JPH08302400A - 多色透明石鹸の製造方法 - Google Patents

多色透明石鹸の製造方法

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JPH08302400A
JPH08302400A JP11600295A JP11600295A JPH08302400A JP H08302400 A JPH08302400 A JP H08302400A JP 11600295 A JP11600295 A JP 11600295A JP 11600295 A JP11600295 A JP 11600295A JP H08302400 A JPH08302400 A JP H08302400A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】色と色との境界が奥深くまで深みのあるぼかし
模様となっている、美麗なグラデーション模様を有する
多色透明石鹸の製造方法を提供する。 【構成】相互に異なる色に着色された二種の溶融透明石
鹸素地のうち、一方の石鹸素地を成形型内に注入して冷
却し、次いで、前記冷却された石鹸素地が固化する前
に、もう一方の石鹸素地を、前記冷却された石鹸素地よ
りも高い温度で加熱溶融して前記成形型内に注入した
後、前記二種の溶融透明石鹸素地が固化するまで冷却す
ることにより、多色透明石鹸を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、異なる色の複数の溶融
透明石鹸素地を一定の温度差で順次成形型に注入するこ
とによる、多色透明石鹸の製造方法に関する。詳しく
は、本発明は、異なる色の境界が明確でなく奥深くまで
深みのあるぼかし模様となっている、美麗なグラデーシ
ョン模様を有する多色透明石鹸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、透明石鹸に対しては、様々な色や
模様を施して美麗な意匠で需要者を引きつける工夫がな
されてきており、例えば異なる色の層を有する多色透明
石鹸や、花、動物、果物などの形状に造形して着色した
ものを内包した多色透明石鹸等が製造されるようになっ
てきている。
【0003】しかしながら、従来から提案されている多
色もしくは模様を施した透明石鹸は、特開昭54−46
206号にみられるような異なる色の石鹸を相互に接着
して層状に色分けしたものや、特開昭57−15530
0号にみられるような溶融状態の石鹸中に予め異なる色
の石鹸で成形した造形物を入れて固めたものなど、色と
色との境界が明確に色分けされたものが殆どであった。
【0004】一方、透明石鹸の透明感を保持したまま、
多色模様や色の変化により美麗な外観を与えるために
は、むしろ色と色との境界を明確にせずに、奥深くまで
深みのあるぼかし状に着色したグラデーション模様を付
するのが好ましい。
【0005】そのようなグラデーション模様を有する透
明石鹸の製造方法としては、特開昭59−157200
号にぼかし石鹸の製造方法が、また、特開平1−178
600号に薄肉状造形石鹸の着色方法が示されている。
【0006】しかし、特開昭59−157200号に記
載の方法は、型枠内に加熱溶融した透明石鹸を注入し、
冷却固化して透明石鹸を得た後、これを半分に切断し、
切断した石鹸の一面に水またはアルコール可溶性色素を
塗布した後、残る空所に再度加熱溶融した透明石鹸を注
入して冷却固化するというものであって、その製造工程
についても、第1注型工程、切断工程、嵌合工程、着色
工程、第2注型工程、加工工程など複雑で多く、しか
も、それによって得られた石鹸は、石鹸と石鹸との間に
水溶性色素で着色したぼかし模様をサンドイッチ状に挟
んだものであり、境界部分のみをぼかし状にしたに過ぎ
ずない。
【0007】また、特開平1−178600号に記載の
方法は、薄板状の石鹸素材を所要形状に造形して乾燥し
た後、その造形済石鹸の一部を着色用溶液中に浸漬して
着色する方法であって、時間や手間がかかると共に、得
られる石鹸も、表面のみにぼかし模様が施されるに過ぎ
ない。
【0008】よって、色と色との境界が、表面だけでな
く奥深くまで深みのあるぼかし模様となっているような
美麗な多色透明石鹸は、未だ提案されておらず、またそ
の製造方法も確立されていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、色と
色との境界が奥深くまで深みのあるぼかし模様となって
いる、美麗なグラデーション模様を有する多色透明石鹸
の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
に鑑み鋭意検討した結果、石鹸素地を分けて各々に異な
る色を施し、一方を先に固化しない程度に冷却した後、
他方の加熱溶融した石鹸素地を加えて冷却固化すること
により、上記目的を達成することができることを見いだ
し、本発明に到達した。
【0011】すなわち、本発明は、相互に異なる色に着
色された二種の溶融透明石鹸素地のうち、一方の石鹸素
地を成形型内に注入して冷却し、次いで、前記冷却され
た石鹸素地が固化する前に、もう一方の石鹸素地を、前
記冷却された石鹸素地よりも高い温度で加熱溶融して前
記成形型内に注入した後、前記二種の溶融透明石鹸素地
が固化するまで冷却する工程を含む、多色透明石鹸の製
造方法、に関するものである。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。尚、図1
に本発明の製造方法の概略を示す。
【0013】本発明の製造方法は、まず相互に異なる色
に着色された二種の溶融透明石鹸素地を用意し、そのう
ちの一方(以下、「第1の石鹸素地」という。)を先に
型内へ注入して冷却し(図1中、1)、次いで前記第1
の石鹸素地が固化する前に、もう一方の石鹸素地(以
下、「第2の石鹸素地」という。)を同一型内に注入し
(図1中、2)、その後冷却して、第1の石鹸素地と第
2の石鹸素地を同一型内で同時に固化させる、というも
のである。
【0014】(1)本発明においては、まず、相互に異
なる色に着色された二種の溶融透明石鹸素地を用意す
る。ここで、本発明の透明石鹸を形成する石鹸素地は、
原料油脂や高級脂肪酸等をケン化せしめた石鹸成分にア
ルコール、砂糖、水、および必要に応じて着色料、香料
等を添加したものである。具体的には、砂糖5〜15重
量%、アルコール類15〜35重量%、水分12〜25
重量%、および、原料油脂や高級脂肪酸等をケン化せし
めた石鹸成分68〜25重量%を主成分とし、また、こ
のアルコール類化合物中、5〜10重量%以上がグリセ
リンであり、60重量%以上がエタノールであり、30
重量%以下がエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、マルチトール、ソルビトールまたは脂肪酸高級アル
コールの中から選ばれた一種又は二種以上の石鹸用成分
であるのが好ましい。更に適量の香料、着色料として染
料又は顔料等を含有するものが好ましい。着色料として
は、タール系染料、天然色素、無機・有機顔料等から選
択することができる。また、パール顔料を用いることも
できる。
【0015】尚、前記二種の溶融透明石鹸素地は、相互
に異なる色に着色されていなければならないが、色以外
については同一組成であっても、異なる組成であっても
よい。好ましくは、溶融状態の石鹸素地を二つに分離し
た後、その各々に異なる着色料を加えて着色し、色以外
については同一の組成を有する二種の溶融透明石鹸素地
を得るのがよい。
【0016】(2)本発明では、前記二種の溶融透明石
鹸素地のうちの一方(第1の石鹸素地)を、先に成形型
内へ注入し、冷却する。ここで、注入する際の第1の石
鹸素地は、好ましくは55〜70℃、より好ましくは5
7〜65℃に加熱溶融されたものである。また、注入す
るときの量は、第2の石鹸素地との比率(容積比)が、
好ましくは、第1の石鹸素地:第2の石鹸素地=1:4
〜4:1、より好ましくは1:3〜3:1となるように
する。
【0017】注入後の冷却は、第1の石鹸素地が固化し
ないようにすることが必要である。よって、好ましく
は、この冷却温度は、用いる石鹸素地の固化温度より2
〜15℃高い温度とする。通常の石鹸素地の固化温度は
40〜43℃程度であるから、具体的には、第1の石鹸
素地を43℃〜55℃、より好ましくは44℃〜52℃
の範囲の温度に冷却する。尚、石鹸素地の冷却方法は、
自然放冷または強制冷却(例えば、冷風または水冷等の
方法)のいずれでもよい。
【0018】石鹸素地を注入する成形型は、通常の石鹸
成型用の型または枠であり、花、動物、果物などの所要
形状に造形しうるものであってもよい。また、成形型の
材料は、合成樹脂、ゴム、金属等いずれでもよい。
【0019】(3)次いで、本発明では、上述した固化
していない溶融状態の第1の石鹸素地の上に、残るもう
一方の溶融透明石鹸素地(第2の石鹸素地)を注入し、
前記第1の石鹸素地と接触させる。ここで、この第2の
石鹸素地は、上述した冷却後の第1の石鹸素地よりも高
い温度に加熱溶融させて、前記第1の石鹸素地と接触す
るように注入することが必要である。好ましくは、第2
の石鹸素地を注入する際に、第2の石鹸素地が第1の石
鹸素地より5〜40℃程度高い温度となるようにし、具
体的には、第2の石鹸素地の加熱溶融温度を、好ましく
は60〜85℃、より好ましくは68〜82℃とする。
【0020】また、第2の石鹸素地の注入量は、特に限
定されないが、第1の石鹸素地との容積比が上述した範
囲内となるようにするのがよい。
【0021】尚、本発明においては、第1の石鹸素地と
第2の石鹸素地との比率により、両者の接触時の温度差
の最適な範囲が異なることが見い出された。すなわち、
第1の石鹸素地が第2の石鹸素地より多い場合は、第1
の石鹸素地の冷却温度は上記範囲内において比較的高く
し、且つ第2の石鹸素地の加熱溶融温度を上記範囲内に
おいて比較的低くするのがよく、一方第1の石鹸素地が
第2の石鹸素地より少ない場合は、第1の石鹸素地の冷
却温度を比較的低く且つ第2の石鹸素地の加熱溶融温度
を比較的高くするのがよい。よって、二種の石鹸素地の
比率と、両者を合わせるときの温度差とを組み合わせる
ことにより、より一層美麗なグラデーション模様を出す
ことができる。
【0022】具体的には、第1の石鹸素地と第2の石鹸
素地との比(容積比)を2:1〜3:1とし、第1の石
鹸素地を合計石鹸素地量の2/3〜3/4量注入した後
に第2の石鹸素地を残りの1/3〜1/4量注入するこ
ととして、且つ第1の石鹸素地の冷却温度を48〜52
℃とし、第2の石鹸素地の加熱溶融温度を68〜73℃
程度とするのがよい。また、第1の石鹸素地と第2の石
鹸素地との比(容積比)を1:2〜1:1とし、第1の
石鹸素地を合計石鹸素地量の1/3〜1/2量注入した
後に第2の石鹸素地を残りの2/3〜1/2量注入する
こととして、且つ第1の石鹸素地の冷却温度を43〜4
7℃とし、第2の石鹸素地の加熱溶融温度を75〜82
℃程度とするのがよい。
【0023】(4)第1の石鹸素地と第2の石鹸素地と
を注入した後は、これら二種の石鹸素地を同一型内で同
時に冷却固化させる。冷却の手段は、前記したものと同
様であり、冷却温度は、好ましくは4〜15℃、より好
ましくは4〜5℃である。固化したら、型から取り出し
て乾燥させる。
【0024】本発明においては、第1の石鹸素地が固化
しないうちに第2の石鹸素地を注入するので、両者は溶
融状態で接触することとなり、また、両者の間に一定の
温度差を設けるため、流動性が異なり、完全には混じり
合わない。よって、接触面の近傍で相互が適度に混じり
合う結果、両者の間に明確な色の境界ができず、美麗な
グラデーション模様を形成させることができる。
【0025】尚、本発明の製造方法は、上述した工程を
含むものであれば、溶融透明石鹸素地は二種に限定され
るものではなく、何種の石鹸素地を組み合わせてもよ
い。例えば、三種類の石鹸素地のうち、第1の石鹸素地
と第2の石鹸素地を上述した方法で成型型に注入した
後、第2の石鹸素地が固化する前に更に第3の石鹸素地
を注入して、三層を、各層の境界がグラデーション模様
となるように色分けすることもできる。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。尚、以下の実施例において、「%」は、特に断らな
い限り「重量%」を表す。
【0027】<実施例1>牛脂・ヤシ油混合脂肪酸3
3.9%、48.5%水酸化ナトリウム水溶液11.9
%、エタノール19.0%、ベヘニン酸1.1%、水
8.3%を反応釜で加熱撹拌してケン化し、次いで白糖
10.8%、グリセリン9.6%を添加混合して更に香
料を2.0%添加し、これによって透明石鹸素地を得
た。
【0028】得られた透明石鹸素地を二つに分離し、一
方に赤色−504号を添加分散して第1の石鹸素地を
得、他方に黄色−4号を添加分散して第2の石鹸素地を
得た。こうして得られた第1の石鹸素地を、60℃に加
熱溶融して造形物成型用のゴム製の型(140mL容
量)に所定量の2/3量(85mL)注入充填し、自然
放冷によって50℃まで冷却した。
【0029】次いで、溶融状態の第2の石鹸素地を、7
0℃で前記成形型に所定量の残り1/3量(55mL)
だけ注入充填した後、2分間放置して自然放冷してか
ら、水冷によって4〜5℃にて30分間冷却して完全に
固化させ、その後型から取り出して乾燥させた。得られ
た多色透明石鹸は、2種の石鹸素地の境界の色分けがぼ
かし状になっていて、美麗なグラデーション模様を形成
していた。
【0030】<実施例2>実施例1で用いたのと同じ溶
融状態の第1の石鹸素地を、60℃で実施例1で用いた
のと同じゴム製の型に所定量の1/3量(55mL)注
入充填し、自然放冷によって45℃にまで冷却した。
【0031】次いで、実施例1で用いたのと同じ溶融状
態の第2の石鹸素地を、80℃で所定量の残り2/3量
(85mL)注入充填した後、2分間放置してから実施
例1と同様に4〜5℃に保ちながら30分間冷却して完
全に固化させ、その後型から取り出して乾燥させた。得
られた多色透明石鹸は、2種の石鹸素地の境界の色分け
がぼかし状になっていて、美麗なグラデーション模様を
形成していた。
【0032】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、石鹸用成形
型への注入充填時の温度差を変えることにより、色と色
との境界が奥深みのあるぼかし模様を呈する多色透明石
鹸を得ることができる。また、同一型もしくは枠内で同
時に冷却して成形することができるので、手間がかから
ず簡単な方法で、美麗に着色したグラデーション模様を
有する所定形状の造形着色透明石鹸を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法の概略を示す図である。
【符号の説明】
1・・・第1の石鹸素地 2・・・第2の石鹸素地
フロントページの続き (72)発明者 森 幸男 東京都品川区西五反田2丁目2番3号 ポ ーラ五反田ビル内 (72)発明者 下里 功 神奈川県横浜市神奈川区高島台27番地1 ポーラ化成工業株式会社横浜研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】相互に異なる色に着色された二種の溶融透
    明石鹸素地のうち、一方の石鹸素地を成形型内に注入し
    て冷却し、次いで、前記冷却された石鹸素地が固化する
    前に、前記冷却された石鹸素地よりも高い温度で加熱溶
    融したもう一方の石鹸素地を前記成形型内に注入した
    後、前記二種の溶融透明石鹸素地が固化するまで冷却す
    る工程を含む、多色透明石鹸の製造方法。
  2. 【請求項2】前記一方の石鹸素地ともう一方の石鹸素地
    との比(容積比)を2:1〜3:1とし、且つ前記一方
    の石鹸素地を成形型内に注入して48〜52℃に冷却し
    た後、68〜73℃に加熱溶融した前記もう一方の石鹸
    素地を、前記成形型内に注入する、請求項1記載の多色
    透明石鹸の製造方法。
  3. 【請求項3】前記一方の石鹸素地ともう一方の石鹸素地
    との比(容積比)を1:2〜1:1とし、且つ前記一方
    の石鹸素地を成形型内に注入して43〜47℃に冷却し
    た後、75〜82℃に加熱溶融した前記もう一方の石鹸
    素地を、前記成形型内に注入する、請求項1記載の多色
    透明石鹸の製造方法。
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