JPH07320584A - キーボードスイッチの製造方法 - Google Patents

キーボードスイッチの製造方法

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JPH07320584A
JPH07320584A JP6129829A JP12982994A JPH07320584A JP H07320584 A JPH07320584 A JP H07320584A JP 6129829 A JP6129829 A JP 6129829A JP 12982994 A JP12982994 A JP 12982994A JP H07320584 A JPH07320584 A JP H07320584A
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JP
Japan
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push button
button member
adhesive layer
frame
keyboard switch
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Application number
JP6129829A
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English (en)
Inventor
Naoki Ando
直樹 安藤
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 内部に塵埃や水などが侵入することがなく
て、防塵性、防水性が要求される装置などに好適に用い
ることができるキーボードスイッチを、簡単な工程によ
り確実に製造することができる方法を提供すること。 【構成】 被押圧部がその外周縁から外方に伸びる肉厚
の小さい可変形部を介して基盤部に一体に形成された押
しボタン部材と、この押しボタン部材の基盤部の裏面を
覆うよう設けられたフレームとが、接着層を介して接合
されてなるキーボードスイッチを製造する方法であっ
て、基盤部の裏面の少なくとも一部に接着層形成層が形
成された押しボタン部材を、接着層形成層の外面がキャ
ビティに露出するようインサート射出成形用金型内に装
填し、当該金型のキャビテイ内に溶融された熱可塑性樹
脂を注入することにより、接着層形成層による接着層を
介して押しボタンの裏面に接合された状態のフレームを
成形する工程を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、キーボードスイッチの
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】オーディオ機器、ビデオ機器、OA機
器、プッシュホンやコードレスホンなどの電話機器、電
卓、その他の装置に用いられるキーボードスイッチとし
ては、基盤部に弾性によるスプリング機能を有する可変
形部を介して被押圧部が一体に形成されてなる押しボタ
ン部材を具えてなるものが知られている。
【0003】図9は、従来のキーボードスイッチの一例
の構成を示す説明図である。このキーボードスイッチに
おいては、下面に下方に突出する凸部91が形成された
フレーム90が設けられ、このフレーム90の下方に
は、複数の被押圧部81が、各々その外周縁から外方に
伸びる肉厚の小さい可変形部82を介して共通の基盤部
83に一体に形成されてなる押しボタン部材80が、フ
レーム90の凸部91の下面に適宜の手段により固定さ
れた状態で配置されており、この押しボタン部材80の
被押圧部81の底面には、短絡用接点部材84が設けら
れている。また、フレーム90には、押しボタン部材8
0の被押圧部81の配列に従って開口92が形成されて
おり、押しボタン部材80の基盤部83の下面には、こ
れに接した状態で基板85が配置されており、この基板
85の上面には、各々一対の導電端子部86が短絡用接
点部材84に対応して形成されている。そして、被押圧
部81を押下することにより、短絡用接点部材84によ
ってこれに係る導電端子部86が短絡される。
【0004】このようなキーボードスイッチは、被押圧
部81を押圧可能な状態が得られるよう弾性的に保持す
るものがスカート状の可変形部82であるため、例えば
独立したバネ部材を利用した押しボタン部材を具えてな
るキーボードスイッチに比較して、薄型化を図ることが
できるため、携帯型装置のキーボードスイッチとして好
適である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
キーボードスイッチにおいては、従来、押しボタン部材
80を構成する材料としてシリコーンゴム等のゴムが用
いられ、一方、フレーム90を構成する材料として熱可
塑性樹脂が用いられており、シリコーンゴムと熱可塑性
樹脂との接着性が低いため、押しボタン部材80の基盤
部83とフレーム90の凸部91とを充分に密着した状
態で接合することは困難である。そのため、押しボタン
部材80の基盤部83とフレーム90の凸部91との間
の間隙から塵埃などが侵入してキーボードスイッチの内
部に蓄積され、その結果、スイッチとしての機能が低下
する、という問題がある。特に、携帯型装置のキーボー
ドスイッチは、塵埃などが相当に浮遊する屋外で使用さ
れる場合が多いため、このような問題が顕著である。ま
た、上記のキーボードスイッチにおいては、同様の理由
から水が内部に侵入するため、防水性が要求される装置
に実際上適用することができない、という問題がある。
【0006】本発明は以上のような事情に基づいてなさ
れたものであって、その目的は、内部に塵埃や水などが
侵入することがなくて、防塵性、防水性が要求される装
置などに好適に用いることができるキーボードスイッチ
を、簡単な工程により確実に製造することができる方法
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のキーボードスイ
ッチの製造方法は、熱可塑性エラストマー材料を成形す
ることにより得られる、被押圧部がその外周縁から外方
に伸びる肉厚の小さい可変形部を介して基盤部に一体に
形成されてなる押しボタン部材と、この押しボタン部材
の基盤部の裏面を覆うよう設けられた熱可塑性樹脂材料
よりなるフレームとが、接着層を介して接合されてなる
キーボードスイッチを、インサート射出成形用金型を用
いて製造する方法であって、基盤部の裏面の少なくとも
一部に熱硬化性接着剤よりなる接着層形成層が形成され
た押しボタン部材を、前記接着層形成層の外面がキャビ
ティに露出するようインサート射出成形用金型内に装填
し、当該インサート射出成形用金型のキャビテイ内に溶
融された熱可塑性樹脂を注入することにより、前記接着
層形成層による接着層を介して前記押しボタンの裏面に
接合された状態のフレームを成形する工程を含むことを
特徴とする。
【0008】また、本発明の製造方法においては、接着
層形成層を形成する熱硬化性接着材として、熱硬化性の
導電性インクを用いることができる。
【0009】また、本発明の製造方法においては、熱硬
化性接着剤として、ウレタン硬化性またはエポキシ硬化
性のものを用いることが好ましい。
【0010】
【作用】本発明の製造方法によれば、キャビティ内に注
入された溶融状態の熱可塑性樹脂材料は、押しボタン部
材の基盤部の裏面に形成された接着層形成層の外面の全
面にわたって接する状態となり、しかも、当該溶融熱可
塑性樹脂材料の熱により当該接着層形成層に接着された
状態となり、この状態でフレームが成形されるので、押
しボタン部材の基盤部とフレームとが接着層を介して十
分に密着した状態で接合される。従って、このような方
法によって得られるキーボードスイッチは、押しボタン
部材とフレームとの間に間隙が存在しないため、当該キ
ーボードスイッチの内部に塵埃や水などが侵入すること
がない。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
1は、本発明の製造方法によって得られるキーボードス
イッチの一例における一部の構成を示す説明用断面図で
ある。
【0012】このキーボードスイッチにおいては、複数
(例えば携帯型電話用のキーボードスイッチなどを構成
する場合には、3行4列で合計12個)の被押圧部21
の各々がその外周縁から外方下方に斜めに伸びる肉厚の
小さい可変形部22を介して板状の基盤部23に一体に
形成されてなる押しボタン部材20と、上面の中央に凹
所を形成する段部31が形成されたフレーム30とが設
けられている。具体的には、フレーム30の段部31
は、押しボタン部材20の外周輪郭に適合する平面形状
を有しており、フレーム部材30の段部31上における
凹所内に、押しボタン部材20が配置されている。押し
ボタン部材20の各被押圧部21の底面には、例えば導
電性インクを印刷することにより形成された短絡用接点
部材25が設けられている。フレーム30の段部31に
は、押しボタン部材20の被押圧部21に対向する位置
の各々に開口32が形成され、フレーム30の段部31
の下面には、これに接合された状態で基板10が配置さ
れており、この基板10の上面には、各々一対の導電端
子部11が短絡用接点部材25に対応して形成されてい
る。押しボタン部材20の基盤部23の裏面(図で下
面)とフレーム30の段部31の上面との間には、押し
ボタン部材20の外周に沿って熱硬化性接着剤が硬化さ
れてなる接着層40が設けられ、この接着層40によっ
て、押しボタン部材20の基盤部23とフレーム30と
が互いに密着した状態で一体的に接合されている。
【0013】そして、上記のキーボードスイッチにおい
ては、押しボタン部材20の被押圧部21を押下するこ
とにより、短絡用接点部材25によってこれに係る基板
10の導電端子部11が短絡される。
【0014】押しボタン部材20の可変形部22の肉厚
は、0.05mm〜0.4mm、特に、0.1mm〜
0.2mmであることが好ましい。可変形部22の肉厚
が0.05mm未満の場合には、可変形部22の耐屈曲
疲労性が小さいものとなり、また、当該押しボタン部材
20を成形すること自体が困難なものとなる。一方、可
変形部22の肉厚が0.4mmを超える場合には、当該
押しボタン部材20は、スイッチング操作感覚が重いも
のとなる。押しボタン部材20における基盤部23の厚
みは、0.5mm以上、特に、0.8mm以上であるこ
とが好ましい。また、押しボタン部材20における基盤
部23に対する可変形部22の角度は、30〜60度で
あることが好ましい。また、接着層40の厚みは、5〜
30μmであることが好ましい。
【0015】本発明においては、以上のような構成のキ
ーボードスイッチが以下に説明する工程によって製造さ
れる。先ず、熱可塑性エラストマー材料を用いて、例え
ば射出成形を行うことにより、押しボタン部材20を製
造する。
【0016】熱可塑性エラストマー材料としては、熱可
塑性ポリエステルエラストマー(以下、「(A)成分」
ともいう。)、あるいはこの(A)成分に、ジエン系ゴ
ムおよび/またはアクリル系ゴムよりなるゴム成分(以
下、「(B)成分」ともいう。)、可塑剤(以下、
「(C)成分」ともいう。)およびシリコーンオイル
(以下、「(D)成分」ともいう。)の全部または一部
が含有されてなる熱可塑性ポリエステルエラストマー組
成物を用いることができる。
【0017】(A)成分である熱可塑性ポリエステルエ
ラストマーは、ポリエステルブロック共重合体であり、
その重合体連鎖中に、主として芳香族ポリエステル単位
からなる高融点結晶性セグメントと、主として脂肪族ポ
リエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位
からなる低融点重合体セグメントとを有するものであ
る。
【0018】ハードセグメントである高融点性結晶セグ
メントの芳香族ポリエステル単位は、酸成分とポリオー
ル成分とから形成される。
【0019】芳香族ポリエステル単位を形成する酸成分
は、芳香族ジカルボン酸であることが好ましく、特に、
テレフタール酸および/または2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸であることが好ましい。また、テレフタール酸
および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸のほか
にイソフタール酸などの他の芳香族ジカルボン酸、ある
いはアジピン酸、セバチン酸、シクロヘキサン−1,4
−ジカルボン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸
を少量併用してもよい。
【0020】芳香族ポリエステル単位を形成するポリオ
ール成分は、炭素数2〜12のグリコールであることが
好ましく、例えばエチレングリコール、プロピレングリ
コール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリ
コール、ヘキサンジオール、デカンジオールなどであ
る。
【0021】高融点結晶性セグメントの融点の下限は特
に限定されないが、一般的には、そのホモポリマーの融
点が150℃以上、好ましくは170℃以上、さらに好
ましくは190℃以上のものである。
【0022】ソフトセグメントである低融点重合体セグ
メントを構成する脂肪族ポリエーテル単位は、ポリアル
キレングリコールにより形成されるが、その具体例とし
ては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチ
レングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共
重合体などが挙げられ、特にポリテトラメチレングリコ
ールが好ましい。これらのポリアルキレングリコール
は、その炭素数と酸素数の比が2〜4.5のものである
ことが好ましく、また、これらは単独で若しくは2種類
以上組み合わせて用いることができる。
【0023】低融点重合体セグメントを構成する他の単
位である脂肪族ポリエステル単位は、主として脂肪族ジ
カルボン酸とポリオールとにより形成される。
【0024】脂肪族ポリエステル単位を形成する脂肪族
ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、
セバチン酸、デカンジカルボン酸などが挙げられ、これ
ら脂肪族ジカルボン酸のほかにイソフタール酸などの芳
香族ジカルボン酸を少量併用してもよい。
【0025】また、脂肪族ポリエステル単位を形成する
ポリオール成分は、炭素数2〜12のグリコール成分で
あることが好ましく、その具体例としては、高融点結晶
性セグメントの芳香族ポリエステル単位を形成するポリ
オール成分として例示したものと同様のものが挙げられ
る。
【0026】脂肪族ポリエステル単位は、上記の脂肪族
ジカルボン酸とポリオール成分とを通常の方法で重縮合
させることより得られるものであり、ホモポリエステル
でも共重合ポリエステルでもよく、あるいは環状のラク
トンを開環重合して得られる、例えばポリ−ε−カプロ
ラクトンなどのポリラクトンでもよい。
【0027】低融点重合体セグメントの融点の上限は特
に限定されないが、一般的には、そのホモポリマーの融
点が130℃以下、好ましくは100℃以下のものであ
る。また、低融点重合体セグメントの分子量は、通常4
00〜6000である。
【0028】熱可塑性ポリエステルエラストマー中の高
融点結晶性セグメントと低融点重合体セグメントとの組
成比は、好ましくは重量比で95/5〜5/95であ
り、さらに好ましくは70/30〜30/70である。
また、熱可塑性ポリエステルエラストマーとしては、軟
化点が100℃以上であるものが好ましい。
【0029】熱可塑性ポリエステルエラストマーとして
特に好ましく用いられるポリエステルブロック共重合体
は、高融点結晶性セグメントがポリテトラメチレンテレ
フタレートまたはポリトリメチレンテレフタレート−
2,6−ナフタレートにより形成され、かつ、低融点重
合体セグメントがポリテトラメチレングリコールなどの
ポリエーテル、ポリテトラメチレンアジペート、ポリ−
ε−カプロラクトンなどのポリエステルにより形成され
るものである。
【0030】また、ジカルボン酸やグリコールの一部と
してポリカルボン酸や多官能性ヒドロキシ化合物、オキ
シ酸などが共重合されたものを用いることもできる。こ
れらの多官能性成分は、3モル%以下の範囲で共重合さ
せることにより、高粘度化成分として有効に作用する。
このような多官能性成分としては、例えばトリメリット
酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、グリセリ
ン、ペンタエリスリトール、またはこれらのエステル、
酸無水物などを挙げることができる。
【0031】熱可塑性ポリエステルエラストマーは、通
常の重合方法によって製造することができる。好適な重
合方法としては、芳香族ジカルボン酸またはそのアルキ
ルエステルと低融点セグメント形成性ジオールとを、触
媒の存在下に約150〜260℃に加熱し、エステル化
反応またはエステル交換反応を行い、次いで真空下に過
剰の低分子ジオールを除去しつつ重縮合反応を行うこと
により熱可塑性エラストマーを得る方法、あらかじめ調
製した高融点ポリエステルセグメント形成性プレポリマ
ーおよび低融点重合体セグメント形成性プレポリマー
に、それらのプレポリマーの末端基と反応する2官能性
の鎖延長剤を混合し、反応させたのち、系を高真空に保
ち、揮発成分を除去することにより熱可塑性ポリエステ
ルエラストマーを得る方法、高重合度の高融点ポリエス
テルとラクトン類とを加熱混合し、ラクトンを開環重合
させつつエステル交換反応させることにより熱可塑性ポ
リエステルエラストマーを得る方法などが挙げられる。
【0032】(B)成分であるゴム成分は、ジエン系ゴ
ムおよびアクリル系ゴムの両方または少なくとも一方よ
りなるものである。ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、
ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−
ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、
クロロプレンゴム、n−ブチルアクリレート−ブタジエ
ンゴム、n−ブチルアクリレート−アクリロニトリル−
ブタジエンゴムが挙げられる。
【0033】アクリル系ゴムとしては、アクリル酸エス
テルゴム、エチレン−アクリル酸エステル共重合体ゴム
が挙げられ、これらのアクリル系ゴムは、架橋点を形成
するエポキシ基、活性塩素基、カルボキシル基などの反
応性基を有するモノマーが共重合されたものであっても
よい。
【0034】これらの中で好ましいものは、アクリロニ
トリル−ブタジエンゴム、n−ブチルアクリレート−ブ
タジエンゴム、n−ブチルアクリレート−アクリロニト
リル−ブタジエンゴム、アクリル系ゴムであり、特に好
ましいものはアクリロニトリル−ブタジエンゴムであ
る。
【0035】また、以上の(B)成分としては、極性基
が導入されたものを用いることが好ましい。このような
(B)成分が含有されてなる熱可塑性ポリエステルエラ
ストマー材料によって得られる押しボタン部材20は、
接着層40に対する接着性が高いものとなる。
【0036】また、熱可塑性ポリエステルエラストマー
材料としては、上記の(B)成分が、(A)成分である
熱可塑性ポリエステルエラストマー中に分散混合されて
いるものを用いることが好ましい。
【0037】(C)成分である可塑剤の例としては、プ
ロセスオイル、またはエクステングオイルと呼ばれる鉱
物油系ゴム用軟化剤、ジオクチルフタレート、ジブチル
フタレート、ジエチルフタレート、ブチルベンジルフタ
レート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソデ
シルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソノニ
ルフタレートなどのフタル酸エステル類、トリクレジル
ホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホ
スフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、
トリメチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェ
ート、トリス・クロロエチルホスフェート、トリス・ジ
クロロプロピルホスフェート、縮合リン酸エステル、ト
リフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェー
ト、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフ
ェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホ
スフェート、トリラウリルホスフェート、トリセチルホ
スフェート、トリステアリルホスフェート、トリオレイ
ルホスフェートなどのリン酸エステル類、トリメリット
酸オクチルエステル、トリメリット酸イソノニルエステ
ル、トリメリット酸イソデシルエステルなどのトリメリ
ット酸エステル類、ジペンタエリスリトールエステル
類、ジオクチルアジペート、ジメチルアジペート、ジ−
2−エチルヘキシルアジペート、ジイソブチルアジペー
ト、ジブチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ
ブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシ
ルアゼレート、ジオチクルアゼレート、ジオクチルセバ
ケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチルア
セチルリシノレートなどの脂肪酸エステル類、ピロメリ
ット酸オクチルエステルなどのピロメリット酸エステル
類、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ
化脂肪酸アルキルエステル(例えばエポキシ化脂肪酸オ
クチルエステル)などのエポキシ系可塑剤、アジピン酸
エーテルエステル、ポリエーテルエステル、ポリエーテ
ルなどのポリエーテル系可塑剤などが挙げられ、これら
の可塑剤は単独でまたは2種以上組み合わせて用いるこ
とができる。
【0038】(C)成分である可塑剤は、熱可塑性ポリ
エステルエラストマー材料の流動性を向上させると共
に、硬度を下げる目的などで使用されるが、可塑剤の使
用目的に応じて、(A)成分に選択的に作用するもの、
(B)成分に選択的に作用するもの、または(A)成分
および(B)成分の両成分に作用するものなどを適宜選
択することができる。
【0039】また、可塑剤を用いる場合には、他の成分
との親和性の観点から、フタル酸エステル類、リン酸エ
ステル類、エポキシ系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤、
トリメリット酸エステル類などを用いることが好まし
く、特に、フタル酸エステル類、トリメリット酸エステ
ル類およびポリエーテル系可塑剤を用いることが好まし
い。このような可塑剤を用いることによって、得られる
成形体にブリードが生じることを抑止することができ
る。
【0040】(D)成分であるシリコーンオイルは、押
しボタン部材20を射出成形により製造する際におい
て、金型からの離型性を向上させる効果を有するもので
ある。シリコーンオイルの具体例としては、ジメチルポ
リシロキサン、メチルポリシロキサン、メチルフェニル
ポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサ
ン、またはこれらのポリシロキサンの一部をエポキシ基
やアミノ基で変性したものが挙げられる。これらの中で
好ましいものは、ジメチルポリシロキサンであり、特に
好ましいものは、25℃における粘度が10〜3000
0csのジメチルポリシロキサンよりなるシリコーンオ
イルである。
【0041】以上において、(A)成分と(B)成分と
(C)成分との使用割合は、(A)成分:(B)成分:
(C)成分が60〜100重量%:0〜20重量%:0
〜30重量%であり、好ましくは60〜98重量%:2
〜15重量%:0〜25重量%、さらに好ましくは70
〜98重量%:2〜10重量%:0〜20重量%であ
る。(A)成分の割合が60重量%未満の場合には、当
該熱可塑性ポリエステルエラストマー材料は、加工性が
低いものとなり、しかも、当該熱可塑性ポリエステルエ
ラストマー材料より得られる押しボタン部材20は機械
的強度が小さいものとなる。(B)成分の割合が20重
量%を超える場合には、当該熱可塑性ポリエステルエラ
ストマー材料は、加工性が低いものとなり、しかも、当
該熱可塑性ポリエステルエラストマー材料より得られる
押しボタン部材20は機械的強度が小さいものとなる。
(C)成分の割合が30重量%を超える場合には、当該
熱可塑性ポリエステルエラストマー材料より得られる押
しボタン部材20には、可塑剤のブリードアウトが生ず
るため、当該押しボタン部材20は接着層40に対する
接着性が低いものとなる。
【0042】また、(D)成分の使用割合は、(A)成
分、(B)成分および(C)成分の混合成分100重量
部に対して0〜1重量部であり、好ましくは0.01〜
1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、特
に好ましくは0.01〜0.2重量部である。(D)成
分の割合が1重量部を超える場合には、当該熱可塑性ポ
リエステルエラストマー材料より得られる押しボタン部
材20には、(D)成分のブリードアウトが生するた
め、当該押しボタン部材20は接着層40に対する接着
性が低いものとなる。
【0043】上記の熱可塑性ポリエステルエラストマー
材料には、必要に応じて、種々の添加剤、例えば公知の
結晶核剤や滑剤などの成形助剤、公知の酸化防止剤、紫
外線吸収剤などの耐熱・耐候性の安定剤、帯電防止剤、
離型剤、染料や顔料などの着色剤等を加えることができ
る。
【0044】本発明において、熱可塑性ポリエステルエ
ラストマー材料として、上記の各成分が、各種押出機、
バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール、さ
らにこれらを組み合わせたものなどによって、溶融混練
されたものを用いることが好ましい。溶融混練する際に
おいては、各成分の添加順序は特に限定されず、例えば
全成分を同時に混練することもでき、また、任意の成分
を混練した後、他の成分を添加して混練することもでき
る。
【0045】また、(D)成分については、例えば
(A)成分、(B)成分および(C)成分を溶融混練し
たものに、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、タ
ンブラーなどにより混合する方法、(A)成分の重合工
程中若しくは終了時に添加する方法などにより添加する
ことができる。また、予め(D)成分を(A)成分に高
濃度に配合したマスターバッチを作製し、これを最終的
な割合となるよう混合する方法により添加してもよい。
【0046】また、以上のようにして得られる熱可塑性
ポリエステルエラストマー材料は、JIS A硬度が6
0〜98のものであることが好ましい。JIS A硬度
が60未満の場合には、当該熱可塑性ポリエステルエラ
ストマー材料より得られる押しボタン部材20は、クリ
ック感が不足し、スイッチとしての応答性が低いものと
なる。JIS A硬度が98を超える場合には、当該熱
可塑性ポリエステルエラストマー材料より得られる押し
ボタン部材20は、当該押しボタン部材20の被押圧部
21を押圧するために必要な荷重が大きくなるため、ス
イッチとしての応答性が低いものとなる。
【0047】また、熱可塑性ポリエステルエラストマー
材料は、MFR(メルトフローレート)が20g/10
min以上のものであることが好ましい。ここに、MF
Rとは、JIS K7210(230℃,2.16k
g)に準拠して測定されるものをいう。MFRが20g
/10min未満の場合には、当該熱可塑性ポリエステ
ルエラストマー材料は溶融された状態の流動性が低いも
のであるため、肉厚の小さい可変形部22を成形するこ
とが困難となる。
【0048】次に、図2に示すように、押しボタン部材
20の基盤部23の裏面に接着層形成層41を形成し、
一方、押しボタン部材20の被押圧部21の底面に短絡
用接点部材25を形成する。
【0049】接着層形成層41は、熱硬化性接着剤を押
しボタン部材20の基盤部23の裏面に塗布して硬化処
理することにより形成することができる。熱硬化性接着
剤としては、その熱硬化温度が60〜150℃、特に、
80℃〜120℃であるものを用いることが好ましい。
また、熱硬化性接着剤としては、ウレタン硬化性または
エポキシ硬化性のもの、特に、ウレタン硬化性のものを
用いることが好ましい。ここに、ウレタン硬化性とは、
ウレタン結合の形成が硬化に関与するものをいい、ま
た、エポキシ硬化性とは、エポキシ基の開環反応が硬化
に関与するものをいう。このような材料を用いることに
より、後述する方法において、熱可塑性ポリエステルエ
ラストマー材料よりなる押しボタン部材20と、熱可塑
性樹脂よりなるフレーム30を良好に接合する接着層4
0が形成される。
【0050】熱硬化性接着剤を塗布する手段としては、
スクリーン印刷、パッド印刷などを利用することができ
る。
【0051】接着層形成層41を形成するための硬化処
理の程度は、実際に使用される材料に応じて定められる
が、後述するインサート射出成形において、注入された
熱可塑性樹脂材料により、形成される接着層40に変形
などが生じない程度に硬化処理を行う必要がある。
【0052】短絡用接点部材25は、例えば押しボタン
部材20の被押圧部21の底面に導電性インクを塗布す
ることにより形成される。導電性インクにおける導電性
物質としては、カーボンブラック、グラファイト若しく
は銀粉末またはこれらの混合物などを用いることができ
る。導電性インクにおけるベヒクルとしては、種々のも
のを用いることができ、例えばポリエステル、ポリウレ
タンなどを、キシレン、メチルエチルケトンなどの溶剤
に溶解させたもの、前述したウレタン硬化性若しくはエ
ポキシ硬化性などの熱硬化性のものなどが挙げられる。
導電性インクを塗布する手段としては、スクリーン印
刷、パッド印刷などを利用することができる。
【0053】以上において、接着層形成層41の形成お
よび短絡用接点部材25の形成は、通常、それぞれ個別
の工程で行われるが、本発明においては、接着層形成層
41を形成するための熱可塑性接着剤および短絡用接点
部材25を形成するための導電性インクとして、両者に
必要な条件を満足する同一の樹脂組成物である熱硬化性
の導電性インクを用いることにより、両者を同一の工程
により形成することができる。すなわち、熱硬化性の導
電性インクを押しボタン部材20の被押圧部21の底面
および基盤部23の裏面に塗布し、これを硬化処理する
ことにより、押しボタン部材20の被押圧部21の底面
には、短絡用接点部材25が形成されると共に、押しボ
タン部材20の基盤部23の裏面には、接着層形成層4
1が形成される。このような場合には、押しボタン部材
20として、被押圧部21の底面と基盤部23の裏面と
が実質上同一の平面上に位置されるものが用いられる。
【0054】本発明の製造方法においては、以上のよう
な接着層形成層41および短絡用接点部材25が形成さ
れた押しボタン部材20をインサート射出成形用金型内
に配置し、熱可塑性樹脂材料を用いてインサート射出成
形を行う。熱可塑性樹脂材料としては、アクリロニトリ
ル、ブタジエンおよびスチレンの三者により得られる樹
脂(ABS樹脂)、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン
樹脂、ポリカーボネート樹脂などを用いることができる
が、接着層との接着性の観点から、ABS樹脂、ポリス
チレン樹脂を用いることが好ましい。
【0055】図3は、本発明の製造方法に用いることが
できるインサート射出成形用金型の一例における一部の
構成を示す説明用断面図である。このインサート射出成
形用金型においては、可動側型板50の一面側(図で右
側)に固定側型板60が分離可能に設けられている。可
動側型板50には、その一面側から他面側方向に貫通し
て伸びる複数のエジェクターピン55が摺動可能に設け
られており、固定側型板60の一面(図で右面)の中央
には、スプルーブッシュ61が設けられている。そし
て、可動側型板50および固定側型板60により囲まれ
る空間によってキャビティCが形成され、スプルーブッ
シュ61および固定側型板60には、それぞれの中央を
貫通するようスプルーSが形成され、可動側型板50お
よび固定側型板60にはスプルーSに連通してランナー
Rが形成され、可動側型板50には、ランナーRからキ
ャビティCまで連通するゲートGが形成されている。図
示の例においては、ゲートGはいわゆるサブマリンゲー
トである。
【0056】キャビティC内には、鎖線で示すように、
押しボタン部材20が装填される装填用空間部分Dが形
成され、この装填用空間部分Dに押しボタン部材20が
装填された状態(図4参照)において、当該押しボタン
部材20の被押圧部21の底面側に、収容用空間部分E
が形成されており、これにより、装填された押しボタン
部材20の被押圧部21の底面が、キャビティCにおけ
る実際に成形材料が注入される空間部分に露出されない
状態とされている。
【0057】上記のようなインサート射出成形用金型を
用いることにより、以下のようにして、フレームが成形
される。すなわち、図4に示すように、インサート射出
成形用金型が取り付けられた射出成形機において、当該
金型のキャビティC内の装填用空間部分Dに、接着層形
成層40および短絡用接点部材25が設けられた押しボ
タン部材20を装填した後、当該金型を閉じることによ
り、接着層形成層41の外面がキャビティCに露出した
状態とする。そして、この状態で、図5に示すように、
溶融した熱可塑性樹脂材料を当該金型のキャビティC内
に注入する。この注入は、通常、ホッパーに投入された
熱可塑性樹脂材料を、スクリューを回転させることによ
り溶融させてシリンダーの先端部に充填した後、スクリ
ューをピストン駆動させることにより行われる。次い
で、この金型によってキャビティC内の熱可塑性樹脂材
料を冷却固化して、成形されたフレームが接着層形成層
41に接着された状態とし、その後、固定側型板60か
ら可動側型板50を開いて、エジェクターピン55を前
進させることにより、押しボタン部材の基盤部の裏面に
接着層を介して一体的に接合された状態のフレームが得
られる。
【0058】そして、このフレームが一体的に接合され
た押しボタン部材と、基板およびその他の部材とを組み
立てることにより、キーボードスイッチが得られる。
【0059】以上の製造方法によれば、キャビティC内
に注入された溶融している熱可塑性樹脂材料の流動性と
その注入圧力によって、当該熱可塑性樹脂材料が押しボ
タン部材20の基盤部23の裏面に形成された接着層形
成層41の外面の全面にわたって接する状態が確実に達
成され、しかも、当該溶融熱可塑性樹脂材料の熱により
接着層形成層41に接着された状態となり、この状態で
フレーム30が成形されるので、押しボタン部材20の
基盤部23とフレーム30の段部31とを、接着層40
を介して十分に密着した状態で一体的に接合することが
できる。従って、押しボタン部材20の基盤部23とこ
れに接するフレーム30との間に間隙が形成されること
を防止することができるので、得られるキーボードスイ
ッチは、その内部に塵埃や水などが侵入することがない
ため、防塵性や防水性が要求される装置に好適に用いる
ことができる。
【0060】また、フレーム30の成形およびフレーム
30と押しボタン部材20との接合の両方を単一の工程
で行うことができるため、フレーム30と押しボタン部
材20との組立作業が不要となり、しかも、熱可塑性材
料よりなるフレーム30は剛性を有するため、高い取扱
性が得られ、その結果、簡単な工程によりキーボードス
イッチを容易に製造することができる。
【0061】また、接着層形成層41を形成する熱硬化
性接着剤として、熱硬化性の導電性インクを用いること
により、接着層形成層41および短絡用接点部材25を
同一の工程で形成することができるので、更に簡単な工
程によりキーボードスイッチを容易に製造することがで
きる。
【0062】本発明の製造方法においては、インサート
射出成形用金型として、図6に示すような入れ子型のも
のを用いることができる。具体的に説明すると、図3に
示すインサート成形用金型と同様の構成の可動側型板5
0の一面側(図で右側)に、中央に中空部分を有する固
定側型板65が分離可能に設けられており、この固定側
型板65の中空部分には、断面の輪郭形状が中空部分の
輪郭形状に適合する固定側中型66が脱着可能に設けら
れている。固定側型板65の一面側(図で右側)には、
固定側受板62が離接可能に設けられ、この固定側受板
62の一面(図で右面)の中央には、スプルーブッシュ
61が設けられている。そして、可動側型板50、固定
側型板65および固定側中型66により囲まれる空間に
よって、図3に示す金型と同様の形態のキャビティCが
形成されており、スプルーブッシュ61および固定側受
板62には、それぞれの中央を貫通するようスプルーS
が形成され、可動側型板50、固定側型板65および固
定側中型66には、スプルーSに連通してランナーRが
形成され、可動側型板50には、ランナーRからキャビ
ティCまで連通するゲートGが形成されている。
【0063】このような金型を用いる方法によれば、フ
レーム30を成形する工程において、図3に示すインサ
ート成形用金型を用いる場合と同様に、押しボタン部材
20の基盤部23とフレーム30の段部31とを、接着
層40を介して十分に密着した状態で一体的に接合する
ことができる。
【0064】そして、図7に示すように、固定側中型6
6を取外して、ランナーR1およびゲートG1が形成さ
れた固定側中型67を取り付け、更に、可動側型板50
に可動側中型51を取り付けることにより、可動側型板
50、可動側中型51、固定側型板65および固定側中
型67により取り囲まれる空間によって押しボタン部材
の形態に対応する形態のキャビティC1が形成される。
従って、金型における可動側中型および固定側中型以外
の部分は、押しボタン部材の成形およびフレームの成形
の各々において共通に使用することができ、これによ
り、押しボタン部材専用の金型を用意する必要がないた
め、キーボードスイッチの製作コストを低いものとする
ことができる。
【0065】以下、本発明の具体的な実施例について説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0066】〔インサート射出成形用金型の作製〕金型
の材料としてS55C系の一般金属鋼を用いて、図4に
示す構成の金型Aを作製した。
【0067】〔押しボタン部材の作製〕熱可塑性ポリエ
ステルエラストマー「PIBIFLEX 35M(エニ
ケム・ポリメリ社製)」75重量部と、アクリロニトリ
ルブタジエンゴム「JSR/N230S(日本合成ゴム
社製)」5重量部と、シリコーンオイル「シリコーンオ
イルSH(東レダウコーニングシリコーン社製)」0.
05重量部とを、ヘンシェルミキサーにより混合した
後、2軸押出機により、加熱温度200℃、スクリュー
回転数150r.p.m.の条件で混練し、混練中に2
軸押出機の途中から可塑剤「サンソサイザーDUP(新
日本理科社製)」20重量部を添加し、熱可塑性ポリエ
ステルエラストマー材料を調製した。この熱可塑性ポリ
エステルエラストマー材料のJIS A硬度は86であ
り、MFRは102g/10minであった。上記の熱
可塑性ポリエステルエラストマー「PIBIFLEX
35M」は、芳香族ポリエステル(ポリブチレンテレフ
タレート)のハードセグメントとポリエーテル(ポリテ
トラメチレングリコール)のソフトセグメントとが複数
交互に連結したマルチブロックポリマーであり、分子量
が100000〜150000、軟化点が175℃、J
IS A硬度が93のものである。
【0068】上記の熱可塑性ポリエステルエラストマー
材料を射出成形することにより、図2に示す構成の押し
ボタン部材を得た。この押しボタン部材の可変形部の厚
みは、0.18mmであった。
【0069】〔接着層形成層および短絡用導電部材の形
成〕上記の押しボタン部材における基盤部の裏面および
被押圧部の底面に、スクリーン印刷機により、ウレタン
硬化性の導電性インク(硬化温度80℃)を印刷し、こ
れを常温で乾燥した後、70℃で30分間の硬化処理を
行うことにより、接着層形成層および短絡用導電部材を
形成した。接着層形成層および短絡用導電部材の厚みは
それぞれ15μmであった。
【0070】上記の接着層形成層および短絡用導電部材
が形成された押しボタン部材について、押圧荷重、クリ
ック率および電気抵抗を測定したところ、押圧荷重が2
10g、クリック率が45%、電気抵抗が60Ωであ
り、いずれも良好な値を示した。
【0071】以上において、押圧荷重、クリック率およ
び電気抵抗とは、以下のようにして測定されるものをい
う。 押圧荷重 基板上に押しボタン部材を配置し、当該押しボタン部材
の被押圧部を一定の速度で押圧し、短絡用接点部材が基
板に接触するまでに測定される最大動作荷重を押圧荷重
という。本実験例においては、2mm/secの速度で
押圧したときの押圧荷重を求めた。 クリック率 押しボタン部材の被押圧部の押圧において、測定される
動作荷重とストロークとの間には、図8に示すような関
係が得られる。この図において、最大ピークにおける動
作荷重P1 に対する動作荷重P1 と最小ピークにおける
動作荷重P2 の差の比をクリック率という。すなわち、
クリック率αは、α=(P1 −P2 )/P1 ×100
(%)で求められる。本実施例においては、2mm/s
ecの速度で押圧したときのクリック率を求めた。以上
において、押圧荷重が300g以下で、かつクリック率
が30%以上のものがスイッチング操作感覚の良好なも
のである。 電気抵抗 押しボタン部材の被押圧部の下方にくし型電極(電極幅
0.3mm,間隔0.3mm)を配置し、押しボタン部
材の被押圧部を荷重250gで押圧し、この状態で電気
抵抗を測定した。
【0072】〔フレームの成形〕金型Aを取り付けた射
出成形機において、金型Aのキャビティにおける装填用
空間部分に、押しボタン部材を装填し、ABS樹脂を用
いて、成形温度210〜230℃、冷却時間20秒間の
条件で成形することにより、押しボタン部材が接着層を
介して一体的に接合された状態のフレームを得た。
【0073】以上のようにして得られた押しボタン部材
およびフレームを用いて、図1に示す構成のキーボード
スイッチを製造した。
【0074】フレームの外周の輪郭形状に適合する形状
の開口部を有する、厚さ1mmのアクリル板を作製し、
このアクリル板の開口部に、得られたフレーム一体型の
キーボードスイッチをはめ込み、接着剤を用いて両者を
接合した。このキーボードスイッチが取り付けられたア
クリル板を45度に傾けた状態としで、そのキーボード
スイッチが取り付けられた一面側に、水を勢いよく当て
た後、12時間放置しながらアクリル板の他面側を観察
したところ、湿潤した状態は見られなかった。
【0075】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、キャビティ
内に注入された溶融熱可塑性樹脂材料は、押しボタン部
材の基盤部の裏面に形成された接着層形成層41の外面
の全面にわたって接する状態となり、しかも、当該溶融
熱可塑性樹脂材料の熱により接着層形成層に接着された
状態となり、この状態でフレームが成形されるので、押
しボタン部材の基盤部とフレームとを、接着層を介して
十分に密着した状態で一体的に接合することができる。
従って、押しボタン部材の基盤部とこれに接するフレー
ムとの間に間隙が形成されることを防止することができ
るので、得られるキーボードスイッチは、その内部に塵
埃や水などが侵入することがないため、防塵性や防水性
が要求される装置に好適に用いることができる。
【0076】また、フレームの成形およびフレームと押
しボタン部材との接合の両方を単一の工程で行うことが
できるため、フレームと押しボタン部材との組立作業が
不要となり、しかも、熱可塑性材料よりなるフレームは
剛性を有するため、高い取扱性が得られ、その結果、簡
単な工程によりキーボードスイッチを容易に製造するこ
とができる。
【0077】また、本発明においては、接着層形成層を
形成するための熱硬化性接着剤として、熱硬化性の導電
性インクを用い、当該熱硬化性の導電性インクを押しボ
タン部材の基盤部の裏面および被押圧部の底面に塗布し
て硬化処理することにより、押しボタン部材に接着層形
成層および短絡用接点部材の両方を形成する工程を有す
るキーボードスイッチの製造方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法によって得られるキーボード
スイッチの一例の構成を示す説明用断面図である。
【図2】押しボタン部材に接着層形成層および短絡用接
点部材が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図3】本発明の製造方法に用いられるインサート射出
成形用金型の一例における一部の構成を示す説明用断面
図である。
【図4】図3に示すインサート射出成形用金型のキャビ
ティ内に押しボタン部材が設置された状態を示す説明用
断面図である。
【図5】図3に示すインサート射出成形用金型のキャビ
ティ内に熱可塑性樹脂材料が注入された状態を示す説明
用断面図である。
【図6】本発明の製造方法に用いられる入れ子型のイン
サート射出成形用金型の一例における一部の構成を示す
説明断面図である。
【図7】図6に示す金型において、固定側中型を交換
し、可動側中型を取り付けることにより、押しボタン成
形用の金型に変更した状態を示す説明断面図である。
【図8】被押圧部を押圧したときの動作荷重とストロー
クとの関係を示す特性曲線図である。
【図9】従来のキーボードスイッチの一例を示す説明用
断面図である。
【符号の説明】
10,85 基板 11,86 導
電端子部 20,80 押しボタン部材 21,81 被
押圧部 22,82 可変形部 23,83 基
盤部 25,84 短絡用接点部材 30,90 フ
レーム 31 段部 32,92 開
口 40 接着層 41 接着層形
成層 50 可動側型板 51 可動側中
板 55 エジェクターピン 60,65 固
定側型板 66,37 固定側中型 61 スプルー
ブッシュ 62 固定側受板 91 凸部 C,C1 キャビティ D 装填用空間
部分 E 収容用空間部分 S スプルー R,R1 ランナー G,G1 ゲー

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性エラストマー材料を成形するこ
    とにより得られる、被押圧部がその外周縁から外方に伸
    びる肉厚の小さい可変形部を介して基盤部に一体に形成
    されてなる押しボタン部材と、この押しボタン部材の基
    盤部の裏面を覆うよう設けられた熱可塑性樹脂材料より
    なるフレームとが、接着層を介して接合されてなるキー
    ボードスイッチを、インサート射出成形用金型を用いて
    製造する方法であって、 基盤部の裏面の少なくとも一部に熱硬化性接着剤よりな
    る接着層形成層が形成された押しボタン部材を、前記接
    着層形成層の外面がキャビティに露出するようインサー
    ト射出成形用金型内に装填し、当該インサート射出成形
    用金型のキャビテイ内に溶融された熱可塑性樹脂を注入
    することにより、前記接着層形成層による接着層を介し
    て前記押しボタンの裏面に接合された状態のフレームを
    成形する工程を含むことを特徴とするキーボードスイッ
    チの製造方法。
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