JPH08306160A - 磁気テープカセット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 部品点数を削減するとともにハブの円筒度を
向上させたフランジ付きハブを具備する磁気テープカセ
ットを提供すること。 【構成】 切り欠きを有するハブ本体と、該切り欠きに
嵌め込められ且つ磁気テープの末端部を止着するクラン
プと、該切り欠きに連通し且つ前記クランプの前記フラ
ンジ側端面をリール成形時のパーティングラインとする
ことができる貫通孔を有したフランジとが一体形成され
たフランジ付きハブを具備する構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えばビデオテープレ
コーダのような磁気ヘッドを内蔵したシリンダに磁気テ
ープを所定角巻回して記録再生を行う磁気記録再生装置
等に用いられる磁気テープカセットに関し、より詳しく
は、フランジ付きリールに巻装して磁気テープを走行自
在に収容する磁気テープカセットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、磁気記録用テープが一対のフ
ランジ付きリールに巻装された磁気テープカセット、例
えば、家庭用ビデオカセットがよく知られている。図５
及び図６に見られる如く、フランジ付きリール１は、磁
気テープが巻装される略円筒状のハブ部２と、ハブ部２
と一体的に形成された略円板状のフランジ３とからな
る。このフランジ３の外周部には、フランジ３の回動規
制を行う図示せぬロック爪に係合される複数の歯３ａが
設けられている。ハブ部２は、ハブ本体２ａと該ハブ本
体２ａに係止されるクランプ２ｂとから構成されてお
り、ハブ本体２ａは、テープ巻装面を構成するハブ外周
部４の一部を切欠いた状態で形成され、この切り欠き部
分５の両端にリールの回転中心軸に平行な方向（以下、
「軸方向」と云う）に延在する突起６ａとその回転中心
軸側にあって、軸方向に延在する凹部６ｂが設けられて
いる。クランプ２ｂは、突起６ａと凹部６ｂにそれぞれ
対応して弾性係合する凹部７ａと突起７ｂが両端部に設
けられている。

【０００３】図６に見られる如く、切り欠き部分５に磁
気テープの末端部１０を、突起６ａと凹部６ｂ並びにク
ランプ２ｂの凹部７ａと突起７ｂとの間に圧着固定する
ように、クランプ２ｂをハブ本体２ａの切り欠き部分５
に嵌め込むことにより略円筒状のハブ２が完成する。ハ
ブ本体２ａとクランプ２ｂとは別体に形成されているた
め、別々の金型が必要となりコストが嵩む上に、ハブ本
体２ａの外周部４の外周面８の曲率半径とクランプ２ｂ
の外周面９の曲率半径とを合致させることが困難であ
り、外周面８と外周面９との間に段差ができるなどハブ
２の円筒度の精度が低くなり、ハブ２に巻装される磁気
テープの変形を招く原因となるという欠点を有してい
る。

【０００４】クランプとハブ本体とが別体より構成され
るハブの上記諸問題を解決すべく、図７に示した如く、
ハブ本体の切り欠き部分の一端とクランプの一端とを連
結し、ハブ本体に対してクランプを該一端を中心に開閉
できるようにして、ハブ本体とクランプとの一体的組立
体によりハブを形成する技術が特開平６−２５１５４９
号等により提案されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の技術は、クランプとハブ本体とを一体成形するに
留まり、ハブの下側にハブの外径よりも大きなフランジ
が存在する所謂フランジ付きリール（図５参照）の一体
成形には利用することができない。

【０００６】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
にあり、部品点数を削減するとともにハブの円筒度の精
度を向上させるべくクランプとハブ本体とが一体成形可
能な構成のフランジ付きリールを具備する磁気テープカ
セットを提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明に係る目的は、端
部にフランジを有するフランジ付きリールハブに巻装し
て磁気テープを走行自在に収容する磁気テープカセット
において、前記フランジ付きリールは、テープ巻装面を
構成するハブ外周部の一部に切り欠きを有するハブ本体
と、前記切り欠きの一端とヒンジ部を介して連結された
一端と前記切り欠きの他端と弾性的に係合し前記磁気テ
ープの端末部を止着する他端とを有するクランプと、前
記リールの回転中心軸と平行な方向において前記切り欠
きに連通し且つ前記クランプの前記フランジ側端面をリ
ール成形時のパーテングラインとすることのできる貫通
孔を有した前記フランジとが一体形成されたことを特徴
とする磁気テープカセットにより達成される。

【０００８】また、本発明の好ましい実施態様によれ
ば、前記クランプの底面と前記フランジの外面とがほぼ
面一となるように構成されている。

【０００９】

【作用】上記磁気テープカセットによれば、フランジに
貫通孔が形成されてこの貫通孔の形成範囲にクランプが
位置しているので、クランプとハブ本体とを一体成形す
ることができ、部品点数が削減できるばかりでなく、成
形のために必要となる金型点数も削減でき、製造コスト
を大幅に下げることが可能となる。また、ハブ本体とク
ランプを同一の環境下で同一の金型で同時に成形できる
ことから、ハブ本体の外周部の外周面の曲率半径とクラ
ンプの外周面の曲率半径とを合致させることが容易であ
り、ハブの円筒度の精度を向上することができ、ハブに
巻装される磁気テープの変形を防ぐことが可能となる。

【００１０】さらに、クランプの底面とフランジの外面
（則ち、巻装されたテープの一方のエッジが接する面と
は反対側の面）とがほぼ面一となるよう構成すること
で、成形用の金型のパーティングラインをハブ本体上の
磁気テープ巻装領域から十分に離すことが可能となり、
成形時にバリが発生しても磁気テープを損傷させる恐れ
がなくなる。

【００１１】

【実施態様】次に、図１乃至図３を参照して本発明を適
用した磁気テープカセットの実施態様を説明する。な
お、図１は、本発明の一実施態様の磁気テープカセット
におけるフランジ付きリール２１の斜視図、図２は上記
実施態様の平面拡大図、図３は図２におけるＩＩＩ−Ｉ
ＩＩに沿った位置に対応した上下金型とフランジ付きリ
ールの断面図である。

【００１２】図１乃至図４に示した如く、本発明の一実
施態様の磁気テープカセットにおけるフランジ付きリー
ル２１は、磁気テープが巻装される略円筒状のハブ部２
２と、ハブ部２２と一体的に形成された円板状のフラン
ジ２３とからなる。このフランジ２３の外周部には、フ
ランジ２３の回動規制を行う図示せぬロック爪に係合さ
れる複数の歯２３ａが設けられている。ハブ部２２は、
ハブ本体２２ａと該ハブ本体２２ａに係止されるクラン
プ２２ｂとから構成されており、ハブ本体２２ａは、テ
ープ巻装面を構成するハブ外周部２４の一部を切欠いた
状態で形成され、この切り欠き部分２５の一端２５ａに
は、薄肉のヒンジ部３０を介してクランプ２２ｂの一端
３１が連結されており、他端２５ｂには、クランプ２２
ｂの自由端３２に設けられた軸方向に伸びる凹部３３ａ
と同じく軸方向に伸びる突起３３ｂと弾性的に係合する
係合突起３４ａと係合凹部３４ｂ（いずれも軸方向に伸
びている。）が設けられている。なお、クランプ２２ｂ
が切り欠き部分２５に嵌め込まれるとき、従来と同様に
磁気テープの端末部１０は凹部３３ａと係合突起３４ａ
並びに係合突起３３ｂと係合凹部３４ｂとの間に挟持固
定される。

【００１３】図１乃至図２に示した如く、フランジ付き
リール２１のフランジ２３には、周方向においてほぼ等
間隔に分散された４つの貫通孔３５，３６，３７，３８
が設けられている。貫通孔３５は、クランプ２２ｂの断
面積よりも十分に大きな断面積を持ち且つクランプ２２
ｂが嵌め込まれる切り欠き部分２５に軸方向において連
通するとともに、クランプ２２ｂのフランジ２３側端面
１２２ｂが下金型４１と直接的に当接することを許容す
るように形成されている。クランプ２２ｂのフランジ２
３側端面１２２ｂは、上金型４０と下金型４１の間のパ
ーティングラインＰＬ上に位置している。図３は、図２
のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿った位置に対応した金型の断面
図であるが、この図３より明らかな如く、クランプ２２
ｂの端面１２２ｂが、フランジ２３の貫通孔３５内に延
長し、クランプ２２ｂの端面１２２ｂとフランジ２３の
外面１２３とがほぼ面一となっている。これにより、上
金型４０と下金型４１のパーティングラインＰＬが、磁
気テープがハブ本体２２ａとクランプ２２ｂに巻装され
る範囲５０と離れ、パーティングラインの影響によりク
ランプ２２ｂの端面１２２ｂにバリが発生した場合で
も、磁気テープが傷つくことがない。

【００１４】本発明の一実施態様の磁気テープカセット
におけるフランジ付きリール２１は、クランプ２２ｂを
貫通孔３５の略中央に位置した状態で樹脂の射出によっ
て一体成形される。これにより、下金型４１が、フラン
ジ２３の貫通孔３５内で、クランプ２２ｂの端面１２２
ｂと直接的に当接することを容易としている。

【００１５】なお、上記実施態様においては、クランプ
２２ｂの端面１２２ｂとフランジ２３の外面１２３とを
ほぼ面一としたが、クランプ２２ｂの端面をフランジ２
３の上面と面一にするように変形することも可能であ
る。

【００１６】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明に係る磁
気テープカセットによれば、フランジに貫通孔が形成さ
れてこの貫通孔の形成範囲にクランプが位置しているの
で、クランプとハブ本体とが一体成形することができ、
部品点数が削減できるばかりでなく、成形のために必要
となる金型点数も削減でき、製造コストを大幅に下げる
ことが可能となる。また、ハブ本体とクランプを同一の
環境下で同一の金型で同時に成形できることから、ハブ
本体の外周部の外周面の曲率半径とクランプの外周面の
曲率半径とを合致させることが容易であり、ハブの円筒
度の精度を向上することができ、ハブに巻装される磁気
テープの変形を防ぐことが可能となる。

【００１７】さらに、クランプのフランジ側端面とフラ
ンジの外面とがほぼ面一となるよう、クランプのフラン
ジ側端面をフランジの貫通孔内に延長することで、成形
用の金型のパーティングラインをハブ本体上の磁気テー
プ巻装面から十分に離すことが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施態様の磁気テープカセットのフ
ランジ付きリールのクランプを閉じる前の状態を示す斜
視図である。

【図２】上記実施態様のフランジ付きリールの平面図で
ある。

【図３】図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿った位置に対応す
るリール成形金型の断面図である。

【図４】上記実施態様のフランジ付きリールに磁気テー
プの端末部をクランプで挟持させる際のクランプで挟持
する直前の拡大平面図である。

【図５】従来のフランジ付きリールのクランプを取り外
した状態での斜視図である。

【図６】上記従来のフランジ付きリールに磁気テープの
端末部をクランプで挟持した際の拡大平面図である。

【図７】ハブ本体とクランプが一体成形された従来のハ
ブの平面図である。

【符号の説明】

１，２１ フランジ付きリール ２，２２ ハブ部 ３，２３ フランジ ４，２４ 外周部 ５，２５ 切り欠き ８，９ 外周面 １０ 端末部 ３３ａ 凹部 ３３ｂ 突起 ３４ａ 係合突起 ３４ｂ 係合凹部 ３５，３６，３７，３８ 貫通孔 ４０ 上金型 ４１ 下金型

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 端部にフランジを有するフランジ付きリ
   ールハブに巻装して磁気テープを走行自在に収容する磁
   気テープカセットにおいて、前記フランジ付きリール
   は、テープ巻装面を構成するハブ外周部の一部に切り欠
   きを有するハブ本体と、前記切り欠きの一端とヒンジ部
   を介して連結された一端と前記切り欠きの他端と弾性的
   に係合し前記磁気テープの端末部を止着する他端とを有
   するクランプと、前記リールの回転中心軸と平行な方向
   において前記切り欠きに連通し且つ前記クランプの前記
   フランジ側端面をリール成形時のパーテングラインとす
   ることのできる貫通孔を有した前記フランジとが一体形
   成されたことを特徴とする磁気テープカセット。
2. 【請求項２】 前記クランプの前記フランジ側端面と前
   記フランジの外面とがほぼ面一となるように構成された
   ことを特徴とする請求項１に記載の磁気テープカセッ
   ト。