JPH08310924A - シャンプー及び高分子化合物除去剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 水に対して難溶性又は不溶性の有機溶剤（例
えば、ｄ−リモネン、ゲラニオール、リナロール、イソ
ドデカン）を０．５重量％〜５０重量％、好ましくは１
重量％〜２０重量％含有するシャンプー（毛髪からの高
分子化合物除去剤）。 【効果】 トリートメント剤に由来して毛髪に付着した
高分子化合物を容易に除去することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、シャンプー及び毛髪か
らの高分子化合物除去剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、毛髪保護や枝毛、切れ毛などの毛
髪の損傷を防ぐ目的で、毛髪用トリートメント剤に、各
種の高分子化合物、例えばシリコーンポリマーを配合す
ることが行われている。これらの高分子化合物は毛髪表
面に強固に吸着あるいは付着することにより、外界から
の毛髪への刺激を防ぐ働きをする。

【０００３】しかし、これらの高分子化合物をトリート
メント剤に配合することには、各種の弊害がある。例え
ば、毛髪に吸着あるいは付着（以下、付着という）した
高分子化合物は（１）通常の洗髪では十分に除去するこ
とができず、洗髪後にヌル付きが消えない、（２）パー
マをかける際にパーマ液が毛髪に作用せず、毛髪のパー
マ性が低下する、あるいは（３）染毛がうまく行えない
といった各種の弊害の原因となる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、毛髪に付着
した高分子化合物を容易に除去できるシャンプー及び高
分子化合物除去剤を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな課題を解決するため、トリートメント剤に由来する
高分子化合物を毛髪から容易に洗浄除去しうる高性能な
洗髪用洗浄剤を開発すべく鋭意研究し、本発明を完成し
た。

【０００６】本発明は、有機溶剤を０．５重量％〜５０
重量％、好ましくは１〜２０重量％、更に好ましくは２
重量％〜１０重量％含有するシャンプー及び毛髪からの
高分子化合物除去剤にある。

【０００７】（１）有機溶剤 本発明のシャンプーは、通常のシャンプーに有機溶剤を
配合することにより調製できる。本発明の毛髪からの高
分子化合物除去剤は、水性媒体に有機溶剤を配合するこ
とにより調製できる。本発明のシャンプー及び高分子除
去剤において、有機溶剤は、毛髪に付着した高分子化合
物を溶解除去する作用を有する。

【０００８】有機溶剤としては、一般に溶剤として使用
される有機化合物を使用することができる。有機溶剤と
しては、水に対して難溶性又は不溶性のものが好まし
く、具体的には、水に対する溶解度が０ｇ／ｌ〜２００
ｇ／ｌ（２５℃）、好ましくは０ｇ／ｌ〜１５０ｇ／ｌ
（２５℃）、更に好ましくは０ｇ／ｌ〜１００ｇ／ｌ
（２５℃）の範囲にある有機溶剤が好ましい。このよう
な有機溶剤としては、炭素数４５以下、好ましくは４〜
３０、更に好ましくは６〜２０の有機化合物を挙げるこ
とができる。有機溶剤としては、テルペンをはじめとし
て、炭化水素、アルコール、ケトン、エステル、有機
酸、アミン、アミド、エーテル等の有機化合物を使用す
ることができる。有機溶剤として使用する有機化合物と
しては、天然のもの及び合成されたもの並びに芳香族系
のもの及び脂肪族系のもののいずれも使用することがで
きる。具体的な有機溶剤としては、以下の化合物を挙げ
ることができる。

【０００９】すなわち、テルペンとして、ｄ−リモネ
ン、リナロール、ゲラニオール、シトロネラール、スク
ワレン、テルピネン、ファルネソール、カンファー、ボ
ルネオール、フムレン等を挙げることができる。炭化水
素として、イソドデカン、ドデセン、テトラデカン、ヘ
キサデカン、ペンタデカン、石油エーテル、リグロイン
等を挙げることができる。アルコールとして、飽和、不
飽和、芳香族、分岐、直鎖等の一価及び多価アルコール
を使用することができ、具体的には、オクタノール、イ
ソデカノール、イソオクタデカノール、ゲルベ型アルコ
ール、オレイルアルコール、２−エチルヘキシルアルコ
ール、ドデカン−１、２−ジオール等を挙げることがで
きる。

【００１０】ケトンとして、飽和、不飽和、芳香族、分
岐、直鎖等のケトン類を使用することができ、具体的に
は、ブチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シク
ロオクタノン、フェニルイソブチルケトン、ベンジルブ
チルケトン等を挙げることができる。エステルとして、
飽和、不飽和、芳香族、分岐、直鎖等のエステルを使用
することができ、具体的には、イソプロピルパルミテー
ト、２−エチルヘキシルアルコール脂肪酸エステル、オ
レイルアルコール酢酸エステル、オレイン酸エチルエス
テル等を挙げることができる。有機酸として、飽和、不
飽和、芳香族、分岐、直鎖等のカルボン酸を使用するこ
とができ、具体的には、イソステアリン酸、オレイン
酸、２−エチルヘキサン酸等を挙げることができる。

【００１１】アミンとして、飽和、不飽和、芳香族、分
岐、直鎖等のアミンを使用することができ、具体的に
は、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン
等を挙げることができる。アミドとして、飽和、不飽
和、芳香族、分岐、直鎖等のアミド類を使用することが
でき、具体的には、オレイン酸ジメチルアミド、２−エ
チルヘキサン酸ジエチルアミド等を挙げることができ
る。エーテルとして、飽和、不飽和、芳香族、分岐、直
鎖等のエーテル類及びグリコールエーテル類を使用する
ことができ、具体的には、オレイルエーテル、エチルオ
レイルエーテル、２−エチルヘキシルイソプロピルエー
テル、ベンジルオレイルエーテル、イソプロピルエーテ
ル、オクタデシルメトキシエトキシエーテル、１，２−
ジオクチルオキシエタン、１，４−ジイソプロピルオキ
シブタン等を挙げることができる。

【００１２】（２）シャンプー 本発明のシャンプーは、有機溶剤の他に界面活性剤及び
水を含有し、必要に応じてその他の添加剤を含有するこ
とができる。界面活性剤及び水は、シャンプーの有効成
分として通常の洗浄作用とともに、毛髪表面から高分子
化合物を溶解除去した有機溶剤を洗い流す作用を有す
る。

【００１３】界面活性剤としては、通常のシャンプーに
使用されるものを使用することができ、必要に応じて複
数の界面活性剤を併用することができる。界面活性剤と
しては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非
イオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれの種類のも
のも使用することができる。具体的な界面活性剤として
は、高級アルコールエトキシ硫酸トリエタノールアミン
塩、高級アルコールポリオキシエチレンエーテル、脂肪
酸ジエタノールアミド、石けん、高級アルコール硫酸エ
ステル塩、Ｎ−アシルメチルタウリン塩、イミダゾリニ
ウムベタイン、酢酸ベタイン等を挙げることができる。

【００１４】本発明のシャンプーの界面活性剤の含有量
については、特に限定はないが、通常、５重量％〜６０
重量％、好ましくは１０〜５０重量％、更に好ましくは
２０〜４０重量％とするのがよい。水は、シャンプーの
主要な媒体を形成するものであり、本発明のシャンプー
の水の含有量は、通常、２０重量％〜７０重量％、好ま
しくは３０重量％〜６０重量％、更に好ましくは３５重
量％〜５５重量％とするのがよい。

【００１５】その他の添加剤としては、例えば、ＥＤＴ
Ａ等のキレート剤、パラオキシ安息香酸等の防腐剤、グ
アーガム等の増粘剤、低級アルコール（エタノール等）
等の可溶化剤、セタノール等の加脂剤、着色料、香料、
その他通常配合される添加剤を使用することができる。

【００１６】（３）高分子化合物除去剤 本発明の毛髪からの高分子化合物除去剤は、必須成分と
して水性媒体及び有機溶剤を含有する。水性媒体は、水
を主成分とする液状媒体であり、必要に応じて各種の添
加剤を含有することができる。高分子化合物除去剤の使
用方法としては、例えば、高分子化合物が付着した毛髪
を高分子化合物除去剤で処理した後、水で洗い流すこと
により行うことができるが、必要に応じて通常のシャン
プーをさらに使用することにより洗浄効率を高めること
ができる。この場合、高分子化合物は、まず、有機溶剤
で溶解され、除去されやすい状態となった後、シャンプ
ーに由来する界面活性剤により洗浄水中へと効率よく運
ばれるので、効果的な洗浄が可能となる。

【００１７】

【作用及び効果】本発明のシャンプー及び高分子化合物
除去剤は、パーマの前処理剤として有用である。パーマ
をかける際に、本発明のシャンプー又は高分子化合物除
去剤により毛髪を前処理することにより、毛髪に付着し
た高分子化合物を効率よく除去することができるので、
高分子化合物により、パーマ性が低下することを未然に
防止することができる。なお、本発明のシャンプー及び
高分子化合物除去剤は、必要に応じて水で希釈して使用
することができる。

【００１８】本発明のシャンプー及び高分子化合物除去
剤による除去の対象となる高分子化合物は、主にトリー
トメント剤に由来する高吸着性の高分子化合物である。
通常、トリートメント剤に配合される高分子化合物とし
ては、高分子量シリコーン、高分子量ワックス及び各種
の合成ポリマーを挙げることができる。これらの中でも
特に広く使用されているのが高分子量シリコーンであ
る。しかし、毛髪に付着した高分子化合物、特に高分子
量シリコーンは、通常の洗髪用洗剤（シャンプー）で洗
浄しても、ほとんど除去できないのが現状である。

【００１９】これに対し、本発明のシャンプー又は高分
子化合物除去剤を使用することにより、従来ほとんど除
去できなかったトリートメント剤に由来する高分子化合
物を容易に除去することができる。本発明のシャンプー
及び高分子化合物除去剤によれば、市販されている業務
用の洗髪剤（シャンプー）との比較では、人為的に毛髪
に付着させた高分子量シリコーンの洗浄性において、市
販品が３０％程度の除去率であるのに対し、ほぼ１００
％の除去率で完全に除去することができる。

【００２０】

【実施例】実施例１ 市販のシリコーン含有毛髪コート剤で処理した人毛に対
する表１に示した処方のシャンプーによる洗浄性を評価
した。洗浄は、コート処理された人毛の一束をシャンプ
ーの２０％水溶液１００ｍｌに浸漬し、マグネチックス
ターラーで１０分間、撹拌洗浄した後、同様にして純水
で２回かるくすすぎ洗いを行った。乾燥させた後、赤外
線吸光分析により残留シリコーンの量を測定した。

【００２１】

【表１】実施処方例 高級アルコールエトキシ硫酸トリエタノールアミン塩（ＳＥＡ） ５重量％ 高級アルコールポリオキシエチレンエーテル（ＡＯＥ） ２５重量％ 脂肪酸ジエタノールアミド（ＤＥＡ） １５重量％ ジエチレングリコールモノエチルエーテル（ＥＧＥ） １０重量％ 有機溶剤 ５重量％水 ４０重量％ 。

【００２２】コート処理の程度の異なる２系統の人毛
（試験１及び試験２；試験１では試験２よりも多量の人
毛を処理）を使用し、有機溶剤として、それぞれｄ−リ
モネン（試料１）又はゲラニオール（試料２）を含有す
るシャンプーについて試験した。また、比較のため業務
用市販シャンプー（ヘレンカーチスプロシャンプー）に
ついて試験した（比較例１）。シリコーン残留量は、コ
ート処理した洗浄前の人毛の赤外吸光分析の吸光度をベ
ース（シリコーン付着量１００％）とし、洗浄後の人毛
の赤外吸光分析値（吸光度）より評価した。結果を表２
に示す。

【００２３】

【表２】

【００２４】実施例２〜８、比較例２ 高分子シリコーンのヘキサン溶液に浸漬してシリコーン
処理した人毛を、シャンプーの５％水溶液に１時間浸漬
（機械力による洗浄は行わない）して洗浄を行い、純水
ですすぎを２回行った後、実施例１と同様にしてシリコ
ーン残留量を測定した。使用したシャンプーの処方を表
３に、シリコーン残留量の測定結果を表４に示す。な
お、比較例３は、業務用市販シャンプー（ヘレンカーチ
スプロシャンプー）を使用した例である。

【００２５】

【表３】 ＳＥＡ ＡＯＥ ＤＥＡ ＥＧＥ 水 有機溶剤 実施例２ ５ ２５ １５ １０ ４４ １（ｄ−リモネン） 実施例３ ５ ２５ １５ １０ ４３ ２（ｄ−リモネン） 実施例４ ５ ２５ １５ １０ ４２ ３（ｄ−リモネン） 実施例５ ５ ２５ １５ １０ ４１ ４（ｄ−リモネン） 実施例６ ５ ２５ １５ １０ ４０ ５（ｄ−リモネン） 実施例７ ５ ２５ １５ １０ ４０ ５（イソドデカン） 実施例８ ５ ２５ １５ １０ ４０ ５（リナロール） 比較例２ ５ ２５ １５ １０ ４５ ０ 。

【００２６】

【表４】 実施例 比較例 ２ ３ ４ ５ ６ ７ ８ ２ ３ 残留量（％） 18.6 15.8 11.4 10.0 6.7 6.9 6.5 33.3 ４９．０

フロントページの続き (72)発明者 坂口 淳 奈良県生駒郡斑鳩町高安500番地 日宏化 学薬品株式会社内 (72)発明者 涌井 清史 奈良県生駒郡斑鳩町高安500番地 日宏化 学薬品株式会社内 (72)発明者 鹿浦 英毅 大阪府大阪市中央区東平２丁目３番21号 大鹿香料株式会社内 (72)発明者 上辻 利之 大阪府大阪市中央区東平２丁目３番21号 大鹿香料株式会社内

Claims (14)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 有機溶剤を０．５重量％〜５０重量％含
   有するシャンプー。
2. 【請求項２】 有機溶剤を１重量％〜２０重量％含有す
   るシャンプー。
3. 【請求項３】 有機溶剤が水に対して難溶性又は不溶性
   である請求項１又は２に記載のシャンプー。
4. 【請求項４】 有機溶剤の水に対する溶解度が０ｇ／ｌ
   〜２００ｇ／ｌ（２５℃）である請求項１〜３のいずれ
   かに記載のシャンプー。
5. 【請求項５】 有機溶剤が炭素数４５以下の有機化合物
   である請求項１〜４のいずれかに記載のシャンプー。
6. 【請求項６】 有機溶剤が炭化水素、アルコール、ケト
   ン、エステル、有機酸、アミン、アミド及びエーテルか
   らなる群から選ばれた有機化合物の１種又は２種以上の
   混合物である請求項１〜５のいずれかに記載のシャンプ
   ー。
7. 【請求項７】 有機溶剤がテルペンである請求項１〜５
   のいずれかに記載のシャンプー。
8. 【請求項８】 水性媒体中に有機溶剤を０．５重量％〜
   ５０重量％配合してなる毛髪からの高分子化合物除去
   剤。
9. 【請求項９】 水性媒体中に有機溶剤を１重量％〜２０
   重量％配合してなる毛髪からの高分子化合物除去剤。
10. 【請求項１０】 有機溶剤が水に対して難溶性又は不溶
    性である請求項８又は９に記載の高分子化合物除去剤。
11. 【請求項１１】 有機溶剤の水に対する溶解度が０ｇ／
    ｌ〜２００ｇ／ｌ（２５℃）である請求項８〜１０のい
    ずれかに記載の高分子化合物除去剤。
12. 【請求項１２】 有機溶剤が炭素数４５以下の有機化合
    物である請求項８〜１１のいずれかに記載の高分子化合
    物除去剤。
13. 【請求項１３】 有機溶剤が炭化水素、アルコール、ケ
    トン、エステル、有機酸、アミン、アミド及びエーテル
    からなる群から選ばれた有機化合物の１種又は２種以上
    の混合物である請求項８〜１２のいずれかに記載の高分
    子化合物除去剤。
14. 【請求項１４】 有機溶剤がテルペンである請求項８〜
    １２のいずれかに記載の高分子化合物除去剤。