JPH08306985A - 配向性強誘電体膜の製法及び圧電素子の製法 - Google Patents

配向性強誘電体膜の製法及び圧電素子の製法

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JPH08306985A
JPH08306985A JP12743995A JP12743995A JPH08306985A JP H08306985 A JPH08306985 A JP H08306985A JP 12743995 A JP12743995 A JP 12743995A JP 12743995 A JP12743995 A JP 12743995A JP H08306985 A JPH08306985 A JP H08306985A
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ferroelectric
piezoelectric element
ferroelectric material
conductive plate
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JP12743995A
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Yasushi Suganuma
靖 菅沼
Hiroshi Kishi
弘志 岸
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Taiyo Yuden Co Ltd
Original Assignee
Taiyo Yuden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高配向率の配向性強誘電体膜及びこれを利用し
た圧電素子を提供すること。 【構成】強誘電体材料粉末を電着液の粒子に用いて電気
泳動法により強誘電体材料層を形成し、これをそのまま
又は加圧又は熱処理により強誘電性を示す金属化合物の
溶液を塗布して熱処理して配向性強誘電体膜を得る。上
記強誘電体材料層又は上記加圧又は金属化合の溶液の塗
布の処理を加えた強誘電体材料層に電着による導電体材
料層、導電体材料ペーストの塗布膜による導電体材料
層、スパッタリング、蒸着による導電体層を形成した後
熱処理し、圧電素子を得る。 【効果】単結晶化が困難な強誘電体セラミックでもほぼ
100%の配向率の配向性強誘電体膜及びこれを利用し
た圧電素子が得られ、圧電材料の選択幅を広げ、その性
能を向上し、小型化をすることができ、しかもコストを
低減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、結晶軸方向が高度に揃
った高配向率の配向性強誘電体膜の製法及びその配向性
強誘電体膜を利用した圧電素子の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電素子は、セラミックスフィルター、
ブザー、発振子、センサー等に使用されているが、これ
らには分極反転が可能なPZT(チタン酸ジルコン酸鉛
系)、チタン酸鉛系等の圧電性、焦電性を示す強誘電体
材料が使用されている。圧電性を示す材料としては、水
晶も用いられているが、分極反転ができないため単結晶
や薄膜を利用し、発振子、SAWデバイス等の限られた
分野に広く用いられているに過ぎない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】最近では、圧電性を利
用したトランスが実用化され、スイッチング電源の高周
波化、小型化の要求に応えようとしている。トランスに
限らず、圧電素子は分極の配向率が向上すれば、機械的
動作と電気的動作の間の変換効率が向上し、高性能化す
ることができ、小型化することができる。しかしなが
ら、分極の配向率を100%にするには、単結晶材料を
用いなければならず、単結晶化の困難なチタン酸ジルコ
ン酸鉛系、チタン酸鉛系材料は利用し難いだけではな
く、製造コストも高くなるという課題がある。上記各種
圧電素子を作製するためには、種々の特性を引き出すこ
とができる強誘電性セラミック材料を利用することが極
めて有効であるが、この強誘電性セラミック材料を用い
た圧電素子は高い直流電界を印加しても分極の配向率は
80%程度であり、100%にはならず、その配向率を
向上することが望まれている。
【0004】本発明の第1の目的は、単結晶化が困難な
強誘電性セラミック材料を用いても分極の配向率を高く
できる配向性強誘電体膜の製法及びその配向性強誘電体
膜を利用した圧電素子を提供することにある。本発明の
第2の目的は、小型化できる配向性強誘電体膜の製法及
びその配向性強誘電体膜を利用した圧電素子を提供する
ことにある。本発明の第3の目的は、高性能化できる配
向性強誘電体膜の製法及びその配向性強誘電体膜を利用
した圧電素子を提供することにある。本発明の第4の目
的は、簡易な設備で生産工程が単純であり、生産性が良
く、低コストで得られる配向性強誘電体膜の製法及びそ
の配向性強誘電体膜を利用した圧電素子を提供すること
にある。本発明の第5の目的は、強誘電体層の厚さの設
計の容易な配向性強誘電体膜の製法及びその配向性強誘
電体膜を利用した圧電素子を提供することにある。本発
明の第6の目的は、厚さのバラツキがなく、緻密で均一
な強誘電体層、電極を形成可能な圧電素子を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、(1)、強誘電体材料粉末を電着液中の
粒子に用いて電気泳動法により強誘電体材料層を形成す
る工程と、該強誘電体材料層を熱処理する工程を有する
配向性強誘電体膜の製法を提供するものである。また、
本発明は、(2)、強誘電体材料粉末を電着液中の粒子
に用いて電気泳動法により強誘電体材料層を形成する工
程と、該強誘電体材料層を加圧する工程と、該加圧した
強誘電体材料層を熱処理する工程を有する配向性強誘電
体膜の製法、(3)、強誘電体材料粉末を電着液中の粒
子に用いて電気泳動法により強誘電体材料層を形成する
工程と、熱処理を施すと強誘電性を示す物質となる金属
化合物の溶液を該強誘電体材料層に塗布する工程と、該
塗布した強誘電体材料層を熱処理する工程を有する配向
性強誘電体膜の製法、(4)、強誘電体粉末を分散させ
た電着液中に設けた導電板に通電する電気泳動法により
該導電板上に強誘電体材料層を形成する工程と、該導電
板上の強誘電体材料層の表面の露出している片面又は該
導電板から剥離した該強誘電体材料層の両面に導電体材
料層又は導電体層を形成し圧電素子材料構成体を形成す
る工程と、該圧電素子材料構成体を熱処理する工程を有
する圧電素子の製法、(5)、強誘電体粉末を分散させ
た電着液中に設けた導電板に通電する電気泳動法により
該導電板上に強誘電体材料層を形成する工程と、該導電
板上の強誘電体材料層を加圧する工程と、該加圧した導
電板上の強誘電体材料層の表面の露出している片面又は
該導電板から剥離した強誘電体材料層の両面に導電体材
料層又は導電体層を形成し圧電素子材料構成体を形成す
る工程と、該圧電素子材料構成体を熱処理する工程を有
する圧電素子の製法、(6)、強誘電体粉末を分散させ
た電着液中に設けた導電板に通電する電気泳動法により
該導電板上に強誘電体材料層を形成する工程と、熱処理
を施すと強誘電性を示す物質となる金属化合物の溶液を
該導電板上の強誘電体材料層の表面の露出している片面
又は該導電板から剥離した強誘電体材料層の両面に塗布
する工程と、該塗布した導電板上の強誘電体材料層の表
面の露出している片面又は該導電板から剥離した強誘電
体材料層の両面に導電体材料層又は導電体層を形成し圧
電素子材料構成体を形成する工程と、該圧電素子材料構
成体を熱処理する工程を有する圧電素子の製法、
(7)、導電体材料層は導電体材料粉末を電着液中の粒
子に用いて電気泳動法により形成する上記(4)ないし
(6)のいずれかの圧電素子の製法、(8)、導電体材
料層は導電体材料粉末を含有するペーストの塗布膜によ
り形成する上記(4)ないし(6)のいずれかの圧電素
子の製法、(9)、導電体層はスパッタリング又は蒸着
により形成される上記(4)ないし(6)のいずれかの
圧電素子の製法を提供するものである。
【0006】本発明において、電気泳動法により強誘電
体材料層を形成するには、強誘電体材料粉末を分散させ
たスラリーに、1組以上の陽極と陰極となる導電板、例
えば金属板を浸漬させ、陽極と陰極に電圧を印加し、強
誘電体材料粉末を電気泳動により付着させる(電着とも
いう)ことにより形成できる。この場合の強誘電体材料
粉末としては、チタン酸系の強誘電体材料粉末、例えば
チタン酸ジルコン酸鉛系、チタン酸鉛系材料等の強誘電
体セラミック粉末が挙げられる。これら強誘電体セラミ
ックス粉末の形状、大きさ、粒径分布としては均一で微
細なものが好ましい。また、電着液の溶媒としては、乾
燥等を考えれば、有機溶剤が好ましく、例えばアセト
ン、アルコール類、ケトン類、アルデヒド類、エステル
類等の電離効果の大きい極性溶媒その他の溶媒が使用で
き、これらは単独又は複数併用することができる。
【0007】導電板上に電着により形成された強誘電体
材料層はその導電板から剥離されることにより配向性強
誘電体膜とすることができ、その圧電性には問題がない
が粒子間の空隙が多いので、圧電素子に使用された場合
の用途によっては機械的強度等が要求される場合にはそ
の空隙を埋めることが有効である。そのためには、導電
板上の強誘電体材料層あるいは導電板から剥離した強誘
電体材料層を加圧することが好ましく、その加圧は非加
熱流体中で加圧する、いわゆる冷間等方圧力(CIP)
であることが好ましい。このように加圧すると組織の緻
密な強誘電体材料層を形成することができる。その圧力
としては10〜10万Kg/cm2 が好ましい。また、
強誘電体材料層に熱処理を施すと強誘電性を示す物質と
なる金属化合物の溶液を塗布し、その空隙を金属化合物
で埋めてから後述の熱処理工程に付することにより組織
の緻密な強誘電体材料層を形成することができる。その
金属化合物としては金属塩及び/又は金属の有機化合物
が挙げられるが、その溶液のゾルに強誘電体材料層を浸
し、その層の中や表面でそのゾルをゲル化させるゾルゲ
ル法を用い、後述の熱処理工程に付することにより組織
の緻密な強誘電体材料層を好ましく形成することができ
る。その金属塩としては、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩等が
挙げられ、金属の有機化合物としては、金属アルコキシ
ド、金属アセチルアセトナート等が挙げられ、溶媒とし
てはエチレングリコール、アルコール類、メトキシエタ
ノール等が挙げられる。強誘電体材料層の空隙を金属化
合物の溶液、ゾルで埋めるには、上記金属塩や金属有機
化合物を溶媒に0.1〜1%溶解した溶液を強誘電体材
料層にスピンコート法により塗布するか、強誘電体材料
層をその溶液に浸漬して塗布するディップコート法が挙
げられる。また、上記加圧する方法と、上記ゾルゲル法
を併用することもでき、強誘電体材料層の組織を緻密に
することができる。電着により形成された強誘電体材料
層、その加圧やゾルゲル法等により処理された強誘電体
材料層は熱処理されることにより配向性強誘電体膜とさ
れる。その熱処理温度としては900〜1400℃、焼
成時間は1分〜1時間が好ましい。
【0008】このようにして得られた配向性強誘電体膜
に、後述するように電着による導電体材料層からなる導
電体層、導電体材料ペースト膜の導電体材料層からなる
導電体層、スパッタリング法、蒸着法による導電体層に
より電極を形成し、圧電素子とするすることもできる
が、上述の電着により形成された強誘電体材料層、その
加圧やゾルゲル法等により処理された強誘電体材料層
に、電着による導電体材料層、導電体材料ペーストによ
る導電体材料層、スパッタリング法あるいは蒸着法によ
る導電体層を形成してから熱処理することにより電極を
形成した圧電素子としても良い。この場合、電極の一方
は強誘電体材料層を電着により形成したときの導電板と
することもできる。電着により強誘電体材料層を形成
し、これに電着により導電体材料層を形成するには、強
誘電体材料層を形成した導電板を電極として用い、導電
体材料粉末を含む電着液を用いて電着を行ない、その導
電板を圧電素子の一方の電極としてもよいが、その強誘
電体材料層を導電板から剥離し、改めて導電板に当てが
って同様に電着を行ない、これを両面について行っても
良い。そのいずれの場合も、強誘電体材料層は上記した
ように加圧やゾルゲル法等による処理をなされたもので
も良い。電着により導電体材料層を形成する場合の導電
体材料としては、銀、銅、パラジウム、ニッケル等の金
属のいずれか又はこれら各々の合金等の金属を挙げるこ
とができるが、これに限らず、カーボンその他の導電体
でも良く、さらにはこれら導電体を含有する樹脂等でも
良い。また、電着液の溶媒は上記強誘電体材料層を形成
した場合とほぼ同様のものを例示できる。
【0009】強誘電体材料層、導電体材料層を電着によ
り形成する場合には電極間には直流電圧が印加される
が、その電圧は例えば電極間距離1cm当たり1〜10
0ボルトが挙げられるがこれに限らず、通電時間も数1
0分ないし数時間が例示される。電圧が高いと、誘電体
材料粉末、導電体材料粉末の被覆速度は大きくなり、通
電時間が長ければその被覆膜の厚さは大きくなる。
【0010】電気泳動法により形成された強誘電体材料
層に導電体材料層又は導電体層を形成する他の方法は、
その強誘電体材料層に導電体材料ペーストをスクリーン
印刷する方法、スパッタリング又は蒸着を行う方法があ
る。電気泳動法、スクリーン印刷法、スパッタリング
法、蒸着法の2種以上を併用しても良い。導電体材料ペ
ーストとしては、金、銀、白金、銅、パラジウム等やこ
れらそれぞれの合金粉末、カーボンその他の導電性粉末
と、バインダーを少なくとも含有し、このバインダーは
少なくとも樹脂を含有し、通常は溶剤も含有されること
が多いが、導電性粉末等の固形分に対し10ないし40
重量%混合することが好ましい。この樹脂としては、エ
チルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルブチ
ラール樹脂、ポリビニルアルコール等のビニル系の樹
脂、その他熱、光、電子線硬化型樹脂を用いることもで
きる。スクリーン印刷は、例えばステンレス製メッシュ
に乳剤を塗布し、画線部を残して光硬化させ、その画線
部の塗布膜を除去することによりスクリーンを形成し、
これに導電体材料ペーストをスキージーにより塗布する
等の方法が挙げられる。導電体材料ペーストの塗布膜か
らなる導電体材料層は焼付けて使用されることが好まし
い。
【0011】スパッタリンク又は蒸着により導電体層を
形成する際の導電体材料としては、銀、銅、パラジウ
ム、ニッケル等の金属のいずれか又はこれらの各々の合
金等の金属を挙げることができるが、これに限らず、ス
パッタリング、蒸着を行えるものであれば良い。なお、
スパッタリングとは、例えば金属を陰極とし、相手電極
との間に、真空中又はそれに近い状態で高電圧を印加す
ることにより、金属を飛び散らせて強いての電極に付着
させ、薄膜を形成することをいい、蒸着とは真空又はそ
れに近い状態で物質を加熱して蒸発させ、基材に付着さ
せて薄膜を形成することをいう。
【0012】電気泳動法により形成された強誘電体材料
層あるいはその加圧、ゾルゲル法等により処理さた強誘
電体材料層の両面あるいは電着の際の導電板を付したま
まの場合はその強誘電体材料層の片面に電気泳動法、ス
クリーン印刷法、スパッタリング法、蒸着法により導電
体材料層あるいは導電体層が形成された圧電素子材料構
成体は、熱処理され、強誘電体層の両面に導電体層から
なる電極を形成した圧電素子が形成されるが、その熱処
理温度は、導電体材料の融点、酸化性等を考慮して決め
られるが、銀の場合には800℃以上、950℃以下が
好ましいが、その他の高融点の金属の場合にはこれに限
られない。
【0013】
【作用】電気泳動法とは、コロイド溶液または懸濁液や
エマルジョン中に電極を入れてこれに直流電圧を加える
ことによりコロイド粒子または微細粒子がどちらか一方
の極に移動する現象をいうので、導電板の電極を用い、
コロイド粒子または微細粒子に強誘電体材料粉末を用い
ると(通常、液体中の粉体は荷電粒子として扱える)、
電極にこれら強誘電体粉末の粒子は互いに反対の電荷の
静電引力により付着しその層を形成でき、これを熱処理
すると、一つの結晶面に配向させることができる。この
ようにして得られる配向性強誘電体膜を分極方向の結晶
面に配向させれば分極の配向性が向上し、ほぼ配向率を
ほぼ100%とすることができる。この電気泳動を利用
して粒子の層を形成する、いわゆる電着は、その電着速
度が大きく、電着液に用いる粒子の種類、大きさ、形
状、表面電化数、溶媒の種類、溶媒中の電解質の種類、
イオン強度、あるいはpH、温度、加えた電圧等などに
よりその速度を調整でき、バインダーを含まないように
もでき、さらには粒子同士は反発しあうため、空孔のな
い緻密なセラミック層等をその厚さの調整を5μm以下
の厚さから容易に形成できる。電着により形成される誘
電体材料層は空隙があり、機械的強度が弱いが、加圧や
熱処理により強誘電性を示す金属化合物の溶液を用いた
ゾルゲル法等により処理した後熱処理するとその空隙を
埋めることができ、組織の緻密な配向性強誘電体膜を得
ることができる。配向性強誘電体膜には電着、スクリー
ン印刷法、スパッタリング法、蒸着法を用い、必要に応
じて熱処理することにより電極を形成することができ、
圧電素子を作成することができる。
【0014】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。 実施例1(配向性強誘電体膜の製造例) Pb(Zr0.6 Ti0.4 )O4 となるように、鉛丹、酸
化チタン、酸化ジルコニウムを通常の方法によりボール
ミルで湿式混合し、その得られた混合物を乾燥してから
仮焼きし、平均粒径0.8μmの強誘電体セラミック材
料粉末を得た。100mlビーカーにアセトン50m
l、上記強誘電体セラミック材料粉末5gを入れて混合
し、超音波分散させて強誘電体セラミック材料粉末のス
ラリーを得た。電極として20mm角の白金板一対を上
記スラリー中に離間して浸し、両電極間に50V/cm
の直流電界を1分間印加し、一方の白金板に強誘電体セ
ラミック材料粉末の電着により50μmの強誘電体セラ
ミック材料層を形成した。その白金板に形成された強誘
電体セラミック材料層を白金板とともに1250℃で1
時間熱処理し、強誘電体セラミック層からなる配向性強
誘電体膜を得た。その配向性強誘電体膜を白金板から剥
離してその結晶構造をX線回折法により調べたところ、
図1に示すように、ほぼ95%(200)面に配向して
いることがわかった。また、その膜の機械的強度を3点
曲げ法により測定したところ250Kg/cm2 であっ
た。
【0015】比較例1 実施例1と同様にして製造した強誘電体セラミック材料
粉末にバインダーを混ぜる等のことを行って通常の方法
により成形して成形板を作成し、その成形板を1250
℃で1時間熱処理し、強誘電体セラミック板を得た。そ
の強誘電体セラミック板の結晶構造をX線回折法により
調べたところ、図2に示すように配向のない典型的なベ
ロブスカイトのパターンであることがわかった。
【0016】実施例2(加圧工程を有する配向性強誘電
体膜の製造例) 実施例1で得られた強誘電体セラミック材料層を形成し
た白金板をゴム状チューブ中に入れ、3000Kg/c
2 の圧力を加えた。その後実施例1と同様に熱処理
し、強誘電体セラミック層からなる配向性強誘電体膜を
形成した。その配向性強誘電体膜を白金板から剥離して
その結晶構造をX線回折法により調べたところ、図1と
同様にほぼ95%(200)面に配向していることがわ
かった。また、その膜の機械的強度を3点曲げ法により
測定したところ500Kg/cm2 であった。
【0017】実施例3(ゾルゲル法による処理工程を有
する配向性強誘電体膜の製造例) 実施例1で得られた白金板上の強誘電体セラミック材料
層に酢酸塩(金属塩)の1%エチレングリコールのゾル
溶液をスピンコート法により塗布し、乾燥させてゾルを
ゲル化させた。その後実施例1と同様に熱処理し、強誘
電体セラミック層からなる配向性強誘電体膜を形成し
た。その配向性強誘電体膜を白金板から剥離してその結
晶構造をX線回折法により調べたところ、図1と同様に
ほぼ95%(200)面に配向していることがわかっ
た。また、その膜の機械的強度を3点曲げ法により測定
したところ550Kg/cm2 であった。なお、スピン
コート法の代わりにディップコート法を用いてもほぼ同
様の結果が得られ、酢酸塩の代わりに金属アルコキシド
(金属有機化合物)の同様な溶液を用いて、スピンコー
ト法あるいはディップコート法を用いて上記のように操
作してもほぼ同様の結果が得られた。
【0018】実施例4(電着工程を有する電極を形成し
た圧電素子の製造例) 100mlビーカーにアセトン50ml、平均粒径0.
1μmのパラジウム(Pd)粉末5gを入れて混合し、
超音波分散させて導電体材料粉末のスラリーを得た。つ
いで、実施例1で得られた強誘電体セラミック材料層を
形成した白金板を一方に、これと同じ形状の白金板を他
方にして強誘電体セラミック材料層を内側に向けて上記
スラリー中に離間して設置し、両電極間に50V/cm
の直流電界を1分間印加し、一方の白金板上の強誘電体
セラミック材料層上に5μmのパラジウム材料層を形成
した。その一方の白金板上に形成された強誘電体セラミ
ック材料層とその上に形成されたパラジウム材料層を白
金板とともに1350℃で2時間熱処理した。このよう
にして白金板とパラジウム層を配向性強誘電体膜の両面
に電極として有する圧電素子を作成した。この圧電素子
について変換効率を測定したところ90%であった。な
お、強誘電体セラミック材料層に加圧処理、ゾルゲル法
による処理を行った実施例2、3における強誘電体セラ
ミック材料層を実施例1の強誘電体セラミック材料層の
代わりに用いてもほぼ同様の結果が得られた。
【0019】実施例5(導電体材料ペースト膜形成工程
を有する電極を形成した圧電素子の製造例) 実施例1で得られた白金板上の強誘電体セラミック材料
層にPdを導電体材料とするPdペースト(Pd50重
量部、エチルセルローズ5重量部、ブチルカービトール
45重量部)をスクリーン印刷により印刷し、550℃
で焼き付け、μmの焼付け膜を形成した。その後、白金
板上に形成された強誘電体セラミック材料層とその上に
形成されたパラジウム焼付け膜を白金板とともに135
0℃で2時間熱処理した。このようにして白金板とパラ
ジウム層を配向性強誘電体膜の両面に電極として有する
圧電素子を作成した。この圧電素子について変換効率を
測定したところ95%であった。なお、強誘電体セラミ
ック材料層に加圧処理、ゾルゲル法による処理を行った
実施例2、3における強誘電体セラミック材料層を実施
例1の強誘電体セラミック材料層の代わりに用いてもほ
ぼ同様の結果が得られた。
【0020】実施例6(スパックリング工程を有する電
極を形成した圧電素子の製造例) 実施例1で得られた白金板上の強誘電体セラミック材料
層にニッケルをマグネトロンスパッタリング装置により
スパッタリングを行い、0.5μmの導電体層を形成し
た。その後、白金板上に形成された強誘電体セラミック
材料層とその上に形成されたニッケル層を白金板ととも
に1350℃で2時間熱処理した。このようにして白金
板とニッケル層を配向性強誘電体膜の両面に電極として
有する圧電素子を作成した。この圧電素子について変換
効率を測定したところ95%であった。なお、強誘電体
セラミック材料層に加圧処理、ゾルゲル法による処理を
行った実施例2、3における強誘電体セラミック材料層
を実施例1の強誘電体セラミック材料層の代わりに用い
てもほぼ同様の結果が得られた。
【0021】実施例7(蒸着工程を有する電極を形成し
た圧電素子の製造例) 実施例1で得られた白金板上の強誘電体セラミック材料
層にニッケルを蒸着法により0.1μmの導電体層を形
成した。その後、白金板上に形成された強誘電体セラミ
ック材料層とその上に形成されたニッケル層を白金板と
ともに1350℃で2時間熱処理した。このようにして
白金板とニッケル層を配向性強誘電体膜の両面に電極と
して有する圧電素子を作成した。この圧電素子について
変換効率を測定したところ98%であった。なお、強誘
電体セラミック材料層に加圧処理、ゾルゲル法による処
理を行った実施例2、3における強誘電体セラミック材
料層を実施例1の強誘電体セラミック材料層の代わりに
用いてもほぼ同様の結果が得られた。
【0022】上記実施例4以降の圧電素子の例は一方の
電極を白金板としたが、それぞれの実施例において他方
の電極とすべき導電体材料層又は導電体層を形成した
後、白金板上からこの導電体材料層又は導電体層を形成
した強誘電体セラミック材料層を白金板から剥がし取
り、その導電体材料層又は導電体層側を白金板に当てが
って周囲をクリップや剥離可能な接着剤等で仮り止め
し、強誘電体セラミック材料層の剥離面にそれぞれの実
施例と同様にして導電体材料層又は導電体層を形成し、
以後それぞれの実施例におけると同様に熱処理して圧電
素子を製造することができ、その場合もそれぞれの対応
する実施例のものとほぼ同様な結果が得られた。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、電気泳動法により強誘
電体材料層を形成し、これを熱処理することにより配向
性強誘電体膜を形成したので、単結晶化が困難な強誘電
性セラミック材料を用いても分極の配向率をほぼ100
%にすることができ、その性能向上によりこの配向性強
誘電体膜を利用した圧電素子を高性能化かつ小型化する
ことができるのみならず、その材料の選択幅を広くする
ことができるので種々に要求される特性を備えた圧電素
子を提供することができ、しかも単結晶を製造するのに
比べて簡易な設備で生産工程が単純であり、生産性が良
く、製造コストを大幅に削減し、低コスト品を提供する
ことができる。また、電気泳動法により強誘電体材料層
の形成はその厚さを電着電圧や電着時間を調整すること
により自由に制御でき、配向性強誘電体膜及びこれを利
用した圧電素子の強誘電体層の厚さの設計を容易にする
ことができる。また、圧電素子の電極を電着やスパッタ
リング、蒸着を利用して行うと、緻密かつ厚さにバラツ
キの少ない均一な電極を形成することができ、圧電素子
の一層の小型化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の配向性強誘電体膜である強
誘電体セラミック膜のX線回折の結果を示すチャートで
ある。
【図2】その比較例の強誘電体セラミック膜のX線回折
の結果を示すチャートである。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強誘電体材料粉末を電着液中の粒子に用
    いて電気泳動法により強誘電体材料層を形成する工程
    と、該強誘電体材料層を熱処理する工程を有する配向性
    強誘電体膜の製法。
  2. 【請求項2】 強誘電体材料粉末を電着液中の粒子に用
    いて電気泳動法により強誘電体材料層を形成する工程
    と、該強誘電体材料層を加圧する工程と、該加圧した強
    誘電体材料層を熱処理する工程を有する配向性強誘電体
    膜の製法。
  3. 【請求項3】 強誘電体材料粉末を電着液中の粒子に用
    いて電気泳動法により強誘電体材料層を形成する工程
    と、熱処理を施すと強誘電性を示す物質となる金属化合
    物の溶液を該強誘電体材料層に塗布する工程と、該塗布
    した強誘電体材料層を熱処理する工程を有する配向性強
    誘電体膜の製法。
  4. 【請求項4】 強誘電体粉末を分散させた電着液中に設
    けた導電板に通電する電気泳動法により該導電板上に強
    誘電体材料層を形成する工程と、該導電板上の強誘電体
    材料層の表面の露出している片面又は該導電板から剥離
    した該強誘電体材料層の両面に導電体材料層又は導電体
    層を形成し圧電素子材料構成体を形成する工程と、該圧
    電素子材料構成体を熱処理する工程を有する圧電素子の
    製法。
  5. 【請求項5】 強誘電体粉末を分散させた電着液中に設
    けた導電板に通電する電気泳動法により該導電板上に強
    誘電体材料層を形成する工程と、該導電板上の強誘電体
    材料層を加圧する工程と、該加圧した導電板上の強誘電
    体材料層の表面の露出している片面又は該導電板から剥
    離した強誘電体材料層の両面に導電体材料層又は導電体
    層を形成し圧電素子材料構成体を形成する工程と、該圧
    電素子材料構成体を熱処理する工程を有する圧電素子の
    製法。
  6. 【請求項6】 強誘電体粉末を分散させた電着液中に設
    けた導電板に通電する電気泳動法により該導電板上に強
    誘電体材料層を形成する工程と、熱処理を施すと強誘電
    性を示す物質となる金属化合物の溶液を該導電板上の強
    誘電体材料層の表面の露出している片面又は該導電板か
    ら剥離した強誘電体材料層の両面に塗布する工程と、該
    塗布した導電板上の強誘電体材料層の表面の露出してい
    る片面又は該導電板から剥離した強誘電体材料層の両面
    に導電体材料層又は導電体層を形成し圧電素子材料構成
    体を形成する工程と、該圧電素子材料構成体を熱処理す
    る工程を有する圧電素子の製法。
  7. 【請求項7】 導電体材料層は導電体材料粉末を電着液
    中の粒子に用いて電気泳動法により形成する請求項4な
    いし6のいずれかに記載の圧電素子の製法。
  8. 【請求項8】 導電体材料層は導電体材料粉末を含有す
    るペーストの塗布膜により形成する請求項4ないし6の
    いずれかに記載の圧電素子の製法。
  9. 【請求項9】 導電体層はスパッタリング又は蒸着によ
    り形成される請求項4ないし6のいずれかに記載の圧電
    素子の製法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009203105A (ja) * 2008-02-27 2009-09-10 Ngk Insulators Ltd セラミックス配向膜の製造方法及び原料粉末
JP2010100515A (ja) * 2008-09-24 2010-05-06 Ngk Insulators Ltd 結晶配向セラミックスの製造方法
RU2796209C1 (ru) * 2023-02-08 2023-05-17 Федеральное государственное автономное образовательное учреждение высшего образования "Белгородский государственный национальный исследовательский университет" (НИУ "БелГУ") Способ создания ориентированных структур на основе сегнетоэлектрического порошка

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