JP2004356279A - 半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

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Taiichiro Konno
泰一郎 今野
Masahiro Arai
優洋 新井
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Abstract

【課題】コストアップや生産性の低下を招くことなく、内部で発光した光を十分に取り出すことができるようにし、発光出力を十分に高めることのできる半導体発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】n−GaAs基板1上には、MOVPE法によって、n−GaAsバッファ層2、n−(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層3、アンドープ(Al0.10Ga0.900.5In0.5P活性層4、p−(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層5、及びp−GaP電流分散層6(厚さ14000nm、Znドープ:3×1018cm−3)の各層が順次成膜される。p−GaP電流分散層6上に上面電極7を形成する前に、フッ化水素(HF)、フッ化水素と水の混合液、又はフッ化水素と過酸化水素の混合液を用いて、p−GaP電流分散層6の表面に凹凸9が形成される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体発光素子(半導体発光素子用エピタキシャルウエハを含む。以下同様)の製造方法に関し、特に、発光ダイオード(LED)等の半導体発光素子の高輝度化及び信頼性向上を図るための半導体発光素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、AlGaInP系エピタキシャルウエハを用いて製造する高輝度の赤色及び黄色発光ダイオード等の半導体発光素子の需要が大幅に伸びている。その主な需要は、交通標識(信号機)、広告ディスプレィ、各種案内表示、自動車のブレーキランプやフォグランプ等となっている。
【0003】
図7は、従来の半導体発光素子(赤色帯AlGaInP系発光ダイオード)の模式的構成を示す。また、図8は図7の半導体発光素子の表面状態を示す写真である。
【0004】
図7の半導体発光素子におけるエピタキシャル層は、MOVPE( Metal Organic Vapor Phase Epitaxy:有機金属気相成長)法を用いて成長させている。n−GaAs基板1上には、n−GaAsバッファ層2、n−(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層3、アンドープAl0.10Ga0.900.5In0.5P活性層4、p−(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層5、及びp−GaP電流分散層6が、順次、MOVPE法により成膜される。更に、p−GaP電流分散層6の表面の中央部には上面電極7(円形電極)が設けられ、また、n−GaAs基板1には、その裏面の全域に底面電極8が設けられている。
【0005】
n−GaAsバッファ層2は、厚さ500nm(Seドープ1×1018cm−3)とし、n−(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層3は、厚さ500nm(Seドープ:1×1018cm−3)とし、アンドープ(Al0.10Ga0.900.5In0.5P活性層4は厚さ600nmとしている。更に、p−(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層5は、厚さ500nm(Znドープ:5×1017cm−3)とし、p−GaP電流分散層6は、厚さ14000nm(Znドープ:3×1018cm−3)としている。また、上面電極7は直径0.13mmとした。
【0006】
このように構成された電極付きLED用エピタキシャルウエハは、上面電極7が中心になる様にして0.3mm角に切断され、更に、TO−18(TO:缶タイプのパッケージ)ステム上にマウント(ダイボンディング)した。更に、マウントされたLED素子(LEDベアチップ)にワイヤボンディングを行った。このようにして作製されたLED素子は、発光した光を十分に外部に取り出すことができず、発光出力は期待したほど高くはならなかった。また、LED素子の発光出力は2.50mW(20mA通電時)で、順方向電圧は1.944Vであった。
【0007】
半導体発光素子で発光した光を十分に外部に取り出し、発光出力を高める手段として、幾つかの提案がなされている。例えば、GaAlAs発光素子用ペレットの側面に加工歪みのない平坦な表面を形成する処理を施した後、前記側面にフッ化水素酸によるエッチングを施して前記側面に微細な凹凸(粗面)を形成した発光素子(特許文献1参照)、電流拡散層上に形成された光散乱層の表面を粗面化(光散乱層を基板に対してプラスに格子不整合すると共に成長時間を調整することにより粗面化)して光吸収による損失を防止した半導体発光素子(特許文献2参照)、第1,第2のコンタクト層を形成すると共に、前記第2のコンタクト層を多結晶半導体領域にし、その表面(光取り出し面)を粗面化することにより、光取り出し面における全反射を阻止すると共に第2のコンタクト層を多結晶半導体領域にすることで酸化を防止し、酸化による発光効率の低下を防止した半導体発光素子(特許文献3参照)、主表面がGaAsP混晶からなるペレットを有するLED(GaAsP系LED)にあって、Br又はI を含むエッチング液で前記主表面を処理して粗面にし、光の取り出し効率を上げたLED(特許文献4参照)などの開示がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−151959号公報
【特許文献2】
特開平8−102548号公報
【特許文献3】
特開平8−213649号公報
【特許文献4】
特開2000−196141号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の半導体発光素子によると、いずれもエピタキシャルウエハの状態において粗面形成を行うものではなく、ペレットの状態にした後で実施するものであるため、量産性に劣り、コストアップは避けられない(特許文献1,4)。特に、側面に粗面を施した場合、リーク電流が側面に流れるために、発光出力の低下を招くとともに逆方向の耐圧が低下する。更に、特許文献1,2のようにGaAlAsによる電流拡散層の粗面化をエッチングにより行った場合、GaAlAs電流拡散層のエッチング速度が速いためにGaAlAs電流拡散層の膜厚が薄くなるほか、動作電圧が高くなるために電極形成が難しくなる。
【0010】
また、特許文献2の構成によると、光散乱層を基板に対してプラスに格子不整合して成長時間を調整することにより粗面化を行っているために成長速度が遅く、厚い膜を成長させることが容易でなく(膜が薄いと電流分散効果が低下する)、コストアップになる。
【0011】
更に、特許文献3の構成によると、固相組成比を考慮した気相成長を施してAlGaAsによる第1コンタクト層とAlGaInPによる第2のコンタクト層を形成するという複雑な工程を設ける必要があるほか、AlGaInPによる活性層及びコンタクト層の成長はMOVPE法で行われるため、成長速度が遅く、厚い膜の形成は容易ではなく、量産性の難しさからコストアップになる。
【0012】
したがって、本発明の目的は、コストアップや生産性の低下を招くことなく、発光した光を外部に十分に取り出すことができるようにし、発光出力を十分に高めることのできる半導体発光素子の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、基板上に発光部を形成し、前記発光部上にリン系材料から成る光取り出し面又は半導体最表面層を形成し、フッ化水素を含む水溶液を用いて前記光取り出し面又は前記半導体最表面層の表面に凹凸を形成する工程を含むことを特徴とする半導体発光素子の製造方法を提供する。
【0014】
この方法によれば、発光部上にリン系材料から成る光取り出し面又は半導体最表面層を形成した後、フッ化水素(HF)、HFと水の混合液、又はHFと過酸化水素の混合液を用いて前記光取り出し面又は前記半導体最表面層の表面に凹凸を形成しているので、従来の成長により凹凸を設ける方法で生じていた量産性の低下やコストアップを招くことがなく、内部で発光した光を効率良く取り出せるようになり、発光出力を高めることができる。また、前記処理により半導体発光素子の経年変化に対する信頼性が向上する。
また、本発明は、凹凸を形成する工程の後、光取り出し面又は半導体最表面の凹凸形成面の所定領域に上面電極を形成する工程を含むことを特徴とする。即ち、電極形成工程の前に、光取り出し面又は半導体最表面に凹凸を形成することにより凹凸が形成された光取り出し面又は半導体最表面と電極との接触面積が増加する。その結果、電極−半導体層間の接触抵抗が低下するので、発光素子の動作電圧が低下する。よって、同一の動作電圧を与えた場合、発光素子の発光出力が向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明者は、基板とは異なる導電型のGaP電流分散層の表面に凹凸を形成することにより、発光した光を効率良く外部に取り出せるようになり、発光出力を高くできることを見出した。また、前記処理により半導体発光素子の信頼性が向上することも見出した。凹凸の形成は、表面電極を形成する前に、数種の表面処理溶液(・HF(フッ化水素)、・HF+水の混合液、・HF原液+過酸化水素の混合液、又は、・HF原液+過酸化水素+水の混合液)の内のいずれかを用いて電流分散層の表面を浸食させることにより達成される。
【0016】
以上により、高出力で高信頼性なLEDの作製、又はLED用エピタキシャルウエハの作製が可能になった。そして、エピタキシャルウエハの状態において、上面電極を形成する前にエッチングにより凹凸を形成することにより、従来のようにチップ化してから凹凸を形成する方法に比べ大量の処理が可能になり、量産性の向上及びコストダウンが可能になる。チップ化してから凹凸を形成した場合、チップ側面も凹凸化してしまうため、リーク電流が側面に流れるため、発光出力の低下と共に逆方向の耐圧の低下を招くことになる。
【0017】
更に、発光した光の取り出し効率を高めることが可能になったので、表面処理をしない半導体発光素子と同等の発光出力が得られればよい場合には、電流分散層の膜厚を薄くできるようになる。このため、同一の発光出力を得る場合であれば、半導体発光素子や半導体発光素子用エピタキシャルウエハを安価に作製できるようになる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る製造方法により作製されたエピタキシャルウエハ状態での半導体発光素子(ここでは、AlGaInP系の赤色LED用又は黄緑色LED用を対象としている)の1チップ分の模式的構成を示す。
【0019】
半導体発光素子エピタキシャルウエハ10は、n−GaAs基板1を基材とし、この基板1上には、n−GaAsバッファ層2、n−(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層3、アンドープ(Al0.10Ga0.900.5In0.5P活性層4、p−(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層5、及びp−GaP電流分散層6がMOVPE法により順次形成されている。活性層4は多重量子井戸構造とすることができる。電流分散層6を成膜した後、上面電極(p側電極)7を形成する前に、HFのみと、HF+過酸化水素の混合液とを用いてエピタキシャルウエハ10の表面処理が行われ、p−GaP電流分散層6の表面に凹凸が形成される。凹凸によって、半導体発光素子で発光した光は効率良く外部に取り出せるようになり、発光出力を高めることができる。ついで、p−GaP電流分散層6上の中央部には、例えば円形の上面電極7が蒸着により形成される。更に、n−GaAs基板1の底面の全域に蒸着によって底面電極(n側電極)8が形成される。
【0020】
上面電極7が中心になる様にしてエピタキシャルウエハ10を所定の大きさ(例えば、0.3mm角)に切断し、更に、TO−18ステム等にマウント(ダイボンディング)し、ついでマウントされたLEDベアチップにワイヤボンディングを行えば、1個のLEDが完成する。
【0021】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1として、図1に示した構造による赤色(発光波長630nm付近)発光ダイオード用エピタキシャルウエハを作製した。まず、n−GaAs基板1上に、MOVPE法によりn−GaAsバッファ層2を成膜(厚さ500nm、Seドープ1×1018cm−3)し、この上面にn−(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層3(厚さ500nm、Seドープ:1×1018cm−3)、アンドープ(Al0.10Ga0.900.5In0.5P活性層4(厚さ600nm)、p−(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層5(厚さ500nm、Znドープ:5×1017cm−3)、p−GaP電流分散層6(厚さ14000nm、Znドープ:3×1018cm−3)6の各層を順次成長させて成膜した。
【0022】
MOVPE成長は、成長温度700℃、成長圧力50Torr(66.7hPa)で行った。電流分散層以外の各層の成長速度は、0.3〜1.0nm/s、V/III 比は300〜600で行った。また、p−GaP電流分散層6は、V/III 比100で行った。
【0023】
ついで、フッ化水素酸の含有量が50%のHFの原液溶液を用い、室温(23〜25℃)で上記エピタキシャルウエハを15分間浸し、p−GaP電流分散層6の表面に凹凸9が形成された半導体発光素子用エピタキシャルウエハを製作した。更に、以下の6種類の処理溶液を用意して表面処理を行った半導体発光素子用エピタキシャルウエハを製作した。
【0024】
(1)HFの原液溶液。
(2)HFの原液溶液1に対し水を1の割合で混合した溶液。
(3)HFの原液溶液1に対し水を2の割合で混合した溶液。
(4)HFの原液溶液1に対し水を3の割合で混合した溶液。
(5)HFの原液溶液1に対し水を4の割合で混合した溶液。
(6)HFの原液溶液1に対し水を5の割合で混合した溶液。
(7)HFの原液溶液1に対し水を20の割合で混合した溶液。
この(1)〜(6)の溶液による表面処理は、室温(23〜25℃)の条件下で、それぞれ15分、30分、45分、60分、75分、90分、450分の処理時間を設定し、上記溶液中に半導体発光素子用エピタキシャルウエハ10を浸した。
【0025】
ついで、上記7種類の溶液により凹凸を形成した7枚の半導体発光素子用エピタキシャルウエハ10のそれぞれのp−GaP電流分散層6の表面、即ち、チップ上面に直径0.13mmの上面電極7を蒸着により円形に形成した。また、n−GaAs基板1の底面(成長層とは反対側の面)の全面に蒸着により底面電極8を形成した。上面電極7は、金・亜鉛、ニッケル、金を、それぞれ60nm、10nm、1000nmの順に蒸着し、底面電極は、金・ゲルマニウム、ニッケル、金の順で、それぞれ60nm、10nm、500nmの厚みに蒸着した。
【0026】
更に、p型の上面電極7及び底面電極8が設けられた電極付き半導体発光素子用エピタキシャルウエハを、上面電極7が中心になるようにして0.3mm角に切断し、これをTO−18ステム上にマウント(ダイボンディング)し、更にマウントされたLEDベアチップにワイヤボンディングを行った。
【0027】
図2は実施例1の半導体発光素子(AlGaInP系赤色LED)の浸食時間と発光出力の関係を示す。更に、図3は実施例1のAlGaInP系赤色LEDの表面写真を示す(中心部の円形部分は上面電極7であり、その周辺部分は電流分散層6の部分である)。図3を参照すると、電流分散層6の表面に凹凸が形成されていることがわかる。
【0028】
表1は、上記の様にして製作された7種類の半導体発光素子(ベアチップ)の20mA通電時の発光出力、順方向電圧、及び信頼性(相対出力)を示す。
【0029】
【表1】
Figure 2004356279
【0030】
表1及び図2から明らかなように、本実施例による発光出力は、従来の2.50mWに比べ、1.20〜1.25倍(平均1.22倍)に高くなっている。また、順方向電圧も従来の1.944Vよりも低くなった。更に、作製した半導体発光素子(TO−18ステムで樹脂でモールドされていない形状)の信頼性を室温23〜25℃、50mA通電の試験条件により評価したところ、1000時間通電後の発光出力(以下、相対出力という)は96.28〜99.14%(平均98%)であり、従来の相対出力92%よりも信頼性が向上していた。
【0031】
以上により、GaP電流分散層6の表面をHFや、HFと水の混合液を用いて半導体最表面層としてのGaP電流分散層6の表面に凹凸9を設けることにより、半導体発光素子や半導体発光素子用エピタキシャルウエハを高発光出力、低順方向電圧、及び高信頼性に製作できた。また、従来と同等の特性であれば、GaP電流分散層6の膜厚は11000nm(従来の約80%の膜厚)まで薄くできた。このため、半導体発光素子や半導体発光素子用エピタキシャルウエハの製造コストの低減も可能になった。
【0032】
[実施例2]
実施例2として、実施例1と同じ構造(図1の構造)による赤色発光ダイオード用エピタキシャルウエハを製作した。また、成長条件、半導体発光素子製作工程や評価方法も、実施例1と同じにした。但し、GaP電流分散層6の表面処理は、HF+過酸化水素の組み合わせとし、HFと過酸化水素の混合割合の異なる処理溶液を複数種作製した。
【0033】
図4は実施例2の半導体発光素子(AlGaInP系赤色LED)における浸食時間と発光出力の関係を示す。また、図5は実施例2に係るAlGaInP系赤色LEDの表面写真を示す。図5を参照すると、本実施例においても電流分散層6の表面に凹凸が形成されていることがわかる。
【0034】
表2は、実施例2における半導体発光素子の表面処理液の配合比及び処理時間と半導体発光素子の特性(表面処理溶液と発光出力、順方向電圧、及び信頼性としての相対出力の関係)を示す。ここでは、HFはフッ化水素酸の含有量が50%で、また、過酸化水素は30%の含有量のものを用いた。
【0035】
【表2】
Figure 2004356279
【0036】
表2及び図4から明らかなように、発光出力は、従来の2.50mWに対して1.10〜1.12倍(平均1.11倍)に高められた。また、順方向電圧も従来よりも低くなった。更に、室温23〜25℃、50mA通電の試験条件下で実施例2の半導体発光素子(樹脂モールドせず)の信頼性を評価したところ、1000時間通電後の相対出力は96.28〜99.00%(平均97.53%)であり、信頼性は従来の92%よりも向上した。
【0037】
以上から、GaP電流分散層6の表面をフッ化水素と過酸化水素の混合液を用いて処理し、凹凸9を形成することにより、高発光出力、低順方向電圧、及び高信頼性を備える半導体発光素子や半導体発光素子用エピタキシャルウエハの製作が可能になる。また、従来と同等の特性でよいとした場合には、GaP電流分散層6の膜厚を従来の約90%の12600nmまで薄くできる。このため、半導体発光素子や半導体発光素子用エピタキシャルウエハの製造コストの低減が可能になった。
【0038】
[実施例3]
実施例1と同一構造のエピタキシャルウエハを製作した。なお、成長条件、製作工程、及び評価方法は実施例1と同じである。但し、GaP電流分散層6の表面処理には、フッ化水素+過酸化水素+水による混合液を用い、GaP電流分散層6の表面に凹凸を形成した。なお、ここで用いたフッ化水素のフッ化水素酸含有量は50%であり、また、過酸化水素は含有量が30%のものを用いた。
【0039】
表3は、上記の様な混合液において配合割合を変えた3種類の表面処理溶液を用いて凹凸を形成した3種類の半導体発光素子(ベアチップ)の20mA通電時の特性(表面処理溶液の配合割合に対する発光出力、順方向電圧、及び相対出力(信頼性)の関係)を示す。
【0040】
【表3】
Figure 2004356279
【0041】
表3から明らかなように、本実施例によれば、発光出力を従来構成の1.10〜1.11倍(平均1.11倍)に高めることができた。また、順方向電圧も従来よりも低くなった。更に、室温(23〜25℃)、50mA通電による試験条件で半導体発光素子(樹脂モールドせず)の信頼性(相対出力)を評価したところ、1000時間通電後の相対出力は96.28〜98.86%(平均97.66%)であり、従来の相対出力92%よりも向上している。
【0042】
したがって、フッ化水素+過酸化水素+水の混合液を用いてGaP電流分散層6の表面に凹凸9を形成すれば、高発光出力、低順方向電圧、及び高信頼性の半導体発光素子及び半導体発光素子用エピタキシャルウエハを製作できる。また、従来と同等の特性でよい場合には、GaP電流分散層6の膜厚を12600nm(従来の約90%の膜厚)まで薄くできる。これにより、半導体発光素子及び半導体発光素子用エピタキシャルウエハの製造コストの低減もできる様になる。
【0043】
[実施例4]
実施例4として、図1に示した構造により発光波長577nm付近の黄緑色発光ダイオード用エピタキシャルウエハを作製した。まず、n−GaAs基板1上にMOVPE法により、n−GaAsバッファ層2(厚さ500nm、Seドープ1×1018cm−3)、n−(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層3(厚さ500nm、Seドープ:1×1018cm−3)、アンドープ(Al0.40Ga0.600.50In0.5P活性層4(厚さ600nm)、p−(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層5(厚さ500nm、Znドープ:5×1017cm−3)、p−GaP電流分散層6(厚さ14000nm、Znドープ:3×1018cm−3)を順次成長させて成膜した。
【0044】
この場合、MOVPE成長は、成長温度700℃、成長圧力50Torr(66.7hPa)で行った。p−GaP電流分散層6以外の各層の成長速度は0.3〜1.0nm/s、V/III 比は300〜600で行った。p−GaP電流分散層6は、V/III 比100で行った。
【0045】
更に、フッ化水素酸含有量50%のフッ化水素の原液を用いて、上記のように各層を成膜したエピタキシャルウエハを室温(23〜25℃)において15分間浸し、表面に凹凸が形成された半導体発光素子用エピタキシャルウエハを製作した。また、フッ化水素の原液溶液1に対し過酸化水素(含有率30%)を1の割合で混合した溶液でも、表面処理を行った。この場合の処理時間は、室温(23〜25℃)において、それぞれ15分、3分とした。
【0046】
ついで、上記2種類の処理溶液による半導体発光素子用エピタキシャルウエハに対し、p−GaP電流分散層の表面、つまりチップ上面に直径0.13mmの円形の上面電極7を蒸着により形成した。また、n−GaAs基板1の底面全面に蒸着により底面電極8を形成した。上面電極7は、金・亜鉛、ニッケル、金を、それぞれ60nm、10nm、1000nmの順に蒸着して形成し、底面電極8は、金・ゲルマニウム、ニッケル、金を、それぞれ60nm、10nm、500nmの順に蒸着して形成した。
【0047】
更に、p型の上面電極7及び底面電極8が設けられた半導体発光素子用エピタキシャルウエハを、上面電極7が中心になる様に0.3mm角に切断し、ついでTO−18ステム上にマウント(ダイボンディング)した。その後、マウントされたLEDベアチップにワイヤボンディングを行った。このようにして製作された2種類の半導体発光素子(ベアチップ)について評価(20mA通電時の発光出力、順方向電圧、及び信頼性(相対出力))を行ったところ、以下のような結果を得た。
【0048】
図6は、実施例4のAlGaInP系黄緑色LEDにおける通電時間と相対出力の関係を示す。また、表4は、表面処理溶液と、発光出力、順方向電圧、及び信頼性の関係を示す。
【0049】
【表4】
Figure 2004356279
【0050】
表面処理を行わない従来の半導体発光素子の特性は、発光出力が0.502mW、順方向電圧が2.040V、信頼性(相対出力)が85.01%であった。これに対し、表面処理を行った実施例4の半導体発光素子の特性は、表4に示したように、発光出力は、従来よりも1.06〜1.10倍の高い値になった。また、順方向電圧も従来と同程度の値が得られた。更に、この半導体発光素子(樹脂モールドせず)の信頼性を、室温(23〜25℃)、50mA通電の試験条件で評価したところ、1000時間通電後の発光出力(相対出力)は、それぞれ90.13%、97.86%であり、従来の相対出力85.02%よりも向上していることがわかった。
【0051】
このように、発光ピーク波長577nmの黄緑色半導体発光素子でも、実施例1〜3の発光ピーク波長630nmの赤色半導体発光素子と同様に、GaP電流分散層6の表面をHF原液、又はHFと過酸化水素との混合液を用いて半導体発光素子用エピタキシャルウエハの表面を凹凸にすることにより、高発光出力、及び高信頼性の半導体発光素子及び半導体発光素子用エピタキシャルウエハの製作が可能になった。
【0052】
ここで、上記表面処理における最適処理時間について説明する。上記の表面処理溶液により表面処理を行った場合、浸食時間が短いと表面に十分な凹凸を形成できない。また、浸食時間が長すぎるとGaP電流分散層6の膜厚が薄くなってしまい、電流分散が悪くなる。このため浸食時間が長すぎても、表面処理による発光出力向上度合いが小さくなる。そこで、フッ化水素のみによる場合の好ましい処理時間は1〜180分であり、より好ましくは2〜120分である。また、HFと過酸化水素の混合液による場合、好ましくは0.5〜20分であり、より好ましくは図4に見られるように1〜15分である。更に、フッ化水素+過酸化水素+水の混合液による場合の好ましい処理時間は1〜120分であり、より好ましくは2〜100分である。また、フッ化水素におけるフッ化水素酸の割合は0.1%以上、100%以下が望ましく、フッ化水素+過酸化水素の混合液におけるフッ化水素酸の割合は1.0%以上で100%以下が望ましい。
【0053】
そして、GaP電流分散層6の表面を凹凸にする処理は、上面電極(p側電極)7を形成する前に行うことが望ましい。上面電極7の形成後に表面処理を行うと、上面電極7の周囲には凹凸が形成されないため、その分だけ発光出力が低下する。又は、上面電極7の下も凹凸がある方が、上面電極7とGaP電流分散層6との接触面積が大きくなり、順方向動作電圧が低くなるからである。過酸化水素を含む処理溶液で表面処理に行った場合、表面処理の前に底面電極(n側電極)8を形成することは好ましくない。その理由は、表面処理を行っている段階で基板裏面もエッチングされ、底面電極8が剥がれてしまうためである。したがって、上面電極7と底面電極8を形成する前に表面処理を行うのがよい。
【0054】
上記各実施例においては、GaP電流分散層6の表面に凹凸を形成するものとしたが、GaP電流分散層6に限定されるものではなく、光取り出し面又は半導体最表面層に設けられていれば、上記した効果と同様の結果を得ることができる。
【0055】
また、上記各実施例においては、上面電極7の形状を円形にしたが、円形に限定されるものではなく、他の形状、例えば、四角形、菱形、多角形等であっても、同様の効果が得られる。
【0056】
更に、上記各実施例において、n−GaAs基板1とn−(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層3との間に光反射層を設けることができ、この光反射層を形成する主たる材料として、AlInP、GaInP、AlGaInP、AlGaAs、又はGaAsを用いることができる。
【0057】
【発明の効果】
以上より明らかなように、本発明の半導体発光素子の製造方法によれば、発光部上にリン系材料から成る光取り出し面又は半導体最表面層を形成した後、フッ化水素を含む水溶液を用いて前記光取り出し面又は前記半導体最表面層の表面に凹凸を形成しているので、コストアップや量産性の低下を招くことなく、内部で発光した光を効率良く外部へ取り出せるようになり、発光出力を高めることができる。また、前記処理により半導体発光素子の経年変化に対する信頼性が向上する。
【0058】
従って、高信頼性で発光出力の優れた半導体発光素子及び半導体発光素子用エピタキシャルウエハを得ることができる。また、光の取り出し効率を高めることができたため、従来の発光出力と同じでよければ、発光出力を低くすることなく、電流分散層の膜厚を従来の約80〜90%の膜厚にまで薄くできる。このため、半導体発光素子及び半導体発光素子用エピタキシャルウエハの製造コストの低減及び量産性が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る製造方法により作製された半導体発光素子用エピタキシャルウエハにおける1チップ分の模式的構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例1の半導体発光素子における浸食時間と発光出力の関係を示す特性図である。
【図3】本発明の実施例1のAlGaInP系赤色LEDの表面写真である。
【図4】本発明の実施例2の半導体発光素子における浸食時間と発光出力の関係を示す特性図である。
【図5】本発明の実施例2のAlGaInP系赤色LEDの表面写真である。
【図6】本発明の実施例4の半導体発光素子における通電時間と相対出力の関係を示す特性図である。
【図7】従来の半導体発光素子の模式的構成を示す断面図である。
【図8】図7の半導体発光素子の表面状態を示す写真である。
【符号の説明】
1 n−GaAs基板
2 n−GaAsバッファ層
3 n−(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層
4 アンドープ(Al0.10Ga0.900.5In0.5P活性層
5 p−(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層
6 p−GaP電流分散層
7 上面電極(p側電極)
8 底面電極(n側電極)
9 凹凸
10 半導体発光素子用エピタキシャルウエハ

Claims (6)

  1. 基板上に発光部を形成し、
    前記発光部上にリン系材料から成る光取り出し面又は半導体最表面層を形成し、 フッ化水素を含む水溶液を用いて前記光取り出し面又は前記半導体最表面層の表面に凹凸を形成する工程を含むことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  2. 前記凹凸を形成する工程の後、前記光取り出し面又は前記半導体最表面層の前記凹凸形成面の所定領域に上面電極を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子の製造方法。
  3. 前記水溶液は、更に過酸化水素を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の半導体発光素子の製造方法。
  4. 前記光取り出し面又は前記半導体最表面層は、GaP層、AlGaP層、又はAlGaInP層で構成されていることを特徴とする請求項1〜3記載の半導体発光素子の製造方法。
  5. 前記基板は、GaAsを用いて第1の導電型に構成され、
    前記発光部は、前記基板上に形成されると共に前記基板と同一導電型の第1のクラッド層と、前記第1のクラッド層上に形成されると共にアンドープもしくは第2の導電型による構成の活性層と、前記活性層上に形成されると共にAlInP、GaInP、又はAlGaInPを主な材料にした第2の導電型による第2のクラッド層とを備えて構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体発光素子の製造方法。
  6. 前記発光部を構成する各層及び前記半導体最表面層の成長はMOVPE(有機金属気相成長)法により行われることを特徴とする請求項6の半導体発光素子の製造方法。
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