JPH08298996A - D−ソルビトールの測定方法およびその測定用キット - Google Patents

D−ソルビトールの測定方法およびその測定用キット

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JPH08298996A
JPH08298996A JP7135787A JP13578795A JPH08298996A JP H08298996 A JPH08298996 A JP H08298996A JP 7135787 A JP7135787 A JP 7135787A JP 13578795 A JP13578795 A JP 13578795A JP H08298996 A JPH08298996 A JP H08298996A
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増田  稔
Masahiko Yabuuchi
正彦 藪内
Keigo Komura
啓悟 小村
Hidesato Okamoto
英里 岡本
Taizo Nakagawa
泰三 中川
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Ikeda Shokken KK
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Nippon Kayaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】糖尿病、腎不全などの診断に有用な簡便で特異
的なD−ソルビトールの測定方法およびその測定用キッ
トを提供する。 【構成】検体に、D−グルコースを消去する前処理を施
した後、D−ソルビトールを酸化し得る酵素を作用さ
せ、該酵素反応によるD−ソルビトールの酸化で生成し
たD−グルコースに特異性の高い酵素などを作用させて
該グルコースを検出する特異的なD−ソルビトールの測
定方法およびその測定用キット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、簡便で特異的なD−ソ
ルビトールの測定方法およびその測定用キットに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、D−ソルビトールの測定方法に
は、ソルビトール脱水素酵素(EC 1.1.1.14) を使用し、
D−ソルビトールの脱水素反応によってD−フルクトー
スを生成させ、このD−フルクトースの6位をヘキソキ
ナーゼ(EC 2.7.1.1)でリン酸化し、生成したD−フルク
トース−6−リン酸をグルコース−6−リン酸イソメラ
ーゼ(EC 5.3.1.9)でD−グルコース−6−リン酸に異性
化し、このD−グルコース−6−リン酸のグルコース−
6−リン酸脱水素酵素(EC 1.1.1.49) による脱水素反応
によって生成した補酵素NADPの還元体であるNAD
PHの吸光度を測定する方法(ベーリンガー社のキッ
ト) が知られている。
【0003】また、ソルビトール脱水素酵素(EC 1.1.1.
14) を使用し、D−ソルビトールの脱水素反によって生
成した補酵素NADの還元体であるNADHの蛍光強度
を測定する方法(Clin. Chem.34 2327 (1988)、特開平6
−109726) 、ソルビトール脱水素酵素(EC 1.1.1.
14) を使用し、この酵素の補酵素であるNADHとチオ
−NADの共存下にD−ソルビトールの脱水素反応と逆
反応のD−フルクトースの還元反応を行い、この酵素サ
イクリング反応によって生成したチオ−NADの還元体
であるチオ−NADHの吸光度を測定する方法(特開平
4−349897)等が知られている。
【0004】更に、ソルビトール脱水素酵素(特開昭5
6−29994)を使用し、電子伝達体の1−メトキシ
−5−フェナゾリウムメチルサルフェイト(1−MPM
S)と還元発色性色素のテトラゾリウム塩の存在下にD
−ソルビトールの脱水素反応を行い、この反応によって
生成したホルマザン色素の吸光度を測定する方法(特開
平6−189790)が知られている。
【0005】また、ソルビトール脱水素酵素(特開昭5
6−29994)を使用し、1−MPMSの存在下にD
−ソルビトールの脱水素反応を行い、この反応によって
生成した過酸化水素を、ペルオキシダーゼを使用する各
種検出法で測定する方法(特開平6−209793)、
ソルビトール酸化酵素(特開平6−169764)を使
用し、酸素の存在下にD−ソルビトールを酸化し、この
反応によって生成した過酸化水素を、ペルオキシダーゼ
を使用する各種検出法で、測定する方法(特開平6−1
69764)等が知られてる。
【0006】しかしながら、D−ソルビトールの2位を
酸化してD−フルクトースを生成させるソルビトール脱
水素酵素(EC 1.1.1.14)やD−ソルビトールの1位を酸
化してD−グルコースを生成させるソルビトール酸化酵
素(特開平6−169764)を使用する何れの測定法
においても、それぞれの酵素の基質特異性が悪いことか
ら、D−ソルビトールの測定値の信頼性には疑問があ
る。従って、これらの測定法の対象とする検体としては
D−ソルビトールの含有量が多く且つ干渉する成分の含
有量が少ない食品や赤血球などに限定されている。
【0007】一方、酢酸菌の細胞膜由来であり、D−ソ
ルビトールの5位を酸化してL−ソルボースを生成させ
るソルビトール脱水素酵素(特開昭56−29994)
を使用するD−ソルビトールの測定法においては、D−
ソルビトールに対する特異性が高いとは言え、熱安定性
に問題があり、診断薬を開発する上で、実用的ではなか
った。この様に、ソルビトールの含有量が少なく、測定
に干渉する基質成分が相対的に多い血清や血漿につい
て、酵素法で正確に測定できたとの報告は未だにない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、本発明の目的は、複雑な前処
理操作を必要とせず、汎用型の自動生化学測定装置にも
対応可能であり、簡便で特異性の高いD−ソルビトール
の測定法の提供に存する。また、本発明の他の目的は、
腎不全、糖尿病などの診断に利用できるD−ソルビトー
ルの測定用キットの提供に存する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の問
題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、D−ソルビト
ールを酸化してD−グルコースを生成する酸化酵素が、
効率よくD−ソルビトールを酸化して定量的にD−グル
コースを生成すること、この反応によって生成したD−
グルコースをD−グルコースの検出系と組み合わせ、更
に特定の前処理と組み合わせることにより、D−ソルビ
トールに対して極めて特異性の高い測定系になることを
見いだし、本発明に至ったものである。
【0010】すなわち、本発明の第1の要旨は、D−ソ
ルビトールとD−グルコースを含有する検体に、D−グ
ルコースを消去する前処理を施した後、D−ソルビトー
ルを酸化してD−グルコースを生成させる酸化酵素を作
用させ、該酵素反応によるD−ソルビトールの酸化で生
成したD−グルコースを検出することにより、検体中の
D−ソルビトールを特異的に測定する方法に関する。
【0011】本発明の第2の要旨は、D−ソルビトール
を酸化してD−グルコースを生成する酸化酵素がソルビ
トールオキシダーゼ、キシリトールオキシダーゼ又はマ
ンニトールオキシダーゼであるD−ソルビトールの測定
方法に関する。
【0012】本発明の第3の要旨は、D−グルコースを
消去する前処理の方法およびD−グルコースを検出する
方法がグルコースオキシダーゼ、ピラノースオキシダー
ゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ又はグルコース−6−
ホスフェートデヒドロゲナーゼを使用するD−ソルビト
ールの測定方法に関する。
【0013】本発明の第4の要旨は、D−グルコースを
消去する前処理剤、D−ソルビトールを酸化してD−グ
ルコースを生成させる酸化酵素およびD−グルコース検
出試薬を含有するD−ソルビトール測定用キットに関す
る。
【0014】更に、本発明の第5の要旨は、D−グルコ
ース消去用前処理とD−ソルビトール検出試薬に同一酵
素を使用するD−ソルビトール測定用キットに関にす
る。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。本発明
で、D−ソルビトール測定の対象となる検体とは、D−
ソルビトールの測定を必要とするものであれば特に制限
されない。例えば、D−ソルビトールとD−グルコース
を含有する生体試料、食品、それらの抽出液や各種の処
理液などが挙げられる。また、D−ソルビトールは、腎
不全や糖尿病の診断指標として期待されており、生体試
料としては、赤血球、血漿、血清、組織の抽出液、尿な
どが有用である。
【0016】本発明で使用されるD−ソルビトールを酸
化してD−グルコースを生成させる酸化酵素としては、
D−ソルビトールの1位を酸化してD−グルコースを生
成させる能力のある酵素であれば特に制限されない。
【0017】アルコール基を酸化する酵素は、電子受容
体の種類により、(1) ニコチンアミドアデニンジヌクレ
オチド(NAD+ )又はニコチンアミドアデニンジヌク
レオチドホスフェート(NADP+ )を電子受容体とす
るもの、(2) シトクロムを電子受容体とするもの、(3)
酸素を電子受容体とするもの、(4) その他に分類(酵素
ハンドブック:丸尾文治、田宮信雄監修;朝倉書店)さ
れているが、D−ソルビトールからD−グルコースを生
成させる能力があれば、何れのものであってもよい。
【0018】例えば、酸素を電子受容体とする酸化酵素
としては、キサントモナスに属する微生物由来のソルビ
トールオキシダーゼ(特開平6−169764)、スト
レプトミセスに属する微生物由来のキシリトールオキシ
ダーゼ(例えば、工業技術院生命工学工業技研究所寄託
番号FERM P−14339由来のキシリトールオキ
シダーゼ)、蝸牛由来のマンニトールオキシダーゼ(In
t. J. Biochem. 18 337-344(1986)) 等が挙げられる。
【0019】下記に本発明で使用できるストレプトミセ
スに属する微生物由来のキシリトールオキシダーゼ(F
ERM P−14339由来のキシリトールオキシダー
ゼ)の一例を示す。
【0020】
【表1】 (1) 作用 :酸素の存在下、キシリト
ール及びD−ソルビトールを酸化し、過酸化水素、D−
キシロース及びD−グルコースを生成する。 (2) 基質特異性 :D−ソルビトール、キシ
リトール、D−ガラクチトール等に強く作用し、D−マ
ンニトール、D−アラビニトール等にも作用する。 (3) 至適 pH 及び pH 安定性:至適 pH は7.5付近で
あり、安定 pH 範囲は5.5〜10.5である。 (4) 至適温度および熱安定性:至適温度は55℃付近で
あり、 pH 7.5で30分間の処理では、65℃まで安
定である。 (5) 阻害剤 :塩化銅、塩化水銀、硝酸
銀等で強く阻害される。 (6) 分子量 :ゲル濾過法で測定した分
子量は約43,000であり、ドデシル硫酸ナトリウム
−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定した分子量
も約43,000である。
【0021】本発明で使用されるD−グルコースを検出
する方法としては、実質的にD−グルコースに特異性が
高い検出方法であれば何れの方法であってもよく、公知
の化学的な方法から生化学的な方法まで幅広く包含し、
特に制限されるものではない。特に好ましくは、D−グ
ルコースに対して特異性に優れ、汎用型の自動生化学測
定装置に適用可能な、酵素を使用するD−グルコースの
検出法がある。
【0022】この酵素を使用するD−グルコースの検出
法としては、血糖測定用試薬として販売されている既存
の方法がそのまま利用できる。具体例としては、グル
コースオキシダーゼ(GOD:EC 1.1.3.4)を使用して
D−グルコースを酸化し、その反応で生成した過酸化水
素を比色法で検出する方法、ピラノースオキシダーゼ
(PROD:EC 1.1.3.10)を使用してD−グルコースを
酸化し、その反応で生成した過酸化水素を比色法で検出
する方法などが知られている。
【0023】また、グルコースデヒドロゲナーゼ(G
DH:EC 1.1.1.47 )を使用し、補酵素NAD+ 又はN
ADP+ 〔NAD(P)と略す〕の存在下にD−グルコ
ースを脱水素反応し、その反応で生成した補酵素の還元
体であるNADH又はNADPH〔NAD(P)Hと略
す〕の吸光度を比色法で検出する方法などが知られてい
る。
【0024】更に、アデノシントリホスフェ−ト(A
TP)の存在下、ヘキソキナーゼ(HK:EC 2.7.1.1)
又はグルコキナーゼ(GK:EC 2.7.1.2)でD−グルコ
ースをリン酸化し、生成したD−グルコース−6−リン
酸を補酵素NADP+ の存在下にグルコース−6−ホス
フェートデヒドロゲナーゼ(G6PDH:EC 1.1.1.49)
を使用して脱水素反応し、その反応により生成した補酵
素の還元体であるNADPHの吸光度を比色法で検出す
る方法などが知られている。
【0025】さらに詳しくは、酵素を使用してD−グル
コースを検出する方法においては、前記の酵素反応また
は酵素反応系を使用して、電子受容体をD−グルコース
の存在量を検出し易い中間物質、例えば、過酸化水素や
補酵素の還元体へ酵素的に変換し、最終的には、これら
の中間物質を安定かつ高感度に検出することによって実
施され得る。この中間物質が過酸化水素の場合は、過酸
化水素の検出法として知られている比色法、蛍光法、化
学発光法、電極法などが使用できる。
【0026】比色法では、ペルオキシダーゼ等の触媒に
より、過酸化水素でペルオキシダーゼの基質を酸化発色
させ、発色濃度を分光光度計で測定する。ペルオキシダ
ーゼの基質としては、0−フェニレンジアミン、5−ア
ミノサリチル酸、3,3’,5,5’−テトラメチルベ
ンジジン等の芳香属アミン系の物質、トリンダー系試薬
と称するフェノール、3−ヒドロキシ−2,4,6−ト
リヨード安息香酸などのフェノール系の物質やN−エチ
ル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m
−トルイジン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3
−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン等の
アニリン系の物質と4−アミノアンチピリンの組み合わ
せ等が利用できる。
【0027】更に、2,2’−アジノビス(3−エチル
ベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)、10(メチルア
ミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−
フェノチアジン、10(カルボキシメチルアミノカルボ
ニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−フェノチア
ジン、ビス〔3−ビス(4−クロロフェニル)メチル−
4−ジメチル−アミノフェニル〕アミン等の過酸化水素
検出用の高感度基質とされる物質などが利用できる。
【0028】蛍光法では、ペルオキシダーゼ等の触媒に
より、過酸化水素で基質を酸化して蛍光物質を生成さ
せ、その蛍光強度を蛍光光度計で測定する。ペルオキシ
ダーゼの基質としては、p−ヒドロキシフェニル酢酸、
p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸などが利用でき
る。化学発光法では、ペルオキシダーゼ等の触媒によ
り、過酸化水素で基質を酸化して発光させ、その発光強
度をルミノメーターで測定する。化学発光する基質とし
ては、ルミノール化合物、ルシゲニン、アリルシュウ酸
エステル類の化合物などが利用できる。
【0029】中間物質が補酵素NAD+ 、NADP+
チオ−NAD+ 、チオ−NADP+等の還元体であるN
ADH、NADPH、チオ−NADH、チオ−NADP
H等の場合は、これら補酵素の還元体の検出法として公
知の方法が利用できる。例えば、補酵素の還元体の吸
光度や蛍光強度を、直接測定する方法、酵素のジアホ
ラーゼ又は電子伝達体の1−MPMS等を使用し、補酵
素の還元体であるNADH、NADPH、チオ−NAD
H、チオ−NADPH等と還元発色性色素の各種テトラ
ゾリウム塩類とを反応させ、この反応によって生成する
ホルマザン色素の吸光度を測定する方法がある。
【0030】また、脱水素酵素を使用し、補酵素とし
てNAD(P)Hとチオ−NAD(P)の共存下、この
酵素のチオ−NAD(P)による脱水素反応とNAD
(P)Hによるこの逆反応の還元反応をサイクルさせ、
この酵素の基質を介する酵素サイクリング反応によって
生成するチオ−NAD(P)の還元体であるチオ−NA
D(P)Hの吸光度を測定する方法などがある。
【0031】更に、補酵素の還元体の酸化酵素または
電子伝達体の1−MPMS等によって補酵素の還元体で
あるNADH、NADPH、チオ−NADH、チオ−N
ADPH等を酸化し、この時発生する過酸化水素を、前
記の過酸化水素の検出法で検出する方法がある。
【0032】本発明で使用されるD−グルコースを消去
する前処理とは、D−ソルビトールの検出を妨害する内
因性のD−グルコースを消去する方法である。D−グル
コースの消去法としては、前記のD−ソルビトールの検
出を妨害しない方法であれば何でもよく、D−グルコー
スを除去する方法と、D−グルコースを別物質に変換す
る方法がある。
【0033】D−グルコースを除去する方法としては、
物理的に樹脂に吸着させ除去する方法がある。すなわ
ち、強塩基性樹脂が、アルドースやケトースを吸着する
性質を利用するものであり、強塩基性樹脂を充填したカ
ラムに検体を通し、D−グルコースを吸着し、吸着され
ずに溶出してきたD−ソルビトールを検出する方法(特
開平3−47094)である。
【0034】D−グルコースを別物質に変換する方法と
しては、化学的または生化学的な方法がある。汎用型の
自動生化学測定装置で測定する場合、酵素を使用する生
化学的な変換法が好ましい。生化学的な変換法として
は、前記の酵素を使用するD−グルコースの検出法にお
いて述べたD−グルコースの変換法がそのまま利用でき
る。
【0035】具体的には、GOD(EC 1.1.3.4)を使
用してD−グルコースを酸化する方法、PROD(EC
1.1.3.10)を使用してD−グルコースを酸化する方法、
GDH(EC 1.1.1.47 )を使用して補酵素NAD
(P)の存在下にD−グルコースを酸化する方法、H
K(EC 2.7.1.1)又はGK(EC 2.7.1.2)でD−グルコ
ースをリン酸化し、生成したD−グルコース−6−リン
酸を、G6PDH(EC 1.1.1.49)を使用して、補酵素N
ADP+ の存在下に酸化する方法などがある。
【0036】なお、前処理用の酵素とD−グルコース検
出用の酵素とを、必ずしも同じにする必要はないが、前
処理法と共通にするほうが簡便であり好ましい。例え
ば、後記のA法に記載の様に、G6PDHを使用するD
−グルコース測定系で前処理しておき、キシリトールオ
キシダーゼ添加後の吸光度増加を測定したり、または、
後記のB法に記載の様に、GODを使用して前処理して
おき、キシリトールオキシダーゼと合わせて過酸化水素
の検出系を整え、キシリトールオキシダーゼ添加後の吸
光度増加だけを測定するのが合理的である。
【0037】本発明で使用される酵素、補酵素、試薬な
どは、臨床検査に使用できる程度に精製されたものが好
ましい。また、反応は、公知の方法に準じて行うことが
出来る。これらの酵素や試薬などの使用量は、反応温
度、反応時間、反応 pH 、レート法またはエンドポイン
ト法などの反応速度論上の設定、使用する酵素の性質や
試薬の純度などにより左右されるが、一例を挙げると概
ね以下に示す量である。
【0038】キシリトールオキシダーゼは通常0.01〜50
U/mL、好ましくは 0.1〜20U/mLである。G6PDHは通
常 0.5〜500U/mL 、好ましくは 2〜100U/mL である。G
ODは通常 0.1〜10000U/mL 、好ましくは10〜5000U/mL
である。その他の酵素、試薬などを使用する場合も、公
知の方法に準じて適宜使用できる。反応温度は通常 5〜
50℃、好ましくは20〜40℃であり、反応時間は通常 1〜
60分、好ましくは 1〜10分である。
【0039】反応 pH は使用する酵素によって異なり、
各酵素の至適 pH の近辺が望ましいが、複数の酵素を同
時に作用させるような場合には、必ずしも個々の酵素の
至適pH にこだわる必要はなく、酵素の反応率、基質親
和性、特異性、安定性、経済性などの点で制約の大きい
酵素に有利なように、各酵素の活性が消失しない pH範
囲から選択すればよい。
【0040】酵素反応は、速度論上からはレート法とエ
ンドポイント法の2つに分類されている。本質的にはこ
れらの何れであってもよいが、検体の種類、干渉成分の
存在、測定対象とする基質の濃度、反応時間、要求され
る精度などの条件により、適宜選択される。
【0041】D−ソルビトールの測定に必要な前記の各
成分を含む試薬溶液を、常法にしたがって調製し、D−
ソルビトールの測定用キットとして診断薬に組み立てる
ことが出来る。各成分は、前記の使用量に応じた割合と
なるように組み合わせて、キットとすることが出来る。
【0042】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例
に限定されるものではない。
【0043】参考例1 A法(GKとG6PDHによる
方法) 200mg/L 濃度のD−ソルビトール標準液を蒸留水で倍々
希釈し、標準液の希釈系列を作製した。この標準液の希
釈系列を検体とし、それぞれ 50 μL の各検体に、5U/m
L のGK、10U/mLのG6PDH、10mmol/LのATP、10
mmol/LのNADP+ 、20mmol/LのMgCl2 を含む 100
mmol/Lトリス塩酸緩衝液(pH 7.5) 950μL を添加し、3
7℃で10分間インキュベートして恒温化した。
【0044】次に、2U/mL濃度のキシリトールオキシダ
ーゼ(ストレプトミセス属の微生物由来)を 85 μL 添
加して攪拌後、37℃で10分間反応し、キシリトール
オキシダーゼ添加後の340 nm における吸光度の増加
を分光光度計で測定した。検量線の測定結果を図1に示
す。検量線は1から100mg/L まで直線となり、D−ソル
ビトールの測定が可能であることが示された。
【0045】実施例1 (A法による血清検体の測定) 健常者の血清Mと、この血清MにD−ソルビトール 50m
g/L を添加したものを検体として、A法(参考例1)に
従って操作し、図1の検量線から検体中のD−ソルビト
ール濃度を求めた。その結果を表2に示す。D−ソルビ
トールは、健常者の血清には極わずかしか含まれていな
いことが知られている。また、腎不全患者を想定したD
−ソルビトール添加血清での測定値は、ほぼ理論値に近
い回収率であった。このことから、A法は信頼できるD
−ソルビトールの測定法であることが示された。
【0046】実施例2 (A法の汎用型生化学分析装置
への適用) D−ソルビトールの標準液と実施例1と同一の血清Mを
検体とし、これら検体のそれぞれ10μL に、5U/mL のG
K、10U/mLのG6PDH、10mmol/LのATP、10mmol/L
のNADP+ 、20mmol/LのMgCl2 を含む 100mmol/L
トリス塩酸緩衝液(pH 7.5)からなる第1試薬(R−1)
340 μL を添加して37℃で5分間インキュベートし
た。
【0047】その後、4U/mL濃度のキシリトールオキシ
ダーゼ(ストレプトミセス属の微生物由来)を含む 100
mmol/Lトリス塩酸緩衝液(pH 7.5)からなる第2試薬(R
−2)50μL を添加して37℃で5分間反応し、第2試
薬添加後の主波長 340nm(副波長 405nm)における吸光
度の増加を、日立7150形自動分析装置で測定した。
測定結果を表2に示す。実施例1とほぼ同様な結果が得
られた。
【0048】
【表2】
【0049】参考例2 B法(GODを使用する方法) 40mg/L濃度のD−ソルビトール標準液を蒸留水で倍々希
釈し、標準液の希釈系列を作製した。この標準液の希釈
系列を検体とし、それぞれ 25 μL の各検体に、400U/m
L のGOD、400U/mL のカタラーゼ、3U/mL のムタロタ
ーゼ、1.5mmol/L の4−アミノアンチピリン(4−AA
P)を含む 100mmol/Lリン酸カリウム緩衝液(pH 7.5)
475 μL を添加し、37℃で20分間反応した。
【0050】次に、10U/mL濃度のキシリトールオキシダ
ーゼ(ストレプトミセス属の微生物由来)、25U/mL濃度
のペルオキシダーゼ (西洋わさび由来) 、1mg/mLのNa
3、7.5mmol/L の3−ヒドロキシ−2,4,6−トリ
ヨード安息香酸(HTIB)を含む 100mmol/Lリン酸カ
リウム緩衝液(pH 7.5)100 μL を添加し、37℃で2
0分間発色反応を行い、発色反応における 515nmの吸光
度の増加を分光光度計で測定した。検量線の測定結果を
図2に示す。検量線は1から 40mg/L まで直線となり、
D−ソルビトールの測定が可能であることが示された。
【0051】実施例3 (B法による血清検体の測定) 健常者の血清K、S及びそれらの血清やD−グルコース
溶液(100mg/L) にD−ソルビトールを添加したものを検
体として、B法(参考例2)に従って操作し、図2の検
量線から検体中のD−ソルビトール測定値を求めた。そ
の結果を表3に示す。D−ソルビトールは、健常者の血
清には僅かしか含まれていないことが知られている。ま
た、腎不全患者を想定したD−ソルビトール添加血清で
の測定値は、ほぼ理論値に近い回収率であった。このこ
とから、A法と同様に、B法は信頼できるD−ソルビト
ールの測定法であることが示された。
【0052】実施例4 (B法の汎用型生化学分析装置
への適用) D−ソルビトールの標準液および実施例3と同一の血清
を検体とし、これらの検体のそれぞれ 10 μL に、2000
U/mLのGOD、400U/mL のカタラーゼ、10U/mLのムタロ
ターゼ、1.5mmol/L の4−アミノアンチピリン(4−A
AP)を含む 100mmol/Lリン酸カリウム緩衝液(pH 7.
5)からなる第1試薬(R−1)300 μLを加えて37℃
で5分間インキュベートした。
【0053】その後、10U/mL濃度のキシリトールオキシ
ダーゼ(ストレプトミセス属の微生物由来)、50U/mL濃
度のペルオキシダーゼ (西洋わさび由来) 、1mg/mLのN
aN3 、7.5mmol/L の3−ヒドロキシ−2,4,6−ト
リヨード安息香酸(HTIB)を含む 100mmol/Lリン酸
カリウム緩衝液(pH 7.5)からなる第2試薬(R−2)
50μL を添加し、37℃で5分間発色反応を行い、第2
試薬添加後の主波長 546nm(副波長 660nm)における吸
光度の増加を、日立7150形自動分析装置で測定し
た。結果を表3に示す。実施例3とほぼ同様な結果が得
られた。
【0054】
【表3】
【0055】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、腎不全、
糖尿病などの診断に利用できる簡単で特異的なD−ソル
ビトールの測定方法およびD−ソルビトールの測定用キ
ットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のA法によるD−ソルビトールの検量線
である。
【図2】本発明のB法によるD−ソルビトールの検量線
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小村 啓悟 広島県福山市南松永町2−179−2 (72)発明者 岡本 英里 広島県福山市柳津町2271−142 (72)発明者 中川 泰三 埼玉県大宮市三橋4−671−3

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 D−ソルビトールとD−グルコースを含
    有する検体に、D−グルコースを消去する前処理を施し
    た後、D−ソルビトールを酸化してD−グルコースを生
    成させる酸化酵素を作用させ、該酵素反応によるD−ソ
    ルビトールの酸化で生成したD−グルコースを検出する
    ことを特徴とする検体中のD−ソルビトールの測定方
    法。
  2. 【請求項2】 D−ソルビトールを酸化してD−グルコ
    ースを生成させる酸化酵素がソルビトールオキシダー
    ゼ、キシリトールオキシダーゼ又はマンニトールオキシ
    ダーゼである請求項1記載の測定方法。
  3. 【請求項3】 D−グルコースを消去する前処理の方法
    およびD−グルコースを検出する方法がグルコースオキ
    シダーゼ、ピラノースオキシダーゼ、グルコースデヒド
    ロゲナーゼ又はグルコース−6−ホスフェートデヒドロ
    ゲナーゼを使用する方法である請求項1又は請求項2記
    載の測定方法。
  4. 【請求項4】 D−グルコースを消去する前処理剤、D
    −ソルビトールを酸化してD−グルコースを生成させる
    酸化酵素およびD−グルコース検出試薬を含有するD−
    ソルビトール測定用キット。
  5. 【請求項5】 D−グルコース消去用前処理とD−ソル
    ビトール検出試薬に同一酵素を使用する請求項4の測定
    用キット。
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