JPH08310139A - 熱記録転写体及び熱転写記録方法 - Google Patents

熱記録転写体及び熱転写記録方法

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JPH08310139A
JPH08310139A JP7271613A JP27161395A JPH08310139A JP H08310139 A JPH08310139 A JP H08310139A JP 7271613 A JP7271613 A JP 7271613A JP 27161395 A JP27161395 A JP 27161395A JP H08310139 A JPH08310139 A JP H08310139A
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JP
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layer
resin
dyeing
dye
recording
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Pending
Application number
JP7271613A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuyoshi Taguchi
信義 田口
Akihiro Imai
章博 今井
Atsushi Sogami
淳 曽我美
Yasuo Fukui
康雄 福井
Masanori Yoshikawa
正紀 吉川
Hiroyuki Matsuo
浩之 松尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Priority to JP7271613A priority Critical patent/JPH08310139A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 受像体の基質に関係なく受像体に高品位のピ
クトリアル画像を形成することを可能にした染料熱転写
記録を繰り返し安定に遂行させることができる熱記録転
写体を提供する。 【解決手段】 染着層転写体2の染着層23を中間媒体4の
機能層42上に熱転写するプロセス,染料転写体1の色材
層12中の染料を画信号に応じて前記機能層42 上に転写
された染着層23に熱転写するプロセス,及びこの染料が
記録された染着層23を受像体5 上に熱転写するプロセス
をこの順に行う熱転写記録の前記染料転写体として供さ
れる熱記録転写体を、その色材層がポリアクリロニトリ
ルスチレン樹脂と,下記の(a)(b)(c) の樹脂のうちの少
なくとも1つの樹脂とを混合比が2:8〜8:2の範囲となる
よう混合してなる樹脂を用いて構成されたものにする。
(a)ポリ塩化ビニル樹脂, (b)ポリ塩化ビニル樹脂とポリ
酢酸ビニル樹脂の共重合樹脂,(c)ポリ塩化ビニル樹脂と
ポリ酢酸ビニル樹脂とポリビニルアルコール樹脂の共重
合樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は受像体の基質に関係
なく受像体に高画質フルカラー画像を形成する染料熱転
写記録を安定に遂行させるための熱記録転写体,及び受
像体の全面に高画質フルカラー画像を形成することを可
能にした染料熱転写記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】染料熱転写記録はカラー写真に匹敵する
高画質画像を提供できる唯一の小型・保守・即時性の優
れた記録技術である。これは薄いフィルム基材上に昇華
性染料を含む色材層をもうけた転写体と合成紙などの厚
手フルム基材上に染着層をもうけた受像体を重ね、熱記
録ヘッドを用いて昇華性染料を染着層に移行し染料分子
の混色画像を記録するものである。記録は、一般的に受
像体を駆動し受像体と転写体間の摩擦力で転写体を従動
しておこなう。
【0003】一方、色々な所に記録画像を添付するた
め、タックシートを用いる方法が提案されている。タッ
クシートは、上層と下層の2枚構造からなる受像体であ
って、基材の表面に染着層を形成して得られた上層を、
これの前記基材裏面に粘着材を設けて、その上面に離型
層が設けらた支持体からなる下層上に固定化したもので
ある。記録後、上層をはがし葉書等に添付して用いてい
る。
【0004】前述のように、染料熱転写記録方法による
記録画像は特殊紙の上に形成される。そのため、ランニ
ングコストが高く本技術の普及を妨げていた。また、最
近のマルチメディア時代の情報は画像と文字が混在し、
それを電子写真法を用いた画像形成装置と同じように普
通紙に記録したいという強い要望が出されているが、従
来の染料熱転写記録方法では普通紙上に高品質の画像を
得ることは不可能であった。
【0005】そこで、本発明者らは特願平2−2656
41号,特願平2−282112号特願平2−2821
13号等において受像体の基質に関係なく、受像体に高
画質フルカラー画像を形成することができる染料熱転写
記録方法を提案した。この方法は、第1の基材の裏面に
滑性耐熱層を有し,表面に少なくとも染着層を有する染
着層転写体と、第2の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,
表面に少なくとも色材層を有する染料転写体と、第3の
基材上に機能層を有する中間媒体と、受像体とを用い、
前記染着層転写体の前記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接さ
せることにより前記染着層を前記中間媒体の機能層上に
熱転写するプロセス,前記染料転写体の前記滑性耐熱層
に熱ヘッドを当接させることにより前記機能層上に転写
された染着層に前記色材層中の染料を画信号に応じて熱
転写記録するプロセス,及びこの染料が記録された染着
層を受像体の主面上に熱転写するプロセスをこの順に行
って熱転写記録を行うものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、この染料熱
転写記録に供される従来の熱転写記録体、すなわち、前
記従来の染着層転写体や染料転写体では、高画質フルカ
ラー画像を繰り返し安定に形成すること、特に、環境条
件に左右されることなく繰り返し安定に形成することが
困難であるという問題点があった。
【0007】また、前記従来の染料熱転写記録では、受
像体の外周部に未記録の余白部が形成され、受像体全体
に画像を記録することができないという問題点があっ
た。本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、前
述した染料熱転写記録において、高画質フルカラー画像
を繰り返し安定に得ることを可能にする熱記録転写体を
提供することを目的とするものである。
【0008】また、本発明の他の目的は、前述した染料
熱転写記録において、高画質フルカラー画像を環境条件
に左右されることなく繰り返し安定に得ることを可能に
する熱記録転写体を提供することにある。
【0009】また、本発明の他の目的は、受像体の全面
に画像を記録することができる染料熱転写記録方法を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる熱記録転
写体の第1の構成は、第1の基材の裏面に滑性耐熱層を
有し,表面に離型層と染着層をこの順に積層した積層構
成を有する染着層転写体と、第2の基材の裏面に滑性耐
熱層を有し,表面に接着層と色材層をこの順に積層した
積層構成を有する染料転写体と、第3の基材上に機能層
を有する中間媒体と、受像体とを用い、前記染着層転写
体の前記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させることにより
前記染着層を前記中間媒体の機能層上に熱転写するプロ
セス,前記染料転写体の前記滑性耐熱層に熱ヘッドを当
接させることにより前記機能層上に転写された染着層に
前記色材層中の染料を画信号に応じて熱転写記録するプ
ロセス,及びこの染料が記録された染着層を受像体の主
面上に熱転写するプロセスをこの順に実行する染料熱転
写記録に前記染料転写体として供される熱記録転写体で
あって、基材と、前記基材の裏面に形成された滑性耐熱
層と、前記基材の表面に接着層を介して形成された色材
層とを有し、この色材層を構成する樹脂をポリアクリロ
ニトリルスチレン樹脂と、下記の(a)(b)(c)の
樹脂のうちの少なくとも1つの樹脂とを、混合比が2:
8ないし8:2の範囲となるよう混合してなるものとし
たものである。
【0011】(a)ポリ塩化ビニル樹脂,(b)ポリ塩
化ビニル樹脂とポリ酢酸ビニル樹脂の共重合樹脂,
(c)ポリ塩化ビニル樹脂とポリ酢酸ビニル樹脂とポリ
ビニルアルコール樹脂の共重合樹脂。
【0012】前記第1の構成においては、基材表面の接
着層を構成する樹脂と,前記色材層との付着力を、50
℃以上で20g/インチ以上にするのが好ましい。また
前記第1の構成においては、前記基材表面の接着層を構
成する樹脂のガラス転移温度を40℃以上にするのが好
ましい。
【0013】また前記第1の構成においては、前記基材
をポリエステルフィルムにし、前記基材表面の接着層を
構成する樹脂をガラス転移温度が60℃以上のランダム
共重合ポリエステル樹脂にするのが好ましい。
【0014】また前記第1の構成においては、前記基材
を前記染料転写体が形成される前記第2基材と,前記染
着層転写体が形成される前記第1基材の両方に使用され
るものにするのが好ましい。
【0015】本発明にかかる熱記録転写体の第2の構成
は、第1の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,表面に離型
層と染着層をこの順に積層した積層構成を有する染着層
転写体と、第2の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,表面
に接着層と色材層をこの順に積層した積層構成を有する
染料転写体と、第3の基材上に機能層を有する中間媒体
と、受像体とを用い、前記染着層転写体の前記滑性耐熱
層に熱ヘッドを当接させることにより前記染着層を前記
中間媒体の機能層上に熱転写するプロセス,前記染料転
写体の前記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させることによ
り前記機能層上に転写された染着層に前記色材層中の染
料を画信号に応じて熱転写記録するプロセス,及びこの
染料が記録された染着層を受像体の主面上に熱転写する
プロセスをこの順に実行する染料熱転写記録に前記染着
層転写体として供される熱記録転写体であって、基材
と、前記基材の裏面に形成された滑性耐熱層と、前記基
材の表面に離型層を介して形成された染着層とを有し、
この染着層を前記離型層から遠い位置にある部分程高い
耐熱性を示すものにしたものである。
【0016】本発明にかかる熱記録転写体の第3の構成
は、第1の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,表面に離型
層と染着層をこの順に積層した積層構成を有する染着層
転写体と、第2の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,表面
に接着層と色材層をこの順に積層した積層構成を有する
染料転写体と、第3の基材上に機能層を有する中間媒体
と、受像体とを用い、前記染着層転写体の前記滑性耐熱
層に熱ヘッドを当接させることにより前記染着層を前記
中間媒体の機能層上に熱転写するプロセス,前記染料転
写体の前記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させることによ
り前記機能層上に転写された染着層に前記色材層中の染
料を画信号に応じて熱転写記録するプロセス,及びこの
染料が記録された染着層を受像体の主面上に熱転写する
プロセスをこの順に実行する染料熱転写記録に前記染着
層転写体として供される熱記録転写体であって、前記染
着層を、前記離型層に接する第1染着層と,この第1染
着層を被覆して保護する保護層とからなる2層構成、ま
たは前記離型層に接する第1染着層と,この第1染着層
を被覆して保護する保護層と,この保護層上に形成され
た膜強度補強層とからなる3層構成にしたものである。
【0017】前記第3の構成においては、前記第1染着
層をガラス転移温度Tgが60℃未満のポリビニルブチ
ラール樹脂またはポリビニルアセタール樹脂と離型材と
を含むものにし、前記保護層を70℃以上の互いに異な
る温度のガラス転移温度Tgを有する複数のポリビニル
ブチラール樹脂またはポリビニルアセタール樹脂を混合
した樹脂を含み、かつ、前記第1染着層の全面を被覆す
る面積を持つものものにし、前記膜強度補強層をガラス
転移温度Tgが100℃以上のポリビニルブチラール樹
脂またはボリビニルアセタール樹脂を含み、前記保護層
の外形より小さい面積を持ち、かつ、前記保護層より高
い耐熱性を有するものにするのが好ましい。
【0018】本発明にかかる熱記録転写体の第4の構成
は、第1の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,表面に離型
層と染着層をこの順に積層した積層構成を有する染着層
転写体と、第2の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,表面
に接着層と色材層をこの順に積層した積層構成を有する
染料転写体と、第3の基材上に機能層を有する中間媒体
と、受像体とを用い、前記染着層転写体の前記滑性耐熱
層に熱ヘッドを当接させることにより前記染着層を前記
中間媒体の機能層上に熱転写するプロセス,前記染料転
写体の前記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させることによ
り前記機能層上に転写された染着層に前記色材層中の染
料を画信号に応じて熱転写記録するプロセス,及びこの
染料が記録された染着層を受像体の主面上に熱転写する
プロセスをこの順に実行する染料熱転写記録の前記染着
層転写体として使用される熱記録転写体であって、基材
と、前記基材の裏面に形成された滑性耐熱層と、前記基
材の表面に離型層を介して形成された染着層とを有し、
この染着層の前記色材層に接触する表面領域を構成する
樹脂と、前記色材層を構成する樹脂とを互いに非相溶な
樹脂で構成したものである。
【0019】前記第4の構成においては、前記染着層の
前記色材層に接触する表面領域を構成する樹脂をポリビ
ニルブチラール,ポリビニルアセタールから選ばれる1
種類以上の樹脂にし、前記色材層を構成する樹脂をポリ
アクリロニトリルスチレン樹脂,ポリ塩化ビニル樹脂,
ポリ酢酸ビニル樹脂,ポリビニルアルコール樹脂,ポリ
エステル樹脂,ポリアミド樹脂,ウレタン樹脂,アクリ
ル樹脂から選ばれる1種類以上の樹脂にするのが好まし
い。
【0020】また前記第4の構成においては、前記染着
層の前記色材層に接触する表面領域を構成する樹脂を、
ポリアクリロニトリルスチレン樹脂,ポリ塩化ビニル樹
脂,ポリ酢酸ビニル樹脂,ポリビニルアルコ−ル樹脂,
ポリエステル樹脂,ポリアミド樹脂,ウレタン樹脂,ア
クリル樹脂から選ばれる1種類以上の樹脂にし、前記色
材層を構成する樹脂をポリビニルブチラール,ポリビニ
ルアセタールから選ばれる1種類以上の樹脂にするのが
好ましい。
【0021】また前記第2,第3,及び第4の構成にお
いては、前記染着層の前記中間媒体上の機能層に対する
付着力を10g/25mm〜100g/25mmの範囲
にするのが好ましい。
【0022】また前記第2,第3,及び第4の構成にお
いては、前記基材を前記染着層転写体が形成される前記
第1基材と,前記染料転写体が形成される前記第2基材
との両方に使用されるものにするのが好ましい。
【0023】また前記第1,第2,第3,及び第4の構
成においては、前記基材の裏面に形成された滑性耐熱層
を、少なくとも耐熱性樹脂,無機あるいは有機の微粒
子,及び液状潤滑性物質を含んでなるものにするのが好
ましい。また、かかる構成においては、前記液状潤滑性
物質を、側鎖に官能基を有し、分子量が10000以上
の非反応性シリコーンオイルにするのが好ましく、更
に、前記非反応性シリコーンオイルを、ポリエーテル基
の分子量が6000で、ポリエーテル基によって挟まれ
るジメチルポリシロキサン部分の分子量が12000の
ポリエーテル変性シリコーンのような前記官能基部分の
分子量が前記官能基によって挟まれるジメチルポリシロ
キサン部分の分子量より大きいものにするのがより好ま
しい。
【0024】本発明にかかる熱転写記録方法は、第1の
基材の裏面に滑性耐熱層を有し,表面に離型層と染着層
をこの順に積層した積層構成を有する染着層転写体と、
第2の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,表面に接着層と
色材層をこの順に積層した積層構成を有する染料転写体
と、第3の基材上に機能層を有する中間媒体と、受像体
とを用い、前記染着層転写体の前記滑性耐熱層に熱ヘッ
ドを当接させることにより前記染着層を前記中間媒体の
機能層上に熱転写するプロセス,前記染料転写体の前記
滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させることにより前記機能
層上に転写された染着層に前記色材層中の染料を画信号
に応じて熱転写記録するプロセス,及びこの染料が記録
された染着層を受像体の主面上に熱転写するプロセスを
この順に実行する染料熱転写記録であって、前記中間媒
体の機能層に前記染着層転写体の前記染着層をこれの面
積が前記受像体の面積より大きくなるよう転写させ、こ
の染着層に前記染料転写体の色材層中の染料を熱転写記
録して前記受像体の面積より大きい面積の画像を形成
し、この画素記録染された染着層を前記受像体に転写さ
せると同時に,これの前記受像体の外周からはみ出す部
分を前記受像体の外周縁部によって切断するようにした
ものである。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の熱記録転写体の第1の構
成によれば、第1の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,表
面に離型層と染着層をこの順に積層した積層構成を有す
る染着層転写体と、第2の基材の裏面に滑性耐熱層を有
し,表面に接着層と色材層をこの順に積層した積層構成
を有する染料転写体と、第3の基材上に機能層を有する
中間媒体と、受像体とを用い、前記染着層転写体の前記
滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させることにより前記染着
層を前記中間媒体の機能層上に熱転写するプロセス,前
記染料転写体の前記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させる
ことにより前記機能層上に転写された染着層に前記色材
層中の染料を画信号に応じて熱転写記録するプロセス,
及びこの染料が記録された染着層を受像体の主面上に熱
転写するプロセスをこの順に実行する染料熱転写記録に
前記染料転写体として供される熱記録転写体であって、
基材と、前記基材の裏面に形成された滑性耐熱層と、前
記基材の表面に接着層を介して形成された色材層とを有
し、この色材層を構成する樹脂をポリアクリロニトリル
スチレン樹脂と、下記の(a)(b)(c)の樹脂のう
ちの少なくとも1つの樹脂とを、混合比が2:8ないし
8:2の範囲となるよう混合してなるものとしたから、
前記色材層が良好な耐熱性及び柔軟性を示すとともに、
十分な接着力によって前記接着層に接着することにな
り、その結果、高温度下の巻回保存時,及び記録プロセ
ス時の安定性に優れたものとなる。
【0026】(a)ポリ塩化ビニル樹脂,(b)ポリ塩
化ビニル樹脂とポリ酢酸ビニル樹脂の共重合樹脂,
(c)ポリ塩化ビニル樹脂とポリ酢酸ビニル樹脂とポリ
ビニルアルコール樹脂の共重合樹脂。
【0027】前記第1の構成の好ましい例として、基材
表面の接着層を構成する樹脂と,前記色材層との付着力
が、50℃以上で20g/インチ以上であると、記録プ
ロセスを繰り返し安定に遂行させることができる。
【0028】また前記第1の構成の好ましい例として、
前記基材表面の接着層を構成する樹脂のガラス転移温度
が40℃以上であると、中間媒体が50〜60℃に加熱
されるような環境下においても、色材層と接着層のブロ
ッキングを起こすことなく、記録プロセスを繰り返し安
定に遂行させることができる。
【0029】また前記第1の構成の好ましい例として、
前記第1の構成において、前記基材がポリエステルフィ
ルムであり、前記基材表面の接着層を構成する樹脂がガ
ラス転移温度が60℃以上のランダム共重合ポリエステ
ル樹脂であると、前記よりも更に高温な環境下において
も、色材層と接着層のブロッキングを起こすことなく、
記録プロセスを繰り返し安定に遂行させることができ
る。
【0030】また前記第1の構成の好ましい例として、
前記基材を前記染料転写体が形成される前記第2基材
と,前記染着層転写体が形成される前記第1基材の両方
に使用されるものであると、染料転写体と染着層転写体
を1つの転写体にて構成でき、記録プロセスの遂行を小
さい占有空間にて行うことができる。
【0031】本発明の熱記録転写体の第2の構成によれ
ば、第1の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,表面に離型
層と染着層をこの順に積層した積層構成を有する染着層
転写体と、第2の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,表面
に接着層と色材層をこの順に積層した積層構成を有する
染料転写体と、第3の基材上に機能層を有する中間媒体
と、受像体とを用い、前記染着層転写体の前記滑性耐熱
層に熱ヘッドを当接させることにより前記染着層を前記
中間媒体の機能層上に熱転写するプロセス,前記染料転
写体の前記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させることによ
り前記機能層上に転写された染着層に前記色材層中の染
料を画信号に応じて熱転写記録するプロセス,及びこの
染料が記録された染着層を受像体の主面上に熱転写する
プロセスをこの順に実行する染料熱転写記録に前記染着
層転写体として供される熱記録転写体であって、基材
と、前記基材の裏面に形成された滑性耐熱層と、前記基
材の表面に離型層を介して形成された染着層とを有し、
この染着層を前記離型層から遠い位置にある部分程高い
耐熱性を示すものにしたから、記録プロセスにおいて、
中間媒体に保持された染着層は、その耐熱性の低い側の
表面部が色材層に接着することになり、記録感度を高め
ることができる。また、高温巻回保存時にはその耐熱性
の高い側の表面部が滑性耐熱層と接することになり、両
層間の接着等によるトラブルも防止することができる。
【0032】本発明の熱記録転写体の第3の構成によれ
ば、第1の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,表面に離型
層と染着層をこの順に積層した積層構成を有する染着層
転写体と、第2の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,表面
に接着層と色材層をこの順に積層した積層構成を有する
染料転写体と、第3の基材上に機能層を有する中間媒体
と、受像体とを用い、前記染着層転写体の前記滑性耐熱
層に熱ヘッドを当接させることにより前記染着層を前記
中間媒体の機能層上に熱転写するプロセス,前記染料転
写体の前記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させることによ
り前記機能層上に転写された染着層に前記色材層中の染
料を画信号に応じて熱転写記録するプロセス,及びこの
染料が記録された染着層を受像体の主面上に熱転写する
プロセスをこの順に実行する染料熱転写記録に前記染着
層転写体として供される熱記録転写体であって、前記染
着層を、前記離型層に接する第1染着層と,この第1染
着層を被覆して保護する保護層とからなる2層構成、ま
たは前記離型層に接する第1染着層と,この第1染着層
を被覆して保護する保護層と,この保護層上に形成され
た膜強度補強層とからなる3層構成にしたから、印刷形
成によって強度的に安定な染着層を形成することがで
き、特に、3層構成にすることにより、記録プロセスを
安定化できる厚みを有する染着層を形成することができ
る。
【0033】また前記第3の構成の好ましい例として、
前記第1染着層がガラス転移温度Tgが60℃未満のポ
リビニルブチラール樹脂またはポリビニルアセタール樹
脂と離型材とを含むものであり、前記保護層が70℃以
上の互いに異なる温度のガラス転移温度Tgを有する複
数のポリビニルブチラール樹脂またはポリビニルアセタ
ール樹脂を混合した樹脂を含み、かつ、前記第1染着層
の全面を被覆する面積を持つものものであり、前記膜強
度補強層がガラス転移温度Tgが100℃以上のポリビ
ニルブチラール樹脂またはボリビニルアセタール樹脂を
含み、前記保護層の外形より小さい面積を持ち、かつ、
前記保護層より高い耐熱性を有するものであると、印刷
形成によって、強度的に安定で、記録感度を向上でき、
しかも、高温巻回保存時における滑性耐熱層との接着を
防止できる染着層を形成することができる。
【0034】本発明の熱記録転写体の第4の構成によれ
ば、第1の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,表面に離型
層と染着層をこの順に積層した積層構成を有する染着層
転写体と、第2の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,表面
に接着層と色材層をこの順に積層した積層構成を有する
染料転写体と、第3の基材上に機能層を有する中間媒体
と、受像体とを用い、前記染着層転写体の前記滑性耐熱
層に熱ヘッドを当接させることにより前記染着層を前記
中間媒体の機能層上に熱転写するプロセス,前記染料転
写体の前記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させることによ
り前記機能層上に転写された染着層に前記色材層中の染
料を画信号に応じて熱転写記録するプロセス,及びこの
染料が記録された染着層を受像体の主面上に熱転写する
プロセスをこの順に実行する染料熱転写記録の前記染着
層転写体として使用される熱記録転写体であって、基材
と、前記基材の裏面に形成された滑性耐熱層と、前記基
材の表面に離型層を介して形成された染着層とを有し、
この染着層の前記色材層に接触する表面領域を構成する
樹脂と、前記色材層を構成する樹脂とを互いに非相溶な
樹脂で構成したことにより、記録時に染着層が染料転写
体の色材層に熱融着せず、記録後これらを容易に剥離す
ることができ、その結果、記録プロセスを繰り返し安定
に遂行させることができる。
【0035】前記第4の構成の好ましい例として、前記
染着層の前記色材層に接触する表面領域を構成する樹脂
がポリビニルブチラール,ポリビニルアセタールから選
ばれる1種類以上の樹脂であり、前記色材層を構成する
樹脂がポリアクリロニトリルスチレン樹脂,ポリ塩化ビ
ニル樹脂,ポリ酢酸ビニル樹脂,ポリビニルアルコール
樹脂,ポリエステル樹脂,ポリアミド樹脂,ウレタン樹
脂,アクリル樹脂から選ばれる1種類以上の樹脂である
と、染着層の色材層に接触する表面領域と、色材層とを
確実に相溶しないものにすることができる。
【0036】また前記第4の構成の好ましい例として、
前記染着層の前記色材層に接触する表面領域を構成する
樹脂が、ポリアクリロニトリルスチレン樹脂,ポリ塩化
ビニル樹脂,ポリ酢酸ビニル樹脂,ポリビニルアルコー
ル樹脂,ポリエステル樹脂,ポリアミド樹脂,ウレタン
樹脂,アクリル樹脂から選ばれる1種類以上の樹脂であ
り、前記色材層を構成する樹脂がポリビニルブチラー
ル,ポリビニルアセタールから選ばれる1種類以上の樹
脂であると、染着層の色材層に接触する表面領域と、色
材層とを確実に相溶しないものにすることができる。
【0037】また前記第2,第3,及び第4の構成の好
ましい例として、前記染着層の前記中間媒体上の機能層
に対する付着力が10g/25mm〜100g/25m
mの範囲にあると、染着層の中間媒体上の機能層への転
写が安定に行われ、かつ、染着層への染料転写体からの
染料の記録が安定に行われるとともに、受像体への染着
層の転写が安定に行われることとなり、記録プロセスの
安定化が図られる。
【0038】また前記第2,第3,及び第4の構成の好
ましい例として、前記基材が前記染着層転写体が形成さ
れる前記第1基材と,前記染料転写体が形成される前記
第2基材との両方に使用されるものであると、記録プロ
セスの遂行を小さい占有空間にて行うことができる。
【0039】また前記第1,第2,第3,及び第4の構
成の好ましい例として、前記基材の裏面に形成された滑
性耐熱層が、少なくとも耐熱性樹脂,無機あるいは有機
の微粒子,及び液状潤滑性物質を含んでなるものである
と、耐熱性樹脂が層に耐熱性を付与し、無機あるいは有
機の微粒子が層の表面を粗面化するとともに層の熱ヘッ
ドに対する動摩擦係数を低減化し、液状潤滑性物質が層
表面に湧き出して,層の熱ヘッドに対する動摩擦係数を
より一層低減化するので、記録プロセスにおいて転写体
を安定に走行させることができる。また、前記液状潤滑
性物質が側鎖に官能基を有し、分子量が10000以上
の非反応性シリコーンオイルであると、滑性耐熱層中に
おいて液状潤滑性物質の自由な動きが束縛されることと
なって、転写体を巻回して長時間高温保持しても、基材
表面にある染着層または色材層へ液状潤滑性物質が転移
することがなくなり、その結果、記録プロセスにおい
て、中間媒体の機能層表面及び色材層表面が液状潤滑性
物によって汚染されることが防止され、染着層の中間媒
体へ保持される保持力を一定に保つことができる。ま
た、前記非反応性シリコーンオイルが、ポリエーテル基
の分子量が6000で、ポリエーテル基によって挟まれ
るジメチルポリシロキサン部分の分子量が12000の
ポリエーテル変性シリコーンのような前記官能基部分の
分子量が前記官能基によって挟まれるジメチルポリシロ
キサン部分の分子量より大きいものであると、非反応性
シリコーンオイルが滑性耐熱層中でより強く拘束される
ことになり、記録プロセスでの液状潤滑性物による中間
媒体の機能層表面及び色材層表面の汚染を確実に無くす
ことができ、記録プロセスをより一層安定化させること
ができる。
【0040】本発明の熱転写記録方法によれば、第1の
基材の裏面に滑性耐熱層を有し,表面に離型層と染着層
をこの順に積層した積層構成を有する染着層転写体と、
第2の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,表面に接着層と
色材層をこの順に積層した積層構成を有する染料転写体
と、第3の基材上に機能層を有する中間媒体と、受像体
とを用い、前記染着層転写体の前記滑性耐熱層に熱ヘッ
ドを当接させることにより前記染着層を前記中間媒体の
機能層上に熱転写するプロセス,前記染料転写体の前記
滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させることにより前記機能
層上に転写された染着層に前記色材層中の染料を画信号
に応じて熱転写記録するプロセス,及びこの染料が記録
された染着層を受像体の主面上に熱転写するプロセスを
この順に実行する染料熱転写記録であって、前記中間媒
体の機能層に前記染着層転写体の前記染着層をこれの面
積が前記受像体の面積より大きくなるよう転写させ、こ
の染着層に前記染料転写体の色材層中の染料を熱転写記
録して前記受像体の面積より大きい面積の画像を形成
し、この画素記録染された染着層を前記受像体に転写さ
せると同時に,これの前記受像体の外周からはみ出す部
分を前記受像体の外周縁部によって切断するようにした
から、従来困難であった受像体の全面に画像を形成する
ことが可能となる。
【0041】図1に本発明の熱記録転写体を用いた染料
熱転写記録の第1の形態を示す。基材21の裏面に耐熱
滑性層13が形成され、表面に離型層22と染着層23
がこの順に形成されてなる染着層転写体2が、ドラム状
に形成された中間媒体4と熱ヘッド3−1の間に供給ロ
ーラ10と巻取ローラ10′によって送られ、挟着され
る。そして、ここで中間媒体4の基材41上に設けられ
た機能層42上に染着層転写体2の染着層23の熱転写
が行われる。ここで中間媒体は閉ループを形成するベル
ト状,あるいはシ−ト状で形成されたものであってもよ
い。図中の2′は染着層23が転写された後の染着層転
写体2の状態を示す。次に、基材11の裏面に耐熱滑性
層13が形成され、表面に接着層14と色材層12がこ
の順に形成されてなる染料転写体1が中間媒体4と熱ヘ
ッド3−2の間に供給ローラ9と巻取ローラ9′によっ
て送られ、ここで、染料転写体1の色材層12中の昇華
性染料が中間媒体4上の染着層23中に熱拡散転写され
る。最後に、熱ロ−ラ7を用いて受像体5上に中間媒体
4上の染着層23中に記録された画像が染着層23と共
に熱転写され、受像体5の基質に依存することなく受像
体5に高画質画像が形成される。また、図中の6は受像
体5上に画像記録がなされた染着層23′が転写された
後の状態を示す。なお、中間媒体4がシ−ト状である場
合、染着層23の転写、色材層12からの染料の転写毎
にシート状の中間媒体をスウィングして使用する。
【0042】図2に本発明の熱記録転写体を用いた染料
熱転写記録の第2の形態を示す。ここでは、前述の染着
層転写体2と染料転写体1とが一体化されて熱記録転写
体100を構成している。即ち、基材11(21)の裏
面に耐熱滑性層13を形成し、表面に接着層14を形成
し、この接着層14上の第1の領域に離型層22と染着
層23とをこの順に形成し、第2,第3の領域に色相が
異なる色材層12−1,12−2を形成して転写体10
0を構成している。そして、この転写体が中間媒体4と
熱ヘッド3−2の間に供給ローラ9と巻取ローラ9′に
よって送られ、熱ヘッド3−2によって、先ず染着層2
3が熱転写され、これに続いて前記熱転写された染着層
23に色材層12−1,12−2中の昇華性染料が熱転
写される。昇華性染料が染着層23に記録された後のプ
ロセスは前記図1に示した第1の形態と同じである。図
3に本発明の熱記録転写体を用いた染料熱転写記録の第
3の形態を示す。ここでは図4に示す前記第2の形態で
用いられた染着層転写体と染料転写体が同一基材に形成
された熱記録転写体100と、ベルト状中間媒体4′を
用いる。ベルト状中間媒体4′はプラテン、ガイドロ−
ラ等で架張されている。熱記録転写体100の染着層2
3の部分がベルト状に形成された中間媒体4′と熱ヘッ
ド3の間に送られて挟着され、中間媒体4′の基材41
上に設けられた機能層42上に染着層23の熱転写が行
われる。染着層23は後で染料が記録される部分だけの
選択転写か,または一定の面積全部の転写が行なわれ
る。次に、熱記録転写体100の色材層12の部分が中
間媒体4′と熱ヘッド3の間に送られて挟着され、色材
層12中の昇華性染料が中間媒体4′上に転写された染
着層23中に熱拡散転写される。最後に、熱ロ−ラ7に
よって受像体5上に中間媒体4上の染着層23中に記録
された画像が染着層23と共に熱転写され、受像体5の
基質に依存することなく受像体5に高画質画像が形成さ
れる。
【0043】前記の本発明の染料熱転写記録において、
基材11は厚み2ないし10ミクロンの高分子フィルム
が用いられる。一般的には、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)フィルムが用いられるが、芳香族ポリアミ
ド(アラミド)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ
フェニレンサルファイド、ポリエ−テルケトン、トリア
セチルセルロース、セロファン等、成膜可能な樹脂によ
るフィルムも有用である。また、これらの樹脂にカーボ
ン等の導電性粒子を混入して成膜した低抵抗性フィルム
を用いてもよい。
【0044】耐熱滑性層13は、熱ヘッド3,3−1,
3−2と,基材11,21との間の潤滑性を付与するた
めに設けられており、例えば紫外線硬化樹脂等の耐熱性
樹脂、液状潤滑材、及び有機または無機微粒子を少なく
とも含んで構成されている。耐熱性樹脂が層に耐熱性を
付与する。微粒子が層の表面を粗面化すると共に層の表
面の摩擦係数を低減化して、層に安定した走行性を付与
する。液状潤滑材が熱ヘッド3,3−1,3−2によっ
て膜内部から微量に膜表面に湧出し、染料転写体1,染
着層転写体2,及び熱記録転写体100の走行安定性を
増大させる。前記耐熱性樹脂として熱可塑性樹脂を用い
ることもできるが、熱・光(紫外線)・電子線等による
硬化樹脂(架橋樹脂)を用いた方が安定した耐熱性を得
らことができ、好ましい。かかる硬化樹脂としてはシリ
コーン系、アクリレート系、エポキシ系、不飽和アルデ
ヒド樹脂等を挙げることができるが、中でもエポキシア
クリレート系樹脂の硬化物が優れた特性を示す。無機ま
たは有機の微粒子としては、無機系では金属、金属の酸
化物、硫化物、炭化物、窒化物、フッ化物の微粒子や、
黒鉛、カーボンブラック、顔料を挙げることができる。
このうち酸化チタン、二硫化モリブデン、疎水性(無
水)シリカが好まく、その中でも気相成長法で製造され
た超微粒子状の疎水性(無水)シリカ,酸化チタン,酸
化アルミニウムが特に好ましい。有機系では球形シリコ
ーン樹脂微粒子等を挙げることができる。
【0045】液状潤滑性物質としては、各種のジルチル
ポリシロキサンシリコーンオイル、フッ素系シリコーン
オイル、各種変性シリコーンオイル(エポキシ変性、ポ
リエ−テル変性、アミノ変性、カルボキシル変性等)、
有機金属塩、フルオロアルキル化合物等のフッ素系界面
活性剤等を用いることができる。液状潤滑性物質が側鎖
に官能基を有し,分子量が10000以上の非反応性シ
リコーンオイルであると、滑性耐熱層中でのシリコーン
オイルの自由な動きが束縛され、転写体を巻回し長時間
高温に保持した場合に生ずる,基材表面側の染着層23
表面または色材層12表面にシリコーンオイルが転移す
ることを抑制することができる。更に、この非反応性シ
リコーンオイルのジメチルポリシロキサン部に挟まれる
側鎖官能基部分の分子量が側鎖官能基部分に挟まれるジ
メチルポリシロキサン部分の分子量より大きいものであ
ると、滑性耐熱層中でシリコーンオイルの拘束力がより
一層高まり、基材表面側の染着層23表面または色材層
12表面へのシリコ−ンオイルの転移を抑制する効果が
より一層強化される。これの具体例としては、シロキサ
ン部分子量6000、官能基部分子量12000の分子
量18000のポリエーテル変性シリコーンオイル等が
ある。従って、液状潤滑性物質に分子量が10000以
上の非反応性シリコーンオイルを用いると、記録動作
中、中間媒体4,4′の機能層42表面及び色材層12
表面がシリコーンオイルで汚染されず、染着層23を中
間媒体4,4′上に保持する付着力を一定に保つことが
できる。特に、非反応性シリコーンオイルがそのジメチ
ルポリシロキサン部に挟まれる側鎖官能基部分の分子量
がジメチルポリシロキサン部分の分子量より大きいもの
であると、染着層23を中間媒体4,4′上に保持する
付着力をより高いレベルで一定に保つことができる。
【0046】基材11,21上の接着層14は一般的に
は基材製膜時において基材と一体的に0.5μm以下の
厚みに形成される。基材11にポリエステルフィルムを
用いる時には、接着層にランタ゛ム共重合ポリエステル
樹脂が用いられる。一般的には室温付近での色材層12
との大きな接着力を保持するために、室温付近にガラス
転移温度Tgのあるポリエステル樹脂が用いられる。し
かし、本発明の中間媒体を用いた染料熱転写方式では、
中間媒体の表面温度をしばしば50℃〜60℃に保持さ
れる。このため、50℃以上でも色材層12を基材1
1,21によく付着させて、記録時に色材層12と染着
層23との融着によるブロッキング現象等の故障が起こ
らないように設計しなければならない。そのため、接着
層14を構成する樹脂のガラス転移温度Tgは40℃以
上であることが好ましい。更に60℃以上のTgを有す
るポリエステル樹脂は装置が高温状態に置かれている時
にも安定である。Tg=67℃のポリエステル樹脂(バ
イロン200:東洋紡績(株)製)とTg=6℃のポリ
エステルホリエステル樹脂(バイロン300:東洋紡績
(株)製)の,ポリエステルフィルムとの剥離力を比較
すると、前者は60度C付近に剥離力の最大があり、後
者は室温付近に剥離力の最大があり、それぞれ、温度が
高くなると共にその値は低下する。図5に接着層14に
バイロン200を用いた転写体と,接着層14にバイロ
ン300を用いた転写体とにおける色材層12と接着層
14間の剥離力の温度特性を測定した結果と、前記2つ
の転写体を60℃,60%RHの恒温層に300時間券
回保存した後に,それぞれにおける色材層12と接着層
14間の剥離力の温度特性を測定した結果を示す。記録
部温度がいかなる温度であっても、色材層/接着層間剥
離力は色材層/染着層間剥離力より大きいことが、記録
プロセスを成立させるために必要である。50℃におい
て、色材層/染着層間剥離力は20g/インチ以下であ
るので、色材層/接着層間剥離力はその値以上が必要で
ある。従って、接着層14の構成樹脂として40℃以上
にTgのある樹脂を用いいることにより、転写体を高温
に長時間保存したものを用い,記録装置の温度が高温と
なる環境下においても、記録プロセスを安定に遂行する
ことができる。
【0047】色材層12は少なくとも昇華性染料と結着
樹脂から構成される。昇華性染料としては分散染料、油
溶染料、塩基性染料、カラーフォーマー等が用いられ
る。特に、インドアニリン系、キノフタロン系、ジシア
ノイミダゾール系、ジシアノメチン系、トリシアノビニ
ル系等の分散染料が有効である。結着樹脂としては、ポ
リエステル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニト
リルスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニ
ル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタ
ール樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹
脂、低分子ポリスチレン樹脂等が用いられる。また、こ
れらの樹脂は染着層23の構成樹脂としても使用され
る。この色材層12の結着樹脂と,染着層23の構成樹
脂とは非相溶の関係が好ましい。これは、記録時に色材
層12と染着層23が熱融着せず、記録後容易にこれら
を剥離できるようにするためである。染着層23の構成
樹脂にポリエステル、ポリビニルブチラール等の樹脂を
用いる場合には、色材層12の結着樹脂としては、ポリ
アクリロニトリルスチレン(AS)樹脂、ポリ塩化ビニ
ル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹
脂のいずれか、あるいはこれらのうちの2つ以上を混合
した混合樹脂が用いられる。逆に色材層12の結着樹脂
にポリエステル、ポリビニルブチラール等の樹脂を用い
る場合には、染着層23の構成樹脂としてポリアクリロ
ニトリルスチレン(AS)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、
ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂のいず
れか、あるいはこれらのうちの2つ以上を混合した混合
樹脂が用いられる。樹脂の相溶・非相溶は、溶解性パラ
メータや臨界表面張力あるいは接触角等によって評価で
きる。例えば、ポリビニルブチラールの臨界表面張力F
が約24ダイン/cmであるのに対して、本文の他の一
般の色材層または染着層樹脂のFは30以上が多い。溶
解性パラメ−タSP値で評価すると前者が約7でテフロ
ンの6に近く、後者のそれは9以上のものが多い。
【0048】色材層12の結着樹脂としてAS樹脂を用
いる場合、AS樹脂はTg=104℃であり、色材層の
耐熱性の点では最適であるが、膜自身が脆く接着層14
との接着力も十分ではない。そこで、これに、接着層1
4との接着力も強く膜の柔軟性のあるポリ塩化ビニル樹
脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂の
共重合樹脂(Tg=64℃)を混合したものを色材層1
2の結着樹脂とすると、転写体1の券回保存性と記録の
安定性の両方を満足させることができる。ASと前記共
重合樹脂との混合比率は2:8ないし8:2の範囲にあ
るのが好ましい。
【0049】染着層転写体2は基材21(11)上に離
型層22と染着層23を積層して構成される。離型層2
2はシリコ−ン樹脂や弗素樹脂等を薄く形成したもの、
またはシリコーン樹脂,弗素樹脂以外の樹脂に離型材を
混入・分散,あるいは反応させたものが用いられる。シ
リコーン樹脂としてはコーティング用または剥離紙用ま
たは粘着紙用の付加重合あるいは縮合重合して成膜でき
るものが好ましい。弗素樹脂としはポリテトラフルオロ
エチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアル
キルビニルエーテル共重合体、ビニリデンフルオライド
・ヘキサフルオロプロピレン系ゴム材料、各種含弗素樹
脂等が有効である。樹脂に添加させる離型材としては、
各種のシリコーン系潤滑材、弗素系界面活性材、パラフ
ィン及びポリエチレン等のワックス類、高級脂肪族アル
コール、高級脂肪酸アミド及びエステル等がある。液状
潤滑材としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェ
ニルポリシロキサン、弗素シリコーンオイル、その他の
各種変性シリコーンオイル、2種以上の反応性シリコー
ンオイルの反応物(例えば、エポキシ変性とカルボキシ
ルまたはアミノ変性の反応物等)がある。また、樹脂と
潤滑材の反応型でもよく、例えば、ポリシロキサンをア
クリル樹脂にグラフト重合させた水溶性ポリシロキサン
グラフトアクリル樹脂、シロキサンメタクリレートを末
端または側鎖に付加したアクリルシリコーン(シリコ
ン)またはアクリルウレタンシリコーン(シリコン)樹
脂等も有効である。
【0050】染着層23は、好ましくは、基材21(1
1)表面の離型層22に接する第1染着層24と保護層
25の2層構成,または第1染着層24と保護層25と
膜強度補強層26の3層構成からなっている。第1染着
層24から上層の保護層25,補強層26にゆく程、構
成樹脂の耐熱性が高いことが好ましい。これは、記録時
に色材層12に耐熱性の低い第1染着層24が接して記
録感度を高めることができるためであり、また、高温巻
回保存時に滑性耐熱層13に耐熱性の高い保護層25ま
たは補強層26が接することにより、染着層23と滑性
耐熱層13との接着が起こることを防止できるためであ
る。また、積層製膜上の観点から、第1染着層24と保
護層25をこれらに同一樹脂種の樹脂を含ませることに
より構成する,または第1染着層24と保護層25と補
強層26をこれらに同一樹脂種の樹脂を含ませることに
より構成するのが好ましく、これにより、均質な膜性状
の積層膜を印刷形成することが可能となる。一般にグラ
ビア印刷で製膜する時、一層の膜厚は高々1.5μmで
あり、本プロセスを実現するために必要な染着層部分の
厚みは3〜4μmである。このため、第1染着層24の
みでは膜厚が不足し、プロセス安定化のためには膜強度
補強層26を有する3層構成にするのが好ましい。
【0051】染着層23を前記2層また3層構成にする
場合は、以下の構成にするのが好ましい。即ち、前記第
1染着層24をガラス転移温度Tgが60℃未満のポリ
ビニルブチラール樹脂またはポリビニルアセタ−ル樹脂
と離型材と含むものにし、保護層25を70℃以上の互
いに異なる温度のガラス転移温度Tgを有する複数のポ
リビニルブチラール樹脂またはポリビニルアセタール樹
脂を混合した樹脂を含み、かつ、第1染着層24の全面
を被覆する面積を持つものものにし、膜強度補強層26
をガラス転移温度Tgが100℃以上のポリビニルブチ
ラール樹脂またはボリビニルアセタール樹脂を含み、保
護層25の外形より小さい面積を持ち、かつ、保護層2
5より高い耐熱性を有するものにする。
【0052】中間媒体4は金属ドラムまたは高分子フィ
ルムの基材41上に機能層42が設けられている。機能
層42はシリコーン樹脂や弗素樹脂等を薄く形成したゴ
ム状のもの、またはシリコーン樹脂や弗素樹脂以外の樹
脂に離型材を混入・分散、あるいは反応させたものが用
いられる。シリコーン樹脂としてはコーティング用また
は剥離紙用または粘着材料としての付加重合あるいは縮
合重合して成膜できるものが好ましい。弗素樹脂としは
ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン
・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ビニ
リデンフルオライド・ヘキサフルオロプロピレン系ゴム
材料、各種含弗素樹脂等が有効である。特に、フッ化ビ
ニリデン・6フッ化プロピレン・4フッ化エチレンの3
元系共重合体フッ素ゴム(バイトン:昭和電工デュポン
製)は有効である。この3元共重合体フッ素ゴムはカー
ボンや酸化マグネシウム等の微粒子と共に用いられて製
膜される。
【0053】受像体5はボンド紙や普通紙等のパルプ系
用紙でもよく、乳白PET、ユポ等の合成紙でもよく、
パルプ紙とフィルムの接着した基材でもよい。また、テ
レホンカード、プリペイドカード、ICカード等の各種
カード類であってもよい。従来、受像体には受像体周辺
に未記録の余白部を残して画像形成されていた。本発明
では受像体5が葉書や各種カード類のように固く剛性の
強い場合には、以下のようにして、受像体の全面にの画
像形成をすることができる。即ち、中間媒体4,4′上
に染着層23をこれの面積が受像体5の面積より大きく
なるよう転写し、この染着層23に受像体5の面積より
大きな画像を形成した後、転写に要する熱または圧力の
条件を最適化して,染着層23をこれがカード等の受像
体5の周辺部によって切断されるように受像体5に転写
する。そして、受像体5への染着層23の転写後、中間
媒体4上に残った染着層23をクリーニング機構等で除
去する。
【0054】記録ヘッドには、普通の熱(サ−マル)ヘ
ッド、通電ヘッド、レーザーヘッド等が用いられる。ラ
イン型サーマルヘッドを用いた時の記録条件は、ライン
記録周期T:33msないし4ms、印加パルス幅:1
6msないし2ms、記録エネルギ−E:8ないし6J
/cm2でおこなわれる。
【0055】記録された染着層の受像体5への熱転写は
熱ロール7を用いる時は、温度約140゜C、速度10
mm/秒、圧力1Kg/cm2 で行なわれる。
【0056】
【実施例】以下、実施例によって本発明をより具体的に
説明する。 (実験例1) ・染料転写体(1)の作製 5ミクロンのPETフィルムの裏面に2ミクロンの後述
する滑性耐熱層を設け、表面に0.3ミクロンのTg=
67度Cのランダム共重合ポリエステル樹脂を接着層と
して塗工した後、接着層上に下記処方からなるインクを
グラビアコーターで固形厚み1ミクロンになるように色
材層を形成した。ここで、滑性耐熱層は下記処方からな
る塗料をマイクログラビアコータで塗布し、60度Cの
熱風で溶媒を蒸発させた後、1KWの高圧水銀灯を照射
して硬化させることにより行った。 (インク) インドアニリン系分散染料 2.5重量部 アクリルスチレン樹脂 2 重量部 ポリ塩化ビニル共重合樹脂 2 重量部 アミド変性シリコ−ン油 0.02重量部 トルエン 20重量部 2−ブタノン 20重量部 (塗料) エポキシアクリレ−ト樹脂 12重量部 ネオペンチルグリコ−ルジアクリレ−ト 3重量部 2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 0.75重量部 アエロジル(疎水性超微粒子シリカの商品名) 2重量部 ポリエ−テル変性ジメチルシリコ−ン 0.4重量部 (分子量18000) 酢酸エチル 100重量部 ・染着層転写体(2)の作製 染料転写体と同じPET基材、同じ接着層、同じ滑性耐
熱層を用い、接着層上に離型層として脱オキシム型シリ
コーン樹脂:PRX305(東レ・ダウコーニング・シ
リコーン社製商品名)10重量部、トルエン20重量部
からなる塗料をバーコーターで厚み0.3ミクロンに形
成した。この離型層上に第1染着層としてポリビニルブ
チラ−ル樹脂:BL−S(積水化学社製商品名,Tg=
55℃)6重量部、シロキサンメタアクリレートを側鎖
に有するアクリルシリコーン(シリコン)樹脂:F−6
A(三洋化成工業社製商品名)0.06重量部、ジ−n
−ブチル錫ジラウレート0.004重量部、トルエン及
び2−ブタノンをそれぞれ13重量部からなる塗料をバ
ーコーターで厚み1ミクロンになるよう製膜した。この
上に保護層として、Tg=75度Cのポリビニルブチラ
ール樹脂とTg=110度Cのアセトアセタール化ポリ
ビニルアルコ−ル樹脂(アセタール樹脂)を6:4の組
成で1.5ミクロンになるように製膜した。更にこの上
に上記2種類の樹脂を3:7の組成で1.5ミクロン製
膜して、合計3層の染着層部を作製した。
【0057】・中間媒体(4)の作製 金属ドラム上に、50ミクロンのポリイミドフィルムを
ベースとし、下記の機能層塗料を約30ミクロンに製膜
して中間媒体とした。金属ドラムを用いず、機能層を形
成したポリイミドをベルトとして用いてもよい。 (機能層塗料) フッ素ゴム 100重量部 架硫材 3重量部 カ−ボン 20重量部 酸化マグネシウム 15重量部 メチルエチルケトン 350重量部 上記染料転写体(1),染着層転写体(2),及び中間
媒体(4)を用い、下記の記録条件にて、受像体(5)
としてのボンド紙上に最終画像を得た。
【0058】 記録ヘッド:ライン型サーマルヘッド ライン記録速度: 8ms 記録パルス幅: 0−4ms 最大染料記録エネルギ−:6.5J/cm2 染着層転写エネルギー:4J/cm2 熱ローラー:温度140゜C,送り速度10mm/秒、
圧力5Kg 以上のようにしてボンド紙上に得られた画像は最大反射
濃度1.8以上の高品位なピクトリアル画像であった。
そして、繰り返し画像形成を行ってもこの高品位なピク
トリアル画像を得ることができた。
【0059】(実験例2) ・染料転写体(1)の作製 4.5ミクロンのPETフィルムの裏面に1ないし2ミ
クロンの滑性耐熱層を設け、表面に0.3ミクロンのT
g=67度Cのランダム共重合ポリエステル樹脂を接着
層として塗工した後、接着層上に下記処方からなるイン
クをグラビアコーターで固形厚み0.7ミクロンになる
ように色材層を形成した。ここで滑性耐熱層は前記実験
例1と同様にして形成した。
【0060】(インク) インドアニリン系分散染料 2.5重量部 ポリビニルブチラール樹脂 4 重量部 アミド変性シリコーン油 0.02重量部 トルエン 20重量部 2−ブタノン 20重量部 ・染着層転写体(2)の作製 染料転写体1と同じPET基材、同じ接着層、同じ滑性
耐熱層を用い、接着層上に離型層として脱オキシム型シ
リコーン樹脂(PRX305、東レ・ダウコーニング・
シリコーン社製)10重量部、トルエン20重量部から
なる塗料をバーコーターで厚み0.3ミクロンに形成し
た。この離型層上に最下層の第1染着層としてポリ塩化
ビニル・酢酸ビニル共重合体とポリアクリロニトリルス
チレン樹脂の混合樹脂6重量部に離型材としてアミノ変
成シリコーンとエポキシ変成シリコーンの反応硬化物を
0.06重量部、トルエン及び2−ブタノンをそれぞれ
13重量部からなる塗料をバーコーターで1ミクロンに
なるよう成膜した。この上に保護層として、Tg=75
度Cのポリビニルブチラール樹脂とTg=110度Cの
アセトアセタール化ポリビニルアルコール樹脂(アセタ
ール樹脂)を6:4の組成で1.5ミクロンになるよう
に製膜した。更にこの上に上記アセタ−ル樹脂を1.5
ミクロン製膜して、合計3層の染着層部を作製した。
【0061】・中間媒体(4)の作製 前記実施例1と同じものを用いた。上記染料転写体
(1),染着層転写体(2),及び中間媒体(4)を用
い、前記実施例1と同じ記録条件にて、受像体(5)と
してのボンド紙上に最終画像を得たところ、前記実施例
1と同様に最大反射濃度1.8以上の高品位なピクトリ
アル画像を得ることができた。そして、繰り返し画像形
成を行ってもこの高品位なピクトリアル画像を得ること
ができた。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
受像体の基質に関係なく受像体に高品位のピクトリアル
画像を形成することを可能にした染料熱転写記録を繰り
返し安定に遂行させることができる熱記録転写体を得る
ことができる。また、本発明によれば、前記の染料熱転
写記録において従来困難であった受像体の全面への画像
形成が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱記録転写体を用いた染料熱転写記録
の第1の形態を示す図である。
【図2】本発明の熱記録転写体を用いた染料熱転写記録
の第2の形態を示す図である。
【図3】本発明の熱記録転写体を用いた染料熱転写記録
の第3の形態を示す図である。
【図4】図3に示された熱記録転写体を拡大して示した
図である。
【図5】色材層と接着層間の剥離力の温度特性を示す図
である。
【符号の説明】
1 染料転写体 2,2′ 染着層転写体 3−1,3−2 熱ヘッド 4 中間媒体 5 受像体 6 染着層が転写された受像体 7 熱ローラ 9,10 供給ローラ 9′,10′ 巻取ローラ 11,21,41 基材 12 色材層 13 耐熱滑性層 14 接着層 22 離型層 23,23′ 染着層 42 機能層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 7416−2H B41M 5/26 101 (72)発明者 福井 康雄 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 吉川 正紀 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 松尾 浩之 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,
    表面に離型層と染着層をこの順に積層した積層構成を有
    する染着層転写体と、第2の基材の裏面に滑性耐熱層を
    有し,表面に接着層と色材層をこの順に積層した積層構
    成を有する染料転写体と、第3の基材上に機能層を有す
    る中間媒体と、受像体とを用い、前記染着層転写体の前
    記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させることにより前記染
    着層を前記中間媒体の機能層上に熱転写するプロセス,
    前記染料転写体の前記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させ
    ることにより前記機能層上に転写された染着層に前記色
    材層中の染料を画信号に応じて熱転写記録するプロセ
    ス,及びこの染料が記録された染着層を受像体の主面上
    に熱転写するプロセスをこの順に実行する染料熱転写記
    録に前記染料転写体として供される熱記録転写体であっ
    て、 基材と、前記基材の裏面に形成された滑性耐熱層と、前
    記基材の表面に接着層を介して形成された色材層とを有
    し、この色材層を構成する樹脂が、ポリアクリロニトリ
    ルスチレン樹脂と、下記の(a)(b)(c)の樹脂の
    うちの少なくとも1つの樹脂とを、混合比が2:8ない
    し8:2の範囲となるよう混合したものであることを特
    徴とする熱記録転写体。 (a)ポリ塩化ビニル樹脂,(b)ポリ塩化ビニル樹脂
    とポリ酢酸ビニル樹脂の共重合樹脂,(ハ)ポリ塩化ビ
    ニル樹脂とポリ酢酸ビニル樹脂とポリビニルアルコ−ル
    樹脂の共重合樹脂。
  2. 【請求項2】 前記基材表面の接着層を構成する樹脂と
    前記色材層との付着力が50℃以上で20g/インチ以
    上である請求項1記載の熱記録転写体。
  3. 【請求項3】 前記基材表面の接着層を構成する樹脂の
    ガラス転移温度が40℃以上である請求項1に記載の熱
    記録転写体。
  4. 【請求項4】 前記基材がポリエステルフィルムであ
    り、前記基材表面の接着層を構成する樹脂がガラス転移
    温度が60℃以上のランダム共重合ポリエステル樹脂で
    ある請求項1に記載の熱記録転写体。
  5. 【請求項5】 前記基材が前記染料転写体が形成される
    前記第2基材と前記染着層転写体が形成される前記第1
    基材の両方に使用されるものである請求項1に記載の熱
    記録転写体。
  6. 【請求項6】 第1の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,
    表面に離型層と染着層をこの順に積層した積層構成を有
    する染着層転写体と、第2の基材の裏面に滑性耐熱層を
    有し,表面に接着層と色材層をこの順に積層した積層構
    成を有する染料転写体と、第3の基材上に機能層を有す
    る中間媒体と、受像体とを用い、前記染着層転写体の前
    記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させることにより前記染
    着層を前記中間媒体の機能層上に熱転写するプロセス,
    前記染料転写体の前記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させ
    ることにより前記機能層上に転写された染着層に前記色
    材層中の染料を画信号に応じて熱転写記録するプロセ
    ス,及びこの染料が記録された染着層を受像体の主面上
    に熱転写するプロセスをこの順に実行する染料熱転写記
    録に前記染着層転写体として供される熱記録転写体であ
    って、 基材と、前記基材の裏面に形成された滑性耐熱層と、前
    記基材の表面に離型層を介して形成された染着層とを有
    し、この染着層は前記離型層から遠い位置にある部分程
    高い耐熱性を示すものになっていることを特徴とする熱
    記録転写体。
  7. 【請求項7】 第1の基材の裏面に滑性耐熱層を有し,
    表面に離型層と染着層をこの順に積層した積層構成を有
    する染着層転写体と、第2の基材の裏面に滑性耐熱層を
    有し,表面に接着層と色材層をこの順に積層した積層構
    成を有する染料転写体と、第3の基材上に機能層を有す
    る中間媒体と、受像体とを用い、前記染着層転写体の前
    記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させることにより前記染
    着層を前記中間媒体の機能層上に熱転写するプロセス,
    前記染料転写体の前記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させ
    ることにより前記機能層上に転写された染着層に前記色
    材層中の染料を画信号に応じて熱転写記録するプロセ
    ス,及びこの染料が記録された染着層を受像体の主面上
    に熱転写するプロセスをこの順に実行する染料熱転写記
    録に前記染着層転写体として供される熱記録転写体であ
    って、 前記染着層を、前記離型層に接する第1染着層と,この
    第1染着層を被覆して保護する保護層とからなる2層構
    成、または前記離型層に接する第1染着層と,この第1
    染着層を被覆して保護する保護層と,この保護層上に形
    成された膜強度補強層とからなる3層構成にしたことを
    特徴とする熱記録転写体。
  8. 【請求項8】 前記第1染着層をガラス転移温度Tgが
    60℃未満のポリビニルブチラール樹脂またはポリビニ
    ルアセタール樹脂と離型材と含むものにし、前記保護層
    を70℃以上の互いに異なる温度のガラス転移温度Tg
    を有する複数のポリビニルブチラール樹脂またはポリビ
    ニルアセタール樹脂を混合した樹脂を含み、かつ、前記
    第1染着層の全面を被覆する面積を持つものものにし、
    前記膜強度補強層をガラス転移温度Tgが100℃以上
    のポリビニルブチラール樹脂またはボリビニルアセター
    ル樹脂を含み、前記保護層の外形より小さい面積を持
    ち、かつ、前記保護層より高い耐熱性を有するものにし
    た請求項7に記載の熱記録転写体。
  9. 【請求項9】 前記膜強度補強層と前記保護層の構成樹
    脂が同じであり、前記膜強度補強層と前記保護層間にお
    ける前記構成樹脂であるガラス転移温度Tgが互いに異
    なる複数の樹脂の配合比率を変えることにより、前記膜
    強度補強層の耐熱性を前記保護層の耐熱性より大きくし
    ている請求項8に記載の熱記録転写体。
  10. 【請求項10】 第1の基材の裏面に滑性耐熱層を有
    し,表面に離型層と染着層をこの順に積層した積層構成
    を有する染着層転写体と、第2の基材の裏面に滑性耐熱
    層を有し,表面に接着層と色材層をこの順に積層した積
    層構成を有する染料転写体と、第3の基材上に機能層を
    有する中間媒体と、受像体とを用い、前記染着層転写体
    の前記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させることにより前
    記染着層を前記中間媒体の機能層上に熱転写するプロセ
    ス,前記染料転写体の前記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接
    させることにより前記機能層上に転写された染着層に前
    記色材層中の染料を画信号に応じて熱転写記録するプロ
    セス,及びこの染料が記録された染着層を受像体の主面
    上に熱転写するプロセスをこの順に実行する染料熱転写
    記録に前記染着層転写体として供される熱記録転写体で
    あって、 基材と、前記基材の裏面に形成された滑性耐熱層と、前
    記基材の表面に離型層を介して形成された染着層とを有
    し、この染着層の前記色材層に接触する表面部を構成す
    る樹脂と、前記色材層を構成する樹脂とが互いに非相溶
    な樹脂であることを特徴とする熱記録転写体。
  11. 【請求項11】 前記染着層の前記色材層に接触する表
    面領域を構成する樹脂がポリビニルブチラール,ポリビ
    ニルアセタールから選ばれる1種類以上の樹脂であり、
    前記色材層を構成する樹脂がポリアクリロニトリルスチ
    レン樹脂,ポリ塩化ビニル樹脂,ポリ酢酸ビニル樹脂,
    ポリビニルアルコール樹脂,ポリエステル樹脂,ポリア
    ミド樹脂,ウレタン樹脂,アクリル樹脂から選ばれる1
    種類以上の樹脂であることを特徴とする請求項10に記
    載の熱記録転写体。
  12. 【請求項12】 前記染着層の前記色材層に接触する表
    面領域を構成する樹脂が、ポリアクリロニトリルスチレ
    ン樹脂,ポリ塩化ビニル樹脂,ポリ酢酸ビニル樹脂,ポ
    リビニルアルコール樹脂,ポリエステル樹脂,ポリアミ
    ド樹脂,ウレタン樹脂,アクリル樹脂から選ばれる1種
    類以上の樹脂であり、前記色材層を構成する樹脂がポリ
    ビニルブチラール,ポリビニルアセタールから選ばれる
    1種類以上の樹脂である請求項10に記載の熱記録転写
    体。
  13. 【請求項13】 前記染着層の前記中間媒体上の機能層
    に対する付着力が10g/25mm〜100g/25m
    mの範囲にある請求項6,7,10のいずれかに記載の
    熱記録転写体。
  14. 【請求項14】 前記基材が前記染着層転写体が形成さ
    れる前記第1基材と前記染料転写体が形成される前記第
    2基材との両方に使用されるものである請求項6,7,
    10のいずれかに記載の熱記録転写体。
  15. 【請求項15】 前記基材の裏面に形成された滑性耐熱
    層が、少なくとも耐熱性樹脂,無機あるいは有機の微粒
    子,及び液状潤滑性物質を含んでなるものである請求項
    1,6,7,10のいずれかに記載の熱記録転写体。
  16. 【請求項16】 前記液状潤滑性物質が側鎖に官能基を
    有し,分子量が10000以上の非反応性シリコーンオ
    イルである請求項記載15に記載の熱記録転写体。
  17. 【請求項17】 前記非反応性シリコーンオイルが、前
    記官能基部分の分子量が前記官能基によって挟まれるジ
    メチルポリシロキサン部分の分子量より大きいものであ
    る請求項16に記載の熱転写記録体。
  18. 【請求項18】 前記非反応性シリコーンオイルが、側
    鎖にポリエーテル基を有するポリエーテル変性シリコー
    ンオイルである請求項16または17に記載の熱記録転
    写体。
  19. 【請求項19】 第1の基材の裏面に滑性耐熱層を有
    し,表面に離型層と染着層をこの順に積層した積層構成
    を有する染着層転写体と、第2の基材の裏面に滑性耐熱
    層を有し,表面に接着層と色材層をこの順に積層した積
    層構成を有する染料転写体と、第3の基材上に機能層を
    有する中間媒体と、受像体とを用い、前記染着層転写体
    の前記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接させることにより前
    記染着層を前記中間媒体の機能層上に熱転写するプロセ
    ス,前記染料転写体の前記滑性耐熱層に熱ヘッドを当接
    させることにより前記機能層上に転写された染着層に前
    記色材層中の染料を画信号に応じて熱転写記録するプロ
    セス,及びこの染料が記録された染着層を受像体の主面
    上に熱転写するプロセスをこの順に実行する染料熱転写
    記録であって、 前記中間媒体の機能層に前記染着層転写体の前記染着層
    をこれの面積が前記受像体の面積より大きくなるよう転
    写させ、この染着層に前記染料転写体の色材層中の染料
    を熱転写記録して前記受像体の面積より大きい面積の画
    像を形成し、この画素記録染された染着層を前記受像体
    に転写させると同時に,これの前記受像体の外周からは
    み出す部分を前記受像体の外周縁部によって切断するこ
    とを特徴とする熱転写記録方法。
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