JPH083040B2 - ポリアミドイミド系樹脂成形体組成物 - Google Patents

ポリアミドイミド系樹脂成形体組成物

Info

Publication number
JPH083040B2
JPH083040B2 JP59183171A JP18317184A JPH083040B2 JP H083040 B2 JPH083040 B2 JP H083040B2 JP 59183171 A JP59183171 A JP 59183171A JP 18317184 A JP18317184 A JP 18317184A JP H083040 B2 JPH083040 B2 JP H083040B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
aromatic
temperature
pai
heat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP59183171A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6160756A (ja
Inventor
文規 里路
Original Assignee
エヌティエヌ株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by エヌティエヌ株式会社 filed Critical エヌティエヌ株式会社
Priority to JP59183171A priority Critical patent/JPH083040B2/ja
Publication of JPS6160756A publication Critical patent/JPS6160756A/ja
Publication of JPH083040B2 publication Critical patent/JPH083040B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、優れた機械的性質、電気的性質のほか、
溶融成形性、耐熱性、発泡防止性、粘着防止性等の向上
を目的とするポリアミドイミド樹脂成形体組成物に関す
るものである。
〔従来の技術〕
ポリアミドイミド樹脂(以下これをPAI樹脂と略称す
る)は優れた耐熱性、耐薬品性、機械的性質および電気
絶縁性を有し、押出成形、射出成形等の溶融成形が可能
な樹脂であるが、反面、吸水率が大きく、比較的多量に
吸水したときは耐熱性が著しく悪くなることもよく知ら
れている。この吸水時における耐熱性の低下とは、具体
的にはつぎのようなことをいう。すなわち、吸水した成
形品を急激に加熱すると、成形品内部の水分が高圧水蒸
気になることによつて、成形品がある一定以上、たとえ
ば127×12.7×3.2mm3のシート状試験片のとき3.2mm肉厚
面が25μm以上、の寸法変化を起こし、表面が脹れた
り、発泡したりするなどの現象が起きるが、このような
現象の起きる最低温度(以下これを熱衝撃温度と呼ぶ)
が降下することである。一般に、このようなPAI樹脂成
形品を湿気のない絶乾状態で使用することはきわめて稀
であり、通常は絶乾状態で有する耐熱温度よりもかなり
低い温度で使用するか、または遅い加熱速度の環境下で
使用するかなど、使用条件は非常に制限されていた。ま
た、PAI樹脂にはフツ素樹脂のような非粘着性がないた
め、PAI樹脂本来の性質以外に非粘着性を必要とすると
きには、樹脂表面をフツ素樹脂もしくはフツ素樹脂含有
体を被覆して使用しなくてはならず、生産性が悪く、コ
スト高を招くばかりではなく、被覆層の密着強度不足に
よる境界剥離など幾多の問題が派生していた。
これに対して、芳香族ポリスルホン樹脂も良好な高温
特性を有し、採用する成形サイクルに対して順応しやす
い成形条件に幅がとれ、その条件設定の自由度が大きい
樹脂であることはよく知られている。そこで特開昭55−
102650号公報記載の発明のように、芳香族ポリスルホン
樹脂と前記PAI樹脂とを溶融ブレンドすることによつ
て、PAI樹脂の溶融時における流動性の改良を行なおう
とする試みも既にあるが、非粘着性と熱衝撃性とを同時
にもしくは個別に飛躍的に改善しようとする試みはほと
んどなされていない。また、芳香族ポリエーテルケトン
樹脂は、前記の各樹脂と同様、非常に優れた耐熱性、機
械的強度を有するものであることは良く知られていて、
たとえば特開昭58−160352号公報記載の発明のように、
ポリアリ−レンサルフアイド樹脂とブレンドすることに
よつて、これら樹脂の諸特性を向上させる試みもなされ
てはいるものの、PAI樹脂とブレンドすることによつて
非粘着性と熱衝撃性を同時にもしくは個別に飛躍的に改
善しようとする試みはなされていない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
したがつて、この発明においては、PAI樹脂の吸湿に
よる熱衝撃温度の低下現象を抑制し、また、PAI樹脂に
芳香族ポリスルホン、芳香族ポリエーテルケトンなどの
ほかの樹脂をブレンドすることによつて、それぞれの樹
脂が本来持つている優れた諸性質を失うことなく、非粘
着性を同時にもしくは個別に著しく改善向上させること
が重要な技術的課題である。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の問題点を解決するために、この発明は下記I式
で表わされるポリアミドイミド樹脂と、350℃で熱分解
せず、かつ、350±1℃における比溶融粘度が1×103
105ポイズの範囲の芳香族ポリスルホン樹脂および芳香
族ポリエーテルケトン樹脂より選ばれた少なくとも1種
の熱可塑性樹脂と、結晶融点が250℃であるかまたは250
℃で融解せず、かつ、372±1℃における比溶融粘度が
1×103〜106ポイズの範囲の結晶性のフッ素樹脂とから
なり、混合物全体に対するフツ素樹脂の混合割合が10〜
30容量%であり、混合物中におけるポリアミドイミド樹
脂と上記熱可塑性樹脂との容量比が60:40から90:10の範
囲であることを特徴とするポリアミドイミド系樹脂成形
体組成物を提供するものである。なおI式中、R1は少な
くとも一つのベンゼン環を含む3価の芳香族基、R2は2
価の有機基、R3は水素、メチル基またはフエニル基であ
る。
以下、この発明の詳細を述べる。
この発明のI式で表わされる芳香族ポリアミドイミド
重合体はイミド結合の一部がその閉環前駆体としてのア
ミド酸結合の状態で留まつているものも含まれ、R1は少
なくとも一つのベンゼン環を含む芳香族基であり、その
うちの2価はI式に示す2個のカルボニル基がR1のベン
ゼン環内の隣接する炭素原子に結合しているが、望まし
いR1を例示するとつぎのようになる。
〔ここで、X1−S−、−O−、−SO2−、 −X2−、−O−X2−のいずれかであり、X2はたとえば−
CH2−、 のような炭素原子を1〜6個有する飽和脂肪族炭化水素
基である。〕また、R2は2価の有機基であつて、望まし
い例を示せばつぎのようなものである。すなわち、−
(CH2−〔mが4〜12である飽和脂肪族炭化水素
基〕, 〔X3は−O−、−S−、−SO2−、−CYH2Y−、 のいずれかである。ここで、Yは1〜3の整数、X4は1
〜6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基もしくは芳
香族基である。〕また、R3は前記したとおり、水素、メ
チル基またはフエニル基である。
このようなPAI樹脂を製造する方法には、米国特許第
3,625,911号(モービルオイル社)、米国特許第3,611,8
32号(スタンダードオイル社)、特公昭42−15637号
(スタンダードオイル社)、特公昭44−19274号(日立
化成)、特公昭45−2397号(古河電工)、特公昭46−15
513号(帝人)、特公昭49−4077号(東レ)、特公昭50
−33120号(住友電工)等数多くの公報類に詳細に公表
されているが、たとえば、 に示されるような芳香族トリカルボン酸無水物またはそ
の誘導体と、たとえば、 H2N−R2−NH2,OCN−R2−NCO 〔ここに、R1およびR2はそれぞれ前記のとおり〕に示さ
れるような有機ジアミンまたはその誘導体とを適当な溶
剤、たとえばジメチルアセトアミド、ジメチルホルムア
ミド、N−メチルピロリドンなどの極性有機溶媒の中
で、所定の温度で必要な時間だけ反応させてポリアミド
酸を形成させ、これを加熱もしくはその他の方法でイミ
ド化状態に転化する方法もあつて、なかでも代表的なも
のとしては の式で示されるものがあり、このような重合体の代表的
なものとしては「トーロン(Torlon)」(米国アモコ社
登録商標)などを挙げることができる。
つぎに、この発明における芳香族ポリスルホン樹脂は
次式で示されるものである。すなわち、 である。なお、R4は2価の芳香族基であつて、望ましい
例としては、 などを挙げることができる。〔ここで、X5は−O−,−
S−, のいずれかである。〕 また、これらの芳香族ポリスルホンは異なつた反復単
位同志を共重合したものであつても何等支障はなく、代
表的な芳香族ポリスルホン樹脂としては、英国アイ・シ
ー・アイ社製の登録商標「Victrex」PES また、米国ユニオン・カーバイド社製の登録商標「Ude
l」 などを挙げることができる。なお、これらの芳香族ポリ
スルホン樹脂の製造方法は、たとえば、英国特許第1,26
4,900号明細書、特公昭40−10067号および特公昭42−77
99号などの公報類に開示されている。
また、この発明における芳香族ポリエーテルケトン樹
脂は次式で示されるものである。すなわち、 であつて、さらにこれを基本単位として、たとえば以下
に例示するような反復単位を含んでいても支障はない。
このような芳香族ポリエーテルケトン樹脂の代表的なも
のとしては、 の式で示される英国アイ・シー・アイ社製の登録商標
「Victrex」PEEKを挙げることができる。なお、これら
芳香族ポリエーテルケトン樹脂の製法は、特開昭51−11
9797号、特開昭52−38000号、特開昭54−90296号、特公
昭55−23574号、特公昭56−2091号等の公報類に開示さ
れている。
さらに、この発明に用いられる結晶性のフツ素樹脂は
熱溶融性フツ素樹脂で、その結晶融点が250℃以上の耐
熱性を持ち、372±1℃における比溶融粘度が1×103
106ポイズの範囲の溶融成形可能なものである。ここで
フツ素樹脂の熱的性質を限定する理由は、結晶融点が25
0℃未満のものでは成形品は250℃以上の高温度雰囲気下
の使用が不可能であり、また、溶融しないフツ素樹脂を
使用しても熱衝撃温度および非粘着性を大きく改善する
ことが期待できないからである。そして、このようなフ
ツ素樹脂の代表的なものとしては、 で示されるテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプ
ロピレンとの共重合体樹脂があり、代表的銘柄としては
「テフロンFEP−J)(三井フロロケミカル社製)また
は「ネオフロンFEP」(ダイキン工業社製)等を挙げる
ことができる。その他、パーフルオロアルコキシ側鎖を
有する鎖状フツ素樹脂であるパーフルオロアルコキシ樹
脂も充分適応できる樹脂であつて、この樹脂を与えるコ
モノマーの代表的なものとしては、 CF3(CF20〜7OCX6=CX7X8 または 〔ここに、X6、X7、X8はそれぞれFもしくはHであり、
RfはFもしくはCF3である。〕 で示されるパーフルオロアルキルフルオロビニルポリエ
ーテル類などがあり、これらの代表的銘柄としては、
「テフロンPFA−J」(三井フロロケミカル社製)およ
び「ネオフロンPFA」(ダイキン工業社製)などがあ
る。また、この発明においては、上記の必須成分に加え
てヘキサフルオロプロペン、フツ化ビニリデン、クロロ
トリフルオロエチレンなどのフルオロオレフイン類を共
重合させたパーフルオロアルコキシ樹脂であつてもよ
く、この代表的な銘柄として「テフロンEPE−J」(三
井フロロケミカル社製)を挙げることができる。
以上のPAI樹脂と、芳香族ポリスルホン樹脂および芳
香族ポリエーテルケトン樹脂より選ばれた少なくとも1
種の熱可塑性樹脂と、フツ素樹脂とからなるこの発明の
組成物において、フツ素樹脂が占める割合は10%(容
量、以下同じ)未満の少量では非粘着性は発現できず、
また、吸水時に充分高い熱衝撃温度を得ることは不可能
であり、逆に30を越える多量では主体となるPAI樹脂本
来の優れた機械的性質を損うので、10〜30%の範囲とす
ることが望ましい。さらに芳香族ポリスルホン樹脂およ
び芳香族ポリエーテルケトン樹脂より選ばれた少なくと
も1種の熱可塑性樹脂の添加量は、PAI樹脂と熱可塑性
樹脂との容量比60:40よりも多量になると、組成物の耐
熱性または機械的強度が著しく低下し、また、90:10よ
りも少量になると良好な非粘着性、吸水時の高い熱衝撃
性、さらには優れた機械的強度も期待できなくなるの
で、60:40から90:10までの範囲とすることが好ましい。
なお、この発明の組成物に、有機質もしくは無機質の
充填材を、非粘着性および熱衝撃性等に悪影響を及ぼさ
ない程度の量、実質的には10%未満、添加してもよい。
充填材の具体例としては、ポリフエニレンサルフアイド
樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性高分
子材料をはじめとし、耐熱性繊維補強材(たとえば、ガ
ラス繊維、炭素繊維、グラフアイト繊維、チタン酸カリ
ウムホイスカー、シリコンカーバイドホイスカー、サフ
アイアホイスカー、鋼線、銅線、ステンレス線などのほ
か、タングステン心線または炭素繊維などにボロン、炭
化ケイ素などを蒸着したいわゆるボロン繊維、炭化ケイ
素繊維などの複合繊維のような耐熱性無機質繊維または
芳香族アミド繊維などの耐熱性有機繊維)、熱伝導性改
良材(グラフアイトまたは亜鉛、アルミニウム等の金属
または酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の無機化合物等の
粉末)、断熱性向上材(ガラスビーズ、シリカバルー
ン、珪藻土、炭酸マグネシウム粉末、石綿等)、潤滑性
向上材(二硫化モリブデン、グラフアイト、カーボン、
マイカ、タルク等の固体潤滑材)、着色剤(酸化鉄、硫
化カドミウム、セレン化カドミウム等の無機顔料、カー
ボンブラツク等)を例示することができる。
この発明における配合割合を容量で示したが、これは
この組成物に添加されうる充填材の比重が一定でなく、
同じ体積でも重量が異なることが多くて、配合比を重量
比で表わしたのでは添加量を明確な範囲で示すことがで
きず好ましくないからであるが、各種樹脂および充填材
等の混合する方法は従来よく知られたものでよく、たと
えばPAI樹脂、芳香族ポリスルホン樹脂および芳香族ポ
リエーテルケトン樹脂より選ばれた少なくとも1種の熱
可塑性樹脂、フツ素樹脂等の樹脂を別個に、またはヘン
シエルミキサー、ボールミル、ダンブラーミキサー等の
混合機によつて乾式混合した後に溶融混合性のよい射出
成形機もしくは溶融押出機に供給するか、または、予め
熱ロール、ニーダ、バンバリーミキサー、溶融押出機な
どで溶融混合してもよく、その温度は300〜400℃、好ま
しくは、320〜370℃である。また、この発明の組成物を
成形するにあたつては、その方法を特に限定するもので
はないが、圧縮成形、押出し成形、射出成形などが可能
である。
溶融成形されたこの発明の組成物成形品は、PAI樹脂
で通常行なわれる熱処理を受けることが望ましい。この
熱処理は240〜280℃、好ましくは、250〜270℃で8時間
以上、好ましくは24時間以上成形品を保持するというも
のであつて、たとえば、温度調整された熱風循環式の加
熱装置等を用いれば容易に実施することができるが、こ
のような熱処理によつて、成形品の熱変形温度、熱衝撃
温度等の耐熱性が一層向上し、かつ、曲げ強さ、曲げ強
さ率等の機械的強さもより改善される。
〔作用〕
以上述べたように、PAI樹脂に芳香族ポリスルホン樹
脂および芳香族ポリエーテルケトン樹脂から選ばれた少
なくとも1種の熱可塑性樹脂および非粘着性が良好で溶
融成形が可能な耐熱性フツ素樹脂を添加し、これを溶融
成形することによつて得られた成形品は、PAI樹脂本来
の機械的強度とフツ素樹脂本来の非粘着性とをそれぞれ
同等もしくはそれに近い状態に維持することは勿論であ
るが、以外にも、PAI樹脂の欠点である吸水時の熱衝撃
温度の低下現象を現わさなくなるので、この発明のよう
な組成物においては、それぞれの樹脂が単独では発現し
得ない性能を、各樹脂の相乗作用によつて始めて発揮す
るのである。
〔実施例〕
PAI樹脂として米国、アモコ社製:Torlon4000Tを選
び、これに混合する樹脂、充填材としてつぎのものを準
備した。すなわち、 (1) 350℃で熱分解せず、かつ、350±1℃における
比溶融粘度が1×103〜105ポイズの範囲の熱可塑性樹脂
として、 (イ) 芳香族ポリスルホン樹脂 英国、アイ・シー・アイ社製:芳香族ポリエーテル
スルホン樹脂Victrex 300P、 英国、ユー・シー・シー社製:芳香族ポリスルホン
樹脂Udel−P1700、 (ロ) 芳香族ポリエーテルケトン樹脂 英国、アイ・シー・アイ社製:芳香族ポリエーテル
エーテルケトン樹脂Udel−PEEK15P、 (2) 結晶融点が250℃であるかまたは250℃で融解せ
ず、かつ、372±1℃における比溶融粘度が1×103〜10
6ポイズの範囲の結晶性のフッ素樹脂樹脂として、 三井フロロケミカル社製:フツ化アルコキシエチレ
ン樹脂テフロンPFA−340J、 三井フロロケミカル社製:四フツ化エチレン六フツ
化プロピレン共重合樹脂テフロンFEP−100、 (3) 比溶融粘度が所定範囲を越えるフッ素樹脂とし
て、 三井フロロケミカル社製:四フツ化エチレン樹脂
(結晶融点323℃、372±1℃における比溶融粘度1×10
10ポイズ以上)テフロンTLP−10、 (4) 充填材として、 日本黒鉛社製:グラフアイトACP、 (5) その他の樹脂として、 ユニチカ社製:芳香族ポリエステルU−100、 米国、フイリツプス・ペトローリアム社製:Ryton P
−4 米国、ゼネラル・エレクトリツク社製:PPO534、 である。
実施例1〜9 上記の各素材の中から適宜選んで第1表に示すような
混合割合の組成物を調製し、それぞれを実施例1〜9と
した。調製方法は粉末または粒状の各素材を所定の容量
比で乾式混合した後、二軸溶融押出機(池貝鉄工社製:P
CM−30押出機)に供給し、350℃、スクリユー回転数100
rpm で溶融混練しながら、径2mm、穴7のストランドダイか
ら押出し、造粒してペレツトを得た。このペレツトをバ
レル温度310〜360℃、金型温度200℃、射出圧力1400kg/
cm2の射出成形機にかけて射出成形し、成形品に260℃、
24時間の熱処理を施し、機械的性質、非粘着性、吸水
率、熱衝撃温度を測定し、第2表に、結果をまとめた。
なお、機械的性質には、ASTM−D790による曲げ強さ(kg
/cm2)および曲げ弾性率(kg/cm2)とASTM−D256(ノツ
チ付き、3.2min)によるアイゾツト衝撃強度(kg.cm/c
m)を、熱的性質には、直径5mm、長さ10mmの円柱状試験
片を試料とし、島津製作所製:熱機械的分析装置TM−30
を用いTMA針入法(昇温測度毎分5℃、圧力10kg/cm2
によつて求めた針入開始温度(軟化温度)を、また、非
粘着性には、厚さ3mm、25mm角の板状試片に対してエル
マ光学社製ゴニオメータ式接触角測定器G−I型を用い
て求めた水の接触角(平均値とバラツキ)を一つの目安
とし、さらに、吸水率 には、260℃、24時間の熱処理直後における試片の重量
(W0)とこの試片を90℃の熱水中に浸漬して吸水させた
ときの試片の重量とから(W1−W0)/W0×100(%)で計
算して求めた値を採用した。熱衝撃温度には、前記吸水
率を求める際の吸水試片を各種温度に予め加熱してある
熱板上に5分間放置したときの試片の熱板に接触した面
の状態を観察し、この接触面に脹れ、発泡または25μm
以上の寸法変化が認められる最低熱板温度を採用した。
第2表から明らかなように、実施例1〜9に示される
この発明の組成物は、機械的性質の面で均衡のとれた強
さをもつたものであり、また、フツ素樹脂に匹敵する程
の大きい接触角を示し、非常に優れた非粘着性のもので
あることがわかる。また、吸水率は、PAI樹脂単独のと
き(後述する比較例1)の4.1%に比較して低く、熱衝
撃温度は35〜60℃6も高く、この発明の組成物は、吸水
率においても、熱衝撃温度においてもきわめて優れたも
のであつた。
比較例1〜12: 前記の各種素材の中から第3表に示す配合割合の組成
物を調製した。その調製方法は実施例1〜9で用いたと
全く同じであり、得られた組成物に対する諸性質の測定
項目およびその具体的測定方法も同一である。得られた
結果は第4表にまとめた。
第4表から明らかなように、比較例5のように、たと
えフツ素樹脂を添加してもこの発明による熱可塑性樹脂
が併用されない限り接触角のバラツキは非常に大きくな
り、曲げ強さが実用に耐えない程度まで低下した。さら
に、比較例10〜12のように、フツ素樹脂および熱可塑性
樹脂を併用しても、熱可塑性樹脂がこの発明の限定範囲
外のものであれば、比較例10のように曲げ強さが著しく
低下したり、比較例11または12のように、熱衝撃温度が
ほとんど改善されなかつたりする。また、比較例2のよ
うに、この発明の要件を満たしていないフツ素樹脂を使
用したとき、および、比較例1のようにフツ素樹脂を使
用しないときに は、水に対する接触角は非常に小さく、良好な非粘着性
は期待できず、またそれらの熱衝撃温度も非常に低く、
好ましいものとは言えなかつた。
〔効果〕
この発明のポリアミドイミド系樹脂成形体組成物は、
PAI樹脂特有の優れた機械的性質、電気的性質、絶乾時
の熱的性質などを保有し、そのうえ、低摩擦性、非粘着
性および吸水時の高い熱衝撃性を備えており、自動車部
品、事務機器部品、電気部品、電子部品、自動省力機器
部品、一般産業機械器具部品、航空宇宙機器部品等に広
く使用することができるが、高い熱衝撃性に代表される
耐熱性を特に生かして、高温下で使用される部品、また
低摩擦係数でしかも非粘着性であることを生かして、潤
滑および非粘着を必要とする用途、たとえば、複写機の
ヒートローラや感光体のような高温回転体から複写紙を
剥離する装置部品(爪)などの格好の素材になるという
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 71:06 27:12)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記のI式で表わされるポリアミドイミド
    樹脂と、350℃で熱分解せず、かつ、350±1℃における
    比溶融粘度が1×103〜105ポイズの範囲の芳香族ポリス
    ルホン樹脂および芳香族ポリエーテルケトン樹脂より選
    ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂と、結晶融点が25
    0℃であるかまたは250℃で融解せず、かつ、372±1℃
    における比溶融粘度が1×103〜106ポイズの範囲の結晶
    性のフッ素樹脂とからなり、混合物全体に対するフッ素
    樹脂の混合割合が10〜30容量%であり、混合物中におけ
    るポリアミドイミド樹脂と上記熱可塑性樹脂との容量比
    が60:40から90:10の範囲であることを特徴とするポリア
    ミドイミド系樹脂成形体組成物。 〔ここで、R1は少なくとも一つのベンゼン環を含む3価
    の芳香族基、R2は2価の有機基、R3は水素、メチル基ま
    たはフェニル基である。〕
JP59183171A 1984-08-30 1984-08-30 ポリアミドイミド系樹脂成形体組成物 Expired - Lifetime JPH083040B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP59183171A JPH083040B2 (ja) 1984-08-30 1984-08-30 ポリアミドイミド系樹脂成形体組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP59183171A JPH083040B2 (ja) 1984-08-30 1984-08-30 ポリアミドイミド系樹脂成形体組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6160756A JPS6160756A (ja) 1986-03-28
JPH083040B2 true JPH083040B2 (ja) 1996-01-17

Family

ID=16131021

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP59183171A Expired - Lifetime JPH083040B2 (ja) 1984-08-30 1984-08-30 ポリアミドイミド系樹脂成形体組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH083040B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63199257A (ja) * 1987-02-13 1988-08-17 Asahi Glass Co Ltd フツ素系樹脂組成物
US4963627A (en) * 1988-12-30 1990-10-16 Amoco Corporation Injection moldable blends of poly(etherketones) and polyamide-imides
US5837366A (en) * 1996-07-08 1998-11-17 Ntn Corporation Stripping fingers for copying machines and printers
JP4810086B2 (ja) * 2003-11-26 2011-11-09 東海ゴム工業株式会社 半導電性シームレスベルト
JP5975042B2 (ja) * 2011-12-14 2016-08-23 ダイキン工業株式会社 絶縁電線
JP6135541B2 (ja) * 2014-02-17 2017-05-31 旭硝子株式会社 フッ素樹脂組成物の製造方法、成形品の製造方法及び電線の製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55102651A (en) * 1979-02-01 1980-08-06 Toray Ind Inc Polyamideimide resin composition
JPS5690862A (en) * 1979-12-25 1981-07-23 Daikin Ind Ltd Fluoroplastic undercoating composition
JPS59184254A (ja) * 1983-04-04 1984-10-19 Toray Ind Inc ポリアリ−ルケトン系樹脂組成物
JPS59187054A (ja) * 1983-04-06 1984-10-24 Toray Ind Inc 耐熱性熱可塑性樹脂組成物
JPS59201992A (ja) * 1983-04-28 1984-11-15 Daikin Ind Ltd ロ−タリ−圧縮機

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
黒川孝臣他著「プラスチック材料講座6ふっ素樹脂」PP.192−211(昭和44年日刊工業新聞社)

Also Published As

Publication number Publication date
JPS6160756A (ja) 1986-03-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4599383A (en) Polyamideimide resin composition
JP2010525126A (ja) 熱可塑性ポリマー混合物、およびその用途
AU2002355291B2 (en) Improved polyamide-imide molding resins and methods for their preparation
AU2002355291A1 (en) Improved polyamide-imide molding resins and methods for their preparation
JPH083040B2 (ja) ポリアミドイミド系樹脂成形体組成物
KR100337804B1 (ko) 수지조성물 및 이를 성형해서 얻어진 내열성의 회복가능한 ic트레이
US6245845B1 (en) Fluorine-containing resin composition for parts of electronic and electrical equipment and same parts
JPS59202258A (ja) ポリエ−テルイミド樹脂組成物
JP2602363B2 (ja) 樹脂組成物
TW202140662A (zh) 樹脂組成物、成形品及成形品之製造方法
JP3153011B2 (ja) 複合摺動材
JPH08259765A (ja) 耐熱・潤滑性樹脂組成物
JP2796543B2 (ja) 熱可塑性ポリイミド系樹脂組成物
JPH04342763A (ja) 摺動材用ポリイミド系樹脂組成物
JPH0723449B2 (ja) 成形用樹脂組成物
JPH01120423A (ja) 転がり軸受用保持器材
JPH0391559A (ja) 樹脂組成物
JPH05271538A (ja) 摺動材用含油ポリイミド系樹脂組成物
JPH09151313A (ja) 耐熱・潤滑性樹脂組成物
JPH0415253A (ja) ポリシアノアリールエーテル系樹脂組成物
JP2525490B2 (ja) 軸受用プラスチック保持器
JP2763533B2 (ja) 成形用パーフルオロアルコキシ樹脂組成物
JP2000007914A (ja) 樹脂組成物、それを用いた成型品およびicトレ―
JPH04277319A (ja) 転がり軸受用プラスチック保持器
EP4324883A1 (en) Thermoplastic polyimide resin composition and molded product