JPH0830298B2 - 流体噴射式織機におけるよこ入れ方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、静止状態の貯留ドラムの周囲を連続回転
するヤーンガイドによってよこ糸を貯留ドラムに巻き付
け該よこ糸の係止および解舒を上記貯留ドラムの周面に
対して進退自在に設けられた係止ピンにより行う形式の
測長貯留装置と、給糸源からのよこ糸を上記ヤーンガイ
ドへ該ヤーンガイドの巻き付け速度とほぼ等しい速度で
連続的に送り出す測長装置とを備えた流体噴射式織機に
おける、よこ入れ方法に関するものである。

（従来技術とその問題点） 上記したような形式の測長貯留装置は、よこ糸を貯留
ドラムに巻き付けるためにブロアーなどの補助的動力源
を必要としないことおよびよこ入れ時のよこ糸にかかる
解舒抵抗が小さいなどの利点があるため、従来から広く
使用されている。また、上記した測長貯留装置ならびに
測長装置を備えた流体噴射式織機は実開昭59−33779号
により本願出願時公知である。しかし、その織機が特別
に測長装置を備えているとはいえ、その測長装置は測長
貯留装置の欠点であるドラムとよこ糸との滑りによる測
長量の変動を防ぐために設けられたものであって、その
測長貯留装置はあくまでも従来と同じようによこ糸が測
長貯留装置の係止ピンに係止されてよこ入れが終了した
その時点でもその貯留ドラムにはまだよこ糸が貯留され
ているように、即ちよこ糸が係止ピンに係止されてよこ
入れが終了するまではよこ糸が貯留ドラムから自由に解
舒される、所謂全自由飛走のよこ入れを行うものであ
る。そこで、その織機においても自由飛走している高速
のよこ糸が係止ピンで激止するという欠点は解決されて
いない。そしてこの激止時には極端に大きな張力が瞬間
的によこ糸に掛かるため、繊細なよこ糸は損傷を受けま
た強伸度の小さなよこ糸は切断したりし易く、いずれに
しても織物の品質の低下および織機の稼働率の低下を招
くことになり好ましくない。

また、全自由飛走のよこ入れであるため、よこ糸の物
性等の変化によりよこ入れ中によこ入れ終了タイミング
が変動するという欠点もある。

（発明の要旨） この発明は上記した測長貯留装置の長所を生かしつ
つ、上記欠点を解消することを目的とする。この目的を
達成するため本願発明は、静止状態の貯留ドラムの周囲
を連続回転するヤーンガイドによってよこ糸を貯留ドラ
ムに巻き付け該よこ糸の係止および解舒を上記貯留ドラ
ムの周面に対して進退自在に設けられた係止ピンにより
行う形式の測長貯留装置と、給糸源からのよこ糸を上記
ヤーンガイドへ該ヤーンガイドの巻き付け速度とほぼ等
しい速度で連続的に送り出す測長装置とを備えた流体噴
射式織機において、上記係止ピンは巻き付けられたよこ
糸をよこ入れ開始のタイミングで解舒するべく後退する
とともによこ入れ終了前の最後の１回転をするべくヤー
ンガイドが通過した後に進出し、ヤーンガイドはよこ入
れの終了時に係止ピンに対してヤーンガイド主軸の軸線
方向に一致する位置にあるように、かつ上記貯留ドラム
に巻き付けられたよこ糸はよこ糸が上記係止ピンに係止
される前にすべて解舒されるように設定されていること
を特徴とするよこ入れ方法を採用する。上記よこ入れ方
法が採用されると、貯留ドラムに巻き付け貯留されてい
たよこ糸がすべて解舒された時点から高速でよこ入れさ
れる自由飛走に代わって、測長装置からよこ糸が送り出
される速度、即ち低速でよこ入れされる拘束飛走が始ま
り、そしてヤーンガイドがさらに回転して係止ピンに対
してヤーンガイド主軸の軸線方向に一致する位置に達す
ると、よこ糸は係止ピンに係止されよこ入れが終了す
る。このように本願発明においては、低速で拘束飛走し
ているよこ糸が係止ピンに係止されるので、係止時によ
こ糸に掛かる張力も緩和されるばかりでなく、よこ入れ
は常に設定されたタイミングで終了する。

（実施態様） 第１〜４図にこの発明の測長貯留装置の一例を示す。
なおこの装置のメインノズル（図示せず）に面した側を
『前』とよび、給糸体に面した側を『後』とよぶ。

織機フレームに固定されたケース３内には軸受２を介
して主軸１が回転可能に支持されている。この主軸１の
後端にはプーリ４が取付けられている。また織機の主軸
には、第４図に示すようにプーリ23が取り付けられてお
り、互いにベルト24により織機の主軸と同期回転すべく
作動連結されている。主軸１の前端近くにはアーム５が
固定されており、アーム５の外端には導糸管10およびヤ
ーンガイド６が支持されている。主軸１内にはこれを軸
方向に貫通して導糸管９が設けられており、その前端は
導糸管10に、またその後端は主軸後端に取付けられたヤ
ーンガイド８に、それぞれ連通している。

またヤーンガイド８の近傍には、ディスク25とこれに
圧接されたローラ26とが設けられている。ディスク25
は、ベルト24によってプーリ23と連結されているプーリ
27と一体的に構成されており、ローラ26と協働してよこ
糸Ｗを給糸体28から所定の速度で連続的にヤーンガイド
８へ送り出す構成となっている。

主軸１の前端には軸受15を介して円盤状のホルダー16
が回転可能に取付けられており、ホルダー16には円周上
には複数個の永久磁石14が埋設されている。またその前
面には後記するような特定形状の掛糸片17が複数個取付
けられており、貯留ドラムを構成している。なお、掛糸
片17は、それぞれ半径方向に移動調節可能となってい
る。

ケース３の前端にはアーム５およびホルダー16を囲む
ようにして前方に向かってラッパ状に発散するカバー12
が固定されており、その前端にはホルダー16上の永久磁
石14に相対して永久磁石13が埋設されている。即ち永久
磁石13と14との間の磁気吸引作用により、たとえ主軸１
が回転しても、ホルダー16およびその上の掛糸片17は静
止状に保たれるのである。

第３図に掛糸片17の形状を示す。この掛糸片17は前端
に円筒状のよこ糸貯留部19があり、後端には前方に向か
って収斂する円錐部20が設けられている。

掛糸片17の内少なくとも１個にはその貯留部19に前方
に向かって長溝21が形成されており、これに相対して係
止ピン22が設けられ、この係止ピン22が織機の回転に伴
ってカムなどにより駆動されて長溝21に対して進退する
ようになっている。

なおよこ入れの終了タイミングにおけるヤーンガイド
６の回転位置が係止ピン22の位置と一致するように、ア
ーム５の織機主軸に対する回転位置を設定する。

つぎに第５図（Ａ）〜（Ｄ）によりこの発明の装置の
動作を説明する。

第５図（Ａ）に示すのは前回のよこ入れが終了した直
後の状態であり、ヤーンガイド６は前記したように係止
ピン22と同じ位置にある。このとき係止ピン22は掛糸片
17の長溝21内に進入しており、ディスク25および圧接ロ
ーラ26から送り出されるよこ糸Ｗはこれに係止されて拘
束飛走が終了し、次回のよこ入れに備えて貯留部19に巻
かれ始める。なお、掛糸片17の有効直径および測長装置
のよこ糸の送り出し速度は、ヤーンガイド６によって掛
糸片17に巻かれるよこ糸Ｗの長さおよび張力が適正にな
るよう設定されている。例えば、適当な巻き付け張力が
得られるように、測長装置25,26のよこ糸送り出し速度
は、ヤーンガイド６の巻き付け速度より、少し遅めに設
定している。

第５図（Ｂ）に示すのは貯留部19へのよこ糸Ｗの貯留
が更に進んだ状態であり、ヤーンガイド６はディスク25
および圧接ローラ26から構成される測長装置から送り出
されるよこ糸Ｗを貯留部19へ巻き付けながら掛糸片17の
まわりを回転している。

第５図（Ｃ）に示すのは、係止ピン22が掛糸片17の長
溝21から退出して、貯留部19に巻かれたよこ糸Ｗを解舒
可能な状態に開放してよこ入れが開始した状態である。
この間にもヤーンガイド６は、測長装置から送り出され
てくるよこ糸Ｗを貯留部19へ巻き付け続けていく。

よこ入れが更に進み図示しないメインノズルの牽引力
によって貯留部19に巻かれたよこ糸Ｗがすべて解舒され
ると測長装置から送り出されるよこ糸Ｗは貯留部19に巻
かれることなくヤーンガイド６から直接に引き出され
る。即ちディスク25および圧接ローラ26によるよこ糸Ｗ
の送り出し速度と等しい速さでよこ入れされるようにな
る。所謂拘束飛走の状態となる。この拘束飛走状態を第
５図（Ｄ）に示す。この拘束飛走に移行する際によこ入
れの速度がある程度まで低下するので、よこ糸Ｗおよび
これに付着したよこ入れ用流体の持つ運動エネルギーの
一部が吸収される。係止ピン22はよこ糸Ｗの最後の１巻
分をよこ入れすべくヤーンガイド６が通過した後再び掛
糸片17の長溝21内に進入する。よこ入れ終了時には、ヤ
ーンガイド６が係止ピン22の位置を通過するのでよこ糸
Ｗは係止されてそれ以上繰り出されなくなる。このよこ
入れ完了時によこ糸Ｗおよびこれに付着したよこ入れ用
流体の持つ残りの運動エネルギーが吸収される。

以上の説明から分かるように、この発明においては、
よこ入れされるよこ糸の長さはよこ入れが終了した時点
から次のよこ入れが終了するまでの間に測長装置から送
り出される糸の長さであり、測長貯留装置は測長装置か
ら送り出されるよこ糸を貯留するがよこ入れされるよこ
糸の長さを制御していない。

このようにこの発明によれば、よこ糸Ｗの減速、停止
が２段階に分けられるので、係止ピンによる係止時に発
生するピークの張力が比較的小さくなり、繊維なよこ糸
でも損傷を受けたり、切断したりすることがないため、
織物品質の低下を招くことがなく、また、織機の稼働率
も向上するようになる。

また、よこ入れは常に設定されたタイミングで終了す
るので、緯入れ期間を長く設定することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の装置の一実施態様を示す一部断面側
面図、 第２図はその要部を示す斜視図、 第３図はその掛糸片の形状を示す断面側面図、 第４図はこの発明装置の全体を示す斜視図、 第５図（Ａ）〜（Ｄ）はその動作を説明する説明図であ
る。 １…主軸、３…ケース ５…アーム、６…ヤーンガイド 16…ホルダー、17…掛糸片 22…係止ピン、25…ディスク 26…圧接ローラ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】静止状態の貯留ドラムの周囲を連続回転す
   るヤーンガイドによってよこ糸を貯留ドラムに巻き付け
   該よこ糸の係止および解舒を上記貯留ドラムの周面に対
   して進退自在に設けられた係止ピンにより行う形式の測
   長貯留装置と、給糸源からのよこ糸を上記ヤーンガイド
   へ該ヤーンガイドの巻き付け速度とほぼ等しい速度で連
   続的に送り出す測長装置とを備えた流体噴射式織機にお
   いて、 上記係止ピンは巻き付けられたよこ糸をよこ入れ開始の
   タイミングで解舒するべく後退するとともによこ入れ終
   了前の最後の１回転をするべくヤーンガイドが通過した
   後に進出し、ヤーンガイドはよこ入れの終了タイミング
   における回転位置が係止ピンの位置と一致するように、
   かつ上記貯留ドラムに巻き付けられたよこ糸はよこ糸が
   上記係止ピンに係止される前にすべて解舒されるように
   設定されていることを特徴とするよこ入れ方法。