JP2001190299A - 糖尿病予備群の検査方法 - Google Patents

糖尿病予備群の検査方法

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JP2001190299A JP2000335277A JP2000335277A JP2001190299A JP 2001190299 A JP2001190299 A JP 2001190299A JP 2000335277 A JP2000335277 A JP 2000335277A JP 2000335277 A JP2000335277 A JP 2000335277A JP 2001190299 A JP2001190299 A JP 2001190299A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 患者から分離した試料を用いて、非糖尿病患
者と、糖尿病予備群を含む糖尿病患者とを簡便かつ正確
に分別する方法。 【解決手段】 試料を前処理することなくミオイノシト
ールを分解する酵素で処理し、試料中に含まれるミオイ
ノシトールを分解し、その分解物を測定し、試料中のミ
オイノシトール含量を定量する。その定量値によって、
正常型、糖尿病予備群 (境界型、耐糖能異常、空腹時血
糖異常上昇、インスリン抵抗性) 及び糖尿病を分別す
る。酵素としては、デヒドロゲナーゼ、キナーゼ、オキ
シダーゼ等が用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、正常型、糖尿病予
備群及び耐糖能異常の程度の検査方法に関する。本発明
において正常型とは、75g 経口グルコース負荷試験を行
った場合に、空腹時血糖110mg/dl未満かつ負荷後2時間
血糖140mg/dl未満である群を指す。また糖尿病予備群と
は境界型、耐糖能異常(impaired glucose tolerance,IG
T)、空腹時血糖異常上昇(impaired fasting glysemia,I
FG) もしくはインスリン抵抗性であるものをいう。さら
に糖尿病とは、例えば、グルコース負荷試験によりWH
Oが1998年に提示した判断基準で選別する若しくは日本
老健法に基づくHbA1cの値で判別する、その他フルクト
サミン、グリコアルブミン、1.5アンヒドロキシグルシ
トール等の血糖マーカーにより判定する、空腹時血糖に
よりWHOが1998年に提示した判断基準で選別されるも
のであり、またこれ以外でも糖尿病の判定が出来るもの
であれば何れの方法を用いて判定されても良い。本発明
によると、臨床検査において有用、簡便、かつ安価に正
常型、糖尿病予備群及び耐糖能異常の程度を検査するこ
とができる。
【0002】
【従来の技術】糖尿病予備群の検査、とりわけ、境界
型、IFG 、IGT 若しくはインスリン抵抗性の検査は、イ
ンスリン抵抗性解除薬の投薬の判断及びその効果の確認
は勿論、糖尿病及び生活習慣病の予防の観点から非常に
重要である。また糖尿病予備群は虚血性心疾患のリスク
としては糖尿病患者と同等(Yano.K, Kagan A,et.al. Am
JMed 721:71-80,1996)であり糖尿病群と同等の介入が
必要とも言われており、糖尿病予備群の検出は糖尿病群
の検出と同様に重要であると考えられている。
【0003】正常型、境界型、IFG 、IGT 及び糖尿病型
の診断は75g グルコース負荷試験により診断され、イン
スリン抵抗性はグルコース負荷試験時の血中インスリン
反応、インスリン静注テスト、Steady state plasma
glucose法、Hyperinsulinemic euglycemic glucose
clamp法、ミニマルモデル法等の試験により測定するこ
とが出来るが、いずれの方法も多大な労力と時間、煩雑
な操作を必要とする欠点があった。このため簡便な診断
方法、予測法の開発が望まれている。
【0004】一方、生体中のイノシトールの定量、特に
カイロイノシトール及びミオイノシトールの定量は糖尿
病状態の予測に有用と考えられている。糖尿病と非糖尿
病における尿中、血中のイノシトール量の変化を測定し
た例を下記の (a)〜(f) に示す。 (a) 尿中カイロイノシトール濃度が糖尿病で低下する
〔Larner J.et al.,New Eng.J.Med.,323,373-378(199
0)〕。 (b) 尿中カイロイノシトール濃度が糖尿病で上昇し、血
中カイロイノシトール濃度は糖尿病でも変化しない〔Ri
chard E.Ostland,Jr,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.90
(1993)9988-9992〕。 (c) 尿中ミオイノシトール濃度は糖尿病で上昇する〔La
rner J.et al.,New Eng.J.Med.,323,373-378(1990)〕。 (d) 血中ミオイノシトール濃度は糖尿病で変化しない
〔Richard E.Ostland,Jr,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.
90 (1993)9988-9992〕。 (e) 血中ミオイノシトール濃度は糖尿病で上昇する〔中
島 茂,日本臨床,増刊号,血液・尿化学検査・免疫学
的検査,第4版上巻 (1995)738-741〕。 (f) 血中ミオイノシトール濃度は糖尿病で上昇する〔Ro
switha Dolhofer,O.H.Wieland.,J.Clin.Chem.Clin.Bioc
hem., 25,733-736(1987)〕。
【0005】上記 (a)〜(f) はすべて糖尿病及び非糖尿
病におけるイノシトールの変化を測定したものであっ
て、この結果からイノシトールの測定により、非糖尿病
と分類される正常型と境界型、若しくは正常型とIFG 及
びIGT との判別が可能であるとは予測できない。なぜな
ら、あるマーカーの定量値が糖尿病患者で上昇したとし
ても、境界型、IGT 、IFG といった糖尿病予備群でも上
昇するとは限らないからである。例えば、糖尿病のマー
カーである糖化ヘモグロビンでは、糖尿病患者で有意に
定量値が上昇しても境界型では上昇しないことが明らか
にされている。同様の理由から上記 (a)〜(f) の結果か
ら正常型と境界型若しくは正常型とIFG 及びIGT の判別
が可能であるとも予測できない。さらに (a)〜(e) はす
べてGC−MASSを用いて測定したものであるが、(a) 及び
(b) 若しくは(d) 及び(e) のごとく測定者により結果が
異なっているためにデーターの再現性及び信頼性に問題
がある。
【0006】境界型及びインスリン抵抗性と正常型にお
ける尿中、血中のイノシトール量の変化をGC-MASS を用
いて測定した例を下記の (g)〜(h) び示す。 (g) 尿中カイロイノシトール量は正常型に比べ、境界型
及びインスリン抵抗性になれば減少し、尿中ミオイノシ
トール量は正常型、境界型において変化しない。〔Susu
mu Suzuki,Diabetes Care,Vol.17,No12(1994)1465-146
8〕。 (h) 前糖尿病状態では糖投与後に尿中カイロイノシトー
ルは正常型に比べ有意に上昇する(特願平11-106979
号) 。これらの(g) 、(h) は前記 (a)〜(e) 同様GC−MA
SSを用いて測定したものであるが測定者により結果が異
なっているためにデーターの再現性及び信頼性に問題が
ある。本発明者らの検討によると、健常者の生体内イノ
シトール濃度を含む 1〜50μM 程度の低いイノシトール
濃度領域でGC-MASS 法を用いた添加回収試験を行ったと
ころ、極めて低い回収率となりGC-MASS 法データーの信
頼性に問題があることが確認された。
【0007】イノシトールを定量する方法は、前記した
GC-MASS にて定量した報告〔Toshimitsu Niwa,J.Chroma
tography,227(1983),25-39〕、カイロイノシトールに特
異的な抗体を用いた免疫測定法(特開平8-21835 号公
報)及び酵素法〔Roswitha Dolhofer, O.H.Wieland.,
J.Clin.Chem.Clin.Biochem., 25,733-736(1987)〕等が
知られている。
【0008】前記GC−MASS法は前処理が必要で、しかも
操作が煩雑であるために、再現性、信頼性に問題があ
り、さらに多検体処理も困難である。前記免疫化学的な
方法は、高感度な反面、再現性、生体中に多量に存在す
る低分子物質の影響、単位時間あたりの検体処理能力、
コスト等の点で問題がある。また前記酵素法は煩雑な試
料の前処理を必要とし多数の検体の処理が困難である。
【0009】そこで本発明者らは精度が高く、簡便かつ
安価なイノシトールの定量方法を提供することを目的と
して前処理の要らない高感度な酵素法の開発(ミオイノ
シトールについては特公平6-61278 号 、カイロイノシ
トールについてはWO98-42863)を行ってきた。そして前
処理不用な酵素法が可能になって初めてイノシトールに
ついて信頼できるデータの取得が可能になった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、血
清、血漿、尿等の試料を用い、対象者が糖尿病を疾病し
ていない正常型であるか否か、あるいは糖尿病との境界
にある境界型、IGT 、IFGもしくはインスリン抵抗性等
の糖尿病予備群に該当するか否かを簡便かつ再現性よく
判定する糖尿病、特に糖尿病予備群の検査方法を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めには前処理の要らない簡便な酵素によるミオイノシト
ールの測定方法を用いて、正常型と非正常型に選別する
方法に関する。さらに、本発明は、糖尿病予備群すなわ
ち、境界型、IGT 、IFG である対象者を含む試料を測定
し、明確に正常型と糖尿病予備群あるいは糖尿病を見分
けられる定量値に関する。さらに糖尿病とは、例えばグ
ルコース負荷試験により WHOが1998年に提示した判断基
準で選別する若しくは日本老健法に基づくHbAlc の値で
判別する、その他フルクトサミン、グリコアルブミン、
1.5 アンヒドロキシグルシトール等の血糖マーカーによ
り判定する、空腹時血糖によりWHO が1998年に提示した
判断基準で選別されるものであり、またこれ以外でも糖
尿病の判定が出来るものであれば何れの方法を用いて判
定されてもよい。
【0012】そこで本発明者らは鋭意検討の結果、ミオ
イノシトールに作用する酵素を用いて前処理の要らない
簡便な方法で、かつ再現性良く試料中のミオイノシトー
ルを測定できること、さらに意外にも従来の知見とは異
なり糖尿病予備群である対象者のミオイノシトール定量
値が正常型である対象者のそれに比して有意に上昇し、
すなわち、特徴的な値の値以上である場合に、糖尿病予
備群あるいは糖尿病であると高い確率で判定できるこ
と、さらに糖尿病マーカー(例えば、空腹時血糖、糖化
ヘモグロビン、糖化アルブミン等)の測定値を測定し、
正常型の特徴的な値の値以上であるか否かをつけ加える
ことにより、さらに高い確率で糖尿病予備群あるいは糖
尿病若しくはインスリン抵抗性の判定ができることを見
出した。糖尿病は公知の方法で検査し除外すればよい。
【0013】すなわち、本発明は、このような目的を達
成するためになされたものであって、試料中のイノシト
ールを前処理無しに酵素を用いて定量し、その定量値が
特徴的な値に比べて有意に高い場合を糖尿病予備群ある
いは糖尿病を判定する検査方法である。さらに糖尿病予
備群あるいは糖尿病から糖尿病を除くことによって糖尿
病予備群を判定する検査方法に関する。
【0014】この場合、有意に高いとは、定量値が正常
型の平均値、及び標準偏差をもとにあらかじめ設定した
特徴的な値に比べて高いことをいう。そして特徴的な値
とは、試料が血清または血漿である場合は27μmol/L で
あり、試料が尿である場合は19μg/mg・クレアチニン、
若しくは16μg/mg・クレアチニン、好ましくは13μg/mg
・クレアチニンである。また今後大規模試験を行って、
臨床的に確定した正常型を判断したときにはこの特徴的
な値は変わることもあり得る。そしてイノシトールの定
量は、少なくともイノシトールに作用する酵素を用いて
行うことが好ましい。この平均値については、例えば人
種、性別、年齢等母集団の選択によって平均値は異な
る。試料としては、人体から分離された血清または血漿
が用いられる。また試料としては無侵襲で得られる尿が
用いられる。
【0015】さらに、本発明は、試料中のミオイノシト
ールを酵素を用いて定量し、その定量値が正常型の特徴
的な値にくらべて有意に高い場合を、糖尿病予備群ある
いは糖尿病若しくはインスリン抵抗性であると判定し、
このなかから糖尿病を除くことによりなる糖尿病予備群
及びインスリン抵抗性の検査方法に関する。このような
糖尿病マーカーとしては空腹時血糖、糖化ヘモグロビ
ン、糖化アルブミン、フルクトサミン等を例示すること
ができる。
【0016】以下、本発明及びその好ましい形態につい
て更に詳しく説明する。本発明の試料としては、人体か
ら分離された血液、例えば全血、血漿、血清及び血球若
しくは尿などの生体液等が挙げられが、これ以外の試料
でも人体から分離されミオイノシトールを測定すること
により正常型、糖尿病予備群あるいは糖尿病が判定でき
る試料であれば、何れの試料を用いてもよい。好ましい
試料としては被験者の負担を考慮すると無侵襲で得られ
る尿等が挙げられる。また本発明の糖尿病予備群の検査
方法は糖負荷や食事に関係なく試料を収集してもよい
が、糖負荷後及び食後に更に感度良く糖尿病予備群を検
査することが出来ることから、糖負荷後及び食後の試料
が好ましい。糖負荷後及び食後とは、グルコース負荷試
験後若しくは食事後を指し、グルコース負荷試験として
は経口負荷が好ましく、負荷量としてはグルコース50〜
200gが好ましく、75gが最も好ましい。試料を採取する
時間は糖負荷後及び食後の0 〜6 時間の試料が好まし
く、0.5〜3 時間の試料が最も好ましい。
【0017】ミオイノシトールを定量するには、酵素を
用いミオイノシトールを定量出来る方法であればいずれ
の方法を用いて測定してもよい。
【0018】本発明に使用しうるミオイノシトールを定
量できる酵素としては少なくともミオイノシトールに作
用する酵素であればいかなる酵素を用いてもよい。公知
のミオイノシトールに作用する酵素、例えばイノシトー
ルオキシゲナーゼ(E.C.1.13.99.1)、イノシトールデヒ
ドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.18) 、イノシトールキナーゼ
(E.C.2.7.1.64)、イノシトールメチルトランスフェラ
ーゼ(E.C.2.1.1.39)等の酵素が本発明に使用しうるこ
とは言うまでもない。また、本発明者らが広く自然界よ
りミオイノシトールに作用する酵素をスクリーニングし
た結果、様々な細菌がミオイノシトールに作用するデヒ
ドロゲナーゼを生産することを見出した。以下にミオイ
ノシトールに作用するデヒドロゲナーゼ生産菌の例を示
す。しかし、これらは1例に過ぎず本発明を何ら制限す
るものではない。
【0019】(1) バチルス属(Batillus);バチルス・
ズブチリス(subtilis;PCI-219 株、IFO-13586 株、IA
M-1026、NRRL B-3639)、バチルス・レンタス(lentus)
、バチルス・スファエリカス(sphaericus;IAM-128
6)、バチルス・セレウス (scereus ;IFO-3009)、バ
チルス・エスピーNo.3(sp.No.3 ; FERM BP-5881)、バ
チルス・パミルス(pumilus ;Appl Microbiol and Bi
oteck 15(1)52-55,1982)。 (2) ブレビバクテリウム属(Brevibacterium) ;ブレビ
バクテリウム・アモニアゲネス(ammoniagenes;IAM-16
41)、ブレビバクテリウム・ディバリカツム(divarica
tum ;NRRL-2311)。
【0020】(3) シュードモナス属(Pseudomonas);シ
ュードモナス・フルオレッセンス(fluorescens)、シュ
ードモナス・エスピー(sp.)、シュードモナス・アエル
ギノーサ(aeruginsa ;NTCT-10490) 、シュードモナス
・マルトフィリア(maltophilia ;IFO-12020)、シュー
ドモナス・プチダ(putida) 、シュードモナス・メフィ
ティカ(mephitica)、シュードモナス・バイエリンキー
beijerinckii;Monatshe Chem 1001327-1337、196
9)。
【0021】(4) 酵母属(Yeast);クリプトコッカス・
メリビオサム(Cryptococcus ・melibiosum;IGC-393
9)。 (5) キサントモナス属(Xanthomonas);キサントモナス
・オリゼ(oryzae;IFO12000)。 (6) ビブリオ属(Vibrio) ;ビブリオ・エスピー(s
p.)。 (7) ストレプトコッカス属(Streptococcus);ストレプ
トコッカス・ディスガラクチエ(dysgalactiae) 。 (8) アグロバクテリウム属(Agrobacterium);アグロバ
クテリウム・ツメファシエンス(tumefaciens ;ATCC-4
720)、アグロバクテリウム・ラディオバクター(radiob
acter ; IFO-13259)、アグロバクテリウム・リゾゲネス
1215(rhizogenes1215;FERM BP-6270)。
【0022】(9) ミクロコッカス属(Micrococcus);ミ
クロコッカス・リソディクティカス(lysodeiktcus;IF
O-3333) 、ミクロコッカス・ルテウス(luteus;IFO-30
67)、ミクロコッカス・グルタミカス(glutamicus;AT
CC-13032)。 (10)エンテロバクター属(Enterobacter) ;エンテロバ
クター・アエロゲネス(aerogenes)。 (11)コリネバクテリウム属(Corynebacterium);コリネ
バクテリウム・アクアティカム(aquaticum ;IFO-1215
4)。
【0023】(12)アルスロバクター属(Arthrobacter)
; アルスロバクター・プロトフォルミア(protophormi
a)。 (13)エルビニア属(Erwinia);エリビニア・エスピー
(sp.)。 (14)クレブシーラ属(Klebsiella) ;クレブシーラ・ニ
ューモニエTK24(pneumoniae; FERM BP-6560)。 (15)ニューロスポラ属(Neurospora) ;ニューロスポラ
・クラッサ(crassa;Biochim Biophys Acta 136(3)7
17、1977)。 (16)アエロバクター属(Aerobacter); アエロバクター
・アエロゲネス(aerogenes ;J.B.C.241(4) 800-806、
1966)。 (17)アセトモナス属(Acetomonas) ; アセトモナス・オ
キシダンス(oxydans;NCIB-621)。
【0024】(18)アセトバクター属(Acetobacter);ア
セトバクター・スボキシダンス(suboxydans;Helv Ch
em acta 50(7)1801-10、1967)。 (19)セラチア属(Serratia) ;セラチア・マルセセンス
marcescens;Allg Mikrobiol 16(4)327-328、1976)
。 (20)リゾビウム属(Rhizobium);リゾビウム・トリフォ
リ(trifolii;j.Bacteriol 141(3) 1109-1114、1980)
。 (21)ストレプトマイセス属(Streptomyces) ;ストレプ
トマイセス・ロゼオグリセウス301(roseogriseus 301;
FERM BP-6269)。 (22)エシェリヒア属(Escherichia);エシェリヒア・コ
リ(coli;NCTC-8959)。 (23)フラボバクテリウム属(Flavobacterium) ; フラボ
バクテリウム・エスピー(sp. ; ATCC-21429、FERM BP-
7323) 、フラボバクテリウム・アクアタイル(aquatil
e;IFO-3772)。 (24)動物由来;ほ乳類の脳由来ミオイノシトールオキシ
ドレダクターゼ(BioChem Biophys Res Commun 68
(4)1133-1138,1976)、動物精子由来イノシトールデヒド
ロゲナーゼ(Dokl Bolg Aked Nauk 24(12)1699-1700、19
71) 。
【0025】試料中のミオイノシトールのみを測定する
目的には、カイロイノシトールよりもミオイノシトール
に特異性の高いデヒドロゲナーゼ、好ましくはミオイノ
シトールに作用し実質的にカイロイノシトールに作用し
ない酵素であれば何れのものでも使用できる。その具体
例としては、特願平 10-270948号(1998年 9月25日出
願)記載のクレブシーラ・ニューモニエ(Klebsiella
pneumoniae)TK24(FERMBP-6506;以下K.p.TK24と略す
る。)及びフラボバクテリウム・エスピー(Flavobacte
rium sp.)671(FERM BP-7323、以下F.sp.671と略す
る。)が生産する酵素が挙げられる。
【0026】なお、K.p.TK24株、B.sp.No3株及びF.sp.6
71株は日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号所在の通
商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に、それぞ
れ受託番号FERM BP-6506(受託日平成10年9月17日)、
及び受託番号FERM BP-5881(受託日平成9年3月19日)
及び受託番号FERM BP-7323(受託日平成12年10月12日)
として寄託されている。
【0027】K.p.TK24株はグラム陰性の短桿菌で、胞子
を形成しない通性嫌気性菌であること、運動性がないこ
と、乳糖からのガス生成があること等から大腸菌群であ
り、カタラーゼ産生、ウレアーゼ産生等の酵素産生能、
糖からの酸の生成等から、クレブシーラ・ニューモニエ
・サブエスピー・ニューモニエ(Klebsiella pneumoni
ae subsp.pneumoniae)と同定され、本菌株をクレブシ
ーラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae) TK24株
と命名した。
【0028】F.sp.671株はグラム陰性の桿菌で、好気性
菌であること、運動性がないこと、細胞内顆粒にポリβ
ハイドロキシ酪酸が存在しないこと、カタラーゼ産生、
オキシダーゼ産生及びフォスファターゼ産生等の酵素産
生能から、フラボバクテリウム(Flavobacterium)属で
あること、また糖からのガス生成等からフラボバクテリ
ウム・エスピー(Flavobacterium sp.)671(FERM BP-73
23)と同定され、本菌株をフラボバクテリウム・エスピ
ー(Flavobacterium sp.)671 株と命名した。
【0029】B.sp.No.3株の菌学的性質はWO98-42863号
公報に公開されている。
【0030】本発明に使用したデヒドロゲナーゼ生産菌
としては、上記のK.p.TK24株、B.sp.No.3 株及びF.sp.6
71株等が挙げられるが、細菌の一般的性状として菌学上
の性質は変異しうるものであるから、自然的にあるいは
通常行われる紫外線照射、放射線照射または変異誘導
剤、例えばN-メチル-N'-ニトロ-N- ニトロソグアニジ
ン、エチルメタンスルホネート等を用いる人工的変異手
段により変異しうる人工変異株は勿論、自然変異株も含
め、クレブシーラ属若しくはフラボバクテリウム属に属
し、ミオイノシトールに特異性の高いデヒドロゲナーゼ
を生産する能力を有する菌株、また、バチルス属に属
し、ミオイノシトール及びカイロイノシトールに作用す
るデヒドロゲナーゼを生産する能力を有する菌株は、イ
ノシトール類からカイロイノシトールを除きミオイノシ
トールを算出する目的として、すべて本発明に使用する
ことができる。イノシトール類からカイロイノシトール
を除きミオイノシトールを算出する目的として、また上
記デヒドロゲナーゼを発現する遺伝子を、微生物に導入
した形質転換微生物も使用できる。イノシトールに作用
するキナーゼ、オキシダーゼについても同様である。
【0031】上記の培養は、細菌の培養に一般的に用い
られる条件によって行うことができる。培地としては微
生物が同化しうる炭素源、消化しうる窒素源、さらには
必要に応じ、無機塩などを含有させた栄養培地が使用さ
れる。同化しうる炭素源としては、グルコース、フルク
トース、サッカロース、イノシトールなどが単独または
組み合わせて用いられる。消化しうる窒素源としては、
例えばペプトン、肉エキス、酵母エキス、等が単独また
は組み合わせて用いられる。その他必要に応じてリン酸
塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、ナト
リウム塩、その他、鉄、マンガン等の種々の重金属塩等
が使用される。また上記以外に公知の同化しうる炭素
源、消化しうる窒素源が使用できる。
【0032】培養は、通常振とう培養または通気攪拌培
養などの好気的条件下で行うのが良く、工業的には深部
通気攪拌培養が望ましい。培養温度は生産菌が発育し、
前記の酵素を生産する範囲内で適宜変更しうるが、通常
は20〜60℃、B.sp.No.3 株では、特に50℃付近が、 K.
p.TK24 株及びF.sp.671株は、特に30℃付近が好まし
い。培養時間は培養条件によって異なるが、前記酵素が
高力価に達する時期を見計らって適当な時間培養すれば
よい。通常は1〜2日程度である。これらの培地組成、
培地の液性、培養温度、攪拌速度、通気性等に応じて好
ましい結果が得られるように適宜調節選択される。また
液体培養において発泡がある場合は、シリコン油、植物
油等の消泡剤が適宜使用される。
【0033】このようにして得られたデヒドロゲナーゼ
は、主として菌体内に含有されるので、得られた培養物
から濾過または遠心分離の手段により集菌し、この菌体
を超音波処理、フレンチプレス処理、ガラスビーズ処
理、凍結破砕処理等の機械的破壊手段やリゾチーム等の
酵素的破壊手段等の種々の菌体処理手段を適宜組み合わ
せて、粗精製の酵素含有液が得られる。
【0034】精製は、例えば、硫安、硫酸ナトリウム等
を添加する塩析沈殿法や、分子篩い、各種の樹脂を用い
たクロマトグラフィー、各種電気泳動、超遠心分離法、
各種脱塩法、加熱や化学薬品による処理等を適宜組み合
わせて行う。例えばクロマトグラフィーとしては陽イオ
ン、陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー、分配、吸着クロマトグラフ
ィー、順相、逆相クロマトグラフィー、疎水クロマトグ
ラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ
ー、アフィニティークロマトグラフィー等が使用でき
る。
【0035】精製後の保存は、液状もしくは凍結乾燥品
を、冷蔵、凍結等の条件にて保存できる。また液状の保
存の場合、酵素を安定に保存する目的で、凍結乾燥時に
は溶解時の溶解性や溶解後の安定性を保つ目的で各種安
定化剤を添加するとよい。安定化剤としては糖類、例え
ばマンニトール、サッカロース、ソルビトール等、アミ
ノ酸、例えばグルタミン酸、グリシン等、ペプチドまた
は蛋白質、例えばアルブミン等、2価の金属イオン、例
えば塩化マグネシウム等が挙げられる。安定剤の使用量
は 0.1〜50%が好ましい。
【0036】精製されたK.p.TK24株、B.sp.No3株及びF.
sp.671株由来のイノシトールデヒドロゲナーゼの活性測
定法は以下の通りである。 (1) 活性測定法 <反応液組成> 100mM トリス緩衝液(pH8.5) 20mM ミオイノシトール(シグマ社製 米国)若しく
はカイロイノシトール(和光純薬社製 日本) 2mM ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)
(オリエンタル酵母社製、日本) 5U/ml ジアフォラーゼ(旭化成工業社製、日本) 0.025 % ニトロブルーテトラゾリウム(NBT ;和光
純薬社製) 1.5 % トリトン(Triton)-X100 (和光純薬社製、
日本)
【0037】上記反応液1ml を小試験管に入れ、37℃で
5 分間インキュベート後に、B倍に希釈した酵素液20μ
l を添加して攪拌し、反応を開始する。正確に5 分間の
反応後に0.1NHCl 2ml を添加して攪拌し反応を停止す
る。550nm に於ける吸光度を測定し、A1を求め、また上
記反応液よりミオイノシトール若しくはカイロイノシト
ールを除いた反応液を用いて同様の測定を行いその吸光
度A0を求める。酵素活性は下記の式より算出する。
【0038】
【数1】
【0039】式中の数値は、次の意味である。 18.3 ; NTB の分子吸光係数 5 ; 反応時間 3.02; 総反応液量 0.02; 酵素液量 B ; 酵素液の希釈倍率
【0040】精製されたK.p.TK24株、B.sp.No3株及びF.
sp.671株由来のイノシトールデヒドロゲナーゼの性状は
以下の通りである。 (2) 酵素作用 少なくともミオイノシトール若しくはカイロイノシトー
ルおよび補酵素の存在下、イノソース及び還元型補酵素
を生成する。上記の補酵素に関しては、ニコチンアミド
アデニンジヌクレオチド類(以下NAD 類と略する)、例
えば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、
アセチルピリジンアデニンジヌクレオチド(アセチルNA
D)、ニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチド(デ
アミノNAD)、ピリジンアルデヒドアデニンジヌクレオチ
ド(アルデヒドNAD)、ピリジンアルデヒドヒポキサンチ
ンジヌクレオチド(アルデヒドデアミノNAD)が挙げられ
る。各補酵素を用いた場合の相対活性比(NAD を補酵素
として用いた場合を100 %とする)は表1に示すとおり
である。また相対活性は下記の方法に基づき補酵素を変
えて測定を行った。
【0041】
【表1】
【0042】 相対活性測定法 <反応液組成> 緩衝液 100mM グリシン緩衝液(pH10.0) 基質 20mM ミオイノシトール(K.p.TK24株、 F.sp.671 株由来) 10mM カイロイノシトール(B.sp.No.3 株由来) 補酵素 2mM (K.p.TK24株、F.sp.671株由来) 1mM (B.sp.No.3株由来) (NAD、チオNAD 、NADP、チオNADP;以上オリエンタル酵母社製 日本国、 アセチルNAD 、アルデヒドNAD 、デアミノNAD ;以上シグマ社製 米国)。
【0043】上記の反応液1ml を石英セルにとり、37℃
に温度コントロールされている分光光度計にセットす
る。5分以上インキュベートし、約1.0U/ml の酵素溶液
を20μlを添加、攪拌する。それぞれの還元型補酵素に
特有な波長の1分間当たりの吸光度変化より初速度を求
める。
【0044】(3) 基質特異性 前記の相対活性測定法に従い、反応液中の基質に変えて
同一濃度のD-マンノース、D-フルクトース、D-ガラクト
ース、マンニトール、エピイノシトール、サイロイノシ
トールを測定した。ミオイノシトールに対する反応初速
度を 100とした場合の各基質における酵素活性を表2 に
示す。K.p.TK24株由来の酵素は、カイロイノシトールよ
りもミオイノシトールに特異性が高く、実質的にカイロ
イノシトールに作用しないデヒドロゲナーゼであるこ
と、F.sp.671株由来の酵素はミオイノシトールに特異性
が高い酵素であること、B.sp.No.3 由来の酵素は、ミオ
イノシトール及びカイロイノシトールに作用するデヒド
ロゲナーゼであることが明らかである。
【0045】基質としては、D-マンノース、D-フルクト
ース、D-ガラクトース、マンニトール、D-カイロイノシ
トール(以上、和光純薬社製、日本)、ミオイノシトー
ル、エピイノシトール、サイロイノシトール(以上、シ
グマ社製、米国)を用いた。
【0046】
【表2】
【0047】(4) 至適pH K.p.TK24由来; pH10.0付近(基質;ミオイノシトー
ル) B.sp.No.3 由来;pH11.0付近(基質;カイロイノシトー
ル) F.sp.671由来; pH11.0付近(基質;ミオイノシトー
ル)
【0048】前記の相対活性測定法を用い、反応液中の
100mM のpH10.0グリシン緩衝液にかえて 100mMトリス緩
衝液(pH7.0〜9.0)及び100mM グリシン緩衝液(pH9.0〜1
1.0)の各緩衝液を用いて測定した。
【0049】(5) 分子量 K.p.TK24 由来; 75000±15000 B.sp.No.3 由来;135000±10000 F.sp. 671 由来; 40000±10000
【0050】TSK ゲルG300SW(0.75φ×600mm)、溶離
液;50mMリン酸緩衝液(pH7.5)+0.2MNa2SO4 +0.05%N
aN3、分子量マーカーはオリエンタル酵母社製(日本)
を使用した。クロマトグラフィー装置は島津社製装置
(日本)を使用し、UV280nm 及びフラクションの活性測
定にて検出した。活性測定はK.p.TK24由来及び F.sp.67
1由来の酵素はミオイノシトールを基質として用い、B.s
p.No.3 由来の酵素はカイロイノシトールを基質として
用いた。
【0051】(6) 熱安定性 K.p.TK24 由来;40℃、15分の処理でほぼ 100%の残存
活性を有する。 B.sp.No.3 由来;60℃、15分の処理でほぼ 100%の残存
活性を有する。 F.sp.671由来 ;40℃、15分の処理でほぼ 100%の残存
活性を有する。
【0052】酵素液、約5U/ml に15分間の加熱処理を行
った。残存活性は前記の酵素活性測定法にて測定した。
活性測定はK.p.TK24及びF.sp.671由来の酵素はミオイノ
シトールを基質として用い、B.sp.No.3 由来の酵素はカ
イロイノシトールを基質として用いた。
【0053】(7) Km値 前記の相対活性測定法を用い、ミオイノシトール若しく
はカイロイノシトールの濃度及び、NAD 及びチオNAD の
濃度を変化させそれぞれのKm値を測定した。なお、K.p.
TK24由来酵素は2mM のNAD を用い基質に対するKm値を測
定し、20mMミオイノシトールを用いて補酵素のKm値を測
定し、B.sp.No.3 由来の酵素は1mM のNAD を用い基質に
対するKm値を測定し、10mMミオイノシトールを用いて補
酵素のKm値を測定した。またF.sp.671株由来酵素は前記
活性測定法を用いて基質濃度を変化させKm値を算出し
た。
【0054】
【0055】
【0056】本発明に使用しうるオキシダーゼとして
は、ミオイノシトールに作用するオキシダーゼであれば
如何なるオキシダーゼを用いてもよいが、例えばイノシ
トールオキシゲナーゼ及びピラノースオキシダーゼ等が
あげられる。イノシトールオキシゲナーゼ(Biochem.Bio
phys.Acta 167,501-510,1968) 及びピラノースオキシダ
ーゼ(Biochem.Biophys.Acta 167,493-500,1968) は公知
であり、精製法、性質についても同様に公知である。
【0057】本発明に使用しうるキナーゼとしては、ミ
オイノシトールに作用するキナーゼであれば如何なるキ
ナーゼを用いてもよいが、例えばミオイノシトールキナ
ーゼ等があげられる。イノシトールキナーゼ(Biochem.B
iophys.Res.Commum 19,558-562,1965)は公知であり、精
製法、性質についても同様に公知である。
【0058】本発明に用いることのできるミオイノシト
ールを定量するデヒドロゲナーゼを用いた液組成につい
ては、使用しうる酵素濃度は0.01〜1000U/ml、特に0.05
〜500 U/mlが好ましく、使用するデヒドロゲナーゼの各
種補酵素間のKm値等を考慮して補酵素を1種類またはそ
れ以上適宜選択し、その後、至適pHの曲線から反応が効
率よく進行するよう反応液pHを適宜設定すればよい。
【0059】ミオイノシトールを単独で測定する場合に
は、例えば前記したK.p.TK24株若しくはF.sp.371株由来
のイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼを用いれば
良く、K.p.TK24株由来のデヒドロゲナーゼを用いる場合
には補酵素としては、反応しうる補酵素であれば何れの
補酵素を用いてもよいが、好適にはNAD であり、例えば
NAD に対するKm値は1.5mM であるから NADの濃度は 0.0
2M〜500mM 、好ましくは 0.1〜100mM である。また至適
pHは10付近であるから、反応のpHは 8〜12、特に 9〜11
が好ましく、特にカイロイノシトールに対する作用がほ
ぼ確認できなくなり、かつミオイノシトールに対する酵
素活性が最大になるpH10付近が最も好ましい。
【0060】F.sp.371株由来のデヒドロゲナーゼを用い
る場合には、補酵素としては、反応しうる補酵素で有れ
ば何れの補酵素を用いてもよいが、好適にはNAD 若しく
はチオ NADであり、例えば NADに対するKm値は0.04mMで
あるから NADの濃度は0.005M〜50mM、好ましくは0.01〜
10mMであり、チオ NADに対するKm値は4.5mM であるから
チオ NADの濃度は 0.02M〜20mM 、好ましくは 0.1〜10
mMである。また至適pHは10付近であるから、反応のpHは
8〜12、特に 9〜11が好ましい。
【0061】ミオイノシトール及びカイロイノシトール
をイノシトール類として同時に定量する酵素反応液組成
については、例えばB.sp.No3由来の酵素を用いれば良
く、補酵素としては反応しうる補酵素であれば何れの補
酵素を用いてもよいが、好適にはNAD 、チオNAD であ
り、例えばNAD に対するKm値は0.5mM であるから NADの
濃度は0.01〜100mM 、好ましくは0.05〜50mMであり、チ
オNAD に対するKm値は0.9mMであるからチオNAD の濃度
は0.02〜100mM 、好ましくは 0.1〜50mMであり、また至
適pHは11付近であるから、反応のpHは 6〜13、特に 8〜
12が好ましい。
【0062】また前記ミオイノシトール及びカイロイノ
シトールを単独で測定する場合及びミオイノシトール及
びカイロイノシトールをイノシトール類として同時に測
定する場合の反応液組成については、イノシトールを定
量する試料の種類や量等により適宜決定することがで
き、これ以外の酵素や、これ以外の量を用いることもで
きる。
【0063】同様にカイロイノシトールを単独で測定す
る場合には、例えば前記したS.r.301 株由来のイノシト
ールデヒドロゲナーゼを用いれば良く、補酵素としては
反応しうる補酵素で有れば何れの補酵素を用いてもよい
が、好適にはNAD 類(NAD 、アセチルNAD 及びデアミノ
NAD)であり、NAD 類の濃度は 0.02M〜500mM 、好ましく
は 0.1〜100mM であり、また至適pHは9付近であるか
ら、反応のpHは7〜11、特に8 〜10が好ましい。
【0064】ミオイノシトールに作用するオキシダーゼ
を用いる場合の反応液組成については、使用しうる酵素
濃度は0.01〜1000U/ml、特に0.05〜500 U/mlが好まし
く、至適pHの曲線から反応が効率よく進行するよう反応
液pHを適宜設定すればよい。例えば前記したイノシトー
ルオキシゲナーゼ若しくはピラノースオキシダーゼ等を
用いれば良く、ピラノースオキシダーゼを用いる場合に
は、至適pHが 6.0〜8.0であるから反応のpHは 6.0〜8.0
が好ましい。
【0065】ミオイノシトールに作用するキナーゼを用
いる場合の反応液組成については、使用しうる酵素濃度
は0.01〜1000U/ml、特に0.05〜500 U/mlが好ましく、次
いで反応に必要なATP 等の燐酸供与体及びマグネシウム
等の金属塩の濃度を設定し、至適pHの曲線から反応が効
率よく進行するよう反応液pHを適宜設定すればよい。例
えば前記したイノシトールキナーゼを用いる場合には、
生体中のイノシトールの量はおおむね10mM以下であるか
ら ATPの濃度としては1〜10mMが好ましく、マグネシウ
ムは 1〜30mMが好ましく、イノシトールキナーゼの至適
pHは 6〜9 であるから反応のpHは 6〜9 が好ましい。ま
たミオイノシトールを定量するに当たって、さらに高感
度が必要な場合には酵素サイクリング法を用いることが
できる。下式にその1例を示す。
【0066】
【化1】
【0067】式中、生成物とは、イノシトールがミオイ
ノシトールである場合にはミオイノソース2 であり、カ
イロイノシトールである場合にはカイロイノシトールか
ら2原子または4原子の水素原子が引き抜かれた化合物
を示し、A1はNAD(P)類、またはチオNAD(P)類を示し、A2は
A1の還元型を示し、B1はA1がチオNAD(P)類の場合には還
元型NAD(P)類を、A1がNAD(P)類の場合には還元型チオNA
D(P)類を示し、B2はB1の酸化型生成物を示す。
【0068】酵素サイクリングを用いたイノシトール定
量反応の液組成については、使用するイノシトールに作
用するデヒドロゲナーゼの各種補酵素間のKm値等を考慮
して補酵素を2種類またはそれ以上適宜選択し、その後
正反応/逆反応の至適pHの間でpH条件を酵素的サイクリ
ングが効率よく進行するように設定すればよい。A1、B1
の量は試料中のイノシトール量に比較して過剰量であ
り、またイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼのA
1、B1に対するKm値に比較しても過剰量であることが必
要である。
【0069】例えばB.sp.No.3 由来のイノシトールデヒ
ドロゲナーゼについてみれば、Km値はNAD 、チオNAD に
ついてそれぞれ0.50、0.87mMと小さくチオNAD 、NAD を
補酵素とし選択することができる。またサイクリング反
応を行う場合に、チオNAD を用いた場合の正反応の至適
pHは10.5付近であり、NADHを用いた逆反応の至適pHが10
付近であることからチオNAD 、NADHを補酵素として選択
しpH10付近でサイクリングを行うとよい。A1及びB1の濃
度は0.02mM〜2M、特に0.05〜100mM が好ましく、ミオイ
ノシトール及びカイロイノシトールに作用する酵素の量
は 1〜1000U/ml、特に5〜500U/ml が好ましいが、その
量は被検体の種類や量等により適宜決定することがで
き、これ以外の量用いることもできる。
【0070】酵素サイクリング法は前記のようにイノシ
トールに作用するデヒドロゲナーゼ単独でも行うことは
出来るが、イノシトールに作用するオキシダーゼや至適
pHの異なる他のイノシトールに作用するデヒドロゲナー
ゼと組み合わせればさらに効果的である。
【0071】またカイロイノシトール及びミオイノシト
ールを選択的に高感度で測定する場合には、カイロイノ
シトールに特異性の高い酵素及びミオイノシトールに特
異性の高い酵素を用いて酵素サイクリング法等を用いて
測定すればよいが、特異性の異なる酵素を用いて測定し
それぞれの測定されたシグナルから計算式を用いてミオ
イノシトールの量を求めても良く、またカイロイノシト
ールに特異性の高い酵素を用いてカイロイノシトールを
消去し、該反応液をミオイノシトールに作用する酵素を
用いた高感度測定法で測定すればよい。
【0072】計算式を用いてミオイノシトール及びカイ
ロイノシトールを選択的に測定する方法としては、例え
ばB.sp.No3由来の酵素及びF.sp.671由来の酵素を用いて
酵素サイクリング法にて測定を行った場合が挙げられ
る。これらの酵素は生体試料中ではイノシトールに特異
性が高く、イノシトールのみを測定していると考えら
れ、酵素サイクリングのシグナルはミオイノシトールか
ら得られるシグナルとカイロイノシトールから得られる
シグナルの和と考えられる。例えばB.sp.No3由来の酵素
を用いて下記の反応液にてカイロイノシロール及びミオ
イノシトールの標準液を測定すると 吸光度変化mABS/min = 1.2×カイロイノシトール濃度
(μM) 吸光度変化mABS/min = 0.1×ミオイノシトール濃度 (μ
M) となることから、B.sp.No3由来の酵素を用いて酵素サイ
クリングにて生体試料を測定すると下式(1) が得られ
る。
【0073】 吸光度変化(B.sp.No3)mABS/min = 1.2×カイロイノシトール濃度 (μM) + 0.1 ×ミオイノシトール濃度 (μM) (1)
【0074】<反応液組成> 100mM グリシン緩衝液 pH9.8 2.0mM チオNAD 30μM NADH 100U/ml イノシトールに作用するデヒドロゲナーゼ(B.s
p.No3 由来)
【0075】同様にF.sp.671由来の酵素を用いて下記の
反応液にてカイロイノシロール、ミオイノシトールの標
準液を測定すると 吸光度変化mABS/min = 0.03 ×カイロイノシトール濃度
(μM) 吸光度変化mABS/min = 0.2×ミオイノシトール濃度 (μ
M) となることから、F.sp.671由来の酵素を用いて酵素サイ
クリングにて生体試料を測定すると下式(2) が得られ
る。 吸光度変化(F.sp.671)mABS/min =0.03×カイロイノシトール濃度 (μM) + 0.2 ×ミオイノシトール濃度 (μM) (2)
【0076】<反応液組成> 100mM POPSO 緩衝液 pH8.5 2.0mM チオNAD 30μM NADH 4U/ml イノシトールに作用するデヒドロゲナーゼ(F.s
p.671 由来)
【0077】上記の(1),(2) 式の連立方程式を解くと下
式のようにミオイノシトールの量を算出することができ
る。 ミオイノシトール濃度 (μM) = 6.1×△mABS/min(F.sp.
671) - 0.1×△mABS/min(B.sp.No3)
【0078】またF.sp.671由来の酵素を用いた場合、生
体内ではカイロイノシトールに比しミオイノシトールは
大量に存在する。よってカイロイノシトール濃度 (μM)
<<ミオイノシトール濃度 (μM)であり、式(2) は 吸光度変化(F.sp.671)mABS/min≒ 0.2×ミオイノシトー
ル濃度 (μM) と見なすことが出来、本試薬単独でミオイノシトール濃
度を高感度に測定できる。
【0079】特異性の高い酵素を用いカイロイノシトー
ルを消去する反応は、カイロイノシトールに特異性の高
い酵素であればいずれの酵素でも用いることが出来る
が、例えばイノシトールに作用するデヒドロゲナーゼ、
オキシダーゼ及びキナーゼが挙げられる。
【0080】除タンパクは公知の除タンパク法はもちろ
ん、除タンパクができる方法であれば何れの方法を用い
てもよいが、例えばエタノール、アセトン、TCA 等を用
いた方法、分子量1 万程度の分画膜を用いる方法等を用
いればよい。ミオイノシトールをさらに選択的かつ高感
度に測定する場合には、前記カイロイノシトールに特異
性の高いイノシトールデヒドロゲナーゼを用いてカイロ
イノシトールをカイロイノソース2となし、カイロイノ
シトールを分解、除タンパクし、前記酵素サイクリング
試薬を用いてミオイノシトールを測定すればよい。カイ
ロイノシトールをカイロイノソース2 となす反応は、前
記カイロイノシトールを単独で測定する液組成を使用す
ることができ、カイロイノソース2 を分解する反応は、
カイロイノソース2 を分解できる条件であれば何れの方
法を用いてもよいが、酸化剤処理、熱処理、アルカリ処
理等で分解でき、最も簡便な方法は熱処理であり、50℃
−15分以上、好ましくは60℃−15分以上の処理を行えば
よい。カイロイノシトールに特異性の高い酵素を用いて
カイロイノシトールの消去反応を行うとよい。
【0081】ミオイノシトールに作用するオキシダーゼ
及びキナーゼを用いる場合には、例えばカイロイノシト
ールオキシゲナーゼはカイロイノシトールをグルクロン
酸に変化さることから、カイロイノシトールオキシゲナ
ーゼを試料と反応せしめ、該反応液中のイノシトールを
酵素サイクリング法等を用いて高感度に測定すればミオ
イノシトールを特異的に測定することが出来る。同様に
カイロイノシトールキナーゼはカイロミオイノシトール
をカイロイノシトール1燐酸に変化させることから、同
様に該反応液中のイノシトールを酵素サイクリング法等
を用いて高感度に測定すればミオイノシトールを特異的
に測定することが出来る。
【0082】さらに、試料中のイノシトール類を酵素サ
イクリングを用いて同時に定量し、一方前記の方法を用
いて試料中のカイロイノシトールを単独で高感度に定量
し、その差からミオイノシトール量を求めることもでき
る。
【0083】またミオイノシトールの検出はデヒドロゲ
ナーゼを用いる場合には補酵素の変化量を、例えば補酵
素としてNAD を用いて生成される変化の量として還元型
補酵素である還元型NAD をその極大吸収波長域である34
0nm 付近の波長にて比色計で測定する等公知の技術を用
い直接定量するか、もしくは、たとえば生じた還元型補
酵素を各種ジアフォラーゼ、またはフェナジンメトサル
フェート(以下PMS と略す)、メトキシPMS 、ジメチル
アミノベンゾフェノキサジニウムクロライド(メルドラ
ブルー)等の電子キャリアー及びニトロテトラゾリウム
に代表される各種テトラゾリウム塩好ましくは水溶性が
高い WST-1〜8(同人化学社製)等の還元系発色試薬を用
い間接的に定量するか、デヒドロゲナーゼ、オキシダー
ゼの組み合わせを適宜用い還元型補酵素から過酸化水素
を発生させ、生じる過酸化水素を直接、間接的に測定し
てもよい。
【0084】上記過酸化水素の量は例えばパーオキシダ
ーゼ等を用いて色素等を生成し、発光蛍光等により定量
しても良くまた電気化学的手法によって定量しても良
く、カタラーゼ等を用いてアルコールからアルデヒドを
生成せしめて生じたアルデヒドの量を定量してもよい。
過酸化水素の発色系は、パーオキシダーゼの存在下で4-
AA若しくは3-メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾ
ン(MBTH)等のカップラーとフェノール等の色原体との酸
化縮合により色素を生成するトリンダー試薬、パーオキ
シダーゼの存在下で直接酸化、呈色するロイコ型試薬等
を用いることが出来る。
【0085】トリンダー型試薬の色原体としては、フェ
ノール誘導体、アニリン誘導体、トルイジン誘導体等が
使用可能であり、具体例としてN, Nジメチルアニリン、
N, N−ジエチルアニリン、2, 4−ジクロロフェノール、
N-エチル-N-(2-ヒドロキシ−3-スルホプロピル)-3,5-ジ
メトキシアニリン(DAOS)、N-エチル-N- スルホプロピル
-3,5ジメチルアニリン(MAPS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキ
シ-3- スルホプロピル)-3,5-ジメチルアニリン(MAOS)、
N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3- スルホプロピル)-m-トル
イジン(TOOS)、N-エチル−N−スルホプロピル-m- アニ
シジン(ADPS)、N-エチル-N- スルホプロピルアニリン(A
LPS)、N-エチル-N- スルホプロピル-3、5-ジメトキシア
ニリン(DAPS)、N-スルホプロピル-3、5-ジメトキシアニ
リン(HDAPS) 、N-エチル-N- スルホプロピル-m- トルイ
ジン(TOPS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3- スルホプロ
ピル)-m-アニシジン(ADOS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ
-3-スルホプロピル)アニリン(ALOS)、N-(2- ヒドロキ
シ-3- スルホプロピル)-3 、5-ジメトキシアニリン(HD
AOS) 、N-スルホプロピル−アニリン(HALPS)(以上、同
人化学研究所社製)等が挙げられる。
【0086】またロイコ型試薬の具体例としては、o-ジ
アニシジン、o-トリジン、3,3 ジアミノベンジジン、3,
3,5,5-テトラメチルベンジジン;以上同人化学研究所社
製、N- (カルボキシメチルアミノカルボニル)-4,4-ビス
(ジメチルアミノ)ビフェニルアミン(DA64)、10-(カル
ボキシメチルアミノカルボニル)-3,7-ビス(ジメチルア
ミノ)フェノチアジン(DA67); 以上、和光純薬社製等が
挙げられる。
【0087】さらに蛍光法には、酸化によって蛍光を発
する化合物、例えばホモバニリン酸、4-ヒドロキシフェ
ニル酢酸、チラミン、パラクレゾール、ジアセチルフル
オレスシン誘導体等を、化学発光法には、触媒としてル
ミノール、ルシゲニン、イソルミノール、ピロガロール
等を用いることが出来る。カタラーゼ等を用いてアルコ
ールからアルデヒドを生成せしめて、生じたアルデヒド
を定量する方法としては、ハンチ反応を用いる方法や、
MBTHとの縮合反応により発色させる方法、若しくは
アルデヒドデヒドロゲナーゼを用いる方法等が挙げられ
る。
【0088】グルコソンの定量はジフェニルアミン等の
公知のアルドース試薬を用いて定量すればよい。オキシ
ダーゼを用いる場合には酸素の消費量または反応生成物
の量を測定することが好ましく、反応生成物の量を測定
としては、例えばピラノースオキシダーゼを用いた場合
には過酸化水素及びグルコソンが生成し過酸化水素及び
グルコソンを前記の方法を用いて測定すればよく、イノ
シトールオキシゲナーゼを用いた場合にはグルクロン酸
を生じるのでオルシノール反応等の公知の方法を用いグ
ルクロン酸を測定すればよい。
【0089】キナーゼを用いる場合には、反応より生じ
るミオイノシトールの燐酸体若しくは ADPの量を測定す
ることが好ましい。ADP の測定方法としては公知のピル
ビン酸キナーゼ及びラクテートデニドロゲナーゼを用い
た方法、ピルビン酸キナーゼ及びピルビン酸オキシダー
ゼを用いた方法及びADP を利用するヘキソキナーゼを用
いる方法(特願平 07-340482号)等を用いて測定するこ
とが出来る。
【0090】またミオイノシトールの検出はミオイノシ
トールに作用する酵素を電極に固定化して、電気化学的
に検出してもよい。例えばオキシダーゼを用いる場合に
は生じた過酸化水素を直接電極にて測定するか、若しく
はフェロセン誘導体若しくはキノン誘導体等の電子伝達
体を介在させ、得られる酸化還元電流あるいはその電気
量を測定すれば良く、デヒドロゲナーゼを用いる場合に
も、同様に還元型補酵素を直接電極測定するか、電子伝
達体を介在させ、得られる酸化還元電流あるいはその電
気量を測定すればよい。
【0091】かくして、調製されたイノシトール定量用
組成物によって、試料中のイノシトールを定量するに
は、イノシトール定量用組成物に試料 0.001〜0.5ml を
加え、37℃の温度にて反応させ、レートアッセイを行う
場合には、反応開始後の一定時間後の2点間の数分ない
し数十分間、例えば3 分後と4分後の1分間、または3
分ごと8分後の5分間における変化した補酵素の量を直
接または間接的に測定すれば良く、エンドポイントアッ
セイの場合には反応開始後一定時間後の変化した補酵素
の量を直接または間接的に測定すればよい。この場合既
知濃度のミオイノシトール若しくはカイロイノシトール
を用いて測定した場合の吸光度等の変化と比較すれば試
料中のミオイノシトール若しくはカイロイノシトールの
量を求めることができる。なお、本発明において変化し
た酸素量、過酸化水素量、補酵素量及び生成物の量の測
定にあたり、吸光度測定の代わりに他の公知の測定法を
使用して定量を行うこともできる。
【0092】最後に、正常型及び糖尿病予備群を判定す
るには、試料中のミオイノシトールを前記の方法で定量
し、得られた定量値が正常型の特徴的な値未満である場
合に正常型、正常型の特徴的な値以上の場合に糖尿病予
備群あるいは糖尿病であると判定すればよい。糖尿病予
備群のみを判別するためには糖尿病予備群あるいは糖尿
病から糖尿病を除けばよい。糖尿病の判定は公知の方
法、例えばグルコース負荷試験によりWHO が1998年に提
示した判断基準で選別する若しくは日本老健法に基付く
HbA1c の値で判別する、その他フルクトサミン、グリコ
アルブミン、1.5アンヒドロキシグルシトール等の血糖
マーカーにより判定する、空腹時血糖によりWHO が1998
年に提示した判断基準で選別する方法等が挙げられ、ま
たこれ以外でも糖尿病の判定が出来るものであれば何れ
の方法を用いてもよい。
【0093】本発明に於ける糖尿病予備群とは、非糖尿
病者のうち将来糖尿病に移行する確立の高い群であれ
ば、何れの群であってもよいが、例えば、境界型、IFG
、IGTまたはインスリン抵抗性が挙げられる。ここで境
界型とは1999年に日本糖尿病学会で定められた境界型を
指し、75gOGTT を行った場合に糖尿病型(空腹時血糖12
6mg/dl以上及び/または負荷後2時間血糖200mg/dl以
上)及び正常型(空腹時血糖110mg/dl未満及び/または
負荷後2時間血糖200mg/dl未満)に属さないものを示
す。また IFG及びIGT とはWHO が1998年に提示した判断
基準のIFG 及びIGT を示し、75gOGTT を行った場合にIF
G は空腹時血糖 110〜125mg/dlかつ負荷後2時間血糖14
0mg/dl未満であり、IGT は空腹時血糖126mg/dl未満かつ
負荷後2時間血糖 140〜200mg/dlである。ちなみに、境
界型=IFG +IGT である。
【0094】試料に尿を用いる場合には、随時尿及び蓄
尿を用いることができるが、クレアチニン濃度で除し、
一定濃度クレアチニン中のイノシトール濃度に換算する
ことが好ましい。但し腎疾患を有する患者においてはク
レアチニン値が異常となるケースも考えられるためクレ
アチニンが異常値を示す試料は検査から除外することが
好ましい。また尿中のイノシトールは腎臓での再吸収等
の影響を強く受けることから腎疾患(ミクロアルブミン
尿等を呈する患者若しくは腎性尿糖の患者)を除外する
ことによりより、高率に糖尿病予備群を検査することが
出来る。
【0095】また糖尿病予備群の判定を高い確率で行う
場合には上記ミオイノシトールが正常型の特徴的な値以
上である群に加えて、空腹時血糖、糖化ヘモグロビン及
び糖化アルブミンの正常型の特徴的な値以上の群を加え
ることにより、より高い確率で糖尿病予備群あるいは糖
尿病を判定することができる。
【0096】
【発明の実施の形態】本発明の実施例及び参考例を詳し
く述べるが、本発明は何らこれにより限定されるもので
はない。
【参考例1】(GC/MASS 法と酵素法の添加回収試験)血
清に血清にミオイノシトール(シグマ社製)濃度が0 、
10、20、30、40、50μM となるように調製したものを試
料として用いた。
【0097】<GC/MS法> 1) 試料の前処理 上記の各血清 100μL に1mgのウレアーゼを加えて37℃
で30分間インキュベートし尿素を除いた。次いで内部標
準物質としてn −ヘプタデカン酸20μg とD7-グルコー
スを添加して、1mL の無水エタノール(和光純薬社製、
特級)を加え、遠心分離し除タンパクし、上層を減圧下
にエバポレーターで濃縮乾固した。さらに 100μL のBS
TFA (N,O- ビストリメチルシリルトリフロロアセタミ
ド、和光純薬社製)と10μL のTMCS(トリメチルクロロ
シラン、フナコシ)を加え80℃で30分間加熱し、TMS 誘
導体とした。
【0098】2) GC/MS 分析 四重極型Automass system(日本電子)を用いてGC/MS 分
析を行った。GCはUltra Alloy plus-5+ 金属キャピラリ
ーカラム(30m×0.25mm i.d., 0.25μm filmthickness,
Frontier Lab.KK)に流速1.47mL/minのヘリウムガスをキ
ャリアーガスとして流して分析した。試料は 2μL を3
8:1スプリットモードで自動注入し、60℃から 350℃ま
で17℃/minで昇温分析した。マススペクトルは電子衝撃
(EI)法により m/z50からm/z650まで 0.4秒スキャンの低
分解能モードで測定した。
【0099】<酵素法> 1) 試薬 <R-1 ;グルコース消去試薬> 10mM トリス緩衝液 60mM 塩化マグネシウム(和光純薬社製) 88mM ATP (オリエンタル酵母社製) 43U/ml ヘキソキナーゼII(旭化成工業社製) 40mM シュウ酸(和光純薬社製) 6mM チオNAD
【0100】<R-2 ;ミオイノシトール定量試薬> 200mM グリシン緩衝液(pH 9.8) 2mM チオNAD (オリエンタル酵母社製、日本) 0.03mM NADH(オリエンタル酵母社製、日本) 100U/ml B.sp.No.3 株由来のミオイノシトールデヒ
ドロゲナーゼ
【0101】2) 操作 上記の各血清 100μL にグルコース消去試薬50μl を添
加し37℃−5 分間のグルコース消去反応を行い、次いで
ミオイノシトール定量試薬 100μL を加え反応を開始し
た。反応開始後1分と3分の405nm における吸光度を読
みとりその差をとり、1分間あたりの吸光度変化を求め
た。
【0102】3) 結果 GC/MS 法、及び酵素法によるミオイノシトールの添加回
収試験結果を表3に示す。GC/MS 法によるミオイノシト
ールの添加回収は不良であったが、酵素法による添加回
収は非常に良好であった。
【0103】
【表3】
【0104】
【参考例2】(菌体の培養及び酵素の精製) 1) クレブシーラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumon
iae)TK24 (FERM BP-6506)の培養及び精製 酵母エキス 2%、ペプトン 2%(以上極東製薬社製、日
本)、グリセロール 2%、リン酸 2カリウム 0.1%(以
上和光純薬社製、日本)、グルコース 0.1%(国産化学
社製、日本)、pH7.0 を含む液体培地100ml を500ml 三
角フラスコに分注し、121 ℃で20分加熱滅菌した後これ
にクレブシーラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumonia
e)TK24株(FERM BP-6506)の1 白金耳を接種し、28℃で
120rpmの振とう培養器で20時間培養して種母85ml(活性
0.04U/ml)を得た。
【0105】一方、上記と同様の培地組成にて消泡剤と
してディスフォームBC51Y(日本油脂社製、日本)を0.1
%添加した液体培地20L を30L 用ジャーファメンターに
仕込み加熱後滅菌した後に上記の種母85mlを移植し、培
養温度30℃、通気量20L/分、内圧0.4kg/cm2 、攪拌速度
200rpmで16時間通気培養し、培養物20L(酵素活性0.12U/
ml) を得た。
【0106】得られた培養物を遠心分離で集菌し、これ
を10mMトリス緩衝液 pH8.0に分散させ、氷浴で冷却しな
がら超音波処理を行い、菌体を可溶化した。可溶化液は
3000rpm15 分の遠心分離を行い、可溶化上清2.5L(2U/m
l)を得た。
【0107】この酵素液を10mM燐酸緩衝液pH7.5 にて平
衡化されたQ-セファロース(Sepharose)B.B.(ファルマ
シアバイオテック;Pharmacia Biotech 社製、スウェー
デン国)1.25L にかけ、0 、0.1 、0.2 、0.3MのKCl(ナ
カライテスク;nacalai tesque社製、日本)を含む同一
の緩衝液にてステップワイズに溶出、活性のあるフラク
ション2.2L(1.5U/ml)を得た。得られた酵素液は4Mにな
るようにNaCl(ナカライテスク社製、日本)を加え、4M
NaCl を含む10mMリン酸緩衝液(pH7.5)にて平衡化され
たフェニルセファロースFF (ファルマシア社製、スウェ
ーデン国)200ml にかけ4 →0 M のNaClグラジエントに
て展開、活性ピークをプールし酵素溶液600ml を得た。
得られた酵素溶液は10mMリン酸緩衝液pH7.5 に対し透析
し、分子量5 万カットの膜で濃縮し 100ml(27U/ml)の酵
素溶液を得た。得られた酵素液は凍結して−20℃にて保
存した。 2) バチルス・エスピー(Bacillus sp.)No.3(FERM BP
-5881)の培養及び精製WO98-42863号に公開された参考
例1及び2と同様の方法で培養、精製を行った。 3) フラボバクテリウム・エスピー(flavobacterium s
p.) 371(FERM BP-7323)の培養及び精製1) のクレブシー
ラ・ニューモニエの培養及び精製と同様の方法で培養、
精製を行った。
【0108】
【参考例3】(酵素を用いた特異的なイノシトールの定
量) 1) ミオイノシトール定量試薬 100mM グリシン緩衝液(pH 10.0) 2mM 酸化型NAD (オリエンタル酵母社製、日本) 5U/ml K.p.TK24 株由来のミオイノシトールデヒドロ
ゲナーゼ 2) 操作 前記定量試薬1ml をキュベットにとり、37℃にてミオイ
ノシトール(シグマ社製)0 、50、100 、150 、200mM
を含む水溶液0.02mlを加えて、37℃、10分の反応を行っ
た。反応を通して340nm を測定し、基質水溶液添加後10
分の吸光度から、基質水溶液添加前の吸光度を差し引き
吸光度変化を求めた。その結果を図1に示す。ミオイノ
シトールに特異性の高い酵素を用いることにより簡便に
ミオイノシトールのみが定量されていることが明白であ
り、またこの基質濃度領域に於いて基質の変換率はほぼ
100%であり理想的なエンドポイント測定で可能であっ
た。
【0109】
【参考例4】(ミオイノシトールに作用するオキシダー
ゼを用いたミオイノシトールの定量) 1) ミオイノシトール定量試薬 100mM トリス緩衝液(pH7.0) 100U/mL ピラノースオキシダーゼ 5U/mL POD(パーオキシダーゼ シグマ社製) 1.5 μmol/mL 4-AA(和光純薬社製) 4.5 μmol/mL TOOS(和光純薬社製)
【0110】2) 操作 上記試薬3mL をキュベットに取り、ミオイノシトール
(シグマ社製)0.2 、2、10、15、20mMを含む水溶液80
μL を添加し、37℃にて反応を開始した。反応を通して
515nm を測定し、基質水溶液添加後5分の吸光度から基
質水溶液無添加の吸光度を差し引き吸光度変化を求め
た。その結果を図2に示す。ミオイノシトールに作用す
るオキシダーゼを用いることにより、ミオイノシトール
を簡便に定量できた。
【0111】
【参考例5】(ミオイノシトールに作用するキナーゼを
用いたミオイノシトールの定量) 1) ミオイノシトール定量試薬 50mM トリス緩衝液(pH7.5) 2mM ATP (オリエンタル酵母社製) 10mM 塩化マグネシウム(和光純薬社製) 10U/mL ミオイノシトールキナーゼ(Science 151,198-199 (1966)) 10mM グルコース(和光純薬社製) 10U/mL ADP-HK (旭化成工業社製) 1mM NADP(オリエンタル酵母社製) 5U/mL グルコース−6 −リン酸デヒドロゲナーゼ(東洋紡社製)
【0112】2) 操作 上記試薬1.0mL をキュベットに取り、ミオイノシトール
(シグマ社製)0、50、100、150、200μMを含む水溶液1
00μLを添加し、37℃にて反応を開始した。反応開始
後、0分と5分の340nm における吸光度変化を読みと
り、その差を求めた。結果を図3に示す。図3に示すよ
うに、ミオイノシトールに作用する酵素を用いることに
より、ミオイノシトールを簡便に定量できた。
【0113】
【参考例6】(酵素を用いた高感度なミオイノシトール
の定量) 1) ミオイノシトール定量高感度試薬 100mM POPSO緩衝液(pH 8.5) 2mM チオNAD (オリエンタル酵母社製、日本) 0.03mM NADH(オリエンタル酵母社製、日本) 3.5U/ml F.sp.671株由来のミオイノシトールデヒドロ
ゲナーゼ
【0114】2) 操作 上記試薬1ml をキュベットにとり、0 、5 、10、20、3
0、40、50μM のミオイノシトール( シグマ社製) 溶液2
0μl を添加し、37℃にて反応を開始させた。反応時間
の1 分と3 分目に405nm における吸光度を読み取りその
差をとり、1 分間あたりの吸光度変化を求めた。その結
果を図4に示す。図4に示す通り、ミオイノシトール量
に対する吸光度変化は良好な直線を示し酵素サイクリン
グを用いたミオイノシトールの高感度測定が可能であっ
た。また、本酵素はカイロイノシトールよりもミオイノ
シトールに特異性が高く、生体内ではミオイノシトール
はカイロイノシトールに比べ大量に存在することから生
体成分(血清、血漿、尿等)を測定するにあたり選択的
に試料を前処理することなくミオイノシトールが測定で
きることが明らかになった。
【0115】
【実施例1】(試料中のミオイノシトール測定による糖
尿病予備群の判定) 検体;血清(糖尿病でない対象者の試料) 糖尿病状態の分類;正常型、境界型の判定は前記1999年
改訂日本糖尿病学会の基準に基づき、また正常、IGT 、
IFG の判定は1998年のWHO の基準に基づき行った。
【0116】ミオイノシトール測定試薬;参考例1に同
じ。 空腹時血糖;グルコースII−HAテストワコー(和光純薬
社製)を用いて測定した。 空腹時インスリン値;インスリン(生研)EIA(デンカ生
研社製)を用いて測定した。 HOMA;空腹時血糖(mg/dl)×インスリン値(μU/ml)/
400 糖化ヘモグロビン;グリコヘモグロビン計(ハイオート
エーワンシーHA-8150)京都第一科学社製を用いて測定し
た。 糖化アルブミン;グリコアルブミン計(GAA-2000)京都
第一科学社製を用いて測定した。 フルクトサミン;オートワコーフルクトサミン(和光純
薬社製)を用いて測定した。
【0117】血清中イノシトールは主にミオイノシトー
ルであり、カイロイノシトールは検出限界以下と考えら
れることから〔Richard E Ostland,Jr,Proc.Natl.Acad.
Sci.USA,Vol.90(1993) 9988-9992〕、ミオイノシトール
の検量線を用いて定量を行った。結果を図5に示すが、
境界型、IFG 及びIGT にてミオイノシトール定量値は危
険率0.0001% 以下で有意に高値を示し、正常型の特徴
的な値として平均値+標準偏差(平均値=20.1μmol/L
、標準偏差=6.8 μmol/L)に相当する27μmol/L 以上
にて、80%の感度で有効に境界型、IFG 及びIGT を判定
可能であった。また正常型の特徴的な値として平均値+
2 ×標準偏差、平均値+3 ×標準偏差に置き換えてもよ
い。また境界型、IFG 及びIGT はインスリン抵抗性が原
因であることが多く、試料のミオイノシトール定量値27
μmol/L以上では、インスリン抵抗性の指標であるHOMA
も高く(平均値=2.23、標準偏差=0.32)、ミオイノシ
トール定量値27μmol/L 未満ではHOMAは低く(平均値=
1.77、標準偏差=0.29)、ミオイノシトールの定量によ
りインスリン抵抗性を判定することも可能であった。
【0118】さらに他の糖尿病マーカーによる判定を、
ミオイノシトールによる判定に加えた場合の境界型の検
出感度、特異性を表4に示す。表4に示したとおり、他
糖尿病マーカーによる判定を加えた場合に糖尿病の検出
感度が上昇した。このときのカットオフ値は正常型の平
均値+標準偏差で設定し、設定値は空腹時血糖110mg/dl
(平均値99.5mg/dl 、標準偏差=9.0mg/dl)、HbA1c 値
5.3 %(平均値5.0 %、標準偏差=0.3 %)、フルクト
サミン値 220μmol/L(平均値 206μmol/L 、標準偏差=
14μmol/L)、グリコアルブミン値15.0% (平均値14.2
%、標準偏差=0.8 %)であった。
【0119】
【表4】
【0120】
【実施例2】(試料中のミオイノシトール測定による糖
尿病予備群の判定)検体;血清(75gブドウ糖負荷試験を
施行した対象者から空腹時(施行前)、施行1時間後、
及び施行2時間後に採取した試料) 尿(75gブドウ糖負荷試験を施行した対象者から空腹時
(施行前)、施行1時間後、及び施行2時間後に採取し
た試料) 糖尿病状態の分類;正常型、境界型、及び糖尿病型の判
定は前記1999年改定日本糖尿病学会の基準に基づき、ま
た正常型、IFG 、IGT 、及び糖尿病型の判定は1998年の
WHO の基準に基づき行った。 ミオイノシトール測定試薬;参考例6に同じ。 血糖;グルコースII−HAテストワコー(和光純薬社製)
を用いて測定した。クレアチニン;クレアチニン−HAテ
ストワコー(和光純薬社製)を用いて測定した。
【0121】尿中イノシトールは主にミオイノシトール
であることから、ミオイノシトールの検量線を用いて定
量を行った。75gブドウ糖負荷試験を施行前(空腹
時)、施行1時間後、及び施行2時間後の尿中のミオイ
ノシトールを定量し、同時に定量したクレアチニンで除
し、一定濃度クレアチニン中のミオイノシトール濃度に
換算した。結果を図6、及び表5に示すが、OGTT施行前
においてIFG 、IGT 、及び糖尿病型においてミオイノシ
トール定量値は正常型に比しそれぞれ危険率 0.001%、
0.02%、及び 0.001%以下で有意に高値を示した。正常
型の特徴的な値として平均値+標準偏差(平均値=9.1
μg/mg、標準偏差=1.8 μg/mg)に相当する10.9μg/mg
以上にて、有効にIFG 、IGT 、及び糖尿病型をそれぞれ
100%、80%及び 100%の感度で判定可能であった。ま
た正常型の特徴的な値として、平均値+2×標準偏差、
平均値+3 ×標準偏差に置き換えてもよい。
【0122】
【表5】
【0123】さらに正常型ではOGTT施行1時間後、及び
2時間後の尿中に排泄されるミオイノシトール量は施行
前と比べほとんど変化しなかったが、IFG 、IGT 、及び
糖尿病型では、施行前と比べて大きく上昇した。よって
OGTT施行2時間後では IFG、IGT 、及び糖尿病型におい
てミオイノシトール定量値は正常型に比しそれぞれ危険
率0.003 %、0.01%、及び0%以下で有意に高値を示し
た。正常型の特徴的な値として平均値+標準偏差(平均
値=10.1μg/mg、標準偏差=3.1 μg/mg)に相当する1
3.2μg/mg以上にて、有効にIFG 、IGT 、及び糖尿病型
をそれぞれ 100%、93%及び 100%の感度で判定可能で
あった。また正常型の特徴的な値として平均値+2×標
準偏差、平均値+3×標準偏差に置き換えてもよい。OG
TT施行前後では施行後の方が糖尿病予備群を判定する感
度が上昇していた。これらの結果から本検査方法を用い
ることによりOGTTなどのブドウ糖負荷試験を行わずに糖
尿病予備群、例えばIFG 、IGT 、糖尿病型、若しくはイ
ンスリン抵抗性を高感度に検出できることは言うまでも
ない。
【0124】
【実施例3】(75g OGTT 2時間血糖地値と尿中ミオイノ
シトール測定値の相関) 検体; 空腹時血糖値を測定した場合に110mg/dl以上であ
った群にOGTTを施行した。 ; 血清 (75g ブドウ糖負荷試験を施行した対象者から空
腹時 (施行前) 、施行 1時間後、及び施行2時間後に採
取した試料) ; 尿 (75g ブドウ糖負荷試験を施行した対象者から空腹
時 (施行前) 、施行1時間後、及び施行2時間後に採取
した試料) ミオイノシトールの測定試薬; 参考例6に同じ。 ミオイノシトールのGC/MS 分析;参考例1に同じ。 血糖、クレアチニン;実施例2に同じ。 計算;尿中ミオイノシトールは参考例6の試薬で測定
し、標準品の値からミオイノシトール濃度を算出した。 結果;75g OGTT施行時の2時間に於ける血糖値及び尿中
ミオイノシトール値の相関を図7、表6に示す。酵素サ
イクリング法を用いた場合には、75g OGTT施行時の2時
間に於ける血糖値及び尿中ミオイノシトール値との間に
相関係数 r=0.70の高い相関が認められた。しかし一
方、 GC/MS法を用いた場合には、75g OGTT施行時の2時
間に於ける血糖値及び尿中ミオイノシトール値との間に
相関は認められなかった。また図7からわかるようにIG
T の基準、とりわけ耐糖能異常と関係があると考えられ
ている75g OGTT施行時の2時間血糖値 140mg/dl に相当
する尿中ミオイノシトール値は80μg/mgクレアチニンで
あり、直線近似式から得られた直線の95%信頼限界から
68〜94μg/mgクレアチニン、さらに80%信頼限界から72
〜90μg/mgクレアチニンが好ましい値であることが判明
した。中央値である80μg/mgクレアチニンをカットオフ
値とすると75g OGTT施行時の2時間血糖値 140mg/dl 未
満は96%がカットオフ値未満に含まれ、75g OGTT施行時
の2時間血糖値 140mg/dl 以上は74%以上がカットオフ
値以上に含まれた。本結果より前記の特徴的な値とする
ほかに75g OGTT施行時の2時間血糖値 140mg/dl に相当
るすミオイノシトール定量値を特徴的な値とすることが
できることが判明した。また耐糖能異常の程度を示す75
g OGTTの2時間血糖値と尿中ミオイノシトール量に相関
があることから尿中ミオイノシトールを酵素サイクリン
グを用いて測定することにより耐糖能異常の程度が判定
できた。
【0125】
【表6】
【0126】
【発明の効果】本発明によれば、血清、血漿、尿等の試
料を用い、対象者が糖尿病を疾病していない正常型であ
るか否か、あるいは糖尿病との境界にある境界型、IG
T、IFG もしくはインスリン抵抗性等の糖尿病予備
軍に該当するか否かを簡便かつ再現性よく判定する糖尿
病、特に糖尿病予備軍の検査方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例3に基づくミオイノシトールの検量線を
示す。
【図2】参考例4に基づくピラノースオキシダーゼ法に
よるミオイノシトールの検量線を示す。
【図3】参考例5に基づくミオイノシトールキナーゼ法
によるミオイノシトールの検量線を示す。
【図4】参考例6に基づく酵素サイクリング法によるミ
オイノシトールの検量線を示す。
【図5】実施例1に基づく血清中のミオイノシトールの
定量分析結果を示す。
【図6】実施例2に基づく尿中のミオイノシトールの定
量分析結果を示す。
【図7】実施例3に基づく尿中のミオイノシトールの定
量分析結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/493 G01N 33/493 A 33/66 33/66 C //(C12N 9/04 (C12N 9/04 C12R 1:07) C12R 1:07)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料を前処理することなく、その中に含
    有されるミオイノシトールをミオイノシトールに作用す
    る酵素で処理しその生成物を測定し、試料中に含まれる
    ミオイノシトールの量を定量し、特徴的な値以上を糖尿
    病予備群あるいは糖尿病と判定することを特徴とする検
    査方法。
  2. 【請求項2】 糖尿病予備群あるいは糖尿病と判定され
    た群から糖尿病を除くことにより予備群を判別すること
    を特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 試料が糖負荷後若しくは食後に得られた
    試料であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 試料が尿であり、かつ特徴的な値が 75g
    グルコース負荷試験後に19μg/mg・クレアニチンである
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 試料が尿であり、かつ特徴的な値が 75g
    グルコース負荷試験後に16μg/mg・クレアニチンである
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 試料が尿であり、かつ特徴的な値が 75g
    グルコース負荷試験後に13μg/mg・クレアニチンである
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 試料中に含有されたミオイノシトールの
    量を定量することにより、耐糖能異常の程度を判定する
    ことを特徴とする検査方法。
  8. 【請求項8】 ミオイノシトールに作用する酵素が、デ
    ヒドロゲナーゼ、キナーゼ若しくはオキシダーゼである
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 デヒドロゲナーゼが、クレブシーラ・ニ
    ューモニエ (Klebsiella pneumoniae)TK24(FERM BP-65
    06) 、バチルス・エスピー (Bacillus sp.)No.3(FERM B
    P-5881) またはフラボバクテリウム・エスピー (Flavob
    acterium sp.)671(FERB BP-7323)由来のデヒドロゲナー
    ゼである請求項8に記載の検査方法。
  10. 【請求項10】 ミオイノシトールを測定する方法が酵
    素サイクリング法である請求項1〜9のいずれかに記載
    の方法。
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