JPH06279071A

JPH06279071A - 積層ガラス

Info

Publication number: JPH06279071A
Application number: JP9229493A
Authority: JP
Inventors: Akira Hirano; 平野　　明
Original assignee: Asahi Glass Co Ltd
Current assignee: AGC Inc
Priority date: 1993-03-26
Filing date: 1993-03-26
Publication date: 1994-10-04

Abstract

(57)【要約】【構成】２枚のガラス板１、２の間に合成樹脂性の中間
膜３とホログラム４と黒セラミック塗料６が介在されて
いて、車両の外側から外側ガラス板１、黒セラミック塗
料６、中間膜３、ホログラム４、内側ガラス板２の順に
積層された積層ガラス。【効果】外光が車両内に向かって入射してきた際にガラ
ス板を透過してホログラムまで到達する光量が少なく、
運転者にとって刺激的な透過光を防止することができ、
運転者の視野を確保した安全な積層ガラスを得ることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両に取り付けられる
積層ガラス、特に車両のフロントに取り付けられて、情
報表示源からの情報光を運転者等に向けて表示するヘッ
ドアップディスプレイ（以下ＨＵＤとする）を構成する
積層ガラスに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】自動車内等の運転者に情報を表示する方
法として、ＨＵＤが最近用いられるようになっている。
これは、液晶表示装置等の情報投射手段から投射された
光学的情報を、自動車の風防ガラス等に組み込まれたホ
ログラムやハーフミラー等からなるコンバイナーに映
し、運転者が運転状態からほとんど視点を動かすことな
く情報を読み取れるようにしたものである。

【０００３】特に、コンバイナーとしてホログラムを用
いたものは、運転者に向かって光学的情報を回折する機
能とともにレンズ機能等を併せ持つことができるので、
光学的情報を運転者の視野方向に回折したり、あるい
は、他にレンズ等の光学系を使用せず、任意の位置に結
像したりすることが可能であり、また、前景輝度を損な
わずに高輝度の表示像が得られるという特徴があるた
め、ＨＵＤのコンバイナーとしては有効である。

【０００４】図５は従来のＨＵＤの一例を示す概念図で
ある。光源４６から発し、レンズ系４４を介して透過型
液晶表示素子４５を通過した表示すべき情報を含む光４
３は、車体の風防ガラス４７に備えられたホログラム４
２に照射され、回折されて運転者に観察位置４１で視認
される。

【０００５】上記レンズ系４４はコリメーターとしての
機能を持つものであり、また、この機能はホログラム４
２に持たせることもでき、速度表示４８、警告表示４９
の表示像を遠方に結像させることも可能になる。

【０００６】また、ホログラム４２は波長選択機能を持
つので、希望する色の像が表示可能となる。通常その色
は単一であることが多いが、多重露光による多色表示も
可能であり、表示情報の量と質を向上できる。例えば、
速度表示４８を緑色、警告表示４９を赤色とすることに
よって、運転者に対してより的確に情報を伝達すること
が可能となる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
ＨＵＤに用いられていたホログラムは、車両の風防用の
積層ガラスに備えられていて、車両の前方に表示虚像を
表示させているが、例えば太陽光等の外光が車両内に入
射してくると、ホログラムの波長選択特性によって車両
内の運転者等には固有の透過色となってしまうため、運
転状態としては適当ではない。

【０００８】すなわち、ホログラムは特定の波長の光を
回折するため、運転者がホログラムを通して外部を見た
場合、外光の透過光の色はホログラムの回折波長に対応
する色（表示色）の補色となり、例えば表示色を緑とし
た場合には、外部からの太陽光はホログラムを透過する
際に、ホログラム内部の回折格子に一部反射回折され、
回折光は緑色となり、透過光はその補色であるマゼンダ
（ピンクから赤）となって運転者に対して刺激的で不快
な色と感ぜられる。またその結果背景の色調が影響を受
けるため、運転中における道路等の車外状況の視認性が
損なわれ安全上も問題がある。

【０００９】また、このホログラムによって反射される
外光は、対向車の運転者や車両外の通行人等にはぎらぎ
らとした不快な特定の波長の光が視認されたり、さらに
これら通行人等の見る角度によって異なる外観となって
しまうという欠点を有している。

【００１０】本発明の目的は、従来技術が有していた前
述の欠点を解決することにあり、従来知られていなかっ
た、外光による外観の見苦しさが低減されたホログラム
の積層されている積層ガラスを得ることにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決すべくなされたものであり、少なくとも１枚のガラ
ス板に合成樹脂層とホログラムとが積層されて、１枚の
ガラス板が車両の外側となるように配されて車両に取り
付けられる積層ガラスにおいて、該積層ガラス板のホロ
グラムが配されている部分はホログラムの配されていな
い部分に比べて可視光の透過率が低いことを特徴とする
積層ガラスを提供するものである。

【００１２】

【作用】本発明による積層ガラスは、ホログラムが積層
ガラスの可視光透過率の低い部分に配されているので、
外光が車両内に向かって入射してきた際にガラス板を透
過してホログラムまで到達する光量が少なく、運転者に
とって刺激的な透過光を防止することができ、さらに、
ホログラムによって反射される外光も少なく、車両外の
通行人等に見苦しいホログラムによるぎらつき感も低減
される。

【００１３】

【実施例】以下、図面に基づいて本発明における実施例
を説明する。

【００１４】図１（ａ）は本発明の積層ガラスの一例を
示す断面図であり、図１（ｂ）はその正面図である。積
層ガラス１０は、２枚のガラス板１、２の間に合成樹脂
製の中間膜３とホログラム４と黒セラミック塗料６が介
在されていて、車両の外側から外側ガラス板１、黒セラ
ミック塗料６、中間膜３、ホログラム４、内側ガラス板
２の順に積層されたものである。

【００１５】黒セラミック塗料６は、外側ガラス板１の
内側周縁部にプリント積層されたものであり、外側ガラ
ス板１の下方においては幅広に積層されていて、このプ
リント部分はプリントされていない部分に比べて可視光
の透過率が低くなっている。ホログラム４は、内側ガラ
ス板の外側に外側ガラス板１下方の黒セラミック塗料６
部分に相当する位置に積層されている。なお、この際、
ホログラム４の中間膜３側には中間膜３からホログラム
４を保護できるように保護フィルム１４が積層されてい
てもよい。

【００１６】図２は、本発明の積層ガラスの別の例を示
す断面図であり、車両の外側から、外側ガラス板１、黒
セラミック塗料６、中間膜３、保護フィルム１４、ホロ
グラム４、内側ガラス板２、黒セラミック塗料１６とな
るように積層されていて、内側ガラス板２の内側に積層
された黒セラミック塗料１６は、ホログラム４の周縁部
の内側ガラス板２に接着積層されている部分を、運転者
等から隠蔽することができる。

【００１７】図３（ａ）は本発明の積層ガラスの別の例
を示す断面図であり、図３（ｂ）はその正面図である。
この例において、中間膜３はその上方が着色処理された
ものであり、この着色部分３３は無着色部分に比べて透
過率が低くなっている。ホログラム４は、この着色部分
３３に相当する部分の内側ガラス板２側に積層されてい
て、外光は透過率の低い着色部分３３によってホログラ
ム４まで到達しない、あるいは到達する光量を少なくす
ることができ、ホログラム４による回折光が運転者や通
行人等にとって見苦しくなってしまうことが防止でき
る。

【００１８】本発明において、ホログラムが積層されて
いるガラス板の透過率の低い部分は、上記したガラス板
の所定の場所に黒セラミック塗料がプリント積層される
こと、中間膜に着色処理が施されることのほか、各種の
金属あるいは金属酸化物、窒化物、炭化物等のコーティ
ング層がガラス板に積層されること、あるいはホログラ
ムに積層される保護フィルムを着色性のフィルムとする
こと等によって、ホログラムが積層されていない部分に
比べて透過率を低下させることができる。

【００１９】また、本発明では、ホログラムが積層され
ている部分の透過率が２５％以下、好ましくは１０％以
下となるように、上記した方法によってホログラムの積
層されていない部分の透過率よりも低い透過率とするこ
とが望ましい。特に、外側ガラス板に黒セラミック塗料
をプリント積層すれば、容易に透過率を１０％以下にす
ることができ、さらに、運転者等からはホログラムの背
景が黒色となるため、車両に搭載された光源の輝度が十
分でなくても、運転者にとって明瞭な表示像を与えるこ
とができる。

【００２０】ホログラムの積層されている位置は、ガラ
ス板の上方であっても下方であっても、あるいは中央部
であってもよく、上記した透過率を下げる手段が施され
ていれば特に制限はないが、運転者の視野を妨げること
がない点に鑑みて、ガラス板の上方あるいは下方の隅
部、特に下方の車体取り付け部に相当して、車両外から
車体によって隠蔽される位置が好ましい。

【００２１】本発明における積層ガラスとしては、２枚
のガラス板の間に合成樹脂製の中間膜やホログラム等が
介在されているもののほか、１枚のガラス板と１枚ある
いは複数の合成樹脂製のシートとが積層されている間に
ホログラム等が介在されていてもよく、また、２枚のガ
ラス板の間に合成樹脂製の中間膜やホログラム等が介在
されていて、さらに内側ガラス板の内側に合成樹脂製の
シートが積層されていてもよい。

【００２２】積層ガラスの製造方法としては、通常の種
々の方法が用いられるものである。例えば、２枚のガラ
ス板のうち、外側ガラス板の内側の所定の部分に黒セラ
ミック塗料をスクリーン印刷等の方法によってプリント
し、内側ガラス板の外側の所定の部分にホログラムをロ
ーラー等を用いて貼り付け、さらにホログラムに例えば
５μｍの厚さのポリビニルアルコールからなる保護フィ
ルムを積層した後、エンボス加工したポリビニルブチラ
ールやエチレン−酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂製中
間膜を外側ガラス板と内側ガラス板とで挟持する。その
後、上記のように積層された積層体を予備圧着袋に入れ
て１Ｔｏｒｒまで減圧し、オートクレーブ内で本圧着、
例えば１０気圧、１３０℃の条件下のもとに５０分間の
圧着を行うことによって、所望の積層ガラスを得ること
ができる。

【００２３】この際、黒セラミック塗料は所定の部分に
一様にプリントしてもよく、また、適度の透過率を維持
するために点状、あるいは線状にプリントするものであ
ってもよい。

【００２４】なお、ホログラムとしては、通常数１０ｍ
ｍから数１００ｍｍ角程度の面積で、数μｍから数１０
μｍ程度の厚みであり、光回折機能を持つ。このような
ホログラムは、リップマンタイプ等の体積・位相型のホ
ログラムが高い回折効率を得られるという点で望ましい
が、エンボスタイプ、レインボータイプ等のホログラム
と呼ばれるものを広く用いることができる。また、ホロ
グラム材料としては、ポリビニルカルバゾールやアクリ
ル系などのフォトポリマー、重クロム酸ゼラチン、光レ
ジスト、銀塩など種々の感光材料を用いることができ
る。

【００２５】ホログラムの露光方法は、通常用いられて
いる種々の方法が可能であり、本発明の場合、ホログラ
ムは反射型ホログラムであるので、車両に搭載されてい
て表示すべき情報を発する光源に対応する光をホログラ
ム感光材料の両面側から照射させることによって作製さ
れるものであり、この際複数色の光によって露光すれ
ば、多色表示を可能とするホログラムを得ることができ
る。

【００２６】情報の表示方法としては、ホログラムに特
定波長を回折する機能を持たせて、車両に搭載されてい
て表示すべき情報を発する光源の表示パターンによって
所望の情報が表示させるものでも、あらかじめホログラ
ムに所望の表示すべき情報の表示パターンを記録してお
くものであってもよい。

【００２７】ここで、本発明における積層ガラスを車両
に取り付けてＨＵＤを構成した一例を説明するが、ホロ
グラムの備えられる位置はこの例に限定されるものでな
いことはもちろんである。図４は、本発明の積層ガラス
を用いたＨＵＤの一例を示す概念図である。光源２６か
ら発し、レンズ系２４を介して透過型液晶表示素子２５
を通過した表示すべき情報を含む光２３は、積層ガラス
１０に備えられたホログラム４に照射され、回折されて
運転者に観察位置２１で視認される。

【００２８】積層ガラス１０はその周縁部が車両の開口
枠２７に取り付けられていて、ガラス板と車体との取り
付け部分を隠蔽するために、外側ガラス板の内側周縁部
には黒セラミック塗料が積層されていてる。ホログラム
４は、この黒セラミック塗料に相当する部分に備えられ
ており、その大部分が車両の開口部よりもガラス板の外
周側に位置することとなり、本例の場合、車両のフロン
トフード２８の下方に位置することとなる。

【００２９】

【発明の効果】本発明によれば、ホログラムが積層ガラ
スの可視光透過率の低い部分に配されているので、外光
が車両内に向かって入射してきた際にガラス板を透過し
てホログラムまで到達する光量が少なく、運転者にとっ
て刺激的な透過光を防止することができ、運転者の視野
を確保した安全な積層ガラスを得ることができる。さら
に、ホログラムによって反射される外光も少なく、車両
外の通行人等に見苦しいホログラムによるぎらつき感も
低減される。

【００３０】また、ホログラムの回折効率が低かった
り、車両に搭載された光源の輝度が小さい場合でも、ホ
ログラムの背景が暗色であるため、表示像が鮮明に表示
され、ＨＵＤのコンバイナーとして有効な積層ガラスを
得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の積層ガラスの一例を示す断面図および
正面図

【図２】本発明の積層ガラスの一例を示す断面図

【図３】本発明の積層ガラスの一例を示す断面図および
正面図

【図４】本発明の積層ガラスを用いたＨＵＤの一例を示
す概念図

【図５】従来のＨＵＤの一例を示す概念図

【符号の説明】

１：外側ガラス板２：内側ガラス板３：中間膜４：ホログラム６：黒セラミック塗料１０：積層ガラス

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】少なくとも１枚のガラス板に合成樹脂層と
ホログラムとが積層されて、１枚のガラス板が車両の外
側となるように配されて車両に取り付けられる積層ガラ
スにおいて、該積層ガラス板のホログラムが配されてい
る部分はホログラムの配されていない部分に比べて可視
光の透過率が低いことを特徴とする積層ガラス。
【請求項２】ガラス板のホログラムが配されている部分
には着色層が設けられていて、ホログラムが配されてい
ない部分に比べて可視光の透過率が低いことを特徴とす
る請求項１の積層ガラス。
【請求項３】着色層はホログラムよりも車両外側に位置
するように設けられていることを特徴とする請求項２の
積層ガラス。
【請求項４】着色層は黒セラミック塗料からなることを
特徴とする請求項２または３の積層ガラス。
【請求項５】黒セラミック塗料はガラス板の周縁部の車
両の開口枠に取り付けられる部分に設けられており、ホ
ログラムは前記車両の開口枠よりも外周側であって黒セ
ラミック塗料よりも車両内側に積層されていることを特
徴とする請求項４の積層ガラス。
【請求項６】合成樹脂層はそのホログラムが配されてい
る部分に着色部分を有していて、ホログラムが配されて
いない部分に比べて可視光の透過率が低いことを特徴と
する請求項１の積層ガラス。
【請求項７】合成樹脂層はホログラムよりも車両外側に
位置するように積層されていることを特徴とする請求項
６の積層ガラス。