JP3975279B2 - 糖尿病予備群の検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、正常型、糖尿病予備群及び耐糖能異常の程度の検査方法に関する。本発明において正常型とは、75g 経口グルコース負荷試験を行った場合に、空腹時血糖110mg/dl未満かつ負荷後2時間血糖140mg/dl未満である群を指す。また糖尿病予備群とは境界型、耐糖能異常(impaired glucose tolerance,IGT)、空腹時血糖異常上昇(impaired fasting glysemia,IFG) もしくはインスリン抵抗性であるものをいう。さらに糖尿病とは、例えば、グルコース負荷試験によりWHOが1998年に提示した判断基準で選別する若しくは日本老健法に基づくHbA1cの値で判別する、その他フルクトサミン、グリコアルブミン、1.5アンヒドロキシグルシトール等の血糖マーカーにより判定する、空腹時血糖によりWHOが1998年に提示した判断基準で選別されるものであり、またこれ以外でも糖尿病の判定が出来るものであれば何れの方法を用いて判定されても良い。
本発明によると、臨床検査において有用、簡便、かつ安価に正常型、糖尿病予備群及び耐糖能異常の程度を検査することができる。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病予備群の検査、とりわけ、境界型、IFG 、IGT 若しくはインスリン抵抗性の検査は、インスリン抵抗性解除薬の投薬の判断及びその効果の確認は勿論、糖尿病及び生活習慣病の予防の観点から非常に重要である。また糖尿病予備群は虚血性心疾患のリスクとしては糖尿病患者と同等(Yano.K, Kagan A,et.al. Am J Med 721:71-80,1996)であり糖尿病群と同等の介入が必要とも言われており、糖尿病予備群の検出は糖尿病群の検出と同様に重要であると考えられている。
【0003】
正常型、境界型、IFG 、IGT 及び糖尿病型の診断は75g グルコース負荷試験により診断され、インスリン抵抗性はグルコース負荷試験時の血中インスリン反応、インスリン静注テスト、Steady state plasma glucose法、Hyperinsulinemic euglycemic glucose clamp法、ミニマルモデル法等の試験により測定することが出来るが、いずれの方法も多大な労力と時間、煩雑な操作を必要とする欠点があった。このため簡便な診断方法、予測法の開発が望まれている。
【0004】
一方、生体中のイノシトールの定量、特にカイロイノシトール及びミオイノシトールの定量は糖尿病状態の予測に有用と考えられている。
糖尿病と非糖尿病における尿中、血中のイノシトール量の変化を測定した例を下記の (a)〜(f) に示す。
(a) 尿中カイロイノシトール濃度が糖尿病で低下する〔Larner J.et al.,New Eng.J.Med.,323,373-378(1990)〕。
(b) 尿中カイロイノシトール濃度が糖尿病で上昇し、血中カイロイノシトール濃度は糖尿病でも変化しない〔Richard E.Ostland,Jr,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.90 (1993)9988-9992〕。
(c) 尿中ミオイノシトール濃度は糖尿病で上昇する〔Larner J.et al.,New Eng.J.Med.,323,373-378(1990)〕。
(d) 血中ミオイノシトール濃度は糖尿病で変化しない〔Richard E.Ostland,Jr,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.90 (1993)9988-9992〕。
(e) 血中ミオイノシトール濃度は糖尿病で上昇する〔中島 茂,日本臨床,増刊号,血液・尿化学検査・免疫学的検査,第4版上巻 (1995)738-741〕。
(f) 血中ミオイノシトール濃度は糖尿病で上昇する〔Roswitha Dolhofer,O.H.Wieland.,J.Clin.Chem.Clin.Biochem., 25,733-736(1987)〕。
【0005】
上記 (a)〜(f) はすべて糖尿病及び非糖尿病におけるイノシトールの変化を測定したものであって、この結果からイノシトールの測定により、非糖尿病と分類される正常型と境界型、若しくは正常型とIFG 及びIGT との判別が可能であるとは予測できない。なぜなら、あるマーカーの定量値が糖尿病患者で上昇したとしても、境界型、IGT 、IFG といった糖尿病予備群でも上昇するとは限らないからである。例えば、糖尿病のマーカーである糖化ヘモグロビンでは、糖尿病患者で有意に定量値が上昇しても境界型では上昇しないことが明らかにされている。同様の理由から上記 (a)〜(f) の結果から正常型と境界型若しくは正常型とIFG 及びIGT の判別が可能であるとも予測できない。
さらに (a)〜(e) はすべてGC−MASSを用いて測定したものであるが、(a) 及び(b) 若しくは(d) 及び(e) のごとく測定者により結果が異なっているためにデーターの再現性及び信頼性に問題がある。
【0006】
境界型及びインスリン抵抗性と正常型における尿中、血中のイノシトール量の変化をGC-MASS を用いて測定した例を下記の (g)〜(h) び示す。
(g) 尿中カイロイノシトール量は正常型に比べ、境界型及びインスリン抵抗性になれば減少し、尿中ミオイノシトール量は正常型、境界型において変化しない。〔Susumu Suzuki,Diabetes Care,Vol.17,No12(1994)1465-1468〕。
(h) 前糖尿病状態では糖投与後に尿中カイロイノシトールは正常型に比べ有意に上昇する(特願平11-106979 号) 。
これらの(g) 、(h) は前記 (a)〜(e) 同様GC−MASSを用いて測定したものであるが測定者により結果が異なっているためにデーターの再現性及び信頼性に問題がある。本発明者らの検討によると、健常者の生体内イノシトール濃度を含む 1〜50μM 程度の低いイノシトール濃度領域でGC-MASS 法を用いた添加回収試験を行ったところ、極めて低い回収率となりGC-MASS 法データーの信頼性に問題があることが確認された。
【0007】
イノシトールを定量する方法は、前記したGC-MASS にて定量した報告〔Toshimitsu Niwa,J.Chromatography,227(1983),25-39〕、カイロイノシトールに特異的な抗体を用いた免疫測定法(特開平8-21835 号公報)及び酵素法〔Roswitha Dolhofer, O.H.Wieland., J.Clin.Chem.Clin.Biochem., 25,733-736(1987)〕等が知られている。
【0008】
前記GC−MASS法は前処理が必要で、しかも操作が煩雑であるために、再現性、信頼性に問題があり、さらに多検体処理も困難である。前記免疫化学的な方法は、高感度な反面、再現性、生体中に多量に存在する低分子物質の影響、単位時間あたりの検体処理能力、コスト等の点で問題がある。また前記酵素法は煩雑な試料の前処理を必要とし多数の検体の処理が困難である。
【0009】
そこで本発明者らは精度が高く、簡便かつ安価なイノシトールの定量方法を提供することを目的として前処理の要らない高感度な酵素法の開発(ミオイノシトールについては特公平6-61278 号 、カイロイノシトールについてはWO98-42863)を行ってきた。そして前処理不用な酵素法が可能になって初めてイノシトールについて信頼できるデータの取得が可能になった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、血清、血漿、尿等の試料を用い、対象者が糖尿病を疾病していない正常型であるか否か、あるいは糖尿病との境界にある境界型、IGT 、IFG もしくはインスリン抵抗性等の糖尿病予備群に該当するか否かを簡便かつ再現性よく判定する糖尿病、特に糖尿病予備群の検査方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するためには前処理の要らない簡便な酵素によるミオイノシトールの測定方法を用いて、正常型と非正常型に選別する方法に関する。
さらに、本発明は、糖尿病予備群すなわち、境界型、IGT 、IFG である対象者を含む試料を測定し、明確に正常型と糖尿病予備群あるいは糖尿病を見分けられる定量値に関する。
さらに糖尿病とは、例えばグルコース負荷試験により WHOが1998年に提示した判断基準で選別する若しくは日本老健法に基づくHbAlc の値で判別する、その他フルクトサミン、グリコアルブミン、1.5 アンヒドロキシグルシトール等の血糖マーカーにより判定する、空腹時血糖によりWHO が1998年に提示した判断基準で選別されるものであり、またこれ以外でも糖尿病の判定が出来るものであれば何れの方法を用いて判定されてもよい。
【0012】
そこで本発明者らは鋭意検討の結果、ミオイノシトールに作用する酵素を用いて前処理の要らない簡便な方法で、かつ再現性良く試料中のミオイノシトールを測定できること、さらに意外にも従来の知見とは異なり糖尿病予備群である対象者のミオイノシトール定量値が正常型である対象者のそれに比して有意に上昇し、すなわち、特徴的な値の値以上である場合に、糖尿病予備群あるいは糖尿病であると高い確率で判定できること、さらに糖尿病マーカー(例えば、空腹時血糖、糖化ヘモグロビン、糖化アルブミン等)の測定値を測定し、正常型の特徴的な値の値以上であるか否かをつけ加えることにより、さらに高い確率で糖尿病予備群あるいは糖尿病若しくはインスリン抵抗性の判定ができることを見出した。糖尿病は公知の方法で検査し除外すればよい。
【0013】
すなわち、本発明は、このような目的を達成するためになされたものであって、試料中のイノシトールを前処理無しに酵素を用いて定量し、その定量値が特徴的な値に比べて有意に高い場合を糖尿病予備群あるいは糖尿病を判定する検査方法である。さらに糖尿病予備群あるいは糖尿病から糖尿病を除くことによって糖尿病予備群を判定する検査方法に関する。
【0014】
この場合、有意に高いとは、定量値が正常型の平均値、及び標準偏差をもとにあらかじめ設定した特徴的な値に比べて高いことをいう。そして特徴的な値とは、試料が血清または血漿である場合は27μmol/L であり、試料が尿である場合は19μg/mg・クレアチニン、若しくは16μg/mg・クレアチニン、好ましくは13μg/mg・クレアチニンである。また今後大規模試験を行って、臨床的に確定した正常型を判断したときにはこの特徴的な値は変わることもあり得る。そしてイノシトールの定量は、少なくともイノシトールに作用する酵素を用いて行うことが好ましい。
この平均値については、例えば人種、性別、年齢等母集団の選択によって平均値は異なる。
試料としては、人体から分離された血清または血漿が用いられる。また試料としては無侵襲で得られる尿が用いられる。
【0015】
さらに、本発明は、試料中のミオイノシトールを酵素を用いて定量し、その定量値が正常型の特徴的な値にくらべて有意に高い場合を、糖尿病予備群あるいは糖尿病若しくはインスリン抵抗性であると判定し、このなかから糖尿病を除くことによりなる糖尿病予備群及びインスリン抵抗性の検査方法に関する。このような糖尿病マーカーとしては空腹時血糖、糖化ヘモグロビン、糖化アルブミン、フルクトサミン等を例示することができる。
【0016】
以下、本発明及びその好ましい形態について更に詳しく説明する。
本発明の試料としては、人体から分離された血液、例えば全血、血漿、血清及び血球若しくは尿などの生体液等が挙げられが、これ以外の試料でも人体から分離されミオイノシトールを測定することにより正常型、糖尿病予備群あるいは糖尿病が判定できる試料であれば、何れの試料を用いてもよい。好ましい試料としては被験者の負担を考慮すると無侵襲で得られる尿等が挙げられる。また本発明の糖尿病予備群の検査方法は糖負荷や食事に関係なく試料を収集してもよいが、糖負荷後及び食後に更に感度良く糖尿病予備群を検査することが出来ることから、糖負荷後及び食後の試料が好ましい。糖負荷後及び食後とは、グルコース負荷試験後若しくは食事後を指し、グルコース負荷試験としては経口負荷が好ましく、負荷量としてはグルコース50〜200gが好ましく、75gが最も好ましい。試料を採取する時間は糖負荷後及び食後の0 〜6 時間の試料が好ましく、0.5〜3 時間の試料が最も好ましい。
【0017】
ミオイノシトールを定量するには、酵素を用いミオイノシトールを定量出来る方法であればいずれの方法を用いて測定してもよい。
【0018】
本発明に使用しうるミオイノシトールを定量できる酵素としては少なくともミオイノシトールに作用する酵素であればいかなる酵素を用いてもよい。公知のミオイノシトールに作用する酵素、例えばイノシトールオキシゲナーゼ(E.C.1.13.99.1)、イノシトールデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.18) 、イノシトールキナーゼ(E.C.2.7.1.64)、イノシトールメチルトランスフェラーゼ(E.C.2.1.1.39)等の酵素が本発明に使用しうることは言うまでもない。また、本発明者らが広く自然界よりミオイノシトールに作用する酵素をスクリーニングした結果、様々な細菌がミオイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼを生産することを見出した。以下にミオイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼ生産菌の例を示す。しかし、これらは1例に過ぎず本発明を何ら制限するものではない。
【0019】
(1) バチルス属(Batillus);バチルス・ズブチリス(subtilis;PCI-219 株、IFO-13586 株、IAM-1026、NRRL B-3639)、バチルス・レンタス(lentus) 、バチルス・スファエリカス(sphaericus;IAM-1286)、バチルス・セレウス (scereus ;IFO-3009)、バチルス・エスピーNo.3(sp.No.3 ; FERM BP-5881)、バチルス・パミルス(pumilus ;Appl Microbiol and Bioteck 15(1)52-55,1982)。
(2) ブレビバクテリウム属(Brevibacterium) ;ブレビバクテリウム・アモニアゲネス(ammoniagenes;IAM-1641)、ブレビバクテリウム・ディバリカツム(divaricatum ;NRRL-2311)。
【0020】
(3) シュードモナス属(Pseudomonas);シュードモナス・フルオレッセンス(fluorescens)、シュードモナス・エスピー(sp.)、シュードモナス・アエルギノーサ(aeruginsa ;NTCT-10490) 、シュードモナス・マルトフィリア(maltophilia ;IFO-12020)、シュードモナス・プチダ(putida) 、シュードモナス・メフィティカ(mephitica)、シュードモナス・バイエリンキー(beijerinckii;Monatshe Chem 1001327-1337、1969)。
【0021】
(4) 酵母属(Yeast);クリプトコッカス・メリビオサム(Cryptococcus・melibiosum;IGC-3939)。
(5) キサントモナス属(Xanthomonas);キサントモナス・オリゼ(oryzae;IFO12000)。
(6) ビブリオ属(Vibrio) ;ビブリオ・エスピー(sp.)。
(7) ストレプトコッカス属(Streptococcus);ストレプトコッカス・ディスガラクチエ(dysgalactiae) 。
(8) アグロバクテリウム属(Agrobacterium);アグロバクテリウム・ツメファシエンス(tumefaciens ;ATCC-4720)、アグロバクテリウム・ラディオバクター(radiobacter ; IFO-13259)、アグロバクテリウム・リゾゲネス1215(rhizogenes1215;FERM BP-6270)。
【0022】
(9) ミクロコッカス属(Micrococcus);ミクロコッカス・リソディクティカス(lysodeiktcus;IFO-3333) 、ミクロコッカス・ルテウス(luteus;IFO-3067)、ミクロコッカス・グルタミカス(glutamicus;ATCC-13032)。
(10)エンテロバクター属(Enterobacter) ;エンテロバクター・アエロゲネス(aerogenes)。
(11)コリネバクテリウム属(Corynebacterium);コリネバクテリウム・アクアティカム(aquaticum ;IFO-12154)。
【0023】
(12)アルスロバクター属(Arthrobacter) ; アルスロバクター・プロトフォルミア(protophormia)。
(13)エルビニア属(Erwinia);エリビニア・エスピー(sp.)。
(14)クレブシーラ属(Klebsiella) ;クレブシーラ・ニューモニエTK24(pneumoniae; FERM BP-6560)。
(15)ニューロスポラ属(Neurospora) ;ニューロスポラ・クラッサ(crassa;Biochim Biophys Acta 136(3)717、1977)。
(16)アエロバクター属(Aerobacter); アエロバクター・アエロゲネス(aerogenes ;J.B.C.241(4) 800-806、1966)。
(17)アセトモナス属(Acetomonas) ; アセトモナス・オキシダンス(oxydans;NCIB-621)。
【0024】
(18)アセトバクター属(Acetobacter);アセトバクター・スボキシダンス(suboxydans;Helv Chem acta 50(7)1801-10、1967)。
(19)セラチア属(Serratia) ;セラチア・マルセセンス(marcescens;Allg Mikrobiol 16(4)327-328、1976) 。
(20)リゾビウム属(Rhizobium);リゾビウム・トリフォリ(trifolii;j.Bacteriol 141(3) 1109-1114、1980) 。
(21)ストレプトマイセス属(Streptomyces) ;ストレプトマイセス・ロゼオグリセウス301(roseogriseus 301;FERM BP-6269)。
(22)エシェリヒア属(Escherichia);エシェリヒア・コリ(coli;NCTC-8959)。
(23)フラボバクテリウム属(Flavobacterium) ; フラボバクテリウム・エスピー(sp. ; ATCC-21429、FERM BP-7323) 、フラボバクテリウム・アクアタイル(aquatile;IFO-3772)。
(24)動物由来;ほ乳類の脳由来ミオイノシトールオキシドレダクターゼ(BioChem Biophys Res Commun 68(4)1133-1138,1976)、動物精子由来イノシトールデヒドロゲナーゼ(Dokl Bolg Aked Nauk 24(12)1699-1700、1971) 。
【0025】
試料中のミオイノシトールのみを測定する目的には、カイロイノシトールよりもミオイノシトールに特異性の高いデヒドロゲナーゼ、好ましくはミオイノシトールに作用し実質的にカイロイノシトールに作用しない酵素であれば何れのものでも使用できる。その具体例としては、特願平 10-270948号(1998年 9月25日出願)記載のクレブシーラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)TK24(FERM BP-6506;以下K.p.TK24と略する。)及びフラボバクテリウム・エスピー(Flavobacterium sp.)671(FERM BP-7323、以下F.sp.671と略する。)が生産する酵素が挙げられる。
【0026】
なお、K.p.TK24株、B.sp.No3株及びF.sp.671株は日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号所在の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に、それぞれ受託番号FERM BP-6506(受託日平成10年9月17日)、及び受託番号FERM BP-5881(受託日平成9年3月19日)及び受託番号FERM BP-7323(受託日平成12年10月12日)として寄託されている。
【0027】
K.p.TK24株はグラム陰性の短桿菌で、胞子を形成しない通性嫌気性菌であること、運動性がないこと、乳糖からのガス生成があること等から大腸菌群であり、カタラーゼ産生、ウレアーゼ産生等の酵素産生能、糖からの酸の生成等から、クレブシーラ・ニューモニエ・サブエスピー・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae subsp.pneumoniae)と同定され、本菌株をクレブシーラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae) TK24株と命名した。
【0028】
F.sp.671株はグラム陰性の桿菌で、好気性菌であること、運動性がないこと、細胞内顆粒にポリβハイドロキシ酪酸が存在しないこと、カタラーゼ産生、オキシダーゼ産生及びフォスファターゼ産生等の酵素産生能から、フラボバクテリウム(Flavobacterium)属であること、また糖からのガス生成等からフラボバクテリウム・エスピー(Flavobacterium sp.)671(FERM BP-7323)と同定され、本菌株をフラボバクテリウム・エスピー(Flavobacterium sp.)671 株と命名した。
【0029】
B.sp.No.3株の菌学的性質はWO98-42863号公報に公開されている。
【0030】
本発明に使用したデヒドロゲナーゼ生産菌としては、上記のK.p.TK24株、B.sp.No.3 株及びF.sp.671株等が挙げられるが、細菌の一般的性状として菌学上の性質は変異しうるものであるから、自然的にあるいは通常行われる紫外線照射、放射線照射または変異誘導剤、例えばN-メチル-N'-ニトロ-N- ニトロソグアニジン、エチルメタンスルホネート等を用いる人工的変異手段により変異しうる人工変異株は勿論、自然変異株も含め、クレブシーラ属若しくはフラボバクテリウム属に属し、ミオイノシトールに特異性の高いデヒドロゲナーゼを生産する能力を有する菌株、また、バチルス属に属し、ミオイノシトール及びカイロイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼを生産する能力を有する菌株は、イノシトール類からカイロイノシトールを除きミオイノシトールを算出する目的として、すべて本発明に使用することができる。イノシトール類からカイロイノシトールを除きミオイノシトールを算出する目的として、また上記デヒドロゲナーゼを発現する遺伝子を、微生物に導入した形質転換微生物も使用できる。イノシトールに作用するキナーゼ、オキシダーゼについても同様である。
【0031】
上記の培養は、細菌の培養に一般的に用いられる条件によって行うことができる。培地としては微生物が同化しうる炭素源、消化しうる窒素源、さらには必要に応じ、無機塩などを含有させた栄養培地が使用される。同化しうる炭素源としては、グルコース、フルクトース、サッカロース、イノシトールなどが単独または組み合わせて用いられる。消化しうる窒素源としては、例えばペプトン、肉エキス、酵母エキス、等が単独または組み合わせて用いられる。その他必要に応じてリン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、その他、鉄、マンガン等の種々の重金属塩等が使用される。また上記以外に公知の同化しうる炭素源、消化しうる窒素源が使用できる。
【0032】
培養は、通常振とう培養または通気攪拌培養などの好気的条件下で行うのが良く、工業的には深部通気攪拌培養が望ましい。培養温度は生産菌が発育し、前記の酵素を生産する範囲内で適宜変更しうるが、通常は20〜60℃、B.sp.No.3 株では、特に50℃付近が、 K.p.TK24 株及びF.sp.671株は、特に30℃付近が好ましい。培養時間は培養条件によって異なるが、前記酵素が高力価に達する時期を見計らって適当な時間培養すればよい。通常は1〜2日程度である。これらの培地組成、培地の液性、培養温度、攪拌速度、通気性等に応じて好ましい結果が得られるように適宜調節選択される。また液体培養において発泡がある場合は、シリコン油、植物油等の消泡剤が適宜使用される。
【0033】
このようにして得られたデヒドロゲナーゼは、主として菌体内に含有されるので、得られた培養物から濾過または遠心分離の手段により集菌し、この菌体を超音波処理、フレンチプレス処理、ガラスビーズ処理、凍結破砕処理等の機械的破壊手段やリゾチーム等の酵素的破壊手段等の種々の菌体処理手段を適宜組み合わせて、粗精製の酵素含有液が得られる。
【0034】
精製は、例えば、硫安、硫酸ナトリウム等を添加する塩析沈殿法や、分子篩い、各種の樹脂を用いたクロマトグラフィー、各種電気泳動、超遠心分離法、各種脱塩法、加熱や化学薬品による処理等を適宜組み合わせて行う。例えばクロマトグラフィーとしては陽イオン、陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、分配、吸着クロマトグラフィー、順相、逆相クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等が使用できる。
【0035】
精製後の保存は、液状もしくは凍結乾燥品を、冷蔵、凍結等の条件にて保存できる。また液状の保存の場合、酵素を安定に保存する目的で、凍結乾燥時には溶解時の溶解性や溶解後の安定性を保つ目的で各種安定化剤を添加するとよい。安定化剤としては糖類、例えばマンニトール、サッカロース、ソルビトール等、アミノ酸、例えばグルタミン酸、グリシン等、ペプチドまたは蛋白質、例えばアルブミン等、2価の金属イオン、例えば塩化マグネシウム等が挙げられる。安定剤の使用量は 0.1〜50%が好ましい。
【0036】
精製されたK.p.TK24株、B.sp.No3株及びF.sp.671株由来のイノシトールデヒドロゲナーゼの活性測定法は以下の通りである。
(1) 活性測定法
<反応液組成>
100mM トリス緩衝液(pH8.5)
20mM ミオイノシトール(シグマ社製 米国)若しくはカイロイノシトール(和光純薬社製 日本)
2mM ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)(オリエンタル酵母社製、日本)
5U/ml ジアフォラーゼ(旭化成工業社製、日本)
0.025 % ニトロブルーテトラゾリウム(NBT ;和光純薬社製)
1.5 % トリトン(Triton)-X100 (和光純薬社製、日本)
【0037】
上記反応液1ml を小試験管に入れ、37℃で5 分間インキュベート後に、B倍に希釈した酵素液20μl を添加して攪拌し、反応を開始する。正確に5 分間の反応後に0.1NHCl 2ml を添加して攪拌し反応を停止する。550nm に於ける吸光度を測定し、A1を求め、また上記反応液よりミオイノシトール若しくはカイロイノシトールを除いた反応液を用いて同様の測定を行いその吸光度A0を求める。酵素活性は下記の式より算出する。
【0038】
【数1】
【0039】
式中の数値は、次の意味である。
18.3 ; NTB の分子吸光係数
5 ; 反応時間
3.02; 総反応液量
0.02; 酵素液量
B ; 酵素液の希釈倍率
【0040】
精製されたK.p.TK24株、B.sp.No3株及びF.sp.671株由来のイノシトールデヒドロゲナーゼの性状は以下の通りである。
(2) 酵素作用
少なくともミオイノシトール若しくはカイロイノシトールおよび補酵素の存在下、イノソース及び還元型補酵素を生成する。
上記の補酵素に関しては、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド類(以下NAD 類と略する)、例えば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アセチルピリジンアデニンジヌクレオチド(アセチルNAD)、ニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチド(デアミノNAD)、ピリジンアルデヒドアデニンジヌクレオチド(アルデヒドNAD)、ピリジンアルデヒドヒポキサンチンジヌクレオチド(アルデヒドデアミノNAD)が挙げられる。
各補酵素を用いた場合の相対活性比(NAD を補酵素として用いた場合を100 %とする)は表1に示すとおりである。また相対活性は下記の方法に基づき補酵素を変えて測定を行った。
【0041】
【表1】
【0042】
【0043】
上記の反応液1ml を石英セルにとり、37℃に温度コントロールされている分光光度計にセットする。5分以上インキュベートし、約1.0U/ml の酵素溶液を20μlを添加、攪拌する。それぞれの還元型補酵素に特有な波長の1分間当たりの吸光度変化より初速度を求める。
【0044】
(3) 基質特異性
前記の相対活性測定法に従い、反応液中の基質に変えて同一濃度のD-マンノース、D-フルクトース、D-ガラクトース、マンニトール、エピイノシトール、サイロイノシトールを測定した。ミオイノシトールに対する反応初速度を 100とした場合の各基質における酵素活性を表2 に示す。K.p.TK24株由来の酵素は、カイロイノシトールよりもミオイノシトールに特異性が高く、実質的にカイロイノシトールに作用しないデヒドロゲナーゼであること、F.sp.671株由来の酵素はミオイノシトールに特異性が高い酵素であること、B.sp.No.3 由来の酵素は、ミオイノシトール及びカイロイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼであることが明らかである。
【0045】
基質としては、D-マンノース、D-フルクトース、D-ガラクトース、マンニトール、D-カイロイノシトール(以上、和光純薬社製、日本)、ミオイノシトール、エピイノシトール、サイロイノシトール(以上、シグマ社製、米国)を用いた。
【0046】
【表2】
【0047】
(4) 至適pH
K.p.TK24由来; pH10.0付近(基質;ミオイノシトール)
B.sp.No.3 由来;pH11.0付近(基質;カイロイノシトール)
F.sp.671由来; pH11.0付近(基質;ミオイノシトール)
【0048】
前記の相対活性測定法を用い、反応液中の100mM のpH10.0グリシン緩衝液にかえて 100mMトリス緩衝液(pH7.0〜9.0)及び100mM グリシン緩衝液(pH9.0〜11.0)の各緩衝液を用いて測定した。
【0049】
(5) 分子量
K.p.TK24 由来; 75000±15000
B.sp.No.3 由来;135000±10000
F.sp. 671 由来; 40000±10000
【0050】
TSK ゲルG300SW(0.75φ×600mm)、溶離液;50mMリン酸緩衝液(pH7.5)+0.2M Na2SO4 +0.05%NaN3、分子量マーカーはオリエンタル酵母社製(日本)を使用した。クロマトグラフィー装置は島津社製装置(日本)を使用し、UV280nm 及びフラクションの活性測定にて検出した。活性測定はK.p.TK24由来及び F.sp.671 由来の酵素はミオイノシトールを基質として用い、B.sp.No.3 由来の酵素はカイロイノシトールを基質として用いた。
【0051】
(6) 熱安定性
K.p.TK24 由来;40℃、15分の処理でほぼ 100%の残存活性を有する。
B.sp.No.3 由来;60℃、15分の処理でほぼ 100%の残存活性を有する。
F.sp.671由来 ;40℃、15分の処理でほぼ 100%の残存活性を有する。
【0052】
酵素液、約5U/ml に15分間の加熱処理を行った。残存活性は前記の酵素活性測定法にて測定した。活性測定はK.p.TK24及びF.sp.671由来の酵素はミオイノシトールを基質として用い、B.sp.No.3 由来の酵素はカイロイノシトールを基質として用いた。
【0053】
(7) Km値
前記の相対活性測定法を用い、ミオイノシトール若しくはカイロイノシトールの濃度及び、NAD 及びチオNAD の濃度を変化させそれぞれのKm値を測定した。なお、K.p.TK24由来酵素は2mM のNAD を用い基質に対するKm値を測定し、20mMミオイノシトールを用いて補酵素のKm値を測定し、B.sp.No.3 由来の酵素は1mM のNAD を用い基質に対するKm値を測定し、10mMミオイノシトールを用いて補酵素のKm値を測定した。またF.sp.671株由来酵素は前記活性測定法を用いて基質濃度を変化させKm値を算出した。
【0054】
【0055】
【0056】
本発明に使用しうるオキシダーゼとしては、ミオイノシトールに作用するオキシダーゼであれば如何なるオキシダーゼを用いてもよいが、例えばイノシトールオキシゲナーゼ及びピラノースオキシダーゼ等があげられる。イノシトールオキシゲナーゼ(Biochem.Biophys.Acta 167,501-510,1968) 及びピラノースオキシダーゼ(Biochem.Biophys.Acta 167,493-500,1968) は公知であり、精製法、性質についても同様に公知である。
【0057】
本発明に使用しうるキナーゼとしては、ミオイノシトールに作用するキナーゼであれば如何なるキナーゼを用いてもよいが、例えばミオイノシトールキナーゼ等があげられる。イノシトールキナーゼ(Biochem.Biophys.Res.Commum 19,558-562,1965)は公知であり、精製法、性質についても同様に公知である。
【0058】
本発明に用いることのできるミオイノシトールを定量するデヒドロゲナーゼを用いた液組成については、使用しうる酵素濃度は0.01〜1000U/ml、特に0.05〜500 U/mlが好ましく、使用するデヒドロゲナーゼの各種補酵素間のKm値等を考慮して補酵素を1種類またはそれ以上適宜選択し、その後、至適pHの曲線から反応が効率よく進行するよう反応液pHを適宜設定すればよい。
【0059】
ミオイノシトールを単独で測定する場合には、例えば前記したK.p.TK24株若しくはF.sp.371株由来のイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼを用いれば良く、K.p.TK24株由来のデヒドロゲナーゼを用いる場合には補酵素としては、反応しうる補酵素であれば何れの補酵素を用いてもよいが、好適にはNAD であり、例えばNAD に対するKm値は1.5mM であるから NADの濃度は 0.02M〜500mM 、好ましくは 0.1〜100mM である。また至適pHは10付近であるから、反応のpHは 8〜12、特に 9〜11が好ましく、特にカイロイノシトールに対する作用がほぼ確認できなくなり、かつミオイノシトールに対する酵素活性が最大になるpH10付近が最も好ましい。
【0060】
F.sp.371株由来のデヒドロゲナーゼを用いる場合には、補酵素としては、反応しうる補酵素で有れば何れの補酵素を用いてもよいが、好適にはNAD 若しくはチオ NADであり、例えば NADに対するKm値は0.04mMであるから NADの濃度は0.005M〜50mM、好ましくは0.01〜10mMであり、チオ NADに対するKm値は4.5mM であるからチオ NADの濃度は 0.02M〜20mM 、好ましくは 0.1〜10mMである。また至適pHは10付近であるから、反応のpHは 8〜12、特に 9〜11が好ましい。
【0061】
ミオイノシトール及びカイロイノシトールをイノシトール類として同時に定量する酵素反応液組成については、例えばB.sp.No3由来の酵素を用いれば良く、補酵素としては反応しうる補酵素であれば何れの補酵素を用いてもよいが、好適にはNAD 、チオNAD であり、例えばNAD に対するKm値は0.5mM であるから NADの濃度は0.01〜100mM 、好ましくは0.05〜50mMであり、チオNAD に対するKm値は0.9mMであるからチオNAD の濃度は0.02〜100mM 、好ましくは 0.1〜50mMであり、また至適pHは11付近であるから、反応のpHは 6〜13、特に 8〜12が好ましい。
【0062】
また前記ミオイノシトール及びカイロイノシトールを単独で測定する場合及びミオイノシトール及びカイロイノシトールをイノシトール類として同時に測定する場合の反応液組成については、イノシトールを定量する試料の種類や量等により適宜決定することができ、これ以外の酵素や、これ以外の量を用いることもできる。
【0063】
同様にカイロイノシトールを単独で測定する場合には、例えば前記したS.r.301 株由来のイノシトールデヒドロゲナーゼを用いれば良く、補酵素としては反応しうる補酵素で有れば何れの補酵素を用いてもよいが、好適にはNAD 類(NAD 、アセチルNAD 及びデアミノNAD)であり、NAD 類の濃度は 0.02M〜500mM 、好ましくは 0.1〜100mM であり、また至適pHは9付近であるから、反応のpHは7〜11、特に8 〜10が好ましい。
【0064】
ミオイノシトールに作用するオキシダーゼを用いる場合の反応液組成については、使用しうる酵素濃度は0.01〜1000U/ml、特に0.05〜500 U/mlが好ましく、至適pHの曲線から反応が効率よく進行するよう反応液pHを適宜設定すればよい。例えば前記したイノシトールオキシゲナーゼ若しくはピラノースオキシダーゼ等を用いれば良く、ピラノースオキシダーゼを用いる場合には、至適pHが 6.0〜8.0 であるから反応のpHは 6.0〜8.0 が好ましい。
【0065】
ミオイノシトールに作用するキナーゼを用いる場合の反応液組成については、使用しうる酵素濃度は0.01〜1000U/ml、特に0.05〜500 U/mlが好ましく、次いで反応に必要なATP 等の燐酸供与体及びマグネシウム等の金属塩の濃度を設定し、至適pHの曲線から反応が効率よく進行するよう反応液pHを適宜設定すればよい。例えば前記したイノシトールキナーゼを用いる場合には、生体中のイノシトールの量はおおむね10mM以下であるから ATPの濃度としては1〜10mMが好ましく、マグネシウムは 1〜30mMが好ましく、イノシトールキナーゼの至適pHは 6〜9 であるから反応のpHは 6〜9 が好ましい。
またミオイノシトールを定量するに当たって、さらに高感度が必要な場合には酵素サイクリング法を用いることができる。下式にその1例を示す。
【0066】
【化1】
【0067】
式中、生成物とは、イノシトールがミオイノシトールである場合にはミオイノソース2 であり、カイロイノシトールである場合にはカイロイノシトールから2 原子または4原子の水素原子が引き抜かれた化合物を示し、A1はNAD(P)類、またはチオNAD(P)類を示し、A2はA1の還元型を示し、B1はA1がチオNAD(P)類の場合には還元型NAD(P)類を、A1がNAD(P)類の場合には還元型チオNAD(P)類を示し、B2はB1の酸化型生成物を示す。
【0068】
酵素サイクリングを用いたイノシトール定量反応の液組成については、使用するイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼの各種補酵素間のKm値等を考慮して補酵素を2種類またはそれ以上適宜選択し、その後正反応/逆反応の至適pHの間でpH条件を酵素的サイクリングが効率よく進行するように設定すればよい。A1、B1の量は試料中のイノシトール量に比較して過剰量であり、またイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼのA1、B1に対するKm値に比較しても過剰量であることが必要である。
【0069】
例えばB.sp.No.3 由来のイノシトールデヒドロゲナーゼについてみれば、Km値はNAD 、チオNAD についてそれぞれ0.50、0.87mMと小さくチオNAD 、NAD を補酵素とし選択することができる。またサイクリング反応を行う場合に、チオNAD を用いた場合の正反応の至適pHは10.5付近であり、NADHを用いた逆反応の至適pHが10付近であることからチオNAD 、NADHを補酵素として選択しpH10付近でサイクリングを行うとよい。A1及びB1の濃度は0.02mM〜2M、特に0.05〜100mM が好ましく、ミオイノシトール及びカイロイノシトールに作用する酵素の量は 1〜1000U/ml、特に5〜500U/ml が好ましいが、その量は被検体の種類や量等により適宜決定することができ、これ以外の量用いることもできる。
【0070】
酵素サイクリング法は前記のようにイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼ単独でも行うことは出来るが、イノシトールに作用するオキシダーゼや至適pHの異なる他のイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼと組み合わせればさらに効果的である。
【0071】
またカイロイノシトール及びミオイノシトールを選択的に高感度で測定する場合には、カイロイノシトールに特異性の高い酵素及びミオイノシトールに特異性の高い酵素を用いて酵素サイクリング法等を用いて測定すればよいが、特異性の異なる酵素を用いて測定しそれぞれの測定されたシグナルから計算式を用いてミオイノシトールの量を求めても良く、またカイロイノシトールに特異性の高い酵素を用いてカイロイノシトールを消去し、該反応液をミオイノシトールに作用する酵素を用いた高感度測定法で測定すればよい。
【0072】
計算式を用いてミオイノシトール及びカイロイノシトールを選択的に測定する方法としては、例えばB.sp.No3由来の酵素及びF.sp.671由来の酵素を用いて酵素サイクリング法にて測定を行った場合が挙げられる。これらの酵素は生体試料中ではイノシトールに特異性が高く、イノシトールのみを測定していると考えられ、酵素サイクリングのシグナルはミオイノシトールから得られるシグナルとカイロイノシトールから得られるシグナルの和と考えられる。例えばB.sp.No3由来の酵素を用いて下記の反応液にてカイロイノシロール及びミオイノシトールの標準液を測定すると
吸光度変化mABS/min = 1.2×カイロイノシトール濃度 (μM)
吸光度変化mABS/min = 0.1×ミオイノシトール濃度 (μM)
となることから、B.sp.No3由来の酵素を用いて酵素サイクリングにて生体試料を測定すると下式(1) が得られる。
【0073】
【0074】
<反応液組成>
100mM グリシン緩衝液 pH9.8
2.0mM チオNAD
30μM NADH
100U/ml イノシトールに作用するデヒドロゲナーゼ(B.sp.No3 由来)
【0075】
同様にF.sp.671由来の酵素を用いて下記の反応液にてカイロイノシロール、ミオイノシトールの標準液を測定すると
吸光度変化mABS/min = 0.03 ×カイロイノシトール濃度 (μM)
吸光度変化mABS/min = 0.2×ミオイノシトール濃度 (μM)
となることから、F.sp.671由来の酵素を用いて酵素サイクリングにて生体試料を測定すると下式(2) が得られる。
【0076】
<反応液組成>
100mM POPSO 緩衝液 pH8.5
2.0mM チオNAD
30μM NADH
4U/ml イノシトールに作用するデヒドロゲナーゼ(F.sp.671 由来)
【0077】
上記の(1),(2) 式の連立方程式を解くと下式のようにミオイノシトールの量を算出することができる。
ミオイノシトール濃度 (μM) = 6.1×△mABS/min(F.sp.671) - 0.1×△mABS/min(B.sp.No3)
【0078】
またF.sp.671由来の酵素を用いた場合、生体内ではカイロイノシトールに比しミオイノシトールは大量に存在する。よってカイロイノシトール濃度 (μM)<<ミオイノシトール濃度 (μM)であり、式(2) は
吸光度変化(F.sp.671)mABS/min≒ 0.2×ミオイノシトール濃度 (μM)
と見なすことが出来、本試薬単独でミオイノシトール濃度を高感度に測定できる。
【0079】
特異性の高い酵素を用いカイロイノシトールを消去する反応は、カイロイノシトールに特異性の高い酵素であればいずれの酵素でも用いることが出来るが、例えばイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ及びキナーゼが挙げられる。
【0080】
除タンパクは公知の除タンパク法はもちろん、除タンパクができる方法であれば何れの方法を用いてもよいが、例えばエタノール、アセトン、TCA 等を用いた方法、分子量1 万程度の分画膜を用いる方法等を用いればよい。ミオイノシトールをさらに選択的かつ高感度に測定する場合には、前記カイロイノシトールに特異性の高いイノシトールデヒドロゲナーゼを用いてカイロイノシトールをカイロイノソース2となし、カイロイノシトールを分解、除タンパクし、前記酵素サイクリング試薬を用いてミオイノシトールを測定すればよい。カイロイノシトールをカイロイノソース2 となす反応は、前記カイロイノシトールを単独で測定する液組成を使用することができ、カイロイノソース2 を分解する反応は、カイロイノソース2 を分解できる条件であれば何れの方法を用いてもよいが、酸化剤処理、熱処理、アルカリ処理等で分解でき、最も簡便な方法は熱処理であり、50℃−15分以上、好ましくは60℃−15分以上の処理を行えばよい。カイロイノシトールに特異性の高い酵素を用いてカイロイノシトールの消去反応を行うとよい。
【0081】
ミオイノシトールに作用するオキシダーゼ及びキナーゼを用いる場合には、例えばカイロイノシトールオキシゲナーゼはカイロイノシトールをグルクロン酸に変化さることから、カイロイノシトールオキシゲナーゼを試料と反応せしめ、該反応液中のイノシトールを酵素サイクリング法等を用いて高感度に測定すればミオイノシトールを特異的に測定することが出来る。同様にカイロイノシトールキナーゼはカイロミオイノシトールをカイロイノシトール1燐酸に変化させることから、同様に該反応液中のイノシトールを酵素サイクリング法等を用いて高感度に測定すればミオイノシトールを特異的に測定することが出来る。
【0082】
さらに、試料中のイノシトール類を酵素サイクリングを用いて同時に定量し、一方前記の方法を用いて試料中のカイロイノシトールを単独で高感度に定量し、その差からミオイノシトール量を求めることもできる。
【0083】
またミオイノシトールの検出はデヒドロゲナーゼを用いる場合には補酵素の変化量を、例えば補酵素としてNAD を用いて生成される変化の量として還元型補酵素である還元型NAD をその極大吸収波長域である340nm 付近の波長にて比色計で測定する等公知の技術を用い直接定量するか、もしくは、たとえば生じた還元型補酵素を各種ジアフォラーゼ、またはフェナジンメトサルフェート(以下PMS と略す)、メトキシPMS 、ジメチルアミノベンゾフェノキサジニウムクロライド(メルドラブルー)等の電子キャリアー及びニトロテトラゾリウムに代表される各種テトラゾリウム塩好ましくは水溶性が高い WST-1〜8(同人化学社製)等の還元系発色試薬を用い間接的に定量するか、デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼの組み合わせを適宜用い還元型補酵素から過酸化水素を発生させ、生じる過酸化水素を直接、間接的に測定してもよい。
【0084】
上記過酸化水素の量は例えばパーオキシダーゼ等を用いて色素等を生成し、発光蛍光等により定量しても良くまた電気化学的手法によって定量しても良く、カタラーゼ等を用いてアルコールからアルデヒドを生成せしめて生じたアルデヒドの量を定量してもよい。
過酸化水素の発色系は、パーオキシダーゼの存在下で4-AA若しくは3-メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)等のカップラーとフェノール等の色原体との酸化縮合により色素を生成するトリンダー試薬、パーオキシダーゼの存在下で直接酸化、呈色するロイコ型試薬等を用いることが出来る。
【0085】
トリンダー型試薬の色原体としては、フェノール誘導体、アニリン誘導体、トルイジン誘導体等が使用可能であり、具体例としてN, Nジメチルアニリン、N, N−ジエチルアニリン、2, 4−ジクロロフェノール、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ−3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン(DAOS)、N-エチル-N- スルホプロピル-3,5ジメチルアニリン(MAPS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3- スルホプロピル)-3,5-ジメチルアニリン(MAOS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3- スルホプロピル)-m-トルイジン(TOOS)、N-エチル−N−スルホプロピル-m- アニシジン(ADPS)、N-エチル-N- スルホプロピルアニリン(ALPS)、N-エチル-N- スルホプロピル-3、5-ジメトキシアニリン(DAPS)、N-スルホプロピル-3、5-ジメトキシアニリン(HDAPS) 、N-エチル-N- スルホプロピル-m- トルイジン(TOPS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3- スルホプロピル)-m-アニシジン(ADOS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ- 3-スルホプロピル)アニリン(ALOS)、N-(2- ヒドロキシ-3- スルホプロピル)- 3 、5-ジメトキシアニリン(HDAOS) 、N-スルホプロピル−アニリン(HALPS)(以上、同人化学研究所社製)等が挙げられる。
【0086】
またロイコ型試薬の具体例としては、o-ジアニシジン、o-トリジン、3,3 ジアミノベンジジン、3,3,5,5-テトラメチルベンジジン;以上同人化学研究所社製、N- (カルボキシメチルアミノカルボニル)-4,4-ビス(ジメチルアミノ)ビフェニルアミン(DA64)、10-(カルボキシメチルアミノカルボニル)-3,7-ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン(DA67); 以上、和光純薬社製等が挙げられる。
【0087】
さらに蛍光法には、酸化によって蛍光を発する化合物、例えばホモバニリン酸、4-ヒドロキシフェニル酢酸、チラミン、パラクレゾール、ジアセチルフルオレスシン誘導体等を、化学発光法には、触媒としてルミノール、ルシゲニン、イソルミノール、ピロガロール等を用いることが出来る。
カタラーゼ等を用いてアルコールからアルデヒドを生成せしめて、生じたアルデヒドを定量する方法としては、ハンチ反応を用いる方法や、MBTHとの縮合反応により発色させる方法、若しくはアルデヒドデヒドロゲナーゼを用いる方法等が挙げられる。
【0088】
グルコソンの定量はジフェニルアミン等の公知のアルドース試薬を用いて定量すればよい。
オキシダーゼを用いる場合には酸素の消費量または反応生成物の量を測定することが好ましく、反応生成物の量を測定としては、例えばピラノースオキシダーゼを用いた場合には過酸化水素及びグルコソンが生成し過酸化水素及びグルコソンを前記の方法を用いて測定すればよく、イノシトールオキシゲナーゼを用いた場合にはグルクロン酸を生じるのでオルシノール反応等の公知の方法を用いグルクロン酸を測定すればよい。
【0089】
キナーゼを用いる場合には、反応より生じるミオイノシトールの燐酸体若しくは ADPの量を測定することが好ましい。ADP の測定方法としては公知のピルビン酸キナーゼ及びラクテートデニドロゲナーゼを用いた方法、ピルビン酸キナーゼ及びピルビン酸オキシダーゼを用いた方法及びADP を利用するヘキソキナーゼを用いる方法(特願平 07-340482号)等を用いて測定することが出来る。
【0090】
またミオイノシトールの検出はミオイノシトールに作用する酵素を電極に固定化して、電気化学的に検出してもよい。例えばオキシダーゼを用いる場合には生じた過酸化水素を直接電極にて測定するか、若しくはフェロセン誘導体若しくはキノン誘導体等の電子伝達体を介在させ、得られる酸化還元電流あるいはその電気量を測定すれば良く、デヒドロゲナーゼを用いる場合にも、同様に還元型補酵素を直接電極測定するか、電子伝達体を介在させ、得られる酸化還元電流あるいはその電気量を測定すればよい。
【0091】
かくして、調製されたイノシトール定量用組成物によって、試料中のイノシトールを定量するには、イノシトール定量用組成物に試料 0.001〜0.5ml を加え、37℃の温度にて反応させ、レートアッセイを行う場合には、反応開始後の一定時間後の2点間の数分ないし数十分間、例えば3 分後と4分後の1分間、または3分ごと8分後の5分間における変化した補酵素の量を直接または間接的に測定すれば良く、エンドポイントアッセイの場合には反応開始後一定時間後の変化した補酵素の量を直接または間接的に測定すればよい。この場合既知濃度のミオイノシトール若しくはカイロイノシトールを用いて測定した場合の吸光度等の変化と比較すれば試料中のミオイノシトール若しくはカイロイノシトールの量を求めることができる。
なお、本発明において変化した酸素量、過酸化水素量、補酵素量及び生成物の量の測定にあたり、吸光度測定の代わりに他の公知の測定法を使用して定量を行うこともできる。
【0092】
最後に、正常型及び糖尿病予備群を判定するには、試料中のミオイノシトールを前記の方法で定量し、得られた定量値が正常型の特徴的な値未満である場合に正常型、正常型の特徴的な値以上の場合に糖尿病予備群あるいは糖尿病であると判定すればよい。糖尿病予備群のみを判別するためには糖尿病予備群あるいは糖尿病から糖尿病を除けばよい。糖尿病の判定は公知の方法、例えばグルコース負荷試験によりWHO が1998年に提示した判断基準で選別する若しくは日本老健法に基付くHbA1c の値で判別する、その他フルクトサミン、グリコアルブミン、1.5 アンヒドロキシグルシトール等の血糖マーカーにより判定する、空腹時血糖によりWHO が1998年に提示した判断基準で選別する方法等が挙げられ、またこれ以外でも糖尿病の判定が出来るものであれば何れの方法を用いてもよい。
【0093】
本発明に於ける糖尿病予備群とは、非糖尿病者のうち将来糖尿病に移行する確立の高い群であれば、何れの群であってもよいが、例えば、境界型、IFG 、IGT またはインスリン抵抗性が挙げられる。ここで境界型とは1999年に日本糖尿病学会で定められた境界型を指し、75gOGTT を行った場合に糖尿病型(空腹時血糖126mg/dl以上及び/または負荷後2時間血糖200mg/dl以上)及び正常型(空腹時血糖110mg/dl未満及び/または負荷後2時間血糖200mg/dl未満)に属さないものを示す。また IFG及びIGT とはWHO が1998年に提示した判断基準のIFG 及びIGT を示し、75gOGTT を行った場合にIFG は空腹時血糖 110〜125mg/dlかつ負荷後2時間血糖140mg/dl未満であり、IGT は空腹時血糖126mg/dl未満かつ負荷後2時間血糖 140〜200mg/dlである。ちなみに、境界型=IFG +IGT である。
【0094】
試料に尿を用いる場合には、随時尿及び蓄尿を用いることができるが、クレアチニン濃度で除し、一定濃度クレアチニン中のイノシトール濃度に換算することが好ましい。但し腎疾患を有する患者においてはクレアチニン値が異常となるケースも考えられるためクレアチニンが異常値を示す試料は検査から除外することが好ましい。また尿中のイノシトールは腎臓での再吸収等の影響を強く受けることから腎疾患(ミクロアルブミン尿等を呈する患者若しくは腎性尿糖の患者)を除外することによりより、高率に糖尿病予備群を検査することが出来る。
【0095】
また糖尿病予備群の判定を高い確率で行う場合には上記ミオイノシトールが正常型の特徴的な値以上である群に加えて、空腹時血糖、糖化ヘモグロビン及び糖化アルブミンの正常型の特徴的な値以上の群を加えることにより、より高い確率で糖尿病予備群あるいは糖尿病を判定することができる。
【0096】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例及び参考例を詳しく述べるが、本発明は何らこれにより限定されるものではない。
【参考例1】(GC/MASS 法と酵素法の添加回収試験)
血清に血清にミオイノシトール(シグマ社製)濃度が0 、10、20、30、40、50μM となるように調製したものを試料として用いた。
【0097】
<GC/MS法>
1) 試料の前処理
上記の各血清 100μL に1mgのウレアーゼを加えて37℃で30分間インキュベートし尿素を除いた。次いで内部標準物質としてn −ヘプタデカン酸20μg とD7- グルコースを添加して、1mL の無水エタノール(和光純薬社製、特級)を加え、遠心分離し除タンパクし、上層を減圧下にエバポレーターで濃縮乾固した。
さらに 100μL のBSTFA (N,O- ビストリメチルシリルトリフロロアセタミド、和光純薬社製)と10μL のTMCS(トリメチルクロロシラン、フナコシ)を加え80℃で30分間加熱し、TMS 誘導体とした。
【0098】
2) GC/MS 分析
四重極型Automass system(日本電子)を用いてGC/MS 分析を行った。GCはUltra Alloy plus-5+ 金属キャピラリーカラム(30m×0.25mm i.d., 0.25μm filmthickness,Frontier Lab.KK)に流速1.47mL/minのヘリウムガスをキャリアーガスとして流して分析した。試料は 2μL を38:1スプリットモードで自動注入し、60℃から 350℃まで17℃/minで昇温分析した。マススペクトルは電子衝撃(EI)法により m/z50からm/z650まで 0.4秒スキャンの低分解能モードで測定した。
【0099】
<酵素法>
1) 試薬
<R-1 ;グルコース消去試薬>
10mM トリス緩衝液
60mM 塩化マグネシウム(和光純薬社製)
88mM ATP (オリエンタル酵母社製)
43U/ml ヘキソキナーゼII(旭化成工業社製)
40mM シュウ酸(和光純薬社製)
6mM チオNAD
【0100】
<R-2 ;ミオイノシトール定量試薬>
200mM グリシン緩衝液(pH 9.8)
2mM チオNAD (オリエンタル酵母社製、日本)
0.03mM NADH(オリエンタル酵母社製、日本)
100U/ml B.sp.No.3 株由来のミオイノシトールデヒドロゲナーゼ
【0101】
2) 操作
上記の各血清 100μL にグルコース消去試薬50μl を添加し37℃−5 分間のグルコース消去反応を行い、次いでミオイノシトール定量試薬 100μL を加え反応を開始した。反応開始後1分と3分の405nm における吸光度を読みとりその差をとり、1分間あたりの吸光度変化を求めた。
【0102】
3) 結果
GC/MS 法、及び酵素法によるミオイノシトールの添加回収試験結果を表3に示す。GC/MS 法によるミオイノシトールの添加回収は不良であったが、酵素法による添加回収は非常に良好であった。
【0103】
【表3】
【0104】
【参考例2】
(菌体の培養及び酵素の精製)
1) クレブシーラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)TK24 (FERM BP-6506)の培養及び精製
酵母エキス 2%、ペプトン 2%(以上極東製薬社製、日本)、グリセロール 2%、リン酸 2カリウム 0.1%(以上和光純薬社製、日本)、グルコース 0.1%(国産化学社製、日本)、pH7.0 を含む液体培地100ml を500ml 三角フラスコに分注し、121 ℃で20分加熱滅菌した後これにクレブシーラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)TK24株(FERM BP-6506)の1 白金耳を接種し、28℃で120rpmの振とう培養器で20時間培養して種母85ml(活性0.04U/ml)を得た。
【0105】
一方、上記と同様の培地組成にて消泡剤としてディスフォームBC51Y(日本油脂社製、日本)を0.1 %添加した液体培地20L を30L 用ジャーファメンターに仕込み加熱後滅菌した後に上記の種母85mlを移植し、培養温度30℃、通気量20L/分、内圧0.4kg/cm2 、攪拌速度200rpmで16時間通気培養し、培養物20L(酵素活性0.12U/ml) を得た。
【0106】
得られた培養物を遠心分離で集菌し、これを10mMトリス緩衝液 pH8.0に分散させ、氷浴で冷却しながら超音波処理を行い、菌体を可溶化した。可溶化液は3000rpm15 分の遠心分離を行い、可溶化上清2.5L(2U/ml)を得た。
【0107】
この酵素液を10mM燐酸緩衝液pH7.5 にて平衡化されたQ-セファロース(Sepharose)B.B.(ファルマシアバイオテック;Pharmacia Biotech 社製、スウェーデン国)1.25L にかけ、0 、0.1 、0.2 、0.3MのKCl(ナカライテスク;nacalai tesque社製、日本)を含む同一の緩衝液にてステップワイズに溶出、活性のあるフラクション2.2L(1.5U/ml)を得た。
得られた酵素液は4MになるようにNaCl(ナカライテスク社製、日本)を加え、4M NaCl を含む10mMリン酸緩衝液(pH7.5)にて平衡化されたフェニルセファロースFF (ファルマシア社製、スウェーデン国)200ml にかけ4 →0 M のNaClグラジエントにて展開、活性ピークをプールし酵素溶液600ml を得た。得られた酵素溶液は10mMリン酸緩衝液pH7.5 に対し透析し、分子量5 万カットの膜で濃縮し 100ml(27U/ml)の酵素溶液を得た。得られた酵素液は凍結して−20℃にて保存した。
2) バチルス・エスピー(Bacillus sp.)No.3(FERM BP-5881)の培養及び精製WO98-42863号に公開された参考例1及び2と同様の方法で培養、精製を行った。
3) フラボバクテリウム・エスピー(flavobacterium sp.) 371(FERM BP-7323)の培養及び精製
1) のクレブシーラ・ニューモニエの培養及び精製と同様の方法で培養、精製を行った。
【0108】
【参考例3】
(酵素を用いた特異的なイノシトールの定量)
1) ミオイノシトール定量試薬
100mM グリシン緩衝液(pH 10.0)
2mM 酸化型NAD (オリエンタル酵母社製、日本)
5U/ml K.p.TK24 株由来のミオイノシトールデヒドロゲナーゼ
2) 操作
前記定量試薬1ml をキュベットにとり、37℃にてミオイノシトール(シグマ社製)0 、50、100 、150 、200mMを含む水溶液0.02mlを加えて、37℃、10分の反応を行った。反応を通して340nm を測定し、基質水溶液添加後10分の吸光度から、基質水溶液添加前の吸光度を差し引き吸光度変化を求めた。その結果を図1に示す。ミオイノシトールに特異性の高い酵素を用いることにより簡便にミオイノシトールのみが定量されていることが明白であり、またこの基質濃度領域に於いて基質の変換率はほぼ 100%であり理想的なエンドポイント測定で可能であった。
【0109】
【参考例4】(ミオイノシトールに作用するオキシダーゼを用いたミオイノシトールの定量)
1) ミオイノシトール定量試薬
100mM トリス緩衝液(pH7.0)
100U/mL ピラノースオキシダーゼ
5U/mL POD(パーオキシダーゼ シグマ社製)
1.5 μmol/mL 4-AA(和光純薬社製)
4.5 μmol/mL TOOS(和光純薬社製)
【0110】
2) 操作
上記試薬3mL をキュベットに取り、ミオイノシトール(シグマ社製)0.2 、2 、10、15、20mMを含む水溶液80μL を添加し、37℃にて反応を開始した。反応を通して515nm を測定し、基質水溶液添加後5分の吸光度から基質水溶液無添加の吸光度を差し引き吸光度変化を求めた。その結果を図2に示す。ミオイノシトールに作用するオキシダーゼを用いることにより、ミオイノシトールを簡便に定量できた。
【0111】
【参考例5】(ミオイノシトールに作用するキナーゼを用いたミオイノシトールの定量)
1) ミオイノシトール定量試薬
50mM トリス緩衝液(pH7.5)
2mM ATP (オリエンタル酵母社製)
10mM 塩化マグネシウム(和光純薬社製)
10U/mL ミオイノシトールキナーゼ(Science 151,198-199 (1966))
10mM グルコース(和光純薬社製)
10U/mL ADP-HK (旭化成工業社製)
1mM NADP(オリエンタル酵母社製)
5U/mL グルコース−6 −リン酸デヒドロゲナーゼ(東洋紡社製)
【0112】
2) 操作
上記試薬1.0mL をキュベットに取り、ミオイノシトール(シグマ社製)0、50、100、150、200μMを含む水溶液100μLを添加し、37℃にて反応を開始した。反応開始後、0分と5分の340nm における吸光度変化を読みとり、その差を求めた。結果を図3に示す。図3に示すように、ミオイノシトールに作用する酵素を用いることにより、ミオイノシトールを簡便に定量できた。
【0113】
【参考例6】(酵素を用いた高感度なミオイノシトールの定量)
1) ミオイノシトール定量高感度試薬
100mM POPSO緩衝液(pH 8.5)
2mM チオNAD (オリエンタル酵母社製、日本)
0.03mM NADH(オリエンタル酵母社製、日本)
3.5U/ml F.sp.671株由来のミオイノシトールデヒドロゲナーゼ
【0114】
2) 操作
上記試薬1ml をキュベットにとり、0 、5 、10、20、30、40、50μM のミオイノシトール( シグマ社製) 溶液20μl を添加し、37℃にて反応を開始させた。反応時間の1 分と3 分目に405nm における吸光度を読み取りその差をとり、1 分間あたりの吸光度変化を求めた。その結果を図4に示す。図4に示す通り、ミオイノシトール量に対する吸光度変化は良好な直線を示し酵素サイクリングを用いたミオイノシトールの高感度測定が可能であった。
また、本酵素はカイロイノシトールよりもミオイノシトールに特異性が高く、生体内ではミオイノシトールはカイロイノシトールに比べ大量に存在することから生体成分(血清、血漿、尿等)を測定するにあたり選択的に試料を前処理することなくミオイノシトールが測定できることが明らかになった。
【0115】
【実施例1】
(試料中のミオイノシトール測定による糖尿病予備群の判定)
検体;血清(糖尿病でない対象者の試料)
糖尿病状態の分類;正常型、境界型の判定は前記1999年改訂日本糖尿病学会の基準に基づき、また正常、IGT 、IFG の判定は1998年のWHO の基準に基づき行った。
【0116】
ミオイノシトール測定試薬;参考例1に同じ。
空腹時血糖;グルコースII−HAテストワコー(和光純薬社製)を用いて測定した。
空腹時インスリン値;インスリン(生研)EIA(デンカ生研社製)を用いて測定した。
HOMA;空腹時血糖(mg/dl)×インスリン値(μU/ml)/400
糖化ヘモグロビン;グリコヘモグロビン計(ハイオートエーワンシーHA-8150)京都第一科学社製を用いて測定した。
糖化アルブミン;グリコアルブミン計(GAA-2000)京都第一科学社製を用いて測定した。
フルクトサミン;オートワコーフルクトサミン(和光純薬社製)を用いて測定した。
【0117】
血清中イノシトールは主にミオイノシトールであり、カイロイノシトールは検出限界以下と考えられることから〔Richard E Ostland,Jr,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.90(1993) 9988-9992〕、ミオイノシトールの検量線を用いて定量を行った。結果を図5に示すが、境界型、IFG 及びIGT にてミオイノシトール定量値は危険率0.0001% 以下で有意に高値を示し、正常型の特徴的な値として平均値+標準偏差(平均値=20.1μmol/L 、標準偏差=6.8 μmol/L)に相当する27μmol/L 以上にて、80%の感度で有効に境界型、IFG 及びIGT を判定可能であった。また正常型の特徴的な値として平均値+2 ×標準偏差、平均値+3 ×標準偏差に置き換えてもよい。また境界型、IFG 及びIGT はインスリン抵抗性が原因であることが多く、試料のミオイノシトール定量値27μmol/L以上では、インスリン抵抗性の指標であるHOMAも高く(平均値=2.23、標準偏差=0.32)、ミオイノシトール定量値27μmol/L 未満ではHOMAは低く(平均値=1.77、標準偏差=0.29)、ミオイノシトールの定量によりインスリン抵抗性を判定することも可能であった。
【0118】
さらに他の糖尿病マーカーによる判定を、ミオイノシトールによる判定に加えた場合の境界型の検出感度、特異性を表4に示す。表4に示したとおり、他糖尿病マーカーによる判定を加えた場合に糖尿病の検出感度が上昇した。このときのカットオフ値は正常型の平均値+標準偏差で設定し、設定値は空腹時血糖110mg/dl(平均値99.5mg/dl 、標準偏差=9.0mg/dl)、HbA1c 値5.3 %(平均値5.0 %、標準偏差=0.3 %)、フルクトサミン値 220μmol/L(平均値 206μmol/L 、標準偏差=14μmol/L)、グリコアルブミン値15.0% (平均値14.2%、標準偏差=0.8 %)であった。
【0119】
【表4】
【0120】
【実施例2】
(試料中のミオイノシトール測定による糖尿病予備群の判定)検体;血清(75gブドウ糖負荷試験を施行した対象者から空腹時(施行前)、施行1時間後、及び施行2時間後に採取した試料)
尿(75gブドウ糖負荷試験を施行した対象者から空腹時(施行前)、施行1時間後、及び施行2時間後に採取した試料)
糖尿病状態の分類;正常型、境界型、及び糖尿病型の判定は前記1999年改定日本糖尿病学会の基準に基づき、また正常型、IFG 、IGT 、及び糖尿病型の判定は1998年のWHO の基準に基づき行った。
ミオイノシトール測定試薬;参考例6に同じ。
血糖;グルコースII−HAテストワコー(和光純薬社製)を用いて測定した。
クレアチニン;クレアチニン−HAテストワコー(和光純薬社製)を用いて測定した。
【0121】
尿中イノシトールは主にミオイノシトールであることから、ミオイノシトールの検量線を用いて定量を行った。75gブドウ糖負荷試験を施行前(空腹時)、施行1時間後、及び施行2時間後の尿中のミオイノシトールを定量し、同時に定量したクレアチニンで除し、一定濃度クレアチニン中のミオイノシトール濃度に換算した。結果を図6、及び表5に示すが、OGTT施行前においてIFG 、IGT 、及び糖尿病型においてミオイノシトール定量値は正常型に比しそれぞれ危険率 0.001%、0.02%、及び 0.001%以下で有意に高値を示した。正常型の特徴的な値として平均値+標準偏差(平均値=9.1 μg/mg、標準偏差=1.8 μg/mg)に相当する10.9μg/mg以上にて、有効にIFG 、IGT 、及び糖尿病型をそれぞれ 100%、80%及び 100%の感度で判定可能であった。また正常型の特徴的な値として、平均値+2×標準偏差、平均値+3 ×標準偏差に置き換えてもよい。
【0122】
【表5】
【0123】
さらに正常型ではOGTT施行1時間後、及び2時間後の尿中に排泄されるミオイノシトール量は施行前と比べほとんど変化しなかったが、IFG 、IGT 、及び糖尿病型では、施行前と比べて大きく上昇した。よってOGTT施行2時間後では IFG、IGT 、及び糖尿病型においてミオイノシトール定量値は正常型に比しそれぞれ危険率0.003 %、0.01%、及び0%以下で有意に高値を示した。正常型の特徴的な値として平均値+標準偏差(平均値=10.1μg/mg、標準偏差=3.1 μg/mg)に相当する13.2μg/mg以上にて、有効にIFG 、IGT 、及び糖尿病型をそれぞれ 100%、93%及び 100%の感度で判定可能であった。また正常型の特徴的な値として平均値+2×標準偏差、平均値+3×標準偏差に置き換えてもよい。OGTT施行前後では施行後の方が糖尿病予備群を判定する感度が上昇していた。これらの結果から本検査方法を用いることによりOGTTなどのブドウ糖負荷試験を行わずに糖尿病予備群、例えばIFG 、IGT 、糖尿病型、若しくはインスリン抵抗性を高感度に検出できることは言うまでもない。
【0124】
【実施例3】
(75g OGTT 2時間血糖地値と尿中ミオイノシトール測定値の相関)
ミオイノシトールの測定試薬; 参考例6に同じ。
ミオイノシトールのGC/MS 分析;参考例1に同じ。
血糖、クレアチニン;実施例2に同じ。
計算;尿中ミオイノシトールは参考例6の試薬で測定し、標準品の値からミオイノシトール濃度を算出した。
結果;75g OGTT施行時の2時間に於ける血糖値及び尿中ミオイノシトール値の相関を図7、表6に示す。酵素サイクリング法を用いた場合には、75g OGTT施行時の2時間に於ける血糖値及び尿中ミオイノシトール値との間に相関係数 r=0.70の高い相関が認められた。しかし一方、 GC/MS法を用いた場合には、75g OGTT施行時の2時間に於ける血糖値及び尿中ミオイノシトール値との間に相関は認められなかった。また図7からわかるようにIGT の基準、とりわけ耐糖能異常と関係があると考えられている75g OGTT施行時の2時間血糖値 140mg/dl に相当する尿中ミオイノシトール値は80μg/mgクレアチニンであり、直線近似式から得られた直線の95%信頼限界から68〜94μg/mgクレアチニン、さらに80%信頼限界から72〜90μg/mgクレアチニンが好ましい値であることが判明した。
中央値である80μg/mgクレアチニンをカットオフ値とすると75g OGTT施行時の2時間血糖値 140mg/dl 未満は96%がカットオフ値未満に含まれ、75g OGTT施行時の2時間血糖値 140mg/dl 以上は74%以上がカットオフ値以上に含まれた。本結果より前記の特徴的な値とするほかに75g OGTT施行時の2時間血糖値 140mg/dl に相当るすミオイノシトール定量値を特徴的な値とすることができることが判明した。
また耐糖能異常の程度を示す75g OGTTの2時間血糖値と尿中ミオイノシトール量に相関があることから尿中ミオイノシトールを酵素サイクリングを用いて測定することにより耐糖能異常の程度が判定できた。
【0125】
【表6】
【0126】
【発明の効果】
本発明によれば、血清、血漿、尿等の試料を用い、対象者が糖尿病を疾病していない正常型であるか否か、あるいは糖尿病との境界にある境界型、IGT、IFG もしくはインスリン抵抗性等の糖尿病予備軍に該当するか否かを簡便かつ再現性よく判定する糖尿病、特に糖尿病予備軍の検査方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例3に基づくミオイノシトールの検量線を示す。
【図2】参考例4に基づくピラノースオキシダーゼ法によるミオイノシトールの検量線を示す。
【図3】参考例5に基づくミオイノシトールキナーゼ法によるミオイノシトールの検量線を示す。
【図4】参考例6に基づく酵素サイクリング法によるミオイノシトールの検量線を示す。
【図5】実施例1に基づく血清中のミオイノシトールの定量分析結果を示す。
【図6】実施例2に基づく尿中のミオイノシトールの定量分析結果を示す。
【図7】実施例3に基づく尿中のミオイノシトールの定量分析結果を示す。
Claims (2)
- 75gグルコース負荷試験施行2時間後に得られた尿を前処理することなく、その中に含有されるミオイノシトールをミオイノシトールに特異的に作用するデヒドロゲナーゼで処理しその生成物を測定し、試料中に含まれるミオイノシトールの量を定量し、13μg / mgクレアチニン以上を糖尿病予備群あるいは糖尿病と判定することを特徴とする検査方法。
- デヒドロゲナーゼがクレブシーラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)TK24(FERM BP-6506)またはフラボバクテリウム・エスピー(Flavobacterium sp.)671(FERM BP-7323)由来のデヒドロゲナーゼである請求項1に記載の検査方法。
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