JPH08316526A - 発光ダイオード及びその製造方法 - Google Patents

発光ダイオード及びその製造方法

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JPH08316526A
JPH08316526A JP11444595A JP11444595A JPH08316526A JP H08316526 A JPH08316526 A JP H08316526A JP 11444595 A JP11444595 A JP 11444595A JP 11444595 A JP11444595 A JP 11444595A JP H08316526 A JPH08316526 A JP H08316526A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】内部に空洞部を持ちながら、チップ強度を確保
し、高い信頼性を得る。 【構成】GaAs基板1に形成した発光部を構成する複
数のエピタキシャル層8と基板1との間に、断面形状が
略楕円状の空洞部10を形成する。空洞部10は、エッ
チングによって角部を有さない曲面で構成され、また空
洞部表面に亀裂ができないように表面の粗さが小さくな
るように加工処理されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内部に空洞部を有する発
光ダイオード(以下、LEDという)及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】AlGaAsを用いたLEDにおいて
は、成長が難しいAlGaAsの厚膜を必要とせずに、
光を反射させて効率を向上させることができるLEDが
要請されている。
【0003】この要請に応えるものとして、従来、図5
に示すように、GaAs基板1上に形成した発光部を構
成する複数のエピタキシャル層8と基板1との間に空洞
部5を形成することによって、エピタキシャル層8と空
洞部5との界面で光を反射させるようにしたLEDが提
案されている(特願平5−160610号)。
【0004】このLEDを製造するには、基板1表面に
凸状のメサ部9を形成した後に、凸状のメサ部9の高さ
を越えない厚さの犠牲層を基板の凹部に成長し、その犠
牲層を成長した基板1の全面にクラッド層2、活性層
3、ウインド層4を成長してエピタキシャルウェハを作
製する。このエピタキシャルウェハの表裏に電極7、6
を形成した。その後、犠牲層を溶解除去してエピタキシ
ャル層8と、凸状のメサ部9を除く基板表面との間に空
洞部5を形成する。この空洞部5は、その断面形状が半
円形をして、凸状のメサ部9と接する部分(図中↓で示
した部分)に鋭角状の角部が形成される。
【0005】その後、300μm角程度にフルカットし
てチップとし、このチップを図示しないリードフレーム
に接着して金ワイヤで接続し、最後に樹脂モールドして
LEDとする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、チップをリ
ードフレームに接着する際には、チップをダイシングシ
ートからはがして、リードフレーム上に輸送し、リード
フレームに盛られたAgペーストの上に押し付けながら
接着する。このとき、チップには約50〜80g重程度
の横方向及び上方向からの力が加わる。したがって、L
EDのチップには、これに耐え得るだけの強度が要求さ
れる。
【0007】ところが、上記のような空洞部に鋭角状の
角部をもつLEDでは、その角部において応力集中が起
きるために、空洞部が破壊されやすく、実装時にチップ
が破壊される場合が出てくる。本発明者の実験では、実
装時に65%のチップで破壊が起きた。このような高い
割合で破壊が起きると、歩留りは低下し、チップコスト
が非常に高くなる。
【0008】さらにもう一つの問題として信頼性が低く
なることが挙げられる。空洞部の表面は粗く、数μm程
度の亀裂が数多く観察される。このような亀裂から空洞
部の表面より転位が導入されて、活性層に到達すること
により、発光強度の低下をもたらす。
【0009】本発明の目的は、上述した従来技術の問題
点を解消して、内部に空洞部を持ちながら、チップの強
度も十分確保され、かつ信頼性の高いLEDを提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のLEDは、基板
上に発光部を構成する複数のエピタキシャル層を設け、
該エピタキシャル層と上記基板との間に空洞部を設けた
LEDにおいて、上記空洞部が角部を有さない曲面で構
成され、かつ空洞部表面の粗さを少なくしたものであ
る。なお、空洞部には樹脂等の充填物が注入されていて
もよい。また、空洞部表面の粗さは、空洞部表面に亀裂
ができない程度の粗さである。
【0011】本発明のLEDの製造方法は、基板上に形
成した凹部に高混晶比のAlGaAs層を成長させ、該
高混晶比のAlGaAs層を含む基板上に発光層を構成
する複数のエピタキシャル層を成長し、その後上記高混
晶比のAlGaAs層を選択除去して上記基板と上記エ
ピタキシャル層との間に空洞部を形成し、該空洞部を形
成した後、硫酸系のエッチング液で上記空洞部の表面を
エッチングして該空洞部の角部を除去するとともに、該
空洞部の表面の粗さを小さくしたものである。上記空洞
部をエッチングするエッチング液は、硫酸系のエッチン
グ液の他に、フッ酸系のエッチング液としたり、アンモ
ニア系のエッチング液としたりすることができる。
【0012】これらの場合において、特に硫酸系のエッ
チング液は60%以上、90%以下の硫酸、10%以上
40%以下の過酸化水素水、及び水からなる溶液とする
こと、フッ酸系のエッチング液は1%以上50%以下の
フッ酸、1%以上、10%以下の過酸化水素水、及び水
を加えた溶液とすること、またアンモニア系のエッチン
グ液は50%以上90%以下のアンモニア、1%以上、
10%以下の過酸化水素水、及び水を加えた溶液とする
ことが好ましい。
【0013】
【作用】本発明のLEDのように、空洞部に角部がない
と、応力集中がおきないため強度が強くなる。したがっ
て、空洞部が破壊されにくくなり、実装時のチップ破壊
を有効に防止できる。また、空洞部表面の粗さが小さく
なっていると、表面に亀裂が生じにくいので、亀裂に起
因して空洞部表面から転位が導入されたり、それが活性
層に到達するようなことがなくなり、発光強度の低下が
少なくなる。
【0014】また、本発明のLEDの製造方法のよう
に、適切なエッチング液によって空洞部の表面をエッチ
ングすると、空洞部の角部が除去される共に、空洞部表
面の亀裂も除去される上、表面の粗さが小さくなる。し
たがって、このように製造したLEDは機械的強度の低
下や発光強度の低下が少ない。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。図1は、
本実施例によるLEDチップの断面図である。GaAs
基板1に形成した発光部を構成する複数のエピタキシャ
ル層8と基板1との間に、断面形状が略楕円状の空洞部
10が形成されている。この空洞部10は角部を有さな
い曲面で構成され、また、空洞部表面の粗さが小さくな
っており表面に亀裂はない。
【0016】このようなLEDを製造するには、まず、
p型GaAs基板1を準備し、このGaAs基板1の表
面に凸状のメサ部9を形成する。その後に、凸状のメサ
部9の高さを越えない厚さのAlAs混晶比0.9,キ
ャリア濃度5×1017cm-3のGaAlAs犠牲層を基板
の凹部に成長し、その犠牲層を成長した基板1の全面に
AlAs混晶比0.6,キャリア濃度5×1017cm-3
p型GaAlAsクラッド層2、AlAs混晶比0.3
5,キャリア濃度9×1017cm-3のp型GaAlAs活
性層3、AlAs混晶比0.6,キャリア濃度1×10
16cm-3のn型GaAlAsウインド層4を成長してエピ
タキシャルウェハを作製する。このエピタキシャルウェ
ハの裏面と表面にそれぞれ電極6と7を形成する。その
後、犠牲層をlvol%HF水溶液,lvol%H2 2 水溶液
及び水からなるエッチング液を用いて溶解除去してエピ
タキシャル層8と凸状のメサ部9を除く基板表面との間
に空洞部5を形成する。ここまでは従来の図5のものと
同じで、空洞部5には角部があり、その表面は粗くなっ
ている。したがってチップ強度は弱い。
【0017】本実施例では、空洞部を改善してチップ強
度を上げるために、空洞部5を形成した後、さらに空洞
部表面をエッチングして空洞部5を広げるようにする。
エッチングすると表面が全て曲面で構成される断面楕円
形の空洞部10ができ上がり、角部が除去され、表面の
粗さが小さくなる。なお、空洞部のエッチングにより空
洞部を広げ過ぎると、基板とエピタキシャル層とをつな
ぐ空洞部間の柱の断面積が相対的に減少して強度低下を
招くので、エッチングは適正量にする必要がある。
【0018】具体的には、まずはじめにH2 SO4 とH
2 2 、及びH2 Oからなるエッチング溶液を用意し
た。本実施例での組成はH2 SO4 :H2 2 :H2
=8:1:1とした。液温は40℃である。この溶液に
エピタキシャルウェハを5分間浸けて、空洞部の表面を
エッチングした。このとき、ウェハは揺動させながらエ
ッチングした。H2 SO4 系によるエッチングでは、ウ
ェハ面内で、エッチングが進行しない箇所が表れる場合
がある。これを防ぐには、エッチング前に、H2
4 :H2 O=1:1の溶液に1分以上浸けてからエッ
チングするとよい。
【0019】これによりウェハの空洞部の表面はエッチ
ングされ、空洞部表面の粗さは小さくなり、空洞部表面
に残されていた角部は完全に除去された。エッチング
後、ウェハを5分ずつ、2回水流中で水洗いをして乾燥
させた。
【0020】その後、エピタキシャルウェハをダイシン
グにより分離してLEDチップとし、分離したLEDチ
ップを、ステム上に接着し金ワイヤで接続し、最後に樹
脂モールドしてLED素子を構成した。また、比較のた
めに、空洞部を改善する前の従来のLED素子を同一条
件で構成した。
【0021】このようにして得られたLEDの強度改善
の効果を図2に示す。同図は空洞部を改善する前後の空
洞部のせん断力を測定し、その結果を統計分布で示した
ものであり、横軸がせん断力(gf)、縦軸が度数
(個)を示している。空洞部を改善することで、空洞部
のせん断力が3倍近く向上することがわかる。
【0022】次に、信頼性改善の効果を図3に示す。同
図は空洞部の構造を改善したLED素子と、改善してい
ないLED素子について、−40℃で通電試験をした結
果を示したものである。横軸が通電時間(h)、縦軸が
相対発光出力(%)を示している。縦軸の相対出力は通
電試験開始前の発光出力の平均値を100%とした。空
洞部の改善後のチップでは、出力の低下は1000時間
で平均90%程度である。これに対して、空洞部の改善
前のチップでは出力は1000時間で平均60%まで低
下する。このように空洞部の改善によって、信頼性の向
上効果も得られることがわかる。
【0023】ところで、空洞部形成後にさらに空洞部を
エッチングする場合、エッチング溶液の濃度と空洞部の
せん断強度との関係が重要となる。そこで、硫酸の濃度
と空洞部のせん断強度との関係を調べた。その結果を図
4に示す。横軸が硫酸の水に対する濃度(%)を、縦軸
が空洞部のせん断強度(gf)、及び1000時間の低
温通電試験後の相対発光強度(mW)を示している。硫
酸の濃度が60%から90%の間で高いせん断強度が得
られる。また、高いせん断強度が得られている部分で
は、低温における信頼性も高いことがわかる。
【0024】なお、上記実施例では空洞部のエッチング
にH2 SO4 を用いたが、HFを用いてもよい。例え
ば、エッチング溶液の組成、条件はHF:H2 2 :H
2 O=1:1:10、20℃、5分である。特に、1%
以上50%以下のフッ酸、1%以上10%以下の過酸化
水素水、及び水からなるエッチング溶液を用いるとよ
い。
【0025】また、アンモニアを用いることもできる。
エッチング溶液の組成、条件はNH3 :H2 2 :H2
O=5:1:1、20℃、6分である。特に、50%以
上90%以下のアンモニア、1%以上10%以下の過酸
化水素水、及び水を加えた溶液を用いるとよい。
【0026】なお、上述した実施例ではいずれも空洞部
は空のままであるが、後に空洞部に樹脂を注入したもの
でも同じ結果が得られる。また、基板はGaAs基板に
限定されず、GaAlAs基板でもよい。
【0027】
【発明の効果】
(1)請求項1に記載の発明によれば、エピタキシャル
層と基板間に設けた空洞部に角部を有さず、かつ空洞部
表面の粗さを小さくしたので、空洞部をもつことによる
強度低下を防ぎ、実装時のチップの歩留りを向上させ、
かつ信頼性を向上させることができる。
【0028】(2)請求項2、3、及び4に記載の発明
によれば、エピタキシャル層と基板間の空洞部の表面を
所定のエッチング液でエッチングするようにしたので、
空洞部の角部を除去できる上、空洞部表面の粗さを小さ
くすることができ、LEDチップの強度と信頼性を向上
することができるから、歩留りを上げ、低コスト化が図
れる。
【0029】(3)請求項5、6及び7に記載の発明に
よれば、所定の組成のエッチング液でエッチングするよ
うにしたので、空洞部の角部を有効に除去できる上、空
洞部表面の粗さを一層小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を説明するための内部に空洞部
を有するLEDチップの断面図。
【図2】本実施例に係る空洞部改善前後の空洞部のせん
断強度の分布を示した図。
【図3】本実施例に係る空洞部改善前後の通電試験の結
果を示した図。
【図4】本実施例に係る硫酸の濃度と空洞部のせん断強
度の関係を示した図。
【図5】従来例の内部に空洞部を有するLEDチップの
断面図。
【符号の説明】
1 GaAs基板 2 クラッド層 3 活性層 4 ウインド層 5 エッチング前の空洞部 6 裏面電極 7 表面電極 8 発光部を構成する複数のエピタキシャル層 9 凸状のメサ部 10 エッチング後の空洞部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今野 泰一郎 茨城県土浦市木田余町3550番地 日立電線 株式会社アドバンスリサーチセンタ内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に発光部を構成する複数のエピタキ
    シャル層を設け、該エピタキシャル層と上記基板との間
    に空洞部を設けた発光ダイオードにおいて、上記空洞部
    は角部を有さない曲面で構成され、かつ空洞部表面の粗
    さが小さいことを特徴とする発光ダイオード。
  2. 【請求項2】基板上に形成した凹部に高混晶比のAlG
    aAs層を成長させ、該高混晶比のAlGaAs層を含
    む基板上に発光層を構成する複数のエピタキシャル層を
    成長し、その後上記高混晶比のAlGaAs層を選択除
    去して上記基板と上記エピタキシャル層との間に空洞部
    を形成し、該空洞部を形成した後、硫酸系のエッチング
    液で上記空洞部の表面をエッチングして該空洞部の角部
    を除去するとともに、該空洞部の表面の粗さを小さくし
    たことを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
  3. 【請求項3】基板上に形成した凹部に高混晶比のAlG
    aAs層を成長させ、該高混晶比のAlGaAs層を含
    む基板上に発光層を構成する複数のエピタキシャル層を
    成長し、その後上記高混晶比のAlGaAs層を選択除
    去して上記基板と上記エピタキシャル層との間に空洞部
    を形成し、該空洞部を形成した後、フッ酸系のエッチン
    グ液で上記空洞部の表面をエッチングして該空洞部の角
    部を除去するとともに、該空洞部の表面の粗さを小さく
    したことを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
  4. 【請求項4】基板上に形成した凹部に高混晶比のAlG
    aAs層を成長させ、該高混晶比のAlGaAs層を含
    む基板上に発光層を構成する複数のエピタキシャル層を
    成長し、その後上記高混晶比のAlGaAs層を選択除
    去して上記基板と上記エピタキシャル層との間に空洞部
    を形成し、該空洞部を形成した後、アンモニア系のエッ
    チング液で上記空洞部の表面をエッチングして該空洞部
    の角部を除去するとともに、該空洞部の表面の粗さを小
    さくしたことを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
  5. 【請求項5】請求項2に記載の発光ダイオードの製造方
    法において、上記空洞部の表面をエッチングする硫酸系
    のエッチング液が、60%以上90%以下の硫酸、10
    %以上40%以下の過酸化水素水、及び水からなること
    を特徴とする発光ダイオードの製造方法。
  6. 【請求項6】請求項3に記載の発光ダイオードの製造方
    法において、上記空洞部の表面をエッチングするフッ酸
    系のエッチング液が、1%以上50%以下のフッ酸、1
    %以上、10%以下の過酸化水素水、及び水からなるこ
    とを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
  7. 【請求項7】請求項4に記載の発光ダイオードの製造方
    法において、上記空洞部の表面をエッチングするアンモ
    ニア系のエッチング液が、50%以上90%以下のアン
    モニア、1%以上、10%以下の過酸化水素水、及び水
    からなることを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
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