JPH08300478A - 被覆発泡樹脂チューブの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 絞模様の鮮明度の低下や絞むらの発生を防止
して、絞模様を連続的かつ安定的に付与することができ
る被覆発泡樹脂チューブの製造方法を提供する。 【構成】 複数の絞ロール１１により表面フィルム付き
発泡チューブ５を吸引すると同時に、複数の絞ロール１
１を表面フィルム付き発泡チューブ５に押し付け、絞ロ
ール１１の絞模様１２を表面フィルムに転写する工程を
含むものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、被覆発泡樹脂チューブ
の表面に複数の絞ロールを用いて絞付け加工を行なう被
覆発泡樹脂チューブの製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、空調機などの配管を保護するた
めに、高架橋発泡ポリエチレンなどの発泡樹脂からなる
チューブ成形品が提案されている。チューブ成形品で
は、曲げ施工時に曲げじわが生じるのを防止し、あるい
はしわを吸収して目立たないようにするため、さらには
施工時の引っ張りや角との擦れによってチューブが破れ
たり傷付いたりするのを防止するため、絞模様付きの製
品が要求されている。

【０００３】そこで、エンボス加工を施した発泡樹脂シ
ートあるいはエンボス加工を施した表面フィルム付き発
泡樹脂シートからチューブを成形する方法あるいは押出
発泡チューブの表面にエンボス加工を施した発泡樹脂シ
ートまたはエンボス加工を施した表面フィルム付き発泡
樹脂シートを被覆成形する方法が採用されている。しか
し、発泡樹脂シートをチュービングする場合、表面に合
わせ目（シース）ができるため、強度が低下したり、押
出発泡チューブに絞付き発泡樹脂シートを被覆する場合
では、押出発泡チューブと絞付き発泡樹脂シートとを完
全に一致させて貼り合わせることが難しいため、押出発
泡チューブと絞付き発泡樹脂シートとのシース部分にず
れが生じたり、未接着（すき間）が発生するという欠点
がある。

【０００４】従来、かかる欠点を解消するため、表面に
フィルムを被覆してなる被覆発泡樹脂チューブを、その
外径よりもやや小さい直径の円を２以上の弧に分割した
断面形状のロール面に絞模様を形成してなる２個以上の
絞ロールによって押出す絞模様付け加工方法が、たとえ
ば特開平３−２０７６３９号公報に開示されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前述した絞
模様付け加工方法においては、次のような問題点がある
ことが本発明者により見い出された。すなわち、絞ロー
ル間のすき間、すなわち被覆発泡樹脂チューブが入るク
リアランスが一定であるため、表面にフィルムを被覆し
てなる被覆発泡樹脂チューブの外径が変化したりする
と、絞模様の鮮明度が低下したり、絞むらが発生し、被
覆発泡樹脂チューブの連続成形が困難になる。

【０００６】本発明の目的は、前述した問題点に鑑み、
絞模様の鮮明度の低下や絞むらの発生を防止して、絞模
様を連続的かつ安定的に付与することができる被覆発泡
樹脂チューブの製造方法を提供することにある。本発明
の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書
の記述および添付図面から明らかになるであろう。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明の概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
本発明は、発泡チューブに表面フィルムを被覆し、複数
の絞ロールによって前記表面フィルムに絞付け加工を行
なう被覆発泡樹脂チューブの製造方法において、前記複
数の絞ロールにより前記表面フィルムが被覆された前記
発泡チューブを吸引すると同時に、前記複数の絞ロール
を前記表面フィルムに押し付け、前記絞ロールの絞模様
を前記表面フィルムに転写するものである。

【０００８】

【作 用】前述した手段によれば、複数の絞ロールによ
り表面フィルムが被覆された発泡チューブを吸引すると
同時に、複数の絞ロールを表面フィルムに押し付けるの
で、被覆発泡樹脂チューブの外径変動があっても、絞ロ
ールによる適度な押し付けと絞ロールの絞模様面からの
吸引とによって、被覆発泡樹脂チューブの外径変動が吸
収される。

【０００９】また、絞ロールの絞模様面からの吸引を行
なうことにより、絞ロールの絞模様の凹凸の谷部への被
覆発泡樹脂チューブの密着性が向上する。さらに、絞ロ
ールの適度な押し付けと吸引とを併用したことにより、
過度な押し付け成形のために発生していた被覆発泡樹脂
チューブの内径の縮小化、ばらつきおよび変形が防止さ
れる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１〜図５に基づ
いて詳細に説明する。ここで、図１は本発明の一実施例
に係る被覆発泡樹脂チューブの製造装置の概略構成図、
図２は本発明の一実施例に係る絞付け加工機の絞ロール
の配置図、図３は本発明の一実施例に係る絞ロールの斜
視図、図４は図３のＡ−Ａ要部断面図、図５は図３のＢ
−Ｂ断面図である。また、実施例を説明するための全図
において同一の機能を有するものは同一の符号を付け、
その繰り返しの説明は省略する。

【００１１】図１において、被覆発泡樹脂チューブの製
造方法は、まず、ハロゲン化炭化水素を発泡剤として、
発泡倍率が２０倍〜４０倍、たとえば３０倍に発泡させ
た押出し架橋発泡ポリエチレンチューブ（以下、発泡チ
ューブという）１を加熱装置２により、１２０℃〜１４
０℃位に加熱して、その表面を軟化溶融する。その後、
押出機３より、図示しない線状低密度ポリエチレンフィ
ルム（以下、表面フィルムという）を押し出し、被覆金
型４によって、表面フィルムを発泡チューブ１の外周面
に約１００μｍ厚被覆し、表面フィルム付き発泡チュー
ブ５を得る。

【００１２】次に、絞付け加工機６の後述する複数の絞
ロールにより、表面フィルム付き発泡チューブ５を２０
ｍｍＨｇの吸引力で吸引すると同時に、複数の絞ロール
を表面フィルムに押し付け、表面フィルムに絞ロールの
絞模様を転写する。その後、冷却装置７によって表面フ
ィルムを冷却し、絞流れを防止する。これにより、被覆
発泡樹脂チューブ８が成形され、被覆発泡樹脂チューブ
８は一対のガイドローラー９によって案内され、巻取機
１０に連続して巻取られる。

【００１３】絞付け加工機６は、図２に示すように、四
方に配置された４個の絞ロール１１と、各絞ロール１１
を矢印方向に回転させる図示しない駆動装置と、図示し
ない真空ポンプとを備えている。絞ロール１１は外径
が、たとえば１５０ｍｍで、外周面は表面フィルム付き
発泡チューブ５の外周に対応したＵ字形の溝を有し、溝
内面には凹凸状の絞模様１２が形成され、図３〜図５に
示すように、多数の吸引孔１３が穿設されている。

【００１４】絞ロール１１の回転軸１４の内部には、ベ
アリング１５と、気密性を高めるためのオイルシール
（またはＯリング）１６とを介して、真空ポンプに接続
した吸引管１７が挿通され、回転軸１４の外周面には駆
動装置に連結部材を介して連結される駆動プーリー１８
が固着されている。また、絞ロール１１内の吸引管１７
の外壁には、吸引口１７ａが開口され、吸引口１７ａ
は、絞ロール１１面の表面フィルム付き発泡チューブ５
に接触しない部分からの吸引もれを防ぎ、吸引効率を上
げるため、吸引孔１３に接触するように突出して形成さ
れている。さらに、吸引管１７は回転しないようにし
て、常に表面フィルム付き発泡チューブ５との接触面が
吸引できるようにしている。なお、図中、１９はパーテ
ィクルバリ押さえロールを示す。

【００１５】〔比較例〕複数の絞ロールを表面フィルム
付き発泡チューブに押し付け、表面フィルムに絞模様を
転写し、絞模様付きの被覆発泡樹脂チューブを得た。こ
の場合、絞ロールによる表面フィルム付き発泡チューブ
の吸引は行なわなかった。ここで、実施例および比較例
の被覆発泡樹脂チューブの評価を行なった。評価結果を
次表に示す。

【００１６】

【表１】

【００１７】ただし、表中、絞模様の鮮明性の欄におい
て、○は被覆発泡樹脂チューブの絞模様の山および谷部
の角度が鋭角に視認された場合、×は山および谷部の角
度が鈍角に視認された場合であり、絞模様むらの欄にお
いて、○は被覆発泡樹脂チューブの円周方向全てにおい
て、長手方向１０ｍの中に絞模様の不鮮明部分（鈍角）
がない場合、×は被覆発泡樹脂チューブの長手方向１０
ｍの中に絞模様の不鮮明部分（鈍角）がある場合を示
す。

【００１８】このように、本実施例では、上表からも明
らかなように、複数の絞ロール１１により表面フィルム
付き発泡チューブ５を吸引すると同時に、複数の絞ロー
ル１１を表面フィルムに押し付けるので、表面フィルム
付き発泡チューブ５の外径変動があっても、絞ロール１
１による適度な押し付けおよび絞ロール１１の絞模様面
からの吸引によって、表面フィルム付き発泡チューブ５
の外径変動が吸収され、表面フィルムに転写される絞模
様にむらは生じない。

【００１９】また、絞ロール１１の絞模様面からの吸引
を行なうことにより、絞ロール１１の絞模様１２の凹凸
の谷部への表面フィルム付き発泡チューブ５の密着性が
向上し、表面フィルムに転写される絞模様の鮮明度が向
上する。また、絞ロール１１の適度な押し付けと吸引と
を併用することにより、過度な押し付け成形による表面
フィルム付き発泡チューブ５の内径の縮小化、ばらつき
および変形が防止される。

【００２０】以上、本発明者によってなされた発明を、
実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実
施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない
範囲で、種々変更可能であることは、言うまでもない。
吸引孔１３は絞ロール１１における絞模様１２の山部、
谷部あるいは傾斜部のどの部分に穿設してもよい。ま
た、吸引孔１３の数および径は特に限定しないが、表面
フィルム付き発泡チューブ５の絞模様に吸引孔１３の孔
模様が残ったり、あるいは絞模様のシャープさが欠如す
るようになったりすることを考慮すると、小さい孔を数
多く開けるのがよい。望ましくは絞模様１個に対して１
個以上で１．０ｍｍ以下の径がよい。さらに、吸引孔１
３を開けた絞ロール１１に代えて、通気性のあるセラミ
ック絞ロールや焼結金属絞ロールを用いてもよい。

【００２１】

【発明の効果】本願によって開示される発明によって得
られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
本発明によれば、複数の絞ロールにより表面フィルムが
被覆された発泡チューブを吸引すると同時に、複数の絞
ロールを表面フィルムに押し付けるので、被覆発泡樹脂
チューブの外径変動が吸収される。よって、絞むらの発
生を防止することができる。

【００２２】また、絞ロールの絞模様の凹凸の谷部への
被覆発泡樹脂チューブの密着性が向上する。よって、表
面フィルムに転写される絞模様の鮮明度を向上すること
ができる。さらに、過度な押し付け成形のために発生し
ていた被覆発泡樹脂チューブの内径の縮小化、ばらつき
および変形を防止することができる。従って、絞模様付
き被覆発泡樹脂チューブをトラブルなく連続して安定的
に成形することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例である被覆発泡樹脂チューブ
の製造装置の概略構成図。

【図２】本発明の一実施例である絞付け加工機の絞ロー
ルの配置図。

【図３】本発明の一実施例である絞ロールの斜視図。

【図４】図３のＡ−Ａ要部断面図。

【図５】図３のＢ−Ｂ断面図。

【符号の説明】 １…発泡チューブ ２…加熱装置 ３…押出機 ４…被覆金型 ５…表面フィルム付発泡チューブ ６…絞付け加工機 ７…冷却装置 ８…被覆発泡樹脂チューブ ９…ガイドローラー １０…巻取機 １１…絞ロール １２…絞模様 １３…吸引孔 １４…回転軸 １５…ベアリング １６…オイルシール １７…吸引管 １７ａ…吸引口 １８…駆動プーリー １９…パーティクルバリ押さえロール

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ２９Ｌ 9:00 23:00

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 発泡チューブに表面フィルムを被覆し、
   複数の絞ロールによって前記表面フィルムに絞付け加工
   を行なう被覆発泡樹脂チューブの製造方法において、前
   記複数の絞ロールにより前記表面フィルムが被覆された
   前記発泡チューブを吸引すると同時に、前記複数の絞ロ
   ールを前記表面フィルムに押し付け、前記絞ロールの絞
   模様を前記表面フィルムに転写する工程を含むことを特
   徴とする被覆発泡樹脂チューブの製造方法。