せガラスに、ホログラムを封入し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、外観上、安全上等の点
で好ましい、色調が均一で透視歪の少ないホログラム封
入合せガラスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用のヘッドアップディスプレイ
(HUD)などの車内表示方式として、あるいは防眩装
置として、その他ハイマウントストップランプ等の装置
として、ホログラムを利用したものが近年注目されてい
る。このようなホログラムを利用した表示装置を構成す
る際に必要なホログラムはその用途に応じて様々な場所
に配置されるが、場所をとらないことから、フロントガ
ラス、リヤガラス等に貼り合せたり、組み込んで使用す
ることが多い。例えば、自動車用のHUDにおいては、
コンバイナーとしてフロントガラスの所定位置にホログ
ラムを配置して使用する。
【0003】このような場合、ホログラムは、フロント
ガラス上に貼られていてもよいが、ホログラムは通常き
わめて耐摩耗性の低いものなので、その保護のため、合
せガラスタイプのフロントガラスを用い、この合せ構造
の内部にホログラムを封入して用いることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に有機物よりなる
ホログラムの材料は紫外光域に吸収帯を持つものが多
い。その吸収帯は、わずかながら可視光域(特に青色領
域)まで伸びているため、ホログラムは若干黄色味を帯
びて見える。
【0005】材料の黄色味を定量化する方法に黄色度Y
Iがある。YIは、日本工業規格(以下JISとする)
のK7103で規定するもので、材料の透過スペクトル
から計算される。YIが大きい程黄色味の程度が強いこ
とを表わす。このようなホログラムをフロントガラスに
備えたHUDなどでは、車両の運転者はこの黄色みを帯
びたホログラムを通して外界を見ながら運転し、またそ
こに表示される情報を読みとることになる。実際の市場
における車両の風防ガラスに色付きガラスが用いられて
いることからわかるように、黄色みを帯びていること自
体は視認性や安全性を直ちに損なうものではない。
【0006】しかし、ホログラムが封入されている部分
とそうでない部分とでその色調が大きく異なる場合、例
えば、ホログラム材料のYIが非常に大きいと、前景の
色調がホログラムの境界部分で変化しその視認性が損な
われるおそれがあった。また、黄色みを帯びたホログラ
ムを風防ガラスに備えると見映えが悪く、ひいてはホロ
グラムを搭載する車両自体の意匠性を損なうという問題
があった。外観上の意匠性が重視される乗用車などで
は、非常に重要な問題であった。
【0007】また、このような自動車、航空機、鉄道等
に用いられるHUD用のホログラムは、その厚みのため
に見切り線の所で合せガラスに透視歪が入ってしまい、
外観上好ましくなかった。
【0008】特に、自動車用の風防ガラスとしては、J
IS−R3211の二重像および透視歪の規格試験に合
格する必要があり、そのためには合成樹脂膜の膜厚を厚
くして、ホログラムの厚さによって生じるガラスの変形
量を吸収するか、あるいは、ホログラムそのものの厚み
を薄くしてガラスの変形量を押える等の方法が考えられ
るが、この何れによっても透視歪の発生を完全に防ぐこ
とは難しいという問題があった。
【0009】図4に従来のホログラム封入合せガラスの
一例を示す分解断面図を示す。1はホログラム、2は合
成樹脂膜、3aはホログラムを保持するガラス板で車内
側のガラス板、3bは外側ガラス板である。従来の合せ
ガラスでは合成樹脂膜もガラス板もその色調は均一であ
ったため、ホログラムを封入するとその部分だけが濃い
色調となり、前述の問題が発生した。また、ホログラム
1の厚みによる透視歪も問題であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を解決すべくなされたものであり、少なくとも1枚のガ
ラス板に少なくとも一枚の合成樹脂膜を積層した合せガ
ラスの内部に、ホログラムを封入してなるホログラム封
入合せガラスにおいて、前記ホログラムが封入される部
分の合成樹脂膜またはガラス板の色調と、封入されない
部分の合成樹脂膜またはガラス板の色調とが異なること
を特徴とするホログラム封入合せガラスを提案するもの
である。
【0011】本発明によれば、ホログラムが封入される
部分の合成樹脂膜またはガラス板の色調と、封入されな
い部分の合成樹脂膜またはガラス板の色調とが異なって
いる。したがって、色付きのホログラムを封入した時
に、両者の色調を調整することが可能となる。
【0012】例えば、合成樹脂膜またはガラス板の色調
をホログラムと同系色とし、ホログラムの封入される部
分の合成樹脂膜またはガラス板の色調を、封入されない
部分の色調より薄くしておくことにより、ホログラムが
封入された時には両者の色調を近似的に等しくすること
ができる。したがって、本発明により車両等の外観の意
匠性を損なうことなくホログラムを備えることが可能と
なる。また、逆に車種の性格によっては、故意に目立た
せてデザイン上のインパクトを与えることもできる。
【0013】具体的には、合成樹脂膜またはガラスの少
なくとも一つの表面に着色層を設け、ホログラムが封入
される部分とそうでない部分とでその色調を変えればよ
い。着色の方法としては通常の印刷や塗装の方法が好ま
しく利用できる。また、色付きの被膜をコーティングす
る方法も有効である。
【0014】表面を着色するのとは別に、色付きの合成
樹脂膜またはガラス板を用いる方法もある。2種類の色
調の合成樹脂膜を用意し、一方の合成樹脂膜からホログ
ラムが封入される部分を切り抜き、別の色調の合成樹脂
膜をその部分に埋め込めば、ホログラムが封入された時
に両者の色調をほぼ同一としたり、故意に好ましい色調
に変えることが可能となる。また、ホログラムを封入す
る部分をくり貫いた色付きの薄い樹脂膜を別途表面に貼
ってもよい。
【0015】また、異なる色調の合成樹脂膜を用いない
場合でも、ホログラムが封入される部分の厚さをそうで
ない部分の厚さより薄くすることにより、結果的に両者
の色調を変えることができる。この場合、合成樹脂膜の
色調をホログラムの色調と同系色としておく等、合成樹
脂膜の色調を調整することによって、ホログラムが封入
される部分の厚さが薄いため色調も薄くなり、ホログラ
ムが封入されて上記のように薄くなった色調が濃くな
り、全体としてほぼ同一の色調とすることも可能とな
る。また、この場合にはホログラムの厚さによる合せガ
ラスの変形も同時に抑えることができるため、透視歪も
同時に改善することが可能となる。
【0016】本来、色の評価には種々の項目があり、単
なる色合いの違いのほか、濃淡や明るさ等のほか、色度
座標による表示や明度、彩度、色相によって評価するこ
とができる。ほぼ同一の色調としては、これらのすべて
がほぼ同一である必要はなく、例えば明るく濃い色と暗
く薄い色でもほぼ同一の色調とできる場合もあり、その
逆もある。したがって、本発明で色調がほぼ等しいと
は、ホログラムが配されていることによって外観上の見
栄えの悪さが生じるようなことがなく、色合いや濃淡、
明るさ等を含めて、ホログラムが配されている部分とそ
うでない部分とに違和感が生じない程度のことをいうも
のである。
【0017】そのなかで、色調をより明確に評価するた
めの指標として、以下に示す手法が例示できる。色調を
同一とする場合の目安としては、黄色みを帯びたホログ
ラムの場合には黄色度が考えられる。黄色度はJIS−
K7103で規定されるものであり、対象物の分光スペ
クトルから算出される。色調がほぼ同一と見なされるた
めには、ホログラム封入合せガラスのホログラムが封入
されている部分のYIとそうでない部分のYIとの差が
できるだけ小さければよく、10未満であることが望ま
しい。5未満であれば更によい。
【0018】また、より一般的な色調の違いを示す目安
として色差がある。色差はJIS−Z8730で規定さ
れるものであり、対象物のスペクトルから算出される。
色調がほぼ同一と見なされるためには、ホログラム封入
合せガラスのホログラムが封入されている部分とそうで
ない部分との色差ΔEができるだけ小さいことが望まし
く、L*** 表色系における色差ΔE* ab の場合に
は15未満であることが望ましい。より望ましくは5未
満であれば更によい。色差としてはΔE* ab の他にも種
々あるが、いずれも対象物のスペクトルから算出され得
るものであり、別の色差で表されていたとしても、容易
に上記ΔE* ab に換算して比較することができる。
【0019】なお、色差や黄色度をスペクトルを用いて
求められる場合、対象物がホログラムであると、そのス
ペクトルに回折ピークを有しているため、ホログラム自
身の黄色度や色差を求められないことがある。このよう
な場合は、黄色度や色差をホログラムの未露光部分を測
定位置としたり、スペクトルの回折ピークを除外し、ス
ペクトルのベースラインに相当するスペクトルをもと
に、これらを測定すればよい。
【0020】本発明における合せガラスとは、少なくと
も1枚のガラス板に少なくとも1枚の合成樹脂膜を積
層、接着したものであり、その形態の例としては、ガラ
ス/合成樹脂膜、ガラス/合成樹脂膜/ガラス、ガラス
/合成樹脂膜/ガラス/合成樹脂膜、ガラス/合成樹脂
膜/合成樹脂膜、ガラス/合成樹脂膜/合成樹脂膜/ガ
ラス等の構成のものがある。
【0021】本発明の合成樹脂膜の幅は、その主な用途
である自動車用窓材の大きさにより、好ましくは50c
m以上である。幅の上限は特にないが、通常約2mであ
る。また膜の厚さは0.04mm〜4mm、特に0.0
5mm〜2mmが好ましい。ガラス板の幅も同様であ
り、その主な用途である自動車用窓材の大きさにより、
好ましくは50cm以上である。幅の上限は特にない
が、通常約2mである。また板の厚さは1mm〜10m
m、特に1.5mm〜5mmが好ましい。
【0022】本発明にかかるホログラム封入合せガラス
に使用する合成樹脂膜は、通常合せガラスに合成樹脂膜
として用いられるポリビニルブチラール(PVB)や、
その他、ポリウレタンからなる膜などが用いられるが、
膜が変形しやすい方が、透視歪を低減する効果が大きい
ため、熱可塑性の膜であることが望ましい。
【0023】使用するホログラムは、通常数10mm〜
数100mm角程度の面積で、数μm〜数10μm程度
の厚みである。このようなホログラムは、リップマンタ
イプ等の体積・位相型のホログラムが高い回折効率を得
られるという点で望ましいが、エンボスタイプ、レイン
ボータイプ等のホログラムと呼ばれるものを広く用いる
ことができる。また、ホログラム材料としては、ポリビ
ニルカルバゾールやアクリル系などのフォトポリマー、
重クロム酸ゼラチン、光レジスト、銀塩など種々の感光
材料を用いることができる。
【0024】本発明にかかるホログラム封入合せガラス
についてその例をガラス/合成樹脂膜/ガラスの場合の
分解断面図として図1に示した。図1は本発明に係るホ
ログラム封入合せガラスの分解断面図である。1は色付
きのホログラム、2は合成樹脂膜、3aはホログラムを
保持するガラス板で車内側のガラス板、3bは外側ガラ
ス板である。合成樹脂膜2の一方の表面には着色層が設
けてあり、ホログラムを封入する部分4aの色調とそう
でない部分4bの色調とを変えてある。また、合成樹脂
膜2のホログラムを封入する部分の厚みはその他の部分
4bよりホログラムの厚み分だけ薄くしてある。したが
って本発明によれば、色付きのホログラムを封入した合
せガラス全体の色調を調整することが可能であり、均一
な色合いにすることもできるし、故意に目立たせること
もできる。また、ホログラムの厚さ分だけ合成樹脂膜の
厚みを薄くしているため、透視歪も同時に解決できる。
【0025】ホログラムが封入されている部分の色調を
その他の部分の色調と異なるようにするためには、種々
の方法が採用できる。例えば、前述の図1のように合成
樹脂の表面を着色し、ホログラムが封入される部分の色
調を変えることができる。この方法では合成樹脂だけで
なく、ガラス板3aまたは3bの表面着色でも同様な効
果を得ることができる。なお、この際合成樹脂膜2のホ
ログラムが封入される部分を概略ホログラムの厚み分だ
け薄くしておけば透視歪の問題も同時に解決される。
【0026】また、図2のように色付きの合成樹脂膜
で、ホログラムが封入される部分をホログラムと略同形
状にくり貫いた合成樹脂膜5を用いてもよい。合成樹脂
膜5はまた色付きではなく、表面を着色したものでもよ
い。なおこの際、合成樹脂膜5の厚みをホログラムと同
程度の厚みにしておけば透視歪の問題も解決できる。
【0027】また、図3のように色調の異なる二つの合
成樹脂膜を用意し、ホログラムが封入される部分をくり
貫いた一方の合成樹脂膜2bに、色調の異なるもう一方
の合成樹脂膜2aをはめ込んでもよい。なおこの際、2
aの合成樹脂膜の厚みを2bより概ねホログラムの厚み
分だけ薄くしておけば、透視歪の問題も解決できる。こ
の薄い合成樹脂膜2aは、通常の合成樹脂膜を延伸して
用いてもよいし、最初から適当な厚みの膜を作製して用
いてもよい。
【0028】また、ホログラムを合成樹脂膜の間に挟み
込む方法もある。この場合は、ホログラムとほぼ同じ厚
さの合成樹脂膜を用意し、ホログラムが封入される部分
だけ合成樹脂膜をくり貫き、その部分にホログラムをは
め込む。このようにして作ったホログラム付き合成樹脂
膜を更に2枚の合成樹脂膜の間に挟み込む。ちょうど、
図2において、ホログラム1とガラス板3aの間にもう
一枚の合成樹脂膜を入れたような構成である。また、図
3のような構成において、ホログラム1とガラス板3a
の間にさらに合成樹脂膜を積層してもよい。
【0029】ホログラムが封入された部分の合せガラス
全体の厚みと、その他の部分の厚みとの差は、30μm
以下であることが望ましい。近年ますます、自動車の風
防ガラスの取り付け角度が水平に近くなっている事情を
考慮すると10μm以下にすることが好ましい。
【0030】また、合成樹脂膜のくり貫き部の中に周り
よりも薄い合成樹脂膜とホログラムとを埋め込む構成に
おいては、ホログラムの周辺と合成樹脂膜のくり貫き部
の壁面との間に生じる間隙を0.1mm以下とすれば、
このくり貫き部に埋め込まれる合成樹脂膜が薄くなりす
ぎる等の不良を防ぐことができる。
【0031】一方、ホログラム封入合せガラスの製造方
法については、ガラス板3aの所定の場所にホログラム
1を埋め込んだ合成樹脂膜2を積層し、もう一枚のガラ
ス板3bを重ねて積層体とし、この積層体を圧着袋に入
れて脱気または必要に応じて加熱して予備圧着し、次い
で圧着袋から取り出して、あるいは圧着袋のままオート
クレーブに入れて加温、加圧して熱圧着する方法が代表
的な方法として挙げられる。なお、オートクレーブでの
接着条件は8〜15気圧、110〜150℃、30分〜
60分程度である。無論これに限らずその他代表的なガ
ラスの圧着方法も同様に利用できる。
【0032】ホログラム1と合成樹脂膜2の境界面に
は、合成樹脂膜に含まれる可塑剤の浸入によりホログラ
ムの特性が変化するのを防ぐための保護層を設けてもよ
い。また、必要に応じて、ホログラム/保護層/合成樹
脂膜の境界には、必要に応じて接着層を設けてもよい。
【0033】また、図1〜図3ではガラス板として平面
のものを示したが、もちろん風防ガラスのように曲面形
状のものでも、本発明は同様に応用することができる。
【0034】
【実施例】
実施例1 尺角の形状に切断、面取りした2mm厚の通常のフロー
トガラス板を2枚用意し、この表面を酸化セリウムで研
磨後、純水で充分にすすぎ、N2 ガスを吹きつけて乾燥
させた。また、20μm厚のホログラムを2枚積層した
厚さ40μmのホログラム積層体を100×100mm
の大きさに切り用意した。
【0035】2枚のホログラムのうち、一方はHUDの
コンバイナーとして用いられるものであり、その反射色
の色調を白色に近づけるため、3色露光を行い470、
540、640nm付近に回折ピークを有する。回折効
率はそれぞれ45、60、45%である。表示は青、
緑、赤の3色によるマルチカラー表示である。露光はA
rレーザーの476nm、色素レーザーの547nm、
Krレーザーの647nmの3つの光線を同軸に重ねて
行った。入射角は45゜、出射角は60゜である。
【0036】もう一方のホログラムはコンバイナーに外
部光が入射して不要な回折像を生ずるのを防ぐための保
護ホログラムである。上記と同じ3つのレーザーを用い
入射側は50゜、出射側は平行光を拡散板に通したのち
プリズムを用いて内部角で平均50゜となるようにして
露光した。入射する外部光は保護ホログラムによりガラ
ス内部で全反射し、かつ拡散するように閉じこめられて
しまうため、コンバイナーホログラムにより不要回折像
が生ずることはなかった。本発明におけるホログラムと
しては、むろんこれらの条件に限られるものではない。
【0037】次に黄色味を帯びて見えるホログラムと合
成樹脂膜としてホログラムと同系色のブロンズ調色付き
ポリビニルブチラール(PVB)を用いた。厚みは0.
76mmであり、100×100mmの大きさのくり貫
き部を形成し、準備した。また、色付きでないPVB膜
を別に用意し、延伸することにより厚さを約40μm分
だけ薄いPVB膜を作り、100×100mmの大きさ
に切ったものを用意した。
【0038】こうして準備したものを積層する。手順と
しては、40μm厚の積層ホログラム積層体をガラス板
の中央にのせ、くり貫き部にホログラムがくるように
0.76mmの色付きPVBを重ねる。その後延伸した
色付きでないPVBをホログラムの上に重ねくり貫き部
にはめ込む。その後もう1枚のガラスを積層して合せガ
ラス構成体を形成した。構成としては図3に相当するも
のである。次いでこれを気密袋に入れて1torrまで
その内を脱気し、その後オートクレーブに入れ、10a
tm、130℃、50分間で本圧着を行った。
【0039】でき上がった40μm厚の色付き積層ホロ
グラム積層体入り合せガラスは、ホログラムが封入され
ている部分の色調とそうでない部分の色調がほぼ同じに
なり、従来のホログラム封入合せガラスとは異なり、ホ
ログラムが目立たない合せガラスを作ることができた。
黄色度YIを測定してみるとホログラムが封入されてい
る部分ではYI=19.5であり、封入されていない部
分ではYI=17であった。その差は2.5であり、1
0未満であるため上述のようにホログラムが目立たない
という観察結果と一致する。また、従来に比べ透視歪も
少ないものであった。
【0040】第2の実施例として、回折スペクトルの半
値幅を狭くするため膜厚を厚くしたホログラムを封入す
る例を示す。第一の実施例で用いた材料の屈折率変調量
Δnは0.04であった。3色露光のため各波長に割り
当てられるΔnは1/3であり、またノイズホログラム
による損失等があるため、実効的には0.012程度で
あった。ホログラムの厚さtは20μmであった。緑の
回折ピークの回折効率は60%、半値幅は8nmであっ
た。反射型の体積位相型ホログラムの場合、回折効率は
Δn・tによって定まり、半値幅はtに依存する。
【0041】本実施例では、スペクトル半値幅に起因す
る色収差低減のため、ピーク効率は一定のまま半値幅を
狭帯域化したホログラムを封入する例を示す。本実施例
で用いた材料の屈折率変調量Δnは0.015であり、
厚さは60μmである。3色露光したホログラムの各波
長に割り当てられるΔnは実効的に0.004であっ
た。したがって、Δn・t積は第1の実施例と同じであ
るためピーク回折効率は60%が維持された。また、半
値幅については厚さが増えた分狭帯域化され3nmと半
値幅の狭いホログラムが得られた。
【0042】このホログラムを封入するため、自動車の
風防ガラス用の2mm厚の曲面ガラス板を一組用意し
た。これらは面取りした2mm厚の通常のフロートガラ
ス板を表面研磨、洗浄、乾燥させた後、2枚を積層した
ものを型枠に乗せて熱処理することにより重力曲げ加工
したものである。また、厚さ60μmのホログラムを1
50×130mmの大きさに切り用意した。
【0043】次にホログラムの色調と同じ色調になるよ
うに、PVB膜の表面を印刷により着色した。PVBの
厚みは0.76mmであり、ホログラムが封入される部
分に150×130mmの大きさのくり貫き部をくり貫
き、準備した。また、色付きでないPVB膜を別に用意
し、延伸することにより厚さを約60μm分だけ薄いP
VB膜を作り、150×130mmの大きさに切ったも
のを用意した。
【0044】こうして準備したものを積層する。手順と
しては、60μm厚の積層ホログラム積層体をガラス板
の中央にのせ、くり貫き部にホログラムがくるように
0.76mmの着色PVBを重ねる。その後延伸した色
付きでないPVBをホログラムの上に重ねくり貫き部に
はめ込む。その後もう1枚のガラスを積層して積層体を
形成した。物理的構成としては図3に相当するものであ
り、着色層を有しているという意味では図1の一部に相
当するものである。次いでこれを気密袋に入れて1to
rrまでその内を脱気し、その後オートクレーブに入
れ、10atm、130℃、50分間で本圧着を行っ
た。
【0045】でき上がった60μm厚の色付きホログラ
ム入り風防合せガラスは、ホログラムが封入されている
部分の色調とそうでない部分の色調がほぼ同じになり、
従来のホログラム封入合せガラスとは異なり、ホログラ
ムが目立たない合せガラスを作ることができた。黄色度
YIを測定してみるとホログラムが封入されている部分
ではYI=22.5であり、封入されていない部分では
YI=19.5であった。その差は3であり、10未満
であるため上述のようにホログラムが目立たないという
観察結果と一致する。また、従来に比べ透視歪も少ない
ものであった。
【0046】本実施例ではPVBの表面を着色したが、
PVBでなくガラス板を着色してもよい。ガラス板を着
色する場合はいずれの表面でもかまわないが、着色層の
保護のため合せガラスの内部側の面を着色することが好
ましい。また、本実施例ではホログラムを封入する部分
のPVBをくり抜き未着色のPVBをはめ込んだが、ホ
ログラムが薄く透視歪に大きな影響を与えない場合、例
えば総厚が30μm程度の場合は、PVBをくり抜いた
りせずホログラムが封入される部分をマスクして着色し
ないようにしても同様の効果が得られる。
【0047】
【発明の効果】本発明におけるホログラム封入合せガラ
スによれば、ホログラムが封入される部分の合成樹脂膜
またはガラス板の色調と、封入されない部分の合成樹脂
膜またはガラス板の色調とが異なっている。したがっ
て、色付きのホログラムを封入した時に、両者の色調を
調整することが可能となる。両者の色調を近似的に等し
たり、また逆に、故意に目立たせてデザイン上のインパ
クトを与えることもできる。こうして、本発明により車
両等の外観の意匠性を損なうことなくホログラムを備え
ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホログラム封入合せガラスの一例の分
解断面図
【図2】本発明のホログラム封入合せガラスの別の一例
の分解断面図
【図3】本発明のホログラム封入合せガラスの別の一例
の分解断面図
【図4】従来のホログラム封入合せガラスの一例の分解
断面図
【符号の説明】
1 :ホログラム 2 :合成樹脂膜 2a:ホログラムが封入される部分の合成樹脂膜 2b:ホログラムが封入されない部分の合成樹脂膜 3a:内側ガラス板 3b:外側ガラス板 4a:表面を着色された合成樹脂膜のホログラムが封入
される部分 4b:表面を着色された合成樹脂膜のホログラムが封入
されない部分 5 :ホログラムが封入される部分をくり貫いた色付き
の薄い合成樹脂膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1枚のガラス板に少なくとも一
    枚の合成樹脂膜を積層した合せガラスの内部に、ホログ
    ラムを封入してなるホログラム封入合せガラスにおい
    て、前記ホログラムが封入される部分の合成樹脂膜また
    はガラス板の色調と、封入されない部分の合成樹脂膜ま
    たはガラス板の色調とが異なることを特徴とするホログ
    ラム封入合せガラス。
  2. 【請求項2】前記合成樹脂膜またはガラス板は、少なく
    とも一つの表面に着色層を有していることを特徴とする
    請求項1のホログラム封入合せガラス。
  3. 【請求項3】前記合成樹脂膜およびガラス板のうち少な
    くとも一方は着色されていることを特徴とする請求項1
    または2のホログラム封入合せガラス。
  4. 【請求項4】前記合成樹脂膜は色付きの合成樹脂膜であ
    り、前記ホログラムが封入される部分の厚みが封入され
    ない部分の厚みより薄いことを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかのホログラム封入合せガラス。
  5. 【請求項5】前記ホログラム封入合せガラスのうち、ホ
    ログラムが封入されている部分の合せガラス全体の色調
    と、封入されていない部分の合せガラス全体の色調とが
    ほぼ等しいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの
    ホログラム封入合せガラス。
  6. 【請求項6】前記ホログラム封入合せガラスのうち、ホ
    ログラムが封入されている部分の合せガラス全体の黄色
    度と、封入されていない部分の合せガラス全体の黄色度
    との差が10未満であり、前記黄色度は日本工業規格J
    IS−K7103で規定される黄色度YIであることを
    特徴とする請求項1〜5のいずれかのホログラム封入合
    せガラス。
  7. 【請求項7】前記ホログラム封入合せガラスのうち、ホ
    ログラムが封入されている部分の合せガラス板全体の色
    度と、封入されていない部分の合せガラス全体の色度と
    の差、すなわち色差が15未満であり、前記色差は日本
    工業規格JIS−Z8730で規定されるL***
    表色系における色差ΔE* ab であることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれかのホログラム封入合せガラス。
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