JPH08302111A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

Info

Publication number
JPH08302111A
JPH08302111A JP7115896A JP11589695A JPH08302111A JP H08302111 A JPH08302111 A JP H08302111A JP 7115896 A JP7115896 A JP 7115896A JP 11589695 A JP11589695 A JP 11589695A JP H08302111 A JPH08302111 A JP H08302111A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
composition
rubber
resin
elastomer composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP7115896A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Ozawa
沢 修 小
Katsumi Hayashida
田 克 己 林
Takashi Hisanaga
永 孝 久
Kiminori Araki
木 公 範 荒
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yokohama Rubber Co Ltd filed Critical Yokohama Rubber Co Ltd
Priority to JP7115896A priority Critical patent/JPH08302111A/ja
Publication of JPH08302111A publication Critical patent/JPH08302111A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】良好なゴム弾性、耐熱軟化性、および熱軟化性
等を有する成型品を得ることができ、しかも、優れた溶
融流動性を有し、微細な形状加工であっても極めて良好
な加工性で射出成型等の溶融成型を行うことができる新
規な熱可塑性エラストマー組成物を提供する。 【構成】軟化温度が100℃以上で、かつ溶融温度が2
00℃以下の熱可塑性樹脂(成分A)、少なくとも一部
が加硫されたゴム組成物(成分B)、および溶融温度が
100℃以上のワックス状組成物(成分C)を含有し、
成分A/成分Bの重量組成比が10/90〜90/1
0、成分Cの含有量が成分Aと成分Bとの合計100重
量部に対して3〜90重量部であり、かつ成分Bおよび
Cの少なくとも一部が成分Aに分散されてなることによ
り、前記目的を達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、良好な耐熱性およびゴ
ム弾性を有し、しかも容易に押出成型や射出成型を行う
ことができる新規な熱可塑性エラストマー組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂をマトリックスとして、こ
のマトリックス中に加硫ゴムを分散してなる熱可塑性エ
ラストマー組成物が各種知られている。
【0003】例えば、ポリプロピレン樹脂をマトリック
スとして、ポリプロピレン樹脂中に少なくとも一部が加
硫されたエチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)お
よび/またはエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム
(EPDM)を微細に分散した構造を有する熱可塑性エ
ラストマーが知られている。この熱可塑性エラストマー
は、良好なゴム弾性を有し、耐熱軟化性に優れ、しかも
熱可塑性を利用した成型加工が可能であるという数々の
利点を有し、この利点を生かして各種の用途に利用され
ている。
【0004】ところが、このような熱可塑性エラストマ
ー組成物は、上記のように優れた特性を有するものの、
その構造的な特徴に起因して溶融時の流動性に劣る。そ
のため、この熱可塑性エラストマー組成物を成型加工し
て各種の製品を製造する際の溶融成型性が悪く、例え
ば、押出成型や射出成型に利用する際には、非常に高圧
での押出成型や射出成型が必要であり、また、溶融粘度
を低減させるために、より高温での押出成型や射出成型
が必要であるという問題点がある。特に、高流動性や低
剪断での加工を要する微細な形状を有する製品用途やシ
ーティング用途には不適である。しかも、この傾向は加
硫ゴムを多く含む柔軟な組成物ほど顕著であり、高いゴ
ム弾性を要求される加工製品への利用は困難である。
【0005】他方、いわゆるエチレン酢酸ビニル共重合
体(EVA)やスチレン・ブタジエン・スチレン共重合
体の水素添加物をそのまま使用したホットメルト樹脂や
反応型ホットメルト樹脂を利用することによって、良好
な成型性で射出成型を行うことはできるが、これらの樹
脂では成型品が実際に使用される熱環境下ではゴム弾性
を発揮することはできず、特に、80〜100℃の高温
時においては流動変形が大きくなってしまい、全くゴム
弾性が無くなってしまう上に、変形して締め応力低下に
よるもれ、または物理的に間隙が発生するという欠点も
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の問題点を解決することにあり、100℃以
上、好ましくは120℃以上の高温域まで良好なゴム弾
性、耐熱軟化性を併せて有する成型品を得ることがで
き、しかも、200℃以下の温度域でも成型時に優れた
溶融流動性を発現することができ、極めて良好な成型加
工性で、押出成型によるシーティングや簡易な形状の製
品の成型や、射出成型による簡易あるいは複雑な形状の
製品の成型等の溶融成型を行うことができる新規な熱可
塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、下記成分A、BおよびC 成分A: 軟化温度が100℃以上で、かつ溶融温度が
200℃以下の熱可塑性樹脂組成物 成分B: 少なくとも一部が加硫されたゴム組成物 成分C: 溶融温度が100℃以上のワックス状組成物 を含有し、前記成分A/成分Bの重量組成比が10/9
0〜90/10、前記成分Cの含有量が成分Aと成分B
との合計100重量部に対して3〜90重量部であり、
さらに、前記成分BおよびCの少なくとも一部が前記成
分Aに分散されてなることを特徴とする熱可塑性エラス
トマー組成物を提供する。
【0008】また、前記成分Aがポリオレフィン系樹脂
材料、特にポリプロピレン系樹脂材料であり、前記成分
Bがエチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)および
/またはエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(E
PDM)であり、前記成分Cが低分子量ポリオレフィ
ン、特に低分子量ポリプロピレン(ポリプロピレン系ワ
ックス)であるのが、耐熱性等の特性制御および経済性
等の点で好ましい。
【0009】また、前記成分A、BおよびCに加え、さ
らに、前記成分Aの溶融時に粘接着性を付与する樹脂組
成物および/またはゴム組成物を成分Dとして含有する
のが好ましい。
【0010】また、前記成分Dが、スチレン・ブタジエ
ン(・スチレン)共重合エラストマーあるいはその水素
添加物、スチレン・イソプレン(・スチレン)共重合エ
ラストマーあるいはその水素添加物、軟化点が60〜1
50℃の樹脂状組成物あるいはその水素添加物、石油系
樹脂あるいはその水素添加物、テルペン系樹脂あるいは
その水素添加物、ロジン系樹脂あるいはその水素添加
物、クマロン・インデン系樹脂あるいはその水素添加物
からなる群より選ばれた一種以上であるのが好ましい。
【0011】以下、本発明の熱可塑性エラストマー組成
物について詳細に説明する。本発明の熱可塑性エラスト
マー組成物(以下、エラストマー組成物とする)は、軟
化温度が100℃以上で、かつ溶融温度が200℃以下
の熱可塑性樹脂(すなわち成分A)をマトリックスと
し、この成分A中に、少なくとも一部が加硫されたゴム
組成物(すなわち成分B)および溶融温度が100℃以
上のワックス状組成物(すなわち成分C)の少なくとも
一部が分散されてなることをその基本構成とする。
【0012】マトリックスとなる成分Aは、軟化温度が
100℃以上で、かつ溶融温度が200℃以下の熱可塑
性樹脂(以下、熱可塑性樹脂ともいう)である。軟化温
度が100℃未満であると、得られた成型品の耐熱軟化
性が悪く、溶融温度が200℃を超えると、押出成型や
射出成型等の溶融成型性が悪くなってしまう。成分Aと
しては、好ましくは、軟化温度が110℃以上で、溶融
温度が190℃以下の熱可塑性樹脂が特に好適に利用さ
れる。
【0013】なお、本発明において軟化温度とは、JI
S K 7270−1983に定義される熱変形温度で
ある。より具体的には、この熱変形温度は、荷重たわみ
温度試験法で測定される熱変形温度であり、4.6kgf/
cm2 の一定荷重下で試験片が変形を開始する温度、すな
わち物理的に熱変形する温度である。一方、本発明にお
いて溶融温度とは、示差走査熱量計(DSC)を用い、
昇温速度10℃/分で測定した際の、吸熱カーブの結晶
融解ピーク温度を示す。さらに、軟化点とは、JIS
K 6220に規定される軟化点を環球式軟化点測定装
置で測定し、球が降下した温度を軟化点(℃)とする。
【0014】また、本発明においては、成分Aとして
は、上記条件を満たした上で、230℃、荷重2.16
kgf/cm2 、1mmφオリフィス使用時のMFI(Melt Flo
w Index)が20以上で、JIS K 6310に規定さ
れるD硬度が80以下の熱可塑性樹脂が好ましく利用さ
れる。
【0015】成分Aとしては、上記特性を有するもので
あれば、各種の熱可塑性樹脂および/またはその組成物
が利用可能である。具体的には、上記特性を有するポリ
アミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリニトリル系樹
脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリビニル系樹脂、セ
ルロース系樹脂、フッ素系樹脂、イミド系樹脂、ポリオ
レフィン系樹脂等が好適に例示される。より具体的に
は、ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6(N6)、
ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナ
イロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイ
ロン610(N610)、ナイロン612(N61
2)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイ
ロン6/66/610共重合体(N6/66/61
0)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、
ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合
体、ナイロン66/PPS共重合体等が;ポリエステル
系樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート(PB
T)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエ
チレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重
合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタ
レート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアル
キレンジイミド酸/ポリブチレートテレフタレート共重
合体などの芳香族ポリエステル等が;ポリニトリル系樹
脂としては、ポリアクリロニトリル(PNA)、ポリメ
タクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合
体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、
メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体等
が;ポリメタクリレート系樹脂としては、ポリメタクリ
ル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル等
が;ポリビニル系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル、ポリ
ビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチ
レン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PD
VC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化
ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレ
ート共重合体等が;セルロース系樹脂としては、酢酸セ
ルロース、酢酸酪酸セルロース等が;フッ素系樹脂とし
ては、ポリフッ化ブニリデン(PVDF)、ポリフッ化
ビニル(PVF)、ポリクロロフルオロエチレン(PC
FE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体等
が;イミド系樹脂としては、芳香族ポリイミド(PI)
等が;ポリオレフィン系樹脂としては、オレフィンの単
独または共重合体、すなわち、エチレン、プロピレン、
1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−ブテン、1−
ヘキセン、3−メチル1−ペンテン、4−メチル1−ペ
ンテン、1−オクテン等の単独または共重合体、さら
に、前記オレフィンの単独または共重合体と他の熱可塑
性樹脂との共重合体等が; それぞれ好適に例示され
る。特に、ポリオレフィン系樹脂、中でもポリプロピレ
ン(PP)系樹脂、中でも特に、アイソタクティック、
シンジオタクティック、アタクティックの立体化学構造
を有するポリプロピレン系樹脂で、軟化温度が100℃
以上で、かつ溶融温度が200℃以下の条件を満たすも
のが好適に利用される。
【0016】本発明のエラストマー組成物において、こ
のような成分Aに分散される成分Bは、少なくとも一部
が加硫されたエラストマー組成物(以下、ゴム組成物と
もいう)である。ここで、本発明のエラストマー組成物
は、成分Aの少なくとも一部は連続相(いわゆるマトリ
ックス)を成し、成分Bの少なくとも一部が分散相(ド
メイン)となるような分散構造を有する。このような分
散構造を有することにより、マトリックスを成す熱可塑
性樹脂相の溶融特性(軟化特性)を利用し、成型時にお
ける良好な流動性を実現することにより押出成型や射出
成型の制御、特に200℃以下の溶融成型としては比較
的低温域での容易な流動を可能とし、分散相となる少な
くとも一部が加硫されたゴム組成物を有することによ
り、得られた成形品の耐熱軟化(軟化温度)の制御に加
え、柔軟性と熱時においても良好なゴム弾性を発現する
ことができる。
【0017】成分Bとして利用されるゴム組成物として
は、ジエン系ゴムおよびその水素添加物、オレフィン系
ゴム、含ハロゲン系ゴム、シリコンゴム、含イオウゴ
ム、フッ素ゴム、および熱可塑性エラストマーからなる
群より選択される1以上が好適に例示される。具体的に
は、ジエン系ゴムおよびその水素添加物としては、天然
ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天
然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジ
エンゴム(BR 高シスBRおよび低シスBR)、アク
リロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、水素化NB
R、水素化SBR等が;オレフィン系ゴムとしては、エ
チレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・
プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)、マレイン
酸変性エチレン・プロピレン共重合ゴム(M−EP
M)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビ
ニルあるいはジエン系モノマーの共重合体、アクリルゴ
ム(ACM)、アイオノマー等が;含ハロゲンゴムとし
ては、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、塩素化ブチ
ルゴム(Cl−IIR)、イソブチレン・パラメチルス
チレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロ
プレンゴム(CR)、ヒドリンゴム、クロロスルホン化
ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(C
M)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM)
等が;シリコンゴムとしては、メチルビニルシリコンゴ
ム、ジメチルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリ
コンゴム等が;含イオウゴムとしては、ポリスルフィド
ゴム等が;フッ素ゴムとしては、ビニリデンフルオライ
ド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフル
オロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系
ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム等が;熱可塑性エラ
ストマーとしては、スチレン系エラストマー、ポリオレ
フィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、
ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマ
ー等が; それぞれ好適に例示される。
【0018】特に、EPM系ゴムやEPDM系ゴム(あ
るいはこれらを含むゴム組成物)等のオレフィン系ゴム
(組成物)が、後述する本発明の熱可塑性エラストマー
組成物の製造方法による混練加工時や、本発明の熱可塑
性エラストマー組成物を用いた押出成型や射出成型等の
成型加工時における良好な熱安定性等の理由で好適に利
用される。中でも特に、エチレンおよびプロピレン、あ
るいはさらに若干のジシクロペンタジエン、エチリデン
ノルボーネン、1,4−ヘキサジエン等の若干のジエン
成分を有する2元または3元共重合体であるEPMおよ
び/またはEPDM、さらにこれらEPMおよび/また
はEPDMを無水マレイン酸等で変性してなるマレイン
酸変性EPMおよび/またはEPDMは好適に利用可能
である。
【0019】なお、本発明の熱可塑性エラストマー組成
物において、成分Bには前記ゴム成分以外に、カーボン
ブラックや可塑剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤等の
各種の添加剤を含有してもよいのはもちろんであるが、
成分B中におけるゴム成分の含有量は、25〜99重量
%程度、特に33〜98重量%程度とするのが好まし
い。
【0020】前述のように、本発明のエラストマー組成
物は、成分Aをマトリックスとし、成分Bの少なくとも
一部が分散相(ドメイン)として分散し、かつ、成分B
の少なくとも一部が加硫された構成を有する。このよう
な構成は、あらかじめ成分Aを構成する熱可塑性樹脂
と、成分Bを構成するゴム組成物(基本的に加硫剤は含
まない)とを、2軸混練押出機等で溶融混練し、連続相
を形成する熱可塑性樹脂中にゴム組成物を分散させ、こ
の状態(混練下)で引き続き加硫剤を添加し、ゴム組成
物を混練中にすなわち動的に加硫させることにより形成
することができる。また熱可塑性樹脂やゴム成分に各種
の配合剤(加硫剤を除く)を添加する際には、この混練
中に添加してもよいが、混練の前にあらかじめ添加して
おくのが好ましい。
【0021】なお、加硫剤の種類や動的な加硫条件(温
度、時間)等は、添加する成分Bに応じて適宜決定すれ
ばよく、特に限定はない。加硫剤としては、一般的なゴ
ム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的に
は、イオウ系加硫剤としては粉末イオウ、沈降性イオ
ウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、
ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジ
サルファイド等が例示され、例えば、0.5〜4phr
(成分B中のゴム成分(ポリマー)100重量部あたり
の重量部)程度を用いればよい。また、有機過酸化物系
の加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブ
チルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイ
ルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキ
サン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例
示され、例えば、1〜15phr程度を用いればよい。
さらに、フェノール樹脂系の加硫剤としては、アルキル
フェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン
等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有
する混合架橋系等が例示され、例えば1〜20phr程
度を用いればよい。その他として、亜鉛華(5phr程
度)、酸化マグネシウム(4phr程度)、リサージ
(10〜20phr程度)、p−キノンジオキシム、p
−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−
ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜1
0phr程度)、メチレンジアニリン(0.2〜10p
hr程度)が例示される。
【0022】また、必要に応じて、加硫促進剤を添加し
てもよい。加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニ
ア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド
系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等の一般
的な加硫促進剤を、例えば0.5〜2phr程度用いれ
ばよい。具体的には、アルデヒド・アンモニア系加硫促
進剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等が;グアジ
ニン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアジニン等
が;チアゾール系加硫促進剤としては、ジベンゾチアジ
ルジサルファイド(DM)、2−メルカプトベンゾチア
ゾールおよびそのZn塩、シクロヘキシルアミン塩等
が;スルフェンアミド系加硫促進剤としては、シクロヘ
キシルベンゾチアジルスルフェンアマイドCBS)、N
−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンア
マイド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフ
ェンアマイド、2−(チモルポリニルジチオ)ベンゾチ
アゾール等が;チウラム系加硫促進剤としては、テトラ
メチルチウラムジサルファイド(TMTD)、テトラエ
チルチウラムジサルファイド、テトラメチルチウラムモ
ノサルファイド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラ
ムテトラサルファイド等が;ジチオ酸塩系加硫促進剤と
しては、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Zn−ジ
エチルジチオカーバメート、Zn−ジ−n−ブチルジチ
オカーバメート、Zn−エチルフェニルジチオカーバメ
ート、Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメ
チルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバ
メート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等
が;チオウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウ
レア、ジエチルチオウレア等が; それぞれ開示され
る。
【0023】また、加硫促進助剤としては、一般的なゴ
ム用助剤を併せて用いることができ、例えば、亜鉛華
(5phr程度)、ステアリン酸やオレイン酸およびこ
れらのZn塩(2〜4phr程度)を用いればよい。
【0024】本発明のエラストマー組成物において、例
えば、成分BとしてEPM系ゴムやそのマレイン酸変性
物を用いる場合には、好ましい加硫剤として、メチレン
ジアニリン(MDA)が例示される。なお、量比はエラ
ストマー組成物の用途等によっても異なるが、通常、
0.2〜10phr、好ましくは0.5〜5phr程度
である。また、必要に応じて加硫助剤を併用してもよ
く、好ましい加硫助剤として、ステアリン酸、亜鉛華、
ステアリン酸亜鉛等が利用される。また、好ましい架橋
剤の別の態様として、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等の有機過酸化物が
例示され、通常、1〜10phr、好ましくは1.5〜
5phr程度が使用される。さらに、成分BとしてEP
M系ゴム等を用いて動的な熱処理による加硫を行う場合
には、加硫時における成分Aと成分Bとの混練の温度
(本発明のエラストマー組成物の製造温度)を180〜
300℃程度とすればよい。
【0025】あるいは、成分BとしてEPDM系ゴムや
そのマレイン酸変性物を利用する場合には、好ましい加
硫剤および加硫促進剤(加硫系)として、粉末イオウ、
スルフェンアミド系、チウラム系、チアゾール系の各種
の加硫剤(加硫促進剤)の単独または2種以上を組み合
わせた加硫系が例示される。好ましい一例として、粉末
イオウ/CBS/TMTD/DMの加硫系が例示され
る。なお、量比は加硫剤(系)によっても異なるが、通
常、合計量で0.5〜10phr、好ましくは0.8〜
5phrである。また、必要に応じて加硫助剤を併用し
てもよく、好ましい加硫助剤として、ステアリン酸等の
脂肪酸類やステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類(これ
らの併用)が例示される。また、好ましい架橋剤の別の
態様として、臭素化アルキルフェノール樹脂を用いた樹
脂架橋系が例示され、通常、1〜20phr、好ましく
は3〜10phr程度が使用される。さらに成分Bとし
てEPDM系ゴムを用いて動的な熱処理による加硫を行
う場合には、加硫時における成分Aと成分Bとの混練の
温度(本発明のエラストマー組成物の製造温度)は、前
述のEPM系ゴムと同様でよい。
【0026】本発明のエラストマー組成物において、成
分Aおよび成分Bの含有量や組成比は、成分AおよびB
の種類に応じて適宜決定すればよいが、成分A/成分B
の重量比で、成分A/成分B=10/90〜90/1
0、好ましくは、成分A/成分B=15/85〜85/
15程度である。両成分の組成比を上記範囲とすること
により、得られたエラストマー組成物(あるいはその成
型品)の溶融成型性、耐熱軟化性、ゴム弾性等の各種の
特性のバッランスを前述の如く良好なものとすることが
できる。
【0027】より具体的には、例えば、好ましい組み合
わせである、成分Aがポリプロピレン系樹脂で、成分B
がEPM系ゴムおよび/またはEPDM系ゴムである場
合には、両成分の組成比は、好ましくは成分A/成分B
=10/90〜90/10程度、より好ましくは成分A
/成分B=15/85〜80/20程度である。
【0028】本発明のエラストマー組成物においては、
成分Cすなわち溶融温度が100℃以上のワックス状組
成物(以下、ワックス状組成物ともいう)が含有され
る。この成分Cは、本発明のエラストマー組成物が溶融
した際に、成分Aおよび成分B、特に成分Aに流動性を
付与するものであり、本発明のエラストマー組成物は、
この成分Cを有することによって、100℃以上、好ま
しくは120℃以上での耐熱軟化性を保持しながら、溶
融成型としては比較的低温の200℃以下での優れた溶
融流動性すなわち溶融成型性を発現することができ、押
出成形や射出成型等の溶融成型による微細な形状加工等
を好適に行うことが可能になる。
【0029】成分Cとしては、溶融温度が100℃以上
のワックス状組成物が各種利用可能であり、主に成分A
との相溶性を考慮して各種選択可能である。好ましく
は、得られた本発明のエラストマー組成物を溶融成型す
る温度前後において、B型粘度計による10rpmの粘
度が300〜10000cps程度、より好ましくは5
00〜5000cps程度の粘度を持つワックス状組成
物が利用される。このようなワックス状組成物を用いる
ことにより、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
200℃以下の加温下におけるより良好な溶融流動性を
発揮することができ、より良好な加工性を実現すること
ができる。具体的には、ポリプロピレン系ワックスやポ
リエチレン系ワックス等のワックス状の低分子量ポリオ
レフィン等が好適に例示される。特に、成分Aとしてポ
リプロピレン系樹脂を用いた場合には、相溶性等の点で
低分子量ポリプロピレン系ワックスが好適に利用され
る。
【0030】成分Cの含有量は、成分A+Bの100重
量部に対して3〜90重量部、より好ましくは5〜80
重量部程度である。成分Cの含有量を上記範囲とするこ
とにより、エラストマー組成物から得られる目的とする
成型物のゴム弾性や耐熱特性を低下させることなく、良
好な溶融流動性を得ることができる。
【0031】より具体的には、例えば、好ましい組み合
わせとして例示される、成分Aとしてポリプロピレン系
樹脂、成分BとしてEPM系ゴムおよび/またはEPD
M系ゴム、そして成分Cとしてポリプロピレン系ワック
スを用いた際には、成分Cの添加量は、好ましくは成分
A+Bの100重量部に対して3〜85重量部程度、よ
り好ましくは5〜80重量部程度である。
【0032】ここで、前述のように、本発明のエラスト
マー組成物は、成分Aをマトリックスとし、成分Bの少
なくとも一部が分散相(ドメイン)として分散してなる
構成を有するものであり、成分Bを混練下に加硫(動的
に加硫)することにより製造することができる。
【0033】本発明のエラストマー組成物には、上記特
性を損なわない範囲で、このような成分A、BおよびC
に加え、さらに、溶融時に粘接着性を付与する樹脂組成
物および/またはゴム組成物を成分D(以下、粘着性付
与剤ともいう)として含有してもよい。この成分Dを含
有することより、本発明のエラストマー組成物は溶融成
型時に粘接着性を発現することができる。そのため、本
発明のエラストマー組成物の成型品を、パッキング用シ
ート、複雑な形状を有する衝撃緩衝材等のように各種の
部材に貼着して使用する際に、成型時に目的形状の簡易
な型を用い直接成型することにより成型品の貼着を行う
ことが可能となり、製品の組み立て工程を大幅に簡略化
することができる。
【0034】成分Dとして利用可能な樹脂組成物および
/またはゴム組成物には特に限定はなく、本発明のエラ
ストマー組成物、特に成分Aに粘接着性を付与でき、か
つエラストマー組成物(成型品)の溶融成型性、耐熱軟
化性、ゴム弾性等の特性を低下させることがない全ての
組成物が利用可能であるが、好ましくは、スチレン・ブ
タジエン(・スチレン)共重合エラストマーあるいはそ
の水素添加物、スチレン・イソプレン(・スチレン)共
重合エラストマーあるいはその水素添加物、軟化点が6
0〜150℃の樹脂状組成物あるいはその水素添加物、
石油系樹脂あるいはその水素添加物、テルペン系樹脂あ
るいはその水素添加物、ロジン系樹脂あるいはその水素
添加物、クマロン・インデン系樹脂あるいはその水素添
加物の1種または2種以上が好適に使用される。
【0035】中でも特に、スチレン・ブタジエン・スチ
レン共重合エラストマーの水素添加物(SEBS)、ス
チレン・イソプレン・スチレン共重合エラストマー(S
IS)およびその水素添加物等が好適に利用される。
【0036】これらの成分Dは、特に記載がない場合で
も軟化点(あるいは軟化温度)が60〜150℃のもの
を使用するのが好ましい。成分Dとして軟化点が60℃
未満のものを用いると、熱可塑性エラストマー組成物が
過度に熱軟化し易くなってしまう場合があり、逆に15
0℃を超えるものを使用すると、200℃以下の温度に
おける溶融流動性が低くなる可能性が高く、成型性に問
題を生じる場合がある。
【0037】本発明のエラストマー組成物において、こ
れらの成分Dを添加する際における添加量は特に限定は
ないが、通常、好ましくは成分A+Bの100重量部に
対して1〜100重量部程度、より好ましくは5〜80
重量部程度である。成分Dの含有量を上記範囲とするこ
とにより、エラストマー組成物(成型品)のゴム弾性、
耐熱軟化特性、溶融流動性等を低下させることなく、良
好な粘接着性を実現できる。
【0038】本発明のエラストマー組成物は、基本的に
上記の各組成より構成されるが、これ以外にも、本発明
の趣旨を損なわない範囲で、加硫促進剤、老化防止剤、
酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料や染料等の着色剤、充
填剤、軟化剤、可塑剤、カーボンブラックやシリカ等の
補強剤等を添加してもよい。
【0039】このような本発明のエラストマー組成物
は、公知の熱可塑性樹脂組成物の製造方法によって製造
可能であるが、以下に好ましい製造方法の一例を示す。
【0040】本発明のエラストマー組成物の製造におい
て、成分A、B、CあるいはさらにDの混練に使用する
機械には特に限定はないが、スクリュー押出機、ニー
ダ、バンバリミキサー、2軸混練押出機等が例示され
る。なかでも成分A(熱可塑性樹脂)と成分B(ゴム組
成物)の混練および成分Bの動的加硫を考慮すると、2
軸混練押出機を使用するのが好ましい。さらに、2種類
以上の混練機を使用し、順次混練してもよい。また、混
練温度は成分Aが溶融する温度以上であればよい。混練
時の剪断速度は2500〜7500 sec-1であるのが好
ましい。混練全体の時間は30秒から10分で、加硫系
を添加した後の加硫時間は15秒から5分程度とするの
が好ましい。
【0041】以下、通常行われる2軸混練機による混練
に基づいて、製造方法の一例をより具体的に例示する。
まず、2軸混練機の第1の投入口より、ペレット状に成
形した成分Aを投入し、2軸スクリューによって混合し
て溶融・加熱する。
【0042】一方、成分Bは、バンバリミキサー等のゴ
ム用混練機を用い、ゴム成分に必要に応じて補強剤、軟
化剤、老化防止剤等を添加して混練した後、加硫系を含
まない、いわゆるマスターバッチとして、ゴム用ロール
等で厚さ2〜2.5mmのシート状に成形し、さらに、こ
のシートをゴム用ペレタイザーでペレット化して調製し
ておく。前述のように、成分Aを2軸混練機で溶融・加
熱した後、このようにあらかじめペレット化した成分B
を2軸混練機の第2の投入口より投入し、成分A中に成
分Bを分散させる。なお、成分Bの添加時には、ステア
リン酸等の加工助剤を併用してもよい。この場合には、
成分Bとステアリン酸等とをバンバリミキサ等によって
混合した後、前述のようにペレット状にして2軸混練機
成分に投入すればよい。
【0043】この後、2軸混練機の第3の投入口より加
硫剤あるいはさらに加硫助剤を投入し、混練下に、成分
Bを加硫(動的加硫)させる。加硫をこのようにして行
うことにより、成分Bを成分Aに十分に分散した状態
で、しかも成分Bが十分に微細な状態のまま加硫を行
い、連続相(マトリックス)をなす成分A中に、分散相
(ドメイン)として少なくとも一部が加硫された成分B
が安定して分散してなる、本発明のエラストマー組成物
を好適に製造することができ、得られたエラストマー組
成物(成型品)の溶融流動性、ゴム弾性等の点で好まし
い結果を得ることができる。
【0044】さらに、2軸混練機の第4の投入口以降よ
り、老化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加混練し、
さらに成分C(ワックス状組成物)を添加混練し、また
用途等に対応して成分D(粘着性付与剤)を添加して混
練して、本発明のエラストマー組成物を得ることができ
る。なお、成分Cおよび/または成分Dの添加時期は上
述の工程最後に限定はされず、成分Aの溶融時や成分B
の添加時等でもよい。
【0045】このようにして得られた本発明のエラスト
マー組成物は、2軸混練押出機でストランド状に押し出
し、樹脂用ペレタイザーでペレット化し、このペレット
を使用して溶融押し出し機構を有する押出機または簡易
型押出機、一般の樹脂用射出成型機や簡易型射出成型機
を使用して、シーティング形状の押出や種々の形状をし
たモールドに押出または射出成型することが可能であ
る。すなわち、本発明のエラストマー組成物は、従来使
用されてきたホットメルト材料の成型に通常使用される
方法で成型加工が可能である。しかも得られた成型品
は、良好な耐熱溶融性およびゴム弾性を有するのは、前
述のとおりである。
【0046】以上、本発明の熱可塑性エラストマー組成
物について詳細に説明したが、本発明は上記構成に限定
はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において各種
の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0047】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
の熱可塑性エラストマー組成物についてより詳細に説明
する。
【0048】下記に示される、成分A、成分B、成分C
および成分D、ならびに加硫系を構成する各配合剤を用
い、以下のようにして、下記表1に示される各種のエラ
ストマー組成物を作製した。まず、成分B(ゴム組成
物)を構成する各配合剤を、密閉式のゴム用バンバリミ
キサに投入して混練し、次いで、ゴム用ロールを用いて
厚さ2.5mmのゴムシート状に成形して、マスターバッ
チを作製した。このマスターバッチのシートをゴム用ペ
レタイザーでペレット化し、成分Bのペレットを作製し
た。一方で、成分A(熱可塑性樹脂)および成分C(ワ
ックス)を2軸混練押出機に投入して、成分Aおよび成
分Cを溶解して混練し、次いで、先にペレット化した成
分Bを投入、混練した後、次いで加硫系および老化防止
剤(ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネ
ート; イルガノックス1010 日本チバガイギー社
製 添加量0.1重量部)を添加して、混練することに
よって、成分Aのマトリックス中にドメインとして分散
される成分Bを動的に加硫した。なお、成分Dを含有す
る例においては、成分Bと共に成分Dを2軸混練押出機
に投入した。なお、表1に示される各成分の配合量は重
量部である。このようにして混合したエラストマー組成
物を2軸混練機からストランド状に押出、さらに樹脂用
ペレタイザーでペレット(直径3mmで長さ3mmの円筒
状)化した。
【0049】なお、表1に示される各成分の軟化温度お
よび溶融温度は、下記のようにして測定した。 [軟化温度]JIS K 7270−1983に定義さ
れる荷重たわみ温度試験法で、4.6kgf/cm2 の一定荷
重下で試験片が変形を開始する温度、すなわち物理的に
熱変形する温度を軟化温度(℃)とした。 [溶融温度]示差走査熱量計(DSC)を用い、昇温速
度10℃/分で測定した際の、吸熱カーブの結晶融解ピ
ーク温度を、溶融温度(℃)とした。
【0050】また、表1に示される各成分は、以下のと
おりである。 [成分A関連] PP; ポリプロポレン樹脂 MA710 昭和電工社
製 EVA; エチレン・酢酸ビニル樹脂 MB−080
日本ユニカー社製 N6; ナイロン6 CM1041 東レ社製
【0051】[成分B関連] EPM−g−MAH; 無水マレイン酸変性エチレン・
プロピレン共重合ゴム タフマーMPO610 三井石油化学社製 EPDM; エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム 三井EPT4070 三井石油化学社製 オイル; パラフィン系オイル サンバー2280 日
本サン石油社製 CB; GPF級カーボンブラック シーストV 東海
カーボン社製
【0052】[成分C関連] ワックス; パラフィンワックス サンタイトR 精工
化学社製 PEワックス; ポリエチレンワックス HI WAX
100P 三井石油化学社製 PPワックス; ポリプロピレンワックス HI WA
X NP055 三井石油化学社製
【0053】[成分D関連] SEBS; スチレン・エチレンブチレン・スチレン共
重合体 タフテックP−073 旭化成社製 SEPS; スチレン・エチレンプロピレン・スチレン
共重合体 セプトン2002 クラレ社製 石油樹脂; 水素添加石油樹脂 エスコレッツ5320
トーネックス社製 テルペン樹脂; 水素添加テルペン樹脂 クリアロンP
−125 ヤスハラケミカル社製 クマロン・インデン樹脂; 水素添加クロマン・インデ
ン樹脂 エスクリスタルA−120S 新日鉄化学 なお、上記成分D関連品の内、石油樹脂、テルペン樹
脂、およびクマロン・インデン樹脂の軟化点は、JIS
K 6220に規定される軟化点を環球式軟化点測定
装置で測定し、球が降下した時の温度を軟化点(℃)と
した。SEBSおよびSEPSの軟化温度は、他の成分
と同様である。
【0054】[加硫系] 加硫系1; ステアリン酸/MDA=1.0/0.6
(=1.6) 加硫系2; ZnO/ステアリン酸/S/PZ/TRA
/TT/CZ=5.0/1.0/0.5/1.0/0.
5/0.5/1.0(=9.5) なお、上記加硫系において、 ステアリン酸; ビーズステアリン酸 日本油脂社製 MDA; メチレンジアニリン スミキュアーM 住友
化学社製 ZnO; 亜鉛華 亜鉛華3号 正同化学社製 S; イオウ 軽井沢精練所製 PZ; Zn−ジメチルジチオカーバメイト ノクセラ
ーPZ 大内新興化学社製 TRA; ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド サンセラーTRA 三新化学工業社製 TT; テトラメチルチウラムジスルフィド ノクセラ
ーTT 大内新興化学社製 CZ; N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾルスル
フェンアミド ノクセラーCZ−G 大内新興化学社製
【0055】前述のようにして得られたエラストマー組
成物のペレットを用い、下記の各種の測定を行った。 [D硬度]前述のようにして得られたエラストマー組成
物のペレットを、プレス成形機を用いて温度200℃、
圧力10kgf/cm2 で2mm厚さに10分間加圧成形し、D
硬度測定用のサンプルを作製した。このサンプルを用
い、JIS K 6301に準拠して硬度(タイプD)
を測定した。なお、柔らかくてD硬度が測定できないサ
ンプル(D硬度が0、すなわち、針がサンプルを貫通す
るもの)に関しては、硬度(タイプA)を測定し、参考
とした(この場合には、表1で「*」を付記する)。
【0056】[軟化温度]D硬度測定用と同様の測定サ
ンプルを用い、JIS K 7210−1983に準拠
して、4.6kgf/cm2 の荷重で熱変形し始める温度
(℃)を測定した。
【0057】[圧縮永久歪]JIS K 6301に準
拠して、D硬度測定サンプルと同様の成型条件で所定形
状のサンプルを作製し、100℃で70時間処理を行
い、25%圧縮時の圧縮永久歪(%)を測定した。
【0058】[溶融流動性試験]前述のようにして得ら
れたエラストマー組成物のペレットを50g計り取り、
100mlのステンレス製容器に入れた。このステンレ
ス製容器を200℃のオーブン中に2時間放置して、放
置後の容器中のペレットの状態を観察し、溶融流動性を
評価した。評価基準は下記のとおりである。 ○; 溶融状態となり、容器の形状に変形しているもの △; 変形しているが、ペレットが判別可能な状態にあ
るもの ×; 変形せず、ペレットが形状を維持しているもの
【0059】また、成分Dを添加したサンプル(および
実施例8)では、以下に示す粘着性の試験も行った。 [粘着性試験]前述のようにして得られたエラストマー
組成物のペレットを50g、200℃で2時間処理した
後、10cm×10cm×2mmのポリプロピレン製(前記M
A710を使用)の板に流下し、その上にセロハン紙を
介して鉄板をのせ、2kgf/cm2の圧力で鉄板を押圧し、
放置して室温まで冷却した。冷却後、鉄板を外し、得ら
れたサンプルをエラストマー組成物を中心として25mm
幅に切断し、剥離用サンプルとした。JIS K 63
01に準拠して、引張試験機を用いて、剥離用サンプル
のポリプロピレン板からエラストマー組成物を25mm/
分の速度で剥離して、剥離力を算出し、粘着性を評価し
た。評価基準は下記のとおりである。 ○; 剥離力2kgf/25mm以上 △; 剥離力0.5〜2kgf/25mm ×; 剥離力0.5kgf/25mm未満 以上の結果を、下記表1に併記する。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】[比較例1および2]比較例1は、成分A
(熱可塑性樹脂)の軟化温度が84℃と低いため、熱可
塑性エラストマーの軟化温度も86℃と低く、また圧縮
永久歪が100%と悪く、実用に供することは困難であ
る。また、比較例2は、成分Aの軟化温度が235℃と
高いため、十分な溶融流動性を得ることができないこと
がわかる。
【0063】[比較例3および4、実施例1および2]
比較例3および4は、共に成分Aの軟化温度および溶融
温度は満足するが、比較例3は成分C(ワックス)を配
合しないため、十分な溶融流動性を得ることができず、
また比較例4は成分Cの溶融温度が60℃と低いため、
軟化温度および圧縮永久歪が悪く、実用に供することは
困難である。これに対し、本発明品である実施例1およ
び2は、比較例3に溶融温度が100℃以上の成分Cを
添加しているため、D硬度は25度と十分な柔軟性を有
し、軟化温度は100℃以上、圧縮永久歪60%と十分
実用に耐える上に、200℃での十分な溶融流動性を有
していることがわかる。
【0064】[比較例5および6、実施例3〜5]比較
例5は成分Aが過多であるため成分Bのゴム弾性への寄
与が少なく、成形品のD硬度が70と高く、十分な柔軟
性を示さない。すなわち、成分A/成分Bの組成比が9
5/5では不適であることがわかる。他方、比較例6は
成分Bが過多であるため、成分Aをマトリックスとして
成分Bがドメインとなるような混練が不可能であり、従
って、成分A/成分B=10/90未満では熱可塑性エ
ラストマーを製造し得ないことがわかる。これに比し
て、適正量比の配合である実施例3、4および5におい
ては、前述の実施例1および2と同様、D硬度、軟化温
度、圧縮永久歪、溶融流動性のいずれの特性も優れてい
る。
【0065】[比較例7および8、実施例6〜8]比較
例7は、成分AとBの合計100重量部に対して1重量
部と成分Cが過少であるため、溶融流動性を示さないこ
とがわかる。比較例8は、溶融流動性は良好であるもの
の、成分AとBの合計100重量部に対して120重量
部と成分Cが過多であるため、成形品のD硬度が60と
高く、圧縮永久歪も不良でゴム弾性が悪い。これに比し
て、適正量比の配合である実施例6,7および8におい
ては、前述の実施例1および2と同様、D硬度、軟化温
度、圧縮永久歪、溶融流動性のいずれの特性も優れてい
る。
【0066】[比較例9および10、実施例9および1
0]比較例3および4、実施例1および2と成分Bの異
なる系における、成分Cの添加効果を示すものであり、
比較例3および4、実施例1および2とほぼ同様の結果
が得られている。
【0067】[実施例11および12]成分Bにカーボ
ンブラックを配合した例であり、カーボンブラックを配
合した系においても、本発明によれば、前述の実施例1
および2と同様、D硬度、軟化温度、圧縮永久歪、溶融
流動性のいずれの特性にも優れるエラストマーを実現で
きることがわかる。
【0068】[実施例13〜17]成分Dの添加効果を
示すものであり、実施例9の配合に成分Dを添加したも
のである。なお、参考として、実施例9でも同様の粘着
性試験を行った。実施例13〜17に示されるように、
成分Dを添加することにより、ポリプロピレン板への粘
着性を良好に改善することができ、これを生かした各種
の用途に有効な熱可塑性エラストマーを得ることができ
る。以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
【0069】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
熱可塑性エラストマー組成物は、100℃以上の熱時で
あっても良好なゴム弾性、耐熱軟化性を有する成型品を
得ることができ、しかも、溶融成型では比較的低温の2
00℃以下でも優れた溶融流動性を有し、微細な形状加
工であっても極めて良好な加工性で押出成型や射出成型
等の溶融成型を行うことができるので、一般的に利用さ
れる樹脂用の押出成型機や簡易押出機を使用したシート
形状の押し出し、種々の形状のモールドへの押出成型や
射出成型が可能であり、各種の用途に好適に利用するこ
とができる。また、上記組成に加え、さらに粘着性付与
剤を添加することにより、本発明の熱可塑性エラストマ
ー組成物は、上記特性に加え、溶融時粘着性および接着
性を発揮することができ、成型時に目的物上に直接成型
することにより成型品の貼着を行うことが可能となり、
製品の組み立て工程を大幅に簡略化することができ、押
出機や簡易な押出機によるシート部材や型成型、特に簡
易型成型による各種のホットメルト用シール部材等の用
途に好適に利用可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒 木 公 範 神奈川県平塚市追分2番1号 横浜ゴム株 式会社平塚製造所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記成分A、BおよびC 成分A: 軟化温度が100℃以上で、かつ溶融温度が
    200℃以下の熱可塑性樹脂組成物 成分B: 少なくとも一部が加硫されたゴム組成物 成分C: 溶融温度が100℃以上のワックス状組成物 を含有し、前記成分A/成分Bの重量組成比が10/9
    0〜90/10、前記成分Cの含有量が成分Aと成分B
    との合計100重量部に対して3〜90重量部であり、
    さらに、前記成分BおよびCの少なくとも一部が前記成
    分Aに分散されてなることを特徴とする熱可塑性エラス
    トマー組成物。
  2. 【請求項2】前記成分Aがポリオレフィン系樹脂材料、
    前記成分Bがエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物お
    よび/またはエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム
    組成物、前記成分Cが低分子量ポリオレフィンである請
    求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 【請求項3】前記成分A、BおよびCに加え、さらに前
    記成分Aの溶融時に粘接着性を付与する樹脂組成物およ
    び/またはゴム組成物を成分Dとして含有する請求項1
    または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 【請求項4】前記成分Dが、スチレン・ブタジエン(・
    スチレン)共重合エラストマーあるいはその水素添加
    物、スチレン・イソプレン(・スチレン)共重合エラス
    トマーあるいはその水素添加物、軟化点が60〜150
    ℃の樹脂状組成物あるいはその水素化物、石油系樹脂あ
    るいはその水素添加物、テルペン系樹脂あるいはその水
    素添加物、ロジン系樹脂あるいはその水素添加物、クマ
    ロン・インデン系樹脂あるいはその水素添加物からなる
    群より選ばれた一種以上である請求項3に記載の熱可塑
    性エラストマー組成物。
JP7115896A 1995-05-15 1995-05-15 熱可塑性エラストマー組成物 Withdrawn JPH08302111A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7115896A JPH08302111A (ja) 1995-05-15 1995-05-15 熱可塑性エラストマー組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7115896A JPH08302111A (ja) 1995-05-15 1995-05-15 熱可塑性エラストマー組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08302111A true JPH08302111A (ja) 1996-11-19

Family

ID=14673888

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7115896A Withdrawn JPH08302111A (ja) 1995-05-15 1995-05-15 熱可塑性エラストマー組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08302111A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004052868A (ja) * 2002-07-18 2004-02-19 Nok Corp ガスケット材料および二部材間の密封構造
JP2008174760A (ja) * 2002-01-17 2008-07-31 Riken Technos Corp 熱可塑性エラストマー組成物
JP2012153775A (ja) * 2011-01-25 2012-08-16 Mitsui Chemicals Inc フィルム、前記フィルムの製造方法及びそれを用いたledパッケージの製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008174760A (ja) * 2002-01-17 2008-07-31 Riken Technos Corp 熱可塑性エラストマー組成物
JP2004052868A (ja) * 2002-07-18 2004-02-19 Nok Corp ガスケット材料および二部材間の密封構造
JP4655446B2 (ja) * 2002-07-18 2011-03-23 Nok株式会社 ガスケット材料および二部材間の密封構造
JP2012153775A (ja) * 2011-01-25 2012-08-16 Mitsui Chemicals Inc フィルム、前記フィルムの製造方法及びそれを用いたledパッケージの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5763221B2 (ja) エチレン−ビニルアルコール系熱可塑性エラストマーおよび加硫物
EP0753027B1 (en) Thermoplastic elastomers having improved surface properties
KR100419949B1 (ko) 열가소성탄성중합체조성물
JP6294948B2 (ja) 動的加硫アロイ
EP0376558B1 (en) Air impermeable containers
JP6112374B2 (ja) 動的加硫アロイの製造方法
JP5789876B2 (ja) 熱可塑性弾性組成物
JP6215208B2 (ja) ハロゲンを含まない熱可塑性樹脂エラストマー組成物の連続製造方法
US6187867B1 (en) Hydrogenated nitrile rubber compositions containing thermoplastic polyolefins
CN107849325B (zh) 弹性体组合物及其在制品中的应用
JP2001059057A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物およびそれを用いたスピーカ
JPH08302111A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JPH1036569A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JPH08311350A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法
JP2000079928A (ja) 燃料タンク
JPH10292067A (ja) 流動性を改良した熱可塑性エラストマー組成物とその製造方法
JPH08311251A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
JPH0945106A (ja) ランプ構造体およびその製造方法
JPH08329701A (ja) ランプ構造体およびその製造方法
JP4466131B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JPH08338179A (ja) 窓枠構造体およびその製造方法
JPH10279696A (ja) 流動性を改良した熱可塑性エラストマー組成物とその製造方法
TW201329152A (zh) 無鹵熱塑性彈性體之連續製造方法
JPH0941829A (ja) 窓枠構造体およびその製造方法
JPS63159457A (ja) オレフイン系熱可塑性エラストマ−

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20020806