JPH0831268A - キーボードスイッチおよびその製造方法 - Google Patents

キーボードスイッチおよびその製造方法

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Publication number
JPH0831268A
JPH0831268A JP6183080A JP18308094A JPH0831268A JP H0831268 A JPH0831268 A JP H0831268A JP 6183080 A JP6183080 A JP 6183080A JP 18308094 A JP18308094 A JP 18308094A JP H0831268 A JPH0831268 A JP H0831268A
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JP
Japan
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elastic spacer
mold
polyester elastomer
thermoplastic polyester
Prior art date
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Application number
JP6183080A
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English (en)
Inventor
Naoki Ando
直樹 安藤
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 部品の数が少なく、組立作業が容易で生産性
の高いキーボードスイッチおよびこのキーボードスイッ
チを有利に製造する方法を提供すること。 【構成】 複数の導電端子が形成された基板と、熱可塑
性ポリエステルエラストマー材料よりなる弾性スペーサ
部材と、弾性スペーサ部材を介して導電端子の各々に対
して離接自在に支持されたキー部材とを具え、弾性スペ
ーサ部材は、基板上に支持される基盤部と、基盤部から
導電端子の各々を包囲する状態で立ち上がる、厚みが
0.05〜0.18mmの変形可能な複数のスカート部
と、スカート部の各々の頂部におけるキー部材受部から
基盤部に伸びる突条部とが一体に形成されてなり、スカ
ート部によってキー部材が導電端子と離間した状態とさ
れると共に、キー部材の特定のものが押下されたとき
に、これに対応するスカート部が変形してキー部材がこ
れに対応する導電端子と接触する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、キーボードスイッチお
よびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、パーソナル・コンピューター、
ワードプロセッサー、その他の装置の操作部には、キー
ボードスイッチが使用されている。
【0003】図7は、従来のキーボードスイッチの1ス
イッチ素子部の構成を示す説明用断面図である。このキ
ーボードスイッチにおいては、底面に導電端子81が形
成された箱状の基材80が設けられ、この基材80の導
電端子81の上方には、シリコーンゴムの成形体よりな
る弾性スペーサ部材85を介して、短絡用接点部材93
が形成された柱状の中間部材90が設けられ、この中間
部材90上には、柱状のキー部材95が設けられてい
る。
【0004】具体的に説明すると、弾性スペーサ部材8
5においては、板状の基部86と、この基部86から導
電端子81を包囲した状態で立ち上がる、変形可能なド
ーム状のスカート部87と、このスカート部87の頂部
における中央に開口89を有する中間部材受部88とが
一体に形成されており、その基部86は、基材80の底
面上に配置され、その外周縁が基材80の垂立部82に
より囲われた状態とされている。中間部材90において
は、その下面中央に下方に突出する突出部91が形成さ
れ、突出部91の下端面には短絡用接点部材93が設け
られている。この中間部材90は、その突出部91が弾
性スペーサ部材85の中間部材受部88の開口89に挿
入されると共に、その上端部が、基材80の垂立部82
の上端に設けられた支持板83の中央に形成された開口
84に挿通された状態で、中間部材受部88上に上下動
自在に配置されている。また、中間部材90には、支持
板83の開口84から離脱することを防止するために、
支持板83の開口84より大きい径の鍔部92が開口8
4を挿通する部分の下部に形成されている。キー部材9
5は、その上部がカバー部材97に形成された開口98
から突出するよう中間部材90上に配置されており、こ
のキー部材95には、カバー部材97の開口98から離
脱することを防止するために、開口98より大きい径の
鍔部96が形成されている。
【0005】このようなキーボードスイッチにおいて
は、通常の状態、すなわちキー部材95が押下されてい
ない状態では、中間部材90が弾性スペーサ部材85の
スカート部87によって上方に抑制されることにより、
短絡用接点部材93が導電端子81と離間した状態とさ
れており、キー部材95が押下されることにより、スカ
ート部87が弾性的に変形して短絡用接点部材93が導
電端子81に接続される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
キーボードスイッチにおいては、キー部材95の他に弾
性スペーサ部材85なども個々の導電端子81毎に配置
する必要があるため、キーボードスイッチ全体の組立作
業が極めて煩雑となり生産性が低い、という問題があ
る。特に、パーソナル・コンピューターなどに使用され
る、例えば100個程度のキーを有するキーボードスイ
ッチを作製する場合には、部品の数が多くて製作コスト
の高いものとなる。
【0007】このような問題を解決するため、共通の基
盤部に複数のスカート部が一体に形成されてなる弾性ス
ペーサ部材が検討されている。然るに、シリコーンゴム
材料を用いて大型の弾性スペーサ部材を製造する場合に
は、加硫工程に相当の時間が必要であり、しかも、不良
品が発生したときには、これを材料として再利用するこ
とができないため、結局、生産性が低いものとなる。
【0008】本発明は以上のような事情に基づいてなさ
れたものであって、その目的は、部品の数が少なく、組
立作業が容易で生産性の高いキーボードスイッチを提供
することにある。本発明の他の目的は、上記のキーボー
ドスイッチを有利に製造することができる方法を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のキーボードスイ
ッチは、表面に複数の導電端子が形成された基板と、こ
の基板の表面上に設けられた、熱可塑性ポリエステルエ
ラストマー材料の成形体よりなる弾性スペーサ部材と、
この弾性スペーサ部材を介して前記基板の導電端子の各
々に対して離接自在に支持されたキー部材とを具えてな
り、前記弾性スペーサ部材は、基板の表面上に支持され
る板状の基盤部と、この基盤部から前記導電端子の各々
を包囲する状態で立ち上がる、厚みが0.05〜0.1
8mmの変形可能な複数のスカート部と、このスカート
部の各々の頂部におけるキー部材受部から前記基盤部に
伸びる突条部とが一体に形成されてなり、前記スカート
部によって前記キー部材が前記導電端子と離間した状態
とされると共に、前記キー部材の特定のものが押下され
たときに、これに対応する前記スカート部が変形して当
該キー部材がこれに対応する導電端子と接触することを
特徴とする。
【0010】上記のキーボードスイッチにおいては、弾
性スペーサ部材における突条部の突出高さが0.03m
m以上であることが好ましい。
【0011】本発明のキーボードスイッチの製造方法
は、上記のキーボードスイッチを製造する方法であっ
て、熱可塑性ポリエステルエラストマー材料を射出成形
することにより、スペーサ部材を製造する成形工程を有
し、この成形工程において、金型のキャビティにおける
スカート部に対応する空間に係る一方の成形面とこれと
離接自在に設けられた他方の成形面とにおける最小の離
間距離が0.3mm以上となる状態で、当該金型内に熱
可塑性ポリエステルエラストマー材料を注入し、その
後、当該金型の型締めを行うことにより、前記一方の成
形面と前記他方の成形面とにおける最小の離間距離が
0.05〜0.18mmとなる状態とし、この状態で、
当該金型内に注入された熱可塑性ポリエステルエラスト
マーを冷却固化することを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明のキーボードスイッチにおいては、弾性
スペーサ部材は射出成形が可能な熱可塑性ポリエステル
エラストマー材料により構成されているため、基本的に
大量生産が可能であり、しかも、厚みの小さいスカート
部には、突条部が形成されているため、所期の性能を有
するスカート部が複数形成された弾性スペーサ部材を容
易にかつ確実に得ることができる。そして、この弾性ス
ペーサ部材は、共通の基盤部に複数のスカート部が一体
に形成されてなるものであるため、キーの数に対応した
数の弾性スペーサ部材が不要であり、部品の数が少なく
て組立作業が容易となり、高い生産性が得られる。
【0013】本発明のキーボードスイッチの製造方法に
よれば、弾性スペーサ部材を製造する工程において、金
型のキャビティにおけるスカート部に対応する空間に係
る一方の成形面と他方の成形面とにおける最小の離間距
離が0.3mm以上となる状態で、熱可塑性ポリエステ
ルエラストマー材料を注入するので、当該キャビティに
おけるスカート部に対応する空間にも確実に熱可塑性ポ
リエステルエラストマー材料が充填される。そして、前
記一方の成形面と前記他方の成形面とにおける最小の離
間距離が0.05〜0.18mmとなる状態で、当該金
型内に注入された熱可塑性ポリエステルエラストマーが
冷却固化されるので、所期の弾性スペーサ部材が更に確
実に得られる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
1は、本発明のキーボードスイッチの一例の具体的構成
を示す説明用断面図である。このキーボードスイッチに
おいては、表面に複数の導電端子11が形成された基板
10が設けられ、この基板10の表面上には、熱可塑性
ポリエステルエラストマー材料の成形体よりなる弾性ス
ペーサ部材20が配置され、この弾性スペーサ部材20
の上方には、基板10の導電端子11の各々に対応して
形成された複数の開口31を有するフレーム30が設け
られている。そして、基板10の各導電端子11の上方
には、弾性スペーサ部材20を介してキー部材40が配
置されている。
【0015】弾性スペーサ部材20においては、板状の
共通の基盤部21と、この基盤部21から基板10の各
導電端子11を包囲した状態で立ち上がる、変形可能な
ドーム状の複数のスカート部22と、このスカート部2
2の各々の頂部における厚みの大きい円板状のキー部材
受部23とが一体に形成されており、キー部材受部23
の中央には開口24が形成されている。図2にも示すよ
うに、スカート部22の各々の外表面には、キー部材受
部23の外縁から放射方向に伸びて基盤部21に到達す
る突条部25が形成されている。図示の例では、キー部
材受部23に対して互いに反対方向に伸びる2つの突条
部25が形成されている。
【0016】キー部材40においては、四角錐台状のキ
ー本体41に、その下面中央から下方に伸びる支持軸4
2が形成されており、この支持軸42は、フレーム30
の開口31に上下方向に摺動自在に挿通されている。ま
た、支持軸42の下端面の中央には、下方に突出する突
出部43が形成され、この突出部43は、弾性スペーサ
部材20のキー部材受部23の開口24に挿入されてお
り、突出部43の下端面には、基板10の導電端子11
に対応する短絡用接点部材45が設けられている。ま
た、支持軸42におけるフレーム30の開口31を挿通
する部分の下部には、その上端が開口31より大きい径
を有し、上端から下端に向かうに従って小径となるテー
パ部44が形成されている。このテーパ部44は、その
上端の径が少なくともフレーム30の開口31に適合す
る大きさにまで内方に弾性的に変移させることが可能な
ものとされており、これにより、キーボードスイッチの
組立工程において、キー部材40を支持軸42の下端か
らフレーム30の開口31に挿入することが可能とな
り、組立後においては、キー部材40が、テーパ部44
によってフレーム30の開口31から離脱することが防
止される。
【0017】また、フレーム30には、隣接する開口3
1の中間の位置において、その下面から下方に伸びる支
柱部32が形成されており、この支柱部32は、弾性ス
ペーサ部材20の基盤部21に形成された開口26を通
って基板10に支持されている。
【0018】以上において、弾性スペーサ部材20のス
カート部22の厚みdは、0.05mm〜0.18mm
とされ、好ましくは0.1mm〜0.15mmである。
スカート部22の厚みdが0.05mm未満の場合に
は、スカート部22の耐屈曲疲労性が小さいものとな
り、また、当該弾性スペーサ部材20を成形すること自
体が困難なものとなる。一方、スカート部22の厚みd
が0.18mmを超える場合には、当該弾性スカート部
材20は、スイッチング操作感覚が重いものとなる。
【0019】また、弾性スペーサ部材20の突条部25
の突出高さhは、0.03mm以上、特に、0.05〜
0.2mmであることが好ましい。また、弾性スペーサ
部材20の突条部25の幅wは、0.5〜1.5mmで
あることが好ましい。
【0020】このような弾性スペーサ部材20は、熱可
塑性ポリエステルエラストマー材料を射出成形すること
により得られるものである。かかる熱可塑性ポリエステ
ルエラストマー材料としては、熱可塑性ポリエステルエ
ラストマー(以下、「(A)成分」ともいう。)単体、
あるいはこの(A)成分に、ジエン系ゴムおよび/また
はアクリル系ゴムよりなるゴム成分(以下、「(B)成
分」ともいう。)、可塑剤(以下、「(C)成分」とも
いう。)およびシリコーンオイル(以下、「(D)成
分」ともいう。)の全部または一部が含有されてなる熱
可塑性ポリエステルエラストマー組成物を用いることが
できる。
【0021】(A)成分である熱可塑性ポリエステルエ
ラストマーは、ポリエステルブロック共重合体であり、
その重合体連鎖中に、主として芳香族ポリエステル単位
からなる高融点結晶性セグメントと、主として脂肪族ポ
リエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位
からなる低融点重合体セグメントとを有するものであ
る。
【0022】ハードセグメントである高融点性結晶セグ
メントの芳香族ポリエステル単位は、酸成分とポリオー
ル成分とから形成される。
【0023】芳香族ポリエステル単位を形成する酸成分
は、芳香族ジカルボン酸であることが好ましく、特に、
テレフタール酸および/または2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸であることが好ましい。また、テレフタール酸
および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸のほか
にイソフタール酸などの他の芳香族ジカルボン酸、ある
いはアジピン酸、セバチン酸、シクロヘキサン−1,4
−ジカルボン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸
を少量併用してもよい。
【0024】芳香族ポリエステル単位を形成するポリオ
ール成分は、炭素数2〜12のグリコールであることが
好ましく、例えばエチレングリコール、プロピレングリ
コール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリ
コール、ヘキサンジオール、デカンジオールなどであ
る。
【0025】高融点結晶性セグメントの融点の下限は特
に限定されないが、一般的には、そのホモポリマーの融
点が150℃以上、好ましくは170℃以上、さらに好
ましくは190℃以上のものである。
【0026】ソフトセグメントである低融点重合体セグ
メントを構成する脂肪族ポリエーテル単位は、ポリアル
キレングリコールにより形成されるが、その具体例とし
ては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチ
レングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共
重合体などが挙げられ、特にポリテトラメチレングリコ
ールが好ましい。これらのポリアルキレングリコール
は、その炭素数と酸素数の比が2〜4.5のものである
ことが好ましく、また、これらは単独で若しくは2種類
以上組み合わせて用いることができる。
【0027】低融点重合体セグメントを構成する他の単
位である脂肪族ポリエステル単位は、主として脂肪族ジ
カルボン酸とポリオールとにより形成される。
【0028】脂肪族ポリエステル単位を形成する脂肪族
ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、
セバチン酸、デカンジカルボン酸などが挙げられ、これ
ら脂肪族ジカルボン酸のほかにイソフタール酸などの芳
香族ジカルボン酸を少量併用してもよい。
【0029】また、脂肪族ポリエステル単位を形成する
ポリオール成分は、炭素数2〜12のグリコール成分で
あることが好ましく、その具体例としては、高融点結晶
性セグメントの芳香族ポリエステル単位を形成するポリ
オール成分として例示したものと同様のものが挙げられ
る。
【0030】脂肪族ポリエステル単位は、上記の脂肪族
ジカルボン酸とポリオール成分とを通常の方法で重縮合
させることより得られるものであり、ホモポリエステル
でも共重合ポリエステルでもよく、あるいは環状のラク
トンを開環重合して得られる、例えばポリ−ε−カプロ
ラクトンなどのポリラクトンでもよい。
【0031】低融点重合体セグメントの融点の上限は特
に限定されないが、一般的には、そのホモポリマーの融
点が130℃以下、好ましくは100℃以下のものであ
る。また、低融点重合体セグメントの分子量は、通常4
00〜6000である。
【0032】熱可塑性ポリエステルエラストマー中の高
融点結晶性セグメントと低融点重合体セグメントとの組
成比は、好ましくは重量比で95/5〜5/95であ
り、さらに好ましくは70/30〜30/70である。
また、熱可塑性ポリエステルエラストマーとしては、軟
化点が100℃以上であるものが好ましい。
【0033】熱可塑性ポリエステルエラストマーとして
特に好ましく用いられるポリエステルブロック共重合体
は、高融点結晶性セグメントがポリテトラメチレンテレ
フタレートまたはポリトリメチレンテレフタレート−
2,6−ナフタレートにより形成され、かつ、低融点重
合体セグメントがポリテトラメチレングリコールなどの
ポリエーテル、ポリテトラメチレンアジペート、ポリ−
ε−カプロラクトンなどのポリエステルにより形成され
るものである。
【0034】また、ジカルボン酸やグリコールの一部と
してポリカルボン酸や多官能性ヒドロキシ化合物、オキ
シ酸などが共重合されたものを用いることもできる。こ
れらの多官能性成分は、3モル%以下の範囲で共重合さ
せることにより、高粘度化成分として有効に作用する。
このような多官能性成分としては、例えばトリメリット
酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、グリセリ
ン、ペンタエリスリトール、またはこれらのエステル、
酸無水物などを挙げることができる。
【0035】熱可塑性ポリエステルエラストマーは、通
常の重合方法によって製造することができる。好適な重
合方法としては、芳香族ジカルボン酸またはそのアルキ
ルエステルと低融点セグメント形成性ジオールとを、触
媒の存在下に約150〜260℃に加熱し、エステル化
反応またはエステル交換反応を行い、次いで真空下に過
剰の低分子ジオールを除去しつつ重縮合反応を行うこと
により熱可塑性エラストマーを得る方法、あらかじめ調
製した高融点ポリエステルセグメント形成性プレポリマ
ーおよび低融点重合体セグメント形成性プレポリマー
に、それらのプレポリマーの末端基と反応する2官能性
の鎖延長剤を混合し、反応させたのち、系を高真空に保
ち、揮発成分を除去することにより熱可塑性ポリエステ
ルエラストマーを得る方法、高重合度の高融点ポリエス
テルとラクトン類とを加熱混合し、ラクトンを開環重合
させつつエステル交換反応させることにより熱可塑性ポ
リエステルエラストマーを得る方法などが挙げられる。
【0036】(B)成分であるゴム成分は、ジエン系ゴ
ムおよびアクリル系ゴムの両方または少なくとも一方よ
りなるものである。ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、
ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−
ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、
クロロプレンゴム、n−ブチルアクリレート−ブタジエ
ンゴム、n−ブチルアクリレート−アクリロニトリル−
ブタジエンゴムが挙げられる。
【0037】アクリル系ゴムとしては、アクリル酸エス
テルゴム、エチレン−アクリル酸エステル共重合体ゴム
が挙げられ、これらのアクリル系ゴムは、架橋点を形成
するエポキシ基、活性塩素基、カルボキシル基などの反
応性基を有するモノマーが共重合されたものであっても
よい。
【0038】これらの中で好ましいものは、アクリロニ
トリル−ブタジエンゴム、n−ブチルアクリレート−ブ
タジエンゴム、n−ブチルアクリレート−アクリロニト
リル−ブタジエンゴム、アクリル系ゴムであり、特に好
ましいものはアクリロニトリル−ブタジエンゴムであ
る。
【0039】また、熱可塑性ポリエステルエラストマー
材料としては、上記の(B)成分が、(A)成分である
熱可塑性ポリエステルエラストマー中に分散混合されて
いるものを用いることが好ましい。
【0040】(C)成分である可塑剤の例としては、プ
ロセスオイル、またはエクステングオイルと呼ばれる鉱
物油系ゴム用軟化剤、ジオクチルフタレート、ジブチル
フタレート、ジエチルフタレート、ブチルベンジルフタ
レート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソデ
シルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソノニ
ルフタレートなどのフタル酸エステル類、トリクレジル
ホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホ
スフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、
トリメチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェ
ート、トリス・クロロエチルホスフェート、トリス・ジ
クロロプロピルホスフェート、縮合リン酸エステル、ト
リフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェー
ト、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフ
ェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホ
スフェート、トリラウリルホスフェート、トリセチルホ
スフェート、トリステアリルホスフェート、トリオレイ
ルホスフェートなどのリン酸エステル類、トリメリット
酸オクチルエステル、トリメリット酸イソノニルエステ
ル、トリメリット酸イソデシルエステルなどのトリメリ
ット酸エステル類、ジペンタエリスリトールエステル
類、ジオクチルアジペート、ジメチルアジペート、ジ−
2−エチルヘキシルアジペート、ジイソブチルアジペー
ト、ジブチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ
ブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシ
ルアゼレート、ジオチクルアゼレート、ジオクチルセバ
ケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチルア
セチルリシノレートなどの脂肪酸エステル類、ピロメリ
ット酸オクチルエステルなどのピロメリット酸エステル
類、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ
化脂肪酸アルキルエステル(例えばエポキシ化脂肪酸オ
クチルエステル)などのエポキシ系可塑剤、アジピン酸
エーテルエステル、ポリエーテルエステル、ポリエーテ
ルなどのポリエーテル系可塑剤などが挙げられ、これら
の可塑剤は単独でまたは2種以上組み合わせて用いるこ
とができる。
【0041】(C)成分である可塑剤は、熱可塑性ポリ
エステルエラストマー材料の流動性を向上させると共
に、硬度を下げる目的などで使用されるが、可塑剤の使
用目的に応じて、(A)成分に選択的に作用するもの、
(B)成分に選択的に作用するもの、または(A)成分
および(B)成分の両成分に作用するものなどを適宜選
択することができる。
【0042】また、可塑剤を用いる場合には、他の成分
との親和性の観点から、フタル酸エステル類、リン酸エ
ステル類、エポキシ系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤、
トリメリット酸エステル類などを用いることが好まし
く、特に、フタル酸エステル類、トリメリット酸エステ
ル類およびポリエーテル系可塑剤を用いることが好まし
い。このような可塑剤を用いることによって、得られる
成形体にブリードが生じることを抑止することができ
る。
【0043】(D)成分であるシリコーンオイルは、弾
性スペーサ部材20を射出成形により製造する際におい
て、金型からの離型性を向上させる効果を有するもので
ある。
【0044】シリコーンオイルの具体例としては、ジメ
チルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、メチルフ
ェニルポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロ
キサン、またはこれらのポリシロキサンの一部をエポキ
シ基やアミノ基で変性したものが挙げられる。これらの
中で好ましいものは、ジメチルポリシロキサンであり、
特に好ましいものは、25℃における粘度が10〜30
000csのジメチルポリシロキサンよりなるシリコー
ンオイルである。
【0045】以上において、(A)成分と(B)成分と
(C)成分との使用割合は、(A)成分:(B)成分:
(C)成分が60〜100重量%:0〜20重量%:0
〜30重量%であり、好ましくは60〜95重量%:5
〜15重量%:0〜25重量%、さらに好ましくは70
〜95重量%:5〜10重量%:0〜20重量%であ
る。
【0046】(A)成分の割合が60重量%未満の場合
には、当該熱可塑性ポリエステルエラストマー材料は、
加工性が低いものとなり、しかも、当該熱可塑性ポリエ
ステルエラストマー材料より得られる弾性スペーサ部材
20は、機械的強度が小さいものとなる。 (B)成分の割合が20重量%を超える場合には、当該
熱可塑性ポリエステルエラストマー材料は、加工性が低
いものとなり、しかも、当該熱可塑性ポリエステルエラ
ストマー材料より得られる弾性スペーサ部材20は、機
械的強度が小さいものとなる。 (C)成分の割合が30重量%を超える場合には、当該
熱可塑性ポリエステルエラストマー材料より得られる弾
性スペーサ部材20には、可塑剤のブリードアウトが生
ずるので、実用上、好ましくない。
【0047】また、(D)成分の使用割合は、(A)成
分、(B)成分および(C)成分の混合成分100重量
部に対して0〜1重量部であり、好ましくは0.01〜
1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、特
に好ましくは0.01〜0.2重量部である。
【0048】(D)成分の割合が1重量部を超える場合
には、当該熱可塑性ポリエステルエラストマー材料より
得られる弾性スペーサ部材20には、(D)成分のブリ
ードアウトが生するので、実用上、好ましくない。
【0049】上記の熱可塑性ポリエステルエラストマー
材料には、必要に応じて、種々の添加剤、例えば公知の
結晶核剤や滑剤などの成形助剤、公知の酸化防止剤、紫
外線吸収剤などの耐熱・耐候性の安定剤、帯電防止剤、
離型剤、染料や顔料などの着色剤等を加えることができ
る。
【0050】本発明において、熱可塑性ポリエステルエ
ラストマー材料として、上記の各成分が、各種押出機、
バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール、さ
らにこれらを組み合わせたものなどによって、溶融混練
されたものを用いることが好ましい。溶融混練する際に
おいては、各成分の添加順序は特に限定されず、例えば
全成分を同時に混練することもでき、また、任意の成分
を混練した後、他の成分を添加して混練することもでき
る。
【0051】また、(D)成分については、例えば
(A)成分、(B)成分および(C)成分を溶融混練し
たものに、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、タ
ンブラーなどにより混合する方法、(A)成分の重合工
程中若しくは終了時に添加する方法などにより添加する
ことができる。また、予め(D)成分を(A)成分に高
濃度に配合したマスターバッチを作製し、これを最終的
な割合となるよう混合する方法により添加してもよい。
【0052】また、以上のようにして得られる熱可塑性
ポリエステルエラストマー材料は、JIS A硬度が6
0〜100のものであることが好ましい。JIS A硬
度が60未満の場合には、当該熱可塑性ポリエステルエ
ラストマー材料より得られる弾性スペーサ部材20は、
クリック感が不足し、スイッチとしての応答性が低いも
のとなる。JIS A硬度が100を超える場合には、
当該熱可塑性ポリエステルエラストマー材料より得られ
る弾性スペーサ部材20は、押圧するために必要な荷重
が大きいものとなるため、スイッチとしての応答性が低
いものとなる。
【0053】また、熱可塑性ポリエステルエラストマー
材料は、MFR(メルトフローレート)が20g/10
min以上のものであることが好ましい。ここに、MF
Rとは、JIS K7210(230℃,2.16k
g)に準拠して測定されるものをいう。MFRが20g
/10min未満の場合には、当該熱可塑性ポリエステ
ルエラストマー材料は溶融された状態の流動性が低いも
のであるため、厚みの小さいスカート部22を成形する
ことが困難となる。
【0054】図3は、弾性スペーサ部材20の製造に用
いられる射出成形用の金型の一例における一部の構成を
示す説明用断面図である。この金型においては、可動側
型板50の一面側(図で右側)に中間可動板60が分離
可能に設けられ、この中間可動板60はその一面側(図
で右側)が固定側受板70に離接可能に設けられてお
り、この固定側受板70の一面(図で右面)の中央に
は、スプルーブッシュ75が設けられている。また、可
動側型板50には、その一面側から他面側方向に貫通し
て伸びるエジェクターピン55が摺動可能に設けられて
いる。そして、可動側型板50および中間可動板60に
より囲まれる空間によって、弾性スペーサ部材20に対
応する形態のキャビティCが形成され、スプルーブッシ
ュ75および固定側受板70には、それぞれの中央を貫
通するようスプルーSが形成され、中間可動板60に
は、スプルーSに連通してランナーRが形成され、さら
にランナーRに連通して、キャビティCのキー部材受部
23に対応する空間部分の各々に開口するようゲートG
が形成されている。このゲートGはいわゆるピンポイン
トゲートである。また、図4に拡大して示すように、可
動側型板50の成形面には、弾性スペーサ部材20の突
条部25に対応する条溝51が、キャビティCにおける
基盤部21に対応する空間部分C1からキー部材受部2
3に対応する空間部分C2まで連通するよう形成されて
いる。
【0055】このような金型を用いることにより、次の
ようにして弾性スペーサ部材20が射出成形される。す
なわち、上記の金型が取り付けられた射出成形機によ
り、溶融した熱可塑性ポリエステルエラストマー材料を
スプルーSからキャビティC内に注入する。次いで、こ
の金型によってキャビティC内の熱可塑性ポリエステル
エラストマー材料を冷却固化し、その後、中間可動板6
0および可動側型板50を開いて、エジェクターピン5
5を前進させることにより、弾性スペーサ部材20が得
られる。
【0056】そして、この弾性スペーサ部材20と、基
板10と、フレーム30と、キー部材40とを組み立て
ることにより、図1に示す構成のキーボードスイッチが
得られる。
【0057】上記のキーボードスイッチにおいては、弾
性スペーサ部材20は、熱可塑性ポリエステルエラスト
マー材料により構成されているため、射出成形法によっ
て大量生産することが可能である。しかも、厚みの小さ
いスカート部22には、突条部25が形成されているこ
とにより、当該弾性スペーサ部材20の成形用の金型の
成形面には、突条部25に対応する条溝51が、キャビ
ティCにおける基盤部21に対応する空間部分C1から
キー部材受部23に対応する空間部分C2まで連通する
よう形成されているので、この条溝51を介してキャビ
ティCにおけるスカート部22に対応する空間部分にも
熱可塑性ポリエステルエラストマー材料が確実に注入さ
れる。その結果、所期の性能を有するスカート部22が
形成された弾性スペーサ部材20を容易にかつ確実に製
造することができる。また、不良品が発生した場合に
は、これを再生材として利用することができるので、高
い歩留りが得られる。
【0058】そして、この弾性スペーサ部材20は、共
通の基盤部21に複数のスカート部22が一体に形成さ
れてなるものであり、キーの数に対応した数の弾性スペ
ーサ部材が不要である。従って、部品の数が少ないた
め、キーボードスイッチの組立作業を容易に行うことが
でき、これにより、高い生産性が得られる。
【0059】以上において、弾性スペーサ部材20の成
形工程に用いられる金型には、キャビティCにおける各
キー部材受部23に対応する空間に係る成形面の各々に
ゲートGが形成されていること、すなわちキーの数に応
じてゲートGが形成されていることが必要である。従っ
て、キーの数が多い場合には、金型の製作コストが相当
に高いものとなる。然るに、後述する本発明のキーボー
ドスイッチの製造方法においては、キーの数に応じてゲ
ートGが形成されている金型が不要となる。
【0060】図5は、本発明の製造方法に用いられる射
出成形用の金型の一例における一部の構成を示す説明用
断面図である。この金型においては、可動側型板50の
一面側(図で右側)に中間可動板65に分離可能に設け
られ、この中間可動板65はその一面側(図で右側)が
固定側受板70に離接可能に設けられており、この固定
側受板70の一面(図で右面)の中央には、スプルーブ
ッシュ75が設けられている。また、可動側型板50に
は、その一面側から他面側方向に貫通して伸びるエジェ
クターピン55が摺動可能に設けられている。そして、
可動側型板50および中間可動板65により囲まれる空
間によって、弾性スペーサ部材20に対応する形態のキ
ャビティCが形成され、スプルーブッシュ75および固
定側受板70には、それぞれの中央を貫通するようスプ
ルーSが形成され、中間可動板65には、スプルーSに
連通してランナーRが形成され、さらにランナーRに連
通して、キャビティCの基盤部21に対応する空間部分
の各々に開口するようゲートGが形成されている。この
ゲートGはいわゆるピンポイントゲートである。また、
図6に示すように、可動側型板50の成形面には、弾性
スペーサ部材20の突条部25に対応する条溝51が、
キャビティCにおける基盤部21に対応する空間部分C
1からキー部材受部23に対応する空間部分C2まで連
通するよう形成されている。
【0061】本発明の製造方法においては、上記のよう
な金型を用いることにより、次のようにして弾性スペー
サ部材20が製造される。すなわち、上記の金型が取り
付けられた射出成形機において、当該金型の型締めを行
わずに、キャビティにおけるスカート部に対応する空間
に係る可動側型板50の成形面M1と、中間可動板65
の成形面M2との間における最小の離間距離が0.3m
m以上となる状態とし、当該金型内にスプルーSから熱
可塑性ポリエステルエラストマー材料を注入する。その
後、当該金型の型締めを行うこうとにより、可動側型板
50の成形面M1と中間可動板65の成形面M2との離
間距離が0.05〜0.18mmとなる状態とし、この
状態で、キャビティC内の熱可塑性ポリエステルエラス
トマー材料を冷却固化し、その後、中間可動板65から
可動側型板50を開いて、エジェクターピン55を前進
させることにより、弾性スペーサ部材20が得られる。
【0062】そして、この弾性スペーサ部材20と、基
板10と、フレーム30と、キー部材40とを組み立て
ることにより、図1に示す構成のキーボードスイッチが
得られる。
【0063】以上の製造方法によれば、可動側型板50
の成形面には、弾性スペーサ部材20の突条部25に対
応する条溝51が、キャビティCにおける基盤部21に
対応する空間部分C1からキー部材受部23に対応する
空間部分C2まで連通するよう形成されており、しか
も、キャビティCにおけるスカート部22に対応する空
間に係る可動側型板50の成形面M1と中間可動板65
の成形面M2との離間距離が0.3mm以上となる状態
で、熱可塑性ポリエステルエラストマー材料を注入する
ので、キャビティCにおけるスカート部22に対応する
空間にも確実に熱可塑性ポリエステルエラストマー材料
が充填される。そして、可動側型板50の成形面M1と
中間可動板65の成形面M2との離間距離が0.05〜
0.18mmとなる状態で、キャビティC内に注入され
た熱可塑性ポリエステルエラストマーが冷却固化される
ので、所期の性能を有する弾性スペーサ部材20を確実
にすることができる。従って、キャビティCにおける各
キー部材受部23に対応する空間に係る成形面の各々に
ゲートGが形成されている特殊な金型を用いる必要がな
いため、生産コストの低いキーボードスイッチが得られ
る。
【0064】以下、本発明の具体的な実施例に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。また、
以下の実施例および比較例において、熱可塑性ポリエス
テルエラストマー材料として、次のようにして調製され
たものを使用した。熱可塑性ポリエステルエラストマー
「PIBIFLEX 35M(エニケム・ポリメリ社
製)」75重量部と、アクリロニトリルブタジエンゴム
「JSR/N230S(日本合成ゴム社製)」5重量部
と、シリコーンオイル「シリコーンオイルSH(東レダ
ウコーニングシリコーン社製)」0.05重量部とを、
ヘンシェルミキサーにより混合した後、2軸押出機によ
り、加熱温度200℃、スクリュー回転数150r.
p.m.の条件で混練し、混練中に2軸押出機の途中か
ら可塑剤「サンソサイザーDUP(新日本理科社製)」
20重量部を添加し、熱可塑性ポリエステルエラストマ
ー材料を調製した。この熱可塑性ポリエステルエラスト
マー材料のJIS A硬度は86であり、MFRは10
2g/10minであった。上記の熱可塑性ポリエステ
ルエラストマー「PIBIFLEX 35M」は、芳香
族ポリエステル(ポリブチレンテレフタレート)のハー
ドセグメントとポリエーテル(ポリテトラメチレングリ
コール)のソフトセグメントとが複数交互に連結したマ
ルチブロックポリマーであり、分子量が100000〜
150000、軟化点が175℃、JIS A硬度が9
3のものである。
【0065】<実施例1>下記条件により図1に示す弾
性スペーサ部材を設計し、この弾性スペーサ部材に対応
するキャビティを有する、図3に示す構成の金型Aを作
製した。 基盤部21の厚み:0.8mm スカート部22の厚み:0.14mm キー部材受部23の厚み:0.20mm スカート部22の高さ:4mm スカート部22の下端の直径:10mm 突条部25の突出高さ:0.15mm 突条部25の幅:1mm スカート部22およびキー部材受部23の数:50(5
行10列)
【0066】金型Aを取り付けた射出成形機(型締め力
100t,(株)日本製鋼所製)を用いて、十分に乾
燥させた熱可塑性ポリエステルエラストマー材料を射出
成形することにより、弾性スペーサ部材を得た。成形条
件は、成形温度が210℃、射出最高圧力が1200k
g/cm2 、保圧は200kg/cm2 で5秒間、冷却
時間が25秒間である。この弾性スペーサ部材を用い
て、図1に示す構成のキーボードスイッチを製造した。
得られたキーボードスイッチにおける各キーについて、
押圧荷重を測定したところ、最小値が50g、最大値が
71g、平均値が59gであり、良好なものであった。
ここに、押圧荷重とは、キー部材を一定の速度で押圧
し、キー部材の底面が基板に接触するまでに測定される
最大動作荷重をいう。
【0067】<実施例2>実施例1において設計した弾
性スペーサ部材に対応するキャビティを有する、図5に
示す構成の金型Bを作製した。上記の金型Bを取り付け
た射出圧縮機構付きの射出成形機(型締め力100t、
(株)日本製鋼所製)を用いて、十分に乾燥させた熱可
塑性ポリエステルエラストマー材料を、金型B内にその
キャビティにおけるスカート部に対応する空間に係る一
方の成形面と他方の成形面との離間距離が0.4mmと
なる状態で注入し、注入を開始してから0.2秒間後に
型締めを行って成形することにより、弾性スペーサ部材
を得た。他の成形条件は、成形温度が210℃、射出最
高圧力が1200kg/cm2 、保圧は200kg/c
2 で5秒間、冷却時間が25秒間である。この弾性ス
ペーサ部材を用いて、図1に示す構成のキーボードスイ
ッチを製造した。このキーボードスイッチにおける各キ
ーについて、実施例1と同様にして押圧荷重を測定した
ところ、最小値が50g、最大値が70g、平均値が5
9gであり、良好なものであった。
【0068】<比較例1>突条部が形成されていないこ
と以外は実施例1と同様の条件により、弾性スペーサ部
材を設計し、この弾性スペーサ部材に対応するキャビテ
ィを有する金型Cを作製した。この金型Cを用いたこと
以外は実施例1と同様にしてキーボードスイッチを製造
した。このキーボードスイッチにおける各キーについ
て、実施例1と同様にして押圧荷重を測定したところ、
最小値が41g、最大値が82gであり、キーによって
押圧荷重にばらつきがあるものであった。
【0069】<比較例2>突条部が形成されていないこ
と以外は実施例2と同様の条件により、弾性部材を設計
し、この弾性スペーサ部材に対応するキャビティを有す
る金型Dを作製した。この金型Dを用いたこと以外は実
施例2と同様にしてキーボードスイッチを製造した。こ
のキーボードスイッチにおける各キーについて、実施例
1と同様にして押圧荷重を測定したところ、最小値が6
0g、最大値が103gであり、キーによって押圧荷重
にばらつきがあるものであった。
【0070】また、金型Dを用いて、実施例1と同様の
条件により射出成形を行ったところ、キャビティにおけ
るスカート部に対応する空間に熱可塑性ポリエステルエ
ラストマー材料が充填されず、弾性スペーサ部材を得る
ことができなかった。
【0071】
【発明の効果】本発明のキーボードスイッチによれば、
弾性スペーサ部材は熱可塑性ポリエステルエラストマー
材料により構成されているため、射出成形法により大量
生産することが可能である。しかも、厚みの小さいスカ
ート部には、突条部が形成されているため、所期の性能
を有するスカート部が形成された弾性スペーサ部材を容
易にかつ確実に製造することができる。また、不良品が
発生した場合には、これを再生材として利用することが
できるので、高い歩留りが得られる。
【0072】そして、この弾性スペーサ部材は、共通の
基盤部に複数のスカート部が一体に形成されてなるもの
であり、キーの数に対応した数の弾性スペーサ部材が不
要であり、従って、部品の数が少ないため、キーボード
スイッチの組立作業を容易に行うことができ、これによ
り、高い生産性が得られる。
【0073】本発明のキーボードスイッチの製造方法に
よれば、弾性スペーサ部材を製造する工程において、金
型のキャビティにおけるスカート部に対応する空間に係
る一方の成形面と他方の成形面とにおける最小の離間距
離が0.3mm以上となる状態で、熱可塑性ポリエステ
ルエラストマー材料を注入するので、当該キャビティに
おけるスカート部に対応する空間にも確実に熱可塑性ポ
リエステルエラストマー材料が充填される。そして、前
記一方の成形面と前記他方の成形面とにおける最小の離
間距離が0.05〜0.18mmとなる状態で、当該金
型内に注入された熱可塑性ポリエステルエラストマーが
冷却固化されるので、所期の弾性スペーサ部材が更に確
実に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るキーボードスイッチの一
例の具体的構成を示す説明用断面図である。
【図2】弾性スペーサ部材の一例を示す説明図であり、
(イ)は平面図、(ロ)は突条部に沿って切断した断面
図である。
【図3】弾性スペーサ部材の製造に用いられる射出成形
用の金型の一例における一部の構成を示す説明用断面図
である。
【図4】図3に示す金型の一部を拡大して示す説明用断
面図である。
【図5】本発明のキーボードスイッチの製造方法に用い
られる金型の一例における一部の構成を示す説明用断面
図である。
【図6】図5に示す金型の一部を拡大して示す説明用断
面図である。
【図7】従来のキーボードスイッチの一例における一部
の構成を示す説明用断面図である。
【符号の説明】
10 基板 11 導電端子 20 弾性スペーサ部材 21 基盤部 22 スカート部 23 キー部材
受部 24 開口 25 突条部 26 開口 30 フレーム 31 開口 32 支持部 40 キー部材 41 キー本体 42 支持軸 43 突出部 44 テーパ部 45 短絡用接
点部材 50 可動側型板 51 条溝 55 エジェクターピン 60,65 中
間可動板 70 固定側受板 75 スプルー
ブッシュ C キャビティ G ゲート R ランナー M1,M2 成形
面 80 基板 81 導電端子 82 垂立部 83 支持板 84 開口 85 弾性スペ
ーサ部材 86 基部 87 スカート
部 88 中間部材受部 89 開口 90 中間部材 91 突出部 92 鍔部 95 キー部材 96 鍔部 97 カバー部
材 98 開口

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に複数の導電端子が形成された基板
    と、この基板の表面上に設けられた、熱可塑性ポリエス
    テルエラストマー材料の成形体よりなる弾性スペーサ部
    材と、この弾性スペーサ部材を介して前記基板の導電端
    子の各々に対して離接自在に支持されたキー部材とを具
    えてなり、 前記弾性スペーサ部材は、基板の表面上に支持される板
    状の基盤部と、この基盤部から前記導電端子の各々を包
    囲する状態で立ち上がる、厚みが0.05〜0.18m
    mの変形可能な複数のスカート部と、このスカート部の
    各々の頂部におけるキー部材受部から前記基盤部に伸び
    る突条部とが一体に形成されてなり、 前記スカート部によって前記キー部材が前記導電端子と
    離間した状態とされると共に、前記キー部材の特定のも
    のが押下されたときに、これに対応する前記スカート部
    が変形して当該キー部材がこれに対応する導電端子と接
    触することを特徴とするキーボードスイッチ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のキーボードスイッチを
    製造する方法であって、 熱可塑性ポリエステルエラストマー材料を射出成形する
    ことにより、スペーサ部材を製造する成形工程を有し、 この成形工程において、金型のキャビティにおけるスカ
    ート部に対応する空間に係る一方の成形面とこれと離接
    自在に設けられた他方の成形面とにおける最小の離間距
    離が0.3mm以上となる状態で、当該金型内に熱可塑
    性ポリエステルエラストマー材料を注入し、その後、当
    該金型の型締めを行うことにより、前記一方の成形面と
    前記他方の成形面とにおける最小の離間距離が0.05
    〜0.18mmとなる状態とし、この状態で、当該金型
    内に注入された熱可塑性ポリエステルエラストマーを冷
    却固化することを特徴とするキーボードスイッチの製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009169567A (ja) * 2008-01-15 2009-07-30 Nec Corp 入力装置およびこの入力装置を備える電子機器

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